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宇宙創成(下)(新潮文庫)
宇宙創成(下)(新潮文庫)
サイモン・シン、青木薫/新潮社
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総合評価

104件)
4.4
49
32
12
1
0
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    下巻も非常に面白かったです。 研究の世界では先取権、誰よりも早く発表することを意識することが多いみたいですが、意外と埋もれてしまうこともしばしば、というのがショックでもあり驚きでもありました。 またガモフのおふざけのせい?で過小評価されてしまったアルファーの無念は心に来ました。 それとハッブルがノーベル賞を取ることができなかった話も、とても印象的です。物理的な解釈を避けるその態度が個人的に好きだったのですが、そういった立場故にノーベル物理学賞から遠のいてしまう、という話は悲しいですね、仕方ないと言えばそうですが。 物理では有名なフェルミとチャンドラセカールが、規約を違反して奥さんのグレースに選考が進んでいたことを伝えた話は、素敵すぎました。

    1
    投稿日: 2025.11.23
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    我々が当たり前のように理解しているビッグバン・モデルがどのように証明されてきたのか、事細かく知ることができた。 138億年も前にこの広大な宇宙がどのように始まったのか、知恵を絞って少しずつ事実を明らかにして、仮説を組み立てていく流れは非常に面白かった。 上巻の内容も含めると、宇宙に関する謎を解き明かすためのバトンを、紀元前6世紀からずっと受け継いできて今に至っていることがよく分かった。 そしてこれから先、どんなことが新しく明らかになるのか、楽しみになった。

    0
    投稿日: 2025.07.23
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    サイモン・シン「宇宙創成(下)」読了。宇宙の始まり、特に、原子が作られていく過程が大変面白かった。水素やヘリウムが大半を占める宇宙でいかに炭素などの原子が核融合により形成されてきたか。フレッド・ホイルの人柄も大変魅力的だった。ビッグバンの理論が成立するまでにこんな歴史があったとは。

    9
    投稿日: 2025.06.29
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    サイモン・シンのフェルマーが面白く、同時に宇宙論にも興味を持っていたので手に取った。期待通り、宇宙論自体についても、その解明の過程についても、そして科学の面白さまで、期待を超えて楽しむことができた。

    0
    投稿日: 2024.09.19
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    ハフスの4歳の時の推理が天才すぎる。この年で時間という概念を導き出すあたりが、頭脳の明晰さを感じる。自力で学ぶって最近すごい楽しいことだなと実感してる。 セレンディピティの一例としてバイアグラがあがっているのが面白い。心臓病薬の副作用だったらしい 読了。一貫して人の歴史について思いを馳せた時間が続く。この筆力は圧巻。事実というよりも、むしろその背景を知ることで深い学びが得られる。次作の代替医療も早く読みたい。

    0
    投稿日: 2024.07.26
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    ビッグバン・モデルが仮説からパラダイムとして確立するまでの科学者のドラマ。数式が解らなくても愉しめることが本書最大の魅力。

    17
    投稿日: 2024.07.08
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    歴史小説であり、科学小説。 歴史的な部分で読者を引き込むので、毎日読み続けてしまう。 難解な部分は上巻だけで、下巻はドンドン読み進めて行ける。 アインシュタインからビックバン確定まで、物理学者の活躍が眼前に現れるかのような。 面白かったです

    0
    投稿日: 2024.04.12
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    下巻はビッグ・バン宇宙モデルと定常宇宙モデルのどちらが正しいのかを巡り、多くの個性的な人達が究明に乗り出す。 ビッグ・バン宇宙モデルは、今日の我々の中では一般的となっている理論であるが、ビッグ・バンが発生して現在の宇宙が形作られるにあたり、多数の評価基準に対して裏付けとなる証拠が見つからず、つい最近まで定常宇宙モデルとしのぎを削る争いが行われていた。 観測機器の精度が上がっていくにつれて、徐々にビッグ・バン宇宙モデルが予測していたことが明らかになっていくが、ここまで予測の的中率が高いのにも驚かされる。今後の検証によってどのように理論が発展するのか、また、別のモデルに取って代わられるのかも気になるところである。 残された謎として、ビッグ・バン以前はどうなっていたのか、また、宇宙の膨張は最終的に重力により収束して、最初の状態に戻るビッグ・クランチは起こりうるのか、ロマンはつきない。

    0
    投稿日: 2023.09.16
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    只管科学的に宇宙を解明してたはずなのに、解き明かされたのはロマンだった。何十人、何百人もの知恵と技術と観察と運を使い、宇宙についてわかったこと。いまだわかってないこと。可能ならば、宇宙についての熱狂的な発表を生きてる間に見たい

    0
    投稿日: 2023.06.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    神が作った宇宙という考えからはじまり、ビックバンに至るまでの、科学者たちの研究の成果と人間模様が活き活きと書かれていて、内容も自分のような素人がわかった気になれる絶妙なものだと感じた。 あとがきの、人は間違えながらも理論を発展させてきた歴史あるという記載も、本書から不思議と試行意欲を得る理由なのだと感じた。

    0
    投稿日: 2023.04.18
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     上巻では、天体の動き方や並びの発見を主に描いていた。下巻では、ビックバンモデルと静的な宇宙を比較して、どちらが正しいのかを検証するまでのストーリーを展開している。  上下巻を通して、非常に読み応えのある作品だった。少々難解な説明がでてくることがあったが、人類が地道にそのような問題を解決してきたという実績を理解するためには、分かりやすすぎるより良いことだと思う。  個人的には、ホイルによる「人間原理」を利用して元素の合成の問題を解決するエピソードが印象的だった。誰もが「なぜ?」を繰り返したときに、一度は考えそうなことを学問にしっかりと応用させることに頭の柔軟さが垣間見える。

    0
    投稿日: 2022.10.12
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    特殊相対性理論、ハッブルによる観測結果から、宇宙はビックバンにより誕生したと提唱された。この説の信憑性が原子物理学や電波天文学の進歩により少しづつ証明されていった過程を、ドラマティックに描いている。セレンディピティをモノにできる科学者になりたい。

    0
    投稿日: 2022.01.20
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    量子の世界から始まり、ミクロの世界を解き明かすことが宇宙の神秘を探ることに繋がることが説明される。そして宇宙の始まりであるビッグバン理論がどのように形作られていったか宇宙マイクロ波背景放射を主役に語られる。 上下一気に読んだが、何世紀にもわたる科学者の努力や天才的な能力を見せつけられ圧倒された。それでもまだ分からないことがある。話はまだまだ続くのだろう。

    0
    投稿日: 2021.11.14
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    佐藤勝彦先生の『眠れなくなる宇宙の話』から宇宙論に入った身だけれども。 天文学が、めっちゃ汗臭い苦闘をわりと最近まで繰り広げてきた事実に吃驚。 時間が経てば学問は進歩する、なんてもんじゃあない。 己が学徒たる意義を再確認できてよかった。 チャーチルの警句が手痛かった。

    4
    投稿日: 2021.11.11
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    元々宇宙に興味を持っており、ビッグバンまでの様々な重要な発見を行なった科学者、数学者にスポットを当てている。そのエピソードがいちいちカッコよい!! フェルマーの最終定理も、数学者のヒラメキのかっこよさ、生きかたの真摯さに感動したが、宇宙創生のほうが自分にはわかりやすく登場人物も多く、面白かった。 本当に「サイモンシン」にハズレなしである。 アインシュタインの異常な凄さがわかり、そのアインシュタインでさえ致命的に間違った理論を表明し、それを検証により修正していく物理学者が描かれている。我々は常に巨人の肩に乗っており、また乗るべきである。

    0
    投稿日: 2021.09.14
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    (上下巻合わせてのレビューです。) 大好きなノンフィクション・ライター、サイモン・シンの最新作。 今回のテーマは「宇宙」。 地球の大きさの測り方とか天動説v.s.地動説の話から、 相対性理論、ビックバンまで、歴史に基づいて書かれています。 そこには、やっぱりドラマがありました。 今まで天体って難しくてとっつきにくいイメージがあったけれど、 そこはさすがサイモン・シン。 初心者にも理解できるように最大限の配慮がなされています。 初めは何も知らなかった人間が いかにして今の知識を得るに至ったのか、 科学の歴史をハイライトで追うことで、 読者は「宇宙」について理解を深めることができます。 これはサイモン・シンの得意技ですね。 とはいえ、簡単にスラスラ読める類の本ではありません。 腰をすえて、じっくり読んで少しずつ理解を進めていく本です。 読み切った後には、知的好奇心が満たされた充実感、 科学の神秘をちょっぴり理解できた優越感、 ドラマを疑似体験できたスリル感を味わうことができる一冊! どうやら次回作もあるようなので、とっても楽しみです。

    2
    投稿日: 2021.06.24
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    何千年の時間をかけて尚、完成を見ない統合理論に取り組む科学者達の大河ドキュメント。 宇宙の真理究明に向けた科学者達のバトンリレーは、アベンジャーズの様でもあり、ケプラーやアインシュタインの登場にはワクワクした。 この様に、科学者の群像大河とも読めるし、文庫版訳者あとがきが言及している通り、「科学的手法」を主人公とした物語ともよめる。いずれにせよ、「その時代において最高の思想と想像の力を持つ人物」達が、何世代も紡いで描いてきた事の偉大さと、尚、描き切れない自然界の巨大さに目眩する。 完成されたと思われた体制的理論に立ち向かう科学者(特に、フリードマンや、コペルニクス)の姿が、特に印象的だった。(往々にして、反体制的な声は大きく響かない)。 宇宙の面白さ、それに取り組む科学者達の面白さ(アインシュタインの宇宙項に関するエピソードや、ビックバンの名付けの親、宇宙背景放射初観測のエピソード等)に加え、科学的手法の面白さが楽しめた。 「科学者とは正しい答えを与える者でなく、正しい問を発する者」だとすると、アインシュタインが宇宙項で「正しそうな答え」にまとめてしまった事は、後悔が残る事だろう。 こりゃ大傑作や!!

