Reader Store
吉里吉里人(上)
吉里吉里人(上)
井上ひさし/新潮社
作品詳細ページへ戻る

総合評価

59件)
3.7
14
16
18
2
2
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    井上ひさし『吉里吉里人』新潮文庫 読了。東北のとある村が日本から分離独立を宣言する長編小説。金本位制、先進医療、食料エネ自給自足、タックスヘイヴンなど、奇想天外な切札を駆使して独立の実現を目指す。相当くだらないが、独立戦略は大真面目。序盤に吉里吉里語の講釈に紙幅が割かれ親切であるw

    0
    投稿日: 2024.10.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    初ひさしが本書。なぜか吉里吉里というワードが脳内に残っていて、ネット古本屋にて入手。売れない作家・古橋健二を狂言回しにして、吉里吉里国独立の瞬間から、日本国を相手取った独立闘争をユーモラスに描く。<引用>日本国の国益だが言う物、もう真平……『国益の為だ、増産すろ!』『国益の為だ、減反すろ!』……ズーズー弁で訴えかける国の横暴がひしひしと伝わる。話が横道に逸れることが多く、上巻は午前6時の独立から半日程度しか経っていない。冗長感は否めないが、作品の世界観を理解する役には立っている。

    0
    投稿日: 2024.08.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    情報小説  三読目。日本SF大賞受賞。  小説全体、たいへん下世話で、下ネタが苦手なひとは読まないほうがいい。とにかく性器、性行を連想させる下ネタばかり。下ネタ大好き中学生ならぐいぐい読める。  ストーリー展開が奔放でめっぽうおもしろい。東北から吉里吉里国が独立するのだが、そのための切札をたくさん控へてゐる。その説明で蘊蓄の渋滞だが、とにかく説得力が高い。おれにでも分離独立できるのではないか、と感じ入ってしまふ。  中巻でケイコ木下が出てきたあたりから、すこしダレてくる。  ところどころ、都合よく進展させるために、古橋といふこの単純な人物造形にしたのだらうと気づいた。  比喩は下手。このころの井上ひさしはまだ途上だったなあ。晩年の『一週間』になるとさすが。

    0
    投稿日: 2024.03.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    井上ひさしの作品を初めて読んだ。 津軽弁には馴染みがあるので、「あーこれこれ」とは思うものの、吉里吉里語の台詞を文章で読むのはなかなか大変。結構読み飛ばしてしまった部分もある。 完全に本題とは外れた箇所だが、主人公古橋の、昔の記憶障害、記憶増進症のくだりは面白かった。 井上ひさし自体が完全な左派なので、そういう思想からこの物語が書かれたんだろうなぁというのがよくわかる作品。 印象に残っているフレーズ。 「吉里吉里語を話すときは、 (こんなズーズー弁とよく似た外国語を勉強してなんの役に立つんだろう。他人から笑われるのが関の山ではないかしらん) と、なんのいわれもなく劣等感を持つように努力してください。このいわれもない劣等感があなたの口の動きを固くし、曖昧にします。そしてそうなってはじめて、あなたは生粋の吉里吉里人と較べてもほとんど遜色のない吉里吉里語かの発音をわがものとなさることができるでしょう。」

    0
    投稿日: 2024.03.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    この作品は物凄く混沌としている様に見えるよう作られている。読みにくいとか余計な脱線があるという意見もあるようだけれど、世の中、世知辛さ、情、抵抗活動、どうにもならないもの、無念、舞台は田舎であるし、秩序でできた煌めく小綺麗な文章でこの独立運動がもし書かれていたら、それは吉里吉里人の話ではない。 現代のコスパタイパ思想に浸かってしまう学生時代に、この作品を読めて良かったが、社会人など時間に追われるようになると、この作品の無駄さ、豊かさなどは、味わうのは難しいかも。 それと政治の諸問題をこんなに分かりやすくした物語は珍しかった。 日本から独立するって話は、昔、村上龍なども書いていたように記憶しているけれど、きちんと独立して平和に世を治めたハッピーエンドの話は読んだ事がまだない。ライトノベルだと別世界を統治する系の話はよくあるようだけれど、日本が舞台で、政権を転覆させてそれをやるのは難しいのかしら。と、これを読んだ当時、思っていた。

