
総合評価
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powered by ブクログ最初はなかなかシーンの映像が浮かばず、話に入り込めなかった。ただ、どの時点からかはわからないが、どんどん画が浮かぶようになって、どんどん読み進められた。 読書を楽しめる幸せをより一層噛み締めた。
1投稿日: 2025.11.10
powered by ブクログ映像音楽、科学技術の発達による考えることなく人々が楽しく暮らしている世界。人は激しい音楽と映像に浸かることで外からの刺激のみで内側から何も生み出さなくなり。
0投稿日: 2025.11.09
powered by ブクログ1953に書かれたディストピア小説 本を焼く仕事のファイアマン 本を読むのは法律違反 物事がどう起こるかではなく、なぜ起こるかを知りたがっていた。 事実については話さない。事実の意味こそ話す。私はここに座っている。だから自分が生きているとわかるのだ。 必要なものは、ひとつめは情報の本質。そしてふたつめは余暇、考える時間。3つめは、最初の二つの相互作用から学んだことにもとづいて行動を起こすための正当な理由。 テレビは「現実」だ。即時性があり、広がりもある。こう考えろと指示してがなりたてる。あまりに早く結論に持ち込んでしまうので、反論する暇もない。 テレビは人を望み通りの形に育てあげてしまう。 「真実」になり、「真実」として存在してしまう。 本は「ちょっと待っていなさい」と閉じてしまえる。
0投稿日: 2025.11.05
powered by ブクログ昔『火星年代記』を読んだときはもっと全体的な雰囲気や展開が叙情的でまるで夢の中のことか誰かの夢想みたいな話を書く作家だなあと言う印象を受けたが、こちらの話ははもう少しリアル寄りな雰囲気。書かれた年代がだいぶ昔なので本当の現代よりもレトロフューチャー的なところはあるけど。 ただ焚書された書物が火に躍るシーンの描写を蝶や蛾や黄色い花に例えるなど、やっぱり叙情詩人の片鱗は見えて美しい。 本書では「大衆から考える力を奪う」体制が存在し(焚書)、代わりに今で言う動画かAIのような、ひたすら受動的で内容のないおしゃべりに興じられる遊びがあり、そして主人公の上司ベィティーの「国民には記憶力コンテストでもあてがっておけばいい。不燃性のデータをもう満腹だと感じるまで詰め込んでやれ。自分は何と輝かしい情報収集能力を持っていることかと感じるような事実を。そうしておけば皆、自分の頭で考えているような気になる。それで皆幸せになれる」という恐ろしいセリフ。 めちゃくちゃ2020年の現代に通じる。(今の人々が幸せを感じてるかはともかく) 先日読了した「1984」然り、古典的名作というのはやはり現代にも通じるところがあるからこその名作なんだなあと思わせられた。 過去の知識や体験や歴史を手に入れるということは、今を生きる自分にとって、過去から逃れたり、祖先が想像できなかった可能性や祖先が私たちに想像してほしくなかった可能性に気づけることであり、つまりは自分の選択肢が増えるということだとユヴァル・ノア・ハラリが述べていた。 本書でも、本が燃やされることによって失われる文章がひょっとしてとても大事なものではないのか?と気づいた主人公の行動に共感できるかが評価の分かれ目かも。
6投稿日: 2025.11.03
powered by ブクログ最初の数ページだけ読みづらかった謎。 本を禁止にして、読み書きがなぜできるのかと思う反面、読書する人や時間が減りつつある現代の行く末を暗示させるような内容は怖くもあった。
0投稿日: 2025.11.02
powered by ブクログ「俺たちの戦いはこれからだ!」的なENDではあるのだが、それはブラッドベリ氏が70年前の人間であり、現実における良識VS短絡の結末を知らないからだろう。 まだ“巻貝”や“壁”のような存在がブラッドベリ氏の頭の中にしか存在しない時代であり、これらの短絡的快楽、短絡的成功、短絡的肯定に「我々人類が勝つか負けるかは未知」であったから、打ち切り少年漫画みたいな終わりにせざるを得なかったのだと思う。 で、スマートフォンやSNSという存在がある現代でどうかというと、かなり劣勢だろう。本のような最短経路にこだわらない思索は軽視され、無用の長物となりつつある。そりゃそうだ、どこでもショート動画で答え(あるいは似た何か)が得られる時代だ。 だが、まだ希望はある。華氏451度が焚書になってないからだ。 まだ「わざわざ活字に目を落として没頭する」という面倒な行為に金を払う物好きが、本屋の経営が成り立つ程度には存在する間は、この世の中は捨てたもんじゃないと思う。だが図書館や古本屋すらやっていけない世の中になってしまったら、昂火の時代はすぐそこだと思っている。
3投稿日: 2025.10.23
powered by ブクログ本が忌むべき禁制品となった未来が舞台のSF小説 爆弾で書物を吹き飛ばした主人公の手にとまった一冊の本を、白い鳩に見立てた描写が秀逸。 迫害や暴力に屈しなかった老女の行く末には思わずためいきが漏れた。 世界観はともかく、表現がかなり独特なので好き嫌いは分かれるだろうなといった所感。
0投稿日: 2025.10.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「書物を燃やして、いろんな考えを制限する」という仕事に誇りを持っていた主人公の隣に引っ越してきた少女が、主人公の考えを変えさせていくというのが大まかな流れで、この少女の出現がこの小説のキーだと思っています。 消火士ではなく、昇火士という名前でちょっと笑っちゃいました。思いっきりのディストピアの世界観の中でのストーリーで面白く読ませていただきました。1953年にこの小説が発表されて70年以上経ちますけど、昔からよくこういう考えを思いつくよなってつくづく感じます。
1投稿日: 2025.10.21
powered by ブクログ風景描写に関して、わかりづらさがあります。 モンターグの心風景なのか、実際の風景なのか曖昧になる部分があります。言い回しなんかは海外小説独特なものがあるので、はっきりいうと読みづらいです。エンタメ小説というよりは、もっと文学的。 「情報」がテーマです。 ベイティーとモンターグの掛け合い部分が1番好きです。 本は何も言ってないぞ! この一言が痺れますね。数々の意味を持ったベイティーだからこそ言える名台詞です。 ジョージオーウェルの1984年を予言の書と言われるのと同様に、この本も予言の書です。 圧縮された情報、おしゃべりな壁。 思い当たる節にギクリとしました。
0投稿日: 2025.10.18
powered by ブクログ起こってることはギリギリ理解できるものの自分の中でうまく想像できず、とにかく読むのに時間がかかって難しかった。あんまり合わなかったのかもしれない。 表現が詩的で美しいなーと思った。 読書初心者なので、苦手分野がわかって良かった。
0投稿日: 2025.10.16
powered by ブクログ★4.5。 書かれた時代はマッカーシズムの時代。 ということは2025年の今、ある意味同じような状況になっていることからして、傑作が生まれ、人々の意識の偏りが何らかの形で是正されていくような。 それくらいのインパクトのあるお話、そして焚書とかタイパとか、いつの時代・場所でもあまり人間の発想と問題意識はあんまり変わらないんだなぁとある意味感慨深くもあり。
1投稿日: 2025.10.13
powered by ブクログ『《川の左右に生命の樹ありて十二種の實を結び、その實は月毎に生じ、その樹の葉は諸國の民を醫すなり》 そうだ、これを昼まで大事にとっておこう。昼のために… 街に着いたときのために。』 名著、として知られるこの物語。 本を燃やす男がある1人の少女と出会い…という触りの部分だけ知っていましたが、長年読んでいませんでした。 何故か?だって、難しそうだから…。何十年も前の作品だし、きっと長々と1人の男の内省をダラダラ書き綴った読みにくい小説なんだろうなと思いつつ読み始めると… おもしろ!!!!!!!!!!!! いや、めちゃくちゃ面白いんかい。 自らが住む環境、国、自分を取り巻く様々な事に疑問を感じ始めたモンターグ。何故人々は本を燃やし、娯楽を享受するだけの退屈な日々を甘んじて受け入れているのか?目の前の世界や人々に関心を向け積極的にそれらに関わろうとするクラリスの存在はそんな彼の中で大きくなっていきます。 無駄な文章が一行もなく、人物の感情描写が鮮やかで美しい。1ページ1ページに強いパンチラインがあるかのように、心にバスバス刺さる文章ばかり。 人は何故、本を読むのか?本を制限された人類はどうなってしまうのか?その恐ろしさをまざまざと見せつけられました。 描写しすぎない所もまたクールだなと感じます。ベイティーは何故、書物からあれだけの引用をスラスラと出来たのか。元々は読書家で、何かの拍子に焚書を楽しむ側に堕ちてしまったのか。ベイティーという姿は焚書を続けることを選んだモンターグのもう一つの未来の姿かもしれません。読んだ後も想像が止まりません。 フェーバーは、モンターグは、これからの世界にどう関わり、どう知識を伝えていくのか。それらの描写が無いということは、作者が私たち自身に向けた警告をこの作品でしている様に感じ取れます。 スリリングかつ洗練された素晴らしい作品でした。 (ちなみに、本作品は聖書からの引用や他の作品からの引用、難しい言い回しが多かったので、素直にスマホで調べながらゆっくり読み進めました。そのお陰で読み切れたので、分からない部分があれば検索しましょう。)
0投稿日: 2025.10.13
powered by ブクログ設定に惹かれて購入したが、最初の15ページくらいを行ったり来たりするばかりで、ぜんぜん読み進められなかった…。
1投稿日: 2025.10.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
今から70年ほど前に書かれた未来の形なので、レトロな未来感はあるけど、それはおいといて面白い。中盤まではファイヤマンとしての生活、社会構造や価値観の掘り下げなので、現代の物語構成に慣れてる人からするとテンポが遅すぎるし、序盤に出てきた少女の後半の影響を期待してしまうかも、そして後半に出てきた老人達や本の記録についてのところは、斬新だし面白いけど、その設定も説明的で少々活かしきれてない気もする(あの結末としては重要ではある)。エンタメ性は低く全体的には退屈なのだけど、そんなこと別にいいや。というくらい哲学、思想、設定がとても面白い。あと、好き期待は分かれるあろうけど地の文の力は圧倒的にすごい。本が読める社会で良かったなぁと思う。
1投稿日: 2025.10.09
powered by ブクログSNSが義務化されたかのような今日の世界。 自分自身、そのような世の中に疲労を感じ 本に助けを求めようとしたとき手にしたのが この本でした。 ネット上にある情報は物事の表面にすぎず、 例えそれが嘘であっても、その情報が大衆にとって都合の良いものであれば真実へと変化してしまう。 メジャーなものが正、マイナーなものは誤 そんな世の中に、警鈴を鳴らす一冊。 現在社会にもがく私にとっては 本が私を助けてくれるに違いないと 思えるような本でした。 再読しようと思います。
1投稿日: 2025.10.09
