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ドゥームズデイ・ブック(上)
ドゥームズデイ・ブック(上)
コニー・ウィリス、大森望/早川書房
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総合評価

42件)
4.0
18
8
12
3
0
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「オックスフォード史学部・シリーズ」1作目(上)。 先に知ったのは2作目の『犬は勘定に入れません』だった。 タイトルに惹かれて調べたらシリーズ物だったので、まずは1作目のこちらを読んでみようと思った。 2054年のイギリス。 過去へのタイムトラベルが可能になった世界。 意味が解らない単語が出てくるが、特に説明はされない。 誰もかれも話したい時にいないし、いても質問に答え(られ)ないから、遅々として進まず。 おかげで、ダンワージーのイライラや不安がよく分かった。 「あらゆる予防措置をとったことはわたしが保証する」なんていえる人間は、必要な予防措置を思いつくことすらできてない。 キヴリンは無事に中世から戻ってこられるかな。 不穏のまま、下巻へ。 ──── オックスフォード大学のクライスト・チャーチは、「ハリーポッター(映画)」に出てくるホグワーツ魔法学校の食堂のモデルでもある。

    0
    投稿日: 2025.09.17
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    アメリカの作家「コニー・ウィリス」の長篇SF作品『ドゥームズデイ・ブック(原題:Doomsday Book)』を読みました。 「ヒュー・ハウイー」の『ダスト』に続きSF作品です。 -----story------------- 〈上〉 歴史研究者の長年の夢がついに実現した。 過去への時間旅行が可能となり、研究者は専門とする時代を直接観察することができるようになったのだ。 オックスフォード大学史学部の女子学生「キヴリン」は、実習の一環として前人未踏の14世紀に送られた。 だが、彼女は中世に到着すると同時に病に倒れてしまった…はたして彼女は未来に無事に帰還できるのか? ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞を受賞した、タイムトラベルSF。 〈下〉 21世紀のオックスフォードから14世紀へと時をさかのぼっていった女子学生「キヴリン」。 だが、彼女が無事に目的地にたどりついたかどうか確認する前に、時間遡行を担当した技術者が正体不明のウイルスに感染し、人事不省の重体に陥ってしまった。 彼女の非公式の指導教授「ジェイムズ・ダンワージー」は、「キヴリン」のために、新たな技術者を探そうと東奔西走するが!? 英語圏SFの三大タイトルを独占した「コニー・ウィリス」の感動作。 ----------------------- 本作品は、近未来(21世紀中盤)のオックスフォード大学が舞台で、若き女性歴史家「キヴリン・エングル」がイギリスの最も危険な時代と思われている14世紀にタイムトラベルするというSF小説、、、 作者の「コニー・ウィリス」は、これまでにヒューゴー賞を11回、ネビュラ賞を7回、ローカス賞を11回受賞しており、1980年代から1990年代における最も優れたSF作家の一人と呼ばれている女流作家… 彼女の作品は初めて読んだのですが、本作品も、その3賞を受賞しているので期待して読みました。   物語は2054年のオックスフォードから幕を開ける… 過去へ向かうタイムトラベル技術が確立され、歴史研究のために利用されており、ブレイズノーズ・カレッジ中世史科の女子学生「キヴリン・エングル」は本人の強い希望もあり、前人未踏の14世紀に送り出される、、、 しかし、彼女が無事目的地に着いたかどうかを判定するデータが出る前に、時間遡行の実務面を担当した技術者「バードリ・チャウドゥーリー」が正体不明のウィルスに感染して突如、意識不明の重体に陥り、「キヴリン」が計画通り1320年に到着したかどうかの確認が取れないが、町はクリスマス・シーズンで、かわりの技術者は見つからない… 「キヴリン」の非公式の指導教授でベイリアル・カレッジの教授「ジェイムズ・ダンワージー」は、なんとか教え子の安否をたしかめようと孤軍奮闘するが、ウィルス感染が拡大し、オックスフォードは他の地域から隔離されてしまい、自身も未知のウィルスに感染して倒れてしまう。 