    0
    投稿日: 2021.03.04
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    下巻は、ビックバン宇宙論vs静的宇宙論である。 現代はビックバンから宇宙が始まったということは小学生でも知っていることかもしれないが、1950~1960年代は論争としてどちらが正しい(観測と合う)か競い合っていた。 若い銀河がどこでも見られるのであれば、静的宇宙論のほうが有利な証拠となるし、遠くにしか見られなければビックバン宇宙論が有利な証拠となる。 また、宇宙には水素がほぼ93%を占めてヘリウム6.5%でその他の原子が残りである。なぜこの比率なのか。 という観測と理論上の成果。しかし、これらは後知恵でモデルを現実に適合するように修正を加えることができる。 とするならば、純粋に理論から予測される事項を観測によって裏付けることが必要となる。 これは宇宙マイクロ波背景放射の観測に利用された。 もしビックバンが正しいのであれば、なぜ銀河が生成されるのか?空間的に一様にビックバンが発生するのであればどこも均一な空間になっていたと推測できる。宇宙は明らかにそうなっていない。 これはビックバン時にゆらぎがあったからであるとビックバン宇宙論は予想する。 この場合に宇宙マイクロ波背景放射に小さいがゆらぎがあるはずだ。理論的には予想できたが、観測精度の問題があった。宇宙に漂う宇宙マイクロ波背景放射の波長の10万分の1の精度で観測する必要があったのだ。 この精度を保証するには地上の観測では誤差が乗ってしまうので宇宙で観測する必要があった。 ついに1960年に観測ができ、しかも理論的な予想の範囲と一致した! これこそ物理学の勝利である。

    0
    投稿日: 2020.11.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    宇宙創生、ビッグバンへとつながる話だったんだけど、 人間の興味関心や知的好奇心というものの奥深さというか、執念を感じる話でした。 空に光る星を見て、多くの物理学分野に広がっていく様子は壮観でもあります。私自身は物理がよくわからない人間なので、理解できればもっと楽しいのだろうと思う。 そして、本書を通してよく思うのが「正しい理論がすぐ正しいと位置づけられるわけではない」というところ。様々対立する理論があり、議論を戦わせつつ、少しずつ不利な理論が淘汰されていく。科学や物理という範囲でさえそうなのだ。社会科学の分野だったら、なおさら相手を従わせようとするのは無意味に思えてくる。相手をどうこうするのではなく、疑問に真摯に向き合うことが大切なのだろう。 ---- ビッグバンは空間の"中で"何か爆発したのでは無く、空間"が"爆発したのである。同様に、ビッグバンは時間の"中で"何かが爆発したのでなく、時間"が"爆発したのである。空間と時間はどちらも、ビッグバンの瞬間に作られたのだ。P298 (フレッド・ホイルの言葉)「多くのビッグバン支持者がやっているように、自分たちは正しい理論に到達したのだと主張することは、ほとんど傲慢に等しい行いであろう。もしも私自身が過去においてそうした傲慢の罠に陥ったとすれば、ひとときの思い上がりのあとには必ず罰が下されたに違いない」。こういう健全な反抗の精神は、本来的に科学が持っているはずのものであり、ゆめゆめ否定的に捉えてはならない。つまるところビッグバン・モデル自体も、主流派に対する反抗の結果として生まれたのだから。P309

    0
    投稿日: 2020.07.03
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    上は宇宙のまだごく小さい範囲(天の川銀河内)などを考えていたが、下では宇宙の本当の始まりのビックバンVS色々な説についてを中心に書かれていた。 この本の作者、サイモンシンさんはその説などだけを数式などでややこしく解説していくのではなく、このような分野の本を初めて読む人でも分かりやすく、また出てくる人物一人一人の心理状況などについても書かれており、とても面白かった。 それにしても自分たち人間、生物がいる確率は限りなく小さく、偶然に生まれたのだとしたら本当に奇跡だなと思った。

    0
    投稿日: 2020.05.29
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    読み応えのある良書。科学のみならず、宗教との関係性についても書かれており、当時の状況をより深く理解することが出来る。科学に疎いため、すべてを理解することは出来なかったが、それでも非常に楽しんで読めた。 以下、お気に入りの箇所を抜粋。 「私はこの晴れの場に、自分の身なりを外側から飾るものではなく、私そのものを表すような礼服を着てきたかったのです。」アーノ・ペンジアス 「まったくのゼロからアップルパイを作りたければ、まずは宇宙を作らなければならない。」カール・セーガン

    7
    投稿日: 2020.04.30
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    天文を特集した上巻に比べ、物理に着目した下巻でさらに面白さが加速。とはいえ最新のところまで来るので、読んでて面白いエピソードは少な目。 ビッグバンって1992年にCMBゆらぎを観測してから勝利を勝ち取っていたとは、そんなに最近なんだという驚きがあった。あとは相変わらず訳者あとがきが秀逸。ここから読んでもいいかも。

    1
    投稿日: 2019.01.07
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    宇宙マイクロ波背景放射の検出〜その揺らぎの検出のあたりが最も興奮した。ビッグバンの名残りの中で生きているというのはなんと感動的でしょう。 終盤のSix Number の話は初見ではないけれど、実に不思議なお話だと思う。マルチユニバース論を信じたくなります。

    0
    投稿日: 2018.12.22
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    読後に高揚がのこる。 インフレーション理論がエピローグなのは実証がまだだだから。 王道中の王道といったテーマだがさすがにサイモン・シン。説明の見事さは言うまでもないも

    0
    投稿日: 2018.09.07
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    暗号解読、フェルマーの最終定理、代替医療と、これまで私の知的好奇心をくすぐりつづけてきた筆者による、宇宙創成に関する物語。 数々の専門家が、遥かなる宇宙に挑んできたその姿は、少々専門用語が理解できなくても、充分に堪能できる。 著者•サイモンシン、訳者•青木薫両氏も、遥かなる宇宙を巡る壮大な物語の登場人物として必須であると思えるほど、濃密な記載と丁寧な翻訳も、この本の魅力。

    0
    投稿日: 2018.07.15
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    最後まで読みきって良かったと思える作品。あとがきも読むといい。この作品の主人公は科学的方法であるというコメントは非常にしっくりきた。人は間違いを犯すということと、それを正すということがよくわかる。過去の天才でも間違いを犯していることがよくわかる。しかし、間違いを非難することは間違っていて、その間違いはその人なりの答えであるということである。非難すべきは答えを正すことができない、もしくは、答えを議論できない状況であるということがよく理解できた。

    0
    投稿日: 2018.06.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読了。 宇宙創成(下) / サイモン・シン やっぱサイモン・シンの作品は面白かった。 下巻はもっぱらビッグバン宇宙論にまつわる提唱者と反論者たちの戦い。観測と理論と検証の戦い。 ビッグバンモデルがおおよそ正しいとされたのは1992年とはつい最近なんすね。平成4年ですね。びっくりです。 最終的には人工衛星での観測ということのようなので、それを考えると最近って感じがしますね。 観測と検証には当時では時代が追いついてなかったわけですね。理論はあるがどうしてそうなるか検証ができない。 第四章は原子の話へ 宇宙は元からあった説の定常宇宙モデル VS 宇宙はビッグバンから始まった説のビッグバン宇宙モデル 戦いです。罵り合いです。批判合戦です。 第五章 電波天文学誕生。戦争による軍事用の電波受信装置からはじまったのは新しい技術は兵器開発からはじまるみたいな感じを地で行ってますね 人工衛星で宇宙から発せられる電波のゆらぎをキャッチして検証した結果、宇宙はビッグバンから始まったとする説で間違いないだろうということになったようです。 ということで 『この物語はビッグバンにまつわる宇宙天文学に携わった科学者達の話である。』 であるので宇宙の話を永遠と語るわけではなく”宇宙にとりつかれた人たち”のお話なので、そこまで難解ではなく読者を歴史の流れに導いてくれてますのでおすすめです。 たいへん面白かった。

    0
    投稿日: 2017.09.10
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    古代、人類が太陽や月の大きさ、そこまでの距離を計算で明らかにするところから、やがて現代のビッグバン理論につながるまでの知の歴史を綴った物語。 そこには理論の積み重ねだけでなく、偶然の生んだドラマ、科学者達の人間臭さ(ここが一番面白かったです)が詰まっていました。 “科学にとって言語”であるところの数式が全く無く、文系脳の私にも内容が頭に入ってくるのは驚きです。 夜、頭上に光る星を眺めながら、つらつらと思いを馳せたくなりました。

    0
    投稿日: 2017.06.29
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    文庫版訳者あとがきにある通り、この本の主人公は「科学的方法」なのだと思います。「宇宙はどうやって出来たのか」という問いに対する、何世紀もの間にわたる科学者の挑戦が描かれていてとても感銘を受けました。

    1
    投稿日: 2017.06.02
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     上下巻二冊を集約している下巻のエピローグには「宇宙の構造を詳しく調べていけばいくほど、宇宙は我々の登場をあらかじめ知っていたに違いないという証拠がみつかる」らしい、やはりこの世界はバーチャルリアリティー、仮想現実だった、なんてことが真実味を帯びてくる。これを恐怖ととらえるか、だからどうしたってとらえるかはあなた次第である。知識が増えると悩みが多くなるっていう理由はそこにある(笑

