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第三の嘘
第三の嘘
アゴタ・クリストフ、堀茂樹/早川書房
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総合評価

184件)
4.0
54
59
47
6
1
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    このレビューはネタバレを含みます。

    正直さとは、いざという時に嘘が通るための下準備だ。 『悪童日記』では、双子の作文が日記として描かれている。 「作文の内容は真実でなければならない、というルールだ。ぼくらが記述するのは、あるがままの事物、ぼくらが見たこと、ぼくらが聞いたこと、ぼくらが実行したことでなければならない。」 子どもの限られた語彙のなかで、極限までシンプルに表現された人の残酷さを垣間見ることができる。 ただ、これは壮大なフリなのだ。 この作品を読み進めていくと、前二部作が全て嘘だったことがわかる。 人は、真実を守るために嘘をまといながら生きている。そして、その嘘には真実が含まれる。その境目は、本人でさえわからない。 双子がどんなに虚構を重ねても、本質的に追い求めていた「失われた家族」「故郷」「愛」といった喪失感や孤独、それに対する切実な願いが痛烈に描かれていた。 亡命というのは、命を亡くすと書くように、自分にあったはずの何かを故郷に置き忘れることなんだろう。この双子のように、半身を引き離されたような、それでいてその場所に戻っても、そこにあったはずの何かは戻ってこないような、行き場のない痛みなんだろう。 あるはずのない何かを求めて、届かなくて、そういった痛みを抱えながら生き続けることもできなくて。 そんな時に人は、きっと嘘を本当と信じるんだろうと思った。

    2
    投稿日: 2025.10.10
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    超低Hzの重い余韻。三部作最終章にして第三の嘘…何を読んでいたんだろう。整合しない記憶と交錯する想い ワクワク6 展開6 読後8 再読8 構成6 学び5 文表現6 人物6 深み8 余韻9 合計:64/100

    0
    投稿日: 2025.10.08
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    前回とは打って変わって、全く違う方向に話が進み、一体何が正しいのか、よくわからなくなってしまった。 正しいことは、それぞれの中にある。 そういうことなのかもしれないが、それを本にしてしまうと何が何だか分からなくなってしまう。 作者という立ち位置にあぐらをかいたように思えてしまったのは、奇抜な書き方が見慣れないからだろうか。

    0
    投稿日: 2025.09.22
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    悪童日記の三部作目 悪童日記を読んだのが少し前なので詳しい内容を思い出し思いだし読んでみたけど、なんだか様子が違う? 双子はどこへ? もしかしてあれが嘘だったというの? 頭が混乱してきた 誰の話か、いつの話か、どれが本当の事なのか分からないまま最後までいった 不思議すぎる

    8
    投稿日: 2025.09.04
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    今、語っているのはいったい誰なのか? 虚構と現実が入り乱れ、文字列に振り回されるような読書体験が面白かった。 いってしまえばフィクションは本来すべて“嘘”だが、私たちは物語の内側に入り込み、登場人物と一緒に一喜一憂したりする。 ところがこの三部作には、没入したはずの自分自身をも俯瞰し、これは信じていいのか?と立ち止まらせる。 そんな、視点が二層にズレるような奇妙な感覚があった。 1作目では、双子が「ぼくら」という1つの器官のように振る舞い、感情を排除した淡々とした文体で悲劇を記録する。 その無表情さがかえって不気味な、インパクトのある作品だと感じた。 しかし三作を読み終えるころには、個々の出来事や心の傷にフォーカスしていた視点が、だんだんぼやけていった。 誰がどんな目にあったか、何が真実で何が虚構なのかは、どうでもよくなってくる。 戦後の国家や民族、家族、一人の人間の心に至るまで、何もかもが分断された悲しみが混ざり合っているように思えた。 人生の分岐点で、どの道を選んでも行き着く先は行き止まりのような鬱々とした内容ながら、意外と読後に重さは残らない。 読んでいるうちに、双子の“練習”と同じように、私の心にも耐性がついていたのかもしれない。

    47
    投稿日: 2025.07.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最後の一行が…悲しい タイトルに第三の嘘とあるように、この話も「嘘」なのかもしれない。そう考えるとよくわからなくなってくる。けどそこが面白いと思う。 この小説の内容は作者の戦争孤児の実体験を元に書かれたものだそうだ。その内容を知れるだけでも貴重なものだと思う。

    2
    投稿日: 2025.05.20
  • 人生とはまさにこうしたものかも

    「小説とはこういうものだ。読み終わって、そんな気がする」と評したのは養老孟司だった。 「子供がつづるような単純な文章が、きわめて切り詰められた客観的な表現を生む。それが、語られる内容の重さを、読み手に逆に強く意識させる」 「面白い小説がないか。そういう質問を受けたら、私はこの三部作を推薦する。安易な読み物ではない。しかし、引きつけられる。人生とはまさにこうしたものではないか、と」 1992年に刊行された30年以上も前の本だが、いっこう古びることのない魅力が詰まっている。 いまも山のように新刊書籍が出版されているが、本書のように堀茂樹という訳者が、クリストフという無名の作家を発見し、出版社に掛け合い共感に満ちた翻訳・解説を行なった作品に出会う機会はほとんどない。 あとがきで、三部作の最後である本作品で真相が語られているわけではなく、タイトル通りの嘘かもしれないと記されているが、どうだろう。 確かに第一、第二は嘘で、大きな帳面や日記を元にした物語は、事実を元にしたものではなく、リュカの純然たる創作物だったわけだが、第三の嘘は何だろう。 3つの嘘と読みかえれば、リュカが国境を超えた先で提出する書類の嘘のことだろう。 曰く、名前はクラウスではないし、国境越えに同行していたのは父親ではなかったし、年齢も18歳ではなく15歳だった。 とりわけこの年齢が最後に効いていて、クラウスが3歳も年長の男が自分の双子の片割れであるはずがないとリュカとの再会を拒む理由づけに使われている。 もちろんクラウスは、本物のリュカであるとわかっている。 いまさら母親に会わせても手遅れで、平穏な生活を乱したくないからつく抗弁ではあるのだが、嘘はこの部分を指しているのではないか。 それにしても『悪童日記』で、まさに一心同体と化した双子のあの鍛錬の日々、忍者の修行のようにお互いがお互いを鍛えあった日々の描写が、リュカの生き別れたクラウスへの思慕というか、現実ではなし得なかった願望の裏返であったというのは何とも切ない。 身の上話を誠実に書こうとすればするほど、深い部分で自分自身を傷つけてしまうため、こうあって欲しかったという願いに基づき美化しているのだ。 実際には起こってないけど、事実であり得たものとして変更を加えていく作業は、まったき作り話であり、嘘なのだ。 クラウスの視点から振り返ると、これがまた切ない。 父親が突然家を出て行き、逆上した母親がその父を撃ち殺す。 跳弾がリュカに当たってしまい生き別れ、その後何十年と再会できずじまい。 母親はその悔恨で精神を病み、傷つけたリュカを絶対視し、クラウスを陰に陽に傷つける。 さらに父の不倫の原因を作った愛人の元で育てられ、そこで出会った娘と許されぬ恋心を募らせるが成就しない。 一方では、リュカの行方を必死に探しながら、リュカといまの精神状態の母親を合わせてしまうと大変なことになると恐れてもいる。 自殺したリュカの葬儀を終え、また四人が一緒になれる日も近いなと夢想するクラウスの最後の言葉、「列車。いい考えだな」も印象的だ。 映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』の最後に、ロバート・デ・ニーロ演じるヌードルスが浮かべる微笑みを想起させる。 現世では決して叶わぬ、永遠に失われた関係性が、夢の中、あるいは来世で、そして創作においてなら実現できるのではないかという儚い思い。 人生もまさにこんなものなのかもしれないが。

    0
    投稿日: 2025.02.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    今までの話は全部嘘で双子の創作だったとは・・・三部作だけど、それぞれの世界が繋がっていないうえに、登場人物が同じ名前で別人として登場するので、最初はなかなか頭の整理が追いつかなかった。 「第3の嘘」というのは、クラウス?がリュカ?に他人だと告げたことなのか? 「悪童日記」と「ふたりの証拠」どちらを読んでも双子の片割れを大事に思っていることが伝わる。離れていてもお互い大事に思いあっていたのは確かに感じる。 そのうえで、あのラストは絶望というしか他にない。「電車か。いい考えだな」という最後の一文があまりにも救いがなさすぎて辛い。

    3
    投稿日: 2025.02.02
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    敢えて辻褄の合わなさを逆手に取ったようなこの第三部。悲劇に違いないのに、何だろううこのクールな終わり方は。静かな衝撃が持続している。

    6
    投稿日: 2024.12.01
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    本当も嘘も何もわからない。たどり着いたところは失望とも絶望とも違う、あえて言うなら「疲れちゃったよ…」 こんな陰鬱な物語がその昔、景気の良かった日本で大ヒットしたのはなんでだろう。宗教による救いも無い世界が日本人にフィットしたんだろうか。

