
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
どれほど他人に陶酔しようとも、結局は自分自身の欲求に立ち返ることになる。自己の探求は孤独感を伴うが、それを受容し、自分自身の道を発見するに至れるかどうか。
0投稿日: 2013.11.15
powered by ブクログ「明るい世界」にいつつも、反対の半球「暗い世界」へ静かな憧れを抱いてる「私」のまえに現れた、どこか大人びた少年デミアン。粋で博識なデミアンに助けられた「私」は彼を通して、「暗い世界」の住人へと変わっていく。「暗い」というのは語弊がある。作中の例えでいうなら、カインとアベルの、カインに真の人間性を見いだす、そんな価値観の世界だ。そして最後には「私」は恋をし、戦争へと向かう。何でも出来る超人的な男デミアンには、その手の人物にはつきものの、深い深い孤独があった。そんな彼との心の交流は読んでいてエキサイティングだった。後半部分がやや書き足りないような気がしたので、もうちょっと細かく書かれているとさらによかった。
0投稿日: 2013.10.03
powered by ブクログ高校生の頃読んだことがあったんだけれども、まあま相変わらずの事ですが本当に高校の頃はあんなに乱読していたはずなのに一体なにを読んでいたのか、とおもわされた。シンクレールよりもデミアンの方が印象深かったきがするのですが、今回読んでこの本は間違いなくシンクレールの自己探求の道筋以外のなにものでもないと気付いた。はしがきにもありますが、人間が生きるというのは自己探求の道であり、ヘッセはそれをものすごく深いレベルで認識していたのだとおもう。今回このデミアンをよんで、ようやくヘッセ文学の理解の入り口に立てたような。もっと読もうとおもった。
0投稿日: 2013.09.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
デミアンという不思議な年上の少年の魅力は悪魔的に思える。そしてその母も。ヘッセは一つの魅力的な類型として描いていると思うが、反キリスト的な存在に思えます。主人公が道を外していく上で影響があるとしか考えられません。不思議な本です。
0投稿日: 2013.08.17
powered by ブクログ"車輪の下"が有名ですが、本作"デミアン"も重要な作品です。当時のヘッセは精神的に追い詰められており、ユングの弟子たちの助けを借りながら精神の回復を遂げました。この体験から深い精神世界を描いた本作が生まれました。主人公のシンクレールがデミアンという少年と出会うことによって、自己について思い悩み葛藤していく姿が描かれています。聖書やキリスト教の善悪二元論などが出てきますが、家庭というある程度閉鎖された環境から社会という開かれた世界へ生まれ変わる話とみれば、宗教や地域に縛られず普遍的な話と理解出来ます。
1投稿日: 2013.08.14
powered by ブクログオカルト色が前面に押し出されているため、かなり人を選ぶように思われた。私はどちらかというと選ばれなかったほうか。
0投稿日: 2013.07.17
powered by ブクログヘッセは少年時代を書く天才と思わせらる一冊。 やたら、キスする場面があるのはヘッセならでは! しかし、迷いや不安といった思春期に感じる敏感な感情を緻密に書ききっている。 デミアンとは主人公が出会う年上の先輩の青年である。 彼により主人公は無知ではいられなくなり、狂っていく様が描き出されている。
0投稿日: 2013.03.11
powered by ブクログ発売当時熱狂的に若者に受け入れられたわけが分かります。短めの作品ながら、頭を使って読めますし、何らかの衝撃を受けるはずです。
0投稿日: 2013.02.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
普段は物質的な世界しか知覚できないが、精神的な世界は確かに存在していると感じる。たとえ物質的な距離があろうとも、精神世界では物質的な世界で言う距離というものは存在しないだろう。もしもそれが本当なら、私たちが違うものだと思い込んでいるだけで、過去も未来も、人も人でないものも、すべては一つのものということになる。愛する人と過去にも未来にも一つになれるのなら、それはこれ以上ない幸せだと思う。
1投稿日: 2013.01.24
powered by ブクログ2013年最初の一冊はヘッセを読みました。ヘッセの作家人生中期代表作の一つです。本作の主題は一言で言うなら“転換”ですね。内容は、シンクレールという青年があるときデミアンという一人の青年に出会い、それをきっかけに過去の抑圧からの解放を試み、本来の自分とな何なのかというものを探っていく精神分析的な要素の強い作品です。ヘッセの代表作といえば「車輪の下」が有名ですが、それは著者の作家人生の初期作品で、様々な苦悩に満ち満ちていた時の心情が色濃く反映されていたようですが、その後「シッダールタ」「知と愛」といった作品を生み出すにあたっての転換期が本作であり、キリスト教から仏教や東洋思想に傾倒していくことが象徴的であるように、シンクレールに自己投影された様々な苦悩が表わされている内容になっています。なかなか読みにくい内容となっていますが、今後も何度も繰り返し読むことによって、その都度受ける印象が変わってきそうな作品とも言えそうです。
1投稿日: 2013.01.06
powered by ブクログヘッセは青春をテーマとした作家というイメージがある。この作品は予想とはちょっと異なる雰囲気があった。子供のころの話から、暗いイメージがある。デミアンが登場すると場面は華やかとなるが、また、別に謎を持つ人物というイメージが出てくる。そして、カインとアベルの、聖書とは別な解釈の話がやがて、ジンクレールは生活が荒れて、その後は立ち直る。 解説を読むと、自己を見つけることがテーマのようだ。デミアンの母である、エヴァ夫人が登場する辺りから、なんとなくそのようなイメージはあるのだが。解説を読まなければ、そこまで深くは読み取れない。 読後感、鳥になったイメージ。自分が飛んだのか、また、デミアンと一体化して時空を越えたのか?その越えたものは自己であったのか? このジンクレールのように自己を越えることはできない。 グノーシス、カイン派のイメージが強く残る。
1投稿日: 2013.01.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『車輪の下』『シッダールタ』に続きヘッセの作品はこれで3冊目。 主人公のシンクレールが自分の内面を追い求める作品。 正直自分には読解力が足りない部分があり、完全に著書理解することはできなかったが、是非もう一度読んでみたい。
0投稿日: 2012.10.23
powered by ブクログコリン・ウイルソンの書評を読み、ヘッセに対して抱いていた疑問が多少解けてきた。 「車輪の下」に続いて再読してみる。 序盤は少年の成長をヘッセ得意のタッチで丹念に描いていく。 成長の苦悶や挫折。それを導いていく友人。先達。 主人公の道はさらに進み、「しるしある者」として人類の未来を描き出す。 ニーチェや新人類をテーマとしたSFを彷彿とさせる展開なのだが。。。 そこでまた投げ出される。 「車輪の下」程ではないのだが、起承転結ならぬ、起承承転?あるいは起承転…? ヘッセは結末を考えているんだろうか。疑問。 大声を上げ、集団を先導しながら目的地もなく歩き出しているような。 が、ヘッセの良さはそこにはないのだろう。 少年期の恐れ、悩み、葛藤など内面の描写は卓越しているし、美しく秀でている人を憧れて描くデッサンは詩人の技である。