powered by ブクログうーーーん…… 読む前に期待し過ぎたか。。。 思っていたような物語ではなかった 後半 ようやく面白みが出てきて ラストまで読んだが 本の引用での会話 言い回しというか 何だか理解がしづらくて 読んでいても面白く思えず… こういう事は たまにある 古典文学で キーとなる彼女の存在は 大きかった もっと彼女を知りたかったなぁ この世界の生活には 現代の情景らしきものもあったが 人物の感情の変化(考え方)が なんとも… ある意味 狂ってる 受けとるだけになると そうなっていくのか… ならば やはり本は必要だ。 様々な意見や思想、感情 そういうものが人をつくっていく 燃やしてはいけないのだ きっと未来は変えられるだろう モンターグたちの活躍を願う この先の未来を少し見てみたくなった 星は2.5。というところか… よむ力がついたら 変化するのかな
1投稿日: 2025.10.09
powered by ブクログSFの古典的名作らしい。ファイアマンの仕事は焚書になっている世界が舞台で、それに疑問を感じた主人公を描いている。ただ物語は設定も展開もわかりにくかったし、読んでいてワクワクする感じも私にはわからなかった。好きかといわれると好きではなかった。
0投稿日: 2025.10.08
powered by ブクログレイ・ブラッドベリ『華氏451度』読了。 70年前に書かれた小説に、小型イヤホンや壁一面のテレビといった現代の生活を思わせる描写があり、SFの先見性に驚かされる。 物語は、最初はつかみどころのない雰囲気だったが、モンターグが本に興味を持ち、疑問を抱き、他者に関心を寄せていく姿に引き込まれていった。 上司を焼き殺す場面、逃亡する場面、そして最後の戦争の場面は強烈な衝撃を残す。 今の自分にとってタイミングがあまりに良すぎる読書だった。 スマホや動画に日々さらされ、流されるように生きてしまう現代。 だからこそ、自分の頭で考え、言葉にしていくことの大切さを強く感じた。
1投稿日: 2025.10.03
powered by ブクログ50年代の小説だが、娯楽に対する変化や著者が想像した未来が今の現実にも通じる部分を発見し面白かった。(短い娯楽が好まれ、本のような長い娯楽は好まれない)
1投稿日: 2025.09.30
powered by ブクログなんとなく焚書をテーマにした本ということだけ知っていた読む前は、巨大な陰謀によって本が禁止された世界の話だと思っていた。実際は、大衆が娯楽を求めていった結果として本=知識が忌避されるという、ある意味もっと恐ろしいディストピアを描いた物語だった。 月並みな表現だが、現代に通じるものを感じた。「反知性主義」という言葉が巷で流行っているが、現代のSNS社会、スマホを手放せない人ショート動画で時間を浪費する人…思い当たる節がたくさんある。もっと本を読み、考え、苦しむべきだと考えさせられる本だった。
1投稿日: 2025.09.25
powered by ブクログ初めてディストピア小説を読んだ。50年以上前の作品とは思えない斬新さがあった。でも暫くこういうのは読みたくないかも。
0投稿日: 2025.09.22
powered by ブクログ1953年刊行のSF小説ですが、今読んでも古く感じません。 焚書により知識を封じられ、考えることを禁じられた世界の出来事です。 我々もインターネットやAIによって、権力者から情報操作をされているのではないかと恐れます。
15投稿日: 2025.09.21
powered by ブクログYouTubeとかLINEとかでなんとか昼間はやり過ごせるとして、 夜です、ポカーン…壁と私しか部屋にいませーん…みたいな時に、ふと思い出す一作 好きなので線を引いてずっと引き出しに入れてある。 別に華氏451度になれって訳じゃないけれど、 私は別に人付き合いもチャンネル登録してる人の動画も、本当に好きなものなんて何もないんだった、って思い出すことができるね。あいつらが好きじゃないって気がつくのってポカーンとしてる夜だけだからね。。 本の大事さを説いている本だとは私は思っていなくて、 私だけが華氏451度なんじゃなくて、 皆の中に華氏451度はあったりなかったりするんだよねーと思う。 皆の脳と心の脂肪の下にある肉に少し触れるような、とても好きな感覚が味わえる作品ですね!
1投稿日: 2025.09.10
powered by ブクログ8/31-9/4読了。友達に勧められ購入。新訳がすばらしく、1953年の作品にも関わらずスラスラ読めた。本が禁じられ、燃やされる世界はあり得ないと思いながら読んでいたが、解説で実際に焚書が度々行われていたことを知り、あり得ない世界線でないのだと思った。そのような世界が来ないことを祈る。
0投稿日: 2025.09.04
powered by ブクログタイトルの「451」がようやく覚えられました。 ずっと「華氏ホニャララ度」と言ってたんです… 今、読書が生活のメインになっていて、昔は読みにくいと思った文体でも、割とさらさら…これもその1冊。さらに、ハヤカワは、今フォントが大きく、加えて字体も見やすい…ヘビーな読書好きにはありがたいです。 そして、話は、SFと言うには現実的な話で、でも、書かれた時期(70年以上前!)を考えると、レイ・ブラッドベリの凄さに感服してしまう。 静脈認証的な表現のシーンもあったり。 冒頭に近い部分での、妻の薬物過剰摂取による救急搬送シーンにも、軽く動揺してしまった。 当時は戦後10年以内ですが、それにかかわらず、薬物過剰摂取問題は起こっていた。自殺未遂ではない。過剰摂取。 そして、妻とは、もう気もちが離れていた。 クラリスは、印象的だけれども、ベイティーやフェーバーのような強烈さはないまま、消えてしまった。でも、それが役割なんだろう。 価値観が、時代で真逆に振れてしまった時や、その時の国家の体制に賛同できなかった時どうするか…はっきり抗うか、深く潜行するか…難しい。 モンターグも人を殺してしまった… でも、モンターグも感じたとおり、ベイティー隊長は、モンターグに自分を殺してほしかったんだと思う。たぶん、本を焼く部署の責任者なのに、焼くことが辛くなってしまい…悲しい。 モンターグの身代わりに選ばれた人も、やり切れない。あの、世間にアピールするだけの大捕物劇も、今もありそうで(というより、あると確信している)、こわい。 そして、集団ヒステリーの恐ろしさも感じました。 イヤホン的なものが、巻貝や銃弾と表現され、ああそのとおり。 そして、たとえ本は焼かれ尽くしても、人々の脳内に言葉がある限り、また本は、復活する。 ちなみに、コミックは焼かれないみたいでしたね。 テレビ礼賛で。
1投稿日: 2025.09.03
powered by ブクログ最高!1984 、未来世紀ブラジルもよろしく体制側の犬が体制の矛盾に気づくのが常なのかぁと少し切なくなってしまいます。 その世界に居ないと分からない事もあるのかな? ps賽目さんの解説がわかりやすかったので何言ってんの?と言う人はyoutubeで観てみても良いかもです。
0投稿日: 2025.08.31
powered by ブクログ本を所有することが禁止された世界で、本の取り締まりをしている主人公が反体制側に付くまでが書かれた内容。 タイトルは紙が燃える温度らしいが、洒落ている。 検閲やプロパガンダといった情報統制に関する内容で、現代にも通じるところがある内容に感じる。最近だとSNS規制みたいな話もちらほら出るので、こんな世界にはなってほしくないなと思った。 言い回しがなかなか独特かつ長いので上滑りして認識しづらい。私には向いていない文章だと思った。
0投稿日: 2025.08.30
powered by ブクログ話のテンポがあまりよくないのだけど、文章や表現がSFぽくない綺麗さで新鮮だった。設定が秀逸でした。現在はまさにこの本のディストピアな世界のようです。
0投稿日: 2025.08.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
今年の夏は、なぜかSFを読んでみたい!と思い立ち。 今まで海外文学はほとんど読んだことがなく、 さらにSFというジャンルを受け入れられるのか、 不安はありましたが、 逆に訳わからないものを欲してる!となり。 YouTubeでSF作品を中心に読んでる方が紹介していた一冊です。 面白かったです! 海外のYouTubeチャンネルで概要を見ましたが、 それでも私は楽しめました。 本を持つ、本を読むことが禁じられた世界。 人々はテレビかラジオを聞き、 娯楽を与えられ続け、考えることを放棄している。 そんな世界で主人公のモンターグは昇火士として、 家屋と本を丸ごと焼き払う仕事をしている。 妻のミルドレッドとのやり取りは徒労と侘しさを感じるし、クラリスとのやり取りはもう少し深掘りして欲しかったです(一瞬すぎて) 悩み思考することで、 自分自身を取り戻していく。 そこには大きな犠牲もあって。 最初は全く理解できなかったらどうしようかと思いましたが、全然大丈夫でした! これが1953年の作品だなんて驚きです。
5投稿日: 2025.08.24
powered by ブクログ悪事を働いた人がいるとメディアが取り上げるとき、なぜそのような行動に至ったのかという理由に迫りたがる。過激な内容の本やゲームを好んでいたとか、納得ができるような結論を急ぐ。それって、自分の理解できる範囲でしか受け入れることができないと言っているようなものじゃないかな。
0投稿日: 2025.08.05
powered by ブクログSF 1953年初版 まず表紙がかっこいい。黒地に赤い文字とタロットカードや花札を思わせるイラスト。 華氏451度って一体何度?と思わせる題名もセンスがあると思う! 53年に書かれたにしては、未来を予測しているような本だった。与えられ続ける視覚的な情報、言葉の情報。それらが絶え間なく流され、自分で考えて選択することを捨ててしまった人々。受け身で表面上は楽しそう。 まさに現代!忙しぶっているが実はほんとうにやりたいことをできていないわれわれへの痛烈な皮肉を感じる。この本の世界では、書物忌むべきものとして専門職の人に焼かれてしまうのだが、著者のレイブラッドベリは本が読まれない時代を予期していたんだろうか。このあとこの本の中の世界はどうなっていくんだろう。
0投稿日: 2025.08.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
なんの前情報も無しに読んでみたところ、感情の起伏はなく読了していた。確かにモンターグが少数派として世界に立ち向かっていく展開はワクワクしたが、あまり共感するところがなくこんな人もいるのかと、どこか冷えた目で物語を追っていた。 しかし、この本のすごいところは現代社会をそのまま描写しているかのような違和感の無さだと感じた。出版されたのが1953年で、調べたところやっと遺伝子の形状がわかった頃らしい。そんな時代に70年後に本当に起こっていることを書いていることが信じられない。例えば、スマホに夢中になるあまり夫婦の会話が少なくなっていることやイヤホンを通じた無線コミュニケーションなどがある。 本を読む意義がいまいち伝わってこなかった。まあ人によってそれぞれ異なるのはあると思うし、そもそも見つける必要さえないのかもしれない。 私の知識レベルがまだ未熟だと感じた。大人になったらもう一周したくなるだろう。
0投稿日: 2025.08.04