    0
    投稿日: 2024.08.18
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    「悪童日記」の続編。 「ふたりの証拠」のラストにはかなりの衝撃を受けたけど、この「第三の嘘」では更に物語が二転三転する。クラウスとリュカの物語がパラレルワールドのように展開していき、まるで入れ子細工みたいな物語だった。 この三冊目を読んで、リュカと血の繋がらないマティアスが不気味なほどリュカに似ていた理由がわかった。クラウスはリュカでもあってマティアスでもあったんだな。 「悪童日記」も嘘「ふたりの証拠」も嘘、そしてこの三作目のタイトルが「第三の嘘」なんとも意味深。作中、リュカは手記の不要な部分は削除し書き換えている、というようなことが書かれていたので、今私が読んできた一連の物語は、クラウス、もしくはリュカが後から手を加えたものなのかもしれない。どこからがクラウスで、どこからがリュカが書いたものなのか、どちらがクラウスでどちらがリュカなのか、何が本当で何が嘘なのか、わからなくなってくる。まるで迷宮のような本。 リュカもクラウスもどっちも不幸だ。こうあってほしかった、と願って描いた物語が「悪童日記」だったのかな。崩壊した悲しい家族の物語だった。 一作目を読んだときはただただ不気味な子供の物語としか思わなかったけど、まさかこんな展開が待っていようとは。いやー面白かった。

    4
    投稿日: 2024.05.01
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    凄まじい三部作だった。 『悪童日記』『ふたりの証拠』そして本作『第三の嘘』と、それぞれの作品に異なる衝撃があり、そして二作目を読めば一作目の、三作目まで読むとシリーズ全ての、見方や印象がガラリと変わってしまう。 「真実」がどうであるのか考察することにさほど意味はないだろう。重層的かつ撹乱するような複数の物語を貫く、強烈な孤独感と、無理矢理引き裂かれ揺らぐアイデンティティ。亡命者である著者が故国と移住国に抱く感情の、言葉にし難い生々しい領域の、わずかな一端に触れた思い。

    6
    投稿日: 2024.04.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ・感想 悪童日記シリーズの3作目 2作目でも驚いたけど今作の展開にも驚愕。 結局彼らはどれなんだろう?全部嘘で作り物なのかな。 個人的には悪童日記のあの不気味さと閉塞感が好きだったから悪童日記のみで終わらせてもよかったかも。

    0
    投稿日: 2024.03.06
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    ふたりの証拠の最後で「えーっ?」と思って急いで読み始めた第三の嘘。疑問がするする解けると思いきや、更にえっ?あれ?と混乱。どこまでも陰鬱で、心を削られるような哀しみが続くのに読まずにはいられない魅力がある。

    13
    投稿日: 2023.12.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    (※ネタバレ) ⚫︎受け取ったメッセージ 実際には離れ離れだった双子。 二人が一緒にいられた「悪童日記」は、 二人が一緒にいられない現実から逃避する手段であった ⚫︎あらすじ(本概要より転載) ベルリンの壁の崩壊後、初めて二人は再会した…。絶賛をあびた前二作の感動さめやらぬなか、時は流れ、三たび爆弾が仕掛けられた。日本翻訳大賞新人賞に輝く『悪童日記』三部作、ついに完結。 (あらすじネタバレ) クラウスとリュカには悲しい事実(と思われる)があった。2人が4歳の時、父は浮気相手と一緒になりたいと話し、2人の母は父を撃った。その流れ弾がリュカの脊髄を損傷し、離れ離れに暮らすこととなった。2人の母は精神の病にかかり、またリュカはリハビリが必要となり、一家はバラバラになる。クラウスは4歳から愛人に育てられることとなる。腹違いの妹とともに。クラウスは本当の家族は母とリュカだけと思い続ける。8歳のとき、自分は愛人に育てられていたのだと知り、愛人を責める。腹違いの妹と近親愛に陥る前に愛人の元を去り、精神の病を患ったままの母と暮らし始める。ことあるごとに「リュカなら…」と妄想のリュカを褒め続け、クラウスには愛情を一切示さない母に、クラウスは何も言えない。そのまま55歳になっている。そこへ、リュカが現れるが、人違いだと告げるクラウス。2日後リュカは電車に飛び込み自殺。クラウスは父の墓の横にリュカを埋葬することに決める。この先母が他界したら、生きている意味もなく、4人一緒になれる日も近い、将来電車に自分も飛び込むかもしれないという余韻をのこして、完。 ⚫︎感想 「第三の嘘」によって、二人が会えるチャンスがあったのにタイミングが悪く、悲しい。ついに会えても、双子の気持ちは引き裂かれたまま。クラウスは55歳になってからでなく、もっともっと早くリュカに会いたかった。なぜ今になってしまったんだと思う気持ちで、リュカを追い返してしまう。しかし互いを求め、思う気持ちは「悪童日記」で描かれる二人で一人のまま。双子を引き裂く悲劇的な出来事に加えて戦争が落とす混乱。 いつの時代も、大人が引き起こしたことに巻き込まれ、犠牲になるのは子どもをはじめとした弱者である。

    8
    投稿日: 2023.11.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    まちがえちゃった。こちらはまだ読んでいない。どうやって消すんだろう。 以前間違えて登録したが、ちゃんと本当に読んだ。 あぁ、私の思い描いていた世界が、人物が、綻んでいく剥がれていく…そんな失望を感じた。そこに残った真実を見つめてみると、なんて悲壮。戦争の苦労は確かにあるが、彼らを壊したものはそれ以前の問題だったということが惨めで虚しかった。 一作目二作目で語られていた人物、やり取りは壮絶なほど不幸だが、確かに完璧すぎたのだ。不具は他人に押し付けて、うっとりするような不幸だったのだ。 拠り所になりそうなところが不幸の源でもある。その愛を頼りたいのに頼るわけにはいかない。どんどん物語は人間らしくなっていって、でもその方が惨めだなんて。 三作目まで読んで良かった。

    1
    投稿日: 2023.10.07
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    二人の証拠のラストで、エエェ! てなった後の本作。 悪童日記や二人の証拠であった若々しさ等はなく、 老いたリュカとクラウスの話。 全体を通じ、悲哀に満ちていて、なんとも言えない気分に。 内容が悲哀に満ちているのもそうだが、一人称の私が、リュカとクラウスどっちがどっち?てなることもあったのでもう一度読みたいと思う。 間違いなく名作。

    1
    投稿日: 2023.07.09
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    悪童日記から続く物語の最後となる3作目。2作目と異なり、語り口は一人称視点に戻るが、「私」は明確に2人となり、描かれる年齢や時代も悪童日記から大きく変わる。 その変化のせいだろうか、社会の残酷さや生きることの難しさ、悲哀という根底にある空気感は変わらないものの、悪童日記とは異なる読後感であった。 悪童日記の「ぼくら」は戦中・戦後真っ只中を生きており、生々しい戦禍の生活や雰囲気も相まって、癒えていない傷口を直視しているような、グロテスクとさえ思える不気味さを覚えていた。 一方、本作で語られるのは、あくまで悲哀に満ちた「過去」である。悲哀に満ちた、残酷な物語であっても、どこかふさがった傷口の中にある物語のようで、生々しい不気味さは感じなくなった。 代わりに増したのが「諦観」や「郷愁」といったどこか切ない感情の印象である。語られる「過去」の出来事が、現在のあり方を決定づけてしまったことを見せつけられる、それを「私」がどのような形をもって受け入れるのか、それを描いているように思えた。

    2
    投稿日: 2023.06.02
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    「悪童日記」「ふたりの証拠」と3冊一気読みして、読後ゾワッとした。時系列、人物描写、思い出して辻褄合わせようとしてもグルグル合いそうで合わない、繋がらない。再読しても完全に理解できるかどうか…。作者の闇を感じたのは私だけかな。

    1
    投稿日: 2023.05.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    三部作完結篇。 何と言うことだ。様相がまたもや変わった。 この三部作は、合間を開けずに一気に読むことをお勧めする。最終巻を読んでいる時に多忙で途切れ途切れに読んでしまい、内容がきちんと把握できなかった。予想を裏切る展開に頭が混乱して理解できない。 戦争の中、子供達が生き残るためにいかに過酷であったか。引き裂かれた愛を取り戻すことがいかに難しいか。クリストフは、双子という形で自己の分裂を表現したのか。

