
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
著者の板谷氏は、証券業がバックグラウンドの方。海外駐在や機関投資家営業等を経験し、キャリアの最中に著述も始めた模様。 本作は、そのような板谷氏による、金融史を世界レベルで見たまさに金融世界史の本。 ・・・ まず読んで感じたのは、良くも悪くも広範な守備範囲、ということ。 よく言えば包括的となるのでしょうが、悪く言えばまとまりがない、という事になりましょうか。また、証券業出身の方らしく、株式マーケットに関する記述が多かったという印象です。 ・・・ 上記の印象は、私の過去の読書から来ております。 先ず、米国金融史でいうと『アメリカ金融革命の群像』をかつて読みました。こちらは米国の近代金融史にフォーカスが当たっており、内容は具体的。割賦販売やクレジットカードの発展だとか、投資信託の始まりとか、現在我々が当たり前に使っている金融商品が米国で難産の末に産み落とされた歴史が綴られます。 また日本でいえば銀行の歴史、とりわけバブル前後にフォーカスを持ってきた『ドキュメント銀行』はこれまで日本の銀行が、戦後どのような体制でバブルを迎え、そして再編へとたどり着くのかがよく理解できます。 ・・・ 然るに本作、とにかく広い。日本だけでもない。米国だけでもない。現代だけでもなく、何なら古代の貨幣制度、そして金利の仕組みからモダンポートフォリオ理論のその先まで。 改めてですが、世界史の名に恥じないカバレッジ。 その中で私が一番面白かったと感じたのはやはり現代、15章:投資理論の展開、でしょう。 証券投資の世界では市場効率仮説という話があり、世の中の情報というのは瞬く間に共有され(効率化)、情報格差によって他人を出し抜くということは極めて難しい、とします。従い、株式投資においては素人も玄人も基本的には同じ情報に接しており、保持する情報では差がでない、とします。 こうした内容はひとえにアクティブ投資を否定する運びとなり、逆にインデックス投資主義者を濫造することになるのだと思います。 他方、バフェットのような天才がバークシャーの株価をインデックスを上回る成長率で成長させてきたことを見ると、これはアクティブ投資にも理があるケースもある、となります。 この、インデックスかアクティブかのBlack and White型の議論ですが、筆者の結論は、『市場はほどほど効率的だけど一部はやはり非効率』という、こなれた妥当な結論になります。中小型株効果などを取り混ぜ、概ね市場は効率的だが、一部の投資家(ファンドマネジャー)はマーケットに評価されていない割安株を見つけられる、というものです。 とても分かりやすい説明になっていると思いました。 ・・・ そういえば、私の元同僚がファンドマネジャーとかやっていますが、彼とバフェットを比べられうるかというと…。あいつは普通のやつだなあ。 ファンドマネジャーを天才かどうかなんて素人はなかなか見分けられないですし、サラリーマンは本業こそがメインですから(同語反復!)、本業やプライベートに最大限コミットしつつ世界成長をフォローするのならばやはりインデックスなのでしょうかね。 投資はなかなか難しいっす。 ・・・ ということで板谷氏の作品は初めて読みました。 私の大好物の歴史と金融をミックスした素敵な作品でした。 サブタイトルに戦争とか入っていますが、そこまで戦争の金融について気になりませんでした。きっとこれはこれで専門書を読んでもいいかもしれません。 巻末の参考図書などを見て、関連図書を読んでゆきたいと思います。
0投稿日: 2025.07.24
powered by ブクログ難しかった。 「金融の世界史」と言うよりは、「金融から紐解く世界史」と言った様相に感じられ、世界史と地理の教養がないと結構厳しいと思ってしまった。 自分には世界史と地理の知識があまりないので、地名を言われてもちんぷんかんぷんだったりした。 さすが新潮社だなと。 しかし、章ごとのトピックは面白く、ひとつひとつゆっくり読むと、そーなんだーと思うことばかりだった。
