
総合評価
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powered by ブクログ今の世界は、情報も、人間も、この本の言う通り、早く、短く、浅くなっている。 読書はゆっくりで深いものだから、本をたくさん読んで豊かに生きたいと思った。 比喩の多さによる読みづらさを、面白さでカバーしてる。
2投稿日: 2024.01.04
powered by ブクログそもそも本だけ目の敵にされるモチベーションがピンとこず、いまいち乗り切れなかった。時代に追い越されちゃったかな…
2投稿日: 2024.01.02
powered by ブクログ情報が洪水のように溢れる現代。検索すればSEO対策で上位に表示される情報しか閲覧できず、サブスクで動画を見れば勝手に趣味嗜好を判断されオススメを提供される。情報を利用する私たちは、その利便性に溺れ、考えて選択しているようで実は考えていない。 そんな不安な気持ちを抱えることもある中で、この作品が訴えかけるメッセージはかなり刺さるものがあり、読んでいて苦しくなる場面が多かったです。それと同時に、「時間をつくり、本に向き合い、じっくり考えてはじめて知る喜びがある」という気づきもあたえてくれ、もっともっと読書を楽しんでいこうと前向きな気持ちになれました。 本好きの方すべてに読んでいただきたい素敵な作品です。おすすめ!
9投稿日: 2023.12.30
powered by ブクログ言わずと知れたSFの有名作。ジャンルとしてはディストピアものか。テーマは焚書。周囲の人が自分に読めと言っていたわけで、本が好きな自分にこのテーマが刺さらないわけはなかった。/本書の執筆経緯を鑑みても、これは焚書に対して明確に反対の意を表明するものだろう。「加害者」であった主人公が蒙を啓かれる形で書の役割や意義を見出す様は痛快だし、フレーズとして目に残るところもある。/しかしこの冒険小説じみた軽妙さと一人称で語られる物語は、我々書を重んじる人々の間でのエコーチェンバーを促すものにならないかという危惧がある。彼の主観はあくまで彼の主観だ。そこにあるのはあくまで物語だということも忘れてはならないだろう。/上記の話は、焚書の肯定を決して意味しない。自分は元々、焚書やいわゆる表現の自由を取り巻く諸問題についてはかなり原理主義的で、本書の導く主張にも強く頷くことができる。しかし、この一人称に立脚する小説をさすがに錦の御旗にはできないだろう。本が好きな人に本という媒体でそういう話を届ければ、それは好評を博するだろうというのもある。その意味で、普遍性にあと一歩及ばない、そんな印象を受けた本だった。/とはいえ、「誰かが反対を唱え続けていないと、体制によって(あるいは善意によって)本は焼かれてしまう」ことの示唆には充分すぎる内容だったと思う。ゆえにこの本は、本による知識と表現を守りたい人への激励として受け取っておくのがいいかもしれない。 /追記 これがおよそ70年前に書かれている本であることを、やっぱり加味しておかなければならないような気がした。「壁」に熱中する人々や、意味よりも事実を重視することが重んじられる価値観の描写は現代の諸々を皮肉っているのかとさえ感じられる。「壁」はTwitterや〇〇(割愛☺️)に置き換えられるだろうし、歴史よりもお金の儲け方を学べという、ある知識人の発言は記憶に新しい。 /しかし、一方で、そういうもの...「壁」だとか意味軽視の価値観は、当時から陳腐でありふれていたものとも捉えられるなと思った。ブラッドベリに先見性があったのはそうなのかもしれないが、むしろそういう大衆の陳腐さを描いていたという捉え方をしている。
0投稿日: 2023.12.18
powered by ブクログ現代を風刺したディストピア小説と謳われている割には読みやすくて面白い設定な上に説教臭くなくて良かった。 登場人物も魅力的で、特にベイティー隊長が敵キャラとして説得力があった。 最終的に火は何かを消すためのものじゃなくて、何かを照らし温めるものなんだと気づいた主人公に希望を見出せた。
0投稿日: 2023.12.10
powered by ブクログ本が禁止された時代を描いたSF 以下公式のあらすじ ------------------- 華氏451度──この温度で書物の紙は引火し、そして燃える。451と刻印されたヘルメットをかぶり、昇火器の炎で隠匿されていた書物を焼き尽くす男たち。モンターグも自らの仕事に誇りを持つ、そうした昇火士(ファイアマン)のひとりだった。だがある晩、風変わりな少女とであってから、彼の人生は劇的に変わってゆく……本が忌むべき禁制品となった未来を舞台に、SF界きっての抒情詩人が現代文明を鋭く風刺した不朽の名作、新訳で登場! ------------------- 昇火士のモンターグ 職務に忠実で、むしろ本を焼くことに喜びを感じていた程 しかし、近所に住んでいるという17歳の少女クラリスと出会いから彼は少しずつ変化する 雨を口に入れるのが好きなど、不思議な事を言う彼女に出会ってから彼の中で色々な現状に疑問を抱くようになる いつから本が焼かれるようになったのか?昔はファイアーマンは火を消す仕事だったのか? 本は消し去られ、テレビという媒体が大衆の関心事となり、人々に供される内容は単純化されている。 古典はあらすじやダイジェストだけが伝えられ、人々は「考える」事がなくなっていく。 タイトルの華氏451は、紙が引火して燃える温度 本が禁止された世界を本で描くという状況が面白い 1953年に書かれたというけど、世界背景として当時は近未来を描いていたものが、現代において似たような状況になっているものも多い 小型の音楽プレーヤーの「巻き貝」はスマホやイヤホン リビングのモニターは巨大化している デバイスのユーザ間での自由な通信 メディアが与えるのは娯楽ばかり その結果、人々は、煩わしいことや不愉快なことを考えない事が幸せだと思っている コミュニケーションは失われ、自分の言いたいことだけ言って相手の言葉を聞いていない 他人に無関心で感動することもない イライラしたら猛スピードで車を走らせたり、レクリエーション施設で物を叩き壊したりして発散する 一部では実際にそうなってるなぁ 本が危険視されているのは、人々に「考える」事をさせてしまうから モンターグは少女クラリスに出会い、自らの頭で考えることをはじめ、自分が幸福でないと感じていることに気づく これはある意味で禁断の果実を口にしたようなものか? 昔、テレビが一般家庭に普及しだした頃に「一億総白痴化」と言われた時代があった テレビの普及による国民の知的レベルの低下を懸念したことがあったけど 今やそのテレビすら廃れ気味で、ショート動画や玉石混交の動画を見る人が増えている状況 これはもっと酷い事になってるという解釈でいいのだろうか? その割に、人々が幸福になっているようには思えないのは何故なんでしょうね? 考える事とは?幸福とは? 果たしてそれは相関関係があるのだろうか それぞれの幸せがあるわけで 考える人の方が幸せとも言えないし、考えない人の方が幸せとも言えない となると、自分にとっての幸せが何かを「考える」必要が出てくるという堂々巡りなのかな? 文体や表現、言葉選びに若干の読み難さを感じる 「カブトムシ」は車「ビートル」の迷訳かと思ったけど、色々と変形する乗り物なのね 原文がどうなってるかは知らないけど、「機械猟犬」のように既存の言葉を組み合わせるなどわかりやすくできなかっったものかね? でも、これでも旧訳よりもよほど読みやすいって、旧訳はどれだけ酷い訳になってるんだ?