    0
    投稿日: 2023.10.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    吉里吉里人が並べ立てる理論はどれも骨太で,何よりも愛国心に満ちている点で一見手強そうに思えるが,天上からの暴力には無力であった。この筋が何を示唆しているのかは,現代だと少し意味合いが変わってくるだろう。 文章の大半は悪ふざけの域であり,ここは読者の好みの分かれるところだろう。私は読んでいて面倒だと感じることのほうが多かった。

    0
    投稿日: 2023.10.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    文章力はすごいし、ルビを東北弁にするなど、普通の小説に比べて並大抵でない労力がかかっているとは思う。しかし、東北に縁がある人しか楽しめない話なのではないかな、と思うのは自分が東北人だからか?3冊もあって長いが、どう風呂敷をたたむのか見てみるか。

    0
    投稿日: 2023.10.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    抱腹絶倒とにかく面白い。ジャンルを言うなら妄想小説R15指定。主人公のオッサンにイラッとしながらもぐいぐい引き込まれていきます。  出会いは行きつけの大型書店。奇抜なタイトルが目に入って書棚から手に取り、表紙の絵に惹かれてペラペラ捲って見る。ルビが多い小説だと思ったらなんと東北弁訳。期待値マックスでレジへと直行でした。  物語はと言うと・・・これが実にえぐい話なのです。小説が醸し出す独特の世界観に酔います。まずはご一読あれ。

    0
    投稿日: 2023.07.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    くだらないユーモアで笑いっぱなし、唯一無二の圧倒的な引力を持つ大名(迷)作。 井上ひさしに特別な思い入れは無いが、本作品に関してはボリュームに怖気付かず是非読んでほしい。 壮大な群像劇仕立て、一冊約600p(×3冊)の狂ったボリュームだが、あっという間に読ませてしまう所に、当時の井上ひさしのギラつく力量を感じる。

    3
    投稿日: 2022.09.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    日本から分離独立を宣言した東北のとある山村を巡る顛末。 時にユーモラスに、時に下世話に、あっちへ行ったりこっちへ来たりしながら饒舌に語られる。 まだ国鉄のグリーン車で煙草が吸えた、古き良き時代の作品。

    0
    投稿日: 2022.04.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    かつての師に勧められた事を思い出し、読んでみた。 日本でとある村が吉里吉里国として独立を宣言したというあらすじから、御伽噺のようなものを想像していたが、国とはなんなのか、考えさせられるものになった。 吉里吉里人は、独自の言語や通貨を持ち、資源等も自給体制を整えて、政治的な大義名分なども掲げている。明治、昭和の大合併でのマイナス面を考えさせられた。 また、「国」の定義は民族の括りだけではないという事を再認識させられた。 主人公に関しては、初めはいけ好かない印象だったが後半には同情のような感情が芽生えた。

    5
    投稿日: 2021.09.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    うーむ。設定や言い回しは面白いのだが、物語の展開のテンポが今ひとつ。もっと、読み進めたら、盛り上がってくるのか、中、下巻に期待。

    6
    投稿日: 2020.11.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    上中下巻と、面白くて一気に読んだ。吉里吉里人を読みながら、日本の内部で吉里吉里国が独立するという設定がイスラム国の比喩のようにも取れたし、また『横浜駅SF』を思い出しもしたし、あらゆる吉里吉里に関する要素が百科事典的に記されている様はメルヴィルの『白鯨』のようでもある。それにしても、日本で『白鯨』のような大きな物語を持った古典に『吉里吉里人』が相当すると考える人はあまり多くないかもしれない。国の内部で国としての独立を立ち上げる視点は大江健三郎の『芽むしり仔撃ち』そのものだし、日本は日本国内での独立、地方の自立をカノンとして持っているというのは、英文学やフランス文学にはあまりない特徴のように感じる。