    0
    投稿日: 2017.04.29
  • 神はサイコロを転がすのか

    後半はビッグバンモデルと定常宇宙モデルの争い。科学者同士の争いは時に醜く同じ観測結果を見ても別の理論の信奉者は別の結論を導きだす。しかし上巻でビッグバンを否定したアインシュタインは下巻冒頭ではハッブルの赤方偏移のデーターを元にルメートルが正しかったとビッグバンモデルに転向した。「この項を持ち込んでからというもの、ずっとやましい気持ちでした。・・・私には、あんな醜いものが自然界に実現しているとは考えられません。」 ビッグバン仮説に対する定常宇宙論がどうやって赤方偏移、つまり遠くの宇宙は膨張し遠ざかる光を説明するのか?膨張すると空間にある物質は当然薄くなるが、もにょもにょっと新たな物質が生まれて薄まった分を埋めるので全体としては変わらないというのがそのモデルだ。エネルギー保存則は無視してしまうのね・・・E=MC^2なら物質が穴埋めした分エネルギーが減り冷えていくはずなんだが。 ビッグバンモデルへの攻撃はルメートルがカトリックの聖職者だったことにもある。ルメートル自身は科学と信仰は切り離していたが反宗教派はビッグバン仮説を創世記と結びつけて攻撃した。またこのころハッブルの観測から計算された宇宙の年齢は20億年と地球上の岩石の放射線測定から計算された34億年に満たないなどの矛盾もあった。 天文学で測定された宇宙にある部室の推定では存在比は水素1万に対し、ヘリウムが1千、酸素が2で炭素が1、その他は全て合わせて1未満である。ルメートルは原初の重い原子が次々と軽い分子に分解していくモデルを考えていたのだがそれではこの比率は説明できない。ロシアから亡命したガモフは逆に水素が核融合して重い原子を作るビッグバンモデルを考えこれで水素とヘリウムの比率は計算結果にあった。しかし炭素が作られるルートが見つからない。数学が不得手だったガモフは初期宇宙出の元素合成の問題に若いラルフ・アルファーを引き込む。ビッグバン初期のモデルを発表する際にガモフは仲の良かったハンス・ベーテを引き込むのだがこれはアルファー・ベーテ・ガモフとαβγをかけたシャレだった。このため若いアルファーは目だたなくなり後々悶着の種になる。ガモフのたちの悪いジョークはいろいろと騒動を引き起こしたがなかなかお茶目でもある。ののしり合いよりはよっぽどましだろう。この計算結果は大ニュースとなり1948年ワシントン・ポストは世界は5分で始まったと取り上げた。初期宇宙の元素合成は300秒でヘリウムを生み出した。 原初の宇宙は陽子や中性子、電子が好き勝手に飛び回っている。宇宙の温度が1兆度から百万度の間の頃陽子と中性子から重水素の原子核ができヘリウムの原子核ができた。とは言え電子はあいかわらず激しく飛び回り分子としては存在していない。いわゆるプラズマと言うもので詳しくは大槻教授に説明してもらいたいがもう少し温度が下がると電子と結びつき水素とヘリウムになる。原初の宇宙は光の海でもあったらしい。やはり「光あれ」か。光は電子と相互作用するため明るいが不透明な世界が30万年ほど続く。そして温度が3千度に冷えた頃、水素とヘリウムはプラズマから分子へと状態を変える。これが分子が誕生した瞬間だった。同時に光は分子とは干渉せず宇宙を真直ぐ進み始める。この時の光はあらゆる方向に進み、つまり地球からみればあらゆる方向からやって来ている。空間の膨張とともに今では波長1mmのマイクロ波があらゆる方角からやって来ておりこれが観測されるのは1960年代まで待つことになる。 宇宙に残されたもう一つの謎炭素原子以上の重い原子が出来ることを証明し、ビッグバンに残された最後の課題はビッグバンの宇宙は均一で重力の偏りがないため星が生まれそうにないことだった。膨張する宇宙に少しでもゆらぎがあれば重力差が生まれ星が生まれる。最後の観測はあらゆる方向からやってくる放射線にゆらぎがないかを見つけることだった。当初1989年に衛星を使って観測を行う予定であったがチャレンジャー号の打ち上げ失敗のため計画は暗礁に乗り上げた。何とかスターウォーズ計画の標的に使われるはずだったロケットを確保したが今度は衛星を軽くしないと打ち上げ出来ない。そして1989年1月18日ついに打ち上げは成功した。そして3年に及ぶ観測の結果わずか10万分の1のゆらぎが発見された。 1本の棒の影から始まった宇宙観測の歴史はこうして宇宙がどうやって出来たかを解き明かす所まで来ている。サイモン・シンはエピローグを一つの挿話で締めくくっている。 神は天地創造以前に何をしていたのか? 神は天地創造以前に、そう言う質問をするあなたのような人間のために、 地獄を作っておられたのだ。

    0
    投稿日: 2017.04.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    平成21年刊行。下巻は、宇宙の発展につきビッグバン理論と定常宇宙理論の論争、ビッグバン理論への収斂過程を描写。上巻ほどのインパクトを感じないのは、重力概念や時空相対化等のパラダイム変換がこの時期には少なかったから、つまり、新発見や新解釈が観測の精密・精緻化によるからだろう。が、内容がスリリングであるのは間違いない。将来課題として、宇宙の膨張・収縮モデルの妥当性や多次元宇宙論等があるだろうが、観測困難な素粒子物理学との関係から、パラダイム変換が大切となる可能性がある。その意味でも爾後の研究進展は興味が湧く。

    0
    投稿日: 2017.01.16
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    難解だったが、その分読みごたえはあった。最新の宇宙論(ビッグバン以前など)は書かれていなかったのが残念と思っていたら、訳者あとがきで、サイモン・シンはビッグバン宇宙論を通じて科学的方法を述べたかったとうことらしい。意図はどうであれ、宇宙論は常に興味をそそられるテーマだ。

    0
    投稿日: 2016.08.05
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    物心ついた頃、宇宙はビッグバンて始まり年齢は150億年、地球は50億年(精度は問題ではない)ということについて何ら疑うことなく受け入れていたので、ここに行き着くまでに物理学、天文学、また宗教までも巻き込んだ論争に発展していたことに不思議な感じがする。 時代が変わっても真理を追求し続ける科学者の姿勢は感動ものである。それ故に、戦争で研究が途絶えたり、遅れたりすることは残念であり人類にとって大きな損失である。また、科学に限らずパラダイムシフトに必要なのは世代交代であるということを改めて認識した。 カールセーガンの「コスモス」と同様、不思議さに対する好奇心を呼び起こしてくれる良書である。 次は「フェルマーの最終定理」を読んでみたい。 宇宙とは関係ないがバイアグラのくだりは面白かった。

    1
    投稿日: 2016.07.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    フェルマーの最終定理同様、読者が自然と引き込まれるような構成になっている。電車の中で読んだが、2時間くらいあっという間に経ってしまった。サイエンス系の本だと、読んでいても何が書いてあるか分からず、飽きてしまうケースが少なくないのだが、サイモン・シンはそのあたりが本当に上手だ。難しい数式なども出てこないので、予備知識がほとんどない状態でも読み進めることができる。宇宙論は数学や物理学を用いて詳細に説明しようとすればいくらでもできると思うのだが、読み物として読まれることを意識しているのだろう。それでいて、分かりやすく宇宙に関する歴史の概略を理解することが出来る。面白い。

    0
    投稿日: 2016.04.26
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    宇宙論は好きで、関連書を数冊読んだが、わかりやすさ、ワクワク感を含めた娯楽性の高さを考えると、最良の本。この分野に興味を持った人は、真っ先に手に取る本だろう。 本書は天動説から地動説への大転換に至るまでの長い史実の記述から始まる。そして地動説が決定的になった20世紀、科学者たちは宇宙の大問題に取り組むことになる。すなわち、「宇宙は過去のある時点で創造されたのか?」あるいは「永遠の過去から存在していたのか?」という大問題である。そして、ビッグバンモデルが考え出された以降も、科学者たちの大半は宇宙の始まりをビッグバンに求めず、静的で永遠な宇宙(定常宇宙モデル)を信じていた。 本書は、(出版された時点での)最有力の理論、すなわち宇宙は137億年に誕生し、30万年後に現れたゆがみから銀河が誕生したという説に至るまでをスリリングに描く。宇宙論の本では「僕らは星のかけら」が一番面白かったが、本書はそれ以上の面白さ。 特にややっこしいビッグバンモデルと定常宇宙モデルの論点を表にして、一つずつ潰してゆくという展開は、リンカーン・ライムシリーズのサスペンス小説並のワクワク感がある。 宇宙論の中で、我々一般人がピンと来ないのは重力と光の関係と思うが、本書は必要最小限な事項を優しく解説してくれている。したがい、宇宙論の本を初めて読む人もストレスなしに読破できるはずだ。 ただし、本書のオリジナルが出版されたのは2004年。したがい、ヒッグス粒子や重力波の話は、直接には出てこない。しかし、それについては、他の本を読めばいい。 とにかく、本当に本当に面白い本。星6つでも足りない。

    0
    投稿日: 2016.04.24
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    非常に面白い。ビックバンを題材に科学とは何かを考えるための良い題材となる。 理論のモデルと実験での検証の両輪が如何に我々の世界観を塗り替えていくかを体感できる。

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    投稿日: 2016.04.23
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    下巻では本書の白眉とも言える「宇宙ビッグバン説」が、いかに反対の理論との科学的論争の中で正しいと認められるに至ったかが、様々な科学者たちの生々しい姿ともにスリリングに描かれていく。そして読者はビッグバン説を理解するにあたって、前提として必要となる原子物理学、電波天文学の基礎的な知識についても自然と得ることができる。 宇宙という深遠な世界について、その誕生の謎を解くために様々な分野の科学者たちが仮説的な理論構築と観測による検証を繰り返す様は大変生々しく、ドラマとしても素晴らしく面白い。なおかつ、科学的な思考プロセス(これはそのまま論理的な思考プロセスと置き換えても良い)を学べる点で、やはり稀有な一冊。何を読んでもサイモン・シンの作品に外れはなく、一級の知的興奮を与えてくれる。こんな作家はそうそういない。

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    投稿日: 2016.02.27
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    この写真は昔母が助産婦をしていた時に使った秤です。 キログラムと同時に匁(もんめ)の目盛りまであります。 これで生まれてきたばかりの赤ちゃんの体重をはかったのです。 「2015グラム、ちょっと小さいけど2015年だからちょうどいいわね~」 ってな具合にー さて、今回は重さについての与太話をお聞きください。 ご安心ください、あなたの体重の話は出てまいりません(笑) 元ネタはサイモン・シン「宇宙創成」という本です。 で、重さということで、ニュートンさんの話からしましょう。 「リンゴの木からリンゴが落ちるのを見て万有引力を思いついた」 という噂が出るほど彼の業績については後世に多大な影響を及ぼしました。 その万有引力の法則ですが、 「2つの物体に間に働く力は、それぞれの質量が大きほど強くなり、 物体間の距離の2乗に反比例する」 つまり、リンゴが落ちるのは、リンゴと地球が重力を介して引っ張り合うから。 しかし、リンゴの動きは確認できるが、地球の動きがわからないのは、 リンゴに対して地球の質量は圧倒的に大きいためなのだそうです。 彼の方程式を使えば地球が太陽の周りを回る仕組みも説明できるそうです。 でも、ここでマッタ!と声をかけたのが、あのアインシュタインです。 そう、私たちに難解な、あの「一般相対性理論」で反論を唱えたのです。 彼は、重力の微弱な地球では万有引力の法則で充分説明できるが、 巨大な重力をもつ宇宙では説明出来ないと考えたのです。 その説明として、光は重力によって曲げられ、 時間と空間も重力によって伸縮するという、 まさに異次元の世界を描き出したのです。 信じられますぅ????? このお話、この本を何度読んでもよく理解できないので 軽くスルーさせてください(⌒-⌒;) でも、わかったことは、こうした科学の法則というのは、 それぞれその理論にはそれに合ったあった条件があるということです。 ニュートンの万有引力の法則はジェットコースターの設計や 昔で言う大陸間弾道弾(ミサイル)の弾道まで充分に適応されているとのこと。 つまり地球上という条件のもとでは今だに立派に通用するということなのです。 それが大宇宙という条件下では説明できないそうです。 アインシュタインが相対性理論を発表してから今年で100年。 でも、彼の理論だけで説明できない現象は山ほどあります。 例えば、宇宙を占める全元素の重量の割合は 実に水素とヘリウムが99.9%を占めているのだそうです。 では何故、水素がこの様に大きな割合を占めるのか? そもそも水素はどうして出来たのか? これらの答はまだ出ていないそうです。 アインシュタインはこう言いました、 「自然は、私たちがライオンにくっついている一匹のシラミのようにしか、 ライオンを見ることはできないのです」 所で、昔のことわざに、「立って半畳寝て一畳」という言葉があります。 一人の人間の行動範囲はたかが知れています。 宇宙から見れば、私たちの極小な世界は本当に限られた条件での空間なのです。 この数知れない宇宙の星の中で、水と緑と燦々ふりそそぐ陽の光の中で、 日々の生活をいとなんでいるわれわれ人類は、 このような恵まれた条件の中でこそかなえられるものではないでしょうか。 こうした条件はある意味、稀有なこと、奇跡ではないでしょうか。 戦前助産婦をしていた母は元気な産声をあげるみどりごを取り上げてきました。 彼女は奇跡の中の奇跡に立ち会ってきたのだと思います。 あのカール・セーガンが 「まったくゼロからアップルパイを作りたければ、まず宇宙を作らなければならない」 と言ったのはまさにこうした意味ではないでしょうか? 私たちは奇跡の一瞬に生きているのだと思います。 「人生には、二つの道しかない。一つは、 奇跡などまったく存在しないかのように生きること。 もう一つは、すべてが奇跡であるかのように生きることだ。」 (アインシュタイン) ※この文は私のブログからひっぱてきたものです。 http://freude21.blog109.fc2.com/blog-category-6.html