3投稿日: 2023.11.21
powered by ブクログ時代や状況は異なるけれど、誰からのものかも分からない表層だけの情報が飛び交いそれを娯楽として搾取できるような現代で、自分の頭で考えて過去の知から学び新たな世界に飛び込んでいけるような人でありたいと思った。
1投稿日: 2023.11.19
powered by ブクログSF初心者の私だが、いざ読み始めるならということで、ディストピア小説の古典的名著である本作を手に取った。 慣れない翻訳小説ということもあり、読了までに時間を要したが、間違いなく読んでよかったと思える一冊だった。 舞台となるのは本が忌むべき禁制品とされる世界。 多くの人々はラウンジ壁と呼ばれるスクリーンの映像と、巻貝と呼ばれる小型ラジオから入ってくる情報だけに耳を傾け、自分で考えることを放棄していた。 そんな社会で書物を焼き尽くす職『昇火士(ファイアマン)』として働く主人公・モンターグは、好奇心の塊のような少女・クラリスや、本と共に命を散らした老婆に影響を受け、次第に禁忌とされる書物に惹かれていく。 昇火士として働きながらも、隠れて本を集めるようになっていくモンターグ。しかし、彼の嫁であるミルドレッドはそれを昇火士へと密告し……。 読み終えて本を読める幸せを噛みしめるとともに、この『華氏451度』という作品自体がメディア漬けになっている現代社会への強烈なアンチテーゼになっていると感じた。 作中でミルドレッドをはじめとする多くの大人たちは、モンターグをして十代の少女であるクラリスよりも知性で劣ると表現されている。 多くの人物が空疎な情報の海に溺れ、大切な記憶すら思い出せなくなってしまった社会。幸せなように見えて緩やかに滅んでいくだけの社会。 そんな焚書社会に抗おうとするモンターグの目線で彼女らを見ると、まるでドラッグにでも浸かっているかのように思えるが、これはスマホが無くては生きてはいけない現代人となんら変わりないどころか、依存度は本作の舞台よりも深刻かもしれないと、あらためて考えさせられた。 話の大筋からは脱線するが、『消化』を連想させる『昇火』という架空の言葉も面白い。もともと『火を消す仕事』だったのが、時代を経て『火で消す仕事』になったという背景も非常に興味をそそられた。 グレンジャー氏の祖父の言葉、『目には不思議なもの、びっくりするようなものを詰め込め。十秒後には死んでしまうつもりで生きろ。世界を見ろ。世界は、工場でつくった夢、金を出して買う夢よりずっと幻想的だぞ。……』というフレーズは、私のこれからの人生の教訓になってくれることだろう。
22投稿日: 2023.11.16
powered by ブクログ暗黒世界を生きる主人公が世界に違和感を覚え、体制に反逆・逃亡するというディストピア小説の典型といえるプロット。現代を生きる我々に対する警鐘ともとらえられる普遍的なテーマのメッセージ性がある。 私が読み取った二つのメッセージは「無知が愚かであること」「読書の価値は高い」ということだ。無知であればあるほど支配に気づけない、一方で知識は生涯の最も大きな武器になり得る。特に社会のシステムなどにおいて無知であると損をする日本でうまく生きていくためには知識を得て「賢く」なる必要がある。 また、近年SNSであふれかえっているショート動画を、無意識に何時間も眺めてしまっている経験をしたことのある若者も多かろう。私もそのうちの一人だ。メディアが私たちに提供する「瞬間的・感覚的」面白さで成り立つコンテンツで、人はバカになる。考えた先・知識や教養の向こう側にある面白さこそ至高であり、本がその最も優れたツールになるということを、我々はこのディストピア小説から学ぶことができる。
10投稿日: 2023.11.07
powered by ブクログ辛抱強く読むと半ばから内容が頭に入ってくるという不思議な体験をした 前半は文章体(おそらく原文もこんな感じなんだろうね)から世界観を把握する迄辛抱が必要かも 何年後かにまた読み返すのもありかな〜なんて
0投稿日: 2023.11.01
powered by ブクログ途中で挫折 話が入ってこなかった。 追記 その後また読み返すと、理解できた。不思議。読む環境の問題?猛スピードで車に乗ってる日々。たまにはゆっくり歩いて景色を楽しむこと。
0投稿日: 2023.10.29
powered by ブクログ面白い内容だと思うのだけど、なかなか入ってこなくて、そのまま終わってしまった。私の状況が良くなかったのかな…
0投稿日: 2023.10.28
powered by ブクログYouTubeで海外SFのお勧めの本で紹介されて気になったので読んでみた。 正直、初めは何のことかさっぱり分からなくてなかなか読み進められなかったけれど、諦めずに読んでいたら第一部の終わり頃にやっと内容を理解できるようになってきたので、第一部はもう1回読み直した。 どんどん省略化されてスピードが早くなっていった華氏451度の世界も、なんだか他人事じゃないように感じてびっくりした。動画などを倍速で観る人が増えていたり、映画や本などを要約した動画が流行っていたり、自分で考える前に答えを求めてしまう人が増えたのかなってある出来事で感じてたから、いつか現実でも考えることをやめてしまう時が来るんじゃないかってちょっと思ってしまった。 ところどころ理解しにくい部分もあったけれど、読めてよかった作品。考えること、伝えることって大事だと改めて思い知らされた。
8投稿日: 2023.10.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
レイ・ブラッドベリの『華氏 451 度』は本の所持や読 書が禁じられた架空の社会で、本を燃やす仕事をしている主人公が読書に目覚め、変化していく 物語です。本のない世界では人々が情緒を失い、与えられた信号にただ反応する機械のようにな ってしまっているところに背筋がひんやりします。主人公が最後どうなるのかぜひ見届けてほしい ふんしょと言います。実際、歴史を紐解けば様々な国で焚書は行われ です。ちなみに、本を燃やすことを焚書 ていました。みなさんに馴染みがあるのは有川ひろの『図書館戦争』でしょうか。SNS の普及した 現在、わたしたちは日々様々な言葉を使っていますが、表現の自由が奪われ裁判にかけられるこ ともあったんですよ。
0投稿日: 2023.10.14
powered by ブクログ映画でこの作品を鑑賞したいと思っていたが、ご縁がなかったので本を読むことに。まるで映画を観ているように感じるほど疾走感のある文体だったが、それが少し私には難しかった。 生きることは独自の思考を巡らすこと。そして自分が足を踏み入れたことのない価値観に出会う度に、時間をかけて自己を醸成させる行為のことだと思う。その機会を奪われた人々の未来は明るいだろうか。本当の不自由は不自由を認識出来ないことだとこの本を読んで感じた。華氏451度の世界に生まれなかった幸運を噛み締め、新しい価値観に出会うために、私はたくさんの本を読み、たくさんの映画を観たい。
0投稿日: 2023.09.22
powered by ブクログ本が禁忌とされ、見つけ次第燃やすと言う未来の話。 気になっていていつか読んでみたいと思っていた。 何も考えず燃やす職業に付いてた主人公があるきっかけで本に興味を持ってしまい追われる側になると言う。 話の展開的には思ったよりあっさり事が展開してそこで終わるのか…とはなるけど、古典の名作と言われるだけあって深く解釈すればきっといつまででも語れる1冊だと思った。 人類は何度も同じ過ちを繰り返し、過去の記憶からは何も学ばずいつも唾を吐きかける行為しかしないという言葉はなかなか刺さった。
4投稿日: 2023.09.03
powered by ブクログ洗練された文章には、ひとつひとつにメッセージが込められていた。 最後は胸にグサグサとくる金言がパレードのように押し寄せて、自分の中に染み渡る感覚があった。 「本を表紙で判断してはいかんぞ」と誰かが言いった。全員が静かに笑い、下流への旅はつづいた 「ぼくはおじいちゃんのために泣いているんじゃない、おじいちゃんがしてくれたことのために泣いているんだ」
3投稿日: 2023.08.11
powered by ブクログ最初の方は話がどう進んでいくのか分からず、全然読み進める事ができなかった。 しかし三分の一を過ぎた頃からだんだん面白くなりその後は一気に読んでしまいました。 小説の中で、ハイテクなテレビに取り憑かれて何も考えられなくなっている人の描写が何回か出てきていたが、あれと同じ事がスマホなどでも起こるのではないのかと思った。情報を受け身で受け取り何も考えないとああいう風になってしまうと思う。自分は色々頭で考えていく事を大切にしたいなと感じた。 小説の中で「物事には正面から向き合わずに、逃げて、愉しくすごすのがいちばんなのかもしれん」という言葉があった。病気になってしまい思い通りに行かない今の自分の状況に向き合わないのが楽なのかもしれないが、そうはせずに、病気や今の自分の状況と戦って行きたいなと思った。 2023年 8/5 評価4.1
0投稿日: 2023.08.05
powered by ブクログ面白かった〜。ディストピア系SFって初めて読んだけど、思った以上に楽しめた。 他のレビューでも見かけたが、少し読みにくい。ただ、体感としては読みにくいのは中盤までだったようにも思う。私が読み進める中で慣れた可能性もあるが、主人公が混沌とした独裁社会に疑問を持つにつれて、話に整合性が出てくる感覚があった。それでも、急に場面が切り替わったり、事実なのか空想なのかわからない場面があり、「え!?今なんの話してる!?」となることは必須だった。それもそれで面白かった様に思う。 好きなフレーズもいくつかあったし、訳者のあとがきも良かった。
1投稿日: 2023.07.12
powered by ブクログなんかわかりづらい、 途中途中にある詩の一部?が書かれるところはやっぱり文学って綺麗で良いなと思った
0投稿日: 2023.07.10
powered by ブクログ本男さん@46.bookman のおすすめ。 ダメだった。 英語の翻訳なのか?わからないんだけど、ところどころ比喩なのかそのままの話なのか?よくわからない。近未来の話だってことも中盤までようわからず、なんだ?何が始まったんだ? って半分まで内容についていけませんでした。 話もまた、飛ぶ飛ぶ。 突然、近所の人死んでるし、なんなんだ、なんなんだ?ようわからん。 ただ、最近受けた建築士の試験で、木造は450度が発火点っていうの習ったばかりだったので、この華氏451℃って題名が、あーそういうことなんかな?とは思って繋がりに嬉しかったくらいです。 感想は。 なんだったんだろう。この本。最後までよくわからんかった。
