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それでも、日本人は「戦争」を選んだ
それでも、日本人は「戦争」を選んだ
加藤陽子/朝日出版社
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総合評価

260件)
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    •東大教授の加藤陽子先生が栄光学園の歴史同好会の学生に対して行った講義。骨太で詳細。古典ラジオのヘビー版的印象。 •第一次世界大戦、日露戦争、日清戦争、日中戦争、太平洋戦争までの流れ。 •各要人の思惑と昭和天皇への忖度が生んだ先制攻撃の流れ。国際関係上の立ち位置を勝ち取るのに必死の日本と止められない欧米列強の流れ、現場の辛さと本部の現場感の欠如。 •情報不十分な中での意思決定の失敗。 ・避けるのは難しかった戦争と実感。忖度が蔓延する組織でどう思惑を達成するか、政治を理解するか。 ・この深さで議論出来る栄光学園、すごいな。

    0
    投稿日: 2025.12.29
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    日清戦争から第二次世界大戦まで、日本がどういう経緯で「戦争」に向かっていったのか、たくさんのデータを見ながら学ぶことができました。各国の思惑や判断の理由などがわかりやすく説明されていて、もし当時のこの立場に自分が立っていたら…、と考えてしまいました。これが80~120年前の実際の出来事だということに改めて衝撃が走ります。すごく勉強になる一冊でした。 世界史も日本史も高校以来なので、また復習したいです。 あと、日本の捕虜に対する考え方にゾッとしました。「海と毒薬」を思い出しました。