powered by ブクログ気持ち古めでSFだから読みずらいと警戒してたけどなんてことなかった。 確かに詩的な部分は所々よく分からないのがあったけれど、ストーリーの展開が現代の小説と遜色ないから拒否反応が出なかった。SFだから『ラウンジ』『巻貝』『猟犬』といった固有の物をイメージしずらいっていう問題もある。 それを差し置いても小説の意味や価値とかをもはや著者レイ・ブラッドベリの立場から語ってくれてて凄く感動した。 名言も多い。 「救いに向けて自分のできることをしなさい。そうすれば、たとえ、溺れようとも、少なくとも岸に向かっていると自覚して死んでいける」 薬を服用しながら学校に通っている今の私に刺さりました。 小説は確かに無意味な知識やフィクションを語るただの虚構なのかもしれないが、時に人を感動させてくれると思わせてくれた。
0投稿日: 2025.07.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
本が見つかると燃やされるディストピアの話 巻貝ってワイヤレスイヤホンのこと… リビングの家族たちって4面ではないにしてもプロジェクターのこと? なんだか現実と似通ってきていて怖くなった。 P91 ベイティーがしゃべりまくっているところをもう一度読み直したい。 ダイジェストとかショート動画とか面白くてつい見てしまうけど、確かに深く考えないから記憶に残らない。 好きな本が映画化されても気に入らないのは個人的に大事だと思うところが省略されてしまうからかもしれない。 こんな講義をされて昇火士に疑問を抱いている人が納得できるだろうか。全く逆でベイティはモンターグを煽っているように感じた。ベイティこそがそういうことを抱えている人だったのではないか。だから最終的に死にたがっているとモンターグも、感じたのかもしれない。隊長までなったらどうにもならない葛藤とかあったのかもしれないし。そもそもこの人が身近で一番本を読んでそうな人物だった。 P142 フェーバーが必要なものの話をしているところも。 情報の本質、消化時間、行動の正当な理由。
0投稿日: 2025.07.09
powered by ブクログめっちゃ読みづらいけど書き出しと設定が素敵なので読めた。 本の大事さを逆説的に語る主張かと思ったけどそれだけじゃなく自身の思考をめぐらすことの必要性を説いているように感じた。
0投稿日: 2025.06.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この作品は読書の重要性や本の存在価値、表現規制の文脈で語られることが多いと思う。自分も最初はそういう認識だったが読み直して書物とは別に少数派の存在意義について強く示唆していることに気付いた。 伊藤典夫氏の新訳は旧訳に比べ感触の乏しい文体であまり好きではなく、最後まで再読してもやっぱりそれほど良いとは思えなかったが簡素になったぶん文章の核が強調されている点だけは評価したい。 本を燃やしている理由は、情報統制だけではなく、少数派や潜在的異端者に無力感を刷り込むための見せしめが目的なのではないか。 その部分を説明している象徴的なキャラがベイティー隊長で、実はこの物語の核心部分のほとんどは悪役であるこの人物が語っている。ベイティーは知識も豊富で的確に社会を分析でき、逆説的に本の価値や多数派の有害さを理解しているくせに多数派側に付いている狡猾なキャラだ。頭の回転も速く口も達者だが、その能力を異論の排除に使う。フェイバーの通信装置を付けた詰所でのモンターグとのやり取りはオレオレ詐欺師とその対策班のようだ。 ベイティーが死にたがっていたというのは、少数派への理解がありながら多数派の体制側に付いていることへの一種のニヒリズム的な動機を説明しているのだろう。 こういった書物で身に付けた知識や教養を盾にして異論を打ち負かしたり、教育指導を行おうとする人間は実際少なくなく、最も現実を反映したキャラである。 一方、クラリスはベイティーと対になる明らかに少数派を意図したキャラだ。クラリスと出会った主人公は自分が異端であることを意識し始め、それまで築いてきたアイデンティティが揺らぎ、自分を取り巻く環境に疑問を覚えて反発することになる。こうなってしまうともう止めることは出来無い。 クラリスがあっさり退場するのは多数派の都合のために少数派が犠牲になる構図を強調するためだと思われる。 少数派というのはどんな局面でも生まれ迫害対象となる可能性がある。例えばいじめはその代表例だ。 同じ服を着せられ、同じ部屋に閉じ込め同じ教育をして、同じ作業をさせたら、そこにはみんな同じ価値観を共有しなければならないという不文律が生まれ、体制側と異分子の構図が出来る。 学校の一クラスなど井の中の蛙にすぎず、社会に出れば変人はたくさんいて珍しくもないのだが、閉鎖的な環境ほど異質な存在は排除されがちで、どんなに個性や自由などを教育したところで最後まで理解できない。 教え方からして一辺倒で型に嵌った集団主義的な方法ではやがて全体主義の形成へ繋がるのは自然なことだ。 ネットでも声の大きい人物や集団が、偏奇な人物を見付けて、この人物は不正義であると糾弾すれば、取るに足らないことや根拠薄弱なことでもこぞって批難し始めるケースは枚挙をいとわない。それこそが全体主義の下地であり、完全に準備が整っていることは明白である。 事実、すでに全体主義的論理による少数派排除の危険性は某県のように自殺者を出すレベルにまで高まっている。 これらの現象を読書で解決できるとは到底思えない。これこそがベイティーの言う多数派の愉しみと快い刺激なのだから。 この作品で最も的確な予言はミルドレッドがハマっている壁になるだろう。 言ってみればこれはネットの実況文化全般の風刺だ。それは各種SNSや匿名掲示板群、コメント付きニュースサイト、テレビ番組、動画サービスなどだが、それらのユーザーは随時更新される出来事や情報を自分がどう扱ったか実況している。実際やっていたので分かるが、時事や出来事や映像について論評したりジャッジしたりツッコミを入れたりするというのは、その対象とは無関係で安全に物を言える状況ほど楽しい。 時事問題などを語ると、なにか自分がその問題より上の立場で一端の人間になったような気分になる。共通した話題へのコメントはその一体感が仲間意識を生み、なんらかの実体のある活動に参加しているという充実感を感じさせる。 これら一種の当事者意識は、自分が意味のあることをしているという自信を与えてくれるが、ほとんどの場合は錯覚であり、それがたとえ正論だったり明晰な意見であっても、外部にいかなる影響も与えはしない。 そこにあるのは自分の意識を獲物に素早くフォーカスして捕えるという動物的な快楽だけで、時にはその反応の素早さや面白さが評価される。 企業やステークホルダーやプラットフォーマーもこの反応を大いに利用し収益化に繋げているが、権力体制にとっても都合が良い。 なぜならそこは少数派の存在は無意味と言っていい、常に多数派だけが正しく有意義な場所だからだ。多数といっても数的優位性だけではなく、声が強く大きい者が勝つ世界という意味だ。それはたとえ嘘でも声を大にして繰り返せば真実になる石器時代の集落である。そこに入れてもらうには多数派が形成したルールや常識を受け入れなければならない。しかし一度同化してしまえば誰も疑わないのでコントロールは容易い。 世の中には多数派の意見と少数派の意見というものがあり、これにはかなり明確な特徴がある。実際この人は少数派になっているなと感じると、バッシングを浴びている。大抵は多数派が予め決めた世界観のパターンから逸脱した時、非常識だと言われるケースだ。操縦者はこのような法則を利用する。 逆に多数派の意見は――≪その言及対象には例えばネットミームや胡散臭い政治団体などがあるだろう≫――どんなに根拠がなく、曖昧で支離滅裂だったとしても肯定される。 意見の主題は参加人数が増えるほど、クレープ生地のように引き伸ばされ凡庸になっていく。最後にはドーパミン放出のための無意味な盛り上がりだけとなり、いざその状況が来た時に使おうとしても、過去に語っていたぼんやりとした記憶の残骸でしかない。 重要な意見というのは、そんなことを言われてもこうなっているのでしょうがないと降参するしかない論点を持ち、だから変えざるを得なくなるというものではないか。 変える必要が生じる例はたとえば義務で、義務を変えるために政治があるが、その履行には利権が絡み偏りがあり、常に無意味に予算を消費して中途半端に終わっている。効力のない無駄な論点しかない多数派の意見はこの事実を誤魔化すためにも都合がいい。それは時折、民意と呼ばれ政治家などが自分の都合で書き換え再利用している。 政治家のイメージについて語る描写のように、本作品はこのような現在の様相を物語に取り込んで予言している。なぜ将来はこうなると的確に様態を捉えられたのか謎だ。 実況しコメントしている人々は事態の観客だ。しかしテニスやサッカーのオーディエンスが試合結果を決めるわけがない。行為に実際的な意味は無く、最終的にミルドレッドのように空虚さに悩むことになり、それは自覚の無い様々な症状として表れる。 最も良い対処法は沈黙することだが、一歩下がったり一呼吸置くだけでも変わってくるはずだ。しかしこの瞬間的な思考の公開は依存度の高い麻薬的な快楽なので簡単にはやめられない。 その一形態は表現の自由などと呼ばれることもあるが、現実は表現の自由のあった方が人々を扱いやすく都合が良い。手の内を晒すことは、底が見えているということで権力体制からすれば恐くはない。 極端なことを言えば、本来人にはニュースや情報すら不要だと思う。ひたすらニュースを読み込むようなサービスを見ていると情報の奔流で息も出来無いぐらいだが、いくら事態の進展を気にしても結局自分には何も出来無い。こういったことも無力感に繋がる。 別に川に飛び込んで郊外の森まで行く必要はないが、情報を遮断してみるのも手かもしれない。情弱という言葉が示すように現代人は情報の無さにも怯えている。それは悪いことなのだろうか? 初めてこの作品を検索した時、NHKが取り上げていることに驚いたのだが、これはむしろNHKを見ない人のための小説ではないだろうか。どうも著者は紅白や大河ドラマや朝ドラなんて興味のない層を意識して戦略的に書いた気がしてくるのだ。ノートレンド的な姿勢を貫いていることがこの作品の真価だと思う。 最近、公安が冤罪事件でやらかしたが、その報道があった後NHKは公安組織を実質的に擁護するような胡散臭い番組を放送していたり、他にもドン引きするような全体主義的な思想教育番組を頻繁に流していて、とてもこの本を紹介できるような立場ではないが恥知らずにもこういった本を平然と紹介している。 勿論部門が違うので一括りには出来ないが、しかし同じ放送局が異なる種類のメッセージを流すということは二重思考であり、そのメッセージの示す問題や論点の形骸化、陳腐化に繋がるだろう。少なくとも組織の一貫性の無さは報道局なら信用できない点だ。 別に本作品の解釈や読み方を厳格に規定したいわけではない。読書の入り口として否定しないが、以前からNHKは公共放送を掲げる収益性の都合上、多数派工作に余念がなく少数派を排除をしがちな体質だと思っていたので皮肉に感じるのだ。 このような組織の無神経さこそベイティーの、本なんて無駄で有害なものだという主張の確かさを証明しているのではないだろうか。 ここで述べる本とは主に人文系の書籍を指すが、ベイティーの理屈はよくわかるし納得感がある。 