1投稿日: 2023.07.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
70周年 だいぶ面白かった。 序盤はクセのある情景描写や隠喩が続いて、古い小説特有の読みにくさがあると思った。ベイティーが家に来るシーンあたりで設定の骨格が分かってきた。 ベイティーがとても好き。即座にあれだけの引用が出てくるあたりもともとはすごく読書家だったんだと思う。そんな中仕事を割り切れたベイティーと割り切れなかったモンターグでかなりはっきりした対比になっていた。 なんのイベントも起こさず、数日間の対話だけでモンターグを心変わりさせたクラリスがすごい。ああいうキャラがあまりハッキリしない形で序盤に死ぬの相当珍しいと思う。 テクノロジーが進化した社会の描写が、かなりストレスフルな感じでよかった。
0投稿日: 2023.06.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
さすがブラッドベリ……。あらゆる本が昇火士(ファイアマン)により焼き尽くされる世界で、自らも焚書を行ってきた主人公モンターグがその行いに疑問を抱くところから始まる物語。設定だけでも面白いのに、生き生きとした人物描写や作中世界のテクノロジーのディストピア感溢れる魅力は見事というほかない。そして直接的な焚書こそ行われていないものの、今の現実的世界はこの作中世界に限りなく近いと思った。
0投稿日: 2023.06.28
powered by ブクログ本をめぐる、もはや古典。叙情性、象徴性に満ちて描かれている焚書の時代。掴みどころがない。だからこそ想像の余地があると言えようか。本が失われた世界のあり方が不気味だ。
0投稿日: 2023.06.27
powered by ブクログ名前は知っていたけれどなかなか読むタイミング訪れなかった本の中の一冊。 書店で見かけるたびに思っていたが、意外とページ数が少ない(本文は260ページ強くらい)。しかし、(漫画以外の)書籍の製造や所持が違法な世界で生きる人々の姿や、詩的な描写の数々によって満足感は高いなと感じた。ただ、その詩的な文体や、突然回想・想像の文章が入り、そして突然現在(現実)戻ってくる流れに、読み慣れるまで少し戸惑った。 読む前は、「本を燃やす立場から、本を守る立場になる人の話」なのかなと思っていた。確かにそれも間違いではなかったが、実際は、自らの力で「知る」「考える」ことの重要性を示した話だったのだなと感じた。重要なのは「本」そのものではなく、そこから自分が何を得るかであり、また、何かを得るには本だけでは不十分なのだとも思う。 個人的には特に終盤、郊外に広がる自然の中を主人公が歩く部分で、序盤のタンポポの花(=自然の一部)の占いが主人公に及ぼす影響との繋がりが感じられ、「本(人の手によるもの)」だけでなく「自然(多くは人の手からは離れているもの)」に触れることで、自分という存在はより厚みを帯びていくのかなと思った。 また、ラジオやテレビで情報を得る中で、考える力を奪われて統制されていく人々を見て、ちょっとハッとしたことがあった。 以前ミヒャエル・エンデの『モモ』を読んだときに、「タイムパフォーマンスを重視するのはいいとして、それによって浮いた時間を自分が幸福を感じるために使うのが重要だ」という考えを持ったのだが、「高速で大量にコンテンツを摂取することそのものが幸福だと感じている場合もあるかも」と、この話を読んで気付いた。個人的にはそこに本当の幸福は無いと思ってしまうが、どうなのだろう……。
3投稿日: 2023.06.01
powered by ブクログヨルシカ初のn-bunaさんボーカル曲「451」の元ネタになった小説ということで、たまにはそういう本との出会いもいいだろうと思い読んでみた。 タイトル「華氏451度」とは紙の引火する温度。 本が禁止された世界で、本を燃やす昇火士(ファイアマン)の主人公モンターグが、隣に住む少女との出会いを通して、自分の仕事に疑問を持ち、人生が劇的にかわっていくという話。 様々に娯楽があふれ、人々は暴力的になり、特に考えることもなく、日々を幸せに過ごしている、という舞台設定が、ずいぶん昔に書かれた小説なのに、ここ最近の世界を皮肉を込めて書いているかのように見えた。 動画、ソシャゲ、サブスク、手軽な娯楽に満ちて、コメント欄やSNSには人をおとしめて喜ぶ人が目につく。 作中に、昇火士たちが本を所持した人の家を焼くところに野次馬がやってくるシーンがあるが、いわゆる「炎上」騒ぎのシニカルな表現と言われても納得しそうだった。 昔のSFにも、こういうところがあるから小説を読むのも面白いと思う。 本が禁止にされたら、生きていけないな。
3投稿日: 2023.05.28
powered by ブクログヨルシカの『451』なる曲から。そういや読んでないなあと思って手に取ったのは、伊藤典夫訳の2014年新訳版。 firemanを「焚書官」じゃなくて「昇火士」と造語した訳者の感性にやられた。しょうか(消火と昇火)の価値が変転した世界の倫理すら表現する名訳! 1952年、(日本じゃ昭和27年!)に書かれたこの小説がポルノチックな男性誌『プレイボーイ』に連載されていたという事実を知り、アメリカの出版文化の豊穣な世界を垣間見た気がした。 ストーリーは、確かにシンプル! そしてヒロイン・クラリスの消失とか、援助者フェーバーの中途半端感とか、逃走の果ての尻切れトンボ的なラストとか、もちっとなんとかできたんじゃと思ったり思わなかったりしたけれど、名作だった! この詩的な、哲学的な物語の描いた世界がフィクションであることを願う。 スマホ、生成AI、人が考える力を奪われる世界がすでに進行しているからこそ、私は本を買い、本を読むのだ。
2投稿日: 2023.05.28
powered by ブクログ華氏451度で本は燃える。梵書が当たり前の世界に生まれていたら私はどうなっていたか。きっと本を読んでいなかっただろう。無知を、食わず嫌いを気づけるかどうか。私も梵書をテーマに小説を書きたくなった。本が大好きだから
0投稿日: 2023.05.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
昇火士の職に何の疑問も持たず、むしろ愉しく仕事をしていたモンターグが出会った、本と共に死ぬことに何のためらいもみせない老女の存在がとても印象的でした。本が悪とされ持っていると判明すれば家共々昇火士によって焼かれてしまう世界の中でも、本が好きという気持ちをしっかり持ち続けて本と共に死ぬことを選べる彼女は尊敬に値すると思いました!
0投稿日: 2023.05.11
powered by ブクログ100冊ビブリオバトル@オンライン第13ゲームで紹介された本です。オンライン開催。 2020.08.22〜23
0投稿日: 2023.05.04
powered by ブクログディストピアSF小説の名著。人間がもし知識の集大成というべき書物を蔑ろにして、徹底的に人々を単純化させると、どんな恐ろしい未来が到来するのかを、この本から考えさせられる。この世に存在する知識とは、無数といっていいほど膨大であり、個々の人間が生涯をかけて学んだとしても、ほんのわずかのことしか知ることができない。そのため、何かを学ぶことに意義があるのかと、時には疑問を抱くかもしれない。ところが、本作にあるように、人々を単純化するための施策として、情報を過剰にわかりやすくさせたり、ある内容の要約を知らせるなど、とりかく難しいことを避けるように工夫する。これは昨今耳にするファスト化現象を彷彿させる。わかりやすさの弊害がこの小説から読み解ける。
0投稿日: 2023.04.30
powered by ブクログよく聞くタイトルであり、おすすめしてる知人もいたので読んでみた。 詩的で決して読みやすい文ではなかったけれど、それでも先へ先へと。 AIや倍速動画、VRなどの存在が大きくなっていってる今の世界が、いつかこんなふうに本や思想はいらないもの、唾棄すべきもの、という風になってくのではないかと心配になる。
0投稿日: 2023.04.24
powered by ブクログ物語としては深みに欠けると感じた。 でも、短編SFだしね… youtubeや、私は使ったことはないが、TikTokなどを見て時間を潰した後に感じる虚無感を、うまく予知していたのではないか。 また、反知性主義への批判や警告をおこなっている他、本の内容を盲信し、私物化することの危険性、無意味さや、愚かさについても述べられている。 作者はポータブルラジオを聴きながら歩く夫人から、作品の構想の一部を得たらしい。 しかし、家でも、電車でも、場合によっては人と話すときでさえも、そうした娯楽から目を離そうとしない人々がいる世の中では、この作品はSFという肩書きを失わざるを得ないのではないか。 ショート映画、100分でわかる名著や、名著の"エッセンス"をふんだんに詰め込んだ、自己啓発本のショート・オーディオブックなど、作中の一歩手前まで既に我々は来ている。 ちなみに、この本をamazonで買ったら次の帯が付いていた 「『100分de名著』に登場」 と。
0投稿日: 2023.03.28
powered by ブクログ私の崇拝するヨルシカによってリリースされた「451」という曲は、本書のオマージュ作品らしい。そこで私は興味を持ち、本書を手に取った。読んでみて最初に思ったことは、「私の敬愛するn-bunaさんはこんな難しい本を読んでいるのか…」ということ。だけど、私なりにこの名作の真意を解釈してみようと思った。 本書の真意は、「物事の本質を考えること」であると思う。 炎はただ燃やすだけのものに見えて、実は温めるという役割も持つ。このような物事における多面的な部分は、知ろうとしない人間にはわからないことだ。 『書物には魔術的なところなど微塵もない。魔術は、書物が語る内容にのみ存在する。 われわれはみな、それぞれに堅琴を持ち、それぞれに奏でるものだ。どちらの耳でその音色を聞くかは、きみしだいだぞ』 本自体には何も特別な力はない。だけど、本には私達に作者が伝えたかったことが書かれている。それを見つけるか否か、そして自身の心に刻むかどうかは読み手次第だ。 本質を見ようとせず、考えようとしない人間は他者を傷つける。モンターグがミルドレッドの友人にブチギレたり、本を所有していた老女やベイティーを殺したりしたように。 何が自分にとって大事か、何が自分を喜ばせることか、何が自分にとって許せないことか、考え続けることが大事なのだと思う。考えなければ、長いものに巻かれ、より権力のある人間の思うがままに行動しなければならなくなる。 最後に。本を読まない人にはこの作品は届かないと思うと、皮肉なものだなと思う。