一方、14世紀にやってきた「キヴリン」も、到着と同時に病に倒れ、やはり意識不明に陥る… たまたま通りかかった現地の人間に助けられ、かろうじて一命はとりとめたものの、意識不明の状態で村まで運ばれてしまったことから、未来世界に帰還するためのゲートとなる出現地点の場所がわからなくなる、、、 果たして「キヴリン」は元の世界に帰り着けるのか… 「レイディ・エリウィス」等の献身的な介護もあり、なんとか体調が回復した「キヴリン」だが、追い打ちをかけるように、思っても見なかった危難が発生する。 周囲の人物が次々と病に倒れ、その症状は、当時、ヨーロッパを恐怖に陥れた黒死病(ペスト)に酷似していた… ペストがイギリスに辿り着いたのは1348年なので、「キヴリン」が到着した1320年には、まだペストはイギリスに存在していなかったはずなのだが、、、 実は、「キヴリン」が到着したのは1348年で、まさにペストが猛威をふるっていた時代だった… 「キヴリン」は、伝染病について無知な村人を少しでも多く助けようと懸命な介護を続けるが、村人は次々と命を落とし、彼女の命の恩人で献身的に村人の介護にあたっていた「ローシュ神父」まで発病していまう。 一方、謎のウィルス感染により発病し、なんとか一命を取り留めた「ダンワージー」は、友人の医師「メアリ」の姪の息子「コリン」とともに、「キヴリン」の迷い込んだ時代に遡り、彼女の救出を試みる… 彼らは限られた時間の中で、「キヴリン」を捜索するが、そこはペストによる夥しい死体が山積みに放置され、見捨てられた村だった、、、 あっと驚く展開はなく、予想通りのエンディングで、期待通りの内容でしたね… 面白くないわけではないのですが、ちょっと物足らない感じかな。 14世紀のパートは、シリアスな歴史小説風な展開で、その時代に生きる人々の息遣いや生活の匂いまで含めて、中世イングランドの日常を鮮やかに描き出されているのに比べ、、、 21世紀のパートは、コメディ風で、交互に描かれる700年の時を隔てたふたつの時代が、巧く書き分けられていることが印象的でした… そのふたつの時代の展開が、ひとつになってクライマックスに向かう終盤の展開は集中して読めましたね。 でも、上下巻で1,000ページを超えるボリュームは、ちょっと冗長な感じ、、、 途中で少し飽きそうになりましたね… シンプルな物語なので、もう少しコンパクトな方が良かったな。 21世紀のパートで、 いつもトイレットペーパーの残量を心配している「フィンチ」、 いつもずぶ濡れになっていて、色の変わるキャンディを舐めている「コリン」、 いつも新しい女性といちゃついている「ウィリアム・ギャドスン」、 いつも行方不明で一度も登場しない史学部の学部長「ベイジンゲーム」、 等々、同じシチュエーションを繰り返すキャラクター達の行動が印象的でしたが… 映像化されることを想定した仕込みのような気がしましたね。 以下、主な登場人物です。 <21世紀(オックスフォード大学)> 「キヴリン・エングル」  ブレイズノーズ・カレッジ中世史科史学生 「ジェイムズ・ダンワージー」  ベイリアル・カレッジの教授 「フィンチ」  ダンワージーの秘書 「ベイジンゲーム」  史学部の学部長 「ギルクリスト」  史学部の学部長代理。ブレイズノーズ・カレッジの中世史科教授 「バードリ・チャウドゥーリー」  ベイリアル・カレッジのネット技術者 「ラティマー」  ブレイズノーズ・カレッジの教授 「ループ・モントーヤ」  ブレイズノーズ・カレッジの考古学者 「メアリ・アーレンス」  付属病院の医師 「コリン・テンプラー」  メアリの姪の息子 「ウィリアム・ギャドスン」  ベイリアル・カレッジの学生 「テイラー」  アメリカ人の鳴鐘者 「ヘレン・ピアンティーニ」  アメリカ人の鳴鐘者 <14世紀> 「レイディ・イメイン」  ギョーム卿の母 「レイディ・エリウィス」  ギョーム卿の妻 「ロズムンド」  ギョーム卿の長女 「アグネス」  ギョーム卿の次女 「ガーウィン」  ギョーム卿の家臣 「メイリス」  召使 「ローシュ」  神父 「サー・ブロート」  ロズムンドの婚約者