本の知識を後ろ盾に自分に都合の良い意見を押し売りしたり、隙のない論理や文章力で自己演出するだけなら、本など現実の前では役に立たず、人を惑わすだけで害悪なだけだというベイティの指摘はその通りだろう。 本の周囲にはそのような「分かっている」側が金をかけた見た目のよい教養で大衆を扇動しようとする押しつけがましさがある。 本などに関心の無い側からすると、それらは中身の無い詐欺的なフェイク情報になる。 自分は読書スピードも非常に遅いし本はほとんど読まない方(というか読めない)なので、スラスラとたくさん読み込める所謂読書家が見ている世界は分からず、実はそれはクリアで視界の開けたやってくる問題を次々処理できる世界なのかもしれないが、例えば政治家や官僚、著名人などもたくさんの本や書物を読んでいるはずなのに、世の中に活かされている様子を見て取ることはできない。語られるのはいつも商売や自己アピールだけである。 意思や立場を表明してそれを共有するというのは裏返せば、統率されていて、コントロール可能なことの証明でもある。 自分のようにダラダラと思考を開陳するような者も見え透いていて恐れるに足りない。 また、何も身に着けず滝つぼに飛び込むような無神経さもある意味で勇敢だが体制からすれば敵ではない。 何も語らず本とともに燃えて死んでしまうような老女のような存在こそ権力が最も恐怖する存在だ。 そもそも読書をたしなむ層自体が総人口からすると少数派だという論点もある。だが、現実的に考えて本が人間の知性や想像力を拡張し、本当に社会の平和や発展、個人の成長の役に立つなら、そんなプラスしかない素晴らしい行いはやらないと損であるとされ、読書人口は増えるはずだがそうはなっていない。 一般的な本とは暇つぶしの娯楽か、せいぜい映像化したりして話題性を提供する素材でしかない。 別に他の意味を求めなくても不都合はないだろう。 それでは本作品から導き出せるそれ以外の本の価値とはなにか?それは精神的インフラストラクチャーだ。 人がよく陥りがちな状況に、本当にこれで正しいのか、自分は間違っているのではないか?という懐疑心がある。 そういった時に本はこういう見方もできるという視点を与えてくれる。例えば1000人が同じ意見で自分1人だけ違う意見だった時――≪それも本が役に立っていないことの証拠かもしれない≫――そのような瞬間、書物がよすがとして役に立つだろう。 多分この作品のインスパイア元になっているらしき、オーウェルの1984年に“けっきょく本には自分の知っていることしか書かれていない”みたいな一節があるが、これは非常に腑に落ちる解釈で、読書という行為にあるのは、なにか突然変異的にゼロから知恵や意味が出現して自己を更新するみたいなものではなく、おおよその場合、元々持っていた要素の再確認、あるいは記憶からのサルベージでしかない。大抵は自分の中に無いことが書かれた本は対象外となり解釈出来ず理解し難いだろう。 自分が良いと思った本はたとえハイレベルなものであっても、自分は間違ってなかったと感じるもの、あるいは似たようなことを考えていた人間が過去に存在していたという認識があったものがほとんどだ。 最近は本の中身より行為の方が主体で、本との関係性の方が語られる傾向があり、書店や書店員、図書館などをテーマにした、本にまつわる物語がやたらと多く人気を集めているようだ。もはやジャンル化していると言っていいだろう。 それを見た時なんとなく違和感があったのだが、本が特別だというよりも、本を読む自分や環境が特別だという意識の方が先にあるのではないか。 最近の読書という趣味は、どうやら読書にまつわる幻想だけが肥大化しているらしく、他の文化系のジャンルと異なり――昔からかもしれないが――どちらかと言えばグルメやファッション寄りで、特殊なカテゴリとして再浮上しつつあると感じる。 特別な人間に育てたいと子供に読書をさせている親も多いだろう。非常に有効だと推奨されている方法論だが、それが進化ではなく環状的な停滞をもたらさないとは限らない。 本がなにか幸福になるための道具、ステータスを高めるために取り入れる装飾品だとしてもそれはそれで否定しないが、少なくともそれは本作品の持つ本の意味とは違うものだと思う。 作品と少し外れた個人的見解になるが、本とは極めて個人主義的な領域を構成する、あったら助かるけど別に無くても困らない一つのパーツでしかないと思う。 だから本で人を動かそうとか、社会をよりよくしようみたいな発想もズレていると感じる。その理想は分からなくもないが、はたしてそれがうまく機能するかというと難しいだろう。 このことは本作品でも、覚醒して調子に乗りそうなモンターグをたしなめる描写や巨大な力のうねりは止められないとする結論が表している。 少数派意識は間違えると選民意識の高さにも繋がり、諸刃の剣になる。 インターネットを介したコミュニケーションが定着して特に目立ってきた全体主義的な習性に、ラベリングと分類がある。 これもベイティーのいう愉しみと刺激に該当するだろう。 とにかく人々は盲目的なまでに分類したがる。その代表的な例が生まれた世代ごとの総称だ。しかしそれによって何が判明して何が解決したかと言えば、何も無い。それぞれの環境や年齢、人格などが違うので当然だ。 しかしその世代で良くも悪くも目立つ存在はその世代の代表者として紹介されたり、肯定的にも否定的にも世代の共通意識を語る代弁者が頻繁に出現する。 ではそれらがこの世界で唯一であるこの自分を理解していて、従ってそれにより自分が定義され世界に規定されるのかと言えばそんなわけはない。勝手にこの世代の人はこうであると図々しくも語る者がおり思考停止してそれを信じ込んでいるだけだ。 最近、顕著なのは発達障害や自閉症などの精神や知能に関する分類だが、やはりこれも同様で何の意味もない自己完結した遊びである。 これらの動きの背後にあるのは、解決しない問題や理解できないもの、それら正体のわからない不安な存在について、回答を得たり説明出来た気分になって安心したいという動機である。しかもその問題や存在は時に自覚症状のない認知すら出来ていない概念の場合も多い。 分類活動を行う人々にとっては一時しのぎの精神安定剤になるかもしれない、だが実際に分類できない例外に直面したとすれば、戸惑い誤魔化すか沈黙するか排除するかになることは明白だ。 結局、それは無益な作業に無駄な労力を割いたというだけであり、多数派はいつでもその事実の発覚を恐れているし、挙句の果てにその俗説通りの行動をするようになる。 残念ながらその人々の中には、読書をする者、学問を学んだ者も数多く含まれているようだ。なにしろ数多い刊行物、創作物からしてそのような矮小な価値観を広めているのだ。 この点において本作品は楽観的な方で、作品以上に理想主義的な見方かもしれないが、創作物を残すことや、読書で人生や想像力が豊かになるなどという言説も正しいとは限らない。創作や読書で、人間が荒廃し不自由な思考になる可能性だって十分ある。 そもそも、売れるためには、外にある多数派の世界を意識せざるを得ず、他人の目を気にするということは、アイデアや自由な思考の制限に繋がる。これは感想や評論にも当てはまるだろう。 率直に言って多数派を意識した売れている本はほぼ総じてつまらないと思っているし、今に残る優れた本はかつての少数派が書いていたはずだ。 読書というのはある意味、個人的な領域を守るための逃避活動とするのが最も妥当な認識かと思う。 能力が向上するとか、人間的な価値が上がるみたいな前向きな効力があるとは特に思わない。しかしそのような発想を支持する人はかなり多い。 この投稿をしようとしてブクログを見ていたら、ちょうどランキングに『本を読む人はうまくいく』という新書が上がっていた。このタイトルは本当なのかと考えればそんなわけはないだろう。 孫正義みたいな人が言うならわかるが、これを書いた著者が上手く行ったのは、本を読んだからではなく、うまくいったみたいな内容の本を出し続けているからであり、タイトルに根拠はない。読書や自己啓発を薦めて印税収入を得たので上手くいっただけだ。むしろ上手くいかなくてもけっこうだという視点を与えてくれるものが本だろう。しかしこのようなバカげていると思う本は意外に売れているのが実情としてある。 他にもあれをしてはいけないだとか、こういう人は駄目だみたいな趣旨の想像力や可能性を奪うような本は定期的に出版されている。 後半、本を表紙で判断してはならんというジョークを飛ばすシーンがあるが、最初から結論ありきで論文や学術書からズレた引用をするエビデンスに欠けた本が、扇情的なタイトルだけでベストセラーになっていたりする。(そもそも本作品を読もうとした理由の一つは表紙がかっこよかったからだが、そういう意味では旧訳の方がダサいのでその通りだ) これらの本は多数派の作者が多数派のために書いた本であり、その中には確かに別に燃やしてもどうってことのない有害な本もあるだろう。 モンターグが破こうとして一悶着する聖書だって、見方を変えれば根源的な害悪をばら撒いた詐欺的な指示書と言える。 けっきょく何が言いたいのかと言えば、本作品の描写するディストピアな未来像は正確ではないが、核心は突いているということだ。現在においては少数派≒読書をする層とは言い難いし、教養や知識が優れた人間を生み出し、社会の問題解決力に結実するとは限らない。能力主義的な本の肯定や本は素晴らしいみたいな読書万能説も正解ではない。 この作品はあくまでそれを前提とした上で、本や作者に何が出来るか?ということを問うているのだと思う。 世の中の傾向を見ると、著者の危惧していた未来像は現実化し、近年益々盛り上がってきていることがわかる。 どうやらその世界はAIの発展で完成する確率が高そうだが、読書なんかで止められるはずもなく、作中のようにどうにもならないだろうが、とりあえずこの物語でそれを予期しておくだけでも少しはマシかもしれない。
2投稿日: 2025.06.17
powered by ブクログ数年前にオーディブルで英語版を聴いたら、難解すぎてざっくりとしか分からなかったので、いつかまた聴こうと思っていた。 が、手っ取り早く日本語版を図書館で借りてきました。 結果:日本語でも難しかった。でも面白かった。 私の好む未来のディストピアものだが、いつごろの想定かは書いていない。2022年から2回の核戦争に勝利したとあるから、2050年以降じゃないかと想像。核戦争して、またやろう、となるまでにどれくらいかかるんだろう。 1953年に書かれたものだが、空飛ぶクルマ的なものや、巻貝=イヤーポッド、壁=SNS?と、なかなか当たっている。核戦争は辛うじて起こっていないが。 それにしても、スマホの登場を予測していた人はいないと思うので、やはりスティーブ・ジョブズはすごいのだと思う。 8本脚の猟犬は、怖すぎる。 オーディブルに有名俳優が起用される場合、ディレクターとの力関係はどうなんだろう。ティム・ロビンスに演出指導するなんてできなくて、彼のやりたいように朗読させたのではないかと想像してしまう。モンターグもベイティーもミルドレッドもあんながさつなイメージじゃない。かなり残念。 映画も観ようかと思ったけれど、映画ではクラリスが大人の設定になっているということで、迷うところ。17歳&クレイジーっていうのは、外せないところだと思っていたのに。 最後の翻訳者のあとがきは、毒舌すぎではないか。。
