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侍女の物語
侍女の物語
マーガレット・アトウッド、斎藤英治/早川書房
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総合評価

156件)
4.1
49
54
28
1
0
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    初めてディストピア作品を読んだ。この本は1980年代に描かれたものなのに、今の世界にも通じる内容が多く印象的だった。英語版を先に読んだが、より直接的な表現が目立ち、読者に強い緊張感や生々しさを感じさせる部分が日本語版よりも多いと思った。全体的に重いテーマだけど、現代にも通じるメッセージ性の強い作品だと思う。読み進めるうちに考えさせられることが多かった。読みやすくは無かったけど、読み終わった後には深い余韻が残る一冊でした。

    0
    投稿日: 2025.11.09
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    個人的に久しぶりの読書体験だったが、物語に引き込まれてあっという間に読み切ることが出来た。 ディストピア小説として分類されるらしいが、欧米での代理母を使って子供を持つセレブリティやゲイのカップルの存在を知ることが少なくないため、女性の身体を出産の商品としている現実とこの小説の世界は意外と遠くはないのではと感じた。 また聖書の言葉を勝手な解釈で自分たちの主張を強化する流れは既に現実の世界でも起きていそうだし、これからもっとありそうだなぁと思った。

    0
    投稿日: 2025.11.07
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    読むきっかけは、ぬまがさワタリさんがベスト本紹介をされていた時に『鋼鉄紅女』の事を「『侍女の物語』+『パシフィック・リム』の奇跡の邂逅」と書いておられて、『パシフィック・リム』は見たが『侍女の物語』は本もドラマも見ておらぬ。とりあえずベスト本に挙げられていた『鋼鉄紅女』は買って『侍女の物語』の方は図書館のリクエストに入れておこう!やや!結構な待ち人数でござるな!(脳内が一人でやかましいタイプ)という経緯がこの春の事。そして時が流れて今は秋。経緯をすっかり忘れていたにも関わらず読む時期が偶然重なって良かった。 物語は、個人の自由がほとんど存在しない管理社会のディストピア。人間は「役割」で分類され、服装も行動も厳しく制限される世界。 あなたは「コレ」をしてください。「コレ」だけに専念してください、みたいな事を命じられる社会で、もし「私」がその「ソレ」を果たせなかったときに受ける処遇への不安。あるいは、「コレ」しかすることが許されないという閉塞感。自由がなく、できることは過去を頭の中で反芻することだけ——そんな息詰まる感覚が、淡々とした語り口でじわじわと染み込んできて、圧巻。 だからこそ、『鋼鉄紅女』で明確に示され、発散される怒りが、まるで清涼剤のように胸に沁みた。

    1
    投稿日: 2025.10.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    キリスト教原理主義者によって設立された独裁国家「ギレアデ共和国」を舞台に、子供を産むことだけを強いられる女性「侍女」の過酷な運命を描いたディストピア小説。 希望(現実)と絶望(過去)の狭間で苦悶する心理描写が凄まじかった。特に、p.100のなんでもないホテルの一室を懐かしむシーンや、p.141「わたしは西洋梨の形をした中心物のまわりに凝結した雲にすぎない」という一文は、読んでいてとても辛かった。 自由が奪われても、愛があれば生きていける。でも、自由も愛も奪われてしまったら、なんのために人間は生きるのか。 100年以上後に学会で議論しているラストだが、この物語が後世に残ったということは、オブフレッドはギレアデ共和国から逃げ延びたのだと信じたい。 女性作家にしか描けない世界観と心理描写が圧巻だった。まだまだ男の自分は女性の全てを理解できてないし、これから努力しても完璧には理解することはできないだろうけど、リスペクトを忘れてはいけないと感じた。 まずは、現在妊娠中の妻に、日々の生活の中で最大限の尊敬と感謝を伝えたいと思った。

    1
    投稿日: 2025.10.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「誓願」読了後の余韻に浸りながら、しばらく並行して「侍女の物語」を 「誓願」先読みなので、リディア小母の姿を追いつつ、オブフレッドの物語を辿ると、ギレアデ共和国政権の女性を選別する視点の現実味がこの作品の核なのだと感じました 感じたことを幾つか ①メディアによってセンセーショナルに取り上げられている、妻が立ち会う”生殖の儀式”は、夫である司令官も妻も幸福そうではなく、侍女だけが被害者というフェミニストたちのトーンには正直違和感。もちろんフレッドは体制側の人間なので、女性たちよりも何らかできることはあるとは思いますが ②「誓願」にも描かれ「侍女の物語」終盤でも出てくる、侍女たちが集団で男性を制裁する場面。あれは男性主導の体制で生じる侍女たちのガス抜き?だとしたら確信犯的。憎しみが憎しみを生み、それによって女性が被害者ではなくなっているところにものすごく怖さと嫌悪を感じます ③ジューンは夫が再婚であることから略奪婚と見做されて侍女に身を堕としていますが、ギレアデ以前は図書館で働いていて、文字や文学に対しての素養がある人物として描かれているところが好き。「誓願」でもリディア小母がギレアデ転覆を思索する場所が図書館であることは、文学者であるアトウッドの芯とも「華氏451度」へのオマージュとも捉えられて好きです。

    2
    投稿日: 2025.09.24
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    2025年6月のNHK Eテレの「100分de名著」が「侍女の物語」とその続編とされている「誓願」だと聞いて急遽2冊入手。 「侍女の物語」は1990年に「ブリキの太鼓」のフォルカー・シュレンドルフが映画化。 2017年のHuluでのドラマ化では、より原作に忠実で現実の世界がこうしたディストピア小説と見紛う状況もあり話題となった。 物語はキリスト教原理主義者たちのクーデターによって全体主義国家と化した監視社会の中であらゆる自由を奪われ、まさに「産む機械」として名前さえも男性に所有される女性たち「侍女」のひとりが主人公。 彼女の視点によって語られるディストピア世界の現在とそれクーデター以前の過去が交錯しながら、物語は中盤から彼女の不屈の意志に自身が導かれていく。 読みながら「救い」を求める自分に気づき、なんとも切なく胸が苦しくなった。 主人公の友人モイラの「覚悟しなさい、ついにやってきたのよ」というセリフには現実の世界の我々がよく知るどこかの国の政治家たちが近い未来に目指している世界、いやすでに始まっているのだと痛感した。

    2
    投稿日: 2025.09.20
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    1985年に刊行されたこの物語の続編が、2019年、34年後に書かれた。 続編の「誓願」を読んでから、やっと感想を書く気になれた。この、絶望的な物語に対して、この一冊だけで何かを言うことができなかった。恐怖であることはもちろんだが、2025年の今、単なるディストピア小説の域を超えた現実味を帯びている。 「人種差別者の不安がギレアデの政権奪取の成功を許す感情的な支えのひとつになった」 あまりにも悲しく、みじめな「女」の独白。 クーデターによりうまれた独裁国家ギレアデの愚民政策により、女は名前を奪われて、書くこと、読むこと、学ぶこと、産む産まないの自由を奪われた。全てが変わってしまった世界で、正気を保とうとあらゆる空想を繰り返し、過去を想い、花を、鳥を、離れ離れになった家族を、放埒な性を、思いつく限りの能動的な「生」を想い、抗おうとする様子がとてつもなく…悲しいのだ。 そして、そうなってしまった世界に対して「仕方ない。」と思う。仕方ないと、思ってしまった。とまた思う。 考えないことを選択することで苦痛から解放されようともする。みじめな姿にまた苦しくなる。 書くことを、名前を奪われたオブフレッド(フレッドという男性のもの、の意味)が、声で残した痛々しいまでの「レジスタンス」の跡である。

    2
    投稿日: 2025.09.19
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    「自由」について考えさせられる話。 自分に「見る自由」があるなら、「見られる自由」もあってしまうということ。好き勝手する・される「自由」から解放して、ほんとうの「自由」を得たつもりになった社会。 男性が女性に「よかれ」と思って、「女性として生きる喜び」を堪能させる社会。 現実社会もかすかに似た価値観になりつつある気がする。

    6
    投稿日: 2025.09.16
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    今を予兆する話。 でも予兆する話に人間はなんと騙されやすいことか。 でもそれは悪いことではない。騙されて傷つかないとわからないことが多いのだ

    0
    投稿日: 2025.09.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ディストピアだが、近いうちに現実に起こり得ないとも思えない。 前半は世界観の説明が多く、かなり単調で読むのに時間がかかったが、後半に物語が動き出した!と感じてからはサクサク読めた。 日本では少子化が問題と考えられているが、(あえて「考えられている」という。)少子化対策が極まればこういうことになるのではないかと思ってしまう。 女性の自由を奪うために、仕事と金をまず奪うというのは恐ろしい。 やろうと思えば簡単にできてしまいそうで。 そして、仕事と金を奪われた彼女に対し、ルークが支配的な、安堵のようなものを感じているように思われて恐ろしい。 簡単に、守られるべきもの、裏を返せば支配を受け入れざるを得ないものとされてしまう。 しかし、人口を増やすための仕組みとしてはあまりに合理的だ。 男が原因の不妊は存在しないとしていることを除けば。 この世界で救われることといえば、レイプをしたものが即ボコボコにされることくらいだ。 母体保護が重要という一貫性がある。

    0
    投稿日: 2025.09.12
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    指輪物語並みに面白かった。。。 信じられないような規律で構成されている空想の国家だけど、あり得ない、あってはならないその規律は、女性が実際に経験してきていることの究極の形だなと感じた。 つまり、女性が財産を持てないと聞くとあり得んとなるけど、現実では例えば大きな財産である家を買う時に、慣例なのか夫名義で買うとかあるよね。そういった女性の能力の否定が当然とされている文化の中で感覚が麻痺していった先の国家をリアルに見せてもらったように思う。 また読む。

    8
    投稿日: 2025.09.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    1985年の発表当初はダークファンタジーのように受け取られていたが、アメリカの中絶禁止や世界の右傾化により、徐々にディストピア小説として受容されていったとのこと。 一人称視点の語り手により、闇の中を手探りで進むような緊張感のある、閉じた物語。 他の人のレビューの引用だが、「侍女となった後も、オブフレッドは、司令官とも、その運転手ニックとも、街で検問する若い兵士の視線も、「性的誘惑」として意識する。それは不快なことだけではなく、それに対応する、自らの内部に欲望を意識する。生死の分からない夫への感情もありつつ、同時に、現実に近くにいる男性たちに対し、性的な引力と、自身の存在が男性に性的影響を及ぼすことも意識して生きているのである。」 ↑これら(ともすると読者が不快に感じたり、感情移入や同情をしづらくなるような心理描写)をあえて記述しているところがすごいと感じた。こんな境遇であっても、性欲を抱いたりする等身大の女性であるということから逃げていない。

    1
    投稿日: 2025.08.30
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    ありえない世界の話とは言い切れない怖さ。 次々と思考がかわったり唐突に終わったりするところがリアル。 後の世界の対談がまた深みがあって面白い。

    0
    投稿日: 2025.08.27
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    図書館司書・学生アルバイトのおすすめ本 ーーーーーーーーーーー アメリカで禁書にと話題の本。 侍女の務めは「子どもを産むこと」 それ以外の自由はない…気持ち悪い反理想郷(ディストピア)が今や現実となっている?! ーーーーーーーーーーー 宮代キャンパス ーーーーーーーーーーー 侍女の物語 https://fclib.opac.jp/opac/Holding_list?rgtn=2047907