    0
    投稿日: 2022.11.04
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    史学部シリーズ。学生が中世の英国にタイムトラベルする。事前にある程度の安全確認をしているので、学生は安全だというが、まあそこは何か起こらないと小説にはならないわけで、もう元の時代に戻れないのではないかと思わせる事態が発生する。一方で学生を送り出した現代(読者から見たら未来)でも謎の感染症で、ダンワージー教授らは隔離を余儀なくされる。 とにかく上巻は謎だらけ。だらだらした感じを受けるが、それでも舞台の緊張感を醸し出すコニー・ウィリスの筆力には驚く。読んでいて、なんとなく陰謀のようなものを感じ、そいつを疑いながら下巻に進むこととする。

    0
    投稿日: 2019.04.22
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    中世史科の学生キヴリン。好奇心旺盛で小柄の女性が研究のために1320年へタイムトラベル。しかしキヴリンは飛んだ先で倒れ、過去へ送りだしたほうのダンワージー教授のところではパンデミックの事態。どちらも原因がわからぬまま話は進む。 出だしで話に入りこむのにいくぶん時間がかかったが(いくつかの普通名詞がどの意味で使われているのか理解するのに手間取った)、わかってしまえばページを繰る手が止まらない系の小説でした。下巻へつづく。

    1
    投稿日: 2018.12.30
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    オックスフォード大学の歴史学科が舞台の話。 熱血的歴女のキヴリンは周囲の反対をものともせず、魔女狩りとペストが猛威をふるう中世イギリスに行きたがっていた。 そして、彼女の指導教官である中性史学科の教授(無知で無能で傲慢)はロクな予備調査もせずにキヴリンを中世へ送り出してしまう。 キヴリンを送り出した直後、現代に謎の伝染病が広まる。 そして中世に降り立ったキヴリンも体調を崩して現代に戻るための降下点が分からなくなり…的な。 はい。 コニー・ウィリスのタイムトラベルシリーズです。 今書いたあらすじだけで上巻をまるまる使い切りました。 下巻になって話は進むのか!? 乞うご期待。

    0
    投稿日: 2018.06.02
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    学術的な目的で過去に時間旅行が可能な世界の話。 21世紀のオックスフォード大学と、過去にいったギブリン(女学生)との話が並行して進む。 21世紀の話には、冒頭から登場人物が入り乱れて、彼らの関係や立ち位置などがほとんど頭に入らないまま、がまんして読み進めると、なんとかメインのストーリーが見えてくれる。そうなるとだんだん面白くなる。 それにしても、個人と連絡を取るのに固定電話に画面がついた装置を利用するという時点で、書かれた時期が相当前なのだろうと思った。確認したところ、1992年に出版ということが判明。1980年代には自動車電話が利用されていたらしいことを考えると、携帯電話などの発想があってもよかったかも。 技術者バードリの病状は?ギブリンは21世紀に戻れるのか?下巻が楽しみである。

    0
    投稿日: 2018.05.23
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    ウィリスの感動作 読むべき一冊である 表紙   6点田口 順子(旧作) 大森 望訳 展開   7点1972年著作 文章   7点 内容 800点 合計 820点

    0
    投稿日: 2017.06.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    タイムトラベルが可能になって数年の2056年クリスマス。中世史科の学生キブリンが1320年への調査行に挑む。 到着直後から原因不明の発熱に襲われるキブリンと、突然のインフルエンザ蔓延に半ばパニックになる21世紀が同時に進行するパンデミックタイムトラベルSF。 一言で言うと冗長。 古典海外SFにはありがちな描写の多さだなと思っていたけど1992年の作か…。 物語の進行を妨げるものがないとお話を作ることはできないが、この作品ではそれが話を聞かない人間と、話が通じない人間と、原因不明で故障する翻訳装置、それに(携帯電話登場以降発刊の未来舞台作なのに)有線電話が混み合ってキーパーソンと連絡が付かなかったり、人物がどこにいるかわからなかったり。 非常にストレスがたまる。 タイムパラドックスを避けるギミックもいまいち納得いかないなー。 パンデミック物に特有の緊張感を期待すると失望する。 中世の生活描写は言葉数が多くても興味深く読める。 上巻終盤になって話が進んできて、やっと面白くなってきたかも。 著者の評判が良いのでもう半分付き合ってみよう。

    0
    投稿日: 2016.09.22
  • 調査のために中世にタイムトラベルしたら同時多発のパンデミック?!