0投稿日: 2012.09.18
powered by ブクログ中学生のときに初めて読んでから、ずっと心に残るものがあって、読み返すたびに感じることのある一冊。 最初はおぼろげながら「わかる」と思っていたことが、だんだんと明確に、わかるようになってきた。
0投稿日: 2012.09.06
powered by ブクログずっと前に買ってから、読んでいなかった『デミアン』。読んでみたらすごかったです。すごい勢いで読んでしまいました。ヘッセは『車輪の下』を読んだきりでした。『車輪の下』、きれいな男の子がいっぱい出てきたので面白かったですが、特に衝撃ではなかったです。でも、『デミアン』はスゴイ・・・・・・ 世界文学全集に収録されている、「悩める青少年もの」って、たいてい、最後は、キリスト教的な価値観に収束していく。・・・私にはそんな思い込みがありました。だからこそ、この『デミアン』は頭を殴られるような衝撃でした。光と闇、正しいものと間違ったもの、神様と悪魔。その二項対立から物語は始まりますが、やがて・・・。どうなるかわからないまま、ラストまで読みました。 主人公シンクレールが、成長につれて出会う、男の友人たち(デミアンはもちろん)も、とても魅力的でした。酒場で語り合う男たち的なものに、女の私はいつまでも憧れがあります! あ、あと、最近、マンガ『悪の華』にハマってるのですが、この『デミアン』とかなり似たテーマを感じます。『デミアン』は最後ああなったけど、『悪の華』のラストはどうなるんだろ~~。
0投稿日: 2012.08.23
powered by ブクログ今の自分の読解力では、まだ理解できなかった。 なんか日本の同時代の作品にも似たようなものが合った気がする・・。 偏った価値観や宗教観が目立つように思う。 哲学色が濃いですね。 他の作品も読んでみて、もう一度読み直そうと思う。
0投稿日: 2012.07.23
powered by ブクログ宗教観や思想、哲学的な話が全面的に出ている作品でとても難解でした。 ″私は、自分の中からひとりで出てこようとしたところのものを生きてみようと欲したにすぎない″の一文や、はしがきから既に散文詩のようで掴みどころがなかった。 全ては自分の中からしか生まれないし、全ては自己なる内で完結される。というふうに今の私は解釈しましたが、時が来たらまた再読します。
0投稿日: 2012.07.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
一つの本が人の人格形成を左右するだなんてリアリティに欠けた考えだと思っていたけど、この作品を読んでいる最中から、そういうこともあるのかな、とか考えが簡単に覆っている自分の存在がいたことは認めざるをえませんね。実際のところはわからないけど、(私のように精神の未熟な)学生のうちに読んでおいて良かったとは思います。自分の生き方について考えさせられました。僕は死にません。たぶん。たぶん
1投稿日: 2012.07.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この短さにこれだけの重要な思想がつまっているのはすごい・・・。 ストーリーを楽しむ系読書家は向いていません。主題や思想に触れるのが好きな系読書家にオススメします。 この本を読んで未来に希望が持てるようになったし、死ぬのが前よりも怖くなくなった気がします。 間違いなく必読です!
0投稿日: 2012.06.12
powered by ブクログ「鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。鳥は神に向かって飛ぶ。神の名はアプラクサスという」 物語後半までこの意味がきちんと理解できていなかった… 世界が生まれ出るために崩壊しようとしている 古い世界の終わりは新しい世界のはじまり 途中、内容が難しくてよく分からないまま読み進めてしまったところもあるが、シンクレールの不良少年との不幸な経緯から戦場での最後を通して自己追求とはなにか深く考えさせられました。 繰り返し何度も読まないとだめですね… ヘッセの作品に日本人が登場したときはぎょえええーと思った。すこし嬉しい。 『車輪の下』とともに『デミアン』は腐女子のバイブル…なるほどと思ってしまった。
1投稿日: 2012.06.11
powered by ブクログ荒い。ある形が生まれる瞬間特有の危うさがある。 運命と自由、定められていることと定め無きこと。 己の主観に没頭するなかから両者の一致を見いだすことがテーマと、言おうと思えば言えると思う。けれど、そうやって掴もうとすると、掴む手の隙間からボロボロとこぼれ出ていくものがある。それは具体的な当時の状況や、未完成ながら生のヘッセではないかと思う。 この作品自体にはあまりのめり込めなかった。主題は、作者にとっても今まさに掴もうとしている瞬間にあるようにも見える。よく咀嚼され、理解を越えた直観として人に届く「表現」にまで昇華されていないように感じた。執筆時の時代と状況に深く関わったヘッセの中ではややリアルな側面がある作品であり、普遍化があまり為されていないということかもしれない。 「デミアン」以降の「シッダールタ」「荒野のおおかみ」「知と愛」は、「デミアン」がより純化され、洗練されたものと言えそうだ。一方で「デミアン」は、これらにない一回限りの、無数の雑味を含んで作家へルマン・ヘッセの成り立ちを教えてくれる。
4投稿日: 2012.06.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「悪魔をも包含した神を創造しなければならない」 「鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。鳥は神に向かって飛ぶ。神の名はアプラクサスという」 ここに凄くピンときた。 善いものと悪いものは紙一重で、むしろその対極にあるのが悪い意味での「平凡」であるということなのかなと思った。 生まれ出る、が、どのような手段を意味しているのかは分からなかった。 とにかく今年は良い本に出会う率が高い。 一生読むかもしれないシリーズ、2作目。
0投稿日: 2012.06.08
powered by ブクログヘッセの作品の中でもっとも優れているものは?という質問に対してよくいわれるのが「知と愛」と「デミアン」の2つだ。知と愛については私の座右の書で、何度となく読んでいる。デミアンは読んだことがなかった。だから読んだ。少し遅かったな、というのが感想だ。本には読むべき時期がある本がある。ヘッセやサリンジャーの本なんてまさにそうだ。
5投稿日: 2012.02.28
powered by ブクログ「すべての人間の生活は、自己自身への道である」人生は恋人、友人、親と、人とのかかわり合いと、何よりも自分自身とのかかわり合い、会話であると実感。 小説とはいえないとても奥深い書でした。今年一番の本!
