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危機の宰相
危機の宰相
沢木耕太郎/文藝春秋
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総合評価

42件)
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    このレビューはネタバレを含みます。

    あの写真は有名だから知っていたけどいつどこで知ったか覚えていない。 組織にも所属していた時期があって周りは学校行けとかちゃんと忠告したのに二矢は聞く耳持たなかったんだね。 精神病みながらどうしたら活動を続けられるんだろう。強い信念? 下町の主婦がスクラム組んで選挙カーが入るの防いだの凄い。 福田赳夫の名前が読めなくてきっと福田康夫の親族だろうとそこからたどったらそうだった。

    0
    投稿日: 2025.04.10
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    沢木耕太郎は深夜特急しか読んだことがなかったので、池田勇人を支え日本の高度経済成長を支えた田村敏雄、下村治の物語は当時の時代のワクワクするような雰囲気を感じながら(難しさも感じながら)楽しく読むことができた。 しかし、この本の素晴らしさは、下村治の息子の下村泰民が書いた「解説 父が見た「危機の宰相」」にあるのではないだろうか?この本の見事なサマリーであるだけでなく21世紀の世界においてこの本がどのように受け入れられているかを見事に解き明かしていると感じた。 この文章により、もう一度読んでみたいという気持ちが非常に高まった。

    0
    投稿日: 2023.02.25
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    「沢木耕太郎」が、「池田勇人(はやと)」の経済成長テーマだった「所得倍増」を巡るプロセスを描いたルポルタージュ作品『危機の宰相』を読みました。 「城山三郎」が78歳で国鉄総裁になった「石田礼助」の人生を描いた作品『粗にして野だが卑ではない―石田礼助の生涯』を読んだのですが、「石田礼助」を国鉄総裁に強く推薦したのは「池田勇人」だったんですよね… そんなこともあり、本書を選択、、、 「沢木耕太郎」作品は、8月に読んだ『檀』以来なので、約1ヶ月半ぶりですね。 -----story------------- あの時、経済は真っ赤に熱をはらんでいた 安保闘争の終わった物憂い倦怠感の中、日本を真っ赤に燃え立たせる次のテーマ「所得倍増」をみつけた3人の敗者たちのドラマ 1960年、安保後の騒然とした世情の中で首相になった「池田勇人」は、次の時代のテーマを経済成長に求める。 「所得倍増」。 それは大蔵省で長く“敗者”だった「池田」と「田村敏雄」と「下村治」という三人の男たちの夢と志の結晶でもあった。 戦後最大のコピー「所得倍増」を巡り、政治と経済が激突するスリリングなドラマ。 ----------------------- 1977年(昭和52年)7月に『文藝春秋』で発表された作品に300ページ近くの加筆をして2006年(平成18年)に単行本として刊行された作品の文庫化作品です。、、、 宰相「池田勇人」とブレーン「下村治(エコノミスト)」、「田村敏雄(宏池会事務局長)」… 彼らの大蔵省での敗者(ルーザー)としての軌跡を追いながら、「所得倍増」と言う夢を如何にして現実させたのかがのプロセスが克明に描かれた作品です。  ■序章 ささやかな発端  ■第一章 黄金時代  ■第二章 戦後最大のコピー  ■第三章 第三のブレーン  ■第四章 敗者としての池田勇人  ■第五章 敗者としての田村敏雄  ■第六章 敗者としての下村治  ■第七章 木曜会  ■第八章 総理への道  ■第九章 田文と呉起  ■第十章 邪教から国教へ  ■第十一章 勝者たち  ■第十二章 やがて幕が下り  ■終章 世界の静かな中心  ■あとがきⅠ  ■あとがきⅡ  ■主要参考文献  ■解説 父が見た「危機の宰相」 下村恭民 政治と経済… うーん、個人的に苦手な二大テーマなので、ちょっと辛かったですね、、、 でも、1960年(昭和35年)の日米安保という時代に「岸内閣」の後を受けて組閣され、1964年(昭和39年)の東京オリンピックの時代に幕を閉じた「池田内閣」において、「池田勇人首相」と、そのブレーン「下村治」、宏知会事務長「田村敏雄」の三人に焦点をあて「所得倍増計画」というのは何だったのか、この政策がいかにして生まれ、日本の高度経済成長をどのように導いていったのかについて、理解を深めることができた作品でした。 自分が体験していない時代だし、歴史の教科書ではほとんど学んでいない時代なので、ほとんど知識がない時代なんですよね、、、 戦後の復興期のあと、自然体やなりゆきで高度成長期があったわけではなく、彼等の理念や夢や志が政策を生み出し、それに国民が共感することが高度成長を促すことになったんでしょうね… 勉強になりました。 また、三人とも大蔵省官僚としては不遇な道を辿り、それぞれ業病と闘い、捕虜生活に苦しみ、死病に苦しんだ経験があり、キャリアと人生において大きな挫折を経験した敗者(ルーザー)であったという共通点も運命を感じますよね、、、 『海賊とよばれた男』、『粗にして野だが卑ではない―石田礼助の生涯』に続き、明治人の気骨が感じられる作品でした。 経費をプライベートなことに流用して、必要経費だと説明するような現在の政治家とは違うよなぁ。