    過去へのタイムトラベル可能になり、オックスフィード大学では中世の研究のために史学生キヴリンを1320年に送り出す。 しかし、キブリンもなぞの病気になり病に倒れる、降下位置情報をチェックしていた技術者も謎の病気で高熱をだし意識がはっきりしない。オックスフォード大学の町には未知の伝染病を疑い隔離地域を設定する騒ぎになる。 そして初の死亡者まで出た。下巻に向けて一気に緊張感が増していく。

    3
    投稿日: 2016.08.23
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    SF小説とサスペンス小説と歴史小説とが渾然一体でとても美味しく面白い。時間旅行が衛星の打ち上げ程度のことになれば、過去を観察するために大学の研究機関でこんな風に使われるのかも。送り出した側でのトラブルと送られた先での悲惨な状況とが、キヴリン嬢の記録を挟んで交互に描かれる構成はとても上手い。

    0
    投稿日: 2016.08.19
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    タイムトラベルなSF。 こちらとあちらの二幕仕立てで、交互にお預け状態になるため、一気に読破。 中世研究のためのトラべルだったのが、アクシデントで…。 ドラマティックなお話というより、サスペンス仕立てな実録というか。 余計に切なくて仕方ない。静かにじわじわ泣けてくる。 散々会話に出てくる「姪の息子」君、あんなん可愛いすぎるやろ! てっきり脇役だと思ってたのに。

    0
    投稿日: 2016.03.31
  • 何度読んでも・・・

    ん~年前にハードカバー本を腕がだるくなりながら、一気に朝まで読みました。 どうしても、ゆっくり・味わいながら・どこでも・読むために購入しました。 ぜひ、主人公と一緒にハラハラ・ドキドキ・・・して下さい。

    0
    投稿日: 2015.09.03
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    久々に小説を読んだ。 続編の方が先に目が入りシリーズの最初ということで 手に取ってみたけれど、さてこれからどうなるかな。 導入部がなかなか動きがなくてじれったかったけれど 予測通りの展開でもあったけれど、久々に小説読んだという気がしたのでオッケー。

    0
    投稿日: 2015.08.30
  • 最後の審判あるいは土地台帳

    時間ものです。タイトルや受賞歴から考えられる難しい敷居のようなものは、最初のフランス語交じりの中期英語なる場面を過ぎればありません。翻訳機万歳。登場人物の才能に乾杯。13世紀のイギリスと未来のイギリスが舞台です。現代ではウィルスがパンデミックを予感させ、過去では時間の位置がずれ、ここでもパンデミックの予感がします。丁寧に描いてあるので登場人物たちの動きにくぎ付けにされます。面白い作品です。

    3
    投稿日: 2015.06.25
  • 2度目

    以前図書館で読んで読み返したいとおもい購入しました。期待通りでした。

    0
    投稿日: 2015.04.04
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    いきなり登場人物が当然のように動き出すので シリーズの続編かと思っていたら、これが初めですか。 14世紀へのタイムトラベル(なにかがおかしい)と 21世紀のパンデミックの混乱が並行で描かれ、 どちらも何が起こって、どうなってしまうのか 気になるのだが、21世紀は周りが自分勝手、非協力的で かきまぜられて話が進んでいかないし、 14世紀は、時代の隔たりがもたらす 絶望的なほどの違いに、一歩間違えば命を失いかねない 文字通り孤立無援な中、なんの手がかりもなく 当然、進展はゆっくりと時間をかけて。 21世紀は突然の未知の恐怖へ必死にならなければ ならないはずなのに、個人の主張で なぜかコミカルにうつる(あの母親のせいか?)。 一方で14世紀は準備万端なはずなのに、 ずれていることで徐々に深まる孤独と恐怖に さす当時の登場人物の光?というコントラストもある。 上巻では、わからず無駄・冗長な描写と思えるところも 先に『航路』を読んだから、 たぶん何かに収束していくのではないかと期待し、 それ以上に動きだしは遅いけど、 ドンドン引き込まれていく加速感、上巻は★3つだが、 下巻で★は増えるのか?