    1
    投稿日: 2025.07.11
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    【感想】 本書『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』は、筆者の加藤陽子氏が私立栄光学園の中高生17人に行った5日間の日本史講義を書籍にした一冊だ。講義といっても単なる時系列の勉強ではなく、日清戦争から太平洋戦争の間の政府・軍部のイデオロギー、国民の感情、列強各国の戦略、満州・朝鮮地域の秩序といった要素を包括的に分析した「研究」である。当時の日本の国家体制と世界の中での立ち位置を総体的に把握し、なぜ日本最高の頭脳たちが「戦争やむなし」という結論に至ったのか――こうした考察を繰り返すことで、あたかも戦争への道を追体験してくかのような内容に仕上がっている。 タイトルにもなっている「日本人が戦争を選んだ」その理由についてだが、戦争遂行への道筋は多岐にわたり、これといった明確な要因を類型化することは難しい。そんな中で私が稚拙ながら感じた理由の一つは、当時の国民が困窮しており、生活を向上させるために軍部の掲げる政策に縋るしかなかったことである。 戦中の国民の大部分は農家であったが、1929年の世界大恐慌を受けて農業収入が半分にまで下落した。その時に「農山漁村の救済」をマニュフェストとして打ち出していたのは軍部だった。義務教育費の国庫負担や農作物価格の維持といった、農家の生計の安定を主眼とした項目が掲げられた。実際にはその後日中・太平洋戦争へと突入したためこの政策は反故にされるのだが、ひっ迫する家計を前にして「軍部に縋るな」というのはどだい無理な話だっただろう。 こうした事実を前にすると、後世の人々が言う「何故戦争なんて始めたんだ」という批難はあくまで現代の価値観によるものでしかない、ということが分かる。同時に、戦争の決定には軍部だけでなく国民の意思も介在していた、ということも分かる。当時は教育水準の低い農民だけでなく、エリートからも戦争を望む声が挙がっていた。満州事変2ヶ月前の東京帝国大学(現東京大学)で行われたアンケートでは、「満蒙のための武力行使は正当か」という問に対して「はい」が88%を占めている。日本最高の知能と知識を持つ人々でも戦争やむなしと考えていたのだ。それは満州が数少ない日本の資源生産地であったこと、日清・日露戦争を勝利で終えたものの、当時の列強各国に睨まれて十分な補償を得られていないといった事情もある。もちろん、日本側にも満州を足掛かりに植民地を拡大したいという独善的な思惑(これも現代の価値観だが)があったのも事実だ。要はそうした諸要因は、あくまで当時の地政学的ファクターや国際関係の力学によって揺れ動く不安定なものであって、現代の常識や感性では測り切れない。 日本人の感覚では、太平洋戦争はあくまで軍部に「巻き込まれた」戦いであり、「わたしたち(国民)は犠牲者であった」という思いも残っている。しかし、かつての人々が残した記録を紐解くことで、戦中の空気感が分かり、戦争は「巻き込まれた」ではなく「選んだ」という要素が強かったことを知れるのだ。 ――「みなさんは、30年代の教訓とはなにかと聞かれてすぐに答えられますか。一つには、1937年の日中戦争の頃まで、当時の国民は、あくまで政党政治を通じた国内の社会民主主義的な改革を求めていたということです。二つには、民意が正当に反映されることによって政権交代が可能となるような新しい政治システムの創出を当時の国民もまた強く待望していたということです。 しかし戦前の政治システムの下で、国民の生活を豊かにするはずの社会民主主義的な改革への要求が、既成政党、貴族院、枢密院など多くの壁に阻まれて実現できなかったことは、みなさんもよくご存知のはずです。その結果いかなる事態が起こったのか。社会民主主義的な改革要求は既存の政治システム下では無理だということで、擬似的な改革推進者としての軍部への国民の人気が高まっていったのです」 ――――――――――――――――――――――――――― 本書を読んだ感想だが、「歴史ってこんなに面白かったのか」と感嘆しっぱなしだった。中高生相手の講義という形式を取っているおかげでもあるが、説明が明快でかつ読み手にも考えさせるような問題提起がたくさん含まれており、非常に楽しい。また、当時の生きた人々の感覚を掴みながら議論を重ねる、という行為がこんなにも重要であることを知れたのも嬉しかった。 ボリュームはかなり多いが、内容は密であり相当に濃い読書体験ができる。非常におすすめの一冊だ。 ――――――――――――――――――――――――――― 【まとめ】 1 戦争遂行のためのイデオロギー 1930年代、当時の日本国民は政府に対して何を所望していたか。1つ目は、1937年の日中戦争の頃まで、当時の国民は、あくまで政党政治を通じた国内の社会民主主義的な改革を求めていたということ。2つ目は、民意が正当に反映されることによって政権交代が可能となるような新しい政治システムの創出を、当時の国民もまた強く待望していたということである。 しかし戦前の政治システムの下で、国民の生活を豊かにするはずの社会民主主義的な改革への要求が、既成政党、貴族院、枢密院など多くの壁に阻まれて実現できなかった。その結果、社会民主主義的な改革要求は既存の政治システム下では無理だとして、擬似的な改革推進者としての軍部への人気が高まっていった。 日本国憲法を考える場合、太平洋戦争における日本側の犠牲者の数の多さ、日本社会が負った傷の深さを考慮に入れることが絶対に必要である。日本国憲法といえば、GHQがつくったものだ、押し付け憲法だとの議論がすぐに出てくるが、そういうことはむしろ本筋ではない。ここで見ておくべき構造は、巨大な数の人が死んだ後には、国家には新たな社会契約、すなわち広い意味での憲法――国家を成り立たせる基本的な秩序や考え方――が必要となるという真理である。 死者がそれほどまでに多い、つまり「総力戦」を戦うためには、新しい社会契約のもとでの国家目標が必要になってくる。なぜなら、成年に達しない青少年を徴兵ではなく志願させるため、教育の分野に国家のリクルート(兵員調達)の仕組みが張りめぐらされるような戦いを国家が遂行するためには、それほどの労苦をしのぶ国民に対して崇高な補償が必要だからだ。国家は、「民主主義の国をつくるため」というように、将来に対する希望や補償をアピールしないことには、国民を動員し続けられない。 一方で、戦争が相手国におよぼす作用はなにか。ルソーはこれについて「戦争は国家と国家の関係において、主権や社会契約に対する攻撃、つまり、敵対する国家の憲法に対する攻撃、というかたちをとる」という答を出している。 アメリカは戦争に勝利することで、最終的には日本の憲法――天皇制を変えた。 2 日清戦争 東アジアを舞台としたロシアの南下を、イギリス帝国全体としての利益にはならないと考えていたイギリスは、日本に対しては、とにかく列国間の対立や紛争に巻き込まれないだけの能力を持つように、すばやく法典編纂を行なってくれ、とのスタンスで臨んだ。事実、大日本帝国憲法は1889(明治22)年に完成する。 一方、社会制度について日本とは全く異なる道を歩む国がいた。それが中国である。中国は華夷秩序(=周辺国との間で朝貢体制を結ぶことで、中国を大家として東アジア諸国中の関係を律する制度)という、列強にとっては大変便利な制度を持った国だった。 1880年代に、ロシア、フランス、日本というような国々が清国の華夷秩序=朝貢体制に挑戦するような紛争を起こしたとき、清国がきちんと一つひとつ対応をとるようになった。また、そうするだけの力をつけてきた。そのため、80年代半ばの時点においては、清国は日本型の発展(法典によって商法や民法といった権利が保証され、列強間の権利を等しく管理できるような独立型国家)の方向性、中国型の発展の方向性、どちらの可能性も十分あった。 当時の日本人は東アジア情勢をどう考えていたか。「脱亜論」を書いた福沢諭吉は、「日本国民の精神は欧化しているが、中国と朝鮮は欧から離れている。中国と朝鮮という列から離れて西欧列強と一緒になるべき」「清国人は古い考え方に囚われている。日本はやむをえず、文明開化のために兵力に訴えるのだ」と述べている。また山県有朋は、中国から朝鮮を引き離し独立させ、日本が朝鮮の中立を補償するべき、という考えを持っていた。 日清戦争が起こったのは、朝鮮が「自主の邦」かそうでないかなどを清国が決める立場にある状態そのものを武力で崩してしまおう、という決断を日本が下したからであった。そして、ここにイギリスが乗っかる。ロシアが南下してくるのを牽制するため、日本に対して「関税自主権や治外法権を改訂するから、日本が清国(とバックに付くロシア)とやりあってくれ」という立場で支持を表明したのだ。 日清戦争後の日本には普通選挙が導入された。これは、戦争に勝ったのに三国干渉で遼東半島を失ってしまったことに対して、国民が「戦争には強くても、外交が弱かったせいだ。政府が弱腰なために、国民が血を流して得たものを勝手に返してしまった。政府がそういう勝手なことをできてしまうのは、国民に選挙権が十分にないからだ」との考えを抱いたからである。 3 日露戦争 日清戦争の勝利で朝鮮国内に日本の圧倒的な優位が確立されたかに見えたのは一瞬で、その後に続いた事態、韓国の近代国家への模索と、日本とロシアが韓国をめぐって均衡している状態だった。 ロシアは満州を横断する中東鉄道の支線の敷設権を中国から獲得し、旅順・大連の25年間の租借権も奪ってしまう。1902年に満州から撤兵すると約束したのにそれもしない。これを重く見たイギリスが日本に同盟を提案し、1902年に日英同盟が調印される。ロシアに対して自制を求める同盟だった。 日露戦争前の交渉では、日本側は韓国における日本の優越権を求めた。その代わり、確かにロシアの満州占領はまずいけれども、満州鉄道の沿線はロシアが勢力圏としてよく、中東鉄道とその南支線などはロシアが「特殊なる利益」を持っていると日本側は認める、との主張を展開した。対してロシア側は、満州にも韓国にも日本の優越権は認めない、ただし、朝鮮海峡をロシアが自由航行する権利を認めるなら、日本の「優越なる権利」を認めてもいい、と突っぱねた。満州の権益をめぐるすれ違いが日露戦争の引き金を引いたのである。 日露戦争も今までの戦争と同じように代理戦争であった。ロシアの援助はドイツ・フランスから、日本の援助は英米から受けたものである。英米は大豆という世界的な輸出品を産する満州をロシアが占領したままであることは気に食わなかったため、「満州地域の門戸開放」というプロパガンダを形成し、戦争を後押しした。 日露戦争の勝利によって、韓国は日本に植民地化されることが規定の路線となり、他の帝国主義国家が平等に満州に入れるようになった。 国内では、戦争のための増税により選挙権者条件が15円→10円に改訂され、選挙権者数が戦前の2倍になる。今まで政治家になれるのは地主などの豊かな農民に限られていたが、商工業者や実業家あがりの政治家が一気に増えていった。政治家の質がガラリと変わったのだ。 日露戦争での日本の戦死者は84,000人、戦傷者は143,000人。これだけの戦死傷者が出たので、日露戦争の前から満州事変にかけて「日本は20億の資材と20万の生霊によって獲得された満州の権益を守れ」という意識が芽生えるようになった。 4 第一次世界大戦 第一次世界大戦後、日本は安全保障上の利益を第一目的として、植民地を獲得した。日本は1914年に南洋諸島(ドイツ領)の島々を占領し、1919年のパリ講和会議で、委任統治して経営しなさい、と南洋諸島を預けられた。同時に中国の青島と膠済鉄道を取り、中国を陸と海から攻められるルートを得た。 しかし、第一次世界大戦によって、帝国主義の時代にはあたりまえだった植民地というものについて批判的な考えが生まれるようになったのも事実である。アメリカ大統領ウィルソンは、連合国の戦争目的をあらためて理想化しなければ世界の人々を幻滅させてしまう、あるいはボリシェビキの理想に負けてしまう、との危機感にとらわれる。その結果が、1918年1月の年頭のアメリカ議会において発表された、戦後世界はこうあるべきだとの理想、いわゆる、ウィルソンの「14カ条」だった。そのなかで最も有名なものが、民族自決主義である。 ただし、民族自決の念頭にあった地域は第一次世界大戦で中立が侵害された東欧諸国のみであり、英仏などが第一次世界大戦前に獲得した植民地などに対しては、原則を適用しようとは考えていなかった。 第一次世界大戦の結果、日本国内においては多くの「国家改造論」が登場して、「とにかく日本は変わらなければ国が亡びる」という危機感を訴える集団がたくさん生まれた。 5 満州事変と日中戦争 満州事変2ヶ月前の東京帝国大学(現東京大学)で行われたアンケートでは、「満蒙のための武力行使は正当か」という問に対して「はい」が88%を占めた。日本最高の知能と知識を持つ人々でも戦争やむなしと考えていたのだ。 満州事変は当時の日本人には戦争ではなく「革命」と捉えられていた。松岡洋右は「満蒙は日本という国家の生命線である」と述べている。満蒙への投資のうち85%が国絡みであったからだ。軍人たちの主眼は、来るべき対ソ戦争に備える基地として満蒙を中国国民政府の支配下から分離させること、そして、対ソ戦争を遂行中に予想されるアメリカの干渉に対抗するため、対米戦争にも持久できるような資源基地として満蒙を獲得する、というところにあった。国際法や条約に守られているはずの日本の権益を、中国がないがしろにしているかどうかは、本当のところあまり関係がなかった。 そんななか国民に火をつけたのが、1929年10月のニューヨーク株式市場の大暴落に端を発した世界恐慌である。農家の年平均所得は、29年に1326円あったものが、31年にはなんと650円へと半分以下に減ってしまっていた。 関東軍は朝鮮(日本の主権下)から中国の主権下である東三省に朝鮮軍を独断越境させた。これは司令部条例に入っていない行動であり、本来は閣議の了解を取らなければならないが、強引に既成事実を作ってしまった。 これを受けて蒋介石は国際連盟に事件の解決を訴え、リットン調査団が派遣された。リットン調査団の報告書では、日本に有利な点と不利な点が書いてあったが、日本の行動が連盟規約違反である、あるいは不戦条約違反である、などとは書いていなかった。ただ、日本軍の軍事行動は、合法的な自衛の措置とは認められないと書かれていた。 また、「満州国」という国家は民族自決の結果生みだされたものではなく、日本の関東軍の力を背景に生みだされた国家であるとも書かれていた。そして、日本は満州地域における「中国的特性」を容認しなければならないと求めていた。簡単にいえば、日本は満州が中国の主権下にあることを認めなさいということである。 吉野作造は、世界の中での日本の位置あるいは日本国民の考え方が、ひたひたと変化していっていることに気づいていた。吉野は『中央公論』の1932年1月号に「民族と階級と戦争」という題名の論文を寄稿している。そこで吉野は、今の日本の状況が不思議だと書いている。自分はかつて日露戦争を見てきた。政党も大新聞も、戦争開始の前には必ず戦争を進めようとする政府への非難をたくさん書いた。しかし、なぜこれが今起こらないのか、それが不思議でならないと。 吉野は、土地も狭く、資源に恵まれない日本が、「土地及び資源の国際的均分」を主張するのは理屈として正しい、とまず述べる。しかし、土地や資源の過不足の調整は、「強力なる国際組織の統制」によってなされるべきだ、「渇しても盗泉の水は飲むな」と子供の頃から日本人は教えられてきたはずではなかったのか、と嘆いている。 何故政党が戦争反対の声を挙げられなかったか。それは1つに、中国に対する日本の侵略や干渉に最も早くから反対していた共産党員や戦争反対勢力が、治安維持法違反ですべて監獄に入れられてしまっていたからである。 連盟脱退の前にも、国内では「連盟脱退を叫んではダメだ」「妥協案を探れ」という声が上がっていた。それをぶち壊したのが陸軍であった。陸軍は、満州国の南部分、中国の熱河省に治安維持の名目で軍隊を進行させた。これは陸軍の独断ではなく、天皇自身が承認を与えた作戦だったが、これが国際連盟規約第16条「連盟が解決に努めているとき、新たな戦争に訴えた国は、すべての連盟国の敵とみなされる」に該当してしまった。国際連盟は満州国を認めていないため、連盟から見れば中国の土地への侵略に見えたからだ。 斎藤首相は慌てて天皇のところにかけこみ承認を取り消してほしいと頼むも、天皇が一度出した許可を撤回したとなれば、天皇の権威が決定的に失われる。また、陸軍などの勢力は天皇に対して公然と反抗し始める恐れがある。そうした可能性から撤回は却下され、やむなく、連盟から勧告を受けた際には自ら脱退する、という方策を選択することとなった。 当時の大衆は陸軍のスローガンに魅せられていた。1930年は国民の半分が農民だったが、その農民が望んでいた政策は普通選挙を通じてもなかなか実現されなかった。加えて29年から始まった世界恐慌の影響を最も過酷に受けたのは農民であった。そんな中、「農山漁村の疲弊の救済は最も重要な政策」と断言してくれる集団が軍部だったのだ。義務教育費の国庫負担、肥料販売の国営、農作物価格の維持、耕作権などの借地権保護を目指すといった項目が掲げられ、それに期待する国民の目線があった。 6 太平洋戦争 開戦当時、アメリカと日本の国力差は国民も自覚していた。ただ、戦力差を痛感しながらも、太平洋戦争は強い英米を相手にしているのだから、弱いものいじめの日中戦争と違って明るい戦争なのだ、という雰囲気もあった。 日本はヨーロッパの戦争にずっと不介入でいればよかったのだが、ドイツ軍の快進撃を前に日本側に欲が出てくる。東南アジアにはヨーロッパの植民地がごろごろしており、植民地の母国がドイツに降伏した以上、日本の東南アジアへの進出はドイツに了解してもらえる。また、ドイツ流の、一国一党のナチス党による全体主義的な国家支配に対する憧れが日本にも生まれてくる。衆議院では相変わらず政友会や民政党などの既成政党が多数を占め、貴族院では生まれた家柄がよいだけの無能な貴族が多数を占めている、これではダメだというロジックである。こうした国内の気運を背景に、日中戦争勃発時の首相であった近衛文麿が新体制運動に着手し、40年7月22日、再び首相の座につく。この2カ月後、ドイツ、イタリアとの三国軍事同盟が締結された。 日本軍が中国への侵攻を開始してから、アメリカは日本に対して航空機とその部品の対日輸出を禁止し、日米通商航海条約の廃棄を通告する。イギリスも中国に借款を行い、中国援助を増やしていく。特に蒋介石はアメリカに対し「共産党勢力が中国に広がるぞ」と脅しをかけ、1億ドルの借款およびアメリカ製の飛行機100機とパイロットを貰っている。 着々と太平洋戦争への道が舗装されていく裏では、米国との交渉による回避策も検討されていたが、41年7月2日の御前会議で南部仏印進駐が決定され、交渉は行き詰まりを見せる。 何故南部仏印進駐に反対意見が出なかったのか。もともと、6月22日に独ソ戦が開戦していたが、この年の4月13日、日本はソ連と中立条約を結んでいた。日独伊ソのいわば四国同盟に近いものができて、これで英米などの資本主義国と対抗できると考えていた。しかしこのプランは独ソ戦の勃発で崩れてしまい、日本もソ連の背後からドイツと一緒になって攻撃する、と方針を転換した。 外務省と参謀本部が北進論を提唱、それに対して日米交渉を模索する陸軍省と海軍が北方戦争論を牽制するように動き、結果「南部仏印に進駐」という案にまとまる。このとき陸軍省と海軍の考えでは、南部仏印進駐をしたからといってアメリカが強い報復措置には出ないだろう、とたかを括っていたが、アメリカはすぐさま石油の全面禁輸に踏み切った。 41年と45年、つまり戦争を始めた年と終わった年の日米飛行機の生産機数の変化を見てみよう。日本の41年当時の生産機数を100とすれば、最初の年、アメリカはせいぜい107ほどにしかならない。差は小さい。しかし、45年7月には、日本を100としたとき、アメリカの力は1509にもなった。この「潜在力」がアメリカを最強足らしめた能力であり、だからこそ日本は「速戦即決の勝利」に賭けた。 国土と植民地と人的物的資源が豊かなソ連、アメリカ、イギリスと異なり、日本もドイツも持久戦をやってられない。水野廣徳は日本を指して、「国家の重要物資の8割を外国に依存している国なのだから、生命は通商関係の維持にあり、日本は戦争をする資格がない」と述べている。 7 敗戦の結果 太平洋戦争が、なぜ日本で受身のかたちで語られることが多いのか。「被害者」という言い方を国民が選択してきたのはどうしてなのか。 その1つは、戦争に動員された人を「奪われた」と感じることが多かったからだ。44年から敗戦までの1年半の間に全体の9割の戦死者を出して、その戦死者は遠い戦場で亡くなっていた。日本という国は、こうして死んでいった兵士の家族に、彼がどこでいつ死んだのか教えることができなかった国だった。日本軍は戦死者の情報を国民に伏せており、国民全体が敗戦を悟らないように、戦死者の情報全体を合計することはできないようになっていた。当時の日本人はラジオで情報を得ていたが、これも正確な情報を流さなかった。 太平洋戦争が「被害」として国民に語られる背景の2つ目には、満州にからむ国民的記憶を挙げる必要がある。 45年8月8日、それまで日本とソ連は中立条約を締結していたが、ドイツが降伏してから3カ月後に対日参戦するとの約束どおりに、日本に参戦、侵攻を開始する。アメリカは8月6日、広島へ原爆を投下していたので、日本の敗戦は時間の問題ではあった。そこにソ連からの侵攻があり、満州に開拓団移民として多数入植していた人々が、ソ連軍の侵攻の矢面に立たされたこともあり、ソ連に対する憎しみの感情は戦後の日本で長く生きていた。 満州と呼ばれた地域には、敗戦時、150万人の民間人がいた。それに加えて50万人の関東軍兵士がいた。侵攻してきたソ連軍によって、ソ連のシベリア地域やモンゴルなどの地域に抑留された日本人は約63万人(1990年発表のロシア側史料による)。約3割が連れ去られたのだ。もちろんソ連の側にも事情はあった。ドイツとの間に続いてきた熾烈な戦争によって、ソ連国内では労働力が不足していた。そこで、鉄道建設や林業などに日本人捕虜を勤労させた。抑留された人々約63万人のうち、苛酷な環境により死亡した人は6万6400人に及ぶ。200万人のうち、ソ連侵攻後に亡くなった人の総数は24万5400人と言われている。 一方で、日本軍の捕虜の扱いはひどかった。あるアメリカの団体が、捕虜となったアメリカ兵の名簿から、捕虜となり死亡したアメリカ兵の割合を地域別に算出した。ドイツ軍の捕虜となったアメリカ兵の死亡率は1.2%にすぎなかったが、日本軍の捕虜となったアメリカ兵の死亡率は37.3%にのぼった。 日本軍の捕虜の扱いのひどさは突出していた。もちろん、捕虜になる文化がなかった日本兵自身の気持ちが、投降してくる敵国軍人を人間と認めない気持ちを生じさせた側面もあっただろう。しかしそれだけではない。自国の軍人さえ大切にしない日本軍の性格が、どうしても、そのまま捕虜への虐待につながっている。 このような日本軍の体質は、国民の生活にも通底していた。戦時中の日本は国民の食糧を最も軽視した国の1つである。敗戦間近の頃の国民の摂取カロリーは、1933年時点の6割に落ちていた。40年段階で農民が41%もいた日本で、なぜこのようなことが起きたのだろうか。日本の農業は労働集約型である。そのような国なのに、農民には徴集猶予がほとんどなかった。工場の熟練労働者などには猶予があったのだが、肥料の使い方や害虫の防ぎ方など農業生産を支えるノウハウを持つ農学校出の人たちをも、国は全部兵隊にしてしまった。すると、技術も知識もない人たちによって農業が担われるので、44、45年と農業生産は急落してしまった。