    0
    投稿日: 2022.10.07
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    難しかった。 上昇期の日本。向かっていく方向をハッキリ示せるリーダーと、優秀なブレーンがいたということか。

    0
    投稿日: 2022.07.28
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    そんなにこの作家の経歴を知らないので、ほー、こんなところに手を出してたのか、と意外感あり。そしてそこから本能的になのか、その筋には進まなかったことも妙に納得。 ともあれ内容はなかなか面白いです、そして分かってはいるけれどもますます日本は斜陽なんだな、、、と得心する次第です。

    0
    投稿日: 2022.03.10
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    深い本だった。10年ほど前、異国に住んでいた時に途中まで読んでいたが読了できていなかった。今回は約4日間で読了。引き込まれるように読み進めた。直前に読んだ「テロルの決算」とほぼ同時代。関連性もあり、より興味を惹いた。1960年を中心に、総理大臣とそのブレーン的存在2人の3人が主人公。発表は1977年の「文芸春秋」誌。単行本化はその29年後の2006年。発表時、そして刊行時は、その業界では話題になったようだ。あとがきにすごく重要なことが書かれている。「文芸春秋」への発表直後、「危機の宰相」の方向に向かうか、「一瞬の夏」の方向へ向かうかの分かれ道があったらしい。結局「一瞬の夏」の方向に向かい、その選択は読者である私にとってもよかったと思うが、「危機の宰相」の方向に進んでいたらそれはそれで楽しめたと思う。政治家について詳しくなかったがすごく興味を持った。かつて立派な政治家がいたことがよくわかる。今の政治家でこの本を読んでいる人はどれだけいるのだろうか?そういう人はどのように感じるのだろうか?沢木さんが今の政治家について書くとしたら、どんな感じになるのだろうか、興味はつきない。取材などは相当に大変だと思うが今の政治家についてもぜひ書いてほしいと思ったりした。

    0
    投稿日: 2020.12.10
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    解説にもあったが、日本という国の青春の本。 その意味では、坂の上の雲に通じる。 富国強兵と所得倍増計画。 しかし、池田勇人についてほとんど知識がなかった。 少なくとも本作では理想的な保守政治家として描かれており、非常に魅力的な宰相だが、吉田茂、田中角栄はもちろん、岸信介、佐藤栄作などよりも知名度は低い。 それ自体が、この国の知的な悲劇だと思う。

    0
    投稿日: 2020.11.01
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    令和になって読んでもっとも驚くのは、こんなふうに情熱をもって、「尽忠報国」の精神で働ける政治家がちゃんと日本に存在していたのだということ。 いまの政治家の実情を知っているわけではないが、そんな姿勢でまつりごとをしていれば絶対にこんなふうにはならないのではないかと、思えてならない。 下村治のゼロ成長理論への転換と、三島由紀夫の「世界の静かな中心であれ」を絡めた段には、常々自分が感じていることに非常に近いことがらが語られていたことにも膝を打つ思いがした。 経済大国であるという誇大妄想、これからも「高度成長」できるという嘘をかがげながら権力闘争に明け暮れる政治屋たち、「終活」を考える気のないこの国で自分たちはどう生きるべきなのか、今一度歴史に学ぶべきなのかもしれない。