    0
    投稿日: 2025.08.26
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    架空のディストピア物語。 思想・行動の自由のない社会で特に女性の性と生殖の権利(SRHR)が国家に完全に管理されている。 過去に現実にあっただろう粛清や迫害/人心管理の手法がアレンジされ散りばめられて出てくる。それなのに“これは今の私達の物語だ”と読み始めてすぐ感じた。 今の私達にはもちろん強制も粛清もないが、避妊/中絶の手段も先進国水準では無い事、結婚に際して95%の女性が改姓して“オブフレッド”になっている事、少子化対策という事で子供を産むことを国策として奨励されている事。など類似点がいくつもある。 作中強く印象に残ったのが主人公の預金が凍結され夫の物になる場面だ。信頼し合い仲の良い夫婦である2人だが主人公が自身の固有財産を持てなくなる恐怖に震えていても、夫には恐怖までは無い。夫は妻の財産を全て自分のものにできるからな。 『誓願』を読むしかない。

    1
    投稿日: 2025.08.24
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    100分de名著で取り上げられたので、再読。 アトウッドの最高傑作の一つ。 私にとっては、「語り手」という、小説の重要な構成要素に注視して読むようになる、きっかけをくれた作品でもある。 けれど、彼女の作品の中では、決して読みやすい方ではない。物語の起伏も(当然、あるけれど)他の作品に比べて、感じにくい。 理由は、作品が語り手である主人公の女性・オブフレッドの視点から語られること。 彼女は「侍女」という、この小説で描かれる「ギレアデ」という架空国家内で最も不自由な身の上にある。「侍女」は、生殖のためだけに生かされている存在。自由に外出することも、他者と言葉を交わすことも許されず、一日の大半を自室にこもって過ごしている。そのため、彼女の内省が語りの大半を占める。 だから、かえって『誓願』から読み始めた方が読みやすいかも、という指摘(誰のだったか忘れたけど)は、その通りだと思った。

    1
    投稿日: 2025.08.24
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    女性が管理され、地位ある人の子を産むための道具にされるディストピア小説。 「この世界はいったいどうなっているの?」というこの世界線の事が少しずつ見えそうで見えない。 この物語を読んでいる最中は、とても疑心暗鬼になる。 長い小説なのだが、その間に明かされることがとても少ないように感じる。 これは『誓願』を読まなくてはいけない。

    0
    投稿日: 2025.08.21
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    海外文学としては読みやすかったが、あまりにも救われなさすぎて、好みではなかった。 自由があること、選択できることは幸せだと感じた。

    0
    投稿日: 2025.08.14
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    夫と幼い娘とアメリカで暮らしていた主人公は、クーデターを境に自由を失い、子どもを産むための道具として身分の高い既婚者男性の家に派遣された。社会は一変し、女性は男性の所有物とされ、逆らう者は粛清される。かつての生活の記憶を支えにしながら、主人公は日々を生き抜いていた。性とは、自由とは、社会とは何かを考えさせられるディストピア小説。

    0
    投稿日: 2025.08.12
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    女性ディストピア小説。全体的に説明が不足していて分かりづらい事と、最後まで目立った展開が無いので、読み進めるのがやや辛い本書。続編が出ており、そちらは読みやすいとの評価も多く、トライしてみる。

    0
    投稿日: 2025.08.06
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    この閉塞感・恐れ・背徳感・スリル・絶望感 監視され誰も信用できず、救いもないおそろしいディストピア! でも主人公の侍女オブフレッドの味方にならざるを得ない (彼女の本名もわからない…勇敢な女友達モイラのように大胆にはとてもなれない…この世界の前には幸せな家庭を持っていたのに…)どうしたらここから抜け出せるんだ! どうしたら彼女を助けられるんだ! 続編 誓願を 読まずにはいられません。

    0
    投稿日: 2025.07.28
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    「100分de名著」がなかったら出会えなかった本かもしれない。初めから最後まで、不安、絶望、閉塞感で苦しい。架空の近未来ではなく、あり得なくないと感じるところも怖い。モイラがいてくれて良かった。せっかくなので元気な時に続編の「誓願」も読んでみよう。

    17
    投稿日: 2025.07.27
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    アメリカでクーデターが起きた世界で、支配者たちの子どもを生むために集められた侍女が語る物語。 ディストピア小説とされるが、支配者から見るとユートピア小説か。 段々とその世界が明かされていく手法と世界観は、どことなく「ザ•ロード」を思い出した。 これで終わり?と思わされてからの最後の章には驚かされた。

    0
    投稿日: 2025.07.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    女性が子を出産するための国家資産として管理されるディストピア小説。フェミニズム小説として名高いようだが、本書を読む限り、それは小説を形作る一要素として利用しているだけではないかと思われる。執筆時の国際情勢を鑑みるに、むしろソ連の強権政治やルーマニアの出生政策からの影響のほうが大きく見える。 ただ、それすらも物語を盛り上げるためのパーツでしかない。著者は、世のなかが評するほどのメッセージ性は込めていないと思う。それは映画版へのラブロマンス的なドラマへの改変をかんたんに了承したことからも窺える。 本書はどうやら政治的なイシューに関連して語られることが多いようだ。それはそれでよいとして、重要なことはそのような語りを生み出すような複雑なテーマを、大衆性、エンタメ性をふんだんにまぶして作り上げたところだろう。 主人公の女性は、過去に思いを馳せるばかりで特に何も行動はしない。ひたすら受動的である。文庫版の裏面にあるあらすじでは、ディストピアからの脱出を匂わせる文章になっているが、特になにもしない。いちおう最後には脱出するのだが、それも自ら動いたわけでもないし、ハッピーエンドかバッドエンドなのかさえわからない。500ページくらいかけて、ぶつぶつ言っているだけである。 だけど、それをすらすらとおもしろく読めるような作品にしてしまった作者の胆力は凄まじいものがある。一気に読んでしまった。

    1
    投稿日: 2025.07.08
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    「されたくないことをされない」自由しか与えられていない。「これが日常になるのです」と他者に言われること。「わたしを生えさせるのは選択なのだ。出口、救済の存在なのだ」と選択することに恐怖を感じ始めること。銀行の財産も娯楽としての雑誌も、また名前すら奪われる人の物語は、筆舌に尽くし難い物語だった。現実がこの本に近づいていると安易に断定することはできないものの、これはあれでは?とよぎるような描写がちらほらあることが恐ろしい気がする。 取るに足らないことを渇望する主人公の描写が最も印象深かった。 ======= たとえば、どっちが皿洗い機に皿を入れるべきかとか、どっちが洗濯物を選り分けたりトイレを掃除すべきかといった、巨視的な観点から見れば日常的で取るに足らない話題をめぐって議論をしたい。わたしたちはそのこと、つまりそれが取るに足らないか重要かをめぐってさえ口論できるかもしれない。それはどんなに贅沢なことだろう。(p.363)

    0
    投稿日: 2025.07.04
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    正直、半分読むまでなかなか入り込めなかった。 ディストピア小説といっていいのか?こういった架空の近未来小説といえば、完全に現世とかけ離れた「理想の」世界におけるちょっと異質な主人公が、その世界の「常識」を疑い、一石投じる、といった展開が多いが、抗っているというよりも、流れに身を任せているような。それから、過渡期を扱っているのはあまり読んだことがないかもしれない。 特定の子宮が国家の所有物となった世界の中。好きとか嫌いとか許す許さない認める認めないじゃないんだな。無機質な世界の中では、暇を持て余す夜よりも愛人契約の方がマシってことか。 最後の最後に、ああやっぱり自分がこの本を手に取ったのは、ディストピア小説を読みたかったからで、自分はディストピア小説が好きなんだなって思えた。 「太陽は無料であり、まだそれを楽しむ習慣は残っているのだ。」 紛れもなくだった。 解説を読んで補完された。 そういえばディストピア小説で女性主人公って初めて読んだかもと思ったのと、主人公が受け身なのが気になっていたんだなって気づく。そして名前を奪われる仕掛け。戦慄。女性に主体性を認めない、フェミニストが聞きつけたら現代の焚書坑儒が起こりそうな内容。

    6
    投稿日: 2025.07.04
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    読みたいと思っていた本をようやく読む。 SFデストピア小説と言われているけれど、今の時代はちょっとしたきっかけでこんな世界に成りかねない。とても身近な恐ろしさを感じる。名前の頭にof。夫婦別姓の問題にも繋がるような。

    1
    投稿日: 2025.06.24
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    これは…!面白い。 典型的ディストピアな世界観が秀逸。 なかなか暗い世界なんだけど、淡々とした語り口なのでさほど重苦しくない。絶妙。 リンチや処刑もあるんだけど、なんか大丈夫。耐えれる。

    0
    投稿日: 2025.06.17
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    すごい本。間違いなく今年のベスト1 この本以上に読む価値のある本はないし、他の本に書いてあることなんて、ほんの些末なことと思えてしまう。読んだ直後で、大分興奮していて、言い過ぎなのは自覚していますが。そのくらい圧倒的な本でした。

    0
    投稿日: 2025.06.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    すごかった。王道のディストピア小説で、重くて後味最悪なはずなんだけど、小説の構成とか構造も捻りがあって、そういう意味での面白さがある。 原文の英語で読んだらもっと細かいニュアンスが汲み取れるだろうなっていう箇所がたくさんあって、それが歯痒くもあった。 ギレアデ共和国の仔細は小出しにされていて最後まで読んでようやく少し理解できる(それでも謎が多い)程度だし、小説の構成は過去と現代を行ったり来たりしたり、現実なのか主人公の思索なのか妄想なのか判然としない部分も多くて読み進めるのに骨が折れるわりにスルスルと読めてしまう不思議。 それにしても、出生率が激減した社会で女性がまさしく「産む機械」化されるという設定、いよいよ架空のものでは無くなってきている薄寒さを感じて他人事とは思えないが、これがすでに1980年代に書かれているという… 小説の最後の研究者のシンポジウムのくだり、過去のこうした共和国の成り立ち、手法は繰り返し使われているっていうのに一番戦慄した。歴史は繰り返す…否、繰り返されないように社会を注視していかねばと強く思う。

    0
    投稿日: 2025.06.14
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    胸が悪くなるディストピア。 じわじわ迫ってくる異変が恐ろしかった。 最初は監視の目が増え、徐々に仕事や財産を奪われ、気付いたときにはもう後戻りできず強制連行、一家離散。 自分も割とそういうところがあるけど、「何者かになりたくてもがき苦しんでいる」ような人にとっては、こんなディストピアでさえもしかしたら、救いや役割として機能する可能性もあるんじゃないだろうか。 昨今の社会の余裕のなさや殺伐感は、全体主義を活性化する土壌のようなのものに見え、その恐ろしさが倍増した。