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    投稿日: 2024.06.25
  • 主権線と利益線

    日本が戦った、日清戦争から太平洋戦争までの5つの戦争を、著者と栄光学園歴史部の生徒たちが大きな流れとして議論し理解を深める様子が記されている。 戦前の日本が辿った道筋やその指導者層の思考プロセスは、現在の情勢を理解するにも十分役立つと思う。

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    投稿日: 2024.05.11
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    図書館で借りた。 タイトルからは、「左か右か、なんかイデオロギー強めのお話かなぁ…」と訝しんだが、読んでみてびっくり。東大の先生による近現代史の深い授業だ。歴史の授業と言っても、ただ事実を並べている訳では無い。それがこの本の良さであり特徴だ。 中高生相手に授業をしている講義録の形式。ただ、受け答えのレベルが異常と言えるほど高い。「そんなの高校生知ってるのか!?」という流れが多かった印象。興味を持つ人が多いのは分かるが、授業という枠組みはかなり超えているかと感じた。 近現代史を深くしるには良本。ただ、ほぼゼロ知識で挑むには高い壁があるかな。この本を読むための教養・前提知識が求められている気もした。

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    投稿日: 2024.01.11
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    当時の戦争に関することを様々な目線で見ることができた。一般市民の目線から考えると自分の事に忙しい日常の中で、あまり深く考えず世論や軍の表面的な言葉になんとなく流されてしまうのもわかる。なんなら「戦争すんのも仕方ない」とも思ってしまっていたかも。今の日本には「どんな状況になっても戦争だけは絶対に起こしてはならない」という価値観が広まっている気がする(そもそも戦争できない、というのもあるけど)。この価値観を守り伝え続けていくこととが大切だと思った。当時の日本が歩んでしまった過ちにも目を向けることで、よりそれが認識できた。

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    投稿日: 2023.11.26
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    数年前から何度か読んでは途中で止まってしまい…今回初めて最後まで読み終えた。 この時代の歴史こそ、学ばなければと感じた。 日本が戦争をしない道を選ぶことができたのか、という問いの答えはハッキリと分からなかったが、色々な本を読んで探っていきたいと思った。 太平洋戦争は兵士にとっても、国民にとっても悲惨な戦争だったため、日本の場合、受け身「被害者」として語られることが多いが「加害者」の側面も忘れてはならないと感じた。

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    投稿日: 2023.11.01
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    著者(教授)の授業形式で歴史(戦争)を学んでいく。 歴史を学びたくて読み始めたが、そもそもなんで歴史を学びたいのか。それは私たちがこれからどのように生きて、なにを選択してゆくのか、その大きな力になるのではないか。 戦争責任問題についても責任を問う側と問われる側、2つの姿勢を持ち続けることか大切。確かに問われる側のことはあまり考えていなかったなと。

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    投稿日: 2023.10.28
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    満州事変前には東大学生でも満蒙を守るためには武力行使やむなしとのアンケート結果が9割。満州事変は陸軍の暴走というイメージだったが、すでに国民全体に戦争への空気が醸成されていたという事実は考えさせられる。自分がその時にその場にいたらどう判断したのか。 世論に流される無垢な国民の1人なのか、補助金目当てに満州に多くの農民を送り込んだ役人なのか、それとも反対した村長なのか。 また、当時の日本は日中戦争を戦争と思っておらず、討匪戦との位置付けだった事と、9.11の後のアメリカの対テロへの感覚が同じというのは面白い見方。 今の日本は国防への関心が高まっており、勇ましい意見が国民に醸成されつつある。 空気に左右されず、自分で情報を取捨選択し自分の頭で考える事を肝に銘じたい。

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    投稿日: 2023.09.30
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    読んでいてめちゃくちゃ楽しかった本。 日本人なら人生で一回は読んでほしい!と思うくらい、いろんな人におすすめ。 小中学生の頃は学校の科目の中で歴史が一番好きだったけど、高校で進路の関係上理系を選択して以来歴史にはノータッチ。 でもやっぱり、私は歴史が好きなんだなあと思った。難しい言葉もちょくちょくあるけど、それでも全然楽しんで読めた。 めっちゃ栄養のある本。 何度でも読みたくなる本。

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    投稿日: 2023.08.05
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    著者は日本学術会議の任命拒否で話題になった人物で発行が朝日出版社。想像に反してイデオロギーの偏りはない。 石原莞爾や松岡洋右には甘めの記述で「日本切腹、中国介錯論」など初めて知る内容が多く勉強になった。

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    投稿日: 2023.04.30
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    日清、日露から第二次大戦終結まで。高校生への講義として平易な言葉で解説がなされてはいるが、”過去を振り返る”歴史ではなく、その時代、その状況だったらどう考えるだろうか、という歴史家の視点が明確で、読みごたえがある。19世紀末~20世紀の戦争と政治、経済を取り巻く世界の重層的な動きを捉える入門書として、高校生の副読本(教科書でも)にしてほしいくらい。

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    投稿日: 2023.01.28
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    学術会議メンバーから外されてしまいましたが、決して左に寄ってる訳でもありません。中立で客観性がある良書だと思います。

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    投稿日: 2021.12.29
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    何年かに一度読み返したくなる一冊。中高生向けの講義の書籍化だが、大人でも読み応えたっぷり。むしろ大人こそ読んで明治〜昭和史を勉強し直すべきかと。

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    投稿日: 2021.09.04
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    東大で日本近現代史を研究、教える著者が、ある私立中高一貫校の20人ほどに講義した数日間をもとにした本。分かりやすいだけでなく、興味を持って考えるためのヒントが満載。こんな歴史の見方、考察の仕方があると、初めて知った。こういう本を中高生くらいで読んでいたら、もっと興味を持って歴史を勉強できたかも。

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    投稿日: 2021.02.13
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    明治維新からの日本の動きを踏まえて語られている点はわかりやすくて非常に興味深く読んだが、ところどころに著者が問題があると思っている政治家や軍人の考え方に対して「面白い」という単語が使われていることに少し違和感を感じた。日本人だけでなく多くの人がなくなった戦争の経過をたどるのには別のいい方があっていいと思う。

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    投稿日: 2021.01.15
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    日本の近代化、日露戦争~太平洋戦争まで内容が濃く書かれていてとてもいいと思った。 比較的、日本のマイナスの部分を多く採り入れている気がした。だが、ネット上では偏りがある情報をネットよりは中立的に書かれているような感じがした。 また、一部生徒たちとの問答形式で書かれており、中学生でも読みやすいような内容となっていた。

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    投稿日: 2021.01.04
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    「中学生、高校生」にしっかりと読んでもらいたい。もちろん、ある程度、経験を積んだ人にも。 様々な資料から戦争を、戦争に至った経緯をわかりやすく伝えている。加藤教授の語り口調で書かれているため、実際に講義を聞いているようで難しいところも理解しやすい。

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    投稿日: 2020.12.06
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    話題の(学術会議任命外し)の6人のひとり、いちばんポピュラーそうな加藤陽子氏の著書を読んでみた。 中高生に現代史を連続講義した際のやりとりを、受講生からの質疑やコメントも含めて書籍化したもの。 現代史というものの性質上、いまだ定説の定まっていない出来事や、当事者の立場によって見える世界が大きく異なることも多いが、そのあたりを捨象し、一面的な解釈を事実のように語る姿勢が、中高生相手(中1から高2)の授業として適切なのかという疑問は残る。 「#それでも、日本人は「戦争」を選んだ」(朝日出版社、加藤陽子著) Day246 https://amzn.to/30rKIKz

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    投稿日: 2020.10.04
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    時の人となってしまった方の名著。 (登録してたと思ったてたの…) 講義形式などは読みやすくて良かったと当時思いました。

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    投稿日: 2020.10.02
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    東大教授の加藤陽子が栄光学園で語る近現代史の特別講義。間違いなく言えるのは、今までこんな本を読んだことはなかったということ。歴史家の深いものの見方に目を見張る。一方、優秀な中高生の柔らかい頭ではなく、いささか、いやだいぶくたびれた中高年の頭にはすいすいと入ってこない部分もある(それだけ中身が充実しているということです^^)。一度ではなく、再読してじっくり勉強したいと思わせてくれる大人の教科書。

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    投稿日: 2020.05.17
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    こういう本って読みたいって思う割に頁が進まなかったりするんだけど、スッと読めた。面白かった。 何となく聞いたことある歴史の用語、知ってるようで全然知らなったり、やっぱりどこか潜在的に植え付けられてる「戦争観」。それってこの本で言ってるような経緯をしると全然違って見えてきたり。 これを読むとやっぱり日本が戦争に向かっていくのは不可避だったんだか。とはいえ「仕方なかった」という被害者観にはならないし、色んな国の思惑が絡み合うなかで、やっぱりタイトルどおり「それでも日本人は戦争を選んだ」んだと思う。 前に読んだ「昭和天皇実録」もう一回読んでみよう。違うものが見えるかも今なら。 そういうのが、「類推され想起され対比される歴史的な事例」として自分の中に積み重なっていくんだろう。 ありがとう。

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    投稿日: 2020.04.26
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    太平洋戦争を「悲惨な戦争だった。おしまい」にさせない考察的な良書 生徒の思考力が素晴らしい これが歴史学であり社会学である

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    投稿日: 2020.03.26
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    高校生への5日間の講義から日本近現代史を語る本。 当時の日本が「もう戦争しかない」と思ったのはなぜか? という問いに対して、回答がないような気がするのは自分だけ?単純には読み解けなかった... 本書では、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、満州事変と日中戦争、太平洋戦争と、大きく5つに分けて、5日間で栄光学園の生徒さんに講義をおこなったものです。 中高校生にもわかりやすい語り口で語られていますが、内容は濃い!ついていけない(笑) それぞれの戦争の事象、経緯が様々な文献から解説されています。しかし、「もう戦争しかない」といういところまで読み解くことができませんでした。 それぞれが詳しく語られていると思うのですが、もっと全体の流れを中心に語ってくれればなぁっと思います。 AMAZONの書評を読むと、理由がよく分かったと書いている方々も多いですが、うーん。 とはいえ、日本近代史を戦争という切り口で解説してくれるのはありがたい。当時の日本、世界情勢が理解できます。

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    投稿日: 2020.02.22
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    日本近代史の講義形式。序章の歴史を学ぶ意義にとても惹き込まれました。それを前提とした客観的な分析で秀逸。

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    投稿日: 2019.11.27
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    令和初めての終戦記念日を迎え、10年前に出版されたこの本を再読した。中高生向けの講義を書籍化したものであり。平易に書かれているが、あなどることなかれ、なかなか骨太な内容だ。その時代にタイムスリップし、自分が作戦計画の立案者だったらと考えることはなかなか興味深い。 日本近現代史と言うと偏った歴史観同士の対立が浮かび、あまり良いイメージを持っていなかったが、この本は面白かった。

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    投稿日: 2019.08.16
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    日本は戦争に巻き込まれたのではない。戦争を選んだというのが被害者ぶるなというメッセージが良い。今も気づかぬうちに危機が来てるかもしれない。

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    投稿日: 2019.04.21
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    日本の近現代史の専門家である筆者が高校生に向けての講義を書籍化したもの。太平洋戦争が明治維新時の不平等条約締結に始り、日清戦争後の三国干渉、第一次大戦後の民族自決に関する批判等からの失地回復を企図した結果であることをわかりやすく示している。また、既存の政治システムが国民の正当な要求を満たせないとき、ポピュリズムに乗じる勢力(日本の近現代の場合、軍部)が台頭する危険性を伝えている。このようにして様々な要因が絡み、単純な軍部の独走ではなく、日本人が「戦争」を選んだのだということを心に刻んでおかなければいけないと思った。

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    投稿日: 2019.04.06
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    今回の勉強会ネタ。戦争の歴史を読み込むと、今の時代への示唆が分かるのでは?という問題提起の元に読み進める。背景を気にしながら歴史を勉強したのは始めてだったが、もっともっと歴史や政治を勉強する必要があると感じさせられた。日本人は「外交」簡単に言うと「諸外国とのコミュニケーション」が苦手で、その弱みを「技術」や「努力」で切り開いてきたんだな〜と。近年は経済力で優位に立つことも多かったが、経済力で中国に抜かれた今・・・また交渉力の弱さが裏目に出ないと良いが・・・と思いつつ語学を学び、交渉力を鍛えよう!!"