    0
    投稿日: 2020.07.23
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    ▼1960年の安保闘争の終盤。首相だった岸信介さんは、私邸をデモ隊に何重にも包囲されてしまいました。そして、防衛庁長官の赤城宗徳さんを呼びつけ、自衛隊の出動を要請。しかし、赤城さんがこれを断固拒否。「日本人同士を戦わせて、流血するわけにいかない」。▼沢木耕太郎さんは、この時に自衛隊が首相を守るため、という大義名分でデモ隊と戦っていたら、その後の政治は決定的に変わっていただろう、と述べています。恐らく自民党政権は遠からず倒れ、所得倍増計画も無かったことになります。ちなみに岸信介さんは、弟が佐藤栄作首相。娘婿が安倍晋太郎首相。孫が現在の安倍晋三首相。うーん。身分制度?歌舞伎?▼「危機の宰相」沢木耕太郎。1977年に雑誌掲載、単行本は2006年。文春文庫。「所得倍増」を担った、政治家・池田勇人、官僚・下村治、田村敏雄という3人の主人公の履歴足跡人間を描きながら、「所得倍増」というドラマを戦前からの近代史の中で描いたもの。▼言ってみれば自民党の戦後政策を賛美する内容、とも言えますが、きちんと読んでみればそういう狙いの本ではありません。日本の近現代史、そして評伝ノンフィクションとして、えらいこと面白かったです。▼本筋と関係ないですが、池田首相と担当の新聞記者たちの関係で、「記者たちが首相のエッセイや論文のゴーストライターをやっていた」という記述が。やっぱりなあ。

    2
    投稿日: 2020.03.05
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    池田勇人を支えた人物にも焦点をあてたドキュメントです。 池田総理の所得倍増計画と田中角栄の日本列島改造って夢がありましたよね。

    1
    投稿日: 2019.11.27
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    1964年の東京オリンピックを頂点とした日本の高度経済成長の立役者は、時の内閣総理大臣【池田勇人】(1960年7月から4年間在位)であった。京都帝国大学法学部を卒業後、大蔵省で税務署長として地方廻りをするが、奇病(落葉性天疱瘡)にかかり7年間の闘病生活を余儀なくされる。偶然にも大蔵省に復職、その14年後には政界入りを果たす。池田内閣時代の経済成長の影では、浅沼稲次郎刺殺事件、『風流夢譚』掲載の嶋中邸襲撃事件、ライシャワー大使刺傷事件、大規模鉄道事故、炭鉱ガス爆発事故、ケネディ大統領暗殺事件等が起きている。

    0
    投稿日: 2019.09.18
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    池田勇人、田村敏雄、そして下村治。三人の人生が交差して戦後最大のキャッチーな政策「所得倍増」が誕生した。旧大蔵省という超エリート組織のLoserである三人が不思議な縁で結びつき、高度経済成長という経済主導の「新しい形の『強い国家像』」を牽引することになったのは歴史的必然なのだろう。池田内閣が組閣された1960年は安保改定という戦後脱却のエポックメイキングがあり、退陣した1964年は東京五輪開催の年であった。まさに時代の変革期にうまく日本国を成長軌道に乗せた、と振り返って今思う。 沢木耕太郎氏の俊逸な取材力を文章力には毎度驚かされるが、本作品では下村治の再発見が特筆すべき点だろう。安定成長路線を望む官僚組織において、溜まる需要のマグマをいち早く見抜き「民間企業の設備投資促進により供給を需要にMeetさせれば経済は飛躍的成長を遂げる」とは何たる素晴らしい読みであろう。下村自身、その才覚に反して恵まれた処遇だったわけではないが、「あとがきⅡ」を読むと彼への再評価と彼自身の喜びが伝わってきて何かうれしくなる。

    0
    投稿日: 2019.07.08
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    安保危機のなか経済成長を遂げた1960年代の政治経済を 軽くまとめた本。危機を成長に変えたのは、池田勇人総理と そのブレーン達による「所得倍増」というスローガンにあるとした 池田勇人が 魅力的に描かれている。次は 吉田茂→池田勇人→田中角栄を中心とした現代史や政治比較の本を読みたい 「所得倍増」「日本列島改造」に比べて、今の政治スローガンは インパクトがない と思う

    0
    投稿日: 2017.06.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    池田勇人元首相の評伝というよりは、所得倍増計画の誕生秘話。誕生に大きな役割を果たした池田元首相と二人のブレーンがルーザー<敗者>であったことや、多くの学者、官僚、政治家が否定的であったことなど、初めて知ったことばかり。非常に興味をそそられる内容でした。