    2
    投稿日: 2023.03.31
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    本作品は『悪童日誌』『ふたりの証拠』に続く、アゴタ・クリストフ三部作の完結編 しかし話は完全に繋がってはいない ベルリンの壁の崩壊後、双子の一人が何十年ぶりかに思い出の地に帰って来る 彼は何十年も前の「あのこと」から別れたままの兄弟を捜し求める そして、双子の兄弟がついに本作品で再会を果たす 読み進めているうちに何が真実で、何が創作か全くわからなくなるが、もうそんな事はどうでもよくなる 双子の一人リュカは自分を捨てた母を捜し、もう一人のクラウスを捜した 自分を愛してくれる存在、自分への愛を求めた 自分はリュカであり、クラウスでもある 一方のクラウスは母が起こした「あのこと」により、リュカが行方不明になったことを知る その際、母とも生き別れるが母を探し出し一緒に暮らす しかし母は、自分のせいで行方不明になったリュカのことばかりを思い続け、愛していた そんな母に愛されたかったクラウス クラウスにとってリュカは、愛しさと憎しみが混在した存在だった 大切な人達の死、愛されたい気持ち、苦しい思い、どうにもならない絶望的な気持ち 同じ人間なのに、こんな悲しい人生もあるんだと思うと胸が痛い とても悲しい愛と、愛するが故の憎しみの物語 読了後も心に残る作品 再読したらまた違うかもしれないが、ちょっと悲し過ぎるかな 三部作とも間をあけずに続けて読むことをおすすめします

    24
    投稿日: 2023.03.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    三部作の最後ということだけれども、先の二作と比べたとき、双子の関係性が一番不幸で、悲しくなった。 一、二作目の『悪童日記』と『二人の証拠』では、リュカとクラウスという双子の兄弟を巡って、全く違った物語が語られつつも、二人の関係は、一心同体のものとして描かれていた。『悪童日記』の二人は、理不尽な生活の中にあって、協力し合いながら、強かに生きていたからこそ、最後、国境を隔てて別れるシーンに感動があった。『二人の証拠』では、双子の二人が、実は同一人物であることが仄めかされて、クラウス=リュカにとって、双子の兄弟の物語は、妄想であるからこそ、理想的な兄弟だった。 だからこそ、二人の関係が、修復しがたい溝として描かれる『第三の嘘』は、とても悲しい。 兄弟のリュカは、戦時中、母親が起こした銃乱射事件によって重症を負い、離れ離れで暮らすことになる。一方、双子の片割れであるクラウスは、その後も母親と共に暮らしながらも、当の母親は、兄弟のリュカを愛しており、クラウスに対して辛くあたる。数十年の時を経て、リュカは、家に帰ってくるが、クラウスは、彼が母親と会うことを拒み、追い返してしまう。 作中クラウスは、自分が書く物語について、「私はすべてを美化し、物事を実際にあったとおりにではなく、こうあってほしかったという自分の思いにしたがって描くのだ」と語っている。『悪童日記』と『二人の証拠』に描かれた双子は、まさしくその通りに理想的なものとして描かれる。しかし、『第三の嘘』は、そうなっていない。もしこれも「こうあってほしかったという自分の思いにしたがって」書かれたのであれば、悲しいように思う。

    3
    投稿日: 2023.03.16
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    予想を裏切る展開と、ラスト。 三部それぞれが、物語として成立していながら、通して読んだ時の、新たなる発見がすごい。 2人のどちら側からの視点なのか、実際なのか創作なのか、その全部が、層になっていて、切ない。  匂いや 温度 視覚を感じる描き方だった。

    3
    投稿日: 2023.03.01
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    「んっ?」ってなって、「あぁ。」ってなって、最後は「えぇぇぇっ?」ってwww もしかしたら、コレも嘘かもしれない。

    2
    投稿日: 2023.02.23
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    ストーリーの整合性を予め確保した、一般的な小説を目指し書いたのではなく、自身の内側に漂い続けているものを小説という形をとって表現したのだと思う。 訳者の解説が巧みで素晴らしかった。 双子の、「でも、あなたは、今しがたおっしゃいましたね。〝苦しみは減少し、記憶は薄れる〟って」という言葉に対し、不眠症の男の「そう、確かに私は、減少する、薄れると言った。しかし、消え失せるとは言わなかったよ」という一言が印象的だった。 理不尽な力によって本来の自分から引き剥がされ、本来ならばそこに存在したはずの自分、家族、自然、国といった幻の中をさまよいながら、完治することのない傷と共に生き続ける人間の強さ、脆さ、悲しさが物語の随所に滲んでいた。 緑色の鎧戸の家を見つめながら涙を流す双子の描写が辛く、なかなか読み進めることができなかった。 忘れられない本になった。

    6
    投稿日: 2022.10.01
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    ■ Before(本の選定理由) 「悪童日記」「ふたりの証拠」に続く3作目。 ■ 気づき 明かされる真実。これまでの物語を根底から覆すような真実。これは果たして真実なのだろうか?虚実入り混ざるような、不安とアンバランスさを感じさせる。 ■ Todo どうして著者は、前作の続きとしてこの本を描かざるを得なかったのか?それがもっとも気になる。

    3
    投稿日: 2022.08.10
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    第三の嘘。 なかなかAudibleで聞きつつも「えっ何どういうこと??」となるときがあった。章の変わり目くらいになると時々、双子のどっちの話なの?とわからなくなることも。 結局のところ、この三部作はつながっているようでつながってはないんだな。解説の通り。 でもつながっているようでつながっているという。 一作目はいわゆる作られたお話のこと。 二作目はなんだろう。これもまた空想の中でのこと。 3作目にやっとなるほどこの二人は一人に見せかけていたけどやっぱり双子。でも、想像の世界で書かれていたことだったわけね。とわかる。ような、でもワカラナイような。 でも本当に面白かった。怖いな、人ってっと思うこともあったけど、物語としてすごく面白かった。外国語でここまでかけるってすごいな。

    1
    投稿日: 2022.08.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    4/17/2022 悪童日記、2人の証拠を読んでしばらく経っていたので、ぼんやりとしたリュカとクラウスの思い出を心に読んだ。途中、どれが嘘?と混乱したけど、最終的には自分の中でリュカとクラウスの歴史が刻まれていた。最後まで救いがないが、親からの愛を求めること、兄弟姉妹に対する(性)愛のはざま、生きて書き、書いて生きること、などが軸としてみえる。

    0
    投稿日: 2022.04.17
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    えらい本を読んでしまった アゴタ・クリストフさん怪物やでぇ… 物語として素晴らしい完結をしていたと思っていた悪童日記がグラついて、ずっと夢の中にいる感覚 悪童日記は完結していた でも3部読んだとき、全く別の完結が見られる

    0
    投稿日: 2022.03.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    第二作の「?」がつながったような、つながっていないような。流し読みだから、もう一度じっくり読んでみようと思う。つながったらすごく面白いんだろうな。クラウス(K)がよくわからない。どうなっている??「彼」もリュカなのか、クラウスなのか。小説の再読は基本しない派だけどもう一度読もうと思える作品でした。

    0
    投稿日: 2021.12.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    一部、二部と繋がりがあるような無いような感じでちょっとこんがらがるけど、それくらいの余韻が良いのかなぁと思う。

    2
    投稿日: 2021.12.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」 3部作総括。 3部作として読み終わった時残る混乱と違和感は何かな。 障害があって外国にいた方のリュカが書いたと思われる「悪童日記」と「ふたりの証拠」。「第三の嘘」でクラウスと再会した時"未完成の最新の原稿だから完成させてくれ"って渡したものとイコールなのか?ん?何かがおかしくないか? 何が引っかかるのかな。ふたりの証拠の最後にクラウスが書いた風の章があったけど時系列的にまだ本物のクラウスが書いてるハズがない。あと、国境を越えずに残った方(ふたりの証拠でのリュカ)の周りの人が双子の存在を完全に否定してた事もなんか納得できない。そこに意味が無かったとは思えないんだよ。第三の嘘で投獄されてた時の"身の上話を書こうとしているが、あまりにも深く自身を傷つけるからできない。だからこうあってほしかったという自身の思いにしたがって描く"の文と矛盾してる気がするし。 ※↑訂正‼︎ 読み終わってからずーっと考えてた。 そしてある結論に達した。私なりの答え。 そもそもね、「第三の嘘」が前2作の謎解きだと決めつけてた所から間違ってた。だから違和感があったんだ。この3部作は全てクラウスの"こうあってほしかった"っていう創作だから。 [あのこと(ある家族に起きた悲劇)]後から、リュカが死ぬまでの物語をずっと読んできた。事実が明らかになったという意味での完結編じゃない。1人の不幸な男(クラウス)のねじ曲げた身の上話が終わっただけ。最初から最後まで全て、少しの事実が入った創作。 「第三の嘘」ラスト "私はまた、私たち四人があらためていっしょになれる日も近いなと思う。これで母が死んでしまえば、その時には、私がこんなことを続けていく理由はすべてなくなってしまう。 列車。いい考えだな。" こんなこととは「過去を塗り替えてまで生きようとすること」。結果は一緒でも過程と理由が違えば意味は変わる。そうする事でしか生き残る術を持たなかった人の話なんです、これは。自分の人生で印象的だった事や人をバラバラにして組み立てた、救済の物語。あの壮絶な物語が救済?って感じるけど、現実はもっと残酷だっていうこと。 この小説ヤバすぎるな‼︎震えるわ‼︎ ↑急に語彙力無くす 笑 2021.10.3読了 備忘録