    1
    投稿日: 2014.10.10
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    2054年のオックスフォード大学では、開発されたタイムトラベル技術を歴史研究に利用している。女子学生キヴリンは現地調査のため、飢餓と疾病が蔓延する14世紀にタイムトラベルするが、キヴリンを現地に送り届けた技術者が未知の病に倒れ、キヴリンが無事現地に到着したか確認できなくなってしまう。キヴリンの非公式指導教授のダンワージーは、彼女の安否を確認すべく奮闘するが、未知の病が次第にオックスフォードを覆ってしまい… 一方、キヴリンは14世紀に到着するも原因不明の病に倒れてしまう。現地人の看護により一命を取り留めた彼女は、もとの時代に戻るために出現地点を目指すが… 全2巻。終盤までは、物語は遅々として進みません。張り巡らされた問題は何一つ解決しないまま、ただいたずらに時が過ぎるばかりで、とにかくもどかしい気持ちでいっぱいになります。とはいえ、退屈というわけではありません。なんといっても「ひとの話をきかない登場人物」の多いこと多いこと。読中、何度も殴ってやりたい衝動にかられるぐらいで、こういった憤りやキヴリンと現地人の交流を微笑ましく思いつつ、読み楽しんでいきました。 終盤以降は、これまでの鬱屈を爆発させるかのような怒涛の展開をみせ、一気にクライマックスまで突き進みます。ただ、この怒涛の展開は決して気分が晴れ晴れするものではないのです。ダンワージー側は悲惨さの割りにお気楽な展開でしたが(メアリが可哀相だ)、キヴリン側は違います。14世紀を襲った黒死病を目の当たりにし、現地人を助けるべくあがき苦しむも訪れるのは歴史の惨劇のみ。読んでいるこちらが悪寒を感じる展開で、彼女がのこした記録(ドゥームズデイ・ブック)の淡々とした描写が悲惨さを助長させました。歴史は変えられないというのが、この世界の鉄則であるだけに、「みんなとっくに死んでるんだ。そう考えても、とても信じられなかった」「どうかロズムンドを死なせないでください。どうかアグネスを感染させないでください」といったキヴリンの言葉が胸を刺します。 先日読んだ著者の短編集がコミカルな内容だっただけに、落差が激しかった… 過去も未来もパンデミックが発生しており、時代の危険度合いは普遍的であるのかもしれませんが、それでもキヴリン側の描かれ方が悲惨かつ迫真であっただけに、歴史の冷酷さを感じる物語でした。

    3
    投稿日: 2014.07.06
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    歴史研究のためにタイムトラベルするのは何回かドラマとかで見たことがありますが、その時代にあった準備と格好とかがいちいち細かくてリアルっぽいなぁと思いました。かなり気になるところで終わったので下巻を早く読みたいです。

    0
    投稿日: 2014.07.02
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    タイムトラベル×パンデミックの二本柱が現在と過去二つの舞台で繰り広げられるドタバタ劇。焦らさないでよと叫びたくなるほど緻密な伏線に鼻息荒く貪り読みました。 喜劇かつ悲劇、SFでありミステリでもあり。たくさんの味わいを楽しめる贅沢な作品です。ちょっと長過ぎるきらいがありますが(笑) そんなこんなで、つい細かい描写を読み飛ばしちゃいましたが、未読の方は是非じっくりと浸りながら読んで欲しいです。読了した今、読み飛ばすなんて勿体無いことをしたものだと悔やまれます。

    0
    投稿日: 2014.05.06
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    歴史調査で1320年に行くという話。タイムトラベルもので過去の描写が丁寧。でも、タイムトラベルだけで話が進まないのが面白い。

    0
    投稿日: 2013.12.01
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    ワクワクできるし、まじかよ!!って展開も備えているので、面白いのだけど、流石にそこに至るまでに時間がかかり過ぎというか。翻訳してるから更に長くなってるんだろうなーと思わずにいられない。ちょっと焦れったいところはあります。

    0
    投稿日: 2013.11.15
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    勿論「ブラックアウト」「オールクリア1・2」が余りにも素晴らしかったので勢いで読みます。なんですか、この表紙は?ラノベ?少女マンガ?(ブクロクで表示される表紙と違います) 文庫本で上下2冊、分厚い!でも「ブラックアウト」シリーズに比べれば屁の河童。さぁ!読むぞ~! 面白い!感想は下巻で。

    0
    投稿日: 2013.09.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    オールクリアを読了した勢いで,6~7年ぶりに再読.ブラックアウト&オールクリアを読み終えた今となってはずいぶん簡単な作りにも思えるが,でも,一気に読ませます(下巻に続く).知らないうちに表紙の絵が変わっているのね.