6投稿日: 2024.10.28
powered by ブクログ実務家が書いた歴史の本なので、あまり期待はしなかったけど、面白かった。特に筆者の現役の頃の話は、エビデンスはともかく、当事者の記憶なわけで、時代の雰囲気が分かる。
0投稿日: 2023.05.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
金融の世界史と題してあるだけあって、世界の有史以来からの貨幣の成り立ちから市場の構築まで、幅広い分野の話が網羅されています。 抑えてる範囲が広いだけあって、各分野の詳細は省き気味なのは仕方ないです。 ただし著者の貨幣観が商品貨幣論なので、著書内での金融史の説明がどこまで正しいのかは怪しいところ。
0投稿日: 2022.06.12
powered by ブクログメソポタミア文明からリーマン・ショックまでの金融の歴史を網羅。当時の政治的背景も併せて述べられており、立体的に理解できる内容となっている。
0投稿日: 2021.08.29
powered by ブクログ知人で大学の先生から頂き、拝読しました。 非常に興味深かったです。 見通しよく、本質的に重要な関連事項が巧みに整理されていて、尚且つ随所に著者の高い教養が滲み出ていて、大変勉強になりました。 金融の歴史は人間の欲の歴史。人間の営みの歴史。 風が吹けば桶屋が儲かるというような形で、順を追って歴史を紐解く事で、複雑化してみえる金融の本質が見えてくるように、分かりやすく興味深い雑学満載で解説、案内されています。 今ある金融の仕組みには、必ず存在意義があります。 今の金融の様相は、どんなに複雑に見えても、必ず人の欲や営みが生み出すことには変わりはない事、人は必ずしも完璧に合理的でなく、それが複雑性を生み出す事なども、歴史的具体例が挙げられていて、よく分かりました。 単に歴史を紹介するのでなく、金融の本質とは何かについて考えさせてくれる本です。 帳簿、利子、貨幣、市場、先物、株式、保険、他金融商品、その生い立ちが非常に分かりやすく整理されていて、金融初心者にとって、非常に読みやすく、大変良い本だと思います。
0投稿日: 2021.08.24
powered by ブクログ2020/12/18金融の世界史 板谷敏彦 金融の歴史について博識 人類は進歩せず 同じ過ちを繰り返している 1.冒険貸借 航海ビジネス→プロジェクトファイナンス 利子ではなく保険料 財産権の侵害 国王への貸付は踏み倒される →破産 預金封鎖も同じ エリザベス女王ドレイクの海賊ビジネス=ベンチャービジネス 2.大航海時代で欧州の優位性 コロンブスの「多様性」vs中国「明の永楽帝」鄭和の大遠征 価格革命-新大陸の銀・インフレ-新興勢力の活躍、 印刷-宗教革命 グローバル化 閉鎖的な価値体系 異質が価値 利益をもたらす 資本が差異を失わせる 東インド会社 全ての航海を一事業 永久資本 3.鉄道事業 大規模な資金調達 株式会社の発明 エージェンシー問題 1899年時価総額の63%が鉄道株 1861年南北戦争国債発行に苦慮 投資銀行クックが個人向けに販売 4.ワイマール共和国 ハイパーインフレ 賠償金負担 物価上昇 マルク安 輸出堅調 ドイツ経済は好調 国債発行 短期債を中央銀行引き受け 長期債の発行へ振り替えが難航 通貨増発へ 仏国の賠償金過大 ドイツ経済の疲弊 ナチスの台頭 対仏戦争 戦勝 復讐の連鎖
1投稿日: 2020.12.18