    1
    投稿日: 2021.12.12
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    『悪童日記』3部作の完結編。2人の兄弟のその後を描いている。今まで読んできた兄弟とは設定が多少異なるため、過去の作品との繋がりが薄く読んでいて混乱してしまった。(そういうものとして読めばまた違ったのかもしれないが)兄弟は本当の兄弟なのだろうか、それとも現実から逃避するために造りだした別の人格なのだろうか、、そのようなミステリアスな部分を残したまま幕を閉じてしまう。いかようにも解釈はできるのだろうが、個人的には謎を明らかにしてほしかった。ただ物語に引き込む文体は、さすがと感じた。

    23
    投稿日: 2021.10.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    悪童シリーズ三部作、ラストのお話。今作は一人称。おそらくクラリス目線……なのかな。 冒頭で「私は自分の身の上話を書こうとするが、それは私自身を深く傷つける。だから私はすべてを美化し、こうあってほしかったという思いに従って描く」(p14)とあるので、どこまでが事実でどこまでが嘘なのかもうわからない。 これを事実だと仮定すると、シリーズすべてが崩れてしまうし、美化して書いたとすると、美化されたのはおそらく「悪童日記」の方だろうし、ということはここで描かれていることはリアルなのか? もう、どういう気持ちで読めばいいのかわからなくて、ラストまで読めばわかるのかと思ってたんだけど、結局最後まで読んでもわからなかった……。 「ふたりの証拠」は結局本当にあったこと?マティアスは実在したの? リュカは? また時間をおいて読み直したい。

    1
    投稿日: 2021.09.03
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    自分には難しかったなぁ。三作を一応読んだ、って感じで終わってしまった。 小説に嘘が挟まったりすると理解できなくなってしまう。誰の話をしているのかもよくわからない。

    0
    投稿日: 2021.08.16
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    「悪童日記」「ふたりの証拠」の結末「第三の嘘」。100%ネタバレです。 物哀しい曖昧な色合いの夕暮れのような作品だった。 「悪童日記」の内容は「ふたりの証拠」で、「ふたりの証拠」の内容もろとも一旦否定された。が、本作では冒頭に「事実であるだけに耐えがたく(中略)話に変更を加えざるを得ない」と、過去の2作品の種明かしされる。そして過去の2作品の作者であると読み取れるリュカの身の上話が前半に綴られる。 これを読むと、まず「悪童日記」についてはかなりの部分で納得がいく。母に溺愛された。常に支え合う双子の片割れがいた。あらゆる能力を自発的に身に着けた。これらの事は「こうであれば救われたのに」という思いで付け加えられた、もしくは実際に支えとなった妄想だったのだろう。 一方「ふたりの証拠」については、美化されてるとしても悲しすぎるし混沌としすぎててよくわからない。まず亡命したことは後悔してたのかもしれない。また、強くて気高い障害児のマティアスは「こうありたかった自分」なのかもしれない。しかし二作目に打ち出された「妄想の双子の片割れ」は二作目の愛人との会話で生み出されたかのように見えるけど、それは違ったのか?一作目が二作目で再定義され、この三作目でまた再定義されるのでかなり混乱させられる。三部作を読み終えた今、この二作目がいちばん謎だ。 「第三の嘘」に戻ると、双子の片割れクラウスは結局存在している。でもそれでよかったね、とはならない。片割れは妄想の「もうひとりの自分」を支えにすることもなく、崩壊した家庭の事情、精神障害を負った母親を背負い歳を重ねている。リュカがクラウスの存在を支えにしたのとは対照的に、クラウスはリュカに嫉妬し恐れている。会っても一貫して赤の他人のフリをする。そしてリュカは支えを失って自殺、クラウスも母親を看取ったらそうしようと思って物語が終わる。 でもこの物語は「第三の嘘」、つまりこの本には嘘が書かれている。クラウスはリュカと母親に嘘を突き通す。これが第三の嘘なのか、それともこの話事態が「美化された事実」なのか、謎のまま。 子どもの頃のクラウスが偶然同じ街に住むリュカを見て世話をしてくれてたおじいさんに質問をしたシーンが、「悪童日記」のリュカのほんとうの子供時代を表してるようで感慨深かった。それはあり得ないようなめぐり合わせでもあり、この三作目が全て嘘なのか、それとも違うのか、また迷宮に迷い込む…。 著者は自身がハンガリーからスイスに亡命して後に自国に帰国した経験を持つ。でもその後定住したのもスイスだ。 事実を書けない、美化して物語にする、亡命した後に帰国しても失ったものは永遠に取り戻せない…ということなんだろうか。 #読書記録 #第三の嘘

    3
    投稿日: 2021.08.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ネタバレ含みます。 アゴタ・クリストフの「悪童日記」「ふたりの証拠」に続く、三部作の第三作目。前二作と同様に、一気に読み終わったが、正直、肩透かしを食った感じがする。 第一作、第二作と読み進めるにつれて、物語全体に対しての謎が深まっていく。第一作と第二作には矛盾している内容も多く含まれるが、それを第三作が一気に解決してくれることを想定して読み進めたが、その期待は裏切られる。 同じモチーフであるが、三作はそれぞれ別の物語として考えるべきであろう、的な解説もあった。あぁ、そうなんだという感想だ。 本作が物語として面白くない訳ではなく、上記したように一気読みした。しかし、それぞれが別の物語という前提で読むと、最初の「悪童日記」が飛びぬけた傑作で、あとの二作は、それなりに面白いというレベルのものかと思う。 少し残念な読後感。

    15
    投稿日: 2021.07.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    なんか読めば読むほどわけわからんくなったきた笑色々思うことはあるけどこれに至っては『悪童日記』でやんわり終わるのもありだとおもった リュカとクラウスが小説とは真逆の不器用な時間をそれぞれ過ごしている。とりあえず読み終わった感がすごくてなんかいまいちだった。人に勧めるなら付箋回収うんぬんより悪童日記だけをおすすめしたいとおもう。 親が不倫して家族がバラバラになったり、母親が毒親にかわったり、妹を好きになったり、それはそれでまぁなるほど。って思うけどいまいち『悪童日記』の読み応えに比べたら、んーって感じが否めない。本当の愛を求め続ける兄弟の話しとして別々扱っても良かった気がする。どうしても序盤勢いで読むとなかなか失速する

    3
    投稿日: 2021.07.07
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    『悪童日記』の単純明快な物語は続編『ふたりの証拠』で音を立てて軋み始め、第三編である本作『第三の嘘』において崩壊する。 前作『ふたりの証拠』は『悪童日記』の続編である。『悪童日記』のその後が語られているものと思って読み進めると「おや?」というところが散見され、「おやおや?」という引きで終わる。 本作『第三の嘘』では『ふたりの証拠』の「おやおや?」の種明かしが行われるのだろうと思いながら読み進めると、過去作の断片的なイメージをかすめながらも決してそれと重なりはしない事実が語られていく。 第一作『悪童日記』執筆当初からすでにこの構想のもとに書き進められたものなのか否かについて思い巡らしながら読んだが、巻末の訳者解説にて本人が当初の構想にはなかったと語っていたことが明かされる。 前作『ふたりの証拠』と本作は名作『悪童日記』の続編三部作に位置付けられるものの、その実、一貫した物語ではない。『悪童日記』だけで完結した物語でありながら、続く二作では『悪童日記』の物語を揺るがし、冒頭に記載したように崩壊させるものでありながらも『悪童日記』の物語は損われることなくあり続ける。 虚構が虚構であると知りながら、その記述を信用しないことには読み進めることのできない読者が、虚構のその本来の虚構性を知ること、すなわち記述の真偽両面、二重の物語を読むことがフィクション作品を読む醍醐味であり、かつまたそれが私たちが現実を解釈する際に行っていることそのものであることを改めて認識させられる。

    4
    投稿日: 2021.05.20
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    後書きにも、ありましたが、 何が、真実で、何が、 嘘なのか?それとも、すべて、嘘なのか? わからなくなってしまう。 殆ど一気読みに近い、真実を、知りたい! と、思いながら、どんどん引き込まれます。読了あとも 余韻が、残り、あれは、真実? これは、嘘?と、読み返してしまいました。 伏線になりそうなところには、付箋紙貼って、 結局、付箋紙だらけになったのですが。笑。 読み応えのある、3部作でした。最高!