    2
    投稿日: 2020.08.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    空前絶後。 奇想天外。 抱腹絶倒。 前代未聞。 なんと言い表せばいいのか分からない。 日本から独立した、吉里吉里国。 日本の中にあって、日本ではない国。 吉里吉里国で繰り広げられる、悲喜劇が幕を開ける。

    4
    投稿日: 2020.05.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    学生時代に読んだと思うが、あまり内容を覚えていない。 ふと思い立ち、再読することに。 Kindleで三冊合冊のものを買うが、長い・・・ そして、あまり笑えないのだが。 困った(現在1/3 を読んだあたり)。

    0
    投稿日: 2020.04.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    岩手の山奥の人が吉里吉里国として分離独立しようとするところから、国とは何か、国民とは何かを考えさせる作品。授業でやりました。

    1
    投稿日: 2020.03.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    お話の内容がおもしろそうだし、テーマに興味があったし、いろんなところのレビューを読んでおもしろい!との評判だったので、とても楽しみに読み初めたのですが…横道にそれることがあまりにも多くて、正直、ここ要らないんじゃという箇所ばかりで、かなりというか、多分半分ぐらいは飛ばして読みました。飽きてくるし、冷めてくるし、いまいち話に入り込めず、それでもなんとか上巻読了。どうなるかは気になるけど、続きは読みません。ネタバレ検索かな。平成の大合併でかなりどころか虫の息の地方にとって、夢のある話だし、実際、できるところもあるんじゃないかしらと思ってしまいました。そうなると、今は一人勝ちの東京が大変なことになるかも。

    0
    投稿日: 2019.08.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    宮城の端の吉里吉里という町が日本国から独立するというお話。 本筋はすごく面白いのだが、話の中心である古橋のサイドストーリーとか、横道にそれる話題が非常に多く、飽きる。早く吉里吉里国について教えてほしい。 中盤からページをくってもくっても吉里吉里国の話にならないので、脱落してしまった。

    0
    投稿日: 2019.02.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    東北の一地方が突如、独立を宣言し、「吉里吉里国」となる。旅客列車が止められて旅券を拝見とは⁉︎ なかなかの発想ですね。時々、クスリと笑わしてくれる。 主人公の古橋健二は自伝小説を書いた小説家。 この騒動に巻き込まれて、国賓扱いを受けていたが、となることから裁判に掛けられ犯罪者扱いとなる。次の巻が気になりますね。

    0
    投稿日: 2018.09.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

     一応「SF」小説だと言うから読んだのだが、かなり期待の斜め下を行く作品だった。 SF的ガジェットは無くもないが、ほとんど冗談のような医療技術に負う所が大きいからだ。  東北の一寒村が日本政府に対して独立を唱えるという発想は面白い。 そしてその手法が軍事独立ではなく文化的戦略による独立である事も。 色々言うとネタバレになってしまうのだが「吉里吉里国」の戦略は用意周到かつ大胆、しかしどこか肝心な所が抜けている。  本作は上中下の三巻にも及ぶ長編だが、作中の時間はたった二日にも満たないという「ロミオとジュリエット」にも負けない強行軍だ。 それだけ出来事が濃縮されているかと言うとむしろ逆で、暇な時には主人公古橋の過去話やどうでもいい回想が挿入される形式になっている。 一応日本国の自衛隊が鎮圧に乗り出したり卓球ワールドカップを開催したり最終的には吉里吉里国の最終防衛ラインである大病院でドンパチやらかしたりといった山場はあるが、余分な所をカットすれば一冊に収まったのではなかろうか。 もっとも、その「余分な所」も含めてこの作品のユーモアであるから判断が難しいところではあるのだが。