    0
    投稿日: 2013.07.06
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    タイムトラベルが可能になった近未来で歴史調査の一環として女学生が中世ヨーロッパに時間遡行する。行った先で彼女は病に侵され、元の時代では謎の病が蔓延し街は隔離される。パンデミックSF。 舞台は近未来と中世が交錯する物語で、外国の著者ならではの綿密な描写。つまり長い。慣れていないと冗長にすら感じる描写の数々。特に大人の喧嘩にはうんざり。 しかしその文字数のおかげで中世ヨーロッパの場面はまるでその時代を見てきたかのような光景を見せてくれるし、様々な予防を行っていたのに関わらず病に感染した女学生と現代で猛威をふるう病との間に関係があるのかという謎は私たちをぐいぐい引っ張ってくれる。 物語には少ない文量で表現可能なものと膨大なページを必要とするものがある。この作品が後者であることを願って後編を読む。

    0
    投稿日: 2013.06.15
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    歴史に興味がある人なら、誰でも夢見る「あの時代に行ってみたい」。それが実現された近未来。だからSFなんだけど、中世ヨーロッパ。 基本的には登場人物が自分のせいでひどい目にあう話はすきではない。ところが、このお話は「いわんこっちゃない」と主人公の一人を責める暇もなく大変な事態が発生。まずは送り出した側、現代(実は近未来)側がパニック。さて送り出された側は…。

    0
    投稿日: 2013.06.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    (日本人から見た)欧米人のテンポで書かれているため、 その感じに慣れていないと読み辛いかもしれません。 特に前半は誰がだれやら?(名前だけの登場の人もいたり、 あまり人物について詳しい描写が無く、想像がしにくい) ストーリーは、夢のある・・という類ではありませんが、 中世史に興味がある方はもちろん、無くても、面白いと思います。 主人公は最後どうなってしまうのか?と読み進めて、 ホッと出来るような、それにしてもあまりにも救いが無いような、 でもその救いの無さがリアリティがあって良かったと思いました。 読書好きなら子供でも読める内容、逆に読書好きじゃないと、 なかなか読み切れない一冊(二冊)かも?

    0
    投稿日: 2012.06.15
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    SF。全てに伏線があって進んでいくような話が好きと言って薦められたが、とにかく忍耐で読む。色んな事が不明瞭なまま、言葉がああもこうも解釈出来る部分が多く、誰が言ったの?とか、なんだかわからないまま、ともかく進んでいくと、上巻の終わりの方でようやく面白くなってくる。500ページくらいありますか?でもまだ下巻に続くんです・・・。表紙の絵がこの内容とマッチしているか疑問。

    0
    投稿日: 2012.06.03
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    うーん、ものすごく冗長。 1/3の分量で書けるんじゃないの、と思える 現代と中世をいったりきたりしてるけど、現代の話って無理やり作り出してる印象がある。特にストーリーが大きく動くわけでもないのに、記述だけが細かくていらいらする。 現代にしても、中世にしても会話が冗長。女の人が書いたとわかる。 特に中世は民俗学的・歴史学的な記述が多いが、興味を持てないと本当に退屈。特に言語的な話をされても英語圏に疎いので面白くない。書いてる本人は文献参照したり、自分なりに考えたりしたことを書いてて楽しいんだろうなーと思うけど。 ただし、少年、少女、動物(コリン、アグネス、鼠、犬)がちょろちょろしている様はこれぐらい記述が細かい方が面白い。コニー・ウィリスは、ちょろちょろしているものを書くべき作家なのだろう。 全体的な印象はやはり冗長。こんなに枚数が必要な小説なのか? 犬は勘定に入れません、は読了済み。

    0
    投稿日: 2012.04.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    出だしが読みづらくて、一度挫折。 でも今回は途中から一気読み。近未来と中世、どちらも臨場感あってハラハラする。 中世に流行したのあの病気は、こんなのだったのねって初めて知った。

    0
    投稿日: 2011.12.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ダンワージー教授シリーズにはシリアスとコメディがあって コメディには『犬は勘定に入れません』があり、 シリアスではこれ! らしいです。 でも上巻は割と『犬は~』のノリで読めちゃう。 携帯電話とウォシュレットの無い世界は 斯くも過酷であった。