    0
    投稿日: 2017.02.08
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    唯一私が定常的に手を出すノンフィクション作家さん。 でも、テーマが経済と政治ということで、ちょっと乗り切れず。 とはいえ、余り興味のないテーマでも最後まで読ませる沢木さんは凄いです。

    0
    投稿日: 2016.04.12
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    タイトルの危機の宰相とは、池田勇人のことである。 本作は、彼とそのブレーンであった下村治、田村敏雄の3人に焦点を当てた物語である。 池田勇人といえば「所得倍増」である。 著者が戦後最大のコピーというこのキャッチーなコピーもさることながら、実現不可能と言われた経済成長率を彼らは見事に実現させた。 紆余曲折を経て彼らは出会い、歴史の1ページに名を残した。 一国の総理ですら挫折を味わったのだと思うと、親近感が湧くと同時に、当時の彼の想いを想像すると切なくなる。 丹念に取材されていて、読みやすくとても面白かった。

    0
    投稿日: 2016.02.15
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    池田勇人とそのブレーン下村脩、更に後援会の田村敏雄という大蔵省における敗者三人が、所得倍増計画を作って実行していく様子なので、果てしなく地味な話ではあるものの、なかなか皮肉な運命が散見されておっていやはや。

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    投稿日: 2015.11.25
  • もっと下村治を!

    諸君は偉大なる下村博士のことを御存じであろう乎?御存じない。嗚呼、それは大変残念である。(坂口安吾と鹿島茂のパロディです。ご容赦を) 電子版で読める下村治関連書籍が本作だけとは、実に実に実に惜しい!残念である! こういう分野は、意見、価値観も様々だから人に勧めるものではないけど、賛否いずれにしてもこの稀代のエコノミストを忘れることは実に惜しい! 講演集を国会図書館で読みましたが、1行を読めば1行に驚きました。生意気を言いますが、今の時代こそ、下村治を読み直す必要があるのではないでしょうか。 【追記】 これまで「バックパッカー向け作家」と思っていたのは、なんという不明だったんだろう。もの凄く、骨太なノンフィクションだ! 下村治、目当てで買ったので、池田勇人と田村敏夫はノーマークでした。時代が呼んだか、世間が呼んだか、いずれにしてもこんな漢気(おとこぎ)ある奴ら滅多に現れない。 畏れ入りました。

    1
    投稿日: 2014.11.25
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    所得倍増と言う言葉を中心に、これを達成する上で欠かせない池田元首相、下村治氏、田村敏雄氏の敗者の烙印を押されつつあった三名によりなされた奇跡を描いている。共に個性がはっきりしており、しっかりとした調査でより克明に描いていると思う。何故奇跡の様な事が結果として起きたのか、池田勇人が首相になる少し前に安保反対などで、何方かといえば劣勢だったはずを打ち撥ね退けたのかが分かる気がする一冊。

    0
    投稿日: 2014.05.08
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    確かに所得倍増って言われても、 それは月給のことなのかGDPのことなのか、 はたまた他の何かなのか、言われてみると良く分からない。 後の世代に生まれた者としては、 とにかく「景気の良い時代だったのだ」、 というだけの印象が大きい。 そういう曖昧模糊とした「所得倍増」の成立ちを、 池田勇人、田村敏夫、下村治の生を通して視ていくのは面白い。 そこには様々な意図、偶然、思想、人が絡んでいたのだ。 「テロルの決算」もそうだったが、 読むことで近代史に目を向けたくなると思わせてくれるところが、 この本の素晴らしいところだと個人的に感じる。 「未完の六月」は是非書いてほしかったが。

    0
    投稿日: 2014.05.03
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    所得倍増という池田政権下でのあまりにも有名なスローガン、未来を知る者にとっては時代の趨勢として割合に自然と実現したかのような印象をもっていたせいか、スローガンが世に踊る前、そして高度成長期においても大半の学者、政治家は高度成長に懐疑的、批判的であったんだということに、ちょっと驚く。スローガンだけに終わらせず、実現を信じて政策を実行させる力となったのは財務エリートたる大蔵省の中枢、ではなく、それぞれ出世コースから一度離脱を余儀なくされた敗者の3人だった。 人の縁、時の運、いくつもの偶然が隠されていたんだなぁと、あとがきを読みながらじんわりとした。 ノンフィクションの醍醐味を味わえる一冊では?