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    投稿日: 2015.11.23
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    ついに完読。読み切ったという達成感のみ。ガモフ・アルファー・ハーマンのビッグバンモデル、ホイル・ゴールド・ボンディの定常宇宙モデル、パラダイムシフト、ペンジアス・ウィルソン、CMB放射、COBE衛星の観測。

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    投稿日: 2015.10.03
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    宇宙が膨張しているというビッグバン理論が、全ての星々が遠ざかっているというハッブルの観測結果により、アインシュタインが間違いを認めるほど優勢になった。だが、証明が完了したわけではない。「宇宙の大きさが一定でも、速度が早い星々だけが遠方まで到達可能なはず」「遠くまで到達した光はエネルギーが失われるため、赤いほうにずれる」といった無理筋なものから「観測結果の年代測定では、宇宙の方が星よりも若くなってしまう」「ビッグバン理論で元素分布を証明できるか?」といった当然の疑問まで、多くの批判検証にさらされることとなる。 天動説がそうであったように、今から思えば明らかに間違いであったと思われるような理論であっても、その時代に可能であった観測範囲においては、現象を説明するのに適していた。その多くが覆されてきたのは、観測の技術の進歩とともに、新たな科学の分野の登場があったからこそだ。 ラザフォードが原子構造から核融合を導き出し、星の誕生プロセスの解明から元素分布の謎が解き明かされ、宇宙の年齢は新たな多数の観測結果により訂正され、二次大戦における電波技術の発達の結果、電波天文学が誕生し、遠方のみに存在する若い電波銀河やクエーサーからの電波が観測され、ついては宇宙誕生の証ともいえる、宇宙背景放射が観測された。 かくして宇宙創生の物語は、神話と宗教の領域から科学へと至った。だが、そこで明らかになったのは、ビッグバンにより時間と空間が誕生したということだった。では、時間と空間が存在しない領域とは一体なんであるというのか。ベビーユニバース、パラレルユニバース、マルチバース。未だ創造の域を出ない領域であり、その端緒を現実世界で掴むことは論理的に不可能といったことすらあり得るだろう。だが、現時点においては、やるべきことは失われてはいない。宇宙の膨張を加速する暗黒エネルギー、銀河の星々の離散を押しとどめる暗黒物質。力の統一理論、ボース粒子、ヒッグス粒子、冥王星探査機。科学技術の進歩の限界は、論理的に証明されていない。

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    投稿日: 2015.09.23
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    下巻は、ビッグバンの裏づけのための話と対案となった定常宇宙モデルの論争をポイントに話が進み、ビッグバンが現時点の結論として確からしいというところで話のピークをもってきている。エピローグとしては、ビッグバン直後のインフレーション理論や宇宙の構造等にも触れているが、その証明については、将来ということになる。 概要としては、元素の話から始まり、ガモフ、アルファー、ハーマンらの原子物理学により、初期宇宙は、陽子、中性子、電子からなる高密度のスープだったと考え、宇宙創造の瞬間から30万年後に光が自由に進めるようになり、その光のこだまは今も検出できるはずと予測された。  フレッド・ホイルらは、宇宙はある一点から開始したのではなく、永遠の過去から存在し、膨張はするが、希薄化した宇宙には新たな物質が補充されるという定常宇宙モデルを提示する。 1960年代に光のこだまが発見されたものの詳細なデータを取れるようになったのは、1992年に衛星を使っての観測から。そして、これがビックバンの証拠として認知され、定常宇宙モデルよりビッグバンが正しいという証明となった。 ビッグバン論争に一応の終止符が打たれたあと、宇宙が平坦に見えるのはなぜか?という疑問からインフレーション理論が出てきたり、銀河内部の星の重さが与える重力の研究から、なんか足りないねということで、暗黒物質の存在が認識されてたり、暗黒エネルギーとか。。 ”2001年に亡くなったフレッド・ホイルは、準定常宇宙モデルは正しく、ビックバンモデルは間違っているという固い信念を墓場まで持っていったが、彼は自伝の中でこう述べた。「多くのビックバン支持者がやっているように、自分たちは正しい理論に到達したのだと主張することは、ほとんど傲慢に等しい行いであろう。もしも私自身が過去においてそうした傲慢の罠に陥ったとすれば、ひとときの思い上がりの後には必ず罰が下されたに違いない」こういう健全な反抗の精神は、本来的に科学がもっているはずのものであり、ゆめゆめ否定的に捉えてはならない。” この書籍全般を通じて、宇宙についての論理と観測の両面からの追求が紹介されてきた。多くの研究者たちが、命をかけて、探求してきたものを感じることができた。 ビッグバンの名付け親にして、その対案の支持者であったフレッド・ホイルの自伝の引用では、これまでの宇宙探求の歴史をそのまま言い当てているようで、現在の観測データからビッグバンが正しいとは言えるが、遠い将来、別の観測結果が出てきたら、それもひっくり返ることを示していて興味深かった。 宇宙物理学が観測上の限界に達したことが、ウォール街そしてSNS企業への人材流出とつながってたりするのか?とか思ってみたり。

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    投稿日: 2015.08.05
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    上巻ほどの勢いは無かったけど、上下巻通じて大変に読み応えのあるサイエンスノンフィクションでした。自分が生きている間に、どこまで人類は真理を突き詰められるのだろうかと、その先を知ることができない寂しさを感じる読後感。 ■メモ Ⅳ:宇宙論の群雄割拠 ①ビッグバン宇宙VS静的で永遠な宇宙  ・惑星の年齢よりも宇宙の年齢が若くなってしまう矛盾  ・原子物理学にその論証のバトンが渡された。軽い元素が重い元素よりはるかに多い理由を説明できるか?  ・ラザフォードは核融合を解き明かし、太陽の輝きが核融合によるものであることを示した  ・1940年台、ガモフ、アルファー、ハーマンらは初期宇宙を電子、中性子、陽子からなる高密度のスープと考えた  ・ビッグバン直後の高温度の中で核融合が進む→軽い元素についてはこれで説明ができたが、思い元素については説明がつかないまま  ・宇宙創造の約30万年後から光が自由に進めるように成った、その時の光のこだま(宇宙マイクロ波背景放射)は今も観測できるはず  ・同じ頃ホイル、ゴールド、ボンディが定常宇宙論を展開 Ⅴ:パラダイムシフト ①矛盾の解消  ・バーデ、サンディッジが銀河までの距離を修正し、宇宙の年齢が正された  ・ホイルが重い元素の創生を解明、死にゆく星の中で生まれていた  ・その後電波天文学により銀河の分布が明らかに、定常宇宙論との矛盾が起きた  ・セレンディピティによりCMB放射を偶然発見→論争はビッグバン中心に  ・1992年、COBE衛生によりCMB放射のゆらぎを観測、ビッグバンの証拠が発見された

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    投稿日: 2015.06.27
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    下巻はビッグバン宇宙論が定説となるまでの歴史を一通り。宇宙背景放射とかその辺が証拠になって今に至る、と。今まで読んだ3つのサイモンシンの中では一番、一般向け科学史って感じの内容だった。非常に面白かったのだけれど、ブラックホールとかダークマター的な粒子の話とかまではいかなかった。今日新聞でたまたまニュートラリノ?とかいう知らない粒子の話を読んだのだけれど、CERNで実験して探す予定らしい。ダークマターの候補らしく、本著の後も宇宙、素粒子物理は日々進化しているようだ。エーテルとヒッグス粒子の違いも分からない自分には、もうお話としてもついていけなくなりつつある…

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    投稿日: 2015.06.11
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    宇宙論の面白さというのは未知の塊である事だと思う。 青木氏もあとがきで書かれているが、その未知に対して人類が科学的方法によって一歩一歩前進していく過程が本書に描かれている。 その仮説、検証、考察の繰り返しの過程は宇宙のみならず未知に対する取り組みとして普段の生活における教訓ともいえる。 毎回思う事だが改めてサイモンシン氏の知識、取材力、表現力と青木氏の意訳の上手さに感服した。

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    投稿日: 2015.06.06
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    下巻はほぼビックバン宇宙論が確定するまでの、観測と物理と理論を軸とした人間模様。理論が観測によって打ち破られたり、補強されながら、共通の認識とされていく歴史は中なかスペクタクル。歴史モノとして読んでも十二分に面白いんじゃなかろうか。

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    投稿日: 2015.03.31
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    http://hinbeee.blog31.fc2.com/blog-entry-1746.html

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    投稿日: 2014.11.06
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    宇宙の成り立ち、ビックバンの考え方はどのように生まれて、証明されたのか、分かりやすく説明されている本だった。宇宙史に名を連ねる人たちそれぞれにドラマがあり、正当に評価された人、されなかった人、たくさんの人間ドラマを見ることができた。サイモン・シンの本は専門的な知識がなくても読めるのでとても面白い。

