
総合評価
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powered by ブクログ#毎日新聞出版 #井上達夫 #憲法の涙 憲法学者の解釈改憲を批判した九条論の本。著者の主張は「九条を削除して、安全保障政策を憲法改正発議により国民投票にかける」というもの 9条2項削除論は聞いたことあるが、9条削除論は初めて聞いた。安全保障戦略の柔軟性、憲法の固定性、非武装中立の合憲性担保という観点から 2項削除では足りず、9条そのものの削除を提言。最初のイメージと異なり、暴論とは思わなかった 「日本は9条のおかげで平和だったのではない。9条があるにもかかわらず、違憲の自衛隊と日米安保が存在したから平和だった」は その通りだと思う 「私は、反米でなく警米だ〜日本が米国の善意を信じすぎて、自国の国益を守るためのガードをゆるめること(随米)を警戒している〜もちろん 警露、警中、警欧でもある」 は 当然に思う 9条削除の意図 *安全保障の戦略を憲法に入れて、固定化すべきでない *2項削除のみでは、1項が非武装中立を違憲とする可能性がある 「自衛隊の抑止力は〜反撃能力の保有の証示によって支えられる〜彼らの訓練死は、日本を防衛するための戦死である」 「絶対平和主義は尊敬に値する生き方だとしても、普通の人には担えない」 日米安保を破棄した場合のアメリカのデメリット *アメリカの海外における最大にして代替不能な戦略拠点を失う *日本が核武装する可能性が高まる〜従順な旧敵国を再び危険な存在にする
0投稿日: 2025.06.02
powered by ブクログ憲法系の本としては中々腹落ちする内容でした。 日本国民である子供や知識のあまりなき人に対しても「日本とはどんな国?」にという問いに自分の言葉で答えをできるようになるべきだと思ってます。 そういう意味だと9条は欺瞞に満ちた、大人による都合の良い解釈をされているのだと思います。 子供が9条を読むと自衛隊は明らかに違憲と思います。護憲派が何も変えずに保持するのは欺瞞以外の保身と自己都合でしかないと思います。 9条廃止や徴兵制といったラディカルな意見は耳を閉ざしたくなりますが、今の平和が何によって保たれていたのか、今後の平和を保つには何が必要なのかを考えると、このような意見は正しいのではないかと考えます。 日本の未来を担う子供たちにも分かりやすい言葉で憲法を見直すべきではないですかね? リベラルも保守も自己都合のためのフレームワークであって、それにとらわれない議論が必要で、国民は分かりやすさと、想像力をもって、日本という国を安全保障の観点でどうしたいかを考えないといけないですね。
1投稿日: 2018.11.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
至極真っ当な意見、 木村草太や小林節とかなぜ多くの憲法学者がこういった発言にならないか不思議で仕方がない。護憲というのは9条を守ることではなく立憲主義を守るということであることなんですね
0投稿日: 2018.05.19
powered by ブクログ法学に精通する著者が世論を賑わせている日本国憲法の第9条と集団的自衛権との関係について自身の見解を述べた一冊。 法学に精通している著者の憲法の見解は非常に勉強になりました。 安倍政権が行おうとしている改憲についてや集団的自衛権について批判的に捉えている人々の考え方が一概に反戦の方向に向いていないことや国民投票にかけて全国民が憲法について向き合うことへの提唱は共感するものもありました。 近年、安保法案の成立くらいから安倍政権での改憲の話題がよく出ていますが、真意とするところがいまいち分からなかったのですが、本書を読んで9条の意義や日本がこれまで平和であったことや他国の防衛などを理解することができました。
3投稿日: 2017.12.06
powered by ブクログ前著に続いてこちらも読んだ。前著は正義論についてだったが、今回は法哲学を中心とした憲法論。前著でも憲法についていくらか扱っていたが、その幅を広げてより深めた内容になっている。そんで今の日本の置かれている政治的状況からするとタイムリーな内容。 井上達夫の立場はよくわかった。ロジカルで非常に筋が通っているし、バランスもとれていて、これがリベラルかと学ばされるところ多い。ただ、護憲派、改憲派ともに井上に滅多切りにされているが、どこに人生としての価値を置くかで、どちらの立場も理解できてしまうところはある。私たちは個人は、自分が考える前から社会におかれており、個の連帯の中で生きることを必定とされている以上、正義に基づく判断基準が優先されるべきだというのは疑うことができないが。 様々な方向に思考を飛ばされる一冊だった。いつも以上に新聞が気になりだした笑 17.5.7