0投稿日: 2012.02.25
powered by ブクログ光と闇の世界の狭間で揺れ動きながら、 求めているのは自分自身とは何かを知ることだと気づく。 ヘッセは、不安定で繊細な青年の頃の心の葛藤を本当にうまく描き出すなと思います。 光の世界を善とし、闇の世界を悪とする。 そんな世の中に疑問をつきつけるデミアン。 人が常に追い求めているのは、正義でもなく悪でもなく、自己とはなんであるのかということ。 戦争も殺人も、他人に弾を放つのではない、ナイフを振りかざすのではない それは自己の内面に弾を放ちナイフを突き刺すのだ 人生とは、自己と向き合う長い旅のようなものなのかもしれない。 終わらない旅。
0投稿日: 2012.01.11
powered by ブクログ前半、ひどく共感。後半、えらく抽象的。根底に流れる考え方は一貫している。シンクレールはデミアンに出会ってラッキーだったね。自分自身を知るには外界からのきっかけが必要なんかね。本書もその一助となるだろう。
0投稿日: 2012.01.02
powered by ブクログこの作品の中の名言をとある別の小説で読んで感動 必死で探して見つけた作品 デミアンかっこいい…あんな友達いたら幸せ 全てを理解してて許してるデミアンすごい 表現とか物語もすごくすき
0投稿日: 2011.12.28
powered by ブクログ(1968.04.11読了)(1967.08.13購入) 内容紹介 ラテン語学校に通う10歳の私、シンクレールは、不良少年ににらまれまいとして言った心にもない嘘によって、不幸な事件を招いてしまう。私をその苦境から救ってくれた友人のデミアンは、明るく正しい父母の世界とは別の、私自身が漠然と憧れていた第二の暗い世界をより印象づけた。主人公シンクレールが、明暗二つの世界を揺れ動きながら、真の自己を求めていく過程を描く。
0投稿日: 2011.12.24
powered by ブクログ弱く繊細で純粋な少年が、苦悩と迷いを抱えながらも懸命に思考し、成長していく物語。哲学的に世界や、世界に存在する自分のあり方、新しい境地や価値を見いだそうともがき、そして到達していく姿が描かれている。デミアンという人間の魅力が本当に素晴らしい。また、人間の精神の複雑さがよく分かる本。 ただ、日本語訳の仕方があまり好きじゃない。
0投稿日: 2011.12.02
powered by ブクログもっと外に目を向けろという常套句ではなく、内にこそ現実はある。そんな指南と叙情に満ちた物語。 10代のうちに読んでいたら、また違った感慨だったのかな。
0投稿日: 2011.11.08
powered by ブクログ授業で扱った作品の中で登場したため、読んでみた。ヘッセの作品は『車輪の下』しか読んだことがなかったので、それとはだいぶ違うイメージ。自己の探究が大変深く、深すぎてなんか暗い。
0投稿日: 2011.10.14
powered by ブクログ名前だけは知っている名作古典。 初めて読みました。 読んでみて幼年期の思い出の辺りは青少年のうちに読んでおいた方が良い挿話だったなあとしみじみ思いました。子供にとっての世界は大人にとって取るに足らない瑣末な事柄であっても重大事でそこで自分の人生は終わりだ、と思うぐらい大変なことなんだよなあ、と。昔の自分に読ませたかったかもなあと思いました。 それにしてもキリスト教圏で封建的に生きると言うことの難しさ、殻を破る痛みとどうしても力が必要なことはひしひしと伝わってきました。たぶん自分がそれほど自己と向き合わずに生きてきたのは時代もありますが文化的な背景もあるのではないかな、と。 後これは反対意見もあるかもですが自分が女性だからかなあ。 女性の方が社会や周囲に適合する協調能力が強いのかもしれない。一概には言えませんが。 星に恋して星に向かって飛び立つ時、想いを信じ切れなかった少年の悲しさ。冒頭にある「私は、自分の中からひとりでに出てこようとしたところのものを生きてみようと欲したにすぎない。なぜそれがそんなに困難だったのか。」という一文。 凄いな、と思いました。
0投稿日: 2011.10.04
powered by ブクログ酒酔ってるからまともなレビューが書けない.いっつも書いてないけど. 河合隼雄の本を読んだ後だったので,前半は結構理解できた気がする. しかし後半は少し難しくて理解できなかった.