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    投稿日: 2014.04.09
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    ちょうどこれを読んでいる頃に、TVから録画しておいたウォルター・ルーウィン教授の物理を扱った、MIT白熱教室 特別講義を見終わった。 その最後は、 「この講義で君達は、白色矮星と中性子星のスライドを見た。だから最後にはブラックホールも見たいと思うのは当然のことだ。しかし、ブラックホールからは何も抜け出すことはできないから、写真で撮ることもできない。そこで今回は、白鳥座X-1のドナー星を見せるとしよう。でも、君たちは帰ったら家族や友達にこう言えるだろう。 ある写真を見せてもらった。その隣には、見えないけれど、ブラックホールがあった。 これが知識の素晴らしさだ。例え見えなくても、その存在を知ることができる。」 見ることができない発見された知識の歴史。 ・読者は、空間のあらゆる部分が膨張し、銀河はその空間内で静止しているというなら、銀河それ自体も膨張しているのではないかと思われるかもしれない。理論上はそれもひとつの可能性なのだが、実際には、銀河の内部には強い重力が存在するため、銀河の膨張は微々たるものでしかない。 …ウッディ・アレンの映画『アニー・ホール』の冒頭近くにある回想シーンで、シンガー夫人は、なにやらふさぎ込んでいる息子のアルヴィーを精神科医に連れて行く。少年は医者に向かって、宇宙は膨張していると本で読んだが、膨れ上がって破裂したらすべてはおしまいだと話す。すると母親が口を挟んでこう言った。 「宇宙がなんだっていうの?あなたはブルックリンにいるのよ!ブルックリンは膨張してないの!」 シンガー夫人はまったく正しかったのだ。 ・科学で耳にするもっとも胸躍る言葉、新発見の先触れとなるその言葉は、「ヘウレーカ(分ったぞ!)」ではなく「へんだぞ…」だ。―アイザック・アシモフ ・われわれが生きるために、十億、百億、それどころか千億の星が死んでいる。われわれの血の中のカルシウム、呼吸をするたびに肺に満ちる酸素―すべては地球が生まれるずっと前に死んだ星たちの炉で作られたものなのだ。―マーカス・チャウン (星は核融合する際に様々な元素を作り、超新星爆発でそれを宇宙にばらまく。太陽は第三世代の星と推測されている。) ・アレグザンダー・フレミングがペニシリンを発見したのは、窓から飛び込んできた一片の青カビがシャーレに落ちて、培養していた細菌を殺したことに気がついたからだった。それまでにも大勢の細菌学者が、培養していた細菌を青カビに汚染されたことだろう。だが彼らはみな、何百万人もの命を救うことになる抗生物質を発見する代わりに、がっかりしながらシャーレの中身を捨てていたのだ。ウィンストン・チャーチルはかつてこう述べた。「人はときに真理に蹴躓いて転ぶが、ほとんどの者はただ立ち上がり、何もなかったようにさっさと歩き去る。」

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    投稿日: 2014.03.23
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    CMB放射のゆらぎあたりが理解できなかった。ものすごく噛み砕いて書いてくれてるので申し訳ない気がした。 終盤で今だ解けぬ謎、として書かれていた暗黒物質がロマンチックすぎる。この謎はそう遠くない日に解明されるのかもしれない。今も叡智のリレーは続いてるのだなぁ。事実を知れば知るほど新たな謎を発見する、という人類の果てしない冒険は、まさに膨張し続ける宇宙と同じところに帰結するんじゃないかしらと思った。

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    投稿日: 2014.02.13
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    夜空に輝く星たちを美しいとは思いませんか?思わない?それなら君とは話をしない。那由多の彼方から届いた光、それは古代の人々に夢を抱かせ、近代の科学者には宇宙の起源への手掛かりとなった。天文学者達の地道な観測の歴史、それが現代の物理学理論と合流して100億年前の世界を明らかにする。翻訳者の「科学的方法の特徴は、人間は間違いを犯すということが、あらかじめ組み込まれている事だ」という言葉はビッグバン理論が誠実さの結晶である事を証明している。夜空に輝く星たちの、理由を解き明かそうとする事は美しいとは思いませんか?

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    投稿日: 2013.10.22
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    サイモン・シン、3冊目。ビック・バンモデルの検証過程を追いながら、科学的手法というものを感じることができる良書。あくまで、感じる…。原子物理学あたりは、どうしてもポカーンとしてしまった。でも、それにも耐えて読み進めることができたのは、科学や、科学的であることに対する、ワクワク感と興奮。♪ららら〜科学の子〜 科学者とは、正しい答えを与える者ではなく、正しい問いを発する者である。(クロード・レヴィ=ストロース/フランスの人類学者)

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    投稿日: 2013.10.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

     化学などの科学と違い、観測することでしかデータや証拠を集められない天文学。観測機具などの精密さがなかった古代では、現代では誤りとされている説もまかり通っていた。そんな時代であっても、自分の観測に基づいて新しい説を打ち出していく古代の天才天文学者はとってもすごいと感じた。また、自分の説を証明するために絶え間のない緻密な観察をしていく様子もすごかった。  イマヌエル・カントも天文学における重要となってくる説を唱え始めた人物であったというのが、上巻では一番驚いた。天文学者は誰にでもなれるからこそ、ロマンにあふれている学問となっている一因なのであろう。  そして、20世紀の大発見と言える「ビッグバン理論」について。科学に全然明るくなかったので、ビッグバン理論は一人の人ないし数人の人が理論立て証明した理論だと思っていた。しかし、現実にはそうではなく理論の提唱から1世紀近くも証明に要した大理論でありびっくりした。しかも、ビッグバン理論を決めつけたのが最近であることにもびっくりした。宇宙マイクロ波背景放射といった解説されてもイマイチびんとこないものもあったが、興味深く読めた。  最初に読んだ時は、「光」についても良くわからなかったが、最後まで読んでみて、なんとなく、わかった気がした。これが科学の勉強法なのであり、発展していく過程。のようにかんじた。

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    投稿日: 2013.09.13
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    下巻も興味深し。ビックバンと定常宇宙の正当性争いを通して、まさに科学的方法とはなにか、を著者は説きたかったのだと思う。

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    投稿日: 2013.06.13
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    フェルマーの定理が証明されるに至る経過を非常にうまくストーリーに乗せた著作をよみ、サイモン・シンと科学本のファンになった。 それゆえに、この本を読むことになるのは必然ではあったが、フェルマーの定理ほどの感動はなかった。 やはりゴールが明確でないからか。

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    投稿日: 2013.05.17
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     僕は根っからの文系人間なので、数学やら物理やらの世界は理解できない。でも理解できないこうした理系の世界を、わかりやすく説明しながら、その背景にある人物像や歴史に触れつつ物語を運んでいく著者のS・シンが大好きです。著者の処女作『フェルマーの最終定理』を読んで一気にファンになりました。  数学に興味が無くても「無限」、「虚数」やら「円周率」とかの深遠さを誰にでも理解できる処女作は素晴らしい作品でした。『フェルマー』はその定理の単純さも手伝って、数学の魅力に引き込まれる題材であるという点もありますが、その点を差し引いても必読の本だと思ってます。  次作の『暗号解読』が出版されたとき「はぁ、暗号?」って思いました。なぜ暗号が数学に関係しているのかが、わからなかったのです。でも、暗号というのものに興味があったので、読み始めたらこれがまた面白くて一気に読んでしまいました。「暗号って数学と関係があるんだ!」と滅茶苦茶感動してしまいました。そして、その暗号の技術がPC(ネット)にも大きく関係しているという物語の収束感もたまらない作品でした。『フェルマー』と『暗号』は甲乙つけがたい、どちらとも文句なしの★★★★★です。    というわけでS・シンの最新作が文庫本になった時、「宇宙か。こりゃまた面白そうだ」と思い発売日に購入し、早速読み始めました。ところが読んでるうちに「う~ん…」となって、1章を読んで止めてしまったのです。何か理解しずらく、その歴史もあまり興味を惹かなかったのです。  理系の本というのは、こういうリスクがあると思います。読者が理解できない数式、公式や定理を並べても全く面白くない。それらの公式・定理等がどういう意味合いをもっているのか、加えて、それら公式・定理等を分かりやすく説明しなければ、(少なくとも僕のような文系人間のような)読者は読み続けることが難しいと感じるというリスクです。  3年ほど本棚にあった、途中で読むのを止めたこの本を手に取り「せっかく買ったし、読むか」と気合を入れて読みなおしました。そうして読んでみると、上巻の終盤に出てくるアインシュタインの(特殊・一般)相対性理論の件にとても惹き込まれました。  それでも下巻の中頃からまた「う~ん…」となってしまい、興味を失っていきました。  いつもとおり、S・シンの筆致は冴えているとは思いますが、扱うテーマが深遠すぎて著者も扱いに困ったのではないかなと感じるのです。それでも有名・無名な人物が宇宙の秘密に迫ったというのは、よく理解できました。そして宇宙というのはあまりにもスケールが大き過ぎて、一般人には理解し難い世界だということもわかりました。  S・シンの次作は医療がテーマだと聞いています。数学がどうからむのかよくわかりませんが、ただこういう理系の事柄をテーマに書かせたら天下一品であることは間違いないと思います。ハヤカワ文庫から数学をテーマにした一連の文庫本が出版されていますが、世間の「理系を知りたい」という風潮をも反映しているのかもしれませんね。世の中が数学で出来ているのならば、少しでもその世界に触れてみたいという欲求は当然だし、そういう欲求を満たす本に数多く触れたいと思います。そしてその筆頭はこのS・シンであることは間違いないと思います。  

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    投稿日: 2013.03.10
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    やっぱり科学史は面白い。 物理学は昔から戦争と大きな関わりを持っていた。一方で宇宙の成り立ちを探るという人類のアイデンティティに関わる研究にもつながっていた。 また、地動説から天動説、ニュートン物理学から相対性理論へと、それは宗教なども巻き込みながら価値観の転換を経てきた。 その歴史や、幸運や不運に一喜一憂する物理学者の横顔を知ると、物理をもっと勉強しときゃ良かったなぁと思う。

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    投稿日: 2013.01.13
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    有名無名にかかわらず天文学者、物理学者、科学者らの研究がからみ 一進一退しながら掴まれる宇宙の様子に息を飲む。 理数系の話はどうにも苦手なんですが、サイモン・シンの著作は 人間ドラマを絡めてあるので、なんとなくわかるし面白いです。