    0
    投稿日: 2025.06.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    100分で名著を見る前に先取りしてみた ディストピア小説 「すばらしい新世界」、「1984年」と同様 21世紀のはじめを想定していると思われる ある日突然政府が倒され、独裁神権国家が誕生 さまざまな汚染によって正常な妊娠、出産、人が育つことが難しくなったことへの危機感、さらに宗教上の理念に戻った対策をするために 女性は自由を奪われ、 正常な出産を経験している女性は特に 子供を産むための道具とされる そんな待女、妊娠を待つ女が語る物語 なにそれ!と思うような方法で行われる儀式 それらは宗教上必要な方法のようだ 少子化、自然災害、大気汚染 宗教がらみの争い、いまだなくならない戦争 今も何が起こるかわからない世の中に 暮らしている我々にとって 人ごとではない物語かもしれない 「夜」という章が頻繁に出てくる 待女、あるいは全ての女性にとっての象徴 であるかのように‥いや、女性に限らず、全ての 人にとっての闇がそこにあるかのように 『夜の闇が舞い降りて来る。どうして夜の闇は、日の出のように昇ると言わないで舞い降りるというのだろう?‥‥おそらく夜の闇を舞い降りると言うのは、それが目の前を覆う重く分厚いカーテンだからだろう。ウールの毛布‥‥夜が石のように肩に重くのしかかるのが感じられる』

    75
    投稿日: 2025.06.05
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    初読は1985年だった。 そのときの衝撃を忘れたことはなく、何度読み返したかわからないほど。 わたしにとっては、最高の作家のひとり。 常に著作を追いかけていて、機会をとらえて人にも何度もおススメしているが、 「世界最高峰のディストピア小説」 というキャッチフレーズにしり込みする人も多く、けっこう寂しい思いをしてきた。 実際、この本は、 重たい 怖い(ホラーではない。未来の絶望への恐怖感) 救いがない(こともない、けど) ので、再読でも、メンタルがOKなときがいいです。 <あらすじ> 近未来のアメリカが舞台。中世ヨーロッパのような生活に逆戻りした世界では、女性の性と繁殖能力が完全に国家に管理されている。 女性はいくつかの階層に区分けされ、「侍女」は子どもを産むためだけに、「旦那様」の寝室に呼ばれる。侍女は名前ももたない。旦那様とは口をきいてはならないし、文字を読むことも禁じられている。「妻」階層の女性は、旦那様と人間的なコミュニケーションを取ることが認められているが、性的接触をもたない。 「小母」という存在が、すべての女性を管理統括・教育しており、小母はマニュアルにそって、侍女や妻たちを、「あの階層よりはあんたたちのほうがマシだよ」と洗脳する。 つまり、文章や繁殖の権利を女性から奪ったのは男性なのに、それを監視し、強制する窓口は女性なのだ。ここらへん、イヤらしい世界観がものすごく巧い。 しかし、女性たちもいつまでも騙されっぱなし搾取されっぱなしではない。分断された女性たちが結託し、この世界に反撃を試みる、というお話しです。 さて、この世界観、 えーー? よくある設定じゃん? と思われた方!! 古今東西、ずずいーっと! 現代文学として、最初に描いたのがマーガレット・アトウッドなのです!! 1985年、『侍女の物語』は、SFの終末(ディストピア)小説として最高峰の、アーサー・クラーク賞を受賞した。 はい、ここ注目~。 SF? ディストピアってか? 今なら、フェミニズム文学とも呼ばれるはずのこの作品、1985年には、まだ、フェミニズム文学という言葉はそもそもなかったんです。 アトウッドのこの作品が、最初(くどいですが)。 さて、で、なんでディストピアかよ、ってことですが、当時、権威のある大きな文学賞の審査員って、ほとんど100%男性だったのです。 男性が読んで、この作品は、めっちゃ怖い。そらもー身の毛がよだつほど怖いお話しなので、 「近未来の終末恐怖を描いたSF小説」 として、受賞したのです。 ……なんだかなあ、って思いませんか。 わたしは思いました。 そりゃないぜー、と。 『侍女の物語』は近未来SFではないです。女性のとある立場を、もっとも寓意的に描いた純文学です。 が、当時、そんなことを考える(男性)審査員はいなかったのです。 そして、アトウッドは、受賞のときのスピーチでも、その後も、いっさい、自分の書いたものに対して解説しなくなりました。 1990年に入ってから、欧米ではフェミニズム運動が盛んになったのですが、これがけっこう過激な暴動系で、「男はおんなの敵だ!」という論調で、とにかく男性に反対し反撃するタイプの運動でした。 こういうフェミニズム運動家の女性たちからは、アトウッドは、 『侍女の物語』に、男性優位の読み方を許し、男性偏重の文学賞を黙って受け取った、男性側におもねった裏切り者 として扱われたのです。 火炎瓶投げつけられたりとか、当時のフェミニズム運動は本当~に過激だったので、アトウッドは命の危険さえ感じて、警察に保護を求めたこともありました。それがまた「体制におもねった」と非難されたり(泣) でも、女性が女性の敵にまわるシステムこそ、アトウッドが『侍女の物語』でいちはやく警鐘を鳴らしているんですけどねー……。 その後もアトウッドは、多重人格を描いた作品をビリー・ミリガンより早く発表していますし、2009年には『洪水の年』で、人類の未知のウイルスがパンデミックを起こす世界を描いています。 どの作品についても、発表当時は嘲笑われたり、「古典作品の焼き直し」とこき下ろされたりしましたが、現実がアトウッドの作品に近くなってくると、 「アトウッドは預言者だ」 と持ち上げられました。 そのいずれの状況にも、世評にも、アトウッドは一切コメントをしていません。 『侍女の物語』の受け止められ方以来、彼女は自分の作品を出したあとは、緘黙を貫いています。 でも、作品がすべてを語っている! とんでもない予見力と、小説としてのおもしろさの構成力を、ぜひもっと多くの人に知っていただきたいと思っています!

    8
    投稿日: 2025.06.05
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    フェミニズムが退潮した2100年の宗教権威主義国家アメリカを描く小説。女性の自由が侵害され、奴隷的に扱われている未来が悪いことは非常に良く描かれているが、ある日突然政府が抑圧的に変わった、という描き方は少々都合が良いのでは?と昨今のバックラッシュ風潮を見て思う。まあそれは別の小説が語ればいい話ではあるけども 北米の小説ってスクラブル好きだよね

    0
    投稿日: 2025.04.07
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    自由を奪われた近未来社会…「侍女」という制度、誰得でもない気がするのだけど、そうかあれは産めない女性、独身の女性、再婚の女性に対する罰、ということなのか…。敵なのか味方なのか、仕事と割り切って生きるのか、死ぬ覚悟で生きる道を探るのか…面白かったけど読んでて苦しくなったな。 怖いのは、登場する人たちはみんな「自由」だった時代を知ってる人たちだ、ということかな。

    0
    投稿日: 2025.04.02
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    恥ずかしながら初めて読んだが、ディストピア小説の古典と称されるのも納得。なんとも言えない閉じ込められた閉塞感がじわっとまとわりついてくる。 それでもちゃんとエンタテインメントになっているのが素晴らしい。

    2
    投稿日: 2024.12.12
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    SF? 近未来が舞台のディストピア小説。 ハクスリイ『すばらしい新世界』、オーウェル『一九八四年』と比較されるらしいが、それらを読んでいない自分からすると、イアン・ワトスン『オルガスマシン』を思い出す。 フェミニズムもテーマにした救いのない物語。 舞台は近未来とはいえ、一部の世界観は歴史上の出来事にも思えるし、大部分のストーリーは現代に起きていても不思議ではない。 決して面白いと感じる作品ではないが、考えるべきことは非常に多い、深い作品。

    1
    投稿日: 2024.11.06
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    第49回ビブリオバトル〜明石の陣〜テーマ「正義」で紹介された本です。オンライン開催。 チャンプ本。 2022.10.13

    0
    投稿日: 2024.10.13
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    80年代の作品なのに、今読んでも「世の中がこうなったら怖すぎるな」って思えるディストピアやばすぎる 生活のこまごまとした部分の描写がリアリティあって、本物の日記を読んでるような感覚だったのがまた……

    8
    投稿日: 2024.10.10
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    自分のことを、二本の脚を持った子宮にすぎない とまで表している。 この表現が、いかに物語の中の主人公たちの立場が薄く弱いモノであるかを表しているなと思った。 ただの子供を産む"物"として扱われる日々。 人権も愛情も感情も求めてはならない、そんなものなんてない。 独特な世界観だったけど、どこかこの世界であった話なのかもとさえ思えた。

    2
    投稿日: 2024.09.19
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    すごい話。 この話の着想のベースはキリスト教のようだけど、もしかしたらほかの宗教でも原理主義なるものはこういう類なのかも、と思わされた。今の世の中、世論が極端に振れることが多く、現実味があるような気がして怖い。

    0
    投稿日: 2024.06.16
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    架空の話であるのに、あまりにも現実感があり、今の生活の地続きにあるように思えることに恐怖した。 妙にリアルで、読むのがかなり辛かった。何処にも放出できないフラストレーションが、ページを捲るごとに蓄積していく本。 いつかこうならないって誰が言えるのかな。

    0
    投稿日: 2024.06.05
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    30年ぶり?の再読。当時は中学生かな。 あの頃もショッキングだったけど、再読してこんなにキツい話しだったっけなー、となった。 何よりきついのは全然古びてないというか、今の話としか思えないことでした。 そして、最後の突き放し方。物語としても、うまいなあと思いました。 次は誓願を読むよー。