0投稿日: 2017.05.07
powered by ブクログ東大の学者でこういう人もいるんですね。 9条 ①日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 ②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 護憲派には二つある。一つは、自衛隊と日米安保条約は違憲とする原理主義的護憲派。もう一つは、自衛隊は違憲ではないとする修正主義的護憲派。 井上先生の9条2項でなく丸ごと削除論 ・安全保障の戦略は憲法で凍結してはいけない 1項も安全保障の基本政策を述べている(非武装中立が違憲から集団的自衛権容認まで 解釈の幅がある可能性) 1項を削除して非武装中立まで選択肢にいれて民主的立法過程での討議にゆだねよ ・もし戦力を持つなら「条件付き制約」を憲法に書き込んでおくべき。 =シビリアン・コントロール、開戦決定への事前国会承認、徴兵制、良心的兵役拒否。 徴兵制は、無責任な好戦感情に政府と国民が駆られる危険性への歯止め セカンドベスト-護憲的改憲 専守防衛の枠内で自衛隊を位置づける サードベスト-保守的改憲発議 ↓井上達夫×モーリー「護憲派と憲法の涙」 https://youtu.be/r3nr_uD5His ↓宮崎哲弥 x 井上達夫 https://youtu.be/VD6Jm29XZo0 ↓田原総一朗×井上達夫×篠田英朗「集団的自衛権とトランプと国際主義の行方」 https://youtu.be/71TG5YZJKdo
0投稿日: 2017.03.29
powered by ブクログ自衛隊と憲法9条の整合性に焦点当てた本。いわゆる改憲派と護憲派の双方の主張の矛盾点を列挙し、9条をまるごと削除すべき、という持論を展開している。国の安全保障に関わるイシューを憲法に書き込むべきではない、というのがその主張の背景。 "現在の9条は 、安全保障の基本を 「非武装中立 」に凍結してしまっている 。それが容易に変えられないから 、右も左も解釈改憲で対応し 、結果として九条を死文化させている"
0投稿日: 2017.01.17
powered by ブクログ評判になった著者の『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください―井上達夫の法哲学入門』の続編で、前著で反響のあった憲法・安全保障問題に関する著者の考え方について、誤解を解き、批判に応答することにより、その趣旨をさらに明確にして再擁護することを目的としている。 憲法第九条は文言上絶対平和主義を採用しており自衛隊は違憲な存在であるという認識のもと、現在の日本の護憲派は、憲法を尊重するふりをしつつ、九条を裏切る自衛隊と日米安保の存在にこっそり便乗する、ないし、それを容認しさえする、憲法論的欺瞞を抱えており、改憲派よりも憲法に対する罪は重いとする。そして、憲法第九条の今後のあり方について、「最善」は、九条削除であり、具体的には、安全保障戦略の基本は憲法で凍結すべきではないが、「どのような戦略が選ばれようと、それが乱用されないための戦力統制規範は憲法に入れろ」という意見だとし、国民が無責任な好戦感情にあおられないための歯止めとして「徴兵制+良心的兵役拒否」も組み込むべきだと主張している。「次善」は、護憲的改憲、「三善」は、保守的改憲発議、「最悪」は何も変わらないことだとしている。 自分は、憲法解釈としては、著者の考えは基本的に間違っていないと思う。ただ、「修正主義的護憲派」と本書で言われている従来の内閣法制局的な解釈も成り立つ余地はあり、そうであるならば、確かに限定的な集団的自衛権容認も違憲ではないという結論になるだろう。そして、今後の憲法第九条のあり方としては、著者は「次善」としている護憲的改憲が望ましいと考える。自衛隊がこれだけ定着している以上、憲法第九条第一項の趣旨は維持しつつ、自衛隊を憲法にきちんと位置付けることが、立憲主義の精神からも必要だと考えるからである。
0投稿日: 2016.11.12
powered by ブクログ前作に引き続き、憲法を巡る諸問題を論じています。 前作よりも9条の問題にフォーカスしているので、その主張が明確に感じられるなっていますね。 9条があるから侵略されない、というような主張の間違いが明確に理解できます。 護憲派こそ改憲を主張すべきという主張がしっくりきます。