    9
    投稿日: 2021.05.13
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    前二作を読み終えて、すべての謎が解けることを大いに期待して読了。 しかし、“してやられた”と言うべきか、物語の完結を当たり前のように求めていた自分を、あざ笑うかのような見事な逆転劇に舌を巻いた。 著者の力量を否応なしに味わうことができた、小説世界の常識と枠を超える不思議な魅力にあふれた三部作だった。

    0
    投稿日: 2021.02.13
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    あー終わっちゃったなあ こんなすいすい読めて続きが気になる本 久しぶりに出会った ONE PIECEもこんな風に読めたらいいんやけど

    0
    投稿日: 2021.02.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    悪童日記からふたりの証拠、そして第三の嘘まで、取り憑かれた様に2日間で全て読んでしまったのだが 三部作と言われてはいるが、決して続いていると言う訳ではなさそうだ。そんな簡単なものではなさそうだ。 と言うのは、悪童日記からふたりの証拠までは何となく続いているのかな?と思ったけれど、第三の嘘は、双子の名前も出てくるし、彼ら自身が主人公ではあるが、相違点が多々出てくるため、もしかしたらこういったこともあり得たのでは?と言うまた別の側面だろうと思った。 私がリュカの話だと思って読んでいても、あれ?これはクラウスの話なのでは?とか、その逆もあったりして、作者のミスリードというか、そういうのがすごく上手い。 あれ?あの人とあの人は同一人物じゃないのか?みたいな。 結局、あの双子にとって、何が本当の話なのかは全くもって分からなかったが、全て読んだ後で再読したら、また納得出来ることもあるんだろう。 とても不思議な、でもとても良い読書体験だった。

    3
    投稿日: 2021.01.31
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    読み終えたが、あまり理解できないのでもう一度読み直す。国の位置や歴史的背景をもう少し調べて読み直す方が理解することが出来るかもしれない。

    3
    投稿日: 2021.01.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    本書はアゴタ・クリストフの傑作『悪童日記』三部作の完結編。 一気にこの三部作を読了したが、非常に考えさせられるものがあった。 1作目の『悪童日記』では第二次世界大戦の戦中、戦後の混乱のなか、双子の兄弟が必死に生き残っていく姿が淡々と描かれた。 2作目の『ふたりの証拠』では、別れ別れとなった双子の青年期を東側諸国となったハンガリーに残ったリュカの目を通して描かれた。 3作目の本作では、別れた双子が涙の再会をするのかと思えば、そう簡単な話ではなかった。 この双子の存在自体が虚構であったのではないか、あるいは、いままで述べられてきた物語は全くの空想であったのではないかと読者に思い起こさせるような展開となっていく。 ただ、この三部作については実際のところ、この双子の兄弟にどのような事実があったのかを突き詰めることはまったく必要のないことだと思う。 どのエピソードも事実であり、実際に『誰か』の身の上には起こった物語なのであろうから。 そこを読者がどうとらえるかということなのだろう。 本書は著者の自伝的要素も多分にあり、著者は西側諸国へ運よく来ることができたが、もし東側に残っていたらこういう人生もあっただろうということを想像し、東側に残ったかもしれない「もう一人の自分」の物語を書いていったのだろう。 そう考えると、この戦争が分岐点となり、自分が二つに分かれてしまって、その二人がそれぞれの人生を歩んでいった想像の姿が、この物語に記されていった考えたほうがわかりやすいのかもしれない。そこにはまた更なる分岐点がたくさんあったはずであり、その分岐点の末端をそれぞれすくい上げて、文章に書き記していったと考えると腑に落ちることもたくさんある。 非常に心を動かされた3部作であった。

    27
    投稿日: 2020.12.05
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    ついに悪童シリーズも完結。久々のハイプに注文した本の到着を今か今かと待ちわびた。手にしてからは一気読み。本作の意外な展開に、そうきたか!とまたしても唸ってしまった。 しかしこのアゴタ・クリストフという小説家は引き出しが広い。語り口も1作、2作目とガラッと変わっている。自分の展開予想もいい意味で裏切られた。 自分の中では1作目の『悪童日記』は星6だった。それより少しパンチがなかったけれど、一連の作品ということで星5にした。

    2
    投稿日: 2020.07.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    悪童日記、二人のに続く3作目だけど、この物語は3部作というだけで続いていない。それがこの本によって分かる。 テーマへと読者に嘘をつきながら近づいて行く物語は他者では書けない素晴らしい才能。 美しいだけの人生ではない北欧東欧にある人生観も相まって、面白い。 3部作で最高傑作。

    0
    投稿日: 2020.05.06
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    今までの二つの作品と繋がっていないので、困惑し全て日記に記してあったことは嘘か記憶がおかしくなったのかと思った。第三の嘘の中では、母親が不倫をしていた父親を射殺しその流れ弾でリュカが負傷し兄弟は離れ離れとなった。クラウスは父親の不倫相手の母親の家族に引き取られ、リュカは孤児院に引き取られお互いに人生をうまくすごせなかった。クラウスと母親は一緒に住むが、母親はいつもリュカのことばかり。兄弟は最後に出会うことができるが、兄弟であることを嘘だと思うことでリュカは自殺した。彼らは戦争、父親の不倫によって人生を狂わされた。兄弟だとわかっていながらなぜ嘘をついたのか?母親のため?

    0
    投稿日: 2020.04.18
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    何が嘘で、誰が私で、どこまでが真実なのか、読んでてどんどん深みにはまってきます。 これはあの2人の物語なのか、アゴタの物語なのか。 誰も何も悪くなくて、ただ時代が悪かった。 戦争がもたらした虚無感というか、人生や感情や大事なひとものをごっそり奪っていってそれがずでんと残って離れないような感覚。 もがいてぶつける場所がここだけやったんやなって。 自伝と物語の狭間で揺れながらも、最後のところがぞっとする。 淡々とそれでいてむき出しなアゴタ健在。 また最後の解説が深くて、読みいってしまいます。

    0
    投稿日: 2020.02.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    双子の秘密が明らかに…しかし、これどこまで真実なのか分からない。もしかして、全てが嘘であったとしたら。 ただ、嘘だとしてもクラウスと実母の関係程悲しいものはない。クラウスにとってはリュカは大事な存在だが、母のリュカへの後悔の思いが強すぎて、リュカの生死不明な状態を羨ましく思い怨も抱えてしまっている状態は出口のない八方塞がりな状態。最後の文は絶望感の深さにゾッと鳥肌。だけど、この部分もクラウスの創作の可能性も捨てきれないのが、この小説を闇の中に引き摺り込む。

    0
    投稿日: 2020.01.21
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     見かけの大枠は、悪童日記は双子が2人で書いた日記、ふたりの証拠は双子のうちおばあちゃんの家がある街に留まったリュカの物語、本作は第一部と第二部からなり、双子それぞれの視点で語る物語である。ただ、それが揺らぐのが面白い。  三作品とも、読み始めたら一気に最後まで読めてしまうくらい文章そのものは軽く、淡々としている。A・クリストフが理系ということに非常に納得する。淡々としているため読んでいる時は、展開的にもこのままずっと淡々と行くんだろうなと思わされるが、そんなことはない。しっかり衝撃的な部分がある。  悪童日記の最後では、双子の別離によって、主人公が分裂したように感じられた。ふたりの証拠の最後では、双子の一方の物語を読んでいたつもりであったのに、双子の存在と日記の信憑性に疑念を抱かされた。どう考えてもリュカとクラウスの存在に矛盾が生じてしまう。疑念は第三作目の前半まで続き、読者に悪童日記もふたりの証拠も双子の存在も、全て嘘であったと思わせる。しかし、第一部の最後で双子は存在していたと語られ、真実と思われる物語が第二部で第一部とは別の主人公の視点から語られる。  ただ、第三の嘘で語られる物語が必ずしも真実とは限らない。本作品には繰り返し嘘という単語が登場し、複数の嘘が重ねられるが、本作品のタイトルが第三の嘘である以上、筆者は大きな括りでも嘘をカウントしている。悪童日記が第一の嘘、ふたりの証拠が第二の嘘、本作品が第三の嘘だと仮定すると、真実の物語を語っている作品はこの三作の中に無いと言える。この作品のどの部分も真実としてありうるし、どの部分も嘘としてありうるように思われる。もっとも、もっと読解力があって細かく分析していけば嘘と真実を区別できるのかもしれないが…。  しかし、どこが真実でどこが嘘であろうと、これらの物語は単独でも三冊まとめてみても巧妙であり、非常に面白い作品達だと思う。淡々としていて、シリアスで、ミステリーチック。今読んでる物語は嘘かもしれないから淡々と読もうとする反面、物語そのものの魅力に惹き込まれてしまった。  嘘をどうカウントしているかについては別の見方もあるかもしれないので、読み返した際にまたじっくり考えたいと思う。  一冊の本はどんなに悲しい本でも、一つの人生ほどは悲しくないという言葉が胸に焼き付いている。どんなに本を読んでその世界に浸っても、実際にその物語を歩んだ者の世界を見ることはできない。

    4
    投稿日: 2020.01.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    三部を通して、結局、この物語には真実は何もないのかもしれない。ただ、幼児期に受けた喪失感は後年まで残り続けるし、お金や人並みの生活水準が幸福感に与える影響は大きいんじゃないかと思う。何をきっかけに狂うか、何をきっかけに立ち直るかはそれぞれだと思うけど、この物語においては、立ち直った側が酷く醜くみえる。