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    投稿日: 2019.01.24
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    2010/3/5 R25を見て予約、2011/2/1借りる。2/27 読み終わる。 まず、あとがきから読み始める。 高校の講義を書籍化ということなので、読みやすい。 が、内容は深くかつ論理的・客観的、歴史は科学! 日清戦争から太平洋戦争までを通して 世界的な視野と多くの史料を基に書かれたすばらしい本です。 太平洋戦争というと、よく見聞きするのは、 日本本土が受けた攻撃と被害、南方や満州などでの兵士の苦闘など。 タイトルを見たときは、湿っぽく過去にとらわれた内容の本かと思い 読むのをためらいそうになったが、 本書では、太平洋戦争までが、過去の歴史として分析されていて、ちょっと驚き。 この本の元となった加藤 陽子先生の講義を聞いたのは、超優秀な中学1年から高校2年までの歴史クラブの20名程度。 もっと多くの学生が、この講義を聞く機会があるといいでしょうが、とにかく多くの人に読んでほしい。 歴史は変わらないけれど、歴史の研究は進んでいるのだということにも気づかされました。  資料(史料)も新しく探し出されているし、それらが関連付けられ、相互に比較検討され 新しい解釈ができている。 本を選ぶにも、読者の興味(知的好奇心までも)をそそるだけの本は、避けるべき!  史料と史料が含む潜在的な情報すべてに公平な解釈がなされてること。  歴史(戦争)の実態を抉る(えぐる)適切な「問い」と「答え」が示されていること (この講義で学生になされた問いがそれにあたるのでしょう!) それが、まさにこの本です! 『同じような意味のない本を何度(何冊)も読むのは、時間の無駄遣いだ』と著者は言っています。 肝に銘じなければ!  〜 〜 〜 〜 ☆ 〜 〜 〜 ☆ 〜 〜 〜 本文中で「ぜひ読んで欲しい」「おもしろい」と紹介された本 ・ 「すごく面白い」 →  日本軍のインテリジェンス なぜ情報が活かされないのか (講談社選書メチエ) 小谷賢/著 講談社 2007.4 ・ 「めちゃくちゃ面白い」 → 真珠湾攻撃総隊長の回想 淵田美津雄自叙伝 淵田美津雄/著 講談社 2007.12 ・ 「傑作」 → けものたちは故郷をめざす (新潮文庫 あ 4-3)  安部 公房/著 (新潮文庫 あ 4-3) ・ 「書いた郷土史家を深く尊敬する」 → 満州移民 飯田下伊那からのメッセージ 飯田市歴史研究所/編 現代史料出版 2007.5  (・ 満州移民 改訂版―飯田下伊那からのメッセージ 現代史料出版 / 単行本 / 2009-07) ・ 「ぜひ読んで欲しい」 → 餓死(うえじに)した英霊たち 著者: 藤原 彰 / 青木書店 / 2001-05 ・ クリオの顔―歴史随想集 (岩波文庫) E.H.ノーマン/著 岩波書店 1986.2

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    投稿日: 2019.01.12
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    NHK教育のさかのぼり日本史に触発されて読んでみた。 いままで自分が触れたことがなかった視点。大変興味深かった。この先生の授業を取りたいものだ。

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    投稿日: 2018.11.11
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    中高生への特別講義を本にしたもの。また、この中高生たちがなんとも賢い。 まず戦争というものが持つ重み、政治的インパクトを確認している。大量の犠牲をともなう総力戦においては、国民を戦争へ向けて統合する国家目標や、犠牲者の弔いが必要になる(日比谷焼打事件が教科書で出てくる例か。本書でも満洲への執着の要因として日露戦争の犠牲があげられる)。さらに、戦争は国家間において、相手の国家の憲法(またはそれに類する大事な主権とか社会契約)への攻撃という形をとるとするルソーの説を紹介する。 第一次大戦参戦時に、英米から太平洋にまでは出ないように釘を刺されていた。これが野党に知られることによって、主権侵害であるとして国会での政争ネタになってしまう。のちの二十一か条要求などの対中政策において、この記憶が縛りになって譲歩がしにくくなる。民主主義ゆえに好戦的、強気な言論が好まれて、冷静な外交ができなくなってしまう。一方、アメリカでも終戦後にウィルソンの対日妥協が国会でたたかれて、それを知った日本側は衝撃を受ける。そもそも外交とは妥協であろうに。オープンな議論も時と内容によると言うことか。いまにも通じるだろう。 満洲事変時のリットン調査団については、中国よりだったとばかり思っていたが日本の経済的利益には帝国主義のお仲間諸国はけっこう配慮していたようだ。しかし日本の思惑との間にずれがあったために連盟脱退までつながっていってしまう。この段階ではどうにかできる余地が充分あったように読める。 陸軍、とくに皇道派が貧しい民衆の声を拾い上げていたとも。一定額以上の納税者にしか選挙権がないので政党は貧困層むけの政策には力が全然はいらない。兵隊にとられるよな貧しい農家層は軍に期待する。 海軍軍人である水野廣徳の日本には戦争をする資格がないとの議論。資源がないので、いくら局所戦で勝っても総力戦はできない。通商関係の維持に専念すべきと。当然この議論はまったく受け入れられなかったそうだが、先見性がある。

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    投稿日: 2018.11.05
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    ・「govenrment of the people, by the people, for the people」この表現は日本国憲法前文の一節にもある ・ルソー「戦争は国家と国家の関係において、主権や社会契約に対する攻撃、つまり、敵対する国家の、憲法に対する攻撃、というかたちをとる」 ・胡適「日本切腹、中国介錯」 ・1941年9月6日御前会議「開戦の決意をせずに戦争しないまま、いたずらに豊臣氏のように徳川氏に滅ばされて崩壊するのか、あるいは、七割から八割は勝利の可能性のある、緒戦の大勝に賭けるのかの二者択一であれば、これは開戦に賭けるほうがよい」

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    投稿日: 2018.11.04
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    自分自身、近現代史について、知らないことが多すぎるな。高校生への授業をベースにしているので、比較的平易な文章で書かれているが、内容は濃い。ただ、この本で書かれている史実も一側面であるということを認識して読む必要がある。

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    投稿日: 2018.10.09
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    単純に戦争になった訳ではなく、複雑な要素が絡み合って戦争になったことがわかる。それにしても今も昔も日本という国家は、国民を大切にしない国家なのだろうか。

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    投稿日: 2018.06.06
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    <内容紹介より> 生徒さんには、自分が作戦計画の立案者であったなら、 自分が満州移民として送り出される立場であったなら などと授業のなかで考えてもらいました。 講義の間だけ戦争を生きてもらいまいした。 そうするためには、時々の戦争の根源的な特徴、 時々の戦争が地域秩序や国家や社会に与えた影響や変化を 簡潔に明快にまとめる必要が生じます。 その成果がこの本です。 (本書「はじめに」より) ―――― 東京大学の加藤陽子教授が栄光学園の歴史研究部の生徒を相手に行った講義をまとめた本です。 近代日本が直面した対外戦争(日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、満州事変と日中戦争、太平洋戦争)がどのような状況の中で起こっていったのかを、ち密な資料考証により明らかにしています。 高校生を相手に話をしているのだと、軽く見ているとその専門性の高さに驚かされます。さすがに神奈川一の進学校の生徒(しかも歴史を好きで研究している部活の生徒たち)だけあって、既存の知識も豊富です。 全く歴史の知識がない人の入門としての書籍ではなく、ある程度の歴史知識がある人が読むからこそ、驚きや新たな発見があるのではないでしょうか。 「歴史から何を学ぶのか」という問いは歴史学を専攻している人だけでなく、すべての人間にとって必要な問いだと思いますが、「学ぶ」ためには当時の状況(判断を下した人が「なぜその判断を下したか」ということだけでなく、それを社会(民衆・大衆)がどのように受け止めていたのかということも含めて)を正確に把握していることが不可欠です。 歴史を振り返って、「あの人が悪かった」と指を指すのではなく(戦争責任の所在を明らかにすることと、特定の個人を非難することは違うと思います)、同じような戦争の惨禍を繰り返すことが無いようにするためにも、未読の方にはぜひ一読をお勧めしたい一冊です。 特に序章「日本近現代史を考える」は圧巻でした。

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    投稿日: 2018.03.25
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    本書の「戦争」からイメージされたのは太平洋戦争だったが、日本人が敗戦に至るまでに日清・日露、第一次世界大戦、日中戦争と度重なる戦争を積み重ね、それらが積層的に影響していく様子が理解できる。軍人であった水野廣徳の「独力戦争をなすの資格を欠ける」論はまったくそのとおりで、それを弾圧・無視した日本は、戦争終結までに邦人・外国人に多数の犠牲を出した上に、悲惨な敗戦を受け入れなければならなかったのだな。

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    投稿日: 2017.08.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦争は国家と国家の関係において、主権や社会契約に対する攻撃、つまり敵対する国家の憲法に対する攻撃というかたちをとる。 ��ルソー「戦争および戦争状態論」 「米ソをこの戦争に引きずり込むには、日本と正面から向き合い2,3年は負け続ける必要がある」旨の胡適という人の「日本切腹、中国介錯論」には参った。 これは1935年の声明だが、既に45年の未来を予言している。 このような「政略」を意見出来る人がいる国はやっぱり凄い。 経済力では既に負けているのに、未だに中国に対しては蔑視し勝ちな私達 脱亜入欧の発想が未だに残る私達 アメリカの軍属が車で日本人を轢き殺しても起訴も出来ない現状。 明治の民権派の人々も、国会開設よりも不平等条約改正を切望したという。 沖縄の人以外、そんな不平等を改正しようという意気込みが削がれている。 それでもって、TPPで対等に立ち向かおうとしているのだからおめでたい。 江戸幕府の日本を植民地化しなかったのは、或る国がそうすると他の列強から守るために軍隊を派遣するなどのコストが掛かるからであって、決して私達の交渉が功を奏した訳ではない。 関税をフリーにして貰うだけで十分に恩恵は得られたのである。 松岡洋右は、連盟脱退には反対だったらしい。 「物資の貧弱、技術の低劣、主要輸出品目が「生糸」という生活必需品ではない点で弱点を負っている。よって日本は武力戦には勝てても持久戦、経済戦には絶対に勝てない。故に日本は戦争する資格がない。」 ��水野廣徳「無産階級と国防問題」 故郷を離れて非業の死を遂げた者の魂は、鎮まるべく条件を欠く、戦によって亡くなった者の魂は、後世にたたりをなす御霊となる。 「きさらぎの はつかの空の月ふかし まだ生きて子は たたかふらむか」 折口信夫

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    投稿日: 2017.06.19
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    日本の首脳陣たちが「もう戦争しかない」と思ったのは何故か。日清戦争~太平洋戦争の動乱と背景を解説。 中高生への講義がもとになっているので、対話形式で進み易しい語り口で頭に入り易いです。日本側でもなく他国側でもなく、あくまでも中立の視点なので俯瞰的に近代史を捉えられます。 かつて受けた学校の授業では、戦争による多くの犠牲のみに焦点が当てられ「戦争は悲しみの連鎖だ」「戦争は悪だ」といった狭い視野でしか学ばなかったように思います。しかしこの本では戦争は多くの犠牲を伴うものと十分知っていながらも「戦争しかない」という結論に至った“過程”を学ぶことができます。背景には、当時の世界における日本の立場や経済事情などを筆頭に「いかに自国の立場を優位にするか」といった思惑があり、それらが複雑に絡み合った結果ですが、一つ一つ要点を噛み砕きながら進行するので苦になりません。 最後まで読み、時代の流れのなかで各国政府が「戦争を選ばざるを得なかった」理由が浮き彫りになります。そしてその余波は現代にも続きます。ではこの先、過去の経験を得た私たちは「戦争をしない」選択をし続けられるだろうかと問われると、個人的には全く自信が持てません。今後も世界情勢や政府の意向によって、戦争へ傾く時が訪れるかもしれないと内心不安に駆られます。 と嘆いたところで何も始まらないので、広い視野を持つこと、多角的にものごとを捉えること、自分の望む未来のために一票を投じること、そして情勢は刻々と変化する、だからこそ学び続けることが大切だと思いました。