10投稿日: 2025.06.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初めは描写が独特すぎてついていけてなかったがどんどん読みやすくなっていった たった1週間で人生が180°c変わってしまう話なので、その最中はスピード感があって続きが気になった。 クラリスは私と似ていると思った。しかしミリーの方も 私に似ていると思った。私は両方持っている現代人です笑 同じ30歳ということもあって主人公の雰囲気が私たちの世代と似てました。 現代人の私が見たら大して違和感はないが1950年代の人が当時読んでいたらもっと SF 小説 だったのだろう。最後は原爆が落とされたのかな?そこは1950年代の人ならでは なのかなと思った。
1投稿日: 2025.05.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最初の方にさらっと伏線がまいてあるので、二回読みした。 ブラッドベリの誌的な表現でえぐい世界が描かれている。 今だって「巻貝」=ショート動画とかSNSに気をとられて本読まない人増えてるんじゃないか。 コンテンツではなく、本物から何かを感じ取るクラリスが最初の方で退場してしまって残念だった。 本はだめでソープドラマは良いのではなく、いろんなのがある世界がいいよね。 焚書の雰囲気は、台湾のゲーム「返校」でも生々しく扱われていたなあ。
1投稿日: 2025.05.25
powered by ブクログ職場の後輩に勧められた一冊! 本の存在は知っていたが、なかなか取る気にはなれなかった・・・ 解説に書いてありましたが歴史的な焚書を行ったのは始皇帝とヒトラー(小さな焚書は度々あり) 近年というか、最近の20数年間 少年犯罪や猟奇犯罪が起きるとその犯人が見ていた漫画やゲームの残虐性が問いただされてきた。 わたしはこれ自体が現代版の焚書と華氏451度の世界の始まりではないかと考える。 メディアや政治家達は安易に結論を付けたがる、仮に人が犯罪を犯すまでの公式を XY/16f(£;Φ17/C) みたいなものであると仮定して『難しい』から簡易式として A=X+Y みたいな方が『解りやすい』をやっており、そもそもがその簡易式が正しいかという検証が行われてきた形跡がない。 ひとの心や人格は漫画やゲームに単純に支配形成される物では無い事と、先ずは 生活環境と人間関係の方が人格形成に影響が大きいかもしれないが家族のプライバシー等も考慮して直接触れてはいけないと言う風潮自体が問題がある事だと思う。 何を言いたいかと言うと、小説や漫画を沢山読んだ所で、人としての優しさや残酷さと言うものは身に付かず、只々 語彙が増えていくと言う事を、本を読まない人達が議論するのでは無く、本を読む人達を中心とした議論が大切なのでは無いかと思う・・・ 何れにしても、本を読まない人達への配慮と偏見等により本書のような世界に到達しない事を祈ります。 近未来の世界で本を所持する事が犯罪とされており、建物の非可燃化が進んだせいで廃業に追いやられた消防士達が昇火士として、人と本を焼いていた!? 主人公のモンターグは昇火士としての自分の生活等に疑問を持ちはじめており、とある少女との出会いが彼の世界を揺るがしはじめていく・・・ 本書が70年以上も前に出版されていた事に驚きです。
41投稿日: 2025.05.05
powered by ブクログ映像やドラマ、上っ面だけのエンタメに満たされ、みなが深く考えることのなくなってしまった世界。考えるもととなる書物――諸悪の根源――をこの世から消し去るのが「正義」とされる社会。そうした近未来社会を、ひとりのファイアマンの視点から描く。 発表は1953年。アメリカでは、あのマッカーシズムの嵐が吹き荒れていた。テレビも一般家庭に普及しつつあった。さらには全面的な核戦争の脅威もあった。そうした時代状況を背景にした作品として読める。少なくとも、ブラッドベリの憂慮はそこにあった (必ずしも反知性主義や全体主義のことまでは考えていないように思う)。 まず新版の伊藤典夫訳で読み通した。次に比較のため、旧版の宇野利泰訳を、最後は原書を読んだ。宇野訳は思ったほど悪くなかった(読みやすかった)。期待していた伊藤の新訳は、意外にも、ケアレスな誤訳があちこちに見られた。firemanも、思案の末「昇火士」と訳しているが、そのまま「ファイアマン」でよかったのでは。
1投稿日: 2025.05.04
powered by ブクログところどころ想像できないとこもあったけど全体として読みやすかった。本が自由に読める現代とこの国はとても幸せなんだなと思う。
1投稿日: 2025.04.27
powered by ブクログ素晴らしい読書体験だった。僕たちが読書をするという事。読書家たちは、本という偉大な発明を自覚的に扱う事ができているだろうか? 翻訳小説特有の読みづらさはあるものの、これを読まない訳にはいかないだろう。
1投稿日: 2025.04.26
powered by ブクログ再読 自分に本を読む意味を教えてくれた作品です。 これからも大切にしたい。 ーーー女は燃える家に残ったんだぜ。あれだけのことをするからには、本にはなにかがある。ぼくらが想像もつかないようなものがあるに違いないんだ。なにもなくて、あんなことできるものか。 ーーー(ガイ・モンターグ)
2投稿日: 2025.04.20
powered by ブクログ後書きにあった通り、物語のスケール感は短編物と言う読み応え。設定は面白いが、内容がコンパクトなので後半の急展開にやや置いて行かれた感と、もう少しドラマが欲しかった。SF色は控えめだけれど、出てくる小物のテクノロジーから書かれた当初より未来の話だとわかる。
1投稿日: 2025.04.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
翻訳された本だからか,情景が浮かびにくく感じた もっ詩とか知っていたら更に面白く感じたかも SF,本を燃やす,昇火士 2025年5冊目
0投稿日: 2025.04.10
powered by ブクログ精神の自由と、人間の尊厳について謳ったディストピア小説。焚書を生業とする主人公モンターグくんがわりと極端な性格をしていて、こんなに影響を受けやすいのなら、どうして本を焼く側になったのかしらんという気持ちに(影響を受けやすいからこそなのかもしれないけど)。『火星年代記』と同じく、科学技術が社会をより良くしていくことに懐疑的で、テクノロジーの進歩によって人々が盲目かつ一辺倒にしか物を見なくなることへ警鐘を鳴らしている。すこし展開が性急すぎる面はあるけれど、その進行の速さは作者が持つ危機感の表れとも言え、小説全体の勢いに繋がっているように感じた。あと、「消防士」の意味合いがまったく別のものに置き換わっていたり、こういう言葉による異化効果って素敵だなあと。
6投稿日: 2025.03.30
powered by ブクログ人は死ぬ時、何かを残していかねばならない。 魂の生き場所となるような、何らかの形で手をかけたもの(活動)を残すのだ。 誰かがそれを見れば、お前はそこにいることになる。活動を永久に残していくものは本。
0投稿日: 2025.03.28
powered by ブクログ一通り読み終え、本が禁止されたらどうするだろうと考えました。が理解力がないせいか自分としてはもう一度ストーリーを再読して理解をしたいと思います。
0投稿日: 2025.03.27
powered by ブクログ知力も武力。ペンは剣よりも強し、なんていうけれど、知識を敵視したらこんな世界になるのかもしれない。というか、強烈にイマの話に感じた。虚無動画に夢中で、自分で考える頭をじりじり奪われていく、未来から目を背ける人間のすがたまさにイマの私たち。ブラッドベリはラジオ文化をきっかけにこの物語を書いたとあったけど2025のイマにも充分警鐘だから、SFって本当に面白い。 昇火士という職業の設定も面白くて、モンマーグが本を守りたくなってからの反逆と逃走劇も目が離せなくて、これ映画にしたらちょー面白いだろうなと思ったらとうの昔になっていた。映像でも見てみたいです。
0投稿日: 2025.03.16
powered by ブクログなんとなく再読。 しっかりと設定を作り込んだSFというよりかは作者の伝えたいメッセージを基に作られたお話という感じ。そのため、少々設定の粗があり幾つかの矛盾点も感じるので『設定の凝ったSFが読みたい!』だけの人には刺さらないかも知れない。 しかし、物語全体を通したメッセージ性は本が好きな人にとってたしかに響くものがあり、生活の中に本が無いことのデメリットもまた本そのもののデメリットも感じることが出来るので必読とまでは言わないが本が好きな人であれば読んで損はない一冊だと言えるだろう。
2投稿日: 2025.03.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
自分がスマホで簡単に得られる刺激や娯楽を置く時間を作り、本を読み始めた理由がここにあった。 本を読む事も所持する事も禁止された世界。 作り込まれたディストピアというよりはやっぱりブラッドベリの世界ってこういう感じなんだなーという雰囲気。 悪夢を見ているような朧げな世界の中で人々の会話、本を読まない人々の会話はまるで意味を成さない機会のように聞こえ、本を読んでいる人々が発する言葉はこの幻想世界から浮いて見えるほどの現実味と説得力がある。 本を読むことの意味やメリットだけではなくデメリットと言えるような事も自虐的に書かれているので本を読む人は一度読んでみてもいいかもしれない。 ーテレビは“現実”だ。即効性があり、ひろがりもある。あれを考えろ、これを考えろと指図して、がなりたてる。それは正しいにちがいない、と思ってしまう。とても正しい気がしてくる。あまりに素早く結論に持ち込んでしまうので、“なにをばかな!”と反論するひまもない。 ーテレビは人を望みどおりのかたちに育て上げてしまう!この世界とおなじくらい現実的な環境なのだよ。真実になり、真実として存在してしまう。本は分別を持って叩きのめすことができる。 ー二十世紀にはいると、フィルムの速度が速くなる。本は短くなる。圧縮される。ダイジェスト。ー古典は15分のラジオプログラムに縮められ、次にはカットされて二分間の紹介コラムにおさまり、最後は10行かそこらの梗概となって辞書にのる。 自分も古典や聖書など、自分で読むには時間がかかりすぎるけど簡単に手に入れたい情報をYouTubeなどの短縮された解説を見て知った気になっていたけれど、時間をかけて自分で読み難しくても自分の頭で考えることに意味があると改めて思う。分別を持って情報を得る、または叩きのめすために。 色んなことを考えているように見えてその実ただ与えられた情報をそのまま鵜呑みにして振り回される人々のいかに多いことか現代の人なら誰でも思い当たるに違いない。 物語として楽しむというよりは作者のメッセージ性重視の作品
15投稿日: 2025.03.11