    0
    投稿日: 2011.06.29
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    「犬は勘定に入れません」を読んだ時、同一設定の話があるということだけ知って、いつか読んでみようと思っていた。 「犬は…」の細かい筋立ては忘れてしまったけれど、勢いがあってとにかく面白かった印象。なので、この「ドゥームズデイ・ブック」(最初は黙示録系パニック映画のノベライズか何かかとおもった、このタイトル)は割合悠長な筆の進みながら、辛抱して後半の展開を待つ。 二十世紀も中世も、今のところなかなか思わせぶりなまま…

    0
    投稿日: 2010.05.30
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    まず、一言。 ハヤカワさん、この表紙は手に取りにくいです(汗) 少女マンガ? コニー・ウィリスの仕掛けるタイムパラドクスシリーズの第一弾、 今作ですが、プロットといい、ストーリー展開といい、 作品の裏に流れる思想といい、 あらゆる点で秀逸の作品です。 時は未来。 その時代、考古学の研究は、 時間をさかのぼり、その時代に実際に赴き、 現場で調査をする方法へと進化しています。 オックスフォード大学の女学生キブリンは、 中世のイギリスへと調査に出るのですが、 その直後、エンジニアが高熱に倒れ、 キブリン自身も到着した中世の世界で、 高熱に倒れます。 果たして彼女は、現代へと帰ってこれるのか! という、タイムパラドクスでありがちな始まりなんですが、 いやいや、それがそんなに浅くないんです。 「なにが浅くないのか」を言ってしまうと、 ほぼネタバレとなってしまうので、 気になった方は、読んでみることをお勧めします。 決して損はさせません。 芯が強く、決してあきらめないキブリンも魅力的なんですが、 キブリンを現代に戻す手立てを必死に探しまわるダンワージー教授も、 とても魅力的な人物です。 コニー・ウィリス自身は、ダンワージーは、 ハリソン・フォードを思い描きながら書いたと言ってましたが、 そうやって想像して読むと、またこれがうまくはまるんです(笑) ぜひぜひ一読を。 それにしても、当たり前のことですが、 中世イギリスで話されていた英語と、 現代の英語はまったく違うんですねぇ。

    0
    投稿日: 2009.12.20
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    時間旅行が可能になった未来。 大学の研究者で、中世に遡る実習をするヒロイン。 ところが、時間軸がずれ、ペストが流行する時代についてしまう。 しかも、未来でも問題が起こり… 迫力があります。

    0
    投稿日: 2009.10.11
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    パンデミック×タイムトラベルという不思議な組み合わせ。 21世紀のオクスフォードから、14世紀の中世へ、歴史学者の卵の女学生がタイムトラベルするところから話ははじまる。 ただでさえ、黒死病、チフスが蔓延する中世。女学生キブリンは、ワクチンを打ち免疫機能を高め万全の体制をとる。 しかし、21世紀ではギブリンを送り込んだ、タイムトラベル技術者が突然の感染症に倒れる。 一方14世紀のギブリンも時を同じくして?同じ感染症に倒れる。 21世紀で巻き起こるパンデミックと、14世紀に熱病に冒されつつ残された少女の2人の展開がパラレルになって物語りは進む。 特に大事件が次々起こるわけではないが、意見の入れ違いで事態が動かず渾沌とするという展開。 しかたないんだけど、未来の話なのに、携帯電話が無く、固定電話だけでやりとりしてるから、関係者がつかまらない、とか、 隔離地域にいるからタイムトラベルの重要な情報を技術者に読んでもらえないというじれったい展開はインターネット普及以前の物語ならでは。悪く言うと隔世の感。

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    投稿日: 2009.07.10
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    内容(「BOOK」データベースより) 歴史研究者の長年の夢がついに実現した。過去への時間旅行が可能となり、研究者は専門とする時代を直接観察することができるようになったのだ。オックスフォード大学史学部の女子学生キヴリンは、実習の一環として前人未踏の14世紀に送られた。だが、彼女は中世に到着すると同時に病に倒れてしまった…はたして彼女は未来に無事に帰還できるのか?ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞を受賞した、タイムトラベルSF。 読後感は物凄い。