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    投稿日: 2014.01.21
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    1960年代を代表する制作「所得倍増計画」を作り上げたのは池田勇人、田村俊雄、下村治の三人の敗者だった。 「1960年、「反安保」の運動に火が付き始めた頃まだ小学生にしかすぎなかった私は、のちに「安保闘争史」といった書物を読むたびに、なぜかくも急速に「安保」後の政治状況が保守の側に有利な流れになってしまったのか、どうしても分からないと感じることが多かった。(中略)しかしいま、保守、少なくとも池田勇人とその周辺には来るべき時代を見通すひとつの歴史観があったことが理解できる。歴史観というのが大袈裟ならば、日本を動かしていく時代の流れを察知し、その未来を構想する能力があった。」(『危機の宰相』p.237より引用) 著者がこの歴史的出来事を、上記の軌跡を中心として、「敗者性」の共通という視点からまとめなおしていたのはおもしろかった。 歴史的事件をただ教科書通りに読んでしまうのでは全くつまらない。 著者の視点を通じ、ひとつの出来事を見なおしていく作業の魅力がノンフィクションにはあると思う。 三人に共通する「敗者性」、戦争によって変わった運命、所得倍増計画が三人を通じてどのように世に出て行ったのか。 ここら辺がこの本の面白さだ。

    0
    投稿日: 2013.05.25
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    所得倍増をキャッチフレーズに高度成長を突き進んだ1960年代について池田勇人・田村敏雄・下村治を中心に描いたノンフィクション。デフレで給料も上がらない今、「所得倍増」に現実味があった時代がうらやましく思える。池田・田村・下村は3人とも大蔵省のなかでは敗者に見られていたという切り口は面白い。もっとも、通常の敗者ではありえないんだけど。

    0
    投稿日: 2013.02.05
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    『所得倍増計画』を「どのように」誕生させたかではなく、「なぜ」誕生するに至ったのかを書いている。 つまり、「実行・実現」のプロセスではなく、「構想」の段階のプロセスが主題になっている。 そのため、『所得倍増』が実現していくうねりのような臨場感はこの本では再現されていない。 時系列をあまり意識していない章立てにも原因はあるのかもしれない。 かといって、面白くないわけではなく、国政の内幕に触れたことが無い身としては、政策どのように生まれるかが分かって新鮮だったし、政治家や官僚の志というものも分かって、もっと政治というものを前向きに捉えようと思えるようになった。 また、構想をまとめあげ、それを政策として実行する者としての「政治家」、その政治家に具体的な案を出し、策を作り上げる存在としての「ブレーン」という、国政における役者の立ち位置や存在意義が分かったので、これから投票に臨む上での一つの立脚点のようなものが見つかったのも大きな収穫だった。 それから、物語の本筋とはあまり関係がないが、「永遠の正論」というワードチョイスと事象の捉え方には、著者・沢木耕太郎の持つ視点の凄みが見えた気がする。

    0
    投稿日: 2012.11.01
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    日本近代史に詳しくないので知らないことだらけでした。 高度経済成長の始まりにいた池田内閣の話。 人として政治家として応援したくなる人物たちですが、今もこういうマジメな政治家がいるんだろうか。 経済学や経済学者がどんな働きをしているかも、少しわかってきた。

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    投稿日: 2012.10.23
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    高度経済成長とは何だったのか・・・ 所得倍増とは何だったのか・・・ この閉塞感漂ういま、日本が輝いていたと思われる時代が、 いったいどういったものなのかを知りたかった。 それにあたり、本書を読んでみたのだが、 やはり、60年代というのは、輝いていたのだと思った。 もちろん、テーマは政治であるが、 いかんせん、下村治の異色ぶりに感嘆させられる。 キーワードは大蔵省だ。関係している人たちの出自が大蔵省。

    0
    投稿日: 2012.04.29
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    所得倍増計画! 戦国最大のキャッチコピーを今一度考えてみようかと。 沢木耕太郎は、旅ものじゃなくても、いいんだー。これは面白い! それにしても、骨のある政治家って、何処にいたんだろう? 次は吉田茂でもよむか。