0投稿日: 2023.03.18
powered by ブクログ新幹線のようなスピード感のある物語、文章を好む自分にとっては草木を摘みながら楽しむ純文学は無慣れなもので何回か初めから読み直した。 だんだん慣れて読むスピードが上がってくるとあっという間に読み終わった。 いい意味で自己啓発的な部分もあり、再確認、気づきもありで楽しかった。 印象的な場面、文章が多々あり全てをメモすると集中力が切れ、内容が薄れるため今回はページを記録した p88 作者が膨大な時間をかけたものでも消費者が楽しむ時間は一瞬であること 92 人口増加によって娯楽が簡略化された世界 ハムレットですら辞書に数行のり単語として知られている 123 無知の知 本を読んだとこがない主人公が書を読むことで学びがあるかもしれないと気づくシーン 139 すぐれた作家はいくたびも命にふれる 情報の本質 162 独特の慣習 まず、子供を産むとこが珍しい(子供なんか作らないという 十日のうち九日、あるいは月に三日ラウンジに放り込んでスイッチを入れるだけ 176 君の鼓膜に腰をかけてメモをとっているからな
0投稿日: 2023.03.05
powered by ブクログずっと気になっていた作品でしたのでようやく読むことができました。 ストーリーは分かりやすくイメージはしやすかったのですが、詩的な表現が多いのか何が起きたのかよくわからないままどんどん話が進んでいく印象でした。
1投稿日: 2023.02.19
powered by ブクログ前半はぼんやりと読んでいましたが、中盤から名言の嵐になってきたあたりから止まらなくなりました。 月並みな感想ですが、現代そのものに置き換えられる世界観だなあと。メディアがネットになっただけ。本は器に過ぎないという一説が印象的。
0投稿日: 2023.02.16
powered by ブクログユートピア作品「タイタン」読後、30年も前、大学生時分、映画鑑賞したディストピア作品「華氏451」の原作を読みたくなり手に取りました。映画は?奇妙?で、原作も?奇妙?でしたが、ジョジョの奇妙な冒険だと思ったら、すいすい流れはじめました。 内容は著者レイ・ブラッドベリと同年代の社会学者フェスティンガーが提唱した『認知的不協和』を体現したような感じですね。 二つの矛盾すること、ここでいう「本を読みたい」vs「本を読むことは良くない」から生じるストレス、この認知的不協和を解消するために、自分にとって都合が良いように行為を正当化してしまうお話と思いました。 怖いですね…
2投稿日: 2023.02.16
powered by ブクログ本が禁忌になった世界。想像もつかなかった世界が、この本で描かれていて、今読んでも近未来的視点でよむことができた。
0投稿日: 2023.01.17
powered by ブクログ本が禁止された世界。見つかれば、昇火士によって 焼かれる。 それは、どんな社会なのか? 人々の生活がどう描かれるのか、期待して読みはじめたが…。 ストーリーとしてはシンプルだが、心理描写、周りの状況描写がすべて詩的な表現で、わたしの頭にはすぐに入ってこない。ある意味、回りくどい表現が多くて、ようやく、最後まで何とか読了できたといった感じであった。 ただ、難解な文章ながら、この独特な世界を味わうことはできたと思う。
2投稿日: 2023.01.06
powered by ブクログこの小説に出会うことができてよかったです。 すくなくとも、最後の文章を読み終わった後に、また始まりの一文を読んで、感慨深いというか、涙が湧くような、すっきりしたような感情を覚えました。 感嘆の息を吐きましたとも、はぁ……(すごいものを読めた。嬉しい。ありがたい。)といった感じの。 文章は詩的で、はっきりといえば好みは分かれるところであるけれど、第三部からの展開には息をのむような心地で、一行を噛みしめるように読んでしまいました。 当然ながら、聖書引用がおおく必ずしも馴染みがあるものではないのですが、何となくでも意味は分かりますし、兎も角、言葉っていうものは……伝えるためのそれらというのは……すごいんだなという……。 引き継いでいきたいです。 本の感想とはまた違いますが、この本を読んでいる合間に見た夢が「互いに会話はできるのに、互いに言葉が理解できていない(ような)少女と、本の話をする。それ(ただし、それというのは本に限った話ではない)はプリンシパル(なんだよ、と少女が言った)」といった夢だったので、私にとっては、心から衝撃的な物語だったのだと思います。
1投稿日: 2022.12.24
powered by ブクログ本が焼かれるのが、民衆の生活様式が主導であったのが面白い。電車に乗ると、ほとんどの人が手のひらサイズのボックスを眺めている。youtubeやTikTokでは要約、ショート動画があふれている。テクノロジーという名のファイアマンが力を持つ現代は華氏451度の世界と変わりがない。そんな世界を生きる我々は何をするべきか?改めて考えさせられた。
1投稿日: 2022.12.17
powered by ブクログ考える時間を与えられず、与えられるものを際限なく詰め込まれる魅力的な豚になりつつある世界は私達の現代社会にとてもよく似ている。
0投稿日: 2022.12.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
本が悪きものとして忌み嫌われ、見つかり次第家もろとも燃やされる世界が舞台の話。情報規制による弊害は本に限らず、テレビの報道も当てはまるけど、この世界では「本を"燃やす"」となっているところに視覚的なインパクトがあると思った。本だからこそ燃やせるし、没収せずに本人の家ごと燃やすというのが余計奪われている感を強く感じさせるというか…。 一番印象に残ったのは、フェーバーが言った「本は"ちょっと待っていなさい"といって閉じてしまえる。人は本に対して神のようにふるまうことができる。」という台詞。自分が己を支配していると感じられるのは、本特有の性質なのかもしれない。 ただ、全体を通して表現が難しかったので、読むのには苦労した。理解できていないところも多い。何周かする必要があるかも。
1投稿日: 2022.12.11
powered by ブクログ【感想】 傑作たるSFは、その設定がいかに浮世離れしていようとも、どこかしらで現代社会との接点を持ち、読み手に警句を与えるような内容になっている、と私は思っています。 本書は1953年に書かれた古典SF小説ですが、まさにその「傑作の条件」に当てはまっています。 例えば、ベイティー隊長の言葉。 「そして大衆の心をつかめばつかむほど、中身は単純化された」 「むかし本を気に入った人びとは、数は少ないながら、ここ、そこ、どこにでもいた。みんなが違っていてもよかった。世の中は広々としていた。ところが、やがて世の中は、詮索する目、ぶつかりあう肘、ののしりあう口で込み合ってきた。人口は二倍、三倍、四倍に増えた。映画や、ラジオ、雑誌、本は、練り粉で作ったプディングみたいな大味なレベルにまで落ちた。わかるか?」 隊長の言葉は、現代社会における「情報」の扱われ方を的確に言い当てているのではないかと思います。人口が増え、情報の供給量が増大すると、スピードがぐんと上がり、咀嚼し終わらないうちに口に入るようになってきた。すると、情報のうち複雑で飲み込むのに時間がかかるものは遺棄され、大味のものしか残らなくなった。これはまさに、「大衆の心をつかめばつかむほど、中身は単純化された」事例だと言えるでしょう。 思えば、本書に出てくるテクノロジーは現代社会を鏡に映しているようです。ラウンジ壁はスマホ。巻貝はワイヤレスイヤホン。時速100マイルで疾走するカブトムシは、さながら刹那的な欲望を高速で発散させるためのSNSと言えるかもしれません。歩くときも寝るときもスマートフォンに没頭し、情報の洪水に身を晒す私たちは、ミルドレッドと同じ穴のムジナです。そんな私たちが本や新聞を「時代遅れの古いメディア」と言ってはねのけている今、まさに、フィクションが足元にまで迫っているのかもしれません。 ――平和がいちばんなんだ、モンターグ。国民には記憶力コンテストでもあてがっておけばいい。ポップスの歌詞だの、州都の名前だの、アイオワの去年のトウモロコシ収穫量だのをどれだけ覚えているか、競わせておけばいいんだ。不燃性のデータをめいっぱい詰めこんでやれ、もう満腹だと感じるまで「事実」をぎっしり詰めこんでやれ。ただし国民が、自分はなんと輝かしい情報収集能力を持っていることか、と感じるような事実を詰めこむんだ。そうしておけば、みんな、自分の頭で考えているような気になる。動かなくても動いているような感覚が得られる。それでみんなしあわせになれる。 ――さあ、これでなぜ書物が憎まれ、恐れられるのか、おわかりになったかな?書物は命の顔の毛穴をさらけだす。気楽な連中は、毛穴もなくつるんとした、無表情の、蠟でつくった月のような顔しか見たがらない。われわれは、花がたっぷりの雨と黒土によって育つのではなく、花が花を養分として生きようとする時代に生きておるのだよ。
25投稿日: 2022.12.05
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何度か挫折して積読していたが、再読してやっと読破。 本の内容は近未来SFで、本が焼かれてしまう(持っているだけで罪)という設定。多分図書館戦争とかと似ている。そして、この物語が伝えたかったのは、本の魅力。空虚な人間ばかりが増えた世界で現実と向き合う方法が本だった。私が一番心惹かれたことは、本は常にポケットにしまい、必要な場合に応じて使用することができると言うこと。本を記憶し大事に頭の中で保管しておくと、その保管した言葉が活きるときがくる。これを知ってもっと丁寧に本を読みたいと思った。今までのように時間の消化の一端としてじゃなく蓄積するものとして。
0投稿日: 2022.11.29
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華氏451度とは、書物の紙が引火する温度。ファイアマン(昇火士※「消火士」ではなくこの訳し方がわかりやすい)が一人の少女と出会ったことから人生が変わる。最初は読み辛かったが、途中から波に乗ってきて一気に読了。 文章内で?と感じるところもあったけど、原文がそもそもダブルミーニングなどあって訳すのが難しいのだろうなと思った。