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    投稿日: 2013.01.08
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    こんなエキサイティングな本が存在するなんて…! 図書館でひとり悶えながら読みました。 かつて、夜空の美しさに立ち尽くしたことのある人、宇宙の果てしなさに自分が吸い込まれそうになったことのある人、そしてなにより科学が好きな人には、本書を猛プッシュします。 古代の宇宙観に始まり、ギリシャ時代の「地球は球体」の発見、天動説vs.地動説、そして宇宙は無限・永遠とする定常宇宙説vs.始まりのあるビッグ・バン説、という天文学の歴史を軸に据え、それに影響を及ぼした物理化学分野についても触れています。 自然科学発展の歴史だけでなく、その研究者の人となりやエピソードも楽しみながら学ぶことができました。 著者サイモン・シン氏は「ふつうの人」に本書のターゲットを絞っています。なので、難しい数式はほとんどなく、出てきても無視できる程度です。 私の知識は理系高校生レベル(化学×3年間、生物×2、物理×1履修)ですが、著者の狙い通りすんなり読めました。難しかったのは、上巻Ⅱ章の相対性理論と、下巻Ⅳ章の原子核の構造(陽子、中性子、電子)や核分裂・核融合のところくらいです。ガチガチ文系の人でも、時間はかかるとは思いますが、理解できる内容です。 発行順序からすると逆ですが、次はさっそく「フェルマーの最終定理」に挑戦しようと思います。

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    投稿日: 2012.12.18
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    ビックバン・モデルは正しいという事が証明されるまで多くの人が関わってきた事が良く分かった。もう一つの宇宙論、定常宇宙モデルを支持する科学者達との感情的な言い争いは正しいと信じる気持ちがそれぞれ如何に強いかの証でもあったと思う。予測されていたCMB放射の発見は読んでるだけでも興奮した。さらにCMB放射に微小なゆらぎがある事を発見しようとする執念は凄いし、この発見により銀河の形成までも突き止められた事には只々、感心するばかりだ。

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    投稿日: 2012.12.18
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    とても面白い本。宇宙がどのように出来上がっているかを解き明かそうとしてきた人間の営みをわかりやすく語ってくれる。単に科学的発見のことだけではなく、科学者たちの人間臭い部分を含めて物語っているのが面白い理由だと思う。

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    投稿日: 2012.11.23
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    前2作同様、人間ドラマを織り込んで宇宙論の歴史を面白く説明してるので読みやすくて良い。フレッド・ホイルとジョージ・ガモフが好きだった。

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    投稿日: 2012.11.05
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    宇宙創成の謎に迫る天文学者たちを描いた科学ノンフィクション。 天文学には、物理学や化学ではあまりないパラダイム・シフトが起こりうる。ハッブルの観測からルメートルが仮説を提唱し、ガモフらが補完・検証し、ホイルらが反証し、ペンジアスらが立証する。科学とはなんとダイナミズムに富んでいるのだろう。光の彩度や輝度から元素のスープを観測するなど、人間の英知には驚かされるばかりである。 天動説がそうであったように、数十年後には「昔はビックバンっていう説があってさ」なんてやりとりをしているかもしれない。こういう人間ドラマこそ学校で教えるべきだろう。 若干時系列の交錯や不要なエピソードがあり科学初心者の私は混乱してしまったので1点マイナスしているが、内容は素晴らしく難解な理論も可能な限り分かりやすく最後まで興味深く読むことが出来た。

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    投稿日: 2012.11.04
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    古代より人々は宇宙に馳せる飽く無き探求心があった。本作品はビックバン理論が確立するまでの壮大なる宇宙の謎に取り組んだ科学者たち3000年の格闘を描いたドキュメンタリー。 本作品の特徴は語り尽くされた感のある話の裏側に潜む失敗の数々と、対抗する勢力に対する科学者のエゴを赤裸々に表綴っている。理論と実践に命懸けで向き合ったからこそか。因みに科学者に共通のポリシーはシンプルの方が正しい場合が多い。なるほどね。勿論まだまだ未解決の問題も数多く残されています。悠久の時を想い酒を片手に思考実験。秋の夜長にピッタリかも。

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    投稿日: 2012.10.06
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    何が素晴らしいって、 それはもうとてもわかり易い点、それに尽きる。 もちろん世の中には特殊相対性理論を始め物理理論や宇宙の成り立ちを 分り易く解説した本はたくさんあるが、 そういうのを読んだ上でもまだ面白い。 理論の解説というより メインは現在のビッグバン理論が構築されるまでの歴史なので、 一つ一つの理論解説はくどくはなくストーリー性もあるため、 理論そのものにはあまり興味がない人も面白く読めるのではないだろうか。 くどくない、んだけど、 ちゃんと理解できるというところが素晴らしい。 この人かなり頭いいんだろうな。 って思わせる。 まあ文章がうまいです。 つかそれは訳者の力量も大きいわけだが。 青木薫氏は注目していいかも。 最後パラレルユニバースに言及していないのは残念だった。 そこが今私が一番理解したいところなので (やはりなんだかんだ言ってビッグバンまでは結構見聞きしているということだ)。 語るにはまだ時代が浅いのかな。 『ファルマーの最終定理』を読むのはもちろん、 日本語訳はまだだが今既に新作が出ているらしいので、 とても楽しみ。

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    投稿日: 2012.09.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    宇宙を題材にしているが、それとともに、科学の発展におけるhappenstance や、(健全な)批判的思考の重要性を鮮やかに描き出している。 ぜひまた読み返したい。

    0
    投稿日: 2012.07.16
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    サイモン・シンの宇宙創成の下巻。 「ビッグバンモデル」と「定常宇宙モデル」の論争が続くが、観測の技術が上がるにつれて、証拠が見つかり、決着に向かっていく。 両者を裏付ける証拠も見つかるが、多くはビッグバンモデルを裏付ける証拠で、いまはビッグバンモデルが優勢だ。 しかし、この宇宙は、6つのパラメーターが奇跡的に調整されて、構成されているという。そこから、「多元宇宙論」(マルチバース)というアイデアも生まれている。つまり、様々な条件の宇宙が生み出されていく中で、条件がそろった宇宙が生き残り、その1つが我々が住む宇宙であるという考えだ。 また、定常宇宙モデルが進化した「準定常宇宙モデル」もある。これはウィクラマシンゲ教授などが考えたモデルだ。 この宇宙の中に、地球が生まれ、その地球に生命が誕生した。この生命は、誕生するようにプログラミングされていたように思える。 そこから類推すると、宇宙の発生も世の中にすでに組み込まれていたことのように思えるが、真実は分からない。 宇宙の起源はおそらく、私たちの常識を超えた世界だろうから。

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    投稿日: 2012.06.19
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    実は昔、宇宙が大好きで、宇宙飛行士になりたかった、という人は多いのではなかろうか。 そんな人達が大人になり、そういえば『学研の科学』で読んで以来、宇宙の研究はどうなっているんだろう?と思ったら、是非おすすめしたい本である。 所々難しくて、意識が飛びそうになる箇所はあった(汗)が、相対性理論なんてものがイメージ図一つでわかった気になれるなんて、予想もしていなかった!子供の頃伝記で親しんだキューリー夫人も登場して、懐かしくて嬉しかった。 宇宙、ということを抜きにしても、科学とはトライ&エラーの連続であり、想像し、理論を構築し、実験で証明する、という一連の営みによって積み上げられてきたものなのだ、ということが実感できた。 今後の宇宙論もアップデートしていけたらいいな、と思うが、自分の頭では多分無理だろうな。。。

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    投稿日: 2012.06.10
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    サイモン・シン「宇宙創世〈下〉」を読了。今月23冊目。 上巻に続いての下巻。カバー範囲は主に宇宙論について。いわゆる宇宙モデル・・・、宇宙はどういう構造になっているかっていうお話。 今となっては、ビッグバン・モデルが一般の人でも知っている、常識的なモデルになっているけれども、それがそういう立場を獲得するには、それなりの長い歴史があって、多くの科学者の仕事の積み重ねの上に成立しているわけで。 (結構、意外なのが1980年のアンケートで科学者の中でのビックバンモデル支持の比率が69%というデータ。定常宇宙論が2%で、後は保留。意外と少ない。) 素人からすると、ビッグバンがあったなんて証拠をどうやって見つけるんだろうという疑問があるんだけど、それらを一つずつ丁寧に論理の積み重ねで解説されているので、「ビッグバン」という言葉くらいは知っているよっていう人ほど、楽しめる本だと思う。 2004年に執筆された本で、普段からニュートンとか読み込んでいる人には、最新理論にまで踏み込んでいないのが不満かもしれないけど(宇宙背景放射の観測まで書かれている)、この本の本質は、訳者あとがきにもあるように「科学的方法」という部分と、ヒューマンドラマにある。特に「ビッグバン」という名付け親がライバル理論の推進者だったなんて最高じゃないか。 さて素敵なフレーズから引用。 ”ロマンチストは、自分は星くずでできているのだという考えが気に入るだろう。冷笑家は、自分は核廃棄物だと考えるほうを好むかもしれない。”

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    投稿日: 2012.05.24
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    宇宙と言う大きなテーマを取り扱いながらも物理に全く縁のない文系人間の自分が読んでもすんなり読めるあたりは、流石にサイモンシンと言うべきか。 宇宙そのものを天才達がそれぞれの知性を駆使して紐解いていく様は読んでいて引き込まれる。 おりしも2012年は宇宙が熱い年ですからもし宇宙に興味があるなら必読の一冊です。

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    投稿日: 2012.04.19
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    天才ではあるが決して超人ではない生身の科学者たちの群像- 人類の英知への道のり-ビッグバンを縦糸にその科学史を誰にもわかりやすく解き明かしてくれる。 高校生の年頃に是非読ませたい本。

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    投稿日: 2012.03.02
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    ベル研の大らかさに惹かれます。 やはり、基礎研究を重視しているところは、考え方が立派ですね。 うちの会社も少しは見習って欲しいものです。 最後は量子力学との絡みも出てきて、物理学の繋がり方が綺麗でした。

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    投稿日: 2012.02.08
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    傑作!教育とは無味乾燥な知識を詰め込む前に物語を語るべきだと感じた本。高校時代に読みたかった本。読んでいたら人生が変わっていたかも知れない本。あれだけ嫌いだった物理や化学や地学の授業をもう一度受けたくなった本。今の自分にできることは夜空を見上げることだけか・・(ノ_-。)

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    投稿日: 2012.02.06
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    宇宙定常モデルVSビッグバン•モデル。 こんなに激しい論争があったとは知らなかった。こんなにドラマチックなことが全て本当のことだなんて!今自分がここに在ることの奇跡。少し恐ろしくも感じる。本を閉じ、ビックバン以前の宇宙に思いを馳せる。夜空の星の見え方が変わる。 「宇宙の構造を詳しく調べていけばいくほど、ある意味で、宇宙はわれわれの登場をあらかじめ知っていたに違いないという証拠が見つかるのである」フリーマン•ダイソン