0投稿日: 2011.09.11
powered by ブクログデミアンの言葉にぐいぐいとひきつけられた。彼の不思議な魅力はなんだろう。 シンクレールの心に寄り添いながらぐっと沈み込んだり、ふと浮遊したり、ぐさっときたり… 迷いに迷っている今読んだからこそ、共感や発見も多くあったような。 興味深く、内側に強く訴えられた。 「少女革命ウテナ」をきっかけに手にとった本。 「ウテナ」を解釈する材料であると同時に、自分と向き合う上で重要な本。 幾度も読み返してみたいと思う。 ヘッセの他の作品も読んでみたい。
0投稿日: 2011.09.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読み終えるまでにひどく時間がかかった。 物語の端々に宗教批判、新たな人類のあり方、世界への憂いを感じられた。 車輪の下を読んで味わった「懐かしさ」が忘れられず、この本を手にとって読んでみたら、前半は確かに車輪の下に通ずる郷愁の念をうかがえたが、後半からはそういった過去にすがる感情、過去に自由を求める自分からの脱却の意思が強く表れていた。 「彼らは自分の責任と自分の道を想起させられることを恐れるばかりに、どこに行っても自分の過去に自由と幸福とを求めるのだった。」とシンクレールは悟るのだけれど、なんだか仲間に裏切られたようなそんな気分になった。 過去への執着を愚劣と切り捨て、運命に忠実に生きよう、自分自身になろう、と己と向き合っていく様子は、閉塞感を押し破り新しいものを求めて戦争に向かおうとしていた国家の空気と比例しているように感じた。 最後の方は国家の進む道と人々の運命を混同しているようにも思えた。 デミアンは一体何者だったんだろうなあ。昔の人はみんな哲学的な議論をできたのかねえ。 カインの印があったからこそ、こんな会話ができているのか(笑) とにかくデミアンの言葉はいちいちかっこよかったです。 やっぱり私が惹かれるのはシンクレールの少年期の部分だ。 ひとつの嘘から近所の不良少年クローマーにたかられて、「私の生活は破壊されてしまった」などと悔やむ様子は、一見大げさのようだけれど、大人にとって少し頭をひねれば簡単に解決できてしまえるような失敗でも、子供頃はそれこそ自分自身の終わりや世界の終わりのように感じてしまうことって結構あったなあと思った。 小学2年生のときに、確か「書写」の授業でテキストに書かれた漢字や平仮名を鉛筆でなぞるという宿題を出されて、何を思ったか私はそれをボールペンでなぞって、書き損じたので修正液で直したことがあった。 そのときに初めて「自分は悪いことをしている!」という背徳感を味わった。 今考えると、当時どうしてそんなに悩んでいたのか全く理解できないが、そのころの私にとってその行為はものすごく重大な、いってみれば「罪」というもので、なんでも相談していた母にも打ち明けられなかったし、いつ先生にばれるかというのを考えては夜眠れなくなったし、両親に幻滅されるのではないかとさえ思った。 今でも鮮明に覚えているほど。
0投稿日: 2011.08.26
powered by ブクログヘッセの著作を最近よく読んでいるが、一番訳の分からない作品だった。しかしながらなんだか伝わってくるものがある。解説にあったが、この作品がヘッセの前期と後期の分かれ目になるらしく、この作品は今まで読んだ「車輪の下」「メルヒェン」等と少し違う感じがした。 ところで、デミアンという謎の少年がシンクレールの元に何かあるごとに現れる、この現象は読み終えた今となるとすべてシンクレールの空想だったのではないかと感じられる。しかしデミアンが空想の人物だと考えると、シンクレールという少年は実はすべてのことを自分自身で解決して生きて行く立派な人物という事になる。人は他人に影響されて生きて行く、自分自身が作り出した他人の影響がこんなにも大きなものなのだとは考えにくい様な気がする。しかし余りにもデミアンは空想的な人物でありすぎると思う。
0投稿日: 2011.08.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
中学の頃に読んで、自分の人生に一番影響を与えた本ではないだろうか。 人生とは、自分自身を見出し、真に自分自身となるための旅だという。 主人公の自我の成長が、「デミアン」という魅力的で神秘的な愛すべき他者との対話を通して丹念に描かれる。 そして、物語の最後で「デミアン」とは、いつかの日か成長した自己、自身を投影した像であるということが暗に示される。 この仕掛けそのものが、文学的な比喩としてとても魅力的だ。 青春小説としても、教養小説としても、心の深いところにしっくりと響く。 人生に寄り添ってくれる作品として、いまだに、とても好きだ。
0投稿日: 2011.08.17
powered by ブクログ第一次世界大戦中の1919年に、最初は偽名で発表されたそうです。 薄い本なんですが、読むのにやたら時間がかかりました。 幼少期、主人公は「デミアン」に会う。 デミアンは、 学校で習うことや、目の前で展開されている現実の世界そのものが、 誰かが考え一般化されたものにすぎず、その裏に自分の内心が存在し、 多くの人がその内心から目を背け、同じような方向に進んでいく・・・ みたいな主旨で主人公に説く。 そしてそこから主人公の、内心の完全なる独立を求める葛藤が始まる。 途中何度もエヴァンゲリオンが頭をよぎります。 「鳥は卵のなかからぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。 生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。」 この一節が好きです。
0投稿日: 2011.07.31
powered by ブクログ「車輪の下」が好きで、この本に手を伸ばした人は、肩透かしを食った気分。 デミアンって存在が謎すぎ。人間なのだろうか。 よく納得できない部分が多いが、それでも、さすがヘッセ。 青年期の気持ちをよく表わしていると思う。感動です。
0投稿日: 2011.07.28
powered by ブクログ宗教の話が出てきたりで難しかったけど、心に残る言葉がたくさんありました。もっと大人になったらもう一度読みたい。
0投稿日: 2011.07.19
powered by ブクログ読むのが難しい本です。内容もあんまり理解できてないです。それでも、評価を★5つにする価値があると思います。年を取ってからもう一回読みたいです。
0投稿日: 2011.07.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「私は、自分の中からひとりで出てこようとしたところのものを生きてみようと欲したにすぎない。なぜそれがそんなに困難だったのか。」(冒頭より) これほどまでに的確に、多くの人がぶち当たる困難を表現できる平易でありながら深い物語はないように感じられました。 旧約聖書の中で、「あなたはわたし以外のなにものも恐れてはならない」とあるのですが、それを踏み外すと次々に大きな困難や苦悩が現れる、それもよく描かれている本だと思います。 ドイツ人作家ヘルマンヘッセはこの作品を境に牧歌的なものから自らの内心を語るものへと関心を変えていったそうで、どうやら日本では前者への人気が高いようです。ただ、私はキリスト教的な内容にかなり共感を覚え(調べたところ、彼のご両親は私の属する教派にいたようですから当然かも)、後者をもっと読んでみたいという思いに駆られました。 この作品では特に「善意」「悪意」「信頼」「罪悪感」を扱っています。もちろんクリスチャンでなくとも共感できるはずの内容ですが、第2章「カイン」を読む時はぜひ旧約聖書を手に取って、自分で内容を確認しつつ読んでほしいと思います。「正統」とされる解釈と、「異端」とされる解釈を対照するという主人公シンクレールの体験を丁寧に追うことで、シンクレールが思考を巡らせているその背景をしっかり理解することができると思います。もちろんシンクレールは正統である方を選ぶのですが、物語の価値というのはすべて読み手の解釈そのものにかかっていると、こんなにも薄い本で知らせてくれる作品はなかなかないものです。 本当に薄い本ですが、ぜひ静かに一人で読んでみてください。
1投稿日: 2011.06.18
powered by ブクログ思い出補正が強すぎるのですが、中学の頃の読書感想文を書く為に選らんだ本でしたが、気付いたら夢中で読んでました。今も本棚に残している大切な本です。
0投稿日: 2011.06.07
powered by ブクログとある漫画に出てきていたので、いつか読んでみようと思っていた作品。引用文を読んだとき、がつんと頭を殴られたような衝撃を受けました。なんだか今までもやもやと自分の中でくすぶっていた何かがぱあっときれいになる感覚がありました。 ただ、1文1文の文章が非常に長くて読むときになんとなく構えてしましました。訳文も難しくて、読み進めるのに時間がかかりました。私の文章の理解力のなさも原因だったと思うのですが…岩波文庫の「デミアン」も読んでみようかな、と思います。 まぁなんにしても、これから一生読み続けていく作品だろうなぁ… 最後に。…デミアンとは誰だったのか?