0投稿日: 2022.11.26
powered by ブクログ“本が禁じられた世界”と聞いて、焚書坑儒を思い出した。 違っているのは、思想弾圧どころか思考力そのものを奪う焚書であること。 多くの事実を頭に詰め込んでやれば、人は自分の頭で考えているような気になる。 たとえ何も考えていなかったとしても。 フィクションなのに胸がざわついて仕方がなかった。 本を所持するだけでも罪になる世界、その時自分はどうやって生きていくのだろう。 考えてみたけど、どうしても想像できなかったなあ。
0投稿日: 2022.11.22
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なにもかもが詳らかになっているかのようにさえ感じられる現代、焚書による言論封殺というのはリアリティをもって受け入れることは難しい。 しかし、メディアの中毒症状が世の中を蝕み考える力を奪っていく様は異様なほどのリアリティを感じる。 そんなリアリティのあるディストピアの有様と、内省的な主人公の心境のコントラストが印象的な不朽の名作。
0投稿日: 2022.11.19
powered by ブクログ70年以上前なので、現代のようにネットなどがない時代は本は人々の行動を変えるような力を持ったものとして恐れられていることが背景にあるんだと感じました。 知ること、考えることや、問題から目を背ける危険性 今の日本だと情報統制や焚書などはあまりないけれど、空いている時間を刺激の強い娯楽系(YouTubeとかインスタとか)に費やすことが多くなって本離れしていってしまうって似ていると思いました。 映画を見てみたくなった
0投稿日: 2022.10.29
powered by ブクログ翻訳もよい。都市の緊迫感とそこから田舎へ脱出した時の描写が素晴らしかった。 モンターグがすぐ感情的になるのでヤキモキしてたが、なるほど、後で出てくる、じっと待つ知識人たちとの対比なんだなと思った。
0投稿日: 2022.10.23
powered by ブクログ1950年代にこんなに正確に近未来を描いていたのは、とても興味深い。 インテリの重要性とアホらしさのジレンマ。その集大成が戦争という人類の愚行。まさに2022年の世界情勢にも重なる。いや、1950年代から今まで、何も変わっていないのかも。それを少しでも世界をベタープレイスにするため、本書で警鐘を鳴らしていたのであろう。 読み終わって新幹線の車中、顔を上げて見回すと、皆が壁(スマホ)に向かっている…
0投稿日: 2022.10.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
本を読んだり持つことが禁止された世界で、書物を焼くことを仕事にしている主人公が様々な人物に会い、自身のやっていることに疑問を持つようになる話。 1953年に出版されたとは思えないほど、未来における本や人に関しての洞察が深くとても驚いた。特に、本を読まなくなったり禁止される過程が、例えば権力者が主体となって行う検閲のようなものではなく、人が実践的で分かりやすい役に立つものだけを大切にしていった結果愉しみと快い刺激を求めたため廃れていったというのが、妙にリアルで生々しく感じた。 物語が進むに連れ周りとは違う人と会うことで主人公は本に興味を持つようになるが、本というものが本当はどういう意味や力を持つか分からず、周りの人に驕りや怒りとして振りかざすようになる。これもまたなんというか、テレビとかネットとかで新しく得た知識をよく調べもせずに喜び勇んでひけらかすようで自分にも心当たりがあり読んでいて身につまされる思いだった。 自身の本に対する考えの変化に戸惑う主人公に対し、本の大切さを知ってはいるが無力感に打ちのめされている元英文学の教授のフェーバーや同じように以前本に興味を持ったが本を焼くことには賛同している上司のベイティーといった本の先輩が、対照的なことを言っていくシーンもまた人の本への態度の違いを端的に描いていて面白かった。「必要なものは本ではない。かつて本のなかにあったものだ」と言って本の意味を主人公に教えていくフェーバーに対し、単に新しいものに触れ「いっとき、酔っ払っちまった」だけだと言い本はあってもなくても世の中は上手くやっていけるというベイティー。興味深かったのはフェーバーよりもベイティーの方が本からの引用をたくさんして話をしていたところだった。主人公はベイティーも苦しんでいたんじゃないかと感じていたが、ベイティーは最後まで本心が分からなかった。 最終的に主人公は街から逃げることになり、その結果本を覚えることで守ろうとする遊牧民に会う。一人では社会に対し怒りしか覚えなかったが、仲間が集まることでできることが少しずつ増えていき、力を蓄え時機を待つという結論に達することに納得感があった。日本には以前観念小説というジャンルがあり、これは自身の不条理を社会に責任を求めるものなのだが、発展性がないとして廃れてしまった。今回のこの結論は観念小説の先にあるものではないかと思い個人的にすごく感動した。 ところどころ表現が独特でついていけないと思うことがあったり、特に最後の方で主人公の描写が実際に起こったのか想像の中だけなのかと分かりづらいことがあったり、案外全編を通して会話劇なのでしっかり理解しないと話が繋がらなかったりと難解さを感じた部分もあった。ただ、妻に関してはなぜ主人公が惚れたのか全く分からず、共感できなかった。4.3。
5投稿日: 2022.10.19
powered by ブクログ純粋に物語の先が気になって早いペースで読み進めて、内容を楽しんだ。よく考えてみると、恐ろしい世界でありながら、今の人間にピッタリと合わさるような印象があり、フィクションでは済まされないと感じる。 今はスマホを始め、便利に早く情報を収集できる環境になっている。直感的に良いと思える映像や動画で人々の関心を得て、刺激を与えるような世界が氾濫している。私たちは気が付かないうちに囲まれて、当たり前と思っているが、客観的に見ると華氏451度の世界と変わらない部分が見受けられる。 自分は経済新聞を頭に入らないのにも関わらず、習慣的に目を通すことを数年続けていたが、思い切ってやめたところ、心がフッと軽くなった。それに、知識を吸収したいという前向きな気持ちが出てきた。情報が多すぎる現代では、何をやめるかも選択していかないと、この物語の人物達のように上滑りで人生を送ることになりかねない。正しいことを主張する人間になる勇気はないが、空虚な人間にならないようには気を付けたいと思った。
0投稿日: 2022.09.28
powered by ブクログ伊藤典夫新訳版‥‥文章のリズムがとても心地良かった(原書をネイティヴ並みに読めたらもっと良いのに)。 書物をこの世から駆逐して、不幸という概念を全て消し去ったとしても、ヒトは幸せにはなれない。「愚行を記憶」するからこそ、ヒトはきっと幸福を実感できる。
0投稿日: 2022.09.15
powered by ブクログ0.1秒をスローで描く描写力に圧巻。 嫌な世界だな。 反知識社会は人間を薄弱にし、何ものにも無関心になるのか…鏡もないから己というものを知らないし、知る必要もない世界は冷たくて残酷で物悲しい。 近未来と言われるとなにかゾッとする。
0投稿日: 2022.09.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
千夜千冊の影響でSFに触れようと思って読む。読んだ他のSF作品に比べて詩的で色彩豊かな表現が多いところが印象に残っている。誰よりレイブラッドベリをもっと読みたい。 読んでから結構時間が経っちゃってるけど、静と動のバランスが印象的だった。変な女の子クラリスとの会話→火事、スピード感ある陰謀、電子犬、逃亡からの森の線路を歩いて本と対話する、線路が続いていく。全編に通ずる文学的表現から炎の動きや光の当たり具合、炎に照らされて頬が熱を受ける感じ、空気感、画角を感じられるところがサイコーーーーーー、スケールの伸び縮みのぐいーんって感じ大好き。ドキドキしているうちに物語が展開して引きずられる感じが自分にとって気持ちいいんだろうな。予想を超えた表現に出会えるのが嬉しい。この本はまだまだ全然遠くてこれから読むごとに新しいことがわかるんだろう。 本禁止なんて突飛な設定でありながらそれが浮かず、言葉や書物の意義に向き合う契機になっているところ。本に「残す」こと。死んだあとに読んでもらうこと、または「読んでもらえる」と信じて死ねること。作者にとっての本の意義は死んだら終わりだが、読者にとっての本の意義は本を中心に回り続ける。同じ書物が時代によって違う意味をもつ。
1投稿日: 2022.09.09
powered by ブクログとにかくベイティー隊長の台詞がしっかり現代にも響く皮肉で何度もハッとしたし、よかった。 自由な思考の隙間が与えられないことの危うさ、目下の事実(とされること)のみを情報として浴びつづける恐ろしさetc…。 いま自分の世界には数えきれないくらいの本があってそれらを手に取れることを改めて噛み締めたし、同時に、その幸福にかまけずどう本と向き合うかも考えさせられた。 あと、わたしも自分の脳をまるごと本棚にしちゃいたいといつも思ってる
0投稿日: 2022.09.09
powered by ブクログ読みづらい 翻訳が下手というのもあるのかもしれない とにかく一文が冗長だ 何が言いたいのか分からず、ストーリーが見えてこない 名作のはずなのにもったいない
0投稿日: 2022.08.18
powered by ブクログ終盤までは食い入る様に、終盤はクライマックスだけれどゆっくり読んだ、、 ギリギリ予想できる未来 全てを破壊する火と、人を護る焚き火と 都市部と田舎と、、 最後の破壊の場面は核爆弾のイメージ 終わりまでにクラリスもう一回出てくること期待しちゃった 「では」夜の街のずっと彼方でページを繰る、あるかなきかのサラサラいう音。「『ヨブ記』を」 なにか、死んだときに魂の行き場所になるような、なんらかのかたちで手をかけたものを残すのだ。〜ものにどうふれるかのちがいだ、〜
1投稿日: 2022.08.13
powered by ブクログ難しかった。翻訳文学は前から読みにくさを感じてしまい自分とは相性良くないと思ってたけど、この本は特に相性よくなかった。文章がうまく入ってこないけど、描かれてる事柄はきっと興味深く、もっと成長したらまた読みたい。 直訳たとファイヤーマンは「梵書官」だが、そうではなく「昇火士」と訳されているのがよかった。本を燃やすということがポジティブな職業とされている世界観ならでは。。