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    投稿日: 2017.06.10
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    この本の次の作のような”戦争まで”を先に読んでいて 面白く、この本も読んでみようと思い手に取りました。 テーマは、”戦争まで”よりも少し広く、日本の近代史全般 (日清戦争~日露~第1次世界大戦~日中戦争~太平洋戦争)のなかで、日本がなぜ戦争に進んでいったのかが とらえられています。 ”戦争まで”でもそうだったのですが、あくまでも歴史学 としての観点で、物事をとらえて解説していく姿勢が とても面白く、読み進めることができました。 こういう本を我々も含めた、一般の国民が接することで 未来に対して、すくなくとも誤った方向に行くリスクを、 もしくは、いったん立ち止まって疑ってみるという ことが全体として、一部としてできるようななって くるのではないかと思いました。 また、両書を読んでの感想は、歴史学。とりわけ近代史の 面白さ正確に伝えてくれている本とは、初めて接したような 気がします。

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    投稿日: 2017.05.21
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    取り敢えず自分は最初にタイトルを見た時、「左翼が書いた悔恨タラタラの反戦本かな」「いやいやそれとも右翼が喜びそうな戦争正当化本かも」と訝しがっていたのだが、なんと中身は驚く程すっきりとした中立性を保ちながら、ロジカルに近代日本史上の5つの大戦ー日清戦争・日露戦争・第一次世界大戦・満州事変と日中戦争・太平洋戦争ーの開戦の端緒を探っていく内容の本だった。東大教授でもある教え慣れした著者と、歴史好きの中高生達との5日間の講義をまとめた形式の本なので、かなり分かりやすい。それでも結構ディープな話にもなったりして、中高生の子達と比べた自分の無知さに心底恥ずかしくなる事も多々あった。今まで知らなかった経済上・安全保障上・思想上の開戦の理由が数多く説明されていて、非常に面白い。著者が一生手元に置いてもらえるように、と願いながら構成したそうなので、次の世代の通読にも耐え得るだろう。また、この本に書かれている内容が全てではないのは充分承知したので、これをきっかけにもっともっと近代史の事を知りたいと痛感した。

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    投稿日: 2017.02.05
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    知的好奇心を呼び起こす本。戦争は良いとか悪いとかそういう問題ではないことがよくわかる。色々と勉強したい気持ちになる。

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    投稿日: 2017.01.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2009年刊。著者は東京大学大学院人文社会系研究科教授。  栄光学園の学生(高校生)との対話・討論を通じ、戦争に明け暮れた戦前の時代相をレビューする書である。  著者の「満州事変から日中戦争へ―シリーズ日本近現代史⑤」(岩波新書)は既読済みで、それと比較しても、相変わらず緻密な史料分析だなぁ、との感は確かだ。  もっとも、本書の読破以降、著者はどうもクリティカルな視点を持っていない、あるいは殊更持たないようにしている、という気がしてきた。  確かに、本書自体は十分面白い本であるが、別の近現代史研究者のそれとクロスリファレンスさせながら読破する必要性を感じている。  ところで、この討論・討議に参加する高校生の、高校生としては明らかにハイレベルの議論には驚嘆するしかない。

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    投稿日: 2017.01.12
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    日清日露、2つの世界大戦、日本がなぜ開戦に踏み切っていったのか。政策を決定した人たちの頭には何があったのか、何を考えていたのかというのが講義形式でわかりやすく書かれていてとても勉強になる。

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    投稿日: 2016.12.10
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    愚かな戦争とかたずけては死んで逝った人たちに対して失礼になるが、その責任は世界を敵に回して国力も考えずに突き進んでいった指導者、それをあおったマスコミメディアの存在は軍部だけの独走ではないだろう。あらためて文民メディアの存在意義、現憲法を大切にしたいと思う。

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    投稿日: 2016.12.04
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    積ん読で2年近く肥やしになっていたベストセラー本をいまさら通読。そのタイトルから太平洋戦争へと突き進んでいった政治の強権と、日本の病んだ精神について語られているのかと思い込んでいたが、そうではなかった。植民地主義をとる国際的な動きの中での大日本帝国の相対性や、日清戦争から始まる時系列、経済的要請などを冷静に分析しながら、戦争を選んでいった「合理性」に目を向けて無茶な戦争へ至った理由を探っている。 太平洋戦争時、たとえばフィリピン戦線などの話を読むと、兵站というものが一切考慮されていないような、精神論(竹槍で飛行機と対峙するなどとが典型とされる)と人間をいささかも尊重しないファシズムがまかり通っていたことに愕然とさせられ、それがすべてと勘違いさせられてしまう。結果、あの時代とのつながりようのないギャップに、いまを生きる自分とは別の世界、非合理の別次元として近代日本を捉えてしまう心持ちになる。だが本書を読むとそこに生きる民がいて、天皇を最上位に掲げながらも行政・立法・司法も当然そんざいしていた近代日本を、いまと地続きのものとして捉える契機となり、目を開かされた。 高校生に向けた授業を書籍化したということだが、自分の知識が偏見に固まり、その程度にあったことを知る。ベストセラーの理由があるように思う。

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    投稿日: 2016.11.15
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    戦争の始まりはいくつもの偶然と、時代状況そして個別の意思決定の積み重ねによって生じたものなのだと実感できる。生徒である栄光学園の来来世からの質問も骨があって、これからも折に触れて再読したい。

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    投稿日: 2016.10.10
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    東大の日本近現代史の先生が、中学・高校生に日清戦争~太平洋戦争までの近代の日本の戦争について講義し、それを纏めた本。 学生さん達は、栄光学園の歴史研究部のメンバーが中心なので、たぶん私より日本史詳しいな。。とはいえ、講義形式で書かれていることで非常に読みやすくなっています。 まずはタイトルが凄い。 著者も言っているように、日本の戦争については書店に刺激的なタイトルの本が並んでいます。大抵が「日本は悪くない」と言っていて、個人的にも「軍部主導の戦争」「日本はやむなく戦争に巻き込まれた」という感覚が少しあったのですが、そこにぶつけてくるようなこのタイトル。歴史学者の本気を見たような思いです。 読み進めるにあたって個人的に気をつけていたのが、「今後、日本人は戦争を選ばずにいられるのか」ということ。単に「戦争反対」と叫ぶのではなく、過去に「それでも」戦争を「選んだ」リアリティを知った上で、それでも不戦を選び続けられるのか。 感じたことは、妙に守りの薄い意思決定ができてる箇所(レバレッジ・ポイントのような…)があって、そこで決定的な選択がなされると、たとえ日露戦争のように国民感情が後ろ向きだったとしても、戦争に突き進んでしまうということ。国際連盟脱退も、別に脱退一辺倒だった訳じゃなかったんですね。 それでも太平洋戦争直前は、戦争に向けた選択が積み重なったり、他国の思惑も重なったりと非常に暗澹たる気持ちになります。 (ABCD包囲網の話は、中学受験でも扱うくらいなので、敢えて触れなかったものと推察) 日本人に戦争を「選んだ」自覚があんまりない理由も、最後にちょっと触れられていました。 良著です。

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    投稿日: 2016.07.27
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    日清日露を皮切りに第一次大戦,満州事変・日中戦争,太平洋戦争の詳細を様々な資料を引用しながら,適宜質問を交えて明快に解説している好著だ.このような授業を受けたいものだ.特に興味のあった太平洋戦争の始まるまでのいきさつは楽しく読めた.ロジスティクスを全く無視した作戦の連続で,多くの兵士が餓死した事実は深刻に受け止めるべきだと思う.

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    投稿日: 2016.07.27
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    登場人物が多すぎて理解しきれないところがありましたが、大正天皇が電車オタクのくだりは面白かったです。 当時は安易に「戦争」に向かう空気があったんだな、と思う一方で、現在は、あまりにも「戦争」に対する拒否感が強い気がします。 外国を攻める必要はまったくないと思いますが、自分の国は自分たちで守らないと、どこも守ってくれない、とは思っています。

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    投稿日: 2016.05.22
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    なぜ、その戦争が起きるに至ったのか、戦争の結果日本はどうなったのか。歴史とは何かという視点を貫きつつ、講義形式をそのままにしたことで、読者にも質問を投げかけながら進む。 戦闘よりも、戦争の原因、影響に重きを置き、こんな考え方もあったのか、と驚かされながら、読み終えた。

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    投稿日: 2016.02.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

     2015年は戦後70周年で、先の大戦への関心が高まった。テレビでもたくさん特番が組まれ、様々な角度から戦争を振り返った。番組を見ながら、自分は先の大戦をどう考えるのかを述べられるようになりたいと思った。最近は戦争に対する反省に反発する本も多数でており、日本人の戦争観は揺れ動いている。  その中で本書は、左翼的な位置づけになると思うが、一次資料に基づきながら冷静な反省をしていると思う。決して自虐史観と呼ばれるものではない。栄光学園高校の生徒への授業をまとめたものなので、時々高校生の意見を聞くことで読者も考えながら読むことができる(栄光学園の生徒の意見はかなりハイレベルだが)。  この本が扱っているのは日清戦争から第二次世界大戦までの近現代史だが、歴史を学ぶ意義を考えさせられた。学校の歴史の授業はどうしても暗記科目になりがちであり、物事の関連性が分かりにくい。その結果、満州事変や真珠湾攻撃については知っていても、それがなぜ起こったのか分からない。本書ではその疑問に、当事者の日記などをもと分析している。当時の人びとの思考は現代と異なっており、そのことを理解すると戦争に向かっていった経緯も見えてくる。著者の意見も絶対のものではないが、説得力があり今後戦争関連の本を読むときに指針になる。

    1
    投稿日: 2016.01.10
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    「歴史を学ぶとは?」という、歴史を知る面白さについてからこの本の序章は始まります。 そして、終始一貫してそのスタンスが貫かれており、時代の中で必死に生きてきた人々の頭に触れる様な、一方でその目論見の甘さに触れられる様な本でした。 歴史を解釈することこそ、歴史という学問の面白さであり、それは今と過去の対話、つまりコミュニケーションを唯一可能とする方法であると私は思います。 歴史を解釈するとは、勝手なことを言うという事ではなくて、ある物事や事件の特殊性と普遍性をどこで線引きするかという、その線引きの仕方なのだと思います。 この本が発刊されたのが2009年という事もあり、序章ではその近い過去の事例として2001年の同時多発テロ後のアメリカの行動を引き合いに出して、1930年代における日中戦争時の日本の対中国に対する行動と比較しています。 これは今のイスラム国問題にも続いている事です。つまり、「テロとの戦い」という認識の仕方、一方が秩序を守る側でもう一方がその枠を壊そうとする犯罪者という非対称的な捉え方を行っているという事です。 「テロとの戦い」は実質的には「戦争」であるのに、そうではなく「鎮圧」や「治安維持」というスタンスでアメリカが動いています。その意味では当時の日本の中国(国民政府、蒋介石)に対する軍事行動がまさに似ているのです。つまり、警察が取り締まるかの様に相手を認識する。 ただ、私はここでの問題点(つまり戦争行為者の認識の違い)とそこから派生するある種の可能性(善し悪しは別として)に気付かされました。 本書ではルソーを引用し「戦争」の本質に関する考察があります。「戦争の最終目的というのは…相手国の土地を奪ったり…相手国の兵隊を自らの軍隊に編入したり…そういう次元のレベルのものではない…相手国が最も大切だと思っている社会の基本秩序…これに変容を迫るものこそが戦争だ」(p.42) というものです。 となると、現在のイスラム国はそれを行っていると言えるのではないでしょうか。つまり西洋諸国の普遍的だとされる価値観に対する攻撃を行っている、そういう意味ではまぎれもなく「戦争」を彼らの意識では行っているということになる。もちろんこちらの捉え方との差はあるとは思いますが。 そうなると、「戦争」が主権国家同士において行われる行為だとする場合、イスラム国は「戦争」を主体的に行う実行者として「戦争」行為によって自らを国家という位置づけにすることが可能となるのではないだろうか。 国家が生まれて戦争が生まれるというよりは、「戦争」を通じて国家もまた生まれるというある種の可能性(善し悪しは別として)に気付かされたのでした。 こうした本の読み方、捉え方もまた一つの解釈ではあるのですが、それだけこの本が提示する普遍性はその線引きが深く面白いのです。

    6
    投稿日: 2016.01.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    世界を絶望の淵に追いやりながら、戦争は生真面目ともいうべき相貌を湛えて起こり続けた。その論理を直視できなければ、かたちを変えて戦争は起こり続ける‥。国民の認識のレベルにある変化が生じていき、戦争を主体的に受けとめるようになっていく瞬間というものが、個々の戦争の過程には、たしかにあったようにみえる。それはどのような歴史的過程と論理から起こったのか、その問によって日本の近代-日清戦争から太平洋戦争-を振り返る。   ――2009/08/31