powered by ブクログ書物が禁制品とされ、焚書が行われる未来社会。 焚書で有名なのは、秦の焚書坑儒、ナチス・ドイツの焚書だろうか。日本でも、GHQによる焚書が行われている。いずれも特定の思想や情報を抑制するために行われたもの。それだけ書物の影響が大きい事を示す証左でもあると思う。また、デジタル社会においては、ネットの規制、例えば中国における言論統制もある意味では焚書と言えるのだろう。思想や言葉は人々を集団化させる力を持つ。それを焼き払ってしまいたいのだ。 この小説は、そんな焚書を巡る話。主人公のガイ・モンターグは、書物を焼くことを仕事とする「昇火士(ファイアマン)」。自分の仕事に誇りを持っていたが、ある日、風変わりな少女クラリスと出会い、彼の人生観が大きく変わる。書物の価値や自由の重要性に目覚めていく。 失礼ながら翻訳が悪いのかと思ったが、そもそも有名な本としてそこかしこで引用されており、読む前からストーリー展開が分かっているという始末で、恐らくそれが悪かった。だからと言ってここでネタバレは書かないが、認識している展開を追体験するような読書なので、ワクワク感があまりない。 ある目的にとって、つまり、ある本を楽しみたい人にとって、その本の解説本は、読まないでおくべきなのかもしれない。焚書そのものを肯定する事は決してないが、読むべき本、避けるべき本、読むべき順序というのはあるのだろう。何となく教養として知っておくべき一冊みたいな感じになり、残念ながら楽しめなかった。
64投稿日: 2025.03.11
powered by ブクログ華氏451度──この温度で書物の紙は引火し、そして燃える。 本が禁じられた世界というテーマが面白く手に取ってみた一冊。何かがおかしい日常が続いていく。誰一人不思議に思わない、思えないまま続いていく様は気味が悪い。これがディストピア小説の醍醐味なのだろうか。中盤までは不思議な感覚であり、世界への解像度が低く悪夢のようだった。 読後感が不思議な感覚。 価値観や世界に対する考え方、幸せとは何か。 ありきたりな感想を言うと、とても考えさせられる物語だった。良書は、ゆっくりと時間をかけて頭に入ってくるものというのが持論。何日かかけて、思い出しながらより大切になっていく。きっと数日後の感想は今と全然違うものになっている気がします。今は理解できない箇所も、未来では自分の糧になる気がします。好きな言葉も見つかったので、結果読んで良かったです。
0投稿日: 2025.02.27
powered by ブクログ初めての海外SF。 本が悪いものとして、焼かれる世界の話。 今の日本で本が焼かれることはなくとも、読まれないという形で本を読む機会(本屋)が少なくなっているのは事実。また、本を読む時間を動画やSNSに使っているのは現代と同じだと感じた。 本を読むことが素晴らしいのではなく、自分で考えることが大切。また、本を読んでいる人が偉いわけではないことを学んだ。 所々詩的な文章などがあり読みにくいと感じたが、読んでよかった。
4投稿日: 2025.02.25
powered by ブクログ評価がそこそこに高かったので読んでみたが、私には退屈だった。一つ前に読んだ時計じかけのオレンジの方がはるかに面白かった。
0投稿日: 2025.02.20
powered by ブクログ本を読んだことのない人同士の会話の味気なさがある意味怖いけど、本を禁じられた世界をブンガクとして描いたシニカルさでもあるなと感じた。 作中のディストピアを現代の問題のメタと読み替えなくても普通にエンタメとして面白かった。
4投稿日: 2025.02.13
powered by ブクログ「1984年」を読んだあと、同じようなディストピア小説として勧められていたので読み始めた。 「1984年」と比較するとライトな雰囲気であるものの、作者の主張はよく分かる。主張がはっきりと見えすぎており、小説の出来としてはいかがなものなのか…という感想も持ってしまったが、ネット社会の現代に問題提起をするには良い内容と感じた。
9投稿日: 2025.02.06
powered by ブクログ華氏451度-この温度で書物は引火し、燃える 近未来を舞台としたディストピア小説 設定が面白そうなので読んでみた もっと壮大な世界をまたにかける物語かと思ったら そういうわけでもなく、主人公界隈の話だった 展開や大雑把なストーリーを漫画で例えると、 ハンターハンターのキメラアント編の終盤とチ。 を足したような感じの終わり方だった 若干もの足りなさを感じるけど、 これを1950年頃に書けれるのは凄い 私は全く気付かなかったけど あとがきで引用された書物の台詞などが無数にあった それらが分かる人が読めば、更に面白くなりそう
11投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログSFはどうしてこうも支離滅裂(な感じ)なのだろう。だが、読みにくいくせに、そしてこういう小説はここ数年、特に嫌いなのに何故か読めてしまって、読了した。 話としてはまあ、然程の出来でもないように思うのだけれど、それはもちろんこんな世の中になってしまうのは勘弁なのだが、本を燃やす立場だった主人公が本を護ろうとする立場になっていく過程とその意味とが、残念ながらよくわからないまま終わってしまった。
0投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
75年前の人が書いたとは思えない現代風刺感がある。 本のうしろには必ず人間がいる 本を書くためには考えなくちゃならない 考えたことを紙に写すには時間がかかる という内容が気に入った。この本の後ろにはブラッドベリさんがいるんだなと思いながら読み進めた。 情報収集能力が高いと思わせるように情報を詰め込む、だったり、古典は15分にまとめられてさらには2分の紹介コラムになり.... 現代が見えているのか...?今ではもう1分以下ににまとめられたものが流行っていますよブラッドベリさん... 自分の脳が足りないといえばそれまでだが、時代背景、設定がわかりにくく、いまいち理解できないまま読み進めることになり、とても読み辛かった。(翻訳本っていうのもあるかも?) が、メッセージ性が強すぎて強い文章が頭に残ってしまう怖い本だ。 とはいえ、設定として、文章はOKだけど本はダメというのは現実的ではないよな。境目が難しすぎるし続編続編と出してしまえば文章と本の違いってない...よね?そんなこと気にして読むのはこの本との向き合い方として間違っているんだろうけど。 もう少し賢くなってからもう一度読み直したい。
0投稿日: 2025.01.31
powered by ブクログかつて誰かに薦めてもらってそのまま積読してた本。ちょうどタイミングよくフジテレビ問題とオーバーラップさせて読んだ。 詩的でところどころ意味を取りにくいが本を焼く昇火士の思想の転化を描く物語。その中でも自分が最も興味を持ったのは本がなくても生活できる大衆とその生活様式の描写だ。 アドレナリンを放出するような娯楽で溢れ、何も考えずに没頭できるコンテンツに埋もれながら暮らす未来社会が、SNSで踊らされ匿名な暴言で溢れる現代と重なる。 フジテレビの会見でも週刊誌を鵜呑みにした攻撃的な質問が飛び交い、SNSは荒れに荒れている。単純に断言できないけれど、様々な情報を読み込み理解し判断する能力が失われているのではないかなと危惧する。自分の意見と思っているものが誰かに言わされているのだとしたらゾッとする。
1投稿日: 2025.01.29
powered by ブクログ2025.01.18 : 自宅寝室で昼間読了 本がなくなる世界は星新一で経験しているが、もっと現実的にすればこのようになるんだろうな。本が大事だと改めて思うようなことじゃない。完成されていない自分自身をどのように計測するかという話。
0投稿日: 2025.01.18
powered by ブクログ焚書が一つのテーマだが、それだけではなくてメディアや科学技術の発展も絡んだディストピアが描かれている。
0投稿日: 2025.01.06
powered by ブクログ本でも家でもゴーイングメリーゴーでも、物が燃えているのってなんだか切なくて悲しいよなと思いながら読んでた。序盤で昇火士がいる世界観を把握し、主人公と本の出会いにヒヤヒヤ、逃走劇にハラハラ。学者集団にあってからのグレンジャーの祖父の話が良かった。
1投稿日: 2025.01.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
面白かった〜! 前半を読んでいる時はすごく読み辛いなぁと思ったけど、読み進めていくうちに読み辛い理由が分かる
1投稿日: 2024.12.19
powered by ブクログ日本語訳してある本はやっぱりちょっと読みづらい。途中までどういう話なのかわからなかったが徐々にわかってくる。 オススメできるほどの感想を持てなかったので他の方の意見を見てみたいと思う。
7投稿日: 2024.12.13
powered by ブクログSFというジャンル、それも海外のSFは全くと言っていいほど触れることがなかった。にもかかわらずスルスルと読めてしまうのは原文はもちろん、訳文が素晴らしいからかな。 あとがきにも記述されているけど、Fireman(消防士)を昇火士という言葉を新たに作って訳されていることが個人的にツボだった。洒落ている。 海外作品の独特な表現であったり、テンポ感は読んでいて楽しい。ディストピアでありながら、程よくリアルで身近に感じられる部分もあるから、自分のような初心者でも空想しやすいところも惹きつけられるポイントの一つかな。 登場人物としてはフェーバーも好きなんだけど一番好みだったのはベイティーだなあ。モンターグを引用で捲し立てるところから彼の最期までの流れは背景を思うと込み上げてくるものがある。 ブラッドベリ作品は他にも積読になっているから楽しみだ。
2投稿日: 2024.11.23
powered by ブクログ確か、いつだったかの飛行機乗った時に座席に配備されてる冊子で紹介されてて読みたいなぁと思っていた本をようやく読んだ。 文のリズムに慣れなくてなかなか私には難しかったけど、「本は悪。焼かなくちゃいけないし、持っていると罰せられる」世界。誰も深い思考はしなくなり、自分の周りのことにしか興味がない。無気力というか、無関心の世界。気持ち悪いというか居心地が悪いというか。知識を欲しないというのはこういうことなのかなと思った。 場面変換が分かりづらくて、同じページを何度か読んだりしながら進んでいった。ある意味こういう思いしながらの読了は初めてだったなあ。それでも結末が知りたくて。
0投稿日: 2024.11.16
powered by ブクログずいぶん前に買ったものの難しそうで、ずっと積読してた作品。読んでみたら意外とすらすら読み進められてびっくりした。(SF音痴だけど宇宙船とか出てこなかったからいけた!)これを機にレイ・ブラッドベリの他の作品も読んでみようかな。
1投稿日: 2024.11.06