0投稿日: 2022.08.07
powered by ブクログSF物は普段読まないのだけれど「100分de名著」で紹介されていて興味を覚えて読んでみた。(「100分de名著」も全て観ていないけど) 約70年前に書かれた物語とは思えないほど現代の問題に通づる事柄が題材にされていて読んでいてゾクゾクする面があった。 思考の停止、情報操作、余暇を上手く使えない現代人……etcそういった問題に真正面から対峙していく大切さも学べた気がする。
1投稿日: 2022.08.01
powered by ブクログ無闇に信じることは正しいのか? 大衆に逆らうことが良いことではないし、従うことも正しいとは言えない。自分で見て、感じ、考え、正しいと思う過ちを選ぶのが肝要である。 というのが結論として思われる。 ストーリーはすごくそそられた。疑問を抱く主人公が起こす行動にハラハラとさせられ、後半の追いかけられるシーンにはいつどうなるか、捕まるのか逃げられるのか予想が出来なくて凄く楽しめた。
0投稿日: 2022.07.26
powered by ブクログレイ・ブラッドベリの『華氏451度』を読んだ。 まず昇火士が本を燃やしていくという物語の性質上、本の重要性を称揚する物語だと考えるが、話が展開するにつれ、思考と無思考の対比構造に主眼を置いているということに気づく。市民は耳に「巻貝」を装着することで、まるで子宮の中の胎児のように、常に享楽で浸された自閉状態に陥り、批判的思考を働かせることができなくなっている。我々の社会を参照しても同様に享楽漬けの生活を送ることを余儀なくされている。常にイヤホンをつけ享楽に浸る様は、享楽に駆り立てられた子供のようなもので、こうした社会の批評として「社会の総幼児化」という言葉もある。 『1984』とのアナロジーで語られることが多い本作だが、『1984』がまさにビッグブラザーの問題を扱っているのだとしたら、本作はむしろリトルブラザーとでもいうべき事態を扱っているのである。イヤホンやテレビのような享楽物に身を捧げている社会では、もはやビッグブラザーのようなわかりやすい強大な権力者がいるのではなく、身の回りの小さな日用品など生活環境に微視的な権力が入り込んでいる。これはドゥルーズが「追伸―管理社会について」で記した権力論を彷彿とさせる。 それは、フーコーの規律訓練型の権力論を展開したものであった。フーコーはベンサムが考案したパノプティコンという一望監視装置を用いて、中央の権力により人々がそこからの視線を内面化して訓育される規律・訓練という権力様式を鮮やかに描いた。それは私たちにいわば超自我のような審級を作り出させ、これはやってはいけない怒られる、処罰される事柄だと認識させ、倫理規範みたいなものを身につけることを課す権力であった。それに対し、ドゥルーズは今日の社会ではもはや規律訓練が可能でない環境型の権力が立ち現れていることを指摘した。私たちは生体認証など微視的な権力によって管理されている。そこでは、例えばカードキーをかざしても反応しないからただ入れないといったように、システム的な要因で我々の行動が制御されており、行動に反省を促すような視線の内面化は存在していない。ただ入れないから入れないのである。この社会では道徳規範のような権威性は地に落とされ水平化してしまった。 このような管理社会の側面が『華氏451度』では、「巻貝」などの例によって顕著に確認できる。よって主人公モンターグが打倒すべき敵は描かれないのである。ブラッドベリはよりドゥルーズ的な権力の様相を描いていたのである。ドゥルーズが1990年に描いた権力のありようを1950年代に描いていることは驚くべき慧眼と言っても差し支えないのかもしれない。 やはり本作ではSF的な未来の道具がさまざまに出てくるのだが、以上の理由により「巻貝」が特に重要である。人は「巻貝」をつけることによって、快楽と広告の洪水の中で享楽に狂うのである。これは今日の「うるさすぎる」アジビラ的社会を描いているのであるが、フランソワ・トリュフォーが映画化した『華氏451度』では、舞台に「巻貝」のようなものは現れず、驚くほど静謐な世の中を描いていた。映画版はうるさすぎる世の中というブラッドベリの批評性を決定的に見落としている。 しかし、ブラッドベリの物語にも難点が多々見られる。例えば、モンターグが自宅にて、客人の三婦人を前に詩を朗読して見せて、一人が泣いてしまい、大衆的焚書派の夫人から人を泣かせるようなものは非難に値すると罵倒される箇所がある。まず言えるのは、脚本を元にしたテレビは楽しまれている社会において、詩の朗読と脚本からなるテレビドラマはレベルの違いがないことである。そして、もう一つ言えるのは、涙にくれることは実に享楽的な出来事であるということ。今の社会を見ても、大衆が享楽物として求めているのはエモーショナルで扇情的な物語である。ブラッドベリはこのエモーショナルな機能を持つ詩をむしろ大衆のプログラムの側に組み込むべきだったと言えるだろう。苦痛も享楽の一つなのである。そして、我々に必要なのは快楽にしろ苦痛にしろ享楽的な次元と距離をとって、批判的思考からなる弁証法を機能させることなのである。
0投稿日: 2022.07.21
powered by ブクログ一つ絶対に忘れてはならないことがある。お前は重要ではない、お前は何者でもない、という思いだ。いつか、われわれが携えている荷物が誰かの、助けになる日が来るかもしれない。しかしだ、ずっと昔、本を手に持っていた時代でさえ、われわれは本から得たものをまともに利用してはないかった。われわれは死者を侮辱することばかりに汲々としていた。われわれより先にこの世を去ったあわれな人たちの墓に唾を吐きかけるようなことばかりしていた。
0投稿日: 2022.07.17
powered by ブクログアメリカのSF・幻想文学の大家レイ・ブラッドベリ(1920-2012)による〝紙が自然発火する温度(摂氏232.7°)〟をタイトルにした『華氏451度 (Fahrenheit451) 』の新訳版。書物が忌むべき禁制品となった未来社会で、本を焼き尽くす仕事を誇りとする「ファイアマン(昇火士)」たちがいた。 そのうちの一人モンタ-グが、ある晩見知らぬ少女と出会ったことで、今までの彼の人生も棲むべき社会も劇的な変革をもたらすことに・・・。市民生活が徹底的な管理統制下におかれたディストピア社会への抵抗文学。
5投稿日: 2022.07.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この本の何が凄いって、1950年代に書かれたことが凄い。 壁いっぱいのスクリーンや耳につける巻貝に夢中になり、目の前の家族に向き合わない姿は、テレビやスマホに夢中になる現代人をよく描写している。 本を読まないこと(不勉強で物事をよく考えないこと)は、やがて戦争にも繋がるという発想はまさにその通りだと思う。 人々から考える力を奪うために本を燃やすという権力者の姿勢は、中国にそっくりである。 ただ、私は本をよく読むけど、読んでいる間、考え事をしている間は、パートナーとの会話がおざなりになるので、読書が家族との繋がりを取り戻すという発想は違うのかもしれない。 うちの場合、私は本に夢中になり、パートナーはスマホと巻貝に夢中である。 それで帳尻が合ってるから、上手くいく場合もある。
0投稿日: 2022.07.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「一九八四年」に肩を並べるくらい有名なディストピア小説。焚書がテーマ。「一九八四年」と違い、独裁による権力維持のための監視社会によって、表現や思想の自由が奪われる世界を描いたSFではない。 大衆の平均的なしあわせのために広くあまねくポリティカル・コレクトネスを敷衍すると、書物(知識、思想、宗教、信条…)は害悪だよね、だから燃やしてしまおう、という世界。ポピュリズムの究極形。 密告ではなく通報という言い回しだが、社会の害になる奴は本と一緒に排除してもいい、という点は同じ。 もう「正しいものは何なのか」なんて歳ではとっくになくて、都合がいいものを都合よく解釈して何とか生きてる毎日。だけど、王様は裸だって言える自分でありたい。騙されないように、独善的にならないように。だから、本を読み続けるんだ。 訳について一言。かたみに(互に)とか、じょうじょうたる(嫋々)とか辞書がないと意味が分からない。教養の無いのは棚に上げて、きっと英語の古語を正確に翻訳したい気持ちは分かるけど、和訳でも古語を使わなくてもと思う。聖書なんかもそうだけど、古語が多用されてて意味分からなかったら、伝わらないと思うんだけど… そういう点を差し引いても、2020年代を予言してる設定、スピード感、せりふ回し・・・名著と呼ばれるだけのことはある作品です。
0投稿日: 2022.06.28
powered by ブクログ多読の夫が今まで読んだ本の中でのオールタイム・ベストの1つだというので読んでみた。個人的には期待感が膨らんでいた分、少々面白みに欠けた。理由はラストの展開の少なさかな。 ただ、70年経ったこの現代をブラッドベリが観たらなんと思うか…と娘のYouTube中毒から思う。 最後の訳者のあとがきが面白かった。彼がなぜこの作品を書くに至ったかが綴られている。彼の中の未来に対する恐怖感がある種現実となってしまったかのようなこの現代。子を持つ親として思うことあり。
0投稿日: 2022.05.21
powered by ブクログ最初の描写の感じが如何にも文学的というか、翻訳本によくある読みにくい文章になってると感じたので最初は読むのが結構しんどかったです。でも、読み進めるにつれてクラリスとの噛み合っていな会話が何となく分かるような気がしてきて、ベイティー体調が語る焚書に至るまでの話は、すごく響いて物語に引き込まれました。 私は本当に読書を避けてきたのですが、コロナ禍の世の中になってから自分なりによく本を読むようになりました。 知識や語彙が読書を通じて身に着くのは往々にしてあることと思いますが、第3章でモンターグが出会う知識人の方々の言葉から考えるに、本を読み、ゆっくり自分なりに考えてるその時間は、少なくとも自分の中(精神)で最大限の自由を感じる事ができる。それを感じられる快感が、いま自分が本を読もうと思う理由の一つなのかも知れないと思いました。 何事も時間がかからない事が重要視されつつある今、表面的な物、短絡的な論理が正しいと評価される事も少なくない今の世相にすごく響く内容だと思いました。また、読み返したいと思います。