    1
    投稿日: 2019.09.10
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    「悪童日記」から始まる三部作の最終章。評価が分かれる作品だと思うが、自分は一作目のインパクトが余りにすごくて、残念ながら二作目、三作目では最初の衝撃を超える事が出来なかった。この本は第二次世界大戦をドイツや旧ソ連の支配下で過ごした人々の悲哀と諦めと無力感を描いた作品として広く欧州諸国で受け入れられているのだろう。ただ、少なくとも「悪童日記」は是非一読をお勧めしたい。

    8
    投稿日: 2019.07.31
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    読み終わった直後は頭が混乱。 改めて凄い3部作だったと実感。 3部作とも最後が痺れる。 良い体験が出来た。 解説と共に読むとより良い。

    0
    投稿日: 2019.06.30
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    2冊目までは真剣に読んでいたのに、3冊目は何が現実で何が幻想だか全くついていけず、楽しめなかった。シュールな子供時代の1冊目、2冊目も十分、小説ファンたちの心を動かしたのに、あれは作り話だなんて。そしてほんとの話である3冊目を楽しめない非文学人の自分って。。

    1
    投稿日: 2019.06.25
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    裏表紙に''明かされる真実と嘘''とある割になにが真実なのか嘘なのか明かされない。でも何もかもが本当にありそうでもあるし、本当であってほしいことでもあるのだろう。 『悪童日記』続編としてではなく、独立した作品として読んでも面白い。

    0
    投稿日: 2019.03.06
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    悪童日記から始まる三部作の完結編。完結編ではあるけれど、第1作や前作からのカタルシスが解放される訳ではなく逆に多くのペーソスを残す。3作目にして初めて一人称単数で語られる物語。この結末が真実なのか?そうとは言い切れない。また悪童日記とふたりの証拠を読み返したくなった。

    1
    投稿日: 2019.01.07
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    お願いなので悪童日記を読もうと思ってる人はこの「第三の嘘」まで買っておくべきだし、「ふたりの証拠」以降を並べていない書店は本当になにも分かってない。

    4
    投稿日: 2018.09.30
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    悪童日記から始まる3部作をついに読了。 この世界観、この読後感は何だろう。全く今まで味わったことのない感覚です。

    0
    投稿日: 2018.07.11
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    20180630読了。 悪童日記3部作の最終作。 下手したら駄作となってしまうくらい、今までの前2作をひっくりかえすような内容。 内容のどこまでが真実かわからなくなってしまう。 物語の捉え方について読者によっていろいろ考えさせる余地があるが、個人的には余地を与えすぎていて面白みを失っているような気がする。 もう少し収束感があったほうが気持ち良い読了感になったと想う。

    0
    投稿日: 2018.07.01
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    三部作の最終巻。『悪童日記』はゆっくりと、『ふたりの証拠』の途中で停滞するも後半はテンポよく読み進め、そして『第三の嘘』は時間を忘れて一気読みしました。 『悪童日記』を読み終わった後は「全巻をまとめ買いしたのは失敗だったかな」と思っていたけれど、実際はそんなことはなく、むしろ『悪童日記』より『ふたりの証拠』、『ふたりの証拠』より『第三の嘘』とどんどん引き込まれていき、現在は「『第三の嘘』を読んだ後に読む『悪童日記』『ふたりの証拠』も面白いんだろうな」と思いを馳せています。 何が真実で何が創作なのか、大変興味深く読ませていただきました。

    0
    投稿日: 2018.06.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「悪童日記」「ふたりの証拠」に続く三部作の最終刊(どうでもいいけど,「ふたり」「第三」ってなってるんだな).三作ともトーンが異なるのだが,結局何が真実で嘘なのか. 本書の一部は亡命したリュカの,二部は残ったクラウスの物語であって,交わることのなかった不幸な双生児の時間線が交錯する.本書を読めば,「ふたりの証拠」に若干無理があって,中途半端であるような印象(最後のどんでん返し頼みの内容)であった理由がよく分かる. 「悪童日記」だけで止めておくか,三作ともキッチリ読むかの二者択一だと思う.

    0
    投稿日: 2018.03.17
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    「悪童日記」「ふたりの証拠」に続く3部作。 「悪童日記」は二人で一つの存在のような双子自身の記述による物語。 「ふたりの証拠」は、国境近くの街に残ったリュカの物語が殆どを占める。終盤に不在と思われたクラウスの話になるが、公的文書はこれを否定する。 さて、本書の最初は別の国から戻った死期の近い男。村はずれのお婆ちゃんの家で住み始めるまで、そして国境を越えた国で歳を重ねた彼の物語は、「悪童日記」とも「ふたりの証拠」ともまったく異なる。 後半のもう一人の物語も、まったく違った話。二人の邂逅も永年の時間を埋めるものとならない。一心同体のように語られた物語はあっさり否定される。 自分のかつての家を探して歩く子供。失われたものは帰ってこない。 双子が重ねた嘘が「悪童日記」「ふたりの証拠」だったのだろうか。 後書きにミステリー的に書かれた作品でなく、作者は双子の物語を書き続けなければならなかったとある。 失われた母国の生活や少年少女期。自分の場所が何処にもないと感じながら、懐かしく哀しい物語だった。

    0
    投稿日: 2018.03.13
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    題名通り。そもそも「物語」で、語る人を信じ切る、というのが、実はなかなか危ないことなのかもしれないなあと思わせた作品です。 これまで読んできた小説でも異質な作品。 どれもが「嘘」と思えば、読んでいることそのものがばかばかしく思えても仕方がないのに、なぜかひかれて読み続けてしまう。物語を続ければ続けるほど、過去の作品の存在が揺らぎ、奥行きを増していくという構成はお見事。 語られることそのものは奇抜でもなんでもなく、戦争という時代背景や、児童虐待、障がい者を扱ったほかの作品と同じくまっとうな人間の苦悩や悲しみを淡々と描写しています。ですが、その体験を語る人がどのように語るのか、という点がこれまで読んできた作品にはないものでした。 三作目では、二作目で同一人物ではないか?という終着点を引き継ぎ、「クラウス」が自分の過去を語り始めるのですが、「悪童日記」や「ふたりの証拠」が別の視点で語られます。このままリュカとクラウスは一人の人物の空想だったのだろうか?と思わせての第二部です。 自分自身が見ている世界、語る過去が「真実」といえる証拠はどこにあるのだろうか? この本を読んでいて思ったのは、過去は過ぎ去って取り戻せないものだということではなく、人の記憶の中でどのようにも変化しうるということでした。 また、語る言葉によっても、その在り方は変わってしまう。 とても面白い作品だった。こんな作品を他にも読みたいものだけれど、おそらく唯一無二の作品なので、また折を見て読み返して新しい発見をしたいものです。

    2
    投稿日: 2018.03.07
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    一気に読見終えた。面白い。悪童日記から続く三部作最終巻。この作品の良さを語るのは難しい。読めば分かる。是非、悪童日記を読んで欲しい。そうすると自動的にここまで来れると思う。読んできっと損はない。そう思います。

    0
    投稿日: 2017.12.18
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    一体何だったんだこの三部作は… 今まで私は何を読んでいたんだ…というのが正直な感想。 一応、今までの話の種明かし的なことと、この物語の全体の構造のことは話されていたけど、それすら本当のことかどうか怪しい(確かめる術なんてあるわけないけれど…) 私自身、結局リュカとクラウスって何者だったの⁈と問い詰めてみたいと思うほど作品に登場する架空の人物達にだいぶのめり込んでいる気がする。もしかすると、どこかの時代にこの二人は本当に存在していて、その時代を生きていたのではないか…という錯覚に陥るほどの存在感とリアリティ。 フィクションということを忘れてしまうほどついついのめり込んでしまうのも、作者の幼少期の体験や記憶が強く作品に反映されていたからだろうか……。 ラストはゾッとするような後味を残していて少し寂しい雰囲気。 もう一度読み返したらまた違う感想が書けそうな気もする。

    2
    投稿日: 2017.12.16
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    完全にクラウスとリュカがどっちがどっちだか分からなくなる。どこまでが虚構や嘘で、どこからが本当なのか、あの日記は何だったのか、二人が二人なのか、祈るように読んでいた。

    0
    投稿日: 2017.12.03
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    「悪童日記」の主人公である2人の双子の兄弟の成長した姿を描く3部作の最終作。 3部作とはいっても、3部の間で描かれる兄弟の姿にはかなりの矛盾点があり、いったいどれが本当の話なのか、読み手には全く理解できない。この不思議な感覚は、カズオ・イシグロが得意とするような「信頼できない語り手」の技法に近く、読み手を最後まで混乱させる。 そもそも「第三の嘘」というタイトル自体がそれを暗示しているわけで、そうした緊張感の中で、兄弟が辿った(と思われる)それぞれの人生の悲しみがシャープに伝わってくる。