powered by ブクログ<火を燃やすのは愉しかった。 ものが火に食われ、黒ずんで、別のなにかに変わってゆくのを見るのは格別の快感だった。(P11)> 舞台は、現在とはちょっと違う方向に進んでいるアメリカ。この社会では人々が本を所有したり読んだりすることを禁じられている。本を隠し持つことは重罪で、本を所有していることが分かると昇火士(しょうかし/ファイアマン)が家ごと火を放って燃やしてしまう。題名の「華氏451度」は本(紙)が自然発火する温度である。昔は火を消していたファイアマンが、いまでは火を付けて燃やすのだ。 主人公のガイ・モンターグはファイアマンとして本を燃やすことに何の疑問の感じず、むしろ快感さえ覚えていた。だが隣に越して来た17歳の少女クラリスとの会話と、ファイアマンとして出動した家で本を隠し持っていた老女が本と共に心中したことにより、自分のやってきたことや、自分の生きている管理社会に疑問を持つようになる。 家庭には「ラウンジ壁」が取り付けられている。他の家のラウンジ壁とは壁回線で繋がり、その関係を「ラウンジの家族」と呼んでいる。この社会では人と人との直接的なコミュニケーションが希薄で、ラウンジの親族連中こそが信頼できる相手となっている。 学校は映像授業、医療器械が発達しているので病人が出てもスイッチを押すだけ。人々は超小型ラジオ「巻き貝」を耳に入れて通信を聞いたりお喋りしている。 犯罪者への処罰は過酷で、本を所有していたら逮捕だし、反抗したらその場で殺してかまわない。こちらもSF武器が出てきます。昇火士の乗る「火竜」、犯罪者(本所有者)のデータをインプットして追い詰める「機械猟犬」などなど。 …作者はこの小説を「テレビによる文化の破壊」を憂いて書いたらしいが、この現在だってネット社会で似たような感じになっているんじゃないの… (^_^;) そしてこのアメリカはどこかの国と戦争しているらしく、空には爆撃機が飛んでいる。しかし国民には、どこと戦争して、戦況がどんんものなのかは公表されない(徴兵されないのか?)し、国民も無関心になっている。 そう、管理して、本を奪うことは、国民から思考を奪うこと。 ガイ・モンターグの妻のミルドレッドはこの管理社会にそのまま管理されて、望まれている ミルドレッドは本に対して「本は一方的で冷たいじゃない。でもラウンジ壁の家族は私と話してくれるし私を一人にしないわ」という。 本が好きな私としては、本を嫌う人の気持ちが「なるほど!そういう感覚か!」とちょっと納得したところも。でも本を好きな人にとっては、本は冷たくないんだよね。 しかしこの希薄さは、やっぱり人々の心を蝕んでいる。人々は憂さ晴らしに車を高速で飛ばし事故を起こし、意識せずに睡眠薬を一便飲み、道を歩いている人間を轢き殺す。 ガイ・モンターグのような昇火士が所属する昇火局の仕事は、社会の異端者を見つけ出しすこともある。しかしそんなモンターグは自由な思考を奪われること、焚書という行為に疑問を持ってしまった。そこで「本を読んでみよう」と決意する。見つかったら重罪だ。分かるかもしれない、分からないかもしれない。しかし試してみなければそれこそ何も分からない。 まあモンターグは本を読んでも理解はできないのですが…。そりゃ急にシェイクスピアとか旧約聖書とかガリバー旅行記とかの一節読んだってわからんですよ。 あ、この小説には本の一節が引用されているのですが、読書に詳しい人だったら「これはシェイクスピアだ!ここを引用した意味は…」などが分かるのかな。 しかし本を理解できないにしても、この監視社会の言いなりではいけないと考えるようになっている。そして妻ミルドレッドや、昇火士の仲間たちともうまくいかなくなる。そしてモンターグ自身にも危険が… 中盤でモンターグは社会との齟齬、昇火士やミルドレッドに苛立ちを感じるようになり、かなり危険なことをしでかします…。読みながら「やり方ってもんが急すぎる!」と結構本気で焦りましたよ。 しかしこんな管理社会でも本を残そうとする草の根活動の人たちはいるわけです。後半モンターグは彼らと接触して、いつか本が大切になる社会へ希望を繋ぐのだった。 === 考えないことは自分の人生に参加しなくなること。 あってはならない社会として書かれているけれど、現在の社会とも重なるよね…。ラウンジ壁は、インターネットやSNSに夢中になって信じてしまうこと。本を嫌う理由も「言い分はわかった」ではある。 この社会の人たちは何もかもスピード重視。そして読書はゆっくりするもので、その分情報も考えながら取り入れる事ができるんだな、と改めて思った。
49投稿日: 2024.10.16
powered by ブクログ10年前の新訳ということも、多分に影響あるんだろうが、70年前の小説にしては今でも読む価値がある、と思える内容。10年先の技術レベルですら予想できないのに、今でも読ませることができるのは、なかなか大したものだと思う。焚書、をイメージして書かれていて、いつまでも物理的な本が重要なはず、というのは、今の感覚だとひっかかるが。
0投稿日: 2024.10.10
powered by ブクログSFは苦手だと改めて思う。 どうしても、設定が気になりすぎてしまう。 この本、名作だと言われているし、私もタイトルを知っているのでやっぱり名作なんだろうとは思うけど、名作と言われるものの良さが分からない事が多くて、へこんでしまう。 でも、この本の中の文章に「通ぶった大バカ者」って文章があるから、なんだかちょっとだけ救われた気分になる。 通ぶったり出来ないもの。 でも、いつかは名作の良さをちゃんと味わえる読者人になりたいな。 通ぶるのではなく、通になりたい。
1投稿日: 2024.10.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
【あらすじ】 本を法律で禁止された世界。本を燃やす〈昇火士〉のモンターグはある日の仕事終わりにクラリスという少女に出会い、世界のおかしさに気づいていく。 【感想】 冒頭はノリノリで本を燃やしていたモンターグだけど本当はそうじゃなかったんだよね。だから自宅の空調機のグリルに本を隠し持っていたし、後々モンターグの助けとなる老人、フェーバー教授と出会っていたけど報告してなかった。 しかしハラハラしたな〜〜モンターグに変わるきっかけを与えたクラリスとのバディで何か始まるかと思いきや、ある日車に轢かれて死んだと妻のミルドレッドからあっさり言われて終わりだし、フェーバー教授と再会して今度こそこのバディでなんとかし始めるかと思いきや色々とモンターグが耐えきれなくて(妻のミルドレッド含め皆が刺激的な娯楽に麻痺して考えることをやめてるのでモンターグがウワーッてなる気持ちはわかる)仕舞いに自宅は燃やされ、〈昇火士〉のベイティー隊長を殺して逃げ回る羽目に。これどう着地するんだ…と思ってたら、都市部でおたずね者となり渡り鳥労働者として漂泊するフェーバー教授の仲間にモンターグが合流したところで話は終わってしまう。 でも現実だって世の中を変えようとしたってすぐには変えられないし、最後、モンターグたちは川を上流に向かって歩き始めるんだけど、これが世界が葬り尽くそうとした〈本〉、先人が蓄積してきた知と記憶を辿り始めたことを示しているとしたら。フェーバー教授の仲間の台詞的にも希望をもたせる終わり方のような気がする。 以下、フェーバー教授の仲間の台詞 ↓ 「昔、キリストより前の時代だが、不死鳥という愚かな鳥がいた。(…)その鳥は、自分を焼くたびに灰のなかから飛びだしてくる。まったくおなじ姿で、ふたたび生まれてくるんだ。われわれも似たようなもので、おなじことを何度も何度もくりかえしているが、われわれにはひとつ、不死鳥が持ちえなかった美点がある。われわれは、自分がいまどんな愚行を演じたか知っているという点だ。われわれは過去一千年のあいだにどんな愚行を重ねてきたか知っているのだから、それをつねに心に留めておけば、いつかは火葬用の積み薪をつくって、そのなかに飛びこむなどという行為を止めることができるはずだ。(…)」 今こうしている間にも戦争や虐殺が世界各地で起きている。ミルドレッドらのように娯楽に目を眩ませ考えることを放棄してしまわぬようにしたい。
1投稿日: 2024.09.29
powered by ブクログ世界から本を無くし、考える事を辞めさせることで皆が平等になる世の中を作った。そこに疑問を抱き始める主人公の物語。 知識を捨て、何も考えずに生きていくことが出来る世の中は確かに平等で楽かもしれない。 でも果たして本当にそれで良いのか?今の自分が知識を得る事をしないでただ漠然と生きていることに危機感を抱いた。
1投稿日: 2024.09.17
powered by ブクログ初読。90ページくらいからのベイティーの話は、現代のことを言っているみたいだと思った。すごいものを読んでいると思った。でも、自分には終盤がよくわからなかった。もっと理解したい気持ちはある。
0投稿日: 2024.09.16
powered by ブクログ現代は何でもかんでも効率重視。まとめサイトにまとめ動画、ショート動画含め、常に私たちは短時間で答えを求めるようになっている。 この本は半世紀以上前に書かれたにも関わらず、未来を予測したかのような強烈な風刺にもなっていて、非常に深い内容であった
1投稿日: 2024.09.11
powered by ブクログ情報操作による思想統制はいつ、どこでも為政者がかられる欲求であるように思うが、「本を燃やす」という行為は極めて単純な物理的手段であるからこそ、思想統制による体制順応社会というテーマを非常に端的にかつ象徴的に示している。焚書といえば中国・始皇帝の時代の焚書坑儒やナチス・ドイツによる焚書ぐらいしか知識がなかったが、やはりこういった単純な手段の方がインパクトがあるということを本作を通して改めて実感した。 「あなた、幸福?」 序盤で隣家の少女クラリスが主人公ガイ・モンターグに問うこの言葉は、本作を読んでいるすべての人への問いかけであり、本作の本質的な問題提起であるように思った。すなわち、疑問を持つことなく体制(世の中)に順応して生きていくことが幸福なのか、それとも自らをとりまくあらゆることに対して疑問を持ち、その答えを追求する自由があることが幸福なのか。作者レイ・ブラッドベリが、正しいのは後者である、ということを簡単に示していないのは、モンターグの上司ベイティーのセリフから読み取ることができるが、物語を通じた作者の結論としてはおそらく揺るぎないものがあるだろうことは結末まで読み進めれば理解することができる。しかし、ベイティーのセリフから紡ぎ出される「哲学」は、現代の私たちに対して当時とは異なる「解釈」の可能性を提起しているように感じられる。それは、「『自由』であることは本当に幸福なのか?」ということだ。 とはいえ、本作から発せられる問いかけが2024年現在にこそ重要な意味をもつことは間違いない。人々から思考を奪うのはテクノロジーの発展である、というのは、まさに現在の世界にこそ明確に表れている問題ではないか? 本作を読んだ「当時」の社会状況がどのようなものか、そしてその時の読み手の個人的な状況や心情によって印象が大きく変わる作品であるように思う。そのような意味では、現在はまさに本作が予見した世界が実現してしまっているといえよう。「加速化した社会」は思考の停止を促し、「感情を揺さぶるもの」「受け入れられないもの」「ふさわしくないもの」はどんどん人々の視界から排除されていく。当たり障りのない内容のテレビ番組、炎上するSNS……テレビというメディアが誕生したばかりの60年以上前にこのような社会を予見できただろうか? しかし、本作に不満がないわけではなく、少なくとも私には、本作の中に「自由万歳!」といういかにもアメリカ人的な主張が溢れているように思えてならなかったのだが、そのように感じることができたのも自分が非アメリカ人であることを確認できたことの証左だと思うので、それはそれで良かったのかもしれない。本作はアメリカにおける国民的文学作品としての位置づけを与えられているようだが、そのような意味では至極アメリカ的な作品であると言えよう。 翻訳を通してすらひしひしと感じることができる、拡張高い文学的表現が素晴らしい。こんな文章は自分では到底書くことができない、と数ページ読み進めてすぐに痛感させられた。
0投稿日: 2024.09.10
powered by ブクログ焚書が制度化されるディストピア世界が淡々と描かれる.実際に本を読まなければ,他者理解ができず群体としての知性が失われるであろうことを想像しながら読み進めても,主人公と同様,展開されるこのディストピア世界に吐き気を催す.