    0
    投稿日: 2024.04.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    内容は難解で、読んでも読んでも読んでる気分にならない。 難解とはいえ、哲学的な難解さではない。 物語が過去と現在を行き来して語られるので、時間の位置の把握。独特の世界観の把握で、思考が持っていかれる。 時間が行き来していても『そうだと分かる』のならば、まだ読みやすいけど、この物語はなんだかよく分からないけど唐突に過去に引き戻されている。そして、いつの間にか戻ってきている。 境目がはっきりしてないので、過去だと思って読み続けていると現在になっていたり、現在だと思って読んでいると過去になったりする。 さらに世界観は一つ一つ説明されるわけではない。 何だかわからない『侍女』という役割の人物。『妻』に『女中』『小母』そして、得体のしれない『コロニー』 私は『100分deフェミニズム』を見て、この本を読もうと思ったのである程度は知識得てから読んだが、分からない部分が多かった。 これを知識なく読もうとしたときには、さらに労力がかかるんだろうな……と思う。 物語は『この世界には老女はいない』という事になっている。おそらく『小母』たちは老女だろうけど、彼女たちは教師のような立場の人間という設定で少数だろうと思う。 『女中』は館やそれなりの地位の人の身の回りや家事などを担っている……らしい。この部類にも老婆と言われるような年齢層が居そうではあるが、彼女たちは『買い物をしに街に出る』事はない。また、身体を壊せばすぐにコロニーに送られる立場である。 買い物は『侍女』の役割になっている。 では『侍女』は何かと言えば、『地位の高い人間の為に子供を産む女』であり、他の女たちから好かれる立場ではない。公的な妾のようなもの。 『妻』はそのまま妻という意味。『娘』もまた同じく。 『コロニー』とは、食事も与えられるか分からない劣悪環境で、長く生きる事はない場所。 物語は『侍女の物語』の名の通り、『侍女』が主人公。 侍女の『オブフレッド(フレッドのもの)』の視点で物語が語られる。 ざっくりあらすじ……と思ったが、本の物語通りはなくて時系列で書いてみる。 主人公はある日唐突に、クレジットカードが使えなくなり、会社からクビを宣告される。友人のモイラから社会が変わりつつあり、『女だけ』が資産を凍結され女の資産が身近な男に行くことを知る。主人公の場合は夫のルークへと移る。このことに主人公は憤りを感じるがルークは大したことがないように感じている。 主人公たちは国を出る事を計画するが、それに失敗して捕まる。 夫は草むらで別れたまま行方が分からず、娘とは引き離されて、主人公は『赤いセンター』へと送られる。 モイラとそこで再び出会う。モイラは二度めの脱走でそこから抜け出す。 『赤いセンター』での教育が終わり、侍女として派遣される。三つ目で司令官の家に派遣され『オブフレッド』という名が与えられ、そこでの生活が始まる。 毎日、散歩に行きパートナーの『オブグレン』と買い物をする。買い物は『交換できる品物が描かれたトークン』と引き換えで行われる。 看板も絵で描かれていて、女たちは文字を読む事を禁止されている。 月に一度医者に連れていかれ検査を受ける事になっている。医者は『(自分と子供を作って)ここから抜け出させてやる』と誘う。オブフレッドは、それを断る。 儀式と言われる司令官との性行為には、妻も参加する。出産もその地域の侍女たちが集まり、声をかけ、立ち会う。生まれた子供はその家の妻の手に渡される。 司令官に呼び出しを受け、妻には内緒で会う事になる。主人公と司令官は内緒で会ってゲームをする。散歩のパートナーである『オブグレン』とも本物の信者ではない会話をするようになる。 妻から他の男との間に子供を作る事を勧められる。侍女は三度目までに子供が出来なければセンター行きで、オブフレッドには後がなかった。主人公は男の使用人のニックを指名して、これを受ける。 司令官が夜に主人公を家の外に連れ出す。そこは『悪女たちの店』と呼ばれる場所で、そこでモイラに再び会う。そこは、海外向けの娼館のような場所で、外では禁止されている酒もたばこも女たちには許されていた。モイラにはそれ以降会っていない。 救済の儀で、オブグレンが仲間を救うために目立つ行動をして、迎えが来たために首をくくる。主人公は自分も迎えが来るのではと怯えるが、その前に妻に司令官との夜の外出がバレて叱責される。やがて迎えが来て、ニックが『これは自分(反逆者)たちの仲間だ』と説明をし、主人公はその車に連れていかれる。 最後にこれが『録音テープ』であることが書かれている。オブフレッドの時間より未来設定で『この時代に何があったのか研究するシンポジウムの議事録』という形でそれは示されている。ここで、名前がないのは『身分を明かして捕まる危険を避けるため』という事が分かる。 物語の流れはこんな感じ。 訳者あとがきから読んだので、これが『受け身』の物語であることは分かっていた。そうでなければ、動かない主人公にイライラしていたかもしれない。主人公が動いたのは司令官に『ハンドローション』をねだる事ぐらい。 主人公は一切動かないが、物語は動いていく。そして、世界が変わっていく様子が書かれているが、主人公は不満を持ちつつも、それを受け入れていく。 上記は時系列で書いたが、『オブフレッド』の時間より前は、時間軸など無視して回想と言う形で書かれている。これが、読みづらい。それが『今より前の事』という事は分かるが、『赤いセンター』での出来事が書かれていたと思ったら、『家族といた時の事』が書かれていたり、『子供時代の事』が出てきたり……と時間軸がめちゃくちゃなのだ。 その断片を脳内で繋ぎ合わせ、『社会の変容』と『物語の時系列』を組み立てて読む……。読者にかなりの負荷がかかる物語。 翻訳も『トークン』は配給券に書き換え可能のような気がするが、英語のままである。他の訳もカタカナにしてあるものはあるが、音を重視してるせいなのか一瞬意味を受け取り損ねるものがいくつかあった。 他にも『壁の落書きの文字』と言うものが出てくるが、これが英文(?)のままで、正直、一切読めない。意味も掴めない。この辺りは注釈ぐらい欲しいと思ってしまった。 後から、司令官が説明するシーンがあるけど、これが『ジョークですよ』と書かれているジョークの雰囲気がつかめない。どんな背景でこの文面が『ジョーク』なのかという説明がないので、主人公と同じくポカーンとしてしまう。おそらく文化的背景が分からなければ、分からないものなのだろうけど、なぜその言葉が性的なモノになるのかが分からない。 物語の雰囲気は掴めるけれど、なんというか……細部がつかめない。 ただでさえ、読者置き去りの物語の構造なのに、さらに言語の壁を感じる。 他にも『事実だ』と思って読み進めると『こうだったらいいのに』という願望にすり替わっていたりする。 ただ、それら全てが『書く事』『読む事』『飾る事』などのやるべきこと、できる事がないゆえに『頭で妄想する時間しかなかった』という事なのかもしれない。そう思うとこの『妄想』や『回顧』すらこの社会の侍女の扱いの酷さを物語る一部になる。 細部は外して説明をしたけど、女性たちは『仲良くなったり』『会話をしたり』することも基本的に禁じられている。禁じられても、そんなものが守れるわけがないので、徐々に交流したり内緒で会話をしたりしている。 トイレに行く時間を合わせてトイレで話すというシーンもある。刑務所のような日常なのに、主人公は『コロニー(と言う名の収容所)』に行くよりはマシだと考える。 でも、これ、あるあるなのだろうなと。徐々に物事が変わっていくと『そういうものなのかな』という正常バイアスが働くし、『逆らえば死が待っている』と思えば逆らう事もしなくなる。 壁に吊るされる死体が『死』を身近にさせ、主人公の受け身に説得力を持たせる。 『救済の儀』は公開処刑。これが性別で分けてあるのは、『同じ性別』という事でより身近に感じさせるためではないかと思う。この救済の儀でオブグレンの仲間が侍女の一人をレイプしたという事で引き出されて、侍女たちの手で暴力を与えるシーンがある。オブグレンは真っ先に飛び込んで、彼を気絶させたことで『仲間』であることがバレる。 しかし、そのほかの侍女たちは殺気だって彼に暴力を加える。暴力を与えなければ、信者ではないとみなされて自分たちが処刑される身になるという恐怖もあるかもしれないが、これは娯楽のない彼女たちにとって娯楽にもなっているのだと思う。 暴力は甘美な娯楽になり得る。という事が、ここで描かれているのもゾッとする。 だが、従順であればそれでいいのかと言えば、侍女たちにもタイムリミットがあって『派遣先三人目までに子供が出来ないとコロニー行き』 派遣期間が分からないが、一年ぐらいだろうか。つまり、侍女の寿命は三年。派遣期間が二年としても六年が侍女のタイムリミットで、その間に子供が出来ればそれなりの生活が約束されている。ただし、派遣先の司令官や高官は『高齢の男性』が多いらしいので子供ができる確率はそれほど高くはない。つまり、侍女もそれほどいい身分ではない。 ゾッとするが、その『ゾッとする』の中にはひたひたと現実にもある一部が反映されてるから。侍女はいないが、『子供を産む重圧』がない社会になっているとはいいがたい。 『若年女性の地方流出』がニュースになるような社会に私はいるのだから。 行動の制限、学習の制限、交流の制限。女性たちの置かれている状況が『ここまで酷くないけど』の言葉を置いて、この物語が描かれている気がする。 オブフレッドではないが『今(現実)はまだ(物語より)マシだけど』と思いながら読んでしまう時点で本当に『マシ』なのだろうか……と考えてしまう。 読んでよかった。

    1
    投稿日: 2024.03.09
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    驚くべきおもしろさ。 『侍女の物語』読んだ。 徹底して主人公オブフレッドの視点で描かれるので、国がどうなっているのかとか、他国は、世界はどうなっているのかということがまるでわからない。というか家の外のことがもうわからない。読者も主人公と同じ情報しか持っていないので、読んでいて極めて不自由で息苦しい家に閉じ込められた感覚になる。だからこそそんな生活の中でそれでもいくつかの微かな光をつかみそうになる描写がめちゃめちゃスリリングに感じる。 去年続編が出たということでそっちも読みたいんだが、その前に読みたい課題図書がいくつかあるので続編はいずれまた。 巻末の落合恵子の解説が野暮すぎて、あれさえなければと思った。

    1
    投稿日: 2024.03.03
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    あらすじ(早川オンラインより)〔カナダ総督文学賞受賞〕男性絶対優位の独裁体制が敷かれた近未来国家。出生率の激減により、支配階級の子供を産むための「侍女」たちは、自由と人間性を奪われた道具でしかない。侍女のオブフレッドは生き別れになった娘に会うため恋人と共に脱出しようとするが……。辛辣なシニシズムで描かれた戦慄の世界。(https://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/310011.html) ん…?貼り付けて思ったけど↑のあらすじ全然違うくない…?そんな話ではないよね。。 この本読んだ人が書いたのか怪しいあらすじだな… なぜこんな社会になってしまったか、こうなった経緯についての説明はなく(だいぶ終盤で経緯がさらっと触れられる)、 ギレアデの歪んだ社会規範、ルールとその中での希望のない、空虚な生活がオブフレッドの目を通して綴られる。 加えて「何かが起こるかもしれない」ような希望や変化の兆しも一向にないので、本当に憂鬱、ただただしんどくて読むの途中でやめそうになった。 女性から自由や意志、身体、財産、家族、そして名前まで…全てを奪いながら、犯罪や何か「ふしだらなもの」から女性たちを守っているつもりでいる支配層の言い振りがグロテスクで吐きそうになる。 とにかく恐ろしい世界なんだけど、最後の解説にあるように、過去様々な地域で実際に女性たちに起きていたことを参考に「ギレアデ」が作り上げられているので、 時代が違えば自分にも起き得たかもしれないとますます怖くなる。それに今後起こらないとも言い切れない。オブフレッドも私たちと同じような生活から突然この生き地獄に突き落とされたのだから。 役割によって変えられる制服、侍女の真っ赤な服、男性の所有物であることを示す of から始まる名前、焚書、集団リンチ、、 ギレアデの描写は象徴的な一方で、もうやめてくれというくらいとにかく細かくてリアルだった。

    0
    投稿日: 2024.01.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    その国では、女たちには知識を求める権利さえない。 これは一人の侍女が語る過去の話だったかもしれないけれど、私たちの未来の話にも思えてしまってゾッとした。現実に子どもの数が減っているのだから、あり得ない話ではないのだ。政府の非常事態宣言からバタバタと全てを奪われていく流れが本当に恐ろしかった。 ゾッとしているのにも関わらず、侍女の物語のなかに人間同士の親密さが見え隠れするのには興味をそそられた。先生や親に隠れて規則を破ったり悪いことをする時の、思い切った気持ちなんかがそれに近いのかもしれない。物語ではアイコンタクトでさえ危険で、そんな些細な行為そのものが大変な問題に繋がるわけだが。 女の国だけれど女が征服されている、保護と監視と支配のバランスが絶妙に描かれていた。これらは鉄壁に思えたのに、刻一刻と状況が変わるのが面白いポイント。 人と親密になり相手の弱みを握っていく過程、ちょっとした言葉選びで気づく変化が面白かった。緊張感のある人間関係はヒリヒリするけれど、その分面白いのだ。特に女同士で悪い秘密を共有する時の雰囲気、これがたまらない。 人間扱いされていない資源である彼女たちに、人間らしさや願いのようなものがまだ消えずに残っていて、それは希望だけれど同時に苦しみでもある。

