悪の組織の戦闘員と、ヒーローの兼業だなんて、コメディに決まっている。たしかに笑えるシーンもあるけれど、悪の四天王の一人グロシュラと対時したときは熱かった。 以下、抜粋。 ----------------- 「貴様の正義は未熟そのもの！」 「それが俺の正義だ」 青い正義と笑わば笑え。だけど、これが俺の正義だ。中途半端で適当で、先も見えない俺だけど、今だけはやらせてもらう。貫かせてもらう。 ------------------- 悪と正義を兼業しているからこそ、「俺の正義」が必要になった。以外と深い話でした。

悪の組織の下っ端戦闘員の主人公。ヒーロー派遣会社社長の車椅子少女。少女に付き従うタクシー運転手。街に蔓延る有象無象のヒーローと悪の組織。本当の意味でのヒーローや悪の組織というものはたぶんほんの少数で、彼ら彼女らが日々の生活の糧を得るために、互いに闘いを繰り広げているような状況です。 適当に生きてきた主人公が戦闘員を続けながらも、組織に内緒でヒーローをやろうなんて考えたのも、そんな緩い状況のなかであったからなのでしょうねぇ。 但し、ヒーローになってからの方が、仕事の危険度が跳ね上がってしまったのは笑えますね。悪の組織よりもブラック企業だったようで…。 主人公が三枚目ですが、カッコいいですね。ギャグあり、シリアスあり、感動ありで読後感のよい作品でした。