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    投稿日: 2009.02.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    とにかくせつない。ラストの焦らしに心が潰されそうになり、最後に涙腺決壊です。 中世にタイムスリップした近未来の女子大生が、ペストの大流行に巻き込まれ、時を同じくして、大学でも伝染病が発生する。人が死にまくる系なので、かなり暗いんですが、コニー・ウィリスはどこか書き方にユーモアというか、軽い希望を感じますね。 リアルな不潔で汚い中世も存分に拝めます。あと師弟愛に萌え萌えしてください。

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    投稿日: 2008.05.18
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    タイムトラベルが可能となった近未来。 オックスフォード大学の女子学生キヴリンは実習の一環として14世紀に赴く。 ところがキヴリンは到着と同時に病に倒れ、 一方彼女を送り出した21世紀のオックスフォードでも 伝染性疾患が蔓延し… 所謂タイムトラベルSFですが、SF色は薄く、 中世の描写の方がかなり詳細。 文章が冗長だと感じる部分もあるのですが、 それ故に登場人物に感情移入出来る部分もあり、 物語の後半、中世のパートで ペストによってばたばたと人が死んでいく場面は 云い様のない悲しさを感じました。 快い読後感というのとはまた違いますが、 悲惨な状況に立ち向かってゆくキヴリンの芯の強さが印象的な物語。

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    投稿日: 2008.01.17
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    おもしろかった〜〜〜。タイムトラベルとかきくと、げげっと思うほどSFは苦手なのに、ぜんぜん違和感がなく、すごく楽しめた。歴史家がタイムトラベルで過去に行って研究するのが普通になっている未来の話。前半までは、ユーモアたっぷりに描かれる未来と、情緒的な中世をのほほんと楽しみ、でも、後半からはタイムトラベルで向かった中世の、疫病の、恐怖をたっぷり味わって。本当にこわかった。ラストに近づくにつれてどんどん人が死に、すさまじい場面に読むのがつらかった。でも、どうなるんだろう、と読むのをやめられない。そして、そんな地獄のなかにひとすじの光を見るような、なんというか、すがすがしさ、高貴さ、を感じるような。作者の、希望を捨てちゃいけない。あきらめちゃいけない。っていう、そんな人生観のようなものが感じられて。コニ・ウィリス、大好きかもしれない、と思いました。

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    投稿日: 2006.12.26
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    ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞を取った三冠王なタイムトラベルSF。死病が蔓延した14世紀にタイムトラベルした史学部学生ギヴリンは突然の病に倒れ、無事に生還できるのか。14世紀と近未来を行き来しながら、純愛について語るすごい小説。読まないと人生そんするかも。

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    投稿日: 2006.03.13
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    かわいい女の子の絵にだまされてはいけない(^^; 難解だった?コニー・ウィリスのはらはら・ドキドキ、劇的な作品。映画みたい。 歴史を学ぶ女学生キヴリンは、中世イギリスに旅立つ。しかし、様子がおかしい。注意して避けたはずのペスト流行のさなかに到着してしまったのだ。

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    投稿日: 2005.12.31
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    上巻は読む必要なし。冗長すぎるよ! 上巻は本当に、21世紀側はウイルスによる隔離騒ぎだけだし、14世紀側はほとんどキヴリン倒れっぱなしだし。 SFというわりにはネット理論とか全然出てこないので読みやすいといえば読みやすいけれど、このタイムトラベル以外は全然未来っぽくありません。 携帯電話もなくて、連絡取るのに苦労してるし(テレビ電話になったくらい?)。 でも下巻からは一気に読めるようになります。 21世紀側ではキヴリンが手違いで黒死病(ペスト)の時代に送り込まれたことが判明し、14世紀側では実際、黒死病患者がキヴリンの助けられた村に襲い掛かります。 つか、このへんは読んでいて辛かったです。 キヴリンが面倒を見ていた幼い少女も、そして田舎神父と領主の姑に馬鹿にされていたけれど最期まで信仰と己の勤めを忘れなかったローシュ神父も皆、恐ろしい病に倒れてしまいます。 ローシュ神父はキヴリンを神が遣わした聖人だと思っていましたが、彼こそが本当の聖人でした。 ローシュ神父の魂の安からんことを。

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    投稿日: 2005.11.27
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    登場人物が多く、2つの時代を行き来して話が進むためわかり辛いこと多し。 でも読み進めれば、その非常に高い評価に納得できます。感動しました。キャラクターが緻密で魅力的なのも素晴らしい。

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    投稿日: 2004.10.13