Reader Store
洛中洛外画狂伝 狩野永徳 上
洛中洛外画狂伝 狩野永徳 上
谷津矢車/学研
作品詳細ページへ戻る

総合評価

1件)
4.0
0
1
0
0
0
  • 若さ故の勢い

    導入部は、後に狩野永徳を名乗る若者が織田信長の持つ虎図屏風に対し、「こんな生きていない画で満足するのか?」と挑発するシーンから始まる。その後、『洛中洛外図屏風』を描くまでの若者・源四郎の半生が語られるのですが、この展開はズルい!一気に物語に引き込まれます。 『洛中洛外図屏風』は将軍・足利義輝の求めに応じて描かれた物ですが、その足利義輝との出会いや狩野家惣領としての葛藤、絵を描く事への情熱、若いが故の未熟さ等、勢いあふれるエピソードが多くあっという間に読んでしまいました。 ただラストは、冒頭の挑発に対する信長の反応が肩透かしを食らった感じがします。下巻に収録の書き下ろし短編まで読んで、やっとカタルシスが得られた感じ。 それでも、著者はまだ20代と若い事を考えると、これからが楽しみです。

    8
    投稿日: 2014.11.17