powered by ブクログ前半から中盤は、時代時代における金融がどういったものだったのかの説明。この辺りは通貨や利子の話なので、歴史が好きな人であれば素直に楽しく読めると思う。 中盤で株式や債券が出始めたあたりから、歴史と金融の実態の解説が半々になって来る。株式や債券が何なのかわからない人には辛くなってくる。 後半、デリバティブズやファイナンス理論のあたりまで来ると、一通りの簡単な金融と経済学の用語を知らないと、多分読めない。殆どの単語の説明が不足してるので。 前半と後半で大分趣きが違う。 誰であろうとも前半は読んで置いて損は無い。面白いし為になる。 後半は、金融の意味はわかるがピンと来てない人(自分)の、教養の醸成にピッタリな内容。銀行とか証券会社とか良く分からないし怖い(これも自分)という人にオススメ。
1投稿日: 2020.10.22
powered by ブクログ金融が、古くは農業の発達から戦争、グローバル化など、人間活動の結果必要に迫られて発展し現在に至ることが良くわかった。金融の発展により歴史が動いていることもわかり、世界史の見方が変わった。
0投稿日: 2020.09.01
powered by ブクログ金融とは金の融通であり、余剰や信用、借金が社会を大きく動かしてきた歴史がおもしろい。ランダムウォーク理論の時代背景や考察はとても参考になった。
0投稿日: 2020.06.25
powered by ブクログ金融に関わる仕事をしているが、正直内容は難しかった。利子の話から始まり、国債や株の話に遷移して行くが、普段あまり考えない(正確には、ふと疑問に思うけど、考えるのをやめてしまう)ような内容が書かれていて、考えながら読む必要があった。それなりに金融の用語を知っている必要があるのと、一度は自分の頭で色んな金融商品の仕組みを考えたことがある人だとかなり楽しめるのではと思う。自分も歴史と交えて金融をこんな風に話せるようになりたいと思った一冊だった。
0投稿日: 2020.02.02
powered by ブクログ前作日露戦争資金調達の戦いが面白かったので読んでみた。古代メソポタミアのハムラビ法典では貨幣より先に利子の概念が定められていた、ところから始まり、現代のリーマン・ショック後に至るまで金融の歴史を追っていく。範囲が広いだけにやや教科書的な簡素さもあって、のめりこんで読む、って感じにはならなかったが、それでもチャップリンの映画「街の灯」にまつわるエピソードや、筆者がニューハンプシャー州の土産物屋で買った「月へ行く鉄道」というビデオの舞台がブレトン・ウッズだったり多様な観点から結びつけてストーリーを紡ぐ博識さはさすが。そして思ったのは、〇〇GDPだとかの用語や株価のグラフの見方など、超基本的な知識は付けとくべきだなと。俺は経済学部で何してきたんやっちゅう。
0投稿日: 2019.10.09
powered by ブクログ粘土板が貨幣の代わりであった時代から、リーマンショックまで、金融という人の欲望渦巻く歴史の話。時系列で整理してあり、一つ一つの話は理解できたように思うが、全体としての流れはイマイチピンとこなかった。何らかの価値判断のもとに、筋道立てて書かれている方が、個人的には理解しやすい。通史を書こうとすると、どうしても羅列的になってしまうのだろうか。となると、一つ一つのエピソードやそれに対する考察が見どころだが、笑ったり深く頷くような感動が、あまりなかった。 学生の頃から、感覚的に投資銀行のようなお金でお金を増やす仕事が嫌だった。先物取引で、ひたすらレバレッジをかけて、仮に利益が得られたとしても、それは誰かが損をしているだけだ。世の中に、富が増えたわけではない。だけど、金融が発展してきたことで、生活者も恩恵を受けられる。ローンを組んだり、普通の投資をしたり、保険をかけたり。一概に金融を否定はできないと、改めて思った。使い方一つで、毒にも薬にもなるのは、多くの物事と同様だ。 人の生活のベースに、経済や金融はある。その理解なしには、世の中の動きはわからない。通史という形で、歴史を学んだが、もっとそれぞれの背景にある思想的な部分を知りたいと思った。なぜ、金融の歴史は過ちを繰り返すのか、その理由が知りたい。