    0
    投稿日: 2012.01.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

     “GOOD・LOSER”(良き敗者)だった三人の男たちが、キャッチコピー「所得倍増」のもと、日本の経済成長(ゴールデン・シクスティーズ)を演出する。  半世紀後の現代、日本経済はピークアウトして久しく、むしろ六重苦に悩む。この困難な時代にこそ、悲観と楽観、夢と現実等、対極のバランス感覚が必要でなかろうか。  「世界の静かな中心であれ」。筆者が語るよう、三島由紀夫の一文が身に染みる。

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    投稿日: 2012.01.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    1950〜60年代。大蔵省の3人の男は、多くのエコノミストが経済悲観論を唱えるなかで楽観的かつ所得倍増計画を打ち出した。奇しくも3人の共通点は大蔵省の「ルーザー」であった。

    0
    投稿日: 2012.01.10
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    「所得倍増」を産み、実行していった三人の男の物語。 しっかりと政治を行うためには、政治家のぶれない意志と、これを方向付け、支えるブレーンが欠かせない。また、そのブレーンが生み出す政策も、大局観に立っており、未来を見据えている必要がある。そんなことを改めて感じさせる。 現代に置き換えて、過去ほど分かりやすい目標が失われてしまっていることを考慮しても、政治家・ブレーンともに、日本を預けるに値する者が見いだせないでいる。それは、偶然世に出ていないだけだという指摘があるかもしれないが、結果が出せていない以上、そのように結論付けるほかない。 現代のリーダー待望論はまさに、そのようなチームを国民が熱望していることの現れなのであろう。そう思えば、やたらタレントなどの目立つ人が期待されることも、ある意味で仕方のないことかもしれない。 ただ、やはり本物のリーダーは、長い年月をかけた積み上げが、最後に花咲く一瞬の時を、国民に捧げるということでしか生まれない様に思う。

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    投稿日: 2012.01.03
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    本書は所得倍増にかけた三人の敗者の物語です。首相となった池田勇人、政治面を影で支えた田村敏雄と政策面を支えた下村治。本書を読むとかつては確かに志をもった人達がいたという事が良くわかります。 久々に人間の凄味を描き出すような良質なノンフィクションを読みました。

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    投稿日: 2012.01.03
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    かの有名な「所得倍増計画」が池田勇人内閣の下で喧伝されるに至るプロセスが描かれている。池田自身、そして経済政策における下村治・田村敏雄という彼のブレーンも大蔵省の出世競争からは取り残された非主流派であったことが大変興味深い。また、優れた政策や計画の実施にあたっては立案者と遂行者(および両者を架橋する者)が必要であり、彼らの役割分担について考えてみると現政権がこだわった「政治主導」がなぜあれほどの混乱を招いたのかがよくわかる。うちのボスが折に触れて言う「大学職員プロデューサー論」にも通じる部分がある。

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    投稿日: 2011.12.31
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    池田勇人、田村敏雄、下村治の3人を中心に所得倍増計画がどのようなプロセスによって実現に至ったのかを綴った本。日本復興のためには経済の成長が不可欠だと考えた池田勇人の慧眼とそれを陰から支えた田村敏雄の辛抱強さ、所得倍増計画の立案者だったエコノミストの下村治の鋭さにはただただ感動。

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    投稿日: 2011.10.14
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    そう、高校の受験のときに感じた違和感が わかる本だった。 池田勇人の内閣時代に所得倍増計画という 経済面がキューにくるんだよね。 ここでの設備投資という背景での経済大国化の 実現はすばらしい。これがなければ今の日本は ないかもね。だって隣の韓国をみれば日本が 世界第2位の経済力なのは、違和感というか 不思議だもん。 最後のブレーンである下村治が言ったらしい 高度成長からゼロ成長へとオイルショックで転換 していく話は示唆がある。 そことは別に今の日本は別の意味でのひずみを 産業構造の変換ととらえ政策転換、実行できる 政治家がいれば更なる経済規模の拡大と この本で言う「静かなる世界の中心」= 王道をすすめるはず。

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    投稿日: 2011.08.27
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    1963年生まれの私にとって、「所得倍増」と言うキーワードは何となく懐かしいイメージしかありませんでした。このビジョンがどういう過程を経て命を吹き込まれ、70年代に突入したかが、丁寧に、そして説得力のある文章で書かれていて、とても読み応えのあるノンフィクションでした。やはり沢木耕太郎は凄い!