    0
    投稿日: 2018.06.22
  • 辞書片手にゆっくり読みたい

    文庫本は3巻で1500頁という大作ですが、その気になれば2日間で読破できるはず……です。なぜなら、筆者には「小説内の1日半の出来事と、読者の読み進む時間が一致するように書く」という実験的意図があったらしいので。そうやって一気読みし、娯楽SF作品として理屈抜きで楽しむのもありです。が、発表から30年も経っていることもあるので、辞書を片手にゆっくり読み解く、という方が、より作品を理解できると思います。 例えば文中には「ア式蹴球」とか「白河夜船」とか、確かに昭和の時代には普通に聞いたけど、今はちょっと分からない、という言葉が数々出てくる。また、主人公の古橋(小説家)の失敗作の例として「目腐心中」なんて作品が出てくるが、これは筆者の直木賞受賞作「手鎖心中」のセルフパロディかと思われます。こういうのも元ネタを知らないと楽しめないので、疑問が出てきたら調べながら読む、というのがいいように思いました。

    1
    投稿日: 2016.05.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    面白い上に、内容が濃いです。余計な話がたくさん出てきますが、全く飽きさせません。上中下巻で1,500ページほど有りますが、あと二冊、楽しんで読めそうです。

    0
    投稿日: 2016.02.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    東北の小さな村、吉里吉里が日本からの独立を宣言!吉里吉里国を名乗る。馬鹿げた話なんだけど、あの手この手に手が凝っていて面白い。 無駄な会話、話の本筋には不要な余計な描写が数多くあるのだけど、ユーモアのセンスに富んでいてかなり笑えて嫌に感じない。 この吉里吉里国独立宣言時にたまたま居合わせた、売れないダメ作家の古橋。この人のエピソードがまた非常に笑えた。本筋には全くもって不要だと思うけど(笑) 上巻だけでさえもかなり長かったけど、ただ長いだけじゃなく面白い。引き続き中下巻も楽しみです。 敢えてジャンル分けするなら、「SFコメディ」でしょうか(笑)

    0
    投稿日: 2015.12.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    吉里吉里語版の宣戦詔書で天皇の一人称が朕コになるとこめっちゃ笑った。日本の中心と辺境の関係性を笑いながらひっくり返そうという試み。長いけど続きも頑張って読みたい。

    0
    投稿日: 2015.11.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    吉里吉里人 上 もうね、馬鹿げた話です! ある東北の村が日本から独立して一つの国になるという(笑) 東北なんで訛りがひどすぎる!笑える!! 読むのなかなか大変だけど、ぜんぶ読み終わったら立派に東北訛りをゲットできるかも! 話は右に左に斜めに逸れてなかなか進まないけど、これまたのんびりした感じで楽しい!!

    0
    投稿日: 2015.08.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    井上ひさしが博学すぎて引く。 とんでもなく冗長でまだるっこい展開は、筒井康隆の「虚人たち」に近いものを感じる。まだるっこいのに、ページをめくる指が止まらないあたりも似ているぞ。 てなわけで、中・下巻もひと思いに読みます。

    0
    投稿日: 2015.08.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    日本からの分離独立を宣言した、東北のとある村、吉里吉里。ちょうどそこを走っていた電車に乗っていた古橋は他の乗客らと共に不法入国で捕らえられ…。 東北の言葉を文字にしたものを読むことが今までなかったので、すごく面白かった。吉里吉里語の解説本の章は特に。主人公はしょうもないキャラクターだし、話の寄り道も多い。作者の遊び心が満載。 面白いんだけど読むのにだいぶ時間がかかってしまった。あと2冊あるので、最後まで気持ちを保てるか?!