    0
    投稿日: 2015.12.17
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    日清戦争から太平洋戦争に至るまでについて、時々の戦争は、国際関係、地域秩序、当該国家や社会に対していかなる影響を及ぼしたのか、また時々の戦争の前と後でいかなる変化が起きたのか、をテーマに、東大教授である著者が高校生向けに行った講義をもとにした本。史料もふんだんに引用されていて、暗記ではない「歴史学」の面白さを感じることができる。また、日本の近現代史における戦争を考えるうえでの良き入門書であるといえる。 日露戦争による増税により選挙権者が大幅に増え、政治家の質も変わったという話や、日本は安全保障上の利益を第一目的として植民地を獲得したという話、「日本切腹、中国介錯論」を唱えた胡適の話など、目から鱗の興味深い話が多かった。 ただ、本書を読んで、戦争というものは多様な要素が絡み合って起こるということはよくわかったが、話がいろいろなところに飛ぶところもあり、「なぜ日本人は戦争を選んだのか」ということについては、結局、よくわからなかったというのが正直なところである。 余談だが、本書について「自虐史観」だの「左翼思想」であるだのという批判を時折見かけるが、「左翼」側から批判されることはあれ、本書が「自虐史観」「左翼的」という批判はまったく当を失していると思う。そういう批判者は、読解力がないか、思い込みが激しいかであろう。

    1
    投稿日: 2015.10.08
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    ようやく読了。日中戦争・太平洋戦争だけではなく、日清戦争から説き起こしていくので、先の大戦が、突如道を誤ったわけではなく、様々な下地があったことを確かめさせてくれ、世界史の中の日本史を考えさせてくれる。 ただ、自分の中にしっかり咀嚼されていない感じなので、再読の必要性があるし、参考文献も読んでみなければ。 助成金による満州への分村移民という施策があったことを知り、現代の原発助成金という現在の施策と、過去のそれがつながってみえた。

    0
    投稿日: 2015.09.23
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    まずタイトルと語り口のギャップに動揺。わりといろいろ目から鱗(まぁ私が知らなかっただけってのもあるけど)。とくに「大戦」=「相手国の憲法を変えにかかる」ってルソーの発想には感動(だって戦後100年前だよ!言われてみればWW1もWW2もそうだった。なるほど)。参考文献も魅力的でGOOD。いつか買おう。

    0
    投稿日: 2015.09.23
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    リンカーンの言葉、of the people,by the people,for the people は、日本国憲法の前文にも出てくる。 p.31 そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。 クラウゼヴィッツ 戦争は政治的手段とは異なる手段をもって継続される政治にほかならない。『戦争論』 p.39 ジャン・ジャック・ルソーは「戦争とは相手国の憲法を書き換えるもの」と考えた。 p.42 戦勝国アメリカが書き換えようとした敗戦国日本の憲法の原理は「天皇制」だった。 p.45 福沢諭吉の『脱亜論』 p.100 1929.10.24.暗黒の木曜日。 ウォールストリートで株価が大暴落し世界恐慌に突入。 失業率は アメリカ25% ドイツ 40% 大恐慌を脱するためには 「政府はどんなに赤字をだしても良いから政府の財政昨日を通じた公共投資を積極的に行い、失業者がゼロになるまで需要を拡大すべき」と論じた。 ケインズは、ドイツから取り立てるべき賠償金をできるだけ少なくし、アメリカに対してイギリス、フランスが負っている戦費の支払い条件を緩和するように求めた。 しかしアメリカはこれに応じず。 ケインズはイギリス大蔵省の主席代表を辞して、パリから帰国してしまう。 会議の不公正さを知らせるために書いたのが 『講和の経済的帰結』 これは各国語に翻訳されベストセラーになった。 p.240

    0
    投稿日: 2015.09.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    日清、日露、一次大戦、二次大戦の流れがよくわかった。 帝国主義の風潮(日本も先進国の仲間入りをしたいという意識)、外国からの攻撃に対する脅威(日本が攻撃されないように中国、ロシアとの緩衝地帯となる朝鮮半島とその付近を死守したい→アメリカとの緩衝地帯として太平洋の島々)といったところがベースではないかと思う。 ある意味、堅実な戦略の中、軍隊が日露戦争の犠牲のもとに得たと思っていた満州の権益を国際連盟(リットン調査団)に認めてもらえなかったことから、開き直ったというのが正直なところだろう。 日本にしてみれば、「他国も、表向きは各国の主権を尊重するふりをして、不平等条約を通して植民地支配してるやん。日本が中国を独占しそうやからって、ずるいわ。わては、中国全部ほしいなんて言ってないやん。安全保障上必要最小限の満州だけはなんとかしたいって言ってるだけやん。」といったところか。 大東亜共栄圏の思想は、その威勢のいい言い訳として利用されたにすぎない。それを本気で信じた人がいたとしても(日本側でも、アジアの国々の人でも)、戦争の意図は明らかに違ったし、何ら思想的、現実的な裏付けのないその場限りの施策は、たとえ日本が戦勝国となっていても、それが実現することはなかっただろう。諸外国を蹴散らした後に日本が敗戦したために、各国の独立のきっかけとなったという怪我の功名はあったかもしれないが・・・。 満州の保持については、国民(東大生)の8割が武力行使OKだったことから、筆者の言うように自国の内紛の意識があったのだろう。 しかし、日本が満州国として独立させたものの、実質的には中国と認定されたことから、国際連盟との決裂が生じた。 本書の資料を見る限り、当時の意識が今と比べて特別閉鎖的であったとか、外国に対して差別的であったとは考えにくく、大まかに言って、やけくそになった最後の1年半の行為(戦死者の8割はこの時期)が諸外国に大きな迷惑をかけたような気がする。とはいえ、その帝国主義自体が大きな差別であることは疑いようはないが・・・。 その意味では、「国益」の名のもとに、もっと形を変えた帝国主義が現在も存在していても不思議はなく、ヒトラーのようにわかりやすい民族主義でなくとも、戦争に向かう道はたくさんあることに注意する必要があると思った。 日中戦争前に外務大臣の松岡洋右が「満蒙は日本の生命線」となる最小限の地域であって、これが侵されると「日本人の生命および財産が根底から脅かされる」事態になる。と言っているのは、どこかで聞いたフレーズだと思った。 他の本に書かれていない歴史マニアっぽい内容や解釈が多くて、それはそれで興味深いのだが、戦争に至る経緯が当然のように書かれていて(当時の常識であったためかかもしれないが)、じゃあ、戦争責任は誰にあるのか、とか陸軍が多数を占める農民を味方につけたから戦争に突き進めたの、とか戦争の問題点や反省点を明確にするような考察や論証は欠けている。 とはいえ、主要な事象や人を手際よくかつ生き生きと網羅して、一連の戦争を流れとして理解するには良い本だった。

    1
    投稿日: 2015.09.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    日清戦争から太平洋戦争までの近現代史を扱った、 第9回小林秀雄賞受賞作の、中高生向けに行われた講義録。 たいへん勉強になりました。 歴史、とくに近現代史はよく知らなかったですから。 そして、考えながら読むという感覚の歴史の本です。 内容が濃いので、何回か読まないと、アタマに定着しなそうではあります、 が、読みごたえはすごくありました。 まず、日清戦争も日露戦争も、朝鮮半島がかなり深く関係しているんだなというのを、 はじめて認識しました。だからこそ、1910年に朝鮮半島を日本は占領したんですね。 また、あの時代、力で示さないと欧米列強に認められないという時代だったようだから、 一等国を目指すには避けられなかったかのようでした。 時代の流れっていうのがありますよね。 すべて自律的、独善的に歴史を切り拓いていったわけじゃなくて、 他律的とまでいわなくても、他国や時代の空気、その当時の考え方などによって 誘発される行動ってあるもので、こういった日清・日露の戦争なぞは、 そういったものとの絡み合いで起こっている感じがしました。 そして、第一次世界大戦をへて、 満州事変、日中戦争、太平洋戦争へと転がっていきます。 勢いがついてそうなったように見えてしまう。 というか、明治維新が起こったそのスタートからして、 太平洋戦争の敗北へのゴールは決まっていたかのようにすら思えてしまいました。 そしてそんな坂道を転がるように戦争の道へと突き進んでいった日本の、 その勢いに拍車をかけた軍部の影響力増大の理由のひとつに、 当時の政党が実現できなかった、農村部などの大多数の庶民を保護する 政策を、軍部が掲げてそれを実現してしまい人気を得たというのが印象に残りました。 戦争になってしまえば、そんな政策は吹き飛ぶのですが、それでも 民衆は彼らを保護する政策を掲げた軍部を支持してしまった。 そして勢いづいていく。 2・26事件に代表される血なまぐさい粛清事件や暗殺事件も多いし、 憲兵による厳しい検閲など、民衆や知識人らの取り締まりが厳しい時代になっていき、 本当に軍部が主権を握って、果てしのないアジア制覇の侵略戦争が起こっていきます。 要は、経済で日独伊の三国で世界の覇権を握ろうというものですよねえ。 日本の場合は欧米へのコンプレックスも関係しているように読めました。 さらに驚いたのは、勉強不足ゆえの、戦争に関する死傷者の数値について。 日中戦争から太平洋戦争で死傷された中国人の数は、 兵士で300万人、民間人で800万人、あわせて1100万人だそうです。すごい数です。 また、広島への原爆投下後の1945年8月7日にソ連が日本へ宣戦布告して攻めてくるのですが、 当時満州にいた200万人のうち、24万人が死んでいる、そして64万人がシベリアへ抑留され、 その1割強の人が、過酷な環境のために亡くなっているそうです。 ソ連の南下もバカにできないどころか、大きな戦禍だったのだなあと知りました。 また、朝鮮半島からは朝鮮人の16%が日本の炭鉱などに連行されていたようです。 ぼくの住む街にも炭鉱がたくさんあって、朝鮮人労働者慰霊碑っていうのを 子どもの頃に見学して見たことがあるんですよね。 先生からはそのことに関しては触れられなかったような気がする。 日本人として卑屈にならないようにだとか、そういう消極的な判断があったのかなと 今になって推測するところですが、そういうところにこそ、 時間を使って議論をしていくべきだったのではないのか。 大人になっても難しいことではありますが。 まあ悪いことは悪いと、占領下の人びとを統治する仕方が悪いとか、 差別が本当によくないだとか、 そういうことをできるだけクリアにしたほうがいいのではと思ったり。 それにしても、こういう歴史の授業なら、食い入るように聞いたでしょう。 それでも、難しいしペースが早くて落ちこぼれたかもしれないですが、 興味は残ったと思うんです。 こういう近現代史を題材にしてレポートを書いてみるという自由研究だって あっていいよなぁと思います。 もう夏休みが終わるころですので、中学生の人なんかは来年の自由研究の 素材のひとつとして読んでみたらいかがでしょう。 大きなお世話かな・・・。

    0
    投稿日: 2015.08.18
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    開戦の理由について、今まで知らなかったことを詳しく学ぶことができ、また、いろいろと考えさせられた。 ロシアの脅威が日本の戦略に与えた影響の大きさなど。 また、捕虜の死亡率の高さから、当時の支配層の人命軽視が悲惨な戦争被害の拡大につながったのだなとも感じた。 そういう個人の尊重が足りない点は、現代の日本にも改善せずに残っているのかもしれない。

    0
    投稿日: 2015.08.11
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    タイトルを読むと大変重く感じるが、史料から客観的に国内・国外の情勢や政治・外交・経済的関係を分析し、何故戦争を選んだかを分かりやすく書いている。現在の政治や経済と通ずるものがあり、改めて戦争について考えさせられた。

    0
    投稿日: 2015.06.08
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    本書は「9・11テロ後のアメリカと日中戦争期の日本に共通する対外認識とは何か」から始まります。 そのような問いの立て方を通して、戦後70年を迎え、少し遠い話になりかけていた戦時中の話を一気に今自分が生きている時代に引き寄せて考える契機を与えてくれます。 その今の時代というのは、憲法改正へ向けた動きが着々と進みつつ、それを止め得る実効的な勢力がホワイトハウスと天皇しかいないという時代なわけで。 その天皇陛下が今年の元日に述べられた、「満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています」 というお言葉を改めて重く受け止めつつ読んだのですが… 内容は中高生相手への講義形式なので、高校の世界史程度の知識しかないような私が読んでもとても分かりやすい! 日清、日露戦争から太平洋戦争までの流れとその当時の国内外の事情が良く分かりました。 満州事変以降の「なんでそうなるの」と思ってた疑問に対する答えがいくつか見つかったのが収穫ですね。 止むに止まれぬ感があまり出てないので、右の方にはあまり受け入れられないのかもしれませんけど。