    1
    投稿日: 2024.01.18
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    これぞ「読んでなかったの?」ですわよ! 続編を読むためにあわてて。なんと怖い…圧倒的映像美にヤラれる映画版より恐怖一層。侍女たちの置かれた境遇が、ではなく、私も保身と見せかけの平和のために嬉々としてこうなるであろうという確信を持ててしまうことが怖いのだ。

    0
    投稿日: 2023.11.12
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    ある権力を維持するには、立場の弱い者から順番に「閉じ込めて、監視し、統制」していくのが常道だ。 弱い立場にさせられるのが女性の女性性、幼年男女、人種差別される男女、職業の貴賎、等々。その女性がターゲットになったデストピアの世界を描いたのが、この小説の主題。 読んでいて、むかむか吐き気が止まらなかった。 これは未来の世界ではないからと気が付く、今まさに現実だからだ。 フェミニスト的な立場としてだけではなく。 そして、唯々諾々としている自分がいるからだ。 書かれたのが1985年、今2023年。

    8
    投稿日: 2023.10.18
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    背面の読まずに読んだので完全に手探り状態で読み進めていた。けどこちらの読み方の方が楽しかったなと思う。人によるだろうけど。 実際の好き度は4.5なので5にするか悩んだけど4よりは好きだなと思ったから5にした。 とても好きな表現が多かったが、この作品に好きな表現が多いということが良いことなのかはわからない。 自分は確かにこの小説の世界に住んでいないはずなのに完全に自分だと思う表現もあって人類に思いを馳せてしまった。 『誓願』の文庫化をまって2冊一気に買って読み始めたものの。これはカナダに住んでた時代かアメリカ旅行中にでも読めば良かったなと今更少しの後悔。これを読んでオタワとかトロント大学とか見てたらもう少し違う視点で景色を見ていたかもしれない。今は記憶を蘇らせることしかできないけど。 名を奪われ別の名前を与えられるという設定がどうしても救いの見出せない『千と千尋』だ〜となってしまった。 『誓願』も読むの楽しみ。

    0
    投稿日: 2023.10.13
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    面白かったし、恐ろしかった。このディストピアは完了した過去でも近未来でもなく進行形の現在でしかない。 ドラマ版S1を観てからの、副読本として『100分de名著 フェミニズム』とともに読み進めた。社会において女性として生きる身としては、このディストピアは完了した過去でも近未来でもなく進行形の現在でしかない。 フェミニズムを学び、ホモソーシャルな男社会と女のそれとは違う、私たちは連帯できる、と読もうとした上で見せられる「女を、それより更に上の地位と権力が与えられた女(小母)によって管理・支配する」という徹底的にグロテスクな構造。恋もひと握りの熱も存在しない、無機質な性描写。なのに、全篇にわたって存在し続ける不穏でスリリングな熱、空気感。 この本を読んだ様々な立場や経験のある女性の意見を聞いてみたい。きっとそれまでに経験してきた「女としての人生」の数だけ感じ方はあるだろうけど、根本的なところで芽生える「コレを私は知っている」という悍ましい共感覚は一緒だと思う。

    0
    投稿日: 2023.10.12
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    国会で虐殺が起き、大統領が殺される。非常事態宣言がされ、不安な、情報のない状態が続き、社会がいつの間にか宗教の原理主義者たちによって運営されている。 女性は財産を持たず、出産か家事労働のために存在する。男性は一部の権力者以外は下男。 主人公の女性の絶望が息苦しい。 近未来のディストピア小説となっているが、イスラム原理主義となっているイランや、アフガニスタンはこんな感じなのではないだろうか。 この物語のような世界で、今現実に生きている人がいるのだろうと気がつくと、物語は現実感が増して、グロテスクで恐ろしく感じられる。 近未来の話というより、過去あるいは今現在の話なのではないかと思う。 出版年は1985年。約40年前。40年前にこの作者は世界をどんなふうに見ていたのか。この作者の目で世界を見たら、なかなか怖いものが見える気がした。

    1
    投稿日: 2023.09.30
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     放射能汚染と感染症で出生率が極端に低下した近未来。アメリカ合衆国でクーデターが起こり、キリスト教原理主義国家のギレアデ共和国が建国される。高級官僚「司令官」の家に赴任してきた主人公の「侍女」オブフレッドの一人称で語られるのは、処刑と監視と密告が横行し、女性から名称と財産を取り上げ身分に分けて行動を極端に制限する、中世ヨーロッパにナチスとISを足したような強烈なディストピア世界である。読者はオブフレッドの語りを通してギレアデ共和国のおぞましさを追体験する。  それはほぼ恐怖体験で、かつてない程息苦しくページの進まない、辛い読書時間だった。その分本書が発しているメッセージは強靭で、発表から40年経った現在でも世界中で「女性の心身の決定権は女性本人にある」という当たり前のことがあらゆる形で阻害されているのを鑑みれば、決して色褪せることのない名作である。

    2
    投稿日: 2023.09.28
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    衝撃を受けた。なんだこの絶望は。そしてラストのショックは。そして何よりも恐ろしいのは、起こりうるかもしれないと予感させる今があることだ。妄想の余地が残されているから余計に恐怖や絶望を煽る。

    0
    投稿日: 2023.08.20
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    100分名著ジェンダー回で紹介されてたので購入。確かに設定はすごいのですが、言い回しや回想の入り方が独特で引き込まれるにはもう一歩だったかな、。 性行為や出産シーンが強烈ですね。あんなおぞましい方法考えついた作者すごい。 あと女性を男性に帰属させる序章としてまず資産を凍結させる、というのがなるほどと。暴力より成人女性の心を砕く方法として有力と感じました。まさに専業主婦ってこれだなと。 ギレアテは架空の国、ということになってますが、世界的にはこれを地で行く国が出てきてる感じがほんと怖いですね。。昔の人が勝ち取ってきた権利を守らねばね。

    0
    投稿日: 2023.08.14
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    圧巻。圧倒。底なしの不安と不信が。 巻末の著者による「注釈」(皮肉が効いている)も含めて、見事に構成されている。 これまでのフェミニズムの視点(全体主義研究も踏まえられた視点)から呈されてきた疑問が数多く埋め込まれている。明確な答えはないが、読むものの心を深く抉る。これが物語の力か。 巻末の解説は物語を矮小化してるように思えて、残念だ。

    2
    投稿日: 2023.08.14
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    マーガレット・アトウッドの代表作であり、アトウッドの名を知らしめたディストピアSFの傑作。 つい先日、オーウェルの『1984』を再読したばかりで、『1984』とのリンクも多く興味深かった。更に本作が書かれたのが1984年のベルリンだったというのだから面白い。発表当時、作品の評価は高かったが、こんな社会はありえないという見方が多かったようだ。 だがHulu製作で『ハンド・メイズ・テイル 侍女の物語』が製作されたり、トランプが大統領に就任してからのアメリカ社会の動き、また世界的なme tooムーブメントを含むフェミニズムの流行などから再評価される動きになったらしい。 自分はまさか1980年代の作品だと思っていなかったので、その背景を知って驚いた。 そして日本にいても、他人事には感じない時代性のある作品だと感じた。 どこかの議員が女性のことを「産む機械」発言をしたり、女性の賃金が男性と比べて低かったり、女性の社会進出を応援しますという企業広告に男性ばかり載っていたりと、『侍女の物語』に記されているような過酷な状況ではないにしても、未だに生きにくい女性の状況を考えると、『侍女の物語』は日本の延長線上にある社会にあるようにしか見えない。 「自分はこれまでの歴史上や現実社会に存在しなかったものは一つも書いたことがない」とマーガレット・アトウッドは語っている。 『侍女の物語』はまさに今現在、日本で世界で起きている状況を語っていると読んでいて思ってしまった。

    1
    投稿日: 2023.08.02
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    フェミニスト必読小説をようやく。ディストピア小説なのになんだか他人事とは思えない世界観。このまま行くとこの世界になる。 てかこの作品紹介の文章、全然違うんだけど…

    0
    投稿日: 2023.07.23
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    子供が生まれづらくなった未来の世界で、富裕層の子供を産むためだけに存在する侍女の物語。 宗教的な観点から女性の権利を極端に制限し、侍女の存在も正しいとされている世界が侍女の目から描かれているが、その描写が淡々としていて恐ろしかった。 戦時中だから仕方がないと耐えていたら、気づいたときにはすべて奪われる世界になっていた。デモをして権利を主張する人たちとは関係ないと思って暮らしていたら、何もかもなくなっていた。 前半ではどうにかして逃げたいと思っている主人公が、家庭内の人と関わる中で別にこのままでいいやという感覚に陥っていく描写や、食事があるだけマシだと自分に言い聞かせる描写があった。外野は無責任に逃げろと言えるけど、すべて奪われると無気力に陥ってしまうのだろう。 結構前に書かれた小説ではあるが、今の社会とも似た感覚があった。

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    投稿日: 2023.06.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『文学は予言する』に出てきた本。これだけは読まないとと思っていた。洋物が苦手なこともあり、大苦戦。読んで「あー!よかったー!」って思えるような話ではないけど、知れてよかった、とは思う。自分のいる世界がディストピアに近づいていくかもしれないという恐怖感があります。

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    投稿日: 2023.05.30
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    すごく読みやすい作品ではないのに、なぜかページがどんどん進む不思議な感覚。 1986年発表の作品とは思えない世界観。 本編全部読んだ後の注釈がなんともにくい演出。ずっと追っていた私がどこかで幸せであるように願ってしまう。

    0
    投稿日: 2023.05.12
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    近未来、出生率の著しい低下のため、妊娠可能な女性は「侍女」として司令官宅に赴任する。夫・娘との生活の記憶、相互監視、死の儀式。 人類に子供が生まれなくなる、という未来の話だけれど、女性と子供については聖書にもあるくらい昔からの話でもある。

    1
    投稿日: 2023.05.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【2023年40冊目】 すっごいディストピア小説だった……出生率の低さから、産みの道具される女たち。無機質無感動に行われる行為、そこから生まれた正常な命にだけ価値がある世界。 夫を、娘を、財産を奪われ、尊厳を踏みにじられ、それでも日々を生きる。最終的に彼女がどうなったのかは誰にもわからないけれど、彼女なりの強さを持ってきて生き抜いて欲しいと思わずにはいられない。 翻訳、かつ時系列や場面が結構ころころ変わるので大変ではありましたが、未来の暗黒な時代を垣間見るような一時でした。

    0
    投稿日: 2023.03.17
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    ディストピアで「侍女」として働くわたし。 段々状況が分かってくるところは面白いが、主人公はあんまり好きになれない。