    0
    投稿日: 2015.02.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    『吉里吉里人』は、中学だったか高校だったかのときに友人に強くおすすめされたものの、結局読まずじまいだった大長編。今回は長門有希の100冊に入っていたのを機に読了。 東北のある農村が突如として独立を宣言、著述はおもしろおかしくも、経済、医療、税制、農政、国防など様々な側面から国のあるべき姿を問うた傑作…という評価もあるようだが、個人的には今一。アイデア自体は秀逸だが、無駄に長いだけという印象で、悪ふざけも過ぎる。

    0
    投稿日: 2015.02.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    あまりにも退屈で、残念ながら途中で断念。吉里吉里村が独立したことはわかった。ただ、あとは読みにくい文章、「これ必要?」というような意味不明な設定・描写が延々と続く。最後まで読めば良さがわかるのだろうか?そこまで我慢できなかった。「小説」というよりは「娯楽小説風な企画モノ」といったところ。

    0
    投稿日: 2014.11.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    2012年の11月に買ったまま、あんまり長いので途中で放ってしまっていた本書。ついに腰を入れて読み始めることができました。 これでもかこれでもか、って程、ネタをぶっこんでくる作歌魂に驚嘆。細部の演出がすごい。吉里吉里語の説明箇所とか。描写が映像的で、読みながら吉里吉里国を頭の中で作っていける感じ。主人公・古橋の汚いおっさんぶりのキャラ立ちの良さ、汚いおっさんなのに読み手の同情を誘うような、憎めなさ。 どのシーンから書き出すべきかを延々説明する冒頭の書き出しから、上巻ラストまで、ページをめくる手を止めさせないエンタメ小説。しかも、ただのエンタメじゃないのがすごいよなあ、1973年から一部を執筆、1981年単行本化とのこと。自分が生まれる前の作品とは思えないくらい、今読んでも吉里吉里人の根底にある問題意識を含めて、リアリティ感じる。 P106 「わたしたちはもう東京からの言葉で指図をされるのはことわる。わたしたちの言葉でものを考え、仕事をし、生きていきたい。わたしたちがこの地で百姓として生きるかぎり、吉里吉里語はわたしたちの皮膚であり、肉であり、血であり、骨であり、つまりはわたしたち自身なのだ。わたしたちがわたしたちの言葉でものを考えはじめるとき、中央の指図とはまっこうからぶつかる。そのようなとき、これまでわたしたちは泣く泣く標準語や共通語に自分の頭を切りかえたのだった。しかしそれはもはや過去の語り草となった。百姓は百姓語によって生きていかねばならない、学者が舶来の横文字を支えに生きているように。…」

    0
    投稿日: 2014.08.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    面白い!! 物凄く面白い!! 最初の吉里吉里語講座も熱心に読んだので、その後の吉里吉里語の会話もバッチグーで読める。 ただあまりに熱心にやったお陰で、時々普通の会話中に”今のを吉里吉里語で言うと○○だな”と頭の中で翻訳してしまうのが、ちょっと…ね…笑

    1
    投稿日: 2014.06.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ある村が日本から独立し一つの国家となる。 ハチャメチャな設定です。 それにしても、この人の話は独特です。文脈から余分なものを削ぎ落としていったものを鋭い文章と言いますかが、この小説はその逆。 文脈に余分なものをどんどんつけることにより、それが独特のリズムを呼ぶ。 日本刀の鋭さはないもののの、鈍器のように破壊力は抜群。 いつの間にか引き込まれます。

    0
    投稿日: 2013.08.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    十数年ぶりの再読を開始。「ふりがな」という日本語特有の表現方法の可能性をとことん追究する井上ひさしの超絶芸を堪能しています。

    0
    投稿日: 2013.06.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    上中下巻読了。東北地方の一村が、ある日突然日本からの独立を宣言するという荒唐無稽な物語。新国「吉里吉里国」の国策をもって現代日本の問題点を浮き彫りにする。こう書くと崇高だが、進行はまるでドリフのコント調。上中下3巻ずっとコントはチト辛い。短編なら良かったのに。

    0
    投稿日: 2013.06.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    文庫版(全3巻)で読む。 主人公である作家の視点で東北の村・吉里吉里の日本からの独立騒動を描く。 全体的にテンポは良いが、主人公のバカさ加減には多少イラつくことも。 震災後の被災地に対する政府や東電の対応を見ていると、本作はただのフィクションでは納まらない気がしてくる。