    0
    投稿日: 2017.11.12
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    『悪童日記』に始まる三部作目。完結篇。双子がついに再会する。物語が進むにつれて今まであった嘘が明かされていく。 とはいえ自分に理解力がないのか、非常にややこしい。何が嘘でどれが本当なのかなんだかもうよくわからない… 解説もさっと読んでみて、自分のアイデンティティや帰る故郷について語られていると感じた。それらをなくすことは想像を絶するほどつらいもののようだ。

    0
    投稿日: 2017.11.09
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    いやあの……前巻までのアレは一体………… これはこれでものすごく悲しく、悲しいんだけど、なんというか『悪童日記』を読んだときの胸の高鳴りに対して、(そりゃこんなクールなのはフィクションだよ)と思った自分を後悔するというか…その通り過ぎて…。 ただ三部作読んで後悔するかというとそれはない。 リュカとクラウスが私は好きだ。

    2
    投稿日: 2017.08.25
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    悪童日記から続く三部作を一気に読み終えた。 最後のこの第三の嘘は、いままでの二作は何だったのか?何が本当で何が嘘なのか?と思わせる内容だ。 頭がちょっと混乱しつつも、とても惹きつけられるストーリー展開だ。 作者が経験した、亡命という悲しい過去がベースにある。戦争や争いによってもたらされた心の傷は、その後もずっと抱えていくことになるのだと感じた。

    0
    投稿日: 2017.08.23
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    三部作の種明かしとして成立しているようにみえる。 あまり幸せとはいえない終わり方だが、亡命を余儀なくされアイデンティティの分裂を感じたアゴタ・クリストフの心情を反映しているようで、心に響く。

    0
    投稿日: 2017.07.09
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    『悪童日記』『ふたりの証拠』に続く第3巻・完結編。続編ですがどれも独立した作品のようにも見えます。 2作目『ふたりの証拠』で積り積もった謎は一旦横に置かれ、冒頭から彼らは50代半ばへと年を重ねています。1作目『悪童日記』であんなにも分かち合い共鳴し合っていたように見えた2人は時代と年月に揉まれ関係性に大きな変化が生じます。 時代という大きな波に翻弄されることで心の大切な部分を押し殺しながら生きなければならない状況。母国ハンガリーから致し方なく亡命せざるを得なかった著者の半生とどことなく重なり、心が締め付けられるようです。 相手を想うからこそ嘘が重なり、リュカもクラウスも心に反して拒絶し合います。 3作を通して全く異なる文体や様相を見せる小説は初体験だったように思います。読者もどこまでこの作品の、彼らの“嘘”に巻き込まれているかあやふやに。 真実は個々人の胸に秘めたまま――そんな無常さを感じるラストでした。 クラウスは言う。 「いや、嘘が書いてあるんです」 「嘘?」 「そうです。作り話です。事実ではないけれど、事実で有り得るような話です」(130p)

    5
    投稿日: 2017.04.10
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    悪童日記にはじまる三部作の完結編。 50歳を超えたリュカは故郷に戻りクラウスを探す。 クラウスは精神障害となった母と再会し一緒に暮らす。 ここでも二人の恐れが見え隠れしている。 激しく求めながら、それを得られない苦しみ。 お互いの存在を疑わないのに、かみ合わないジレンマ。 クラウスは一度リュカの姿を見ているのに気づかない歯がゆさ。 やっと再会できたのに、待っていたのは拒絶。 一緒にあるべきものが、1つであるべきものが引き裂かれる悲劇。 切ないながらも、でもクラウスの一言で、ちょっとだけ安心しました。 なんかすごいもの読んだなぁ~

    1
    投稿日: 2017.01.15
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    「悪童日記」「ふたりの証拠」に続く完結作。成熟期に入った彼らを通して明かされる嘘と真実。発達心理学者エリクソンによれば成熟期の心理的課題は自己統合vs絶望で、それは本書で見事に描かれている。「悪童日記」で執着した、生、の結末。私は虚しさを覚えた。嘘でさえ隠し切れない真実の悲哀があった。

    0
    投稿日: 2016.09.12
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    あまりにも面白くて一気に3作読んでしまいました。もうどんどん世界に引き込まれてしまう。 シリーズ通してタイトルが素晴らしいですよね。 こうなってくるともう何が嘘で何が真実なのかわからなくなってしまう。結局あの双子は存在したの?っていう気持ちにすらなってしまう。 好き嫌い分かれそうな作品だとは思いますが、この矛盾に浸れると楽しめます。 最後のセリフも秀逸でした。

    0
    投稿日: 2016.05.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    もう何がなんだかわからない、この本が真実だとすると全2作が全て嘘になる。が、この本自身も嘘? それぞれ独立して読むとすれば、やはり悪童日記のインパクトが強い。

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    投稿日: 2016.04.08
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    話の芯を捉えることができなくて、混乱している。 中途半端に間を置きながら読んだので、そのせいかもしれないけれど。 すべてが同じ重さで語られているので、何が本当なのかわからない。 タイトルの『第三の嘘』も真実があってこその嘘だ。 深い暗闇のなかでは一体どれが嘘なのか、わかりようもない。 戦争、混沌、悲劇。 読みとろうと思えば如何様にも解釈できるが、不信であることが、この作品の本当なのかもね。 悪童日記の素晴らしさを考えると、この最終巻に理解が及ばないことを残念に思う。

    0
    投稿日: 2016.02.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    三部作だと思って読んでいると頭が混乱。途中で話者が変わり、ますますわからなくなってしまった。別れたことでお互い不幸な兄弟が死んでようやく幸福になるということか。リュカが書いていた本が第1作ということ? この三部作は一部の設定を軸にしたそれぞれ別のお話と解釈しないと私の頭では処理できないわ。二部、三部は救いがない。クリストフはスイスで幸せだったんだろうか。

    0
    投稿日: 2016.02.11
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    三冊通して。 全体的に二転三転するけども、悪童日記ラストで受けた衝撃が最も大きい。この三部作の魅力的なところは「何を信じたらいいのかわからない」まま読ませるところなのだろうと思う。読後感は、長い眠りのさなかに見た三つの夢…といった浮遊感のある不思議なものだった。

    0
    投稿日: 2015.12.21
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    構造が難しい物語だ。一部と二部で語り手が変わったのだな。これは決定的に分かり合えない、また、戻れないという物語なのだろうか。嘘を生きているという物語なのだろうか。確定的なことは言えない。前二作とは、繋がらない難しさだった。

    0
    投稿日: 2015.11.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この話は読むのがしんどかった… 最初は話の流れを理解するのに苦労してしんどかったけど、後半は内容的にしんどかった。 でもあとがきでこれも二人の嘘かもしれない。と言われてなんだか納得した。

    0
    投稿日: 2015.11.23
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    「悪童日記」にはじまる連作の最後である「第三の嘘」を読み終わる。 一体この作品の中の何が真実で、何が嘘だったのか。 長い作品を通して、真実はひとつもなかったようにも感じられる。 双子が存在していたことさえ疑わしい。 描かれているひとのうち、自分の人生を振り返って、ああ、幸せな人生だったと思えるひとはいたのだろうか。 誰もが自分の人生を、自分のために自分の思うようには生きられなかった。 そんなこと当たり前だと言われるかもしれないが、それを受け入れて生きていくことと受け入れられずに流されてしまうこととは大きな違いがある。 連作であって時間はきちんと流れているのに、時系列では描かれていない。 日記として幼少期を描いた「悪童日記」、リュカ側から描かれた「ふたりの証拠」、クラウス側から描かれた「第三の嘘」、とこう書くとスッキリしている感じがするが、本作はこんな簡単な話ではなかった。 同じ話が、関わるひとの立場が異なって全く違って見えるという話でもない。 どこまでが本当なのか、確かなものが掴めない。 でも、とても魅力のある作品であることは間違いない。 とても長い作品であるのに、読みやすい。 読みやすい作品であるのに、読み進めることが辛い。 辛い作品であるのに、先が気になってしまう。 不思議な思いに捉われる作品だった。 きっと読者は何度も読み返すに違いない。 勿論、わたしもそのひとりだ。

    2
    投稿日: 2015.09.02
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    高校生の頃に読んだっきりで、映画になるって聞いた時にこれ良かったよなぁと思い出して、久しぶりに読んでみたら全然内容を覚えてなくてびっくり。特に二人の証拠と第三の嘘はいちいち「こんな内容だったっけ‥」と新鮮だった。高校生の頃はたしか、悪童日記がいちばん格好良くて(ていう表現もあれだけど)好きだったけど、25歳の今読み返してみると第三の嘘がいちばんかなぁー。 第三の嘘のラストがもうなんとも言えない。あの終わりは個人的に秀逸。めでたしめでたしな明るい話も好きだけど、このシリーズはこのラストしかありえないっ