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    投稿日: 2023.03.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自らのための備忘録  そんなに不満ならなぜ生きているの? そこまでして生に執着したいの? 私なら壁から吊るされた方がずっとマシだわなどと思いつつ読み進めていきました。  お正月のEテレ番組で紹介されたので図書館で予約し、順番が回ってきたから読み始めたけれどなかなかページをめくる手が進まない。はっきり言って私にはおもしろくない。立花隆は「つまらない本は、その場で読むのを止めればお金の無駄だけで済むけれど、お金がもったいないと思って読み続けると時間まで無駄にする」と書いていたので余程やめようかと思ったけれど、今年から計画的に本を読み感想を書くと決めたのだから、とりあえずこの本くらいは読もうと思って読み続けました。  私が興味を持てなかった最も大きな理由は、なぜ主人公たちがこのようなシチュエーションに置かれているのかの説明が、半分以上読まないと明かされないからでした。焦らさないでさっさと説明してもらいたいと何度思ったことか。  なぜこのような状況下で苦悩しながら生きているのか、半ば反感を持ちながら読んでいたけれど、彼女が「希望」を持って生きているのだと知った時、泣きそうになってしまった。ふとアゴタ・クリストフの『悪童日記』に出てくる双子の特訓シーンを思い出しました。周囲の罵詈雑言に耐え得るように、互いに罵詈雑言を浴びせ合いそれに慣れていくのですが、次にやったことは、かつて彼らの母親が言った「私の愛おしい子!」「私の天使!」などの温かい言葉を掛け合って、そうしていくうちに言葉は少しずつ意味を失い、言葉のもたらす痛みも和らげていくという、あのシーンです。  途中、つまり、主人公が希望を持って生きていると知ってからは、読み進めたいという意欲が湧き上がってきました。私の感想は、きっと作者やこの本を推奨する人が期待するところとは違っているとは思うけれど、私は、本書を読みながら、「人はいかなるシチュエーションでも生きたいと願うものなのか」とそればかりを考えていました。  愛するルークと娘と引き裂かれ、「降参して、追従して、生き延びるような真似」(p.460)をし続けているわけです。おそらく今この瞬間でも世界中で多くの国の人々が彼女と同じように「降参して、追従して、生き延びるような真似」をしていると思います。いくつかの国が具体的に思い浮かびます。それでも大半の人々は命を自ら断つことはしないのです。なぜなのか? それほど「生きる」あるいは「生き延びる」ことに意味があるのでしょうか。  次の主人公の語りがその答えなのでしょう。「わたしは痛い思いをしたくない。目鼻のない長方形の白い布を頭にかぶり、足を宙ぶらりんにしたダンサーにはなりたくない。壁に掛けられる人形にはなりたくない。翼のない天使にはなりたくない。どんな状態でもいいから生きつづけたい。肉体なら気前良く他人に使わせよう。彼らに好きなようにさせていい。わたしは情けない女だ」(p.532)  この物語は白人が主人公ですが、アフリカから連れて来られた大勢の黒人奴隷やその子孫も同じ思いで生き抜いてきたのではないかと感じました。私は、アレックス・ヘイリー著「ルーツ」、一世風靡したドラマにもなったあの「ルーツ」の主人公、キンタクンテの娘キジーと主人公を重ねて読みました。  圧巻だったのは、第十五章「夜」を読み終えたあとに続く「歴史的背景に関する注釈」でした。この章から読み始めていたら、私の場合はもっとずっと楽しい読書体験になったと感じたほどでした。ニックの描写が、ルークに勝るとも劣らなかった理由はそういうことかと納得もできました。  私は次のシーンが好きです。「実を言うとね、わたしはもうここを離れたいとも、逃亡したいとも、自由を目指して国境を超えたいとも思わないのよ。わたしはここに、ニックと一緒にいたいの。彼の近くに」(p.493)「でも、わたしは同時に空腹を覚える。非常識な話だけれど、でも本当なのだ。死はわたしを空腹にする。食事をしていないせいかもしれない。そうでなければ、死体を見ると自分がまだ生きているという実感が味わいたくなり、わたしは存在している、わたしは存在しているという最低限の希望を祈りつづけたくなるからかもしれない。わたしはまだ存在している。/わたしは今すぐベッドに入ってセックスをしたい。/享楽という言葉を思い出す。/馬を一頭だって食べられそうな気分だ」(p.512)  結局は、暴力とはすべてを支配下に置くことができるのだと改めて思いました。ここでいう暴力とは「大統領が暗殺され国会が、機銃掃射され」(p.317)というようなことだけではなくて、ハサミで指を切られたり、本を読んで片腕を切り落とされたり、手、耳、足が切り取られたりすることです。しかし「人の心」だけは支配することはできないとも思いました。けれども、当の本人であっても「人の心」を支配し続けることはできないようです。「人間らしさなんてすごく融通のきくものだわ、と母は言っていたものだ。本当に驚くべきものだ。ちょっとした見返りさえあれば、人々はどんな環境にも慣れてしまうのだから」というのに合点がいきます。  名作と呼ばれる理由が最後にわかりました。様々な問題提起がなされる名作です。本書の裏表紙には「侍女のオブフレッドは司令官の子供を産むために支給された道具にすぎなかった」と書かれていたけれど、基本的人権を奪われているという意味においては、私には「侍女」も「小母」も「女中」も「妻」も、ついでにいえば「司令官」ですら同じように感じました。メーデー。May dayとm’aider の言葉遊びはおもしろかった。また主人公が経産婦であるから侍女として選ばれたという設定に、唸ってしまいました。  それにしても、国家というものは、なぜ生殖問題、それも子どもを増やすことに介入してくるのでしょうか。1941年の「産めよ殖やせよ国のため」にせよ、今国会での「異次元の子育て支援」にせよ、なぜ、子どもを増やしたいのか。それに対して、中絶が法によって禁止されたり、避妊のためのピルが何十年間も承認されなかったり、アフターピルの高額で複雑な手続きについても長年疑問に思ってきました。  お正月のテレビ番組で、上野千鶴子は「子どもは財産だから。家父長制の中で妻や子どもは所有物と思われていたから」また、加藤陽子は「司令官はなぜ子どものを作らなければならないかというと、内戦・内乱、対外的な干渉国と闘うため、国、国力は人数だ、国力は男子成年人口、兵士になれる人口だ」と述べていました。お二人に対し意見するなどというつもりは毛頭ありませんが、でも本当にそうなのかしらと思いました。私はスギの木がワッサワッサと花粉を撒き散らす映像を見るたびに、これが「雄という性」の本質なのではと思ってきました。  本書では、侍女と妻は一体となって出産に関わってモイラのような女性と区別されていますが、日本を含む多くの国では、長らく出産する女性(妻)と性行為を楽しむ女性(妾や娼婦)は、恣意的に分けられてきました。国家の意志を作り上げていくのは誰なのかと思ってしまいます。  星の数は3.5。迷ったけれども0.5は切り上げて4とします。

    0
    投稿日: 2023.02.26
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    ひゃーむちゃくちゃ面白かったー… NHKの100分de名著の特別版、フェミニズム特集で取り上げられていて面白そうだと思った一冊。 買った時はその分厚さに途中で脱落する系の本だ、これ絶対…と思ったけど、最後はその厚さがどんどんと残り少なくなっていくのに肝心なところに辿り着いていないような気がして大丈夫なの、ねえこれちゃんとわかるところまでいくの?とページをめくる手が止まらなかった。 そして結局、この本は辿り着かなかった。なに一つ、分からなかった。なんなのだろう、この本の中で私が出会った感情は、どれも身に覚えがあるような気がするのに、私は彼女たちとは違う立場にいる。 こんなひどくないと思いたいけど、じゃあ結局なにがいちばんいいというのだろう。

    1
    投稿日: 2023.02.06
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    性役割や婚姻、出産、娯楽までもが全て国家と宗教に統治されることの恐怖を描きながら、それらを、文字を奪われ語ることを禁じられた侍女によって綴させる秀逸さに脱帽。文学には伝える力、残す力、そして逃避の力など無数の可能性を持ち合わせていることを証明している。

    1
    投稿日: 2023.01.30
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    2023.1.2 Eテレ「100分deフェミニズム」で取り上げられていた。「侍女の物語」は映画公開時、音楽を坂本龍一が担当したというので題名は知っていたが、内容は知らなかった。今回番組で見てとてもおもしろそう、と思い読んでみた。 「侍女」の住むギレアデ国は、生殖がコントロールされている国で「侍女」は「司令官」の子供を産むために選別された身分の女で、”足がついている子宮”だ、と主人公の侍女はいう。 そして司令官の妻たちは老齢で自身では子は産めないのだった。さらに驚愕的な場面、”生殖”のための”儀式”には、妻の上に「侍女」が寝そべり、そこで「司令官」が生殖行為をするのだ。あくまでも妻の子、というわけなのだ。番組では漫画と朗読で示された。その漫画の顔が感情の無い顔でその世界の驚愕さがよく表れていた。本を読むと、さらにその場面では司令官の家の女中や運転手なども周りに待機しているのだ。・・うーん、マリー・アントアネットが出産する時は宮中でベッドの周りに貴族が集まったというが、生殖時はどうだったのか・・ 大奥では襖の外におつきの女中が侍っていたか・・ しかし、ちょっと似たような話を思い出した。弁護士の渥美雅子さんの著書を読んだ時、名家で子供がなかなか生まれないと、村から女性に来てもらい敷地に住まわせ、旦那はその敷地に通い、後継ぎを産ませた、というのだ。そして子供は正妻が後継ぎとして育てる。まあ江戸時代のお殿様もそうではある。が、渥美さんの著書は明治から昭和かの話。 アトウッドはギレアデ国を描き、女性と出産、極端に統制された国家、というのを痛烈に批判している。ギレアデ国はアメリカの東海岸にあるようで、ほんの少し前までは”普通”の生活があり、クーデターらしきものが起こり統制社会になった。「司令官」「妻」、「侍女」(司令官の子を産むための女性)、「小母」(侍女の集合所で侍女の世話をする)、「便利妻」(より貧しい者の妻で子作りと家事をする)「天使」(前線にいる兵士)、「保護者」 「女中」(司令官の家にいる家事をする女性)、「不完全女性」(ギレアデ国の規範に逸脱した女性らしい)は「コロニー」で暮らす。 「出産車」に近隣住民も乗って、出産所に行き出産する。女性の置かれた状況を見ると、アフガニスタンの現在、タリバンの社会ってこれに近いのじゃないか、なんてふと思った。現在もある、っていうことだし、一歩まちがえばギレアデ国は出現する。 本では最後の最後に、落ちの無い?落ちがついている。この世界は果たしてバラ色なのか? そうは見えない。 2023.1.2 100分deフェミニズム https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/2023special/ 1985発表 (映画化1990) 2001.10.31発行(早川epi文庫、でも借りた本はブクログの表紙とは違った) 図書館  (単行本は1990早川書房) 

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    投稿日: 2023.01.10
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    長いうえに退屈というか鬱屈した話でしんどかった。世界観は作者の想像の産物というよりは、実在するカルトなどの共同体の実情を基にしているのだろうと思いながら読んだが、どうだろうか。

    0
    投稿日: 2023.01.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ある日突然今まで当たり前に持っていた権利を取り上げられて、どんどん人からモノへと扱われていく描写が怖すぎた。 そしてなんだか近い未来起こりそうな気がして余計に怖くなった。

    0
    投稿日: 2022.12.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    参加している読書会 課題図書 とても有名な作品なのに何も知らずに読み始め ギョッギョとなる デストピア  ありえないと思いつつ、そこここに現実味を帯びさせている著者のすごさ なるほど!とは思いつつ、気分が悪くなり何度も中断する 宗教勢力に牛耳られ、女性は名前もなくし、財産もない。 着るものも定められ、視野も狭められる。 そして子供を産むことだけを要求される。 情景、心理描写が巧みで惹きつけられてしまう。嫌なんだけど ラスト! 希望を見つけてもいいのだろうか。 ≪ 絶望の 中から強く 望むもの ≫