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    投稿日: 2011.08.15
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    所得倍増の夢、3人の敗者が挑む。 ノンフィクション、その時歴史が動いたの素材としてそのまま使えそう。 城山三郎とはまた違うのだろう。 しかし、読ませる内容ではある。

    0
    投稿日: 2010.10.31
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    沢木耕太郎らしい叙情的な作品。なんにせよ高度成長期には夢があったが結局それも欧米のキャッチアップという目標が明らかであったためだ。

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    投稿日: 2010.06.07
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    若いころ、沢木耕太郎氏のファンだった。「一瞬の夏」「敗れざるもの」「深夜特急」等々、それこそ貪るように読んだ記憶がある。 しかし、年齢を重ねるに従って、沢木氏の持つ優しさが少し鼻につくような感じがするようになって、いつの間にか氏の作品から遠ざかってしまっていた。 本書は久しぶり(10年ぶりくらいか)に読んだ沢木氏の作品である。 久しぶりに手に取ってみた理由だが、本書の舞台は1960年頃という高度成長期の日本であり、以前からこの時代についてもう少し知りたいと思っていたからである。 本書はその高度成長期の真っ只中のド真ん中にいた、首相の池田勇人(はやと)と、有名なコピー『所得倍増計画』の中心人物、下村治。そしてその二人の仲立ちをした田村敏雄の三人を描いたノンフィクションである。 読んでいて意外だったのは、とにかく『熱い!』のである。登場する3人も書き手である沢木氏も。ただ、その熱さの表現の仕方がそれぞれ異なっており、そのコントラストがまた素晴らしい。 この3人、頂点にたどり着くまでに文字通り、死と向き合わねばならないような苦難を経ており、キャリアのなかでもいわゆる「負け組」と目されていたのである。 その非常な苦難を乗り越えて来た彼らの取ったものが、『所得倍増』という究極の楽観論。ここにある意味での凄みを感じたのは沢木氏だけではないと思う。 久しぶりに「志」という言葉(僕なんかもう殆ど忘却の彼方だ)を思い浮かばせてくれる作品だった。 前編通じて興味深いのだが、最後のある部分で、恥ずかしながら大泣きしてしまった。きっと、いつの間にか失ってしまった大切な「志」というものに触れることで、心動かされたのだと思う。 テーマは非常に地味だが、これを読んで興味を少しでも持って下さった方なら、是非読んでみていただきたい作品である。

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    投稿日: 2010.03.13
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    端整で磨きぬかれた文体で、池田勇人をめぐる人々が日本経済の成長に賭けた熱意が描かれる。特に下村が印象的。

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    投稿日: 2009.07.20
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    ☆未読了 ・グッドルーザーとしての体験 ・理想を語る人間、論理を突き詰める人間、理想と論理をつなぐ人間 ・理想と論理を繋ぐ人間にはなれるかも ・政治家の役割とは。ブレーンの必要性と重要性 ・人を惹きつける言葉の威力。「月給2倍」ではなく「所得倍増」の必然

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    投稿日: 2009.06.28
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    池田内閣が、現在の日本の政治構造を構築したのでしょう。本書を読む限り、池田首相の志は高かったと思う。その後に続いた政治家は果たしてどうだったか。同じタイミングで「深夜特急」を読みましたが、沢木耕太郎は、こんな本も著していたのですね。

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    投稿日: 2009.03.19
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    1).目次 省略 2).筆者の主張 省略 3).個人的感想 ・池田勇人が所得倍増計画に基づき、日本が高度成長を成し遂げた経緯がノンフィクションとして書かれている。 ・池田のブレーンとして活躍した田村、下村はいずれも、大蔵省出身で、大蔵省では全く活躍出来ない不遇の時代を過ごしていた。 ・首相になった池田は、30前後の数年を大きな皮膚病で休んでいたが、大蔵省に復帰し、太平洋戦争の結果、大蔵省の上司が排除された玉突き的に次官や出世街道を歩んで総理になった。最後は喉頭癌で死んだが、30歳前後では人生どうなるかわからないことの証明であり、いろいろな人に目を向けて、人生頑張っていく必要があると感じた

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    投稿日: 2009.01.02