0投稿日: 2016.10.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
憲法と法律のちがいー法律というのは、国会が通常の立法手続きにしたがってつくるものですけれど、憲法は、そもそも、どのような機関が法律をつくれるか、どのような手続きで法律をつくれるか、そしてその法律が侵犯しちゃいけない基本的価値は何か、というのを定める。 だから、憲法は、法律と同じように変えられてはいけない。選挙で勝った政治勢力が、勝ったからといって何でも好き勝手されては困る。自分たちの政権を恒久化できるように統治構造を変えたり、少数者や批判者の人権を侵したり、できないようにする必要がある。だから、法律をしばる憲法は、「成分硬性憲法」といって、文章ではっきり記して、かつ通常の法律よりも帰るのが難しくなっています。与党・政権が議会の単純多数決で憲法を変えることはできなくなっている。(p.21) 9条があるために、自衛隊が「戦力」として認知されず、その法的統制を憲法で明確に定められないという問題があります。シビリアンコントロールだけではなく、戦力行使の国会事前承認ですら、憲法で確保できない、そんな危ない状況を9条がつくっているのです。 戦力に歯止めをかけるためにも、つまり平和主義のためにも、9条を削除しなければならない。9条削除まで踏み切れないなら、少なくとも専守防衛明記改憲をして、専守防衛の枠を超えて戦力が濫用されないための統制規範を憲法に盛り込まなければならない。(pp.56-57) 負けても、次の機会までは、勝者を尊重する。敵対する相手にも、フェアでなければいけない。その精神がなければ、大人の立憲民主主義は育ちません。(p.75) 軍事的暴走に関してドイツには日本と同様、戦前の苦い経験があり、「過去の克服」を目指しているけど、にもかかわらず徴兵制を採用したのは、私は正しい選択だったと思うんですね。無責任な戦力行使をしないため、という目的だから。(p.125) 私がいう正義というのは、自分の権力や利益を合理化するイデオロギーではない。正義はよくそういう批判をされるが、逆だ、と。自分の行動が、他者の視点から見ても正当化できるか、それが問われている。つまり、正義は、自分の権力行使、実力行使への批判的吟味を要求している。(p.128) もっと重要なのは、基地経済への依存が沖縄のもっとダイナミックな自律的経済発展をはばんでいるという自覚が庶民のあいだにも広まりつつあることです。 一例を挙げると、私が参加した沖縄での基地見学ツアーのバスガイドさんがこんなことを言っていました。返還されたある米軍基地の跡地に、ショッピングモールなど一大商業地区ができた。基地時代の県民雇用数は150人くらいだったけど、今の商業地区の雇用は1万人を超えた、と。重要なのはこの経済的事実だけでなく、バスガイドさんのような普通の市民んがそれを自覚しているということです。(中略)本土住民によって、もっと重要なことは、沖縄内部の悪弊を指弾して、米軍基地という日米安保のコストを沖縄に集中転嫁している現実を合理化する口実にしてはならないということです。沖縄に甘えている本土住民が「沖縄よ、甘えるな」などと説教して自分の甘えを棚上げする権利はない。沖縄の膿は沖縄自身が出すべきなのです。同様に、本土住民は沖縄の欺瞞をあげつらう前に、自らの欺瞞の膿を出さなければなりません。(p.149) 失敗しない政治体制なんかない。民主主義は失敗しない体制ではなく、われわれ国民が自分たちの失敗から学習し、試行錯誤から答えを見つけていく体制です。 それはつまり、前著でも言いましたが、パターナリズムから脱するということです。(中略)民主主義がいいのは、みんなで考えて失敗しても、その失敗から学ぶことができることです。他人まかせにせず、自分でやってみて自分の失敗から学んで成長する権利を「愚行権」と言います。「自律」は個人の愚行権、民主的な「自治」は集団としての国民の愚行権を保障します。(pp.154-155) 「お前の決定は取り返しのつかない失敗になる」というのは、正しい答えを知っているかのように偽っている者の恫喝です。権力者がよく使う。それが「反権力」の人から発せられても、同じです。それに負けてはいけません。(p.158)
0投稿日: 2016.08.20
powered by ブクログ前作「リベラルを嫌いになっても……」の続編。平易ながらもより論議が深まり、井上さんが考える輪郭が見えてきた。参院選を前に必読だと。
0投稿日: 2016.07.059条削除・徴兵制導入を唱える「怖いオジサン」の論争的提言