0投稿日: 2011.05.30
powered by ブクログ自分探しすぎ。 「鳥は卵から出るために戦う。卵は世界である。生まれようとするものは世界を破壊しなければならない」の文脈を知りたかったので読みました。
0投稿日: 2011.05.27
powered by ブクログ私は自分の中からひとりでに出てこようとしたところのものを生きてみようと欲したにすぎない。なぜそれがそんなに困難だったのか。 自分を生きること。 自分の頭で考えること。 強く念じること。
0投稿日: 2011.05.16
powered by ブクログ『デミアン』/ヘルマン・へッセ/★★★★☆/確たる自己を確立することが大事であるということをシンクレールの葛藤から描く。ちょっと内容は陰鬱だけど(友人の母親に恋しちゃったり、陰湿ないじめを受けることとか)、読み返した時期が落ち込んでいるときだったので、もういっかい自分をみつめなおそうって思いました。
0投稿日: 2011.05.11
powered by ブクログ2011.4.15 図書館 2011.4.29 読了 中学生の頃に『車輪の下』読んだときは「つまらん(´д`)」と思って途中で投げたんですが、今回は時間はかかったけど最後まで読み切りました。 意外と面白かった。エンタメ的な意味ではないけど。
0投稿日: 2011.04.29
powered by ブクログ中1~2の間に何度もくり返し読んで、中3の卒業文集では引用した。それぐらい自分にとって意味のある小説。
0投稿日: 2011.04.03
powered by ブクログ前半〜中盤までは、つまんないなどうしよう…と思いながら読んでいましたが、後半から一気に今まで読んだ書物の中で最高と思うほどになりました。それほど私にとっては面白かった。永遠のような自己との対話。そういうものが読みたい方は、中盤まで我慢して、是非読みきってください。
0投稿日: 2011.03.21
powered by ブクログ二十年ぶりに読んだ。 新しい感動があった。そして、記憶していた以上に難解だった。 リリードのすばらしさ。
0投稿日: 2011.02.28
powered by ブクログごめんなさい、私にはまだ良さがわからなかった… もう、内面のあらゆることが、すごい考えて考えて考え抜かれてって感じは伝わったんですけど、ごめんなさい、私には理解出来なかった… というより、なんていうか… なんか読んでも読んでもスーって右から左状態というか… 最初の、シンクレールがクローマーに見栄張って嘘ついたことから、めんどくさいことになって、デミアンに救われるまでは気持ちがわかるっていうか物語ぽかったから楽しかったんだが、 その後は正直あんまり覚えてないレベルで理解してない笑 面白いくらい流し読みでしか進めなかった笑 もう少し、活字に慣れて、なおかつ心が穏やかなときにもう一回しっかり読みたいと思います。
0投稿日: 2011.02.22
powered by ブクログなんというか…不思議な世界に連れてかれたような、そんな感覚。 章のタイトルを見ればその話が思い出せる、というのは久々の感覚。 明るい世界と暗い世界を生きる少年。 太宰治『人間失格』みたいな?ヘッセ自身が自己を追い求めた作品。 こういう作品はあとがきの解説が頼り。 「星になろうとした少年の寓話」が気になって読み始めたけど、そこはそんなに印象的ではなかった。
0投稿日: 2011.02.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2011.01.16- ノヴァーリスが読みたい。 あらゆる事が必然で意味を持っている。世界は自分の中にある。 ヘッセの主要作品(小説)の年代記 1904 郷愁(ペーター・カーメンチント) 1906 車輪の下 1910 春の嵐(ゲルトルート) 1914 湖畔のアトリエ(ロスハルデ) 1915 クヌルプ 1916 青春はうるわし 1919 デミアン 1920 クリンクゾルの最後の夏 1922 シッダールタ(内面への道) 1927 荒野のおおかみ 1930 知と愛(ナルチスとゴルトムント) 1932 東方巡礼 1943 ガラス玉演戯 解説で、シンクレールが死んだという解釈があると書かれていて、驚いた。シンクレールは生きていると思う。自分だけでは思いもよらないことがあるから、人って素敵だ。 「汝があるところの一切、汝が意志するところの一切、汝がしなければならぬところの一切は、自分自身から出発する」ペスタロッツィ 「自然に帰れ」ルソー 「おのれに帰れ」ヘッセ でもやっぱり微笑みも歌も詩も欲しい。
0投稿日: 2011.01.16
powered by ブクログ高校生の頃初めて読んで、救われたと思った。 大学生になって再度読んで、青年向けの本だなぁと思った。 私は、オトナになってしまったのか。 ともあれ、迷える青少年に絶対的にオススメする一冊。
0投稿日: 2011.01.12
powered by ブクログ初めて読んだのは10代最後の頃。何故生きるのか?など、苦しく混沌とした心境でヘッセに救いを求めていた時代でした。 高橋健二訳のデミアンを、一字一句全てが自分自身の体験のように感じられるまで時間をかけて読み、読み終えた時には暗唱できそうなくらい心と身体に浸透していました。星に恋した若者の個所が忘れられません。 他の翻訳でも読んでみましたが、かなり違和感があり、翻訳でこうも格調が違ってしまうのだと痛感させられました。 やはり原語で読むのが1番なのでしょうね。私には無料ですけれど。
1投稿日: 2011.01.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
正直、感想の述べようがありません。そのくらい私にとっては難しく、おそらく今から2度目を読んでも理解には足らないでしょう。 自分とは何か。また、何故誰かを求めるのか。 このことを本当に、真剣に考えてから手にとってやっとわかる内容なのではないでしょうか。人生経験の浅い私にはまだまだ遠い本だったかもしれません。 少年の日の思い出のような学童向けの内容では断じてありませんので、読む際にはそれなりのご注意を。ただ、話の内容は難しくとも、流れは感じ取れると思います。
0投稿日: 2010.12.23
powered by ブクログ以前旅で出会った面白い先輩が、「人生観が変わった」と言っていたのを聞いて、これは読むしかないと帰国してから間もなく購入。 しばらくは本棚に埋もれていたのですが、旅行中少し自分を見つめなおしたいという気持ちもあって連れて行きました。 内容はけっこう難解。しかし運命というものを深く考えさせることは確かです。 将来もう一度読みなおそう。
0投稿日: 2010.12.19
powered by ブクログ本棚の奥底に眠っていたのを思い出して久しぶりに思い出しました。 やはり深いですね。 はじめて読んだのは確か中学生のときでしたが、当然ながら今のほうがずっと浸れます。
0投稿日: 2010.11.20
powered by ブクログ「車輪の下」「知と愛」は飽きずに読めたけど途中なんか以下挫折しそうになった。 自分には文章が崇高すぎて理解しづらかった。 人生悪いときもあれば良い時もあるし一時的に落ちていても、きっと良くなるのかな。 そんな時に心から共感できる友達がいるというのはすばらしい。
0投稿日: 2010.11.20
powered by ブクログ生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければいけない。 「車輪の下」よりこっちの方が面白いと思うんだけどなあ。
0投稿日: 2010.11.02
powered by ブクログ主人公のシンクレールは自分自身への道を理解できないでいるところにデミアンという少年に出会い、そこから少しずつ自己への道を理解し始めるという個人の内面を描いている作品。西欧の宗教色の強い思想が土台になっているような気がするので、理解しづらいところがけっこうあった。
0投稿日: 2010.10.26
powered by ブクログ前半のくよくよしたシンクレールのいじめられっこ の話から後半はどんどんニューエイジの預言書の ようになる。神学校でのデミアンとシンクレール美 しい再会のシーンは美少年がたくさんでてくる国籍 不明の30年くらい昔の学園少女漫画の元祖みたいな 作品だ。
0投稿日: 2010.06.27
powered by ブクログああ、デミアン!我を救うは汝か! 「自分自身にに立ち返らせるための孤独」! 私が今味わっているのはまさにそれなのだ。 ヘッセは車輪の下でもそうだったが、なぜこうも自分自身を作品の中に見いださせるのだろう! そう、私の中の「神」をさえも!