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    投稿日: 2022.11.19
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    久々の海外長編小説。舞台は、クーデターによりキリスト教原理主義が支配する近未来の米国。少子化を食い止めるため、女性は分類され、仕事もせず、氏名もなく、子を産むための男性の付属物となる。抵抗勢力は死刑となり見せしめのために壁に吊るされる。反対する女性もいれば、諦める人、むしろ権力側に阿り、管理側に回る人もいる。なんともいえない無力感。1984と並び称されるディストピア小説ということで、十分楽しめた。

    1
    投稿日: 2022.10.05
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     2022年9月15日に購入して、翌16日に読み始め、9月26日に読み終える。文学カフェのため。  内容をよく知らないまま読み始めたのだけど、ジョージ・オーウェルの『一九八四年』とカズオ・イシグロの『私を離さないで』を合わせたような作品だなというのが最初の印象。決しておもしろくないわけではないのだけど、前半は物語の進行が緩慢だし舞台設定も小出しでどういう世界を描いているのかよくわからなかったので、正直、かったるいなという思いが小さくなかった。それでもそれなりには興味がひかれるし、決して読むのが苦痛というわけでもなかったので、ある意味不思議な小説だなと思う。  いろいろなことを曖昧なまま不明なままにして読者に想像させる余地が多く残されているのは、読んでいるときや読み終えたあとに作品の背後の物語について想像して楽しむことができ、個人的には好みでよかった。  そういえば、便利妻とは何だったのだろう。あと、朝食のオレンジジュースはガラスのコップで出されていたようだけど、自殺の防止を考えるなら、ガラスのコップは使わないだろうなと。司令官の部屋、イゼベルの店、あるいはニックの部屋に行けば、においですぐに誰かに気づかれるだろうなと思うのだけど、どうなんだろう。

    1
    投稿日: 2022.09.26
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    女性が社会から締め出された近未来の架空の国家を舞台に、一人の侍女の生き方を一人称で綴る小説。 性行為の描写が徹底的に非感情的で、機械的な行為に、これは生産工場ラインの一設備工程ではないか。徹底的に人権を剥奪していくと、最後は人間行為はライン工程に落ち着いてしまうのかも。

    0
    投稿日: 2022.08.18
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    どこに話が到着するのか気になりすぎて、読み進めていった。 終わり方が気になりすぎてしまい、もやもやは残る。 女性の人権がことごとく侵害されているなーと。一昔前の世界に迷い込んだようだった。 これぞ、ディストピア小説。

    0
    投稿日: 2022.07.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読むべき本ではあったが、文体や話の展開が個人的に合わなかった。 一人称で延々と主人公が思ったことが語られるのはきついし、現在と過去が行ったりきたりでだるいし、話の展開も日常話(ではあるがヘドが出る)で退屈で、エンタメとしてのわかりやすい面白さは感じられなかった。 けれども、読むべき本であったし、また読み返すべきでもあり、忘れてはならない本であるという評価は変わらない。 ディストピア小説なのに、今と変わらないとかどんだけ。反吐が出る。 いちいち列挙しても暇がないくらいおぞましい世界だった。 最後の注釈もとい作中作の講演会の抜粋でも、このギレアデと変わらない価値観が続いていることがうかがえてため息ではなくヘドが出る。ゲロゲロ。 ギレアデという歴史を振り返っても、時が経ってもも変わらない。死にたくなる。 日常話ではあるが、ギレアデのディストピア社会について十分に表現されているので、そこは面白かった。変化の揺籃期にあるため、変化前と変化後について比較出来るのも面白かった。 大学を出て、特に強い思想が無い普通の女性がたどる運命を描いた作品。普通であるが故に受け入れたり反抗したりでリアリティーがあった。保身もしたいが自己表現もしたい。冷静になったり自棄になったり。 ニュートラルな立ち位置ではあったが、あまり共感は出来なかった。 好きなところ、好きな文章や言い回しはあるので、また読み返したいと思う。

    0
    投稿日: 2022.06.13
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    なんとも憂鬱な設定だと思いながらもついつい先が気になり一気読みしてしまった。 息子を産んだ後に読んだからか、私がもしこの世界にいたら子供を取り上げられた時点で気が狂ってるだろうなと思った。 文中にしたいことをする自由とされたくないことをされない自由という表現があったけれど、 それはされたくないだろうことを誰か他の人が考えて、押し付けているだけで、全く自由ではないということがよくわかる。 女性が今まで持っていた家族、仕事、財産、生きがいなどを全てを奪って、子を作るという価値以外認められない世界は想像を絶するけれど、この不安定な世の中の様子を見ていると、まったく有り得ないということも言えなくてとても怖い。 自尊心を奪われて誰かの所有物になる生活を淡々と描いた作品でした。

    0
    投稿日: 2022.04.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    女性が男性の所有物になった時代、子供を産む機械になった時代の話。子供を産めない者はコロニーに追いやられ、放射性廃棄物などの清掃をさせられる。子供を産む力はあるが再婚者だったり姦通したりしたものは侍女として、司令官の子供を産むことに従事させられる。異端は処刑され、教会の壁から吊るされる。 現代の風刺や暗喩の感じもするけれど、ぶっ飛んでてホラー。

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    投稿日: 2022.04.03
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    去年ドラマをお薦めいただいて ある程度のあらすじや面白いポイントは聞いていたんだけど、原作があるなら先に読もうと。 面白いー!!なにこれ、1985年に出てるの?え??すごい! SFがあんまり好きではないので、近未来の物語ってよりも主人公の情景にひかれた。 ずっと主人公の侍女の語りで進んでゆく。 いい子でも悪い子でもない。ごく一般の女の子が、突然変わってしまった世界で役目を決められて生きてゆく。子孫を残すためだけの役割。 周囲のプレッシャーと違和感と反抗。 続編もあるみたいなので楽しみ!

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    投稿日: 2022.03.13
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    ドラマは観ないで読んでほしいです。 観るなとは言わないですが、どうしてもニュアンスが変わる…せっかくなら、小説の醸すニュアンスを味わってほしいです。 それから、後出しジャンケンな側面もありますが、 続編の「誓願」と合わせて、スゴい少女小説だと思います。 男性には伝わるかな…女性が読んでも、誰に肩入れするか、分かれるお話でした。 リディア小母に共感できますか?

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    投稿日: 2021.12.29
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    図書館には1990年版のがあり そちらを読みましたが 二段編成の書籍だったし 最初は 主人公の時間が 前後したりして 読みきれないかと思いましたが 途中から どうなちゃうのだろうかと 引き込まれていきました。 近未来というのでしょうか? 普通の暮らしをしていた主人公なのに クーデターで 政権が変わったアメリカ。 脱出を試みたが 捕まり  娘と夫と離れ離れになってしまった。 過去の思い出と現在が交差して 書かれているので ちょっと頭を使いながら読みました。 赤い服を着なくてはならない 主人公の立場は 子供を産む 侍女。 そして 司令官(種)と その妻。 妻は もう産めない身体だから 出産可能な 侍女を持つ。 新しい政権は 少子化対策として 偉い人(司令官とか) とかの 子供を増やすべく  妾とかではなく 妻公認の 子宮=侍女を それぞれ持つ。 そして 必死になって 性行為をするけど 司令官はもうお年。 だけど 子供を産ませたい妻。 召使の男性と 性行為をして 産ませようとする。 主人公は 心が壊れそうになるけど 生き別れた 娘に会いたい一心で 生きている。 ラストは ハッピーエンドか バッドエンドか わからないまま 終わってしまった。 なんか 女性を産む機械のような扱いをする この物語の 未来は 今の 日本のように 思えてしまいましたね。 この本を調べたら 映画?ドラマ化されていたようですね。 映像で見た方がわかりやすいけど 怖いですね~~~

    4
    投稿日: 2021.12.13
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    大分前に新聞の書評などで、同じ著者の「誓願」がかなり話題となっていたが、「侍女の物語」の続編だということで、こちらを先に読まないと!と早速図書館に予約したのだが、我が自治体は370万人の人口に対して2冊しかこの本の蔵書がなく…ほぼ一年近く待ったのではないだろうか(だったら買えよ!…いやいや、待つのも一つの楽しみなので…)。 待ちに待った本は1990年出版の新潮社の単行本(ブクログには載ってない)で、紙のフチも茶に変色、文字は小さく2段組。 気をつけて捲らないと、ピリッと破けそうなほど年季が入っていた。 そんな本を前にちょっと読む気が失せかけたのだが、読み始めると、あっという間に物語に絡め取られる。 カナダで出版されたのは、確か1985年。 あとがきでは、ジョージ・オーウェルの「1984」に並ぶ作品と書かれている(「1984」をまだ読んでいないのだが、ディストピア小説なのだろう)。 40年近く前の作品とは思えない。 舞台はカルト教団のようなキリスト教のある宗派による独裁政権下のアメリカ。 この混乱と粛正、狂気は今世に溢れるニュースの断片にも似て、背筋がスーッと寒くなる。 最後の締め方もまた、面白いのだが、主人公の「オブフレッド」…フレッド氏の侍女(公的妾といえる)という意味で、本名は名乗れない…は一体どうなったのだろうか。 彼女の物語の続きではないかもしれないが、「誓願」も早速予約してみよう(こちらは、かなり蔵書数があるようだし…)。 追記、グラフィック版も出て話題になっているが、こちらも我が自治体の蔵書は2冊。 早速予約したが、予約数45。順当に行っても一年近く待つな〜(買えよ!) 2021.11.24

    21
    投稿日: 2021.11.24
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    ドラマ「ハンドメイズテイル」が自分の使っているサブスクでは観られなかったので、原作を。近未来を描いているが、起こりうる現実として想像が容易で非常に苦しい。自由を奪われた女性はモノとして存在する。こんな状況に自分なら耐えられるだろうか。今なお各国で権力の歪んだ行使は存在する。私たちはそれを抑止することへの意識を忘れてはいけない。ディストピア小説を代表する一冊として読むべき書。

    1
    投稿日: 2021.10.16
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    これは素晴らしい。重厚な読後感。すでに評される通り『1984年』を彷彿とさせるディストピア小説の金字塔。本物の絶望を味わいたければこの物語を読むべきだ。 キリスト教原理主義者によるクーデターから生まれた独裁神政国家ギリアド(ギレアデ)の物語を、荒唐無稽なフィクションと笑い飛ばせないのがこの世界の悲しさ。まさについ最近、アフガニスタンで似たようなことが現実に起こったばかりだ。 これ以上新たなギリアドが生まれないことを祈ることしかできない。 唯一の救いは、ギリアドが200年と保たず滅びていることだ。後の歴史学者に発見された手記として『侍女の物語』はメタ的にその社会背景が説明されている。その時代の世界はこのギリアドよりもマシなものだと思いたい。 英語読めるから、原書で読んでみたい。次の『誓願』も。 Huluのドラマも観なきゃな。

    5
    投稿日: 2021.10.15
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    ’85年発表、好評であった。2017年にテレビドラマ化され34年ぶりに続編も書かれた/近未来のディストピア小説であると同時に、20世紀前半までの西欧社会やイスラミックステートが“それほど現在のコンセンサスとかけ離れているか?”=フェミニズム運動は成功に近づいているか?が問われる。 ここで描写されるのは生殖医学を放棄し、神政で“女を産む機械”とみなす体制。修道女組織が支える 語りては「赤」で象徴される「侍女」 語り手はどうなったのか、作者は34年前には考えてなかったと思う。続編が出た以上、救いはあるのだろうが、まずは絶望を噛みしめたい。

    0
    投稿日: 2021.09.04
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    夏だ!休みだ!SFだ!ということで久しぶりに読書(Speculative Fiction!) 図書館で予約していたが、『誓願』が出たこともあって、半年以上待っていた。『誓願』もいつ回ってくるか分からないが楽しみに待とうと思う。 そして久しぶりに読む手が止められないほど面白かったのだが、近未来と言ってられない現状にここ数日は愕然としている。これは近未来の話ではないのだ、現実なんだと思うと、怖くて息がし辛い。いつこうなるか分からない。いつ自分がそういう状況に置かれるか分からない。そしてその状況にもし自分が置かれたら、きっと私は「オブフレッド」と同じ行動を取っているだろう。いや、彼女ほど正気を保っていられるだろうか?彼女ほど‘賢く’生きられるだろうか?安易に体制に縋り、新しい生活に順応しようとするのではないかとも思う。ただ、ただ、不安に駆り立てられる一作だった。この本が警告ではなく、現実になっていることを知ってなお、何も変わらない世界。香港、ミャンマー、そしてアフガニスタンと続いて感じるこの無力感.....