0投稿日: 2022.05.16
powered by ブクログSF名作消化のために読んだ。 ダレる。読んでて少し眠くなった。 後半の展開は予想外だったが、盛り上がるでもなく、なんか話が進んでいく。
0投稿日: 2022.05.05
powered by ブクログディストピア3部作(本当にそうかは知らない)の一つ。1984と比較すると、随分読みやすい。 著者が何を言いたいのか知らないが、時の為政者により愚民化は簡単にでき、洗脳もできてしまう。 ただ、人間が持つ本質的な知的好奇心までは、抑えることができないと思った。 本が読めて幸せです。
0投稿日: 2022.04.29
powered by ブクログEテレの「100分で名著」をみて。テレビ時代の幕開け期の著作で、メディアを骨抜きにするのは大衆自身である、という、まさに現代の問題を予見した内容は秀逸。
0投稿日: 2022.04.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
政府は秩序を守るため国民の考え方を統制 そのために政府推奨のVRを使って国民から考える機会を奪う そして邪魔になった本を燃やしていく ざっくりこんな感じだと思った
0投稿日: 2022.04.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ディストピアSF小説 焚書は本好きには悲しくなる事案 最後の解説で「わが国では歴史に名を残すような焚書の例は知られていない」とあるけれど、疑問。 西尾幹二氏のGHQ焚書…は7000冊以上とかいてある。
0投稿日: 2022.04.09
powered by ブクログ書籍を保持したり、読んだりすることが禁じられた社会を描いたSF小説。 ストーリーや筆の運びではなくその思想に面白さをみてとれる点は『われら』と似ている(その対極が『1984年』や『すばらしい新世界』かと)。でも、ストーリーなどの「わかりやすさ」や面白さだけを追求することに警報を鳴らしているこの小説の目的を達成するにはふさわしい在り方なのかもしれない。 書籍のある世界を肯定する登場人物が、書籍を自分の力にするために必要なものの一つとして「余暇(消化する時間、しかもただ暇という意味ではなく考える時間)」を挙げていたことは印象的。 「哲学だの社会学だの、物事を関連づけて考えるような、つかみどころのないものは与えてはならない。そんなものを齧ったら、待っているのは憂鬱だ。」というフレーズには苦笑するしかなかった。
0投稿日: 2022.04.03
powered by ブクログ受動的な快楽で満足してしまうことに対する、能動的な思考を通じての読書の対比。この本が出てから何年も経っているというのにとても時代にマッチしている。そして、少し本を読んでも主人公の付け焼き刃では悪役の隊長には敵わない、でも自分で考え少しずつ前に進んで行くところは、「大学から保育園」に戻ってしまった現代人が再び大学に戻るために必要な過程なんだろう。
0投稿日: 2022.03.27
powered by ブクログ本の著者が出した答えに、また別の著者の答えが返ってくるシーンが印象に残っている。 このシーンでは、本に答えが無くて、自分も何を信じたらいいのか主人公同様に分からなくなったが、自分の信じたい方を信じたらいいのかなと思った。 主人公が対峙していた昇火士のように、本を読んでから読書は無意味だと思うならまだしも、読まずに結論付けるのがいけないんだろうな。 難しいことを考えなければならない訳ではなく、誰かに指示されて動くのではなくて、自分から能動的に動かなければ、本書の住人のようになってしまうのかなと思った。 この本の世界では、受動的に生きていても幸せだから人々は満足しており、考えなしに生活できるが、私達の生きる世界、普通は自分から求めなければ幸せを享受できないと思う。しかし、SNSが発達した今の世界では、求めなくとも幸福が舞い降りてくると錯覚しているような気がする。(ちょっと極端過ぎるかな。) 「それは本当に自分が欲しい幸せなのか?」自分自身に問いかけていきたい疑問である。
0投稿日: 2022.03.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
火を燃やすのは愉しかった。 なにも考えず幸福でいられるような社会で、ある少女と、本を燃やす際に抵抗した老女を通じて、自分の人生に疑問を持ち、抗っていく。 しあわせになるために必要なものは全部もっているのに、しあわせでない。 「ぼくらはいちどだって正しい理由でものを燃やしたことはなかった・・・」 物語の構造は、主人公と誰か、のシーンが多く単純でわかりやすいと思う。そこに何とも言えない文章の純度というか、抒情的な文体が重なって飽きずに読めた。登場人物のピュアさにも惹かれた。 仮定の話をつぎたしていって真実にたどりつく小説の醍醐味を感じた。 気に入った個所は 細部を語れ。いきいきとした細部を。すぐれた作家はいくたびも命に触れる。凡庸な作家はさらりと表面をなでるだけ。悪しき作家は蹂躙し、蠅がたかるにまかせるだけ。
0投稿日: 2022.02.28
powered by ブクログ完全に預言的な話で、名作SFの凄みを感じる。 人々から考える時間を奪い、虚無の存在にしてしまうものが、リビングの壁全体から流れてくる動画という設定。その上、その動画の映像が自分の名前を呼びかけてくるようにカスタマイズされているという世界。電車の中でこの本を読んでいたのだけど、ふと顔を上げた時に乗客のほぼ全員がスマホの画面を眺めていて(虚無!)、ゾッとしてしまった。 初めは本が禁止されているから、この世界観が成立しているのかと思って読んでいくと、実は、本を燃やすのはあくまで包囲網に過ぎず、考えること、面倒ごとを放棄するのを選んだのは大衆なのだ、という哀しい問題にたどり着く流れも、まさにいま現在の私たちを批判されているようにしか思えず打ち震えます。 膨大な知識と本の言葉に翻弄され、昇火士(単語の訳がいいですね)の親玉として君臨するベイティー隊長の最後は切なく、街から逃れたモンターグが合流する過去の知識人たちの信念にも深く感じいる。 詩的な情景描写が唐突に挟み込まれる部分が多く、最初は読みづらいけれど、後半の諸々はこの手法が世界を支えていて、まさに知性礼賛を体現した小説でした。 今、読み直されるべき名作と思います。
0投稿日: 2022.02.23
powered by ブクログ読みながら頭を殴られたような衝撃を受けました。 メディアに支配され自分の頭で考えることを忘れた人達。近年の読書離れやスマホ依存等、自分たちもそうなる可能性が充分あるなと。 文明が発達しても紙の本はずっとなくならないで欲しいです。
1投稿日: 2022.02.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「100分で名著」で紹介されて興味を持ったので手にとった。以下は番組で語られていた一部で自分用にメモ。 社会の加速化によって、ゆっくり考える必要のある歴史や哲学などの人文科学は役に立たないと言われていく。時間がかかる本は読まれなくなり、すぐに楽しめる娯楽が求められるようになる。雑誌からは活字が減りはやく読める漫画やグラビアなどが多くなり、市場が大きくなるとメディアは抗議の声を恐れてどんな立場の人も不快に思わないように配慮。あたりさわりのない同じような内容になり、本も単純化されダイジェスト化され低俗化していく。これは誰かにお仕着せされたものではなく、「引金をひいたのはテクノロジーと大衆搾取と少数派からのプレッシャーだ」 「表現」は人の先入観を揺さぶり思い込みをひっくり返す。ひっくり返される方にしてみればちょっと不愉快、不快な要素がらどうしてもはいってくる。それを不愉快とか傷ついたとか抗議の声を恐れて、表現者が自ら表現を手放していく。自ら考えなくなっていく。そうなっていってくれた方が権力側には都合がいい。そしてそれは知識人への憎悪になる これは現在進行形で進んでいる現実と感じる。他人事ではなく自分にも当てはまる。ゾッとしながら読んだしとても面白く読んだ。 あとベイティー隊長の声は大塚芳忠にやってほしい。
0投稿日: 2022.02.02
powered by ブクログ難しかった! だけどお話としてはすごく面白かった。 ただ本当に読むのが疲れた。SFでかつ海外小説となると、和訳との相性が…… 常識を疑え!!って強く頭を殴られたよう。 この物語をSFの世界で片付けてはいけない、 そんな時代の変化がすぐそこまで来ている気がする。 個人的には映画で観てみたい作品。 本を燃やす職業が「昇火士」と訳されているのが天才的だと思った。 本を丸暗記していてその人のことをその本の題名で呼んでいたり、自己紹介しているのが印象的だった。
0投稿日: 2022.01.31
powered by ブクログ本を所有、読む、語る事が禁忌とされ、見つかれば燃やされてしまう。 所有することは出来ないが、それぞれの思想を受け継ぐ人々が居て、それを歩く図書館とし、後世に語り継いでいく。 本好きにはたまらないなあ。
0投稿日: 2022.01.16
powered by ブクログ本を所有することが禁忌となった世界。 見つかれば家ごと焼き尽くされる。 本を焼く昇火士を生業とする主人公。 ラジオとテレビに没頭する妻と空虚な生活を送る彼に最初の示唆を与えたのは、近所に越してきた1人の少女だったーーー 本書が出版されたのは1953年だが、本を捨てラジオやテレビ等の受動的なメディアに依存する社会は、スマホ中心の生活を送る私たちを揶揄しているようでゾッとする。 スマホから得られる刹那的な情報は、口当たりのいい甘味飲料のようにほんの一瞬私たちを満たすが、成長の養分にはならない。 自分の頭で考えるには燃料が必要で、それは甘味飲料ではない。 本とは、過去の偉人がとことん追究した物事をさらに身を削る思いで言葉に起こしたものである。それ故簡単に理解することはできないが、著者の意図を咀嚼し自分の中に落とし込んでいく作業が「知」の獲得プロセスだろう。
0投稿日: 2022.01.08
powered by ブクログ本を所持することが禁止され、見つかれば焼き尽くされてしまう未来の世界。 本を燃やす昇火士(ファイアマン)という仕事をする主人公ガイ・モンダーク。 その仕事に愉しさを感じていたはずのモンダークだったが、ミステリアスな少女や老女との出会いによって、自らの仕事に疑問を持ち始めてゆく。 そして彼は本を手に…。 写真学科1年
0投稿日: 2022.01.06