0投稿日: 2010.05.19
powered by ブクログ【内容】 デミアンは、夢想的でありながら現実的な意志をいだき、輝く星のような霊気と秘めた生気とをもっている謎めいた青年像である。 「人間の使命はおのれにもどることだ」という命題を展開したこの小説は、第1次大戦直後の精神の危機を脱したヘッセ(1877‐1962)が、世界とおのれ自身の転換期にうちたてたみごとな記念碑ともいうべき作品である。 図書情報参照元: http://webcatplus-equal.nii.ac.jp/libportal/DocDetail?txt_docid=NCID%3ABA89863077 ----------------------------------------------------------------- 印象深い言葉にあふれた青春の一冊。
0投稿日: 2010.05.02
powered by ブクログこれも「知と愛」同様に、ある二人の少年(青年)が時間をこえて強くつながっている話なんだけれど、ヘッセの作品はその再会までのプロセスとか登場人物の考え方なんかがものすごく共感出来ます。これもまたそう。そしてひとつひとつの台詞がものすごく素敵。こんなこと言ってくれる人がいたらほんと一生友達にしたいくらい。 個人的には最後の終わり方は衝撃でした。確かにこれは発表された当時の世界情勢を考えると、問題作と言われてもおかしくない作品だと思います。
0投稿日: 2010.03.25
powered by ブクログヘッセの本は『車輪の下』で先に進まず挫折して以来ですが、これには驚かされました。共感出来る部分が多い。中学受験の頃の思い出が頭の中で蘇り、ああそうだこんなふうに苦しかったんだ、とか、こんなこと思っていたんだ、とか、そんな忘れていたことを思い出しました。 哲学的な要素が多すぎて、首を捻りながら読み進めていくのは、もったいなくて辛かった。もっと宗教にくわしくなってドイツ語を学べば、理解できるんじゃないかとは思うんですけど。 読み終わった後で、人間ってこんなものだよねって独りごちた。
0投稿日: 2010.03.22
powered by ブクログ自分の生き方がわからない。そんな悩める青年に是非読んで欲しい作品。ページ数は少ないけど、濃密です。 但し、文体に特徴があるので感性が合わないと読みにくいかも。
0投稿日: 2010.02.09
powered by ブクログ買ったのは中学生のときだけれど、読む度に印象が変わる、深い深い物語。これを読んで以来、わたしの投影している憧れの人、よりよく生きるモチベーションを上げてくれる人(それはきっと自分自身の中にも同時に存在しているものなのですが)を「ベアトリーチェ」と呼んでいます。
0投稿日: 2010.02.09
powered by ブクログこれを読んでから哲学や考え方が変わった。というか、当時、思春期真っ只中で、余計なことしか考えていなかったので、目が覚めた。 「ああ真理だ…」と感じた一冊。もともと読書が好きなのに、他のことで忙しいと思っていた私に、再び読書欲の火を付けた一冊。そしてヘッセ作品は全部読もうと決めた一冊。 「鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない」をはじめ好きな言葉がたくさんある。
0投稿日: 2010.02.07
powered by ブクログ■目的 娯楽の読書。 ■見たもの・感じたもの(テーマ) 自己に忠実でないことは不幸の源である。 痛みや苦しみを伴いながらの、内証による自己の確立と解放の重要性。 ■感想 高橋健二氏の解説では、「ヨーロッパの頽廃的惰性的な文明や既成の社会倫理観や宗教観に根本的な批判を加えている」ということでした。既存の価値観を破壊するのは好みなので、なかなか満足できました。 もう少し解説から引用とメモ。 「ゲーテのように脱皮と転身によって更生することを怠らないものでなければならない」 「なんじがあるところのいっさい、なんじが意志するところのいっさい、なんじがしなければならぬところのいっさいは、自分自身から出発する」 ペスタロッツィ 「自然に帰れ」 ルソー 「おのれに帰れ」
0投稿日: 2009.12.29
powered by ブクログ随分前に読みました。まるでマーク・トウェインの「不思議な少年」のような、デミアン。 抽象概念を形にしたようなデミアンは、知恵の使い方や、空虚の広大さを教えてくれました。今でも何度も読み返してデミアンに思いを馳せることがあります。
0投稿日: 2009.12.22
powered by ブクログ主人公が言動が優れていると感じるデミアンとの交流を描く。内面の掘り下げを通して実は自己の鏡であることに気づく。ヘッセは短文に深い洞察をきつきつにこめており一読しただけではつかめない部分もある。
0投稿日: 2009.12.08
powered by ブクログヘッセ好きですわ。 ニヒリズムにも繋がる内容。 主人公シンクレールが自己を追い求める物語。 デミアンとの出会いにより、自我が芽生え始め、デミアンとの再会、戦争を経て、自己に出合う。 人間は真に自己自身になるべきである。自己に忠実でないと不幸が降ってくる。 古い世界の終わりが新しい世界の始まりと文末で語っていて、納得しましたが、なかなか想像は出来ないものです。 まだまだ噛み砕ききれてないので、何度もヘッセについて反芻していこうと思います。
0投稿日: 2009.12.05