    0
    投稿日: 2015.03.03
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     本書は高校生への講義をまとめたものだが、決して歴史を簡単にまとめたものではなく、内容は実にレベルが高い。  「日清戦争・日露戦争・第一次世界大戦・日中戦争と満州事変・太平洋戦争」を取り上げているが、単純な歴史的経過のみならず、その当時の日本の状態に深く切り込んだ考察には、つくづく感嘆する思いを持った。  著者の他の著作をもよみたくなる良書であると思う。

    1
    投稿日: 2015.02.07
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    書店で、平積みになっている本書を見つけた。新聞などで話題になっていることは知っていたし、著者が爆笑問題の「日本の教養」に登場していたので、気にはなっていた。しかし、私はというと、なぜか間違って共通一次試験で日本史を選択してしまったのだけれど、1年半かけて取り組んで結局48点しか取れなかった。その後、民俗学とか風俗学などと呼ばれるところには興味を持ったけれど、近現代史はからっきしだった。でも知りたいという気持ちはある。中高生への講義をもとにされているということで、期待をして読み始めた。しかし、中高生とは言っても歴史研究部の生徒たち。しかもその歴研メンバーが最後の節で、「かなりハイレベルな内容で、ついていくのが大変だった」ともらしている。ということで、私には全般的に靄がかかった感じで、何一つとして理解して他人に伝えるということができない状態で読み終わった。それでも、なんとなく、満州がどんなところで、どんな思いで皆そこに向かっていったのか、少しは分かったように思う。当時の新聞や、手紙、日記などを読み込んでいくことで、そこに生きた人々の姿が浮かび上がってくる。歴史という学問のおもしろさにも気付かせてもらえた。どこかの中学か高校で、現代史から歴史をさかのぼっていくという取り組みがあってもおもしろいかもしれない。

    1
    投稿日: 2015.01.28
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    高校生に向けて実際に行われた授業だが、内容は結構深い。戦争の背景には貿易の自由化という目的があったこともわかる。 明治15(1882)年、日本にならった開化政策をとり、新式軍隊をつくるなどの日本寄りの改革を進めていた閔氏一族(国王の外戚)に反対して、大院君(国王の実父)を支持する旧式軍隊が反乱を起こし、民衆が日本公使館を襲撃した事件が発生した(壬午事変)。清国は大院君を連行して閔氏政権を復活させ、朝鮮への関与を積極化した。明治17年、清がフランスとの戦争を戦っている間を狙って、日本公使館の援助を受けた親日改革派が甲申事変を起こしたが、清によって鎮圧された。明治18年、日本と清は天津条約を締結し、両国が朝鮮から軍隊を撤兵し、朝鮮に出兵する時には事前通告することを取り決めた。 山縣有朋はヨーロッパに派遣された際、ウイーン大学のシュタインに出会い、主権の及ぶ「主権線」、国土の存亡に関係する外国の状態「利益線」という概念を学び、朝鮮を中立国として、中国や列強の承認をとるようにすればよいと教えられた。 日清戦争後、日本は下関条約で遼東半島を獲得したが、ロシア・ドイツ・フランスの三国干渉によって清に返還した。1896年、皇帝ニコライ二世の戴冠式に李鴻章が招かれたことをきっかけにして、ロシアと中国は対日攻守同盟の密約を交わし、中東鉄道の敷設権をロシアとフランスの銀行に与える条約も締結した。さらに、中国が下関条約によって支払った賠償金の担保として、ロシアは旅順・大連の25年間の租借権と中東鉄道南支線の敷設権も獲得した。1900年、排外的な義和団の農民闘争が起こり、北京の各国公使館を包囲したことに乗じて、清国政府は列国に宣戦布告した(北清事変)。これに対して、ロシアは権益を守ることを理由にして黒竜江沿岸地域を一時的に占領した。北清事変後、ロシアが満州から撤兵しないため、1902年に日英同盟が調印された。 第一次世界大戦後の1918年にアメリカのウイルソン大統領が発表した十四カ条の中の民族自決主義で念頭にあったのは、ポーランド、ベルギー、ルーマニア、セルビアなどの限られた地域だった。これを拡大解釈して、1919年、高宗の葬儀をカモフラージュにした独立運動がソウルで起こった(3.1運動)。 日中戦争の前に日本陸軍は、ドイツが第一次世界大戦で負けた理由として、列強の経済封鎖によって国民が栄養不足に陥り気力が衰えたことにあると分析した。そして、戦争の勝敗を決するのは農民をうまく組織することにあると考え、農民救済のための政策を掲げた。 ドイツでは、中国やソ連の資源と武器を交換する取引を行う協調政策を続けていたが、1938年からヒトラーが共産主義打倒を目的に、中国を捨てて日本支持の政策をとりはじめた。中国国民政府は、中国共産党に先んずるためにソ連に接近した。第二次世界大戦が始まった際、安部信行、米内光政両内閣はヨーロッパの戦争には介入しない方針だった。ドイツ軍の快進撃を受けて、ドイツに降伏した母国の東南アジアの植民地への進出を了解してもらうという欲が出てきた。1940年7月、日中戦争勃発時の首相だった近衛文麿が再び首相の座に就き、ドイツ、イタリアとの三国軍事同盟が締結された。

    0
    投稿日: 2015.01.18
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    東京大学教授の著者が、神奈川県で1.2を争う名門校「栄光学園」の歴史研究部員に、日本の明治以降の戦争について、なぜ戦争が始まったのかを中心に講義したものを収録してある。当たり前のことであるが、国家として戦争をするにあたっては相当の準備と覚悟と勝算が必要だ。当然あの大東亜戦争も勝つつもりで始めたものである。そこに至るまで国家のトップはどのように政策を進めて行ったのかがよく解る。戦争は当事国のみならず周辺各国の思惑と戦略が入り乱れ、それに結果も左右される。日露戦争も本当にギリギリのところでの勝利であり、負けていてもまったく不思議ではなかった。また、第一次大戦だって同盟国側が勝利するシナリオも十分にあったようだ。第三国がどちらのほうを向くかはとても重要である。とても勉強になった。

    0
    投稿日: 2015.01.16
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    良書。 1930年代、中国と戦争をしていると、政府は言ってなかった。今では明らかにおかしい。 戦争の勝利国が、相手国の憲法を変えること。

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    投稿日: 2015.01.12
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    大学受験以来に日本の近現代史に触れたが、当時では恐らく学ばなかったであろう視点からよく語られていた。やはり特に明治維新から終戦までの歴史は、日本にとって極めて学ぶべきことの多い、大事な時期であるように思う。近現代史について、今後も定期的に本を読んでいきたい。

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    投稿日: 2015.01.04
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    大学教授の高校生向けの講座を本として書き起こしたものです。そのため内容はわかりやすく高校の授業レベルの知識でついていけますので歴史に詳しくなくても読みやすく、むしろ歴史好きではない方に読んでほしい内容です。近世日本の歴史は戦争の歴史ですが、なぜそのような歴史を辿ることになったのかをわかりやすく解説しています。そしてその戦争は決して軍部の暴走では片づけられないという結論は説得力があります。諸外国に言われている戦争責任を考えるにあたり是非一度読んで頂きたい本です。

    0
    投稿日: 2015.01.04
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    分かりやすく、面白いのだけれど、如何せんベースとなる知識が欠落していて、難しかった…。 もう少しベースを身につけてから、再読したいと思う。 日清戦争~太平洋戦争と章立てされているのですが、序章の近現代史を考える、を読むだけでもかなり勉強になりました。

    0
    投稿日: 2014.12.02
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    近代現代史の見方が変わった。 主導者が戦争をしたいから戦争が起こるのではなく、 国民が戦争することを望んで戦争は起こるんだと、 初めて学んだ。 日本はずっと韓国、中国とず争いをしてきたのだから、 今更仲良くはできない。 お互いのメリットを踏まえつつ、 会話することを重視して、程々の関係を築くのがいい。

    0
    投稿日: 2014.11.16
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    [雑感] ■客観的な体をなしてはいるが,  結構,左にバイアスがかかっている。 ■「たくさんある見方のうちの一つ」として見る  のであれば,アリなのかもしれない(個人的にはナシだけど)。 ■評価がすこぶる高いのだけれども,  個人的には微妙でした。 ■データから帰納的に結論を導き出したのではなく,  自分の主張に都合のいいデータを持ち出している。 ■講義を受けている高校生には,もっと小生意気な感じで  ツッコミを入れて欲しかった。 [備忘録] ■膨大な戦死者が出たとき国家は新たな”憲法”を必要とする。 ■戦争とは相手国の憲法を書き換えるもの。 これは,なるほどね,と思った。

    0
    投稿日: 2014.10.13
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    予約して2ヶ月。やっと手元に。受付で「予約している方がいるので延滞はしないよう」言われた。松本図書館、この本あと10冊くらい置け!…さて何で昔の人は戦争したんでしょうね。教えてくれないから自分で読むわ

    1
    投稿日: 2014.09.16
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    自宅ソファーで読了(42) 終戦記念日を機に読み始めたものの、1ヶ月もかかっちまい。入門書と聞いたけど、日本史、世界史には全く疎いので、難解でした、、、、。

    0
    投稿日: 2014.09.13
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    タイトルの、『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』理由は、わからなかった。『だから、日本人は「戦争」の道を進んだ』理由は、書かれていたが。何が「それでも」なんだろう。何を「選んだ」のだろう。うーん。 関東大震災、治安維持法、世界大恐慌と満蒙開拓、5・15、満州事変、貧農の代弁者としての軍部、反共=国家主義=ドイツと日本の政権は同じ? うーん。すっきりしない。 熱河作戦と国連脱退、蒋介石と宋姉妹の対アメリカ工作、胡適、汪兆銘。

    0
    投稿日: 2014.09.07
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    じっくり読んでいたら読むのに一ヶ月もかかってしまった。8月に読むのにふさわしい書だと思う。わかりやすい、とはいっても、人物と事件と駆け引きが入れ替わり立ち替わり、教科書的部分も多く最近のお手軽新書みたいにさらっと読める内容ではない。でもそれが一面的に理解できるものではない歴史の面白さと辛さだ。 この本は入門書として有名なのに、このぎっしりの内容に、歴史を安易には語れないなあとますます思ってしまった。

    0
    投稿日: 2014.08.31
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    2007年の年末から翌年のお正月にかけて五日間にわたって中高生に対して行われた講義をもとに書かれた日清戦争から太平洋戦争までの日本近現代史本。 日清戦争からの日本の状況を幅広い視野で解説される内容は歴史を点でしかみない暗記モノとして教育では伝わらない面白さがあった。 日本に限らず、軍事的な内容に限らず、政治的な内容に限らず、時には当事者の内面にまで踏み込むほど幅広い解説は点から線、線から面へと理解が深まるようでこれほど読んでて楽しいと感じた近現代史本は今までなかった。

    1
    投稿日: 2014.07.21
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    友人が戦争の戯曲を書くにあたって参考文献のなかで最もお勧めしていたものを、彼女の作品を観るまえに読んでみた。 わたしには、ちと授業すぎたが、わかりやすく、かつ読みやすかった。 9.11のアメリカと、日中戦争の日本は同じ感覚で戦争をみていた、など、現代史と照らし合わせてくれると入りやすい。 集団的自衛権の本質をみるためにも、戦争とは、ということをまず見直したい。

    0
    投稿日: 2014.07.14
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    貧すれば窮する。戦争へ向かっていく理由は、地政学的なものもあるが、ほぼ経済的な問題に端を発するようだ。日本がじんわりと、賛否両論言いつつも、戦争へ向かっていったことがわかる。 昨日、集団的自衛権の解釈変更閣議決定がなされたが、これが歴史の転換点でないことを祈る…。

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    投稿日: 2014.07.02
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    いろいろなメディアで取り上げられているようなので。 現代日本史のおさらいの意味も込めて読んでみましたが、 おもいっきり忘れている自分にガッカリだよ。

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    投稿日: 2014.06.09
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    近代日本における諸外国との戦争について、戦争に至った背景が分かりやすく解説されている。また、戦争に関わる人物についての解説も新鮮だった。