0投稿日: 2019.07.25
powered by ブクログちまたに溢れる『○○の世界史本』と同様、金融についての本質を探るための世界史の探訪ではなく、 金融について筆者の知っている歴史を語る本ではあるのだが、 雑学に逃げず、世界の金融の中心地の変遷と金融技術の発展に的が絞られており読みやすい。 ・貨幣より先に誕生したメソポタミアの金利 ・ギリシャの貨幣、両替商、オプション取引 ・法社会ローマにおける財産権の確立 ・キリスト教、イスラム教に忌避される金融業 ・イタリア都市国家で発達する会計技術と銀行業務 ・大航海時代と株式投資 ・アムステルダムにて誕生したオランダ東インド会社と証券取引所 ・ロンドンでの国債と保険の始まり ・初めてのバブルと恐慌 ・アメリカにおける鉄道株式市場の勃興 ・戦争と愛国的小口投資 ・二次大戦前のドイツのインフレと大恐慌 そうした全体での流れに加え、要所要所で日本の状況が挟まれ、最終的には現代での投資理論のさわりに至る。 本書で語られるのは歴史的事実の概要とちょっとした感想のみであり、詳細や考察は皆無。 良くも悪くも学校の教科書的なので、当然抑えておきたい知識ではあるのだが、これを読んだからと言って何かが出来るようになるわけではない。 中学高校の授業で『お金』の授業をやるとしたら、信用と経済の話が中心になるだろうが、そんなときに本書で過去の経緯を学べると、より実感を持つことが出来るかもしれない。
0投稿日: 2018.11.11
powered by ブクログ雑誌連載を本にまとめたもの。前著ほどのインパクトはないが気軽に読める 銀行による信用創造の起源として「ゴールドスミス説」。金匠は貴金属を預かって預り証を発行する。そのうち預り証が流通しだす。すると必ずしもゴールドを引き出さなくなるので、金匠は預かった以上のゴールドを貸し出すことができるようになる。貸したゴールドもまたすぐに金匠に預けられる 新大陸からの銀でスペインでは1世紀のあいだに物価が4倍にもなる。価格革命。インフレは地代収入により安定していた領主層や下層の民衆の生活を脅かす一方で、商工業の発展を促した。 イギリスが重商主義にはしって金銀の海外流出を規制したのでアメリカはポンド不足に。このためメキシコ・ドルが流通した。2001年まで米国株の呼び値は1/8ドル単位、これはピース・オブ・エイト(銀貨をペンチで等分していって1/8に)と同じ 岩井克人「ヴェニスの商人の資本論」 利潤は差異から生まれる=利潤を追求する者たちによって差異は埋められていく 堂島の延米取引。奉行所は差金決済だけの取引をなんども取り締まった。賭博行為、または米価上昇の原因と考えていたと思われる→300年以上たっても同じ議論ですな 会社法制度。州単位で立法するアメリカのほうが誘致競争がはたらいて対応が進んだ。1837年にコネチカットで株式会社設立が登記だけでできるようになったのを皮切りに多くの州で障壁を下げる方向へ。それまでは特許会社のようにいちいち法律がいったりした 日本の株式市場は第一次大戦の特需相場の反動で下げたあとずっと1930年代にいたるまで低迷していた。関東大震災もアメリカの大暴落も、すでに下げていた市場にはさほど大きなインパクトを与えなかった。陰鬱である 1950年代の配当革命。株式は不確実であるために歴史的に長期債券利回りよりも高い利回りが要求されていた。それが株式は長期保有により成長の果実を受けられるとの認識とともに利回りが逆転した。なお2012年時点で再逆転しそうだと(たぶんそのまま再逆転した気がする。長期停滞論とリンクする?) 日本のバブル相場。ワラント債で調達した資金が株式相場に還流して株高=ワラント高でまた発行の図式は、南海会社事件なんかと一緒 効率的ポートフォリオって要は市場全体と同じ比率ってことなのか。効率的フロンティアはなんか実測できなさそうだし。