powered by ブクロググノーシスの影響下に書かれたという情報を得て再読した。思春期に読んで変な小説と思ったのは確かな過たない見方だった。ナンとも気持ちの悪い小説だった。 ただ、デミアンを媒体として思想の展開が本格的に始まるまでの悪童との関係などはみずみずしい、微に入り細をうがった描き方で秀逸だった。 ヘッセはなるほどグノーシスをかじった節があるが、体系の一部分を拡大解釈した間違った捉え方で、危険きわまりない。 ヘッセは平和主義者で通っているようだが、『デミアン』の後半部などはヒトラーの登場を用意したとしか思えないし(それが自覚できるほど、知的だったとは思えない)、知識人としてきちんと分析すべきところで酔っていたり、夢想していたりする。 ヘッセは東洋哲学に親昵した作家かと思っていたが、彼にはキリスト教的定型思考法が叩き込まれていて、東洋哲学……その核心といえる神秘主義を理解することは難しかったのではないだろうか。案外サリンジャー的に似た捉え方だ。 西洋人にも、バルザック、ホフマン、ラーゲンレーヴ、ジョージ・マクドナルドのように神秘主義が血肉となっていた人はいくらでもいるのだから、西洋人としての限界というわけではない。あくまで個人としての限界なのだろう。 デミアンとエヴァ夫人からは、グノーシスよりもニーチェの影響のほうが濃厚に感じとれる。
0投稿日: 2009.12.02
powered by ブクログ高校生の頃から何回も読んでます。 デミアンという人間の存在って、なんだろう? こどものころってこんなことが重要で、 大きなことだったな。 何回読んでも「うーん」と考えてしまいます。 これからも、何回も読むと思います。
0投稿日: 2009.11.14
powered by ブクログヘッセの作品の苦しくて奥深きところが好きだ。 究極の内向的とはこのことか。 生きたい、生きたい、生きたい。 そんなストレートで純粋で悩ましい高次な欲求が彼の作品から伝わってくる。
0投稿日: 2009.11.04
powered by ブクログ「私は、自分の中からひとりでに出てこようとしたところのものを生きてみようと欲したにすぎない。なぜそれがそんなに困難だったのか」 中二病をこじらせて突き詰めたような話。って片付けちゃいけないか。 答えは自分自身の中にしかない。考えて考えて考え抜いた先に見つけた、唯一の答えに従い生きていくしかない。 随所から漂ってくる宗教色が、後期ヘッセが受けた仏教の影響とやらなのかしら。 「鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない」
0投稿日: 2009.11.03
powered by ブクログヘッセは中学生の頃教科書で学んだ「少年の日の思い出」以来。その時思春期の微妙な息苦しさを感じてから、敬遠していたが、「デミアン」はいつか読まなければと思っていた。 ユングの影響を受けた作品というだけあって、自己の内面と向き合う哲学的な内容。 デミアンの存在そのものが「導き手」として完璧すぎて、現実感が希薄だ。どこから届けたのか分からない手紙や、作品の最後での彼の登場など謎が多く、そもそも彼は本当に存在した友人なのかと思ってしまう。 シンクレール自身の内面にいる友人なのではないか、などと考えてみたり。 最近は「物語」ばかり手に取っていたので、久々にこういう本を読んだ。 残念ながら貧弱な頭では感想としてここに書き出せるほど思考がまとまらない。もっと若い頃に読んでいれば強い影響を受けただろうと思う。
0投稿日: 2009.10.28
powered by ブクログデミアンという存在が印象深い。 最後の方の語らいの時、彼の持つ恐怖を彼自身が口にした時は、彼も人間なのだと知った気がした。 反面、それでもしるしを持つ人として貫いたとも思う。 文章が最初こそ違和感を感じた(話し言葉の丁寧さなど)が、すんなりと受け入れることができた。美しいと思う。 個人的にこういう話は好みなので、もっと早く読みたかった。
0投稿日: 2009.10.23
powered by ブクログ慣れるまでめちゃくちゃ読みにくい「THE・訳書」って感じだけど、 深~い内容だった気がする。 読んだ直後はパーッと天上から光が差し込んで、 何もかもがわかった気になるんだけど、 その光も日々の生活の中で埋もれていく。 そんな話だった。 アプラクサス出てきた。
0投稿日: 2009.10.23
powered by ブクログシンクレールが表題のデミアンという少年に出会うことによって、変化していくシンクレールの心と、彼らふたりの友情の話。
0投稿日: 2009.10.13
powered by ブクログ今更ながらヘッセってすごいね!! と思いました。本当に今更。 デミアンという少年の存在の大きさ。宗教とかは難しいので詳しく知らないのですが、カインとアベルのデミアンの解釈とかちょっと驚きました。 ヘッセもシンクレールのように善と悪の世界に苦しんだね。 09’10’2
0投稿日: 2009.10.03
powered by ブクログ田口ランディの小説でこの本が取り上げられていたので。 戦争という事項がこの本の背景にあったということは知らなかった。 与えられた運命を精一杯生きること、それ以上もそれ以下もない。 っていうことなのかなーって思った。 問題意識と共通していて興味深く読みました。
0投稿日: 2009.09.27
powered by ブクログエロいシーンは一切無いのにエロスを感じる。上品エロス。 誤解を与えないように言っておくけどそういう話ではなく、深い精神世界の話。
0投稿日: 2009.08.30
powered by ブクログヘルマンヘッセは中学校の時から読んでいます。デミアンは何度も読んでいますが、読む度に自分が変わっているような気がします。 文中に出てくるアプラクサス、まさにその渦中だったときもあり、まだその渦中だと思うときもあり。 いい本です。
0投稿日: 2009.08.21
powered by ブクログヘッセの前半の作品よりも、デミアン以降が基本的に合う(好き)。 第一次世界大戦のさなかで、戦争への批判、平和への希求、 自己への内部への探究がより深くなっていく気がする。 社会や人生、そして自分自身が自分自身の生をまっとうすることに関しての 洞察が鋭い。 特にデミアンは私をハマらせたきっかけの本かもしれない。 車輪の下では、なんだか詩的な世界で青年の苦悩を描いた作品、、、としてしか 印象に残らず、この作品で、自分の道を探究していく生のあり方、 そして孤独、苦しみを描いてくれる彼と高橋健二に感銘を受けた。
0投稿日: 2009.08.20