    0
    投稿日: 2012.07.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    東北の寒村が突如日本からの独立を宣言する—今まさに地方自治が叫ばれていますが、究極的には地方が自立することが肝要です。 吉里吉里という地名は現在は岩手県大槌町に残っています。もともとはアイヌ語で砂浜を意味するそうで、東北地方でも「木里木里」と呼ばれる地名はかなり多くあったそうです。 農作物が豊富に採れ、地熱や薪炭といったエネルギー源もある東北地方は、自給率という観点では優秀な地域なのですが、政治的にはずっと虐げられてきた感があります。 夜行列車で上野に労働者が出稼ぎに行き、雪深い冬はおしんのように耐えて過ごすといった高度成長を支えてきた東北地方のイメージは、福島原発の事故によって変わりました。 今こそ東北地方が独立するくらいの意識を持って、国づくりを進めることが求められています。

    0
    投稿日: 2012.04.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    吉里吉里国は日本から分離独立すると宣言した東北の一寒村。 独立を認めない日本との攻防は激化していく(‥のか?)。 上巻は吉里吉里国の切り札が徐々に明らかになっていき、さて日本はどう出る?という展開。 途中、主人公の半生が紹介されたり、吉里吉里語のテキストの内容が紹介されたりするのだけど、その辺のバランスが非常に不思議。 え?ここを掘り下げるの?とついつい笑ってしまう。 それまでいい加減な人に見えていた主人公が、(いい加減はいい加減なんだけど)すごい苦労人に思えたりとか‥人に歴史ありだなぁ。 吉里吉里国はどんな歴史を作っていくのだろう。

    0
    投稿日: 2012.04.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ブックナビ7周年の記念の定例会!今回も様々なジャンルの本と出会い、有意義なひとときを過ごすことができました。

    0
    投稿日: 2012.03.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    個人的に、『国家反逆』カテゴリーに含めている作品(ほかには筒井康隆「俗物図鑑」、小松左京「日本アパッチ族」、大江健三郎「同時代ゲーム」)。

    0
    投稿日: 2012.01.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    初読は大学受験の頃なので、今から25年程前になります。国際法や為替、笑いもありの正にザッツ・エンターテイメントな作品でした。

    0
    投稿日: 2011.12.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    東北のとある村が独立を宣言した! 才人、井上ひさしによる社会派エンターテインメント。もう面白いのなんの。東北弁に翻案された日本国憲法にうならせられたり、随所に出てくる国際法の知識に仰天したり、それはそれはもう素晴らしい作品です。 すごいよ、井上ひさし。