理論はあるのだろうが インデックス・ファンドのマネージャーたちは運用コストを低減させる方法を数多く開発した。インデックス・ファンドによるまとまった貸株がなければ個別銘柄を空売りするヘッジ・ファンドも成立しなかっただろうと CAPM→3ファクター(小型株効果、バリュー株効果)→4ファクター(モメンタム!) 結果からいえば株式市場はまったくのランダムでも完全に効率的でもなかった ドットコムバブルで米国株式市場がピークした2000年以降はSP500の実質値は微減トレンドで調整中(ここ数年は多少上げたか?)名目値との違いに注意 「ブラジルは将来のある国だ。ただし問題は100年ものあいだ、いつも将来のある国だったということだ」20年ほど前のブラジルの船乗りの言葉
0投稿日: 2018.11.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
新潮選書の特徴なのか、おもしろくないというか、読む気が続かない。 ・在庫管理のために文字を発明。 ・利子は貨幣の前にあった。
0投稿日: 2018.10.10
powered by ブクログ金融の通史と言えるかどうかはともかく、貨幣、有価証券、デリバティブズ、簿記、為替など、およそ金融に関する古今東西の歴史的エピソードがてんこ盛り。時系列順に並んでいて、一話一話も短く、読みやすい。
0投稿日: 2017.11.18
powered by ブクログ13章以降、金融の基礎知識がないため挫折気味。しかし、前半の大航海時代などの話は胸踊る楽しさだった。金融の世界史 世界史をお金の観点から考える本。自分自身来年から金融業界で働くことに決まったので、金融の起源に興味をもって読んだ。大航海時代が、いまでいうベンチャー投資のような時代であったという話が面白い。航海を志す人々が、資金力のある王家にプレゼンをして、資金援助をもらい、航海が成功した場合に香辛料などの売買で生まれた富を配当金として受け取るという仕組みであったという。コロンブスはインドへの計画を様々な王家にプレゼンテーションをして何とか資金援助を受けて航海に出ていった。そうした歴史的航海の数々がほんの5年ほどの間におこり、いわゆる大航海時代がスタートし、最終的に多くの植民地を持ちえたために産業革命に成功し、西洋がその後の世界の覇権を握るという流れがある。ここで面白いのが、当時の中国において鄭和の大船団がアフリカまで到達していたということ。そしてその船というのが当時の西洋とは比べ物にならないほどの技術力と規模を誇っていたという事実。しかし、結果としてモンゴル帝国の拡大による国防費の増大により、鄭和の航海計画は志半ばとなった。筆者は東西の権力の在り方について語り、東洋はおうおうにして意思決定機関がとても限定されていて、統率力がある反面、一人のトップの判断で歴史が変わってしまう。一方西洋は、意思決定機関が複数あり、コロンブスの様なベンチャー青年がほかに断られても結果的に航海に繰り出せるという点で、統率力こそないが一か八かで大発見や大成功が起こるという見解を述べている。歴史にIFは禁物というが、鄭和の大艦隊が喜望峰を回り、ヨーロッパ、さらには大西洋を渡りアメリカ大陸まで到達していたらと思うと、なんだか面白い。その他、歴史的事件をお金の側面から描く本作は、歴史好きにとってはとても面白い読み物だろう。ただ、自分は金融に関する用語や経済学について無知であったゆえに現代になるにつれて理解度が加速度的に低下してしまったのが悲しい。いずれ読み直した時には、現代の金融史を楽しめるようになりたい。
0投稿日: 2017.06.09
powered by ブクログ金融の歴史を概観。全体の流れがあるというよりは細かいトピックに分けているので気楽に読める。金融関係者であればどこかで聞いたことのある話でサクサク進む。
0投稿日: 2017.05.05