『リベラルのことは嫌いでも〜』の続編だが、前著を未読でも大丈夫。 ロールズの正義論など法哲学の小難しい議論は省き、安保と9条により特化しているのでわかりやすい。 前著の読者にとっては多少重複も多いが、各方面からの異論や批判への回答、補論なども含まれているので読みごたえがある。 改憲派にも護憲派にも、その罪と欺瞞を具体的にあげてバッサバッサと切っていく様は痛快だが、やはりリベラルにより手厳しく容赦がない。 国会前でデモしてる若人には、叫ぶべきは「9条守れ!」じゃなくて「9条変えろ!」だろ?と疑問を投げ掛け、憲法を「うそ臭い空念仏」化させる護憲派の言説に呆れ、解釈改憲を「大人の知恵」とうそぶく修正主義派には、そもそも安倍政権の解釈改憲を非難する資格なしと断罪し、「違憲事態の固定化」を狙う原理主義派には、憲法が泣いていると憤る。 いったい9条が大事なのか? 憲法が大事なのか? 憲法がこれだけないがしろにされ、コケにされているのだから、国民はもっと怒らなければならない、というのが、著者の止むに止まれぬ義憤なのだろうが、その主張も本書で再三再四批判している、高みからのエリート主義的発想にも思えるし、むしろこれだけあやふやな状態の憲法で、曲がりなりにも戦後70年やってこれたことの方に感動を覚え、憲法をも超える国民の知恵に思いが至った。 日本列島自体、今後数十年以上は繰り返し地震や火山の噴火などの自然災害に見舞われることが予想され、そのたびに自衛隊員による献身的な救援が必要とされるであろう状況で、「戦力」とも認知されず憲法外に置かれた自衛隊の存在を思うと、本書の提言の広範なひろがりを待つまでもなく、『敗戦後論』でかつて加藤が主張していた「選び直し」や、政治的主体性を強めるという目的での改憲へのハードルは、ますます低くなりつつあるように思えるのだが、果たしてどうか? 「欺瞞にふける者は、その欺瞞を批判されると別の欺瞞的手段でそれを隠そうとする。嘘をついた者は、その嘘を指摘されると別の嘘でごまかそうとするのと同様に。護憲派も改憲派と同様『欺瞞の蟻地獄』に陥っている」 9条改廃により自衛隊をいったん「戦力」と認めた暁には、それを統制し濫用を防ぐ統制規範を憲法に盛り込むべきだという著者の主張だが、戦争に至るまでの歯止めだけでなく、戦争が始まった後の歯止めも盛り込むべきだろうと思った。 またぞろ「一億総玉砕」では、同じ轍を繰り返すことになるだろうから。
0投稿日: 2016.05.16
powered by ブクログ安倍政権は立憲主義を破壊している!! 集団的自衛権の行使は憲法違反!! 9条守れ!! と叫んでる護憲派の方々・・・ ちょっと待って・・・ 護憲派の方々が言うのも何だかおかしいでしょ? 憲法守れ?いやいやいや・・・ 護憲派の皆様も随分欺瞞があるでしょ・・・ 9条守るんだったら専守防衛どころじゃなく、自衛隊解体で日米同盟破棄だし・・・ 専守防衛を守るんだったら憲法(明文)改正するべきだし・・・ 著者は護憲派を「原理主義的護憲派」と「修正主義的護憲派」の2グループに分けてその欺瞞を突く・・・ 原理主義的護憲派は、9条のもとで自衛隊と日米安保が存在するのは違憲だ、と言いながら・・・ 自衛隊&日米同盟の廃止!とか現実を変える努力も、逆に現実に合わせて9条削除!とか憲法を変える努力もせず、自衛隊と日米同盟の便益のみ享受して居座っている、と・・・ 修正主義的護憲派は、9条のもとで自衛隊と日米安保を容認するという従来の内閣法制局見解と同じ【解釈改憲】を採用しながら・・・ 安倍政権の集団的自衛権行使OKという【解釈改憲】は批判する、ご都合主義じゃないか、と・・・ どちらにも共通しているのは・・・ 憲法を尊重するフリをしつつ、9条を裏切る自衛隊や日米同盟の存在にコッソリと便乗はするし、容認もしてたりする・・・ そして自分たちの政治的ご都合主義を、【憲法を利用して】隠蔽しようとしている点・・・ 著者はこの点をもって憲法が泣いている、と書いているわけですね・・・ 憲法守るって言ってる方々も憲法を裏切っているじゃんか、と・・・ 著者は別に安倍内閣、自民党の解釈改憲や改憲案を良しとしてない・・・ けれども、護憲派学者さんや似非リベラル勢に対してもフェアに切り込んで行っている・・・ その辺がとても学者さまとして誠実に思われます・・・ 確かにそれ(上記)が道理だよなぁと考えさせられる・・・ その他、長谷部恭男さん等からの反論への反論や・・・ 9条削除論・・・ 徴兵制論・・・ なども、なかなか面白く、参考になるのでオススメでございます・・・ スグ読めるし・・・
2投稿日: 2016.05.10