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    投稿日: 2012.02.05
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    良質の科学啓蒙書であり人間ドラマであり知性への賛歌であり飽くなき探求精神を示す本。 宇宙のはじまりを人間が知ることができたのがすさまじい。

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    投稿日: 2011.12.30
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     1940年代,ビッグバンを支持するガモフ・アルファー・ハーマンは,初期の宇宙が陽子・中性子・電子からなる高密度のスープだったと考えた。これにより,現在の宇宙を構成する物質の大半を占める,水素とヘリウムが合成されることが説明できた。また,彼らは宇宙誕生からしばらくは,宇宙は高温プラズマ状態だったため不透明で,約30万年後にようやく原子が合成され光が進めるようになったと考えた。そして,そのときの光は今でも観測できるはずだと予測した。宇宙マイクロ波背景放射である。  しかしその観測をしようとする者はおらず,宇宙背景放射は実証されないままだった。ガモフ・アルファー・ハーマンと同時期に,ホイル・ゴードン・ボンディは定常宇宙モデルを提案した。彼らは宇宙は確かに膨張するが,広がった空間に物質が生成され,宇宙は常に無限で定常状態であると主張した。定常宇宙モデルは一見不自然だが,こう考えると納得がいく。我々は既に天動説を否定し,自分が宇宙の中で特別な場所に住んでいるわけではないことを確かめた。同様に,我々は宇宙の中の特別な時代に生きているわけでもない。宇宙には,位置的にも時間的にも原点はなく,ただ無限である。  ビッグバンモデルでも,定常宇宙モデルでも,赤方偏移は十分説明できる。宇宙論研究者たちの意見は分かれて論争が続いたが,決め手となる観測がなかった。重い元素がいかにして作られたか,という元素合成の問題も未解決だった。ちなみに「ビッグバン」とはホイルが敵陣営をけなすために使った言葉だ。  まず元素合成の問題が解決される。重い元素は,星の中で核融合反応が進むことによって合成される。水素からヘリウムが作られ,ヘリウムからさらに重い元素が作られる。大きな星は最後に超新星爆発を起こし,重い元素をまき散らす。この過程を何世代も繰り返すことでウランまでの元素合成が説明できる。  そして1960年代,ついに宇宙背景放射が観測される。電波望遠鏡の微小なノイズの原因を探っていたペンジアスとウィルソンが,何とまったく偶然に発見したのだ。望遠鏡をどこへ向けても入ってくるマイクロ波の雑音が,忘れ去られていた宇宙背景放射だということに彼らは気付いた。宇宙背景放射の観測により,ビッグバンモデルは定説となった。ルメートルは幸運にも自分の理論が観測によって確かめられるのを目にすることができた。  その宇宙背景放射はほとんど一様に見えた。一方,現在の宇宙は均質でなく,銀河や銀河団があって粗密がある。この不均一な分布は何に起源するのかが次に問題となった。宇宙背景放射には微小なゆらぎがあって,それが種となって現在の宇宙の構造が生まれたのではないかと予測された。このことを確かめるために,COBE衛星が打ち上げられた。1990年代,COBE衛星は宇宙背景放射にわずか10万分の1のゆらぎが存在することを確かめた。このゆらぎが銀河形成の種になったのだ。ビッグバンモデルはいよいよ確からしさを高める。  エピローグにおいて,背景放射よりも初期の宇宙の理論について補足がされている。中でもインフレーション理論は重要だ。背景放射のゆらぎがなぜ生じたのか,地球から見て宇宙の正反対がなぜ同じように見えるのか(地平線問題),なぜ宇宙の曲率は0なのか(平坦性問題)を一挙に説明してくれる。インフレーション理論といえば佐藤勝彦先生だが,欧米ではあまり知られていないらしい。グースの仕事とされていて,佐藤先生の名前は訳注に記されているのみである。少し残念。ともかく,この理論では,宇宙のごく初期(10E-35秒後まで)に途方もない膨張が起こったとされている。生まれたばかりの宇宙のごくごく小さな密度ゆらぎが,インフレーションによって引き延ばされた。宇宙の曲率は,インフレーションでほとんど0になり平坦になった。インフレーション前は近所だった宇宙の二地点が突如として遠くに引き離された。  他にもダークマターやダークエネルギーの話,量子宇宙論についてもほんの少し触れている。宇宙の始まりについて,断片的にはいろいろと聞き及んでいたが,それについての歴史とドラマも含めて概観するのにうってつけの本だった。読んでない人は是非!

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    投稿日: 2011.11.19
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    20世紀から現在に至る科学史上最大の論争について、さらにまだまだ宇宙が未解決であることを示して終わる

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    投稿日: 2011.11.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    定常宇宙モデルとビックバンモデル。天文学者たちの立場を二分していた論争が結末を迎える。 宇宙を調べる手がかりは事実上、星の発する光しかない中で、元素合成や電磁波など素人には到底考えつかないようなアプローチで宇宙の真相に迫る。 聖職者でありながら天文学者、セレンディピティに恵まれた大発見など、科学者たちのドラマが満載。

    0
    投稿日: 2011.11.14
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    「フェルマーの最終定理」の筆者による第3作目。各章ごとに「まとめ」が入っているのはとても分かりやすい。 理論的な話はいまいちピンとこなかったけれど、前2作同様、研究者達の人間ドラマが面白かった。あと天文学者が極度の集中を必要とする重労働だということは驚きだった。

    0
    投稿日: 2011.09.20
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    上巻での基礎説明を終えて、いよいよビッグバンが今日における宇宙創成の最有力説であることの説明をする。 途中、専門的な知識にならざるを得ない箇所があり、そこは少し退屈するが、様々な発見や人間関係のドラマが描写されており、楽しめる。

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    投稿日: 2011.09.06
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    2011/8/19 読了。 サイモンシンの著書は、数学や物理といった化学の進歩や理論の解説だけでなく、それに関わった人たちの人間模様が描かれているため、読み物として大変優れているように思える。 そのドラマティックな展開と数学的・物理学的な内容を組み合わせることで、多少困難な内容であっても読み進めることができ、記憶にも残りやすくなっている。理系で前提知識がある人はもちろん、文系などこの分野に興味はあるがどこから手を付けていいか分からない、という人にはお勧めである。

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    投稿日: 2011.08.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    宇宙論の歴史についてのノンフィクション物語。 神話から最新のビックバン理論まで、宇宙論が辿った道筋をやかりやすく描いていて、面白い。 また、科学理論がどう誕生し、どう選択されるのかがわかる。

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    投稿日: 2011.08.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

     科学者も人間ドラマなんだなぁと思いつつ……こー。後半は、未来過ぎて付いていけてない感がある。結論が出ない。  下巻を読んで「面白い!」と感じるのはロマンのある人で、「うわわわわどうなるんだろう」と思う人(私)は夢がないのかも。  けれど、200年も経てば「あの時代ビッグバンなんて言ってたんだって」ってなるんだろうな。パラダイムシフトってすごいな、と思った。

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    投稿日: 2011.08.12
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    下巻は,ビックバン理論が紆余曲折を経ながら定説になっていく様子を描いている. フレッド•ホイルが星が重い元素をつくるるつぼの役割を果たすのを明らかにしてくエピソードがいちばん印象に残った.特に,綿密な計算の後,7.65MeVの炭素12の励起状態の存在を予測し,それがファウラーによって実際に発見される場面は科学者のすごみを感じさせる. その後,理論の検証が人工衛星などの国家的プロジェクトが中心になってくると,ひとりの科学者の個人プレーより多くの科学者のチームワークが大切になってくる.それが科学の進歩にわるいわけでももちろんないが,話し手のテンションがいささか下がってしまうのは仕方ないのかもしれない.

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    投稿日: 2011.07.29
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    『暗号解読』はあまり惹かれるテーマでなかったので、とばして先にこちらを読了。期待通りで、一気に読んだ。 天動説の時代から、大勢の人によって理論と観測が積み上げられる様子を描くのはさすが。昔から変わらない、科学の精神に触れる心持ちがする。 付録の「科学とは何か?」の中では、レヴィ=ストロースのものがいちばん好きかな。 ひとつだけ。章末の、試験前のまとめノートのようなページは、あまり必要ないのでは...と、思った。

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    投稿日: 2011.07.18
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    考えること、疑問に思うことを止めてはいけないなと思う本。 今ある常識が常識じゃないことだってある。 今はで当たり前のビッグバンも、長い間、本当に多くの人たちの試行錯誤や努力、忍耐力による結果なんだ。 宇宙のことを考えると自分の悩みなんて小さく思えるけど、化学反応によって地球ができて、こんなに悩む人間ができたこともまた不思議。