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    投稿日: 2014.04.10
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    「類推され想起され対比される歴史的な事例が、若い人の頭や心にどれだけ豊かに蓄積されファイリングされているかが決定的に大事なことだと私は思います」

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    投稿日: 2014.04.03
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    歴史が専門の大学教授が高校生向けに講義した、ということでわかりやすい入門書かと思っていたが、大間違いでした。 日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、日中戦争、第二次世界大戦について、各国の思惑や地政学てきな見地から戦争に突き進んでいった状況を鋭く解説している。ある程度近代史の知識があったうえで読むと、これまで語られることのなかった背景や、様々な立場の人々の意見を知って、大いに刺激をうけることができると思います。ただ、その意味では、少し自分には難しいと感じた1冊でした。

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    投稿日: 2014.03.26
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    本書は、加藤さんが進学校の、それも歴史好きな高校生に、日本が日清戦争から太平洋戦争までつきすすんでいく過程を直接講義したものをまとめたものであるが、加藤さんも言うように、中高生だけでなく中高年が読んでも十分面白い。選挙権の拡大を含め、戦争によってなにが変わるのか。歴史のダイナミズム、面白さへの興味をかき立てる本である。本書を読んでぼくは高校時代、和歌森太郎という歴史家の『よくわかる日本史』?という参考書を思い起こした。(当時の歴史の先生は石母田正の『日本史概説』を使って授業をしていた。だから、ぼくもテキストと平行してそれを読んでいた)加藤さんは、かつての日本と中国との関係を侵略・被侵略ではなく、実は互いに競い合った関係としてみるべきだという。それは、当時の国際環境が大きく関係していて、欧米列強のみならず、ロシア、中国もこの国際環境のなかでどことくっついて、国力を高めていくかを争ったのである。それは時々刻々変わっていく。たとえば、上海事変が起こったころ、ドイツは中国を大きく支援していたし、日本とロシアも手を組んだり離れたりしている。日本の大陸進出はある意味、日本の安全保障をどこにおくかという歴史であって、最後は日ソ戦、日米戦に備えてどこを確保しておくかという歴史であった。日本は途中から東亜新秩序なるものを持ち出すが、当初は遠い展望もないままずるずる中国へ深く入り込んでいったのである。逆に蒋介石などは、日中戦争にアメリカ、ソ連が入り込んでくるのを我慢して待ち続けた。太平洋戦争が起こったとき、日本人はそれまでの閉塞感を打ち破ったと思う人が多かったが、蒋介石もまた、やったと思ったのである。本書は歴史の大きな流れを書くことが主眼であるから、細かなことや、あれ途中が抜けていると思うところもあった。上海事変では、国民党の軍隊が予想外に強かったことが描かれているが、ここでの犠牲がのちの南京戦での無差別殺戮につながっていったことははっきりとは語られていない。本書では、また、歴史の節目節目で流れをとめようとした人々を多くとりあげていて、それが本書に厚みを持たしている。さらに、日本が中国に戦争をしかけた際、宣戦布告をせず、これを事変と呼んだのは、戦争とすると中立国のアメリカから武器、燃料を買えないといった各種の条約にも目配りしているのも面白い。日本の大陸進出、ロシアとの確執を描く何枚もの地図も効果的である。

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    投稿日: 2014.03.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    確かに中高生のレベルが高い。いちいち講義スタイルで質問されるので頭を使わされる。 太平洋戦争の本と思ったら日清日露からの戦争を扱っていて少し戸惑った。

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    投稿日: 2014.03.01
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    日本史は詳しくないです。 でも、自国の歴史や文化を知らずにこの狭くなった世界でビジネスをし、友人を作り、生活をしていくのはおろかです。 歴史は書く人の意図によって「事実」と思われていることが違って見えます。 全てを知ることはできないし、知ったことが中立的な「事実」といいきれるほしょうはどこにもないですが、知らないだけでは済まされない。ましてやいっぱしの大人なら。 若い時にこういった課外授業で歴史の裏に潜む登場人物の思いや当時の空気を知り、考える機会があれば日本からもっと世界と渡り合える人物をたくさん輩出できると思う。

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    投稿日: 2014.02.24
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    戦争は悪いからダメ、って大雑把にはほとんどの人は思うところだと思うけど、戦前の日本人も大体そんな感じで、でも戦争をした。これって確かになんで?って思うけど、でも深く考えてなかったかな。それって昔の人を侮ってるのかな。昔の人も一生懸命考えた上で戦争したはずなのに。それでも戦争したのにな。日本は中国を侮って敗れて、アメリカも日本を侮って真珠湾で惨敗した。驕れる者久しからず。歴史は面白い。

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    投稿日: 2014.02.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    結果的に正しい決定を下せる可能性が高い人とは、過去の出来事が、真実に近い解釈に関連づけられて、より多く頭に入っている人ということ。

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    投稿日: 2014.02.02
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    分かり易いとの評判、期待したのだが。私にはやっぱり歴史は難しい、読むそばから内容がこぼれ落ちる…。手元に置いて読み返すといいんだろうな。太平洋戦争は侵略国家だった日本が悪、と思ってきたが…日本人として、もっとこの戦争を、ひいてはこの戦争に至らざるをえなかった歴史を学ばなきゃ。

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    投稿日: 2013.10.06
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    日本が近代経験した戦争5つーこれらについてわかりやすく背景、過程、そして日本と世界にとっての結果を説明した良書。特に、日本史や歴史全般が苦手だとしてもとても読みやすくできている。近代から現代への日本を理解するには不可欠。

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    投稿日: 2013.09.26
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    評判通り良い本だった。日清・日露・第1次大戦・日中・太平洋戦争について当時の日本国民がほぼ全面的に支持していたのは予想通りだとして、ではなぜ日本国民がそう考えていたのか、国際情勢や世論の分析がわかりやすすぎる。著者は大学教授らしいが女池上彰だな。  特におもしろかったのは序章の総論的な話で、「戦争は相手国の憲法を書き換える」とか「歴史の教訓の誤用」。

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    投稿日: 2013.09.17
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    毎年のことですが、終戦記念日などに戦争の特集などを見て、当時の歴史や政治のことを知りたいと思っていて手にとった本。 当時の歴史を語れるようになるには、何冊も、何回も読まなくてはならないが、印象としていえるのは、日本が戦争をしたのは、いくつかのポイントにおける偶然も含めた様々な外的な状況と、判断の結果であり、必ずしも必然ではなかったということ。つまり、そこから学ぶものがあるのではないかということだ。 また、歴史を学ぶことの意味として、重要な決定を下す際に、結果的に正しい決定を下せる可能性が高い人というのは、広い範囲の過去の出来事が、真実に近い解釈に関連付けられて、より多く頭に入っている人だという説明はなるほどと思った。

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    投稿日: 2013.09.14
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    I recommend to read this book now because we Japanese people should know many sides of our history, especially the war periods in the 20 century. 日本人应该觉得多的历史事,特别是二十世纪的战争的。

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    投稿日: 2013.09.08
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    普段、東大で歴史の授業をしている著者が、高校生に日中戦争から、太平洋戦争までについて、資料に基づいて「授業」した内容の本。 大学の先生だけあって、幅広い知識をもとに、高校生にわかりやすく解説しています。 文体も授業形式になっているので、読みやすい。 もちろん、ある程度の予備知識があれば、なお読みやすいのではないかと。 最近、いろいろ思うところがあり、日本近現代史についての本を読もうと。 とある、ホームページで知ったこの本。 読んで良かった。 戦争に至るまでの背景、その後のこと。 各国の思惑。 いろいろな要因が絡まって、日本はずるずると戦争に至ってしまった・・・。 自分は、そんな印象。 印象に残ったのは、いろいろありますが。 当時、凶作で生活にあえいでいた農家。 本来なら、農家を救済する政策を打ち出すのが政党。 しかし、当時の政党はそういう政策を打ち出さずに、農家が望む政策を打ち出したのが、軍部・・・。 う~む。 そして、満州への移住政策。 不毛の大地。 誰も行こうとしない。 そこで、国や県は、村の道路整備・産業振興のために特別助成金、別途助成金を出す。 そのかわり、村ぐるみで移住すれば、という条件つきで。 助成がなければ、村営が厳しい村々が、結果的に移住する。 しかし、結果多くの犠牲者を生み出すことになる・・・。 中には、見識のある村長さんがいて、助成金で村人の命を安易に扱おうとする国・県のやり方を批判し、分村移民に反対する村長さんもいました。 大下条村の佐々木忠綱さ村長です。 満州からの引き揚げ。 「ソ連軍進行の過酷さ、開拓移民に通告することなく撤退した関東軍を批判しがち」だけれど、筆者は、「分村移民をすすめる際に国や県がなにをしたかということ」を思い出さなければならないと述べます。 「特別助成や別途助成という金で、分村移民創出を買おうとした施策は、やはり、大きな問題をはらんでいたというべきでしょう」。 まさに、そうだと思います。 この分村移民と助成金の仕組み。 今の原立地自治体と交付金の関係に通じるものがあります。 「あとがき」にもありますが、筆者の「結局のところ『あの戦争はなんだったのか』という問い」 自分もずっと考え、そういう本を読もうと思います。

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    投稿日: 2013.09.07
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    中学高校で勉強した日本史というのは私にとって事件や法制度の用語が無秩序に登場するややこしい科目というイメージであった。その大半は結局のところ自分自身の勉強に対する主体性だとか積極性だとかの欠如に起因していたのだろうけれど。 その点本書の論述・講義の進め方というのは種々のアクターからなる因果論としてまとめられているのでわかりやすい。 もっとも総合的な論述というのはいずれもそうなる運命なのだろうけれど、著者の歴史的事実の説明はやはり大雑把すぎる感は否めない。 また個人の好みの問題として、各国の君主や首脳陣、外交官や上級軍属らの史料をもとに表象される各「国民」史=国際政治史というのはどうしても大文字の歴史となる。 それは本書のタイトルにも現れているのだけど、私としてはやはりアナール系の、したがってより社会学的でもある歴史理解がぴったりとくる、そういう再確認をする機会にもなった。

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    投稿日: 2013.07.14
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    やはり買ってしまった。パラパラ見てるんだけど、これは予想以上に近現代を濃密に解説している。若い方々にこそ読んでいただきたいし、おかしなこと言ってるお年寄りにも読んでいただきたい。歴史に学ぶとはこういうことにゃん。

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    投稿日: 2013.05.29
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    久しぶりに本読んだ。今も15年前の報告書読みながら、資料作ってた身からすれば、教訓は多いです。次は法学部出身でないから知らなかったけど、長谷部先生の憲法論を読まねば!笑 「歴史は教訓を教える。しかしそれが人類に災厄をもたらすことも…」

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    投稿日: 2013.05.15
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    「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」加藤陽子。。。。太平洋戦争の結果書きかえられた日本の基本原理とはなんだったのか。。。太平洋戦争は強い英米を相手としているのだから、弱いものいじめの戦争ではなく明るい戦争。。。(明るい戦争ってあるわけない!美しい日本を求める危うさ@ Sun.)

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    投稿日: 2013.05.04
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    これは出版当時、相当話題になった本です。 最近、日本を知らないといけないと思い積極的に近代史を読んでいます。 「なぜその時の最高の頭脳をもつ人々がおろかな戦争に突入したのか」 「普通の人々がなぜ悲惨な戦争に加担したのか」 「なぜ日本は国際連合から脱退したのか」 教科書には、表面的なことしかかかれませんが、この本ではこの当時の色々な状況が複線でからみあい、太平洋戦争に突入していく様がわかり圧巻です。 その当時の人々は 「内閣も世論も戦争を避けようとしていた」 「作戦の許可行き違いで国際連合の規約に違反してしまい、経済制裁と除名をさけるために、やむなく連合から脱退した」 「太平洋戦争は関東軍(陸軍)の暴走が発端」 「陸軍は兵士の大部分の出身である農民を大切にする施策を次々にうつだし支持をあつめた」 などなど。 なぜ中国や韓国が日本の自衛隊が大きくなっていくことに敏感なのか歴史をしるとよく理解できます。 個人的には内蒙古にいったときにその自然の過酷さ・中国残留孤児がどうしておきざりにされたのかを肌で感じていたため、満州のことが詳細にかかれていて、非常に興味深かったです。 高校生(といってもかなりハイレベル)むけに対話形式・授業形式ですすめられたものをまとめた本なので、内容のレベルに対して少しわかりやすいですがかなりのボリュームですが、知るべき内容だと思います。

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    投稿日: 2013.04.20