    0
    投稿日: 2021.08.19
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    Huluでのドラマが話題になっていたため、 原作から読んでみました。 繁殖という生物的役割が目的化した近未来の社会。 SF小説として楽しみながらも、 極限的状況における非人道的な行いが まかりとおってた時代は歴史上実在している。 これが未来を予言していそうでゾっとしながら読んだ。 続編も気になる終わり方だった。

    0
    投稿日: 2021.07.31
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    なんとも暗い、閉塞感のある物語だった。「物語」として楽しめるなら、それでいいのだが、文庫の解説に落合恵子さんが書かれているように、「近未来」とされているが「近過去」のようでもある。「現実」はその間に挟まれているのだから、地続きの世界だ。この小説が書かれた1986年よりも、2021年の方がもっと差し迫っている感じがするのは、そうか、「近未来」に近づいているからなのか。

    0
    投稿日: 2021.07.02
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    1985年に出版されたディストピア小説。原子力発電所の度重なる事故や内戦など、社会混乱の末に極端なキリスト教原理主義が社会規範となったかつての米国北東部「ギレアデ共和国」の物語。 明言はされていないが「かつては大学」「マサチューセッツ・アベニュー」という記述や、街と建物の描写から、ボストンのハーバード大学やMITの周辺を舞台にしていると思われる。 不妊の女性が増えて人口減少がすすんでいる中で、生殖のみを行う「侍女」とされた女性の一人称でストーリーは進む。現れる人たちすべてにとって楽しそうなことが何もない日々の中で淡々と進む日常がグロテスク。 巻末になり、100年後のイギリスの文化人類学か社会学の学会において、この物語は、ギレアデ国外への脱出経路の「駅」に残されていたカセットテープに録音された物語であったことが判明するので、主人公はギレアデから脱出した可能性が示唆される。 35年を経て出版された続編「請願」も購入した。 Huluによりテレビドラマ化されて配信されたことで話題となっており、こちらも見たくなった。

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    投稿日: 2021.05.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    誓願を先に読んでからなので,ギレアデ共和国のグロテスクな形態は分かっていたが,これは侍女の立場から蝕まれ壊れていく心理状態を描いている.女性をかくまで物として貶める心が男性の中に内包されていることを現代の中でも感じられるようで,そのことが恐ろしい.

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    投稿日: 2021.04.28
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    キリスト教原理主義の社会の中で、女性は産むための道具として扱われている。財産、名前、娯楽のあらゆる自由が奪われてしまったディストピアの物語。しかし読んでいくと現実の世界とリンクする部分も多い。例えば家を継ぐのは姉ではなく弟だったり、男女別姓が認められていなかったり。主人公が検診を受ける場面で、医師と患者の間に布が垂らされて…とあるが、現在の日本ではそれが当前だ。海外ではどうやらオープンに婦人科検診があるらしい。1985年に書かれた作品だが、まだまだ考えさせられる場面は多い。 物語はここで終わるの?と思うのだが 種明かしが最後にあって謎が解けたかと思ったけれど 続編の「誓願」が出版されているとの事で気になる

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    投稿日: 2021.04.27
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    読み始めてすぐに、物語の舞台が現代と地続きにあることに気づいてぞっとした。平和な毎日がこんな風にあっという間に変貌してしまうなんてことがあるだろうか、そんなことあるはずない、いや………。しみじみ恐ろしい物語でした。

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    投稿日: 2021.04.18
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    私が若かりし頃の大ヒット作。 続編が出たとのことで、読んでみた。 が…特に感想はないかなぁ… そうなんだ、としか。 続編購入の予定はありません。

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    投稿日: 2021.04.11
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    ずっと気になっていたけれど、翻訳物が不得手で、やっと読むことができた。 まず、滑らかで読みやすい文章にびっくり。翻訳者の方のセンス、力量が素晴らしいのだろう、煩わしさを感じることなく、物語に入り込めた。 物語は心底恐ろしい(とりわけ女性にとって)が、作者が詩人でもある為か、ダブルミーニングや隠された韻、歪められ、皮肉に引用される聖書の言葉が散りばめられ、その美しさに惹かれて、さらりと読んでしまえる。ところが、すぐに描かれていることの恐怖にざらりと肌が粟立ち、何度も肝を冷やした。 こんなディストピアが、1985年に描かれていたとは。信じ難い思いで読む側で、ミャンマーのクーデターのニュースが流れ、「それ」はいつ始まってもおかしくないことを実感する。 ギレアデでは、地震で原発事故が起き、放射能や化学物質で土壌や海洋が汚染され、不合格とされた女性が、汚染物質や死体処理を担う。 侍女となった女性は、あらゆる監視のもと、言葉を狩られ、社会的な生を抹殺されて、すべての自由を奪われながら、子を成す為だけに生かされる。忌まわしい儀式の数々に、耐えられない!と叫びたくなるが、彼女たちは声を上げることなく、それでも「囁き」で小さな光を、もっともっと小さな希望を追う。 果たして、これはいつの、どこで起きた物語なのか。明日、私の住んでいる街が、ギレアデになる可能性を、私は否定できない。 続編も読んでみたい。

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    投稿日: 2021.04.07
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    吐き気がする。 ニーメラーの詩を引用する他ない。 “ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった 私は共産主義者ではなかったから 社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった 私は社会民主主義者ではなかったから 彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった 私は労働組合員ではなかったから そして、彼らが私を攻撃したとき 私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった”

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    投稿日: 2021.04.03
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    「獄中シェイクスピア劇団」読み終えて、次に読むべく購入。長女(高3)が春休みに読んですごくおもしろかったという感想(しばらく前から見えるところに積んであったけど、よしながふみ「大奥」につながる「ジェンダーSF文学」と位置づける評論記事を読んで興味を持ったらしい)。

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    投稿日: 2021.03.30
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    海外ドラマ「ハンドメイズテイル」の原作、主人公の女性の日記のような感じ。 細かい設定と描写が丁寧なので、頭の中に世界観がすごくイメージしやすい。 まるで本当にあった歴史上の話みたいです。未来の話なはずなのに。皮肉 行きすぎたら戻るしかないんでしょうか。 なかなか読むのに苦労しそうだと思っていましたが、先が気になってサクサクと読めてしまいました。 最後の展開もおもしろいのでぜひ最後まで読んでほしいです。

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    投稿日: 2021.03.19
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    ギレアデ共和国、という未来の世界。 その世界では、女性たちはその全てとも言える権利を剥奪される。 仕事も、コツコツ貯めた財産も、子供の養育権ですら権力に奪われる。 できることは、配属された先の「司令官」と呼ばれる男性の子供を産むこと。 それができなければ、女性に未来はない。 たとえ相手の男性に生殖上の問題があったとしても、責任は「侍女」がすべて取らなければならない。 産めないのならばただ廃棄されるだけ。 廃棄?どれだけ人の価値が低いんだろう? たとえ、その侍女たる身分が特権であるとしても、そこになんの喜びがあるだろう? そして、司令官には妻がおり、妻は侍女と夫と同衾、いや、ただそこにいるだけで、侍女=妻の子宮とされるのだ。 そこに愛などなく、侍女たる女性ができることは、ただ耐えるだけ。 これは、ディストピアで、SFなのだ、と読むのが一般的だろう。 しかし、これは現代の物語ではないか。 所有のofがつけられた(配属された司令官ごとに名前がかわる)失われた本当の名前。 これは、今も、過去も、奪われてきた女性の姿ではないのか? 人はものではない。 対等であるべきで、誰かの所有物などではない。 だが、このディストピアは今まさに現実にあるではないか。 本書は結末を語らない。 語らない代わりに、さらに未来のギレアデ共和国研究者によってこの不幸な「過去」の時代が解説される。(この作りはおもしろい) いつかは私達も語られる。 その時に、私はこう言われる人間でありたい。 希望のある時代であった、と。

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    投稿日: 2021.03.14
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    近未来のアメリカと思われる国。環境破壊等の影響で出生率が減少するなどの社会状況の中で、大統領が暗殺され、キリスト原理主義的な宗教団体が支配をしていると思われる世界。 社会は「目」に監視され、女性は財産と職を奪われ、それまでの行動によって役割を分けられる。物語はその中で「侍女」と呼ばれ、買い物などの簡単な奉仕作業と、高位にある男性の子を産む役割を与えられた女性によって語られる。 男性も一部の指導者層を除いては禁欲の暮らしを強いられ、それに逆らうものは「天使」によって捉えられ、処刑され、その頭に袋を被せて絞首刑にされた遺体は「壁」に吊るされ、晒される。 そんな中で主人公の女性は「侍女」という暮らしの中で、囚われの身にある事に麻痺しつつ、かつて自分が一緒に暮らし、今は引き離されてしまった夫や娘がどうなったのかを時折思い出す、、、。 1985年にカナダ人の女性が描いたディストピア小説。昨今は前トランプ政権のアメリカを予見した作品などという評価もあったようだが、読み方を変えればこれは必ずしも性差別だけを取り上げた作品ではない。 女性から職を奪い、「女性らしい」生き方を強制したのはナチス・ドイツもとった政策だ。女性が「労働者」ではなくなり家にいる無職が常態であると定義されたので、ナチス・ドイツにおいては失業者が激減した。 「男性らしさ」にしても、「女性らしさ」にしても、果ては「理想的なアーリア人」、「大和魂」でも、人の感性や感情で一方的に決められた定義を強制され、それに服従させられる世界を、それを当たり前に考え、麻痺してしまう人々に囲まれる、その不幸と恐怖を描いているに過ぎない。 それだけに、この物語に恐怖や不安を感じないとしたら、それはそういう強制に疑問を感じない事になるような気がする。 去年読んだ「語りなおしシェイクスピア1 テンペスト 獄中シェイクスピア劇団」とはガラリと変わり、淡々とした語り口のディストピア小説。グイグイ引き込まれるし、物語の最後(結末?)が、読んだ後も想像力をかき立てられる。

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    投稿日: 2021.03.13
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    ドラマの内容に興味があったので読んでみました。こんな世界、過去にあったような錯覚に陥りました。映像か目に浮かび、とても読みやすかったです。ドラマも見たいなあ。

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    投稿日: 2021.02.07