    0
    投稿日: 2015.08.17
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    『悪童日記』三部作の完結編。 『悪童日記』では戦時下の双子の兄弟の話、『ふたりの証拠』では国境を越えた双子の一人、リュカの青年期の話、本作『第三の嘘』は人生の盛りを過ぎ初老に入りかけた双子の再会の話。前二作の流れを受けてかと思いきや、所々過去の設定が違ったり、登場人物の配置も違ったり。どれが真実なのか??とミステリー感覚で読了。但し、本の題名からすると、種明かしと思いきやこれもフィクションなのかも、とも。

    0
    投稿日: 2015.08.16
  • 二人の終焉

    「悪童日記」から間が空いてしまったので(「二人の証拠」は別作品だと私は識別している)、彼らの過去を思い出しながら読んだが、結局、あの日記はまるっと嘘だったの?とにかく、母親の仕打ちがひどい。最後まで許しがなかったところも、フィクションなのにリアル。一作目二作目の勢いはないけれども、時代に消えて行った二人の人生を見事に描ききっていると思う。

    1
    投稿日: 2015.08.01
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    【かなしい】 小説です。 『悪童日記』『ふたりの証拠』の続きです。 しかし、あまり続き感はありません。

    1
    投稿日: 2015.08.01
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    三部作読み終わって。うーん微妙別の終わらせ方もあったのではないかと思った。結局何が何やらと言った感じ。

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    投稿日: 2015.07.19
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    く…暗い。 暗さをずーっと保ったまま最後まで進む。 時々「私」がどっちのことを指すのかわからなくてこんがらがった。 あえてそうしてるのだろうとは思うけど、ほんとわかりにくかった。

    0
    投稿日: 2015.06.28
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    「悪童日記」で強い衝撃を受け、「ふたりの証拠」で胸を打たれ、陶酔を引きずったまま、三部作の完結編「第三の嘘」を読みました。 正直に告白すると、途中、何度か筋を見失いましたが、乾いた文体は健在、感情描写も極力排され、それでいて強い喚起力のある作品でした。 ただ、前2作ほど夢中になれませんでした。 恐らく前2作と比べ淡々と物語が進んでいくためで、山場らしい山場がないからです。 それでも小説を読む楽しさは十分に堪能できます。 山場のあるなしは、作品の善し悪しを判断する尺度のひとつに過ぎないと考えています。 リュカとクラウスは結局、双子なのかそうでないのか。 謎も謎のまま完結します。 でも、池澤夏樹さんも云っていますが、それでいいのだと思います。 「悪童日記」はもう一度、読み返すつもり。 映画も見たい。

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    投稿日: 2015.04.17
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    どんでん返しっていうか、どれが「本当」として書かれててどれが「嘘」として書かれているのかがもうごっちゃで「え?え??」って翻弄される感じ。 結局、根本が救われない話なことには変わりはないですね… 個人的には、2作目、3作目には、ちょっと蛇足感がある気がするんですけど、3部作通して考えると、悪童日記ラスト時点の「つづきをはやくください!」って(私の中の)読書の醍醐味を味あわせてくれたので、読んでよかったと思いました。

    0
    投稿日: 2015.03.20
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    「悪童日記」「二人の証」に続く三作目。 前作の最終章からの続き。数十年振りに帰国したクラウスは不法滞在で強制退去となる直前に生き別れた兄弟と再会します。そしてまた語り手が変わります。とても悲しい物語でした。 前作で語り手が全く信用できない構成になっていることがわかり、本作もどこから真実でどこから作り話の設定なのか気にしつつ読むことになりました。タイトルの「第三の嘘」は、この三作目の話も真実が書かれているわけではないことを示しているのかもしれません。たぶん二人のそれぞれが、こうあればよかったと思ってることと、事実の記憶とがないませになっているのでしょう。

    0
    投稿日: 2015.01.12
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    「悪童日記」、「ふたりの証拠」に続く三作目。の筈が、読み進めると自分が誰の物語を読んでいるのかまるで「ドグラ・マグラ」の如く困惑させられる。タイトルが明示しているように三作を通じて嘘が含まれているから。 しかしどこからどこが誰の嘘なのかなんてことは(恐らく)重要じゃないし、答えもないかもしれないと途中で気づく。常に底にあり続ける作者の祖国への喪失感と嘆きこそが主題なんだと。 淡々とした文体がそれを引き立てる。 なお、あとがきにあるように亡命したことが作者にとって致命的なミスだったとしても、亡命しなくても救われなかったのだろうという想いが今作のクラウスや前作のリュカの物語に現れているような気がしてならない。

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    投稿日: 2015.01.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    三部作全て読み終えて、いったいこの物語は何だったのか?と、読み終えても分からない…話の中で書かれた本の話?話の中での事実ではなく、創作された話?混乱するけどそれもまた面白かった。でもどの話にせよ皆悲しくて辛いのは変わらないけど。

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    投稿日: 2014.12.22
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    オンラインショップで購入し読了。 混乱の極みともいえる展開。 ぼくらのどちらなのか、リュカなのかクラリスなのか、どちらでも無いのか… 感想は言い難いものがあります。理解には程遠くて。 ただもうここまで来たら本当に誰と言う事も無く、あの時代に生きた人々のいくつかの映し絵なのかな…と。 悪童日記のふたりの生き方は衝撃でありながらあれはあれで完成されたものであって欲しい気持ちがあったので、続きは読むべきで無かっただろかとも思いましたが、もしかしたらここまでの全てさえ夢物語と言えるような辛い誰かの人生に寄り添った三部作だったのだろかとも思い、読んだこと自体は良かったかな…とも思いました。

    0
    投稿日: 2014.11.23
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    『悪童日記』を読んでいた時の興奮はどこへやら。 『ふたりの証拠』よりはまし、なのか。 この時代の抑圧された生活だから重いのは仕方がないのか。 それにしても、第一作ではあんなに仲が良さそうだった兄弟に鬱屈したものが溜まっていたとわかったときの行き場のない思いをどう処理したらよいのかわからなかった。 スッキリしない読了感は、何が嘘で何が本当か、最後までわからなかったからか。 --- ベルリンの壁の崩壊後、双子の兄弟の一人が、子どものころの思い出の小さな町に降り立った。彼は少年時代を思い返しながら町をさまよい、何十年も前に別れたままの兄弟をさがし求める。離れた地でそれぞれの人生を歩んできた双子の兄弟がついに再会を果たしたとき、明かされ鵜真実と嘘とは?抑制された筆致でつづられた衝撃的な傑作『悪童日記』にはじまる三部作、第二作『ふたりの証拠』を経て発表された圧倒的な完結篇

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    投稿日: 2014.10.26
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    出ていった一人が帰ってきた。もう一人を捜す。もう一人は出ていった? 小説の世界で書かれた小説と、さらにその中で書かれた小説?複数の世界があって絡み合っているみたい。その世界を見せてくれる本当の書き手は誰?

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    投稿日: 2014.10.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『二人の証拠』と合わせて一気読み。 『悪童日記』の双子や『二人の証拠』のリュカの強さがフィクションの中のフィクションとなり、真実として語られるエピソードの悲惨さが際立つ。現実は小説より悲惨だ、というような趣旨のことを、『二人の証拠』の中で誰か(クララかペテール?)が言うのだけれど、まさにその「現実は小説より悲惨」ということが小説になっている。

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    投稿日: 2014.10.06
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    一作目、二作目が大変面白かったので読み終わってすぐに本屋に買いに行った。 今までの作品に比べると勢いがないなあというのが正直な印象。 静かに収束していく二人の物語はとても悲しかった。 何が本当で何が嘘なのか、途中まではごちゃごちゃにだったけれどあとがきを読んでからは第一、第二と続いて第三の嘘という風に捉えている やはり『悪童日記』が一番好き。 一作目は映画も公開されたばかりなようですので明後日にでも見に行こうと思います。

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    投稿日: 2014.10.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    シリーズ完結作。 第一部と第二部からなり、兄弟それぞれの視点で話が展開する。 結構話が過去と現在なんかを飛んだりするので最初の方は少し読みづらい。 以下はネタバレになるので未読の方は注意!! 結局、『悪童日記』も『ふたりの証拠』も嘘だったってこと…でいいのか…? 悪童日記では双子だということで、ふたりの証拠では実は同一人物と思わせながら、今作ではやはり別々の人間ではあったものの、過去は全く違うものだったという…なんともややこしい。 でも、うまく辻褄をあわせて真実はこうでしたみたいな体裁をとってるが、タイトル通り『第三の嘘』ならこの真実も嘘ということ…? しかしまぁすべての小説(ノンフィクション以外)は嘘のかたまりなのだから、それを嘘っていってるだけで、作品の中の真実はこれなのか? 考え出すともやもやするのでとりあえずあるがまま受け入れておこう。 三作ともどれも悲しくて切ない展開なのでできれば幸せな双子だったならいいなぁという夢を見つつ、読んでよかったなと思えた。 三作の中ではやはり『悪童日記』が面白かったな。 双子のいつも一緒で不気味な感じがたまらなくツボだった。

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    投稿日: 2014.09.10