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    投稿日: 2011.06.15
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    第四章 宇宙論の一匹狼たちのまとめ ①ルメートルはハッブルの膨張宇宙の観測を、  自分のビッグバン・モデル(宇宙創造の瞬間があり、宇宙は進化している)が  正しいことを示す証拠と考えた。 ②アインシュタインは意見を変え、ビッグバン・モデルを支持した。  ↓  しかし科学者の大多数は、宇宙は永遠で静的だとする従来のモデルを信じ続けた。  ↓  彼らがビッグバン・モデルを批判したのは、  宇宙のほうが、宇宙に含まれる星よりも若くなってしまうからだった。       ビッグバン宇宙 VS 永遠で静的な宇宙    ビッグバン理論の立証責任は、ビッグバン支持者の肩にかかった。  証拠を挙げられなければ、永遠で静的な宇宙が優位に留まるだろう。  ↓  原子物理学は重要な検証の場となった。  今日の宇宙には軽い元素(たとえば水素やヘリウム)のほうが  重い元素(鉄や金)より多いことを、  ビッグバン・モデルは説明できるのか? ③ラザフォードは原子構造を導き出した。  中心の原子核に陽子+と中性子が含まれ、  その周りを電子-が軌道運動している。  ↓  核融合:二つの小さな原子核が融合してより大きな原子核ができ、  エネルギーが放出される。  これが太陽が輝く理由だ! ④1940年代、ガモフ、アルファー、ハーマンは、  初期宇宙を陽子、中性子、電子からなる高密度のスープだったと考えた。  ビッグバン直後の高温の中で、核融合により  どんどん大きな原子が作れるのではないかと三人は期待した。  ↓  成功:ビッグバンは、今日の宇宙が90パーセントは水素、      9パーセントはヘリウムでできている理由を説明することができた。  失敗:ビッグバンでは、ヘリウムより重い元素を作ることはできなかった。 ⑤またガモフ、アルファー、ハーマンは、  宇宙創造の瞬間から約三十万年後に光が自由に進めるようになり、  その時の光のこだまはいまも検出できるはずだと予測した。  その光のこだま(いわゆる『宇宙マイクロ波背景放射』)が見つかれば、  ビッグバンんが実際に起こったことが証明されるだろう。  しかし宇宙マイクロ波背景照射を探そうとする者はいなかった。 ⑥1940年代、ホイル、ゴールド、ボンディは定常宇宙モデルを提案した。  このモデルによれば宇宙は膨張するが、  銀河間に広がっていく空間に新しい物質が生成され、  やがて新しい銀河が形成される。   ↓   彼らは、宇宙は進化するが何も変わらず、永遠の昔から存在したと論じた。   この見方はハッブルの赤方偏移の観測と矛盾せず、   従来の永遠で静的な宇宙モデルにとって代わった。   宇宙論の論争は、この二つのモデルが中心となった。 ビッグバン宇宙 VS 定常宇宙      どちらのモデルが正しいかについて、宇宙論研究者の意見は分かれた。 第五章 パラダイム・シフトのまとめ ①1950年  宇宙論の世界は定常宇宙モデルとビッグバン・モデルに分類されていた。  どちらのモデルも、宇宙を正しく記述していると主張するためには、  答えるべき問題や解消すべき矛盾がいくつも残されていた。  例:もしビッグバン・モデルが正しいなら、    ・なぜ宇宙が星よりも若くなってしまうのか?    ・重い元素はいかにして形成されたのか?    ・CMB放射は存在するのか?    ・銀河はいかにして形成されたのか? ②まずバーデが、次にサンディッジが  銀河までの距離を修正し、  ビッグバン・モデルは星や銀河の年齢と  矛盾しない古い宇宙を予測することが示された。 ③ホイルは重い元素の形成を説明する仕事に着手し、  重い元素は年とった星の中心部で形成されることを示した。   元素合成の問題は解決された。   ・重い元素は死につつある星の中で形成される。   ・軽い元素はビッグバンの直後に形成された。 ④1960年代の天文学者は、電波天文学により  新しい銀河(若い銀河とクエーサー)を発見したが、  それらは一般に宇宙の遠いところに存在した。   ↓   銀河の分布が均一ではないという事実は、   宇宙はどこでもほぼ同じだと主張する定常宇宙モデルに反するものだった。   ↓   この観測はビッグバン・モデルと完全に合致した。 ⑤1960年代は  ペンジアスとウィルソンは、  1948年にアルファー、ガモフ、ハーマンによって予測されていた  CMB放射を偶然に発見した。  これはビッグバンに有利な証拠となった。   ↓   セレンディピティーに恵まれた二人の発見は   1978年ノーベル賞を受賞した。   ↓   宇宙論研究者の大半はビッグバン陣営に乗り換えた。 ⑥1992年  COBE衛星は、宇宙のさまざまな方角からくる  CMB放射に微小なゆらぎを発見した。  その揺らぎは初期宇宙に微小な密度のゆらぎがあったことを示唆し、  それは銀河の形成の種となったはずだった。  永遠宇宙からビッグバン宇宙へのパラダイム・シフトは完了した。  ↓  ビッグバン・モデルは正しいことが証明された。  ↓  これですべて終わったのか?

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    投稿日: 2011.06.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    つづきもの. ビックバンモデルと定常宇宙モデルの対決に決着がつく一冊. 本当に宇宙って不思議だよな〜,と読み終わった後に感じることができます. 永遠に存在するものなんて無いんですよね.

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    投稿日: 2011.06.02
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    科学者ってゆーと、論理的で、感情的でなく、なかなか冷たい人間ってイメージがある。 全然違うわ。驚くほどハートフル! 子供の喧嘩かって思えるエピソードも何個かあった。まあその子供っぽさが科学者には必要なのかもしれないけれど。 ビッグバンとは誰かひとりの成果によるものではない。そこには多くの人々が、意図した人も意図せぬ人も、その理論の確立と実証に寄与していたのだ。 「フェルマーの最終定理」でも感じたけど、こーゆう知識のバトンって素敵。 ちょっとずつ、宇宙のあらましが明らかになっていってるんだなぁ。 俺が生きている間、どのぐらい宇宙についての理解が捗るんだろうか。

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    投稿日: 2011.04.22
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    訳者による解説と内容がかぶってしまうが、「ビックバン説vs定常宇宙説」の結末までが主題として記述されていて、最新の宇宙物理学を期待していた自分としては若干不満が残った。エピローグではそのあたりも少し触れていたので確定した説は無いにしてもそのあたりをもう少し厚く取り上げて欲しかった。 文体や構成についてはさすがの一言。表現や図解も適切で非常にわかりやすい。科学者達の人間性がわかるエピソードが多数でその点はとても面白かった。 あと最後のオチで笑ってしまいました。

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    投稿日: 2011.03.28
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    サイモン・シンの三部作を読破完了.理系なら読んでおきたいシリーズ.どれも面白かったけどこの宇宙創成のドラマは凄かった.どんな科学者も自分の支持する学説を貶められては簡単には対応できないのは当たり前のことのようだ.コペルニクスやガリレオの天動説・地動説の論争からビックバンモデルに関する紆余曲折まで,科学者が何を考え,どう行動してきたかを教えられたと思う. 次は「代替医療のトリック」を読みたいけど文庫化待ちかな

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    投稿日: 2011.03.23
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    人間が宇宙を理解しようと観測し理論を立て知恵を絞ってきた、紀元前から現代に至る壮大な過程をまとめています。 2000年前のギリシア人はすでに地球が丸い事を知っていて、地球の直径も知っていた。 そして直径が分かると芋づる式に地球と月、太陽の距離も分かってしまう。 地球の直径は一本の棒と中学生レベルの三角関数を知っていれば良く、これを紀元前に考えた人がいたことを初めて知った。 下巻では、ビックバンから続く星の活動と元素記号の周期に深い関係があった事。文字通り生き物は星の屑で出来ているという話がそこに繋がるのか!という驚きと刺激に満ちた本だった。

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    投稿日: 2011.01.31
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    サイモン・シンにはずれなし。 下巻ではビッグバンという考えに行き着いた科学者たちが紆余曲折を経て正しい理論であることを検証していく経過を描いています。定常宇宙論者との激しい争いや数多くの偶然の発見からビッグバンの問題点が解明されていく様子は読みごたえがありました。 サイモン・シンの作品を読む楽しさは大きく分けて2種類あって、ひとつは科学史の裏にある人間ドラマの面白さで、もうひとつは難解な科学の理論を平易な言葉で勉強できる点です。 個人的な印象ですが、「フェルマーの最終定理」「暗号解読」では前者に力点があったのに対し、今作「宇宙創成」では後者よりの作品ではないかと感じました。 ドラマを期待する向きにはやや弱いかもしれませんが、今までバラバラだった科学の知識が結びついてひとつになる快感を味合わせてくれるという意味では本書も読む価値のある本だと思います。

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    投稿日: 2011.01.07
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    「ビックバン」という名前ぐらいを知っている人に読んでもらいたいとあとがきに書いてあるが、まさに文科系の私にも理解できるように、説明してくれる。星を眺めて宇宙の誕生まで考え、調べ、検証する。そんな事知らなくても生きていけるのに、科学者は疑問と好奇心から一生を賭けて、少しづつ解明していく。人生をたった一つの事に賭けた人々がその成果のバトンをつないで今日の「ビッグバン」理論があるという事がよくわかった。

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    投稿日: 2010.08.22
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    人は宇宙を知るため、数限りない挑戦を続けてきた。太陽中心モデルを作り上げたアリスタルコスから、相対性理論のアインシュタイン、宇宙誕生の瞬間を発見したNASAに到るまで、詳細な研究と史実に基づいた業績が描かれている。数々のドラマの果てに、科学者たちがついに辿り着いた「答え」とは──。 「宇宙」という存在は、私たちにとって遠いものであるかのように思うが、この本を読んで、宇宙とわたしたちとの密接なつながりを知ることができて、改めて宇宙という存在の不思議さ、奥深さを感じた。 誕生してから130億年以上にもなるという宇宙には、底知れない感動がまだまだたくさん秘められているように思う。

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    投稿日: 2010.01.27
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    上巻の続き。 望遠鏡の精度が高いものを求めることは理解できるが、 電波望遠鏡なんて、目にも見えないのに何が楽しいんだ? と素人なので思っていたが、それが無いと、 現在の天文学の発展がなかったと言うことが良く分かった。 サイモンシンの最新作が待ち遠しい。

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    投稿日: 2010.01.20
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    【内容】 人は宇宙を知るため、数限りない挑戦を続けてきた。太陽中心モデルを作り上げたアリスタルコスから、相対性理論のアインシュタイン、宇宙誕生の瞬間を発見したNASAに到るまで。決闘で鼻を失った天文学者がいた。世界トップクラスの天体画像分析チームを率いた「メイド」がいた。数々のドラマの果てに、ついに科学者たちは…。人類の叡智の到達点を、感動的に描く圧巻の書。 【感想】

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    投稿日: 2010.01.06
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    サイモンシンの三作目、ずっと買い忘れておりました。 相変わらずぐいぐい引き込まれる内容に一気読み しかし内容が深いため、結構速読な私でも上下で3時間くらいは掛かりました。 地動説vs天動説のあたりからビックバンまでを取り上げている内容なので、素人の私でも既知の事柄ももちろん多いのですが 単なる知識ではなく物語として秀逸。 高校生ぐらいの時に読みたかったなぁ。 そうしたらとっとと理系に見切りを付けるか、若しくは真の理系として知的な大学生活が送れたかもしれません。

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    投稿日: 2009.12.24
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    下巻はミクロな視点で宇宙を見るところから始まっています。 やっぱりサイモン・シンの構成は秀逸、と思うけど、 いかんせん内容が難しすぎて少しつらかったです。

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    投稿日: 2009.12.11
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    宇宙創成の下巻は量子力学からビッグバンまで。最新の仮説には意外なほど立ち入らないが、それも全て著者と訳者のあとがきを読んで合点が行った。本書のメインテーマはあくまで「科学的手法とは何か?」であり、宇宙論は一つの題材に過ぎない。おそらくサイ・モンシンは、最新の宇宙論を、まだ科学的に正当性が検証される段階にはないと、見做したのだろう。それと、もう一点。科学者の営みが非常に生き生きと描かれているのが、個人的には非常に好ましく思えた。

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    投稿日: 2009.09.25