0投稿日: 2024.09.09
powered by ブクログ本の所持は禁止、本は見つけたら燃やされる。 人々は手軽な娯楽に浸り、物事を考えなくなった世界。 現代の情勢にも重なるようなSF。
0投稿日: 2024.09.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
はじめて「SF」と言われるジャンルを読むも、想像していたジャンルではなかった(もっと奇想天外みたいなのだと思っていた) 所謂、ディストピア小説なのを知らずに読んでしまい序盤はよくわからず戸惑いましたが、まったく古くなく、現代に通じる部分もあり終わってみれば面白かったです。
0投稿日: 2024.08.28
powered by ブクログ焚書が善とされた世界で、風変わりの少女と出会い昇火士のモンターグが世界に疑問を持っていく話。 1953年刊行の本ではあるが、警察行為を働く機械の犬や壁をスクリーンにするテレビ、イヤホン等、現代に繋がる技術が出てくるのは筆者の巧みな想像力を感じさせます。 ベイティーが作中で話す本が禁制品となるまでの流れが、現代に通じるものがあり、本が売れなくなっている現代とリンクしたときはゾッとしました。 所々に古書の引用や詩的な言い回しが出てきて少々読みにくい部分もあるのが個人的にはマイナスでした。 しかし、SFの傑作と言われることだけはあります。面白かった!本が好きで好きでたまらない方にこそ読んでほしいです。
0投稿日: 2024.08.11
powered by ブクログ巻貝とかラウンジとか年代を感じさせない生活描写にびっくりしました。 また、自由な思想を持たないように国民を管理するのとかは実際に行われていて作者の先見の明がスゴイです。 ただ、古書の引用が多用されていて自分にはかなり難しかったです。 リズム感のある文書が多く、和訳にすることで損なわれているのかなぁ…原文で読めることができたらなぁ…と感じました。
0投稿日: 2024.08.10
powered by ブクログ本が禁止される世界そのものより、そんな制度に自発的に隷属する人たちに、人間の怖さ、愚かさをみた。自分はそうなりたくない、でもきっともうなっているはず。この葛藤に向き合い続けることが隷属に抗うことにつながるのではないか。そんなことを思いながら読んだ。
0投稿日: 2024.08.03
powered by ブクログ「1984年」に似た雰囲気…と思いながら読んでいた。詩的でやや読みにくい。 現代の状況にすごく近いなと思うところが随所にあって、知らないうちに楽しくディストピアに暮らしていたのかなと怖くなる。 たくさんの人に読み継がれてきた本を、手に取りたくなった。
0投稿日: 2024.07.03
powered by ブクログ1953年に刊行された本著を読んでいる。 耳にはワイヤレスイヤホンが刺さっているし、3枚の画面に囲まれて仕事してたりしている。
1投稿日: 2024.05.16
powered by ブクログ人間の不幸はすべてただ一つのこと、すなわち、部屋の中に静かにとどまっていられないことに由来するのだということである。 われわれの惨めなことをを慰めてくれるただ一つのものは、気を紛らわすことである。しかしそれこそ、われわれの惨めさの最大なものである。 /パスカル 本を燃やし、事実だけを垂れ流し続けるこの本の中の世界は、まさしくパスカルの言う「気を紛らわすこと」の極致のように感じた。 1953年にブラッドベリが思い描いたディストピアは、今やSNSの流布により現実のものになりつつある。「部屋に静かに留まること」から逃げないような人生を送りたいと切に思う。
0投稿日: 2024.05.07
powered by ブクログレイ・ブラッドベリ「華氏451度」読了。焚書坑儒のSFか。人を思考停止に陥れ社会を操る事に映画のマトリクスや小説1984年の退廃的な世界観を彷彿とした。翻ってモンターグがフェーバーらと交わす本の問答から本を通じて考える事の尊さを感じるとる事ができた。ふとAIの言語モデルの事が心配になった。
5投稿日: 2024.04.08
powered by ブクログ現代社会(特に日本)もそうなんじゃないかと考えさせられる一冊。 隊長の演説で 「大衆の心を掴めば掴むほど、中身は単純化された」 という一節があるが、まさに現代の娯楽(短時間で簡潔に 楽しむことよりも消費することが重要、は言い過ぎかもしれませんが) のあり方を表している様に思いました。 1950年台にかかれた作品とは思えない、まさにSF 文体は、詩的な表現も多く正直少し読みづらい部分もありました。 ストーリーがすっと入ってきにくいので、気が向いた時に本を読むくらいの 人だと少し読み進めるのに苦労するかもしれません(私です) アメリカの文学作品にもう少し明るければより楽しめたのかなとも思いました。 スマートフォンでショート動画とかを見て、理解したつもり満足したつもりに なってしまっている私には結構考えさせられる作品でした。
4投稿日: 2024.04.04
powered by ブクログ詩的表現が多いことからか難解で読み進めるのが難しかった…。ストーリーは追えるが、文章から場面を思い描くことがなかなかできず、ストレスだった。名作から引用されたフレーズも多いようで、英語が分かれば原書で読んでみたかったなと思った。
0投稿日: 2024.04.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
スマホに依存して読書から離れている生活だと感じたため興味を持った。 常識は社会によって形成されるもので、客観視してみると異常な思考の枠に囚われている可能性もあると感じた。 今までの生活や周りの人を裏切るような行動を選べたモンターグの勇気が素晴らしい。
0投稿日: 2024.03.29
powered by ブクログ読書の意義を再認識させられると共に、本を読む習慣のない人が増える一方で、事業者から提供される映像サービスにどっぷりハマる人の多い今の状況との近さにゾッとさせられた。 文は詩的表現が多く、自分にはとっつき辛かった。
0投稿日: 2024.03.21
powered by ブクログ多くのレビューで見受けられた独特の言い回しが個人的には楽しめた作品でした。 また、焚書を題材にしただけあり本を読む事の大切さなどが学べて良かったです。 初めて本を読むならまずこれから読んでほしいと思いました。
0投稿日: 2024.03.13
powered by ブクログ本のない社会ということだけど、学校の教科書とかどうしてるんだろう、映像なのかな、とか考えながら読みました。 本のない世界を本気で想像してみると、案外難しいですね。現代でも、本を読む人より、読まない人の方が多いのでしょうか。だとしても誰も本を読んでいない世界って、ちょっとどころか少しも想像できません。私がもう本を読めなくなってしまったとしても、誰も読んでいないなんて有り得ないし、この世から本が消えてしまっても、その側から書く人が絶対に現れると信じています。
1投稿日: 2024.03.02
powered by ブクログ独特の文体に最初は戸惑ったが読み進めていくうち慣れて楽しんで読めた。 少女クラリスの問いかけは読者である自分自身に向けたようなものにも聞こえる。 ちなみに動画サイトで「華氏451度」と調べると作品のネタバレ解説などが出てくる。なんとなく皮肉を感じる…
4投稿日: 2024.02.26
powered by ブクログ確かにいろんな人が言うように現代が今作の内容によってきていると言うのは感じた そして最近読書にハマっている自分にはかなり刺さる部分が多かった 確かに本を読むことで劇的に何かを解決できることはないかもしれないけど、なにかしらの拠り所にはできるよねと。 読みにくさと一部単語や情景を想像で頑張って補う必要があったので星4
3投稿日: 2024.02.20
powered by ブクログフェルプスとボウルズとミルドレッドが大画面のテレビに狂乱している姿は一昔前であればテレビ、今ではスマートフォンやパソコンに取りつかれた人たちと重なりましたね。 本書でも警鐘されていたように、現在は情報が溢れていてどんどん情報が簡略化されていっていると思います。(特にYoutube、X、インスタグラム、TikTokなどのSNS)その情報がただ膨大に流れ込んできて、その情報を消化することで疲弊しており、考えられる人、行動を起こせる人が年々少なくなってきていると感じました。 現実世界では紙から電子書籍へ移行しつつある中で、こういった焚書はより火で燃やす行為よりもより簡単になり現実味を帯びてくるかもしれませんね。
2投稿日: 2024.02.17
powered by ブクログ最初はわからん……って感じだったけど、第2部からグイグイ引き込まれて一気読みしてしまった。結局この本の伝えたいことはわかってないかもしれないけど、名作と言われる理由がわかった気がする。
1投稿日: 2024.02.15
powered by ブクログいわゆるディストピア小説というものですね。読書を禁止されている世界。禁止されてないけど、本の重要さが薄れている現代。私たちはこれから本というものをどう位置付けていくべきなのか、考えさせられました。
0投稿日: 2024.02.06
powered by ブクログ読み出して直ぐ、背表紙にある通り抒情的な文章だと感じる。 読み慣れていない私は、SFでこういうのも有りなんだな~と新鮮に思った。 昇火士(ファイアマン)のモンターグは、ある夜クラリスという17歳の不思議な少女に出会う。 「あなた幸福?」 別れ際にそう問われたモンターグは、「おれは幸福じゃない」と本当の心境に気付く。 そこから次第に自身の周辺の人々や、社会の在り方に疑問を持ち始め、行動に起こしていくモンターグ。 小さき者が社会に抗った先に待ち受けるものとは…。 長編ではないし、文章自体は読みやすいのかもしれない。 けれど、個人的には"主語は誰(何)?"とか"もう少し説明を加えたト書きが欲しい"とか、思うところが沢山あって読みづらかった。 結果、入り込めなくてページをこなすだけの読書になってしまった。 (翻訳の仕方のせい?) う~ん。。。ストーリー展開は楽しいのにな。 やっぱり翻訳本はなかなか馴染めないなぁ。
22投稿日: 2024.01.13