powered by ブクログ「鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。」革命とは。私たちの内心を揺さぶるものとは。。若いうちに読んでもらいたい一冊。
0投稿日: 2009.08.15
powered by ブクログ精神分析の影響を強く受けたヘッセの作品。 全体を通して主人公シンクレールの精神的成長、自我の追及というものをモチーフとしている。 自我の追求とは自分に正直にということなのだろうか? 登場人物のエヴァ夫人とは、恐らくシンクレールのアニマではないだろうか。 そして光の世界、暗の世界とは自我、もしくは意識の世界と影、もしくは無意識の世界のことではないだろうか。
0投稿日: 2009.07.08
powered by ブクログ気弱な少年が不思議な少年デミアンとの出会いから、何かに目覚め、妄想に駆られ、悪にあこがれていく話。結局どこにも行き着けないのだが、キリスト教の強烈なテーゼにメスを入れて、善悪の明確なコントラストを打ち崩すような流れがある。第一次世界大戦の悲劇を目の当たりに、ヘッセが苦悩から書き上げた名作。東洋の宗教哲学がゆっくりと流れて入るような、ヘッセ自身の混濁がなんとなく読み取れる作品。わかりづらさもある。 09/4/30
0投稿日: 2009.04.30
powered by ブクログ少年の脆くて危険な心の様を描いていたけれど、読むごとにどんどん落ちていってなかなか先に進むことが出来なかった。読み終わった後もそこから何かを得られた実感は無く、ただ淡々と文字を目で追っていただけのような感覚に陥った。 外国文学って、やっぱり少し苦手です。
0投稿日: 2009.04.04
powered by ブクログ全てにおいて暗示的で予感で、青春を費やした予感の先に、君はどんな未来を自己を手に入れたのよ、と問いただしたくなるような小説。読む時期で感想が変わるかも知れない。シンクレール少年が、幼い頃の聖なる世界から自分で自分を引き離していく感覚がリアルで、序盤はかなり感情移入した。それ以降の彼の思考の流れも緻密で、「分かる」と思わされ、デミアン少年はハッとするほど魅力的だ。でも僕と人はこんなに違う、僕はこんなに孤独で、僕の思考はこんなに先進的、という実体の見えない、その周辺をぐるぐる回るばかりの理想追求の姿は滑稽で歯がゆい。苦悩と運命の先にやっと再びデミアンに会い、夢の中の見知らぬ星のように美しい彼の母エヴァ夫人に出会い語らっても、度々彼の言う運命や本当の自己、世界の変革って何なんだと言いたい。シンクレールの抱くような予感を持つ人は多い。ただこの小説のようにそれを緻密に表現できる人は少ない。予感の描写やエヴァ夫人に魅了されたけれど、期待に反して意外と納得しがたい小説だった。それとも通勤時間に毎日十分ずつちびちび読むのが合っていなかったのかな?
0投稿日: 2009.02.20
powered by ブクログ車輪の下を読み終えた後にヘッセが気になり始めて購入した本。大学生の時に買ったのに途中で飽きて結局読み終えたのは4年後ぐらいになった…。 まぁ読んでみれば面白いですが結構難しいですね。
0投稿日: 2009.01.30
powered by ブクログ途中まではとても、とても好きになりそうだなぁと思ったのに、終盤に向けて「?」となった。別の小説がくっついたみたいな気分。 こういうの嫌いじゃないけど、あまりに思い込みが激しいのは危険。
0投稿日: 2008.12.25
powered by ブクログヘッセが、ユングの深層心理学にはまって書いた小説。 すごくおもしろくて深く迫ってくるのだけど、日常生活と折り合わないです。
0投稿日: 2008.09.10
powered by ブクログ主人公シンクレールが日常を通しデミアンに感化され成長し、そして変化を描きながらその心情がリアルに描写されている。 社会に対する懐疑をもち、如何にして生きるかという人の悩みをリアルに再現している。 そのヘッセの哲学に魅了されてしまった。 捉え方は人それぞれだが、いや自分自身、解釈しきれない・・・ もう一度読みたいと思う。
0投稿日: 2008.08.23
powered by ブクログ幼少の頃の親や家の中にある明るい世界。少年になるにつれて眼前に広がり始める暗い世界。彼は暗い世界に浸るとき必ず罪悪を感じる。しかしデミアンという少年に会ってから世界の見方がだんだんと変わっていき、自己を究極にまで見つめようとするに至る。 とてもおもしろかった。ところどころ自分に経験のあるような心情や出来事があって昔を思い出した。
0投稿日: 2008.08.18
powered by ブクログ私の人生を変えた一冊で、多感なハタチぐらいの頃そりゃもう繰り返し読んだもんだけど、何がそんなに気に入ってたのかなあ? すごく端的にあらすじを説明すると、気弱な主人公がある友人との出会いを切っ掛けに成長していく物語なんですけど、純文学によくある、全てを明確にはせず結局 読み手側が考えるとゆうニュアンスが多分私好みなんでしょう。どうやら割り切れないものが好きみたいです。
0投稿日: 2008.07.29
powered by ブクログ青春期の価値観の揺らぎを書き出した力作。 己の内に深く没入していながらも、外から見た自己も捨てきれず悩む主人公シンクレールに自分の姿を投影する人は沢山いると思います。涙も笑いもありませんが、読み手に深い共感を与えてくれる本です。 教科書によく載せられている『夜の孔雀の目(クジャクヤママユ)』を読んだ時は、かなりの衝撃を受けましたが、本作をある程度落ち着いて受け止められるようになったということは大人になったということでしょうか。しかしもう少し早くに読んでおけば良かったと思いました。
0投稿日: 2008.07.27
powered by ブクログ暖炉の火を見つめながら祆教(ゾロアスター教)のことを思い出したりとか、「鳥は卵の中から抜け出ようとたたかう。鳥は神に向かって飛ぶ。神の名はアプラクサスという。」というような台詞が出てくるところなどがとても印象に残る小説だった。最後のシーンの雲の重苦しい流れの描写も素敵だった。
0投稿日: 2008.06.21