powered by ブクログ他者を理解しようとするストレス、自分の考えを変えるストレスを楽しまなければならない そう言われた気がした 思考を止めることの心地良さに身を委ねられるのは幸せなことかもしれない けれど、心のどこかでそんな幸せに居心地の悪さを感じてしまうから、人はページを捲るんだろうな 自分はふるいで、他者や本は砂のようなもの 砂をサラサラとふるいにかけて果たして残るものがあるだろうか 我々はふるいの目をできるだけ細かくする努力をしなければならない 少し過激なことを言うと、この本の内容を読解できない読者のためにこの本は存在していると思う だから、今読解できなくても、歳を重ねてふと思い出したときに読み返してほしい ひとりの読者としてそう思う
3投稿日: 2022.01.01
powered by ブクログ2016.9.28読了。 ブラッドベリは幼少より、書物が失われることに敏感だったという。作中でグレンジャーが語るいくつかの言葉、それがブラッドベリの言葉だと感じた。 1953年に本書で描かれたディストピアは、現在までにどれほど実現しただろう? 幸いにして、まだ書物を手離すに至っていないが、それでも多くのものを失った。 得るものと引き換えに手放したものとは何か。そうして絶えず思いを馳せて記憶していよう。
1投稿日: 2022.01.01
powered by ブクログ本を焼く「昇火士」(他の方も仰っていますが神訳!)を描く未来SF 時代特有の感性で読むところがありやや難解 しかしそれが心の中に澱のようにとどまりいつまでも物語を忘れることがない 『火星年代記』と並ぶブラッドベリの名作品
0投稿日: 2021.12.23
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名作と名高い本作。 詩人らしい表現の文章に戸惑う。現状、主人公がどうゆう状態か見失うこと多し。倒れてるの?起きてるの? 犬って言ってみたり蜂って言ってみたりどっちなん? 情報量が少ないのはそれは読者が想像しなさいってことなのかなぁ。読後いろんなことを噛み締められるのは好み。 このヒリついたデストピア感は相当好き。 なんやら現実がここまで行くのにあと一歩って思うとゾッとする。
0投稿日: 2021.12.19
powered by ブクログピア・サポーターズMさんのおすすめ本です。 「本は全て燃やされ、所持する人間は逮捕される...。そんな近未来の世界で本を燃やす「昇火士(ファイアマン)」の仕事を務める主人公、モンターグ。彼の人生は炎に彩られた、とても楽しいものだった。一人の少女と出会うまでは。 何故人々は本を燃やすのか?何故人々は本を捨ててしまったのか?本を通してこの世界を追求しようとするモンターグは何を見たのか。 現代社会にも通じる数々の風刺と、詩的な文章とで綴られた名作です。 この本を読み終わったら、ほんの少し考えてみてください。ファイアマンとは一体、誰のことなのでしょうか。 この作品をオマージュして作られた映画、マイケル・ムーア監督による「華氏911」も情報ライブラリーに所蔵されています。」 最新の所在はOPACを確認してください。 TEA-OPACへのリンクはこちら↓ https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00599262
0投稿日: 2021.12.13
powered by ブクログいつかの未来、その世界では書物が禁忌とされ、昇火士と呼ばれる人々が書物を持つ家を焼いて回っていた。 モンターグもなんの疑問も持たずにその仕事を楽しんでいたが、隣に引っ越してきた風変わりな少女・クラリスによって次第に色んなことに疑問を抱くようになる。 レイ・ブラッドベリは、犬連れの夫婦のうちの妻がラジオを聴きながら心ここに在らずで散歩しているのを見かけたことがきっかけでこの本を書いたという。 自分の頭で考えることができなくなっているのに、そのことに気付かずに過ごす人々。現代にも遠からずそんなところがある。 もっと見るべきものが、聞くべきものが、読むべきものがあっても、スマホから与えられるものに溺れる人々。道具はあくまで道具であって、それに操られてしまってはいけないな。 それにしても、相変わらず訳書は苦手だった。
0投稿日: 2021.11.26
powered by ブクログ図書館で借りた本。SFって読み慣れていないけど、すごくおもしろかった。こわいけど、分かる。自分の足で歩いて、ものを見て、息を吸わないと、と思う。
3投稿日: 2021.11.14
powered by ブクログ昇火士である主人公が、本の重要性と周囲の愚鈍さに気付き、最終的に自身が本の役割を果たそうとする過程が素晴らしかった!
0投稿日: 2021.10.27
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焚書がテーマで読書好きとして読んでいて辛くなるシーンがいくつかあった。知を奪うことで支配する世界。知る自由を奪われるのは耐えられない。ただ、それに反発する勇気は私にあるだろうか?とも思う。 登場人物たちと現代人とを重ね合わせた。日々を忙しく過ごし、考える時間を失い視覚刺激の強い映像にのめり込む。時代を超えて共通している点は多く、危ういライン上にいるような気持ちになった。 引用の詩や旧約聖書の一文などを読むと、やはり必要だ、という思いを強くする。この物語の中でも、上層部の人間は知識を得ているのだろう。誰しも平等に謙虚に、学べる機会は失われてはならない。 「頭の中の図書館」という表現や、人を指してまるで本そのものが生きているように言うのも良かった。語り継がれる本という、書物の歴史の原点に戻ってしまったようではあるが、最後モンターグの心に希望が見えて私も救われた。
2投稿日: 2021.10.14
powered by ブクログ本を読むこと、所持することが 罪になった世界の話。 たくさんの読書家さん達に愛されるSFを やっと読みました。 なるほど、すごい本だ! 誤解と反論を恐れず簡単に書くと、 「目を開け、耳を傾けろ。学べ、考えろばか者共!」 という所でしょうか。 本に焦点を当てた話だけど、 フェーバー教授が言っていたように 書物は本質を蓄えるひとつの容器に過ぎない。 人間が時を超えて知を引き継いでいく、 強力だけどひとつの手段に過ぎない。 この作品でも1種記号として使われている所には 注意しないといけないんじゃないかな。 ただ本を読めって言ってるんじゃないんだぞ、と。 とはいえ、本という記号を クローズアップしているからこそ 読書家達の心に強く響いたんだろうとも思う。 恐ろしいのは、 強い刺激ともの凄いスピードに麻痺した、 自分で物を考えない“普通の人々”が、 自分のくらいを愛し、何の疑問も持たずに 幸せに過ごしていること。 “当たり前”による思考停止の怖さを感じた。 はたして自分は? 彼女らを笑えるのか? 自分は違うと言いきれるのか? 自分は割と刹那主義というか、享楽主義というか、 幸せ is No.1みたいな所があると自覚していて、 本を読むことで悩みが生じたり 苦しいことに目を見開かせるなら 辛いだけじゃないか、 幸せを阻害するものとしてしまい込んでしまおう という主張は結構痛かった。 でも、別の世界とか他者の痛みを知ることでしか、 知ったことを元に想像することでしか なしえない優しさみたいなものが あると信じているから、追い求めたい。 幸せな愚か者か、苦悩する賢者か、 って問題は、個人的にすごい深い。 モンターグだけじゃなく、 フェーバー教授や旅団の人達 (もしかしたらベイティーもなのかな?)みたいな、 世界に流されるだけじゃない人たちがいて、 細々と頑張っていて、 手を差し伸べてくれたことに救いを見た。 傷を負いながら、人類は続くんだなあ、と。 まだまだ考えるところは尽きないんだけど、 たった1冊、しかもそんなに長くない小説1作で、 こんなに色々考えてしまうんだから やっぱり名著だなあ。 (余談ですが、 帯にあった「NHK Eテレ 100分de名著」ってのに、 すごい壮大な皮肉?矛盾?みたいな気持ちを 感じてしまったりしました。 それこそ権威に振り回されてて、 時短を求めてる感じがして……) 幸いなことに今本は禁制品じゃないし、 スピードアップする娯楽に溢れた世の中だけど 考える力はまだギリギリ残されてそうだし、 本だけじゃなく色々取り入れて たくさん考えていきたい。 すぐ忘れてしまってもったいないので、 考えたことを書いておいたりすることも めげずに細々頑張って続けていきたいなあ、と 改めて思ったのでした。
2投稿日: 2021.10.03
powered by ブクログ細かいところは古びたところもあるが、本質は今に通じるものがある 過度な表現規制と大量消費されるエンタメ対象としての情報に囲まれて生きていくということの意味を考えさせられる マインドフルネスが流行る今こそ改めて読んで見る価値はあるのではないか
1投稿日: 2021.10.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
100分de名著を観て読んだ本。 先に概要や他の人の解釈を入れて読んだ経験があまりなかったけれど、その分中身を咀嚼して読めた気がする。 そんな読書もこれはこれであり。 この本の世界は、深く考えることを排除され表面的な面白さ、時間潰しを提供されてなんの疑問もなく「幸せに」生きている人々の生きる世界。 モンターグはこの世界に疑問を抱いていくわけだけれど、この世界、現代に似ているよね。 効率的に物事を進めることも大事なのだけれど、無駄な時間は考える余白を作る大事な時間。 本を読む時間も、つい考えが横にそれたり何度も戻って繰り返し読んだりするけれど、それもまた自分の血や肉になっているはず。
1投稿日: 2021.09.29
powered by ブクログ読み始めた時は文体が難しく読みにくかったが読み進めていくうちに慣れた。 内容はシンプルだったが難しい、色々と考えさせられる。 書かれたのが70年前だとはとても思えない作品。
1投稿日: 2021.09.27
powered by ブクログ読み始めた当初は、不思議な文体に面食らった。そのうち慣れて、物語の雰囲気を支える心地よい『調子』になっていった。 自ら考える余地などなく、一方的に与えられる情報。愉快で幸せなコンテンツ達。 実際は強制されているだけなのに、まるで自ら考えているかのようになれる! それは本当に幸せなのか、主人公は一人の少女と出会い、考えるようになった。 物語の展開としては非常にシンプル!すぐに読み終わった。
0投稿日: 2021.09.23