    0
    投稿日: 2011.10.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     3月11日の大震災以後,というよりそれに引き続いて起こった福島第一原発の事故以後,ちょっと話題になっていた本です。  東北地方の一寒村・吉里吉里村が,ある日突如として日本国からの分離独立を宣言し,「吉里吉里国」を作る,というお話。吉里吉里国は独自の国政方式を敷き,これまで「ズーズー弁」と蔑まれてきた東北方言を「吉里吉里語」として公用語に定め,金本位制の独自通貨「イエン」を導入し,次々に新国家としての体制を整えていきます。機動隊か自衛隊を投入すれば瞬時に片が付く,と高をくくっていた日本側も,吉里吉里国が次々に繰り出してくる「切り札」を前になすすべもなく翻弄されます。騒動に偶然巻き込まれた三流作家・古橋健二を中心に,吉里吉里国の分離独立闘争を描いた作品です。  「独立闘争」などと書くと重苦しい感じがしますが,作品は全編にわたって明るくのんきな感じです。吉里吉里人たちの繰り出す「切り札」が,例えば自衛隊の介入に対する切り札が参加人数わずか3名の国際卓球大会だったりして(なぜこれで自衛隊を追い返せるのかは作品をお読みいただきたい),真正面からの力押しで独立を勝ち得るのではなく,知恵を使った戦い方にうならされます。  しかしその背景にあるのは,これまで長きにわたって虐げられてきた東北地方の現状です。日本の工業化・高度成長の陰で常に泣かされてきた東北の人々の不満が,吉里吉里村を分離独立に踏み切らせたのです。食料自給率は100%,電力も地熱発電で賄え,小国家ゆえに自転車で事足りるため石油燃料に頼る必要もない。自分たちの手ですべてをうまく回していけるのに,なぜ日本政府の命令に従って苦しい生活をしなければならないのか…という言い分です。  この作品が書かれたのは1981年,今から30年も前のことですが,東北の受難は今もって変わりがありません。日本の農政は30年前から今に至るまでずっと,東北の農村に農業の単一化・機械化を推し進め,機械代と化学肥料代で農村を借金漬けにしました。減反政策は深刻な農業離れを生み,若者は農業と故郷を捨てて都会へ出,税収の減った地方自治体の財政は破綻し,そこへ莫大な補助金を伴って原発がやって来たのでした。そう考えると,井上ひさし氏が東北の怒りを『吉里吉里人』にぶつけた30年前から(作品を読むとわかりますが,実は30年どころではなく300年前から受難は続いているのですが),現状は変わっていないどころかより深刻化していると言えます。東北の一寒村の独立という冗談のような物語をハラハラしながら読みながら,そういう視点を持つことができたのが良かったです。  作品の半分ぐらいはそういう真面目な話で,もう半分はほとんど下ネタなので,誰にでもお勧めできるというわけではありません。性的な話題にそれほど嫌悪感がないという方はどうぞ。

    1
    投稿日: 2011.10.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    日本国から独立した、東北地方の小さな村…斬新な考え方ですね(^.^) でも、昭和の文学だからかなり長編(^^ゞ

    0
    投稿日: 2011.09.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    konnokは仙台弁のページを開いているので「吉里吉里人」(きりきりじん)はおすすめの本になります。ちなみに私の本棚には仙台に戻ってからずっとこの本がおいてあるのですが、気力が充実していないと読み始められないのでまだ読み直してはいません。井上ひさしの小説は「言葉」にこだわりのあるものが多く、面白く読むことができます。

    0
    投稿日: 2011.07.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「吉里吉里人(上・中・下)」井上ひさし ”全体小説”。特になし。 いや、っていうかレビュー書けないや。 自分が今まで読んだ小説の中で確実に5本の指に入る内容量の圧巻。 感動系でもなく純然たるSFでもなく文学でもなく、なんだろ。 とにかく読んだら読んだで(良くも悪くも)読み疲れる大作かと。 異常です。あわわ、間違えた。以上です。

    0
    投稿日: 2010.12.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     出だしの読みにくさはすごい。翻訳小説かと思った。  1章の半ばまで行く頃には面白くなってくる。  日本から独立する吉里吉里がどうしようもない(思想はまともなんだけど笑える)、主人公のおっさんがどうしようもない。全体的にアレな感じで笑える。  田舎に帰って親戚と飲んでたらおじさんが話し始めるようなどうしようなさ。  面白いけどオススメしにくい。下ネタ+方言が大丈夫ならぜひ。

    0
    投稿日: 2010.09.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ・11/7 ひさしぶりだ.しゃれでなぐ.Book Offに3冊まとまってあったから迷わず買ってしまった.なつかしいかもしれないが、あまり覚えてないな. ・11/16 読了、かな?あんまり最近忙しくってこれ書いてる暇もない.余裕もない.

    0
    投稿日: 2010.09.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     何ともユニークな話。東北のある地域が独立を目ざし日本と戦う。  東北弁が猛烈に大量に出てくるので、一筋縄では読めない。。個人的に東北弁に馴染みがあるつもりの自分だったが、苦戦した。複雑怪奇な東北弁に妨げられて、なかなか読書がはかどらない。  でも、物語はおもしろいから、中巻も買ってきた。

    0
    投稿日: 2010.08.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    恥ずかしながら、なぜか私、これを何だか違う系統の古典と勘違いしておりまして。 4年間、新潮文庫3巻組みに手を出せずにおりました。 先日、作者死去の報に(ミーハーながら)ようやく手にとってみましたところ、 娯楽作品? と。 * 発想が自由、なようで実直というか。 言葉とか、わからなくなりそうだなぁ、と。 星新一が、電話のダイヤルをまわす、を番号を押す(なんていうんだ?)に書き換えるような作業を繰り返してた、みたいな話が出てきてしまいそう。 (SFなのに、ではなくSFだからこそ。) * 当然、いまはわかるし、なるほどなぁ、と思うようなことも結構ある。 ぽろぽろと気晴らしに読み勧めるつもり。

    0
    投稿日: 2010.06.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    おもしろいが・・・ 話のスピード感がなく ズーズー弁の解説とか、 吉里吉里国憲法の説明とかが いやになってくる ゆっくり読んでいく タイプの本なのかな。 「トヌキ」はおもしろかった 続きは…挫折かも

    0
    投稿日: 2010.06.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    東北地方のある小さな村が、ある日突然独立国家になった。 たまたま取材旅行で東北に向かっていた作家、古橋はそのおかしな独立国の中で、日本という国の矛盾を知っていく。 コミカルに描かれてはいるが、「国家」というものの暗黒面はゾワリと粟立つ気持ちがする。 使い分けられた文体、言葉遊びの面白さ、丁寧に調べられた方言の細かさ、知識すべてに驚かされる。 文庫で全3巻

    0
    投稿日: 2010.05.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ある日突然、東北のある村が独立した。彼らは自分たちのことを「吉里吉里人」と名乗った。 突然の独立に騒然とする日本人たち。独自の世界をいく吉里吉里人。愉快な設定です。 内容は凄く興味をそそられる。なんだけど、なんか気持ち悪い。生理的に気持ち悪い。 でも読んでしまう。そんな話。

    0
    投稿日: 2010.05.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    高校生の頃、井上ひさしの作品で初めて読んだ本でした。 見返してみたら、上巻は文庫の初版でした(中・下巻は4刷)。 文庫になるのを待っていて読んだのだったなぁ、確か。

    0
    投稿日: 2010.05.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    言わずと知れた井上ひさしの代表作 ズーズー弁といわれる東北地方の、おそらく宮城県と岩手県の境あたりの言葉の教本にもなるすばらしい娯楽小説です 読み応え充分

    0
    投稿日: 2010.03.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    これは傑作ですね。 独立国家吉里吉里国。その思想とシステム。 井上ひさしっていうだけで食わず嫌いであまり読まないんですが、 これは意外にもとても面白かったです。

    0
    投稿日: 2009.12.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ある日の早朝、日本国から突如田舎の小さい村が独立宣言をしたことからこの物語が始まります。吉里吉里語も読み応えあり。

    0
    投稿日: 2009.09.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    77/100 No.62「長門有希の100冊」 81年 第33回読売文学賞、82年 第2回日本SF大賞受賞作 小説家 古橋健二が旅行雑誌の取材のため東北へ しかし目的地にはたどり着けず、列車が通過するはずの途中の村が突然日本からの分離独立を宣言したのだ。 突飛なお話です。 吉里吉里語なる東北の方言が可笑しいし、合わせてお話途中にある古橋の生い立ちも笑える。 記憶を一時も留める事が出来ない病気を患い、ある出来事が切っ掛けで一転、記憶異常増進症という奇病にとりつかれる・・ このくだりが面白い。

    0
    投稿日: 2009.08.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    日本国に対して愛想を付かした東北地方の吉里吉里村が日本から突如独立を宣言し独自の国家を形成する話。 日本の諸問題に対してズーズー弁を交えて面白く言及している。 また、憲法九条に関する記述があり、偶然にもタイムリーな話題も盛り込まれている。

    0
    投稿日: 2006.11.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    実はわしが持っているのは、文芸書。話題だったんで買ったものの、あまりの分厚さにいまだに読む気にならず。

    0
    投稿日: 2006.05.02