powered by ブクログ世界史の中で金融に関する話を抜き出した本。 前半はお金の成り立ちから始まって中世、近代と流れる中で大きな出来事を取り上げてる内容。 中盤で戦争と絡む部分は日本に関する話が多くなり、一般的な話と違った世界観を感じ、また、戦争と金融の密接な関係が描かれている。 最終章は投資理論の展開となっており、複雑怪奇になった現代の金融の理論的背景の解説となっている。 雑誌に連載、寄稿したものを基にしてるので、全体的に小話の集まりといった印象。 小話として容量が膨らまない話は取り上げられていないようで前半部分は金融の世界史と言うには物足りないが、副題にもある通り戦争と株式市場を巡る話はかなり具体的に書かれててとても興味深かった。
1投稿日: 2017.03.31
powered by ブクログ金融とは何か。デフレ、インフレ、バブルが繰り返される。人間の欲が生んだ悪弊か、叡智の営みか。金融を考えるきっかけになる。
0投稿日: 2017.02.26
powered by ブクログこの分野は特に巷に乱雑な本が溢れているので、日本人の書いたものを読もうという気はあまりしていなかった。しかし、これはなかなかよい本で、脱線しない程度によく調べてあるという印象を受けた。 どの本からの引用かというのがわかりやすいので、概要を掴むのに良い。特に国内の事象については海外の本だとあまり言及がないので、そういう意味でも理解が深まってよかった。
0投稿日: 2015.12.31100年後の金融史にアベノミクスと各国の通貨切り下げ競争はどう評価されるのだろうか
メソポタミアで農耕が始まった頃に原始的な徴税のしくみが生まれた。穀物の再分配のためには記録が必要になりシュメールの粘度板には在庫管理だけでなく不動産取引も記録され所有権移転のしくみがあった。ハムラビ法典には銀や穀物の貸し借りに対する利子の規則が定められている。ちなみにまだ貨幣は発明されていない。小麦であれば順調にいけば1年後には当時のメソポタミアでは20倍以上に増える。1年後の小麦が貸した方から借りた方に移転していると考えれば返す時には量を増やして返すのは当然のように思える。これが利子の発明だったのかもしれないのだ。 金融派生商品デリバティブの歴史も古い。世界最初のオプション取引はギリシャ時代にアリストテレスから世界初の哲学者と紹介されたタレスがやったものだ。タレスはある年のオリーブが豊作だと予測しあらかじめオリーブオイルの搾油機の使用権を買い占めた。予定通り豊作になるとタレスは搾油機の権利を売り大もうけした。手付金をオプション料と考えればいろんなものが取引できる。 銀行、為替、株式、保険などいろいろなものが大きく発展を始めたのは大航海時代からだ。複式簿記、減価償却などもこのころにはできて来ている。グーテンベルクの印刷機は書類の偽造を困難にしヴェネチアに銀行が生まれた。それまでも現物の貨幣の両替は行われていたが、帳簿と手形だけで決済や資金の移動ができるようになったのだ。一方で信用の創造は17世紀のロンドン、預かった金に対する預かり証が貨幣の代わりに使われ、ゴールドスミス(金の保管業者)は預かった金以上の貸し出しが可能なことに気づいた。新大陸で発見された大量の銀はメキシコ・ドルとして世界中で流通した。イギリスの海賊フランシス・ドレイクがペルーからパナマ経由で大量の銀を持ち帰り次いで太平洋横断から世界1周公開を企画した。これに投資したエリザベス1世は大儲けし対外債務を全て返済しさらに余った金で東部地中海のイスラエル辺りを開発するレヴァント会社に出資した。この会社が儲けた金で作られたのが東インド会社だ。東インド会社を首になった中には有名な海賊ジャック・スパローもいる。 国債の誕生はイギリスの名誉革命から。それまでは戦費を国王の個人的な借金でまかない、たびたびデフォルトしたり、貨幣の作り替えでインフレにして借金を返済したりしていたが、権利の賞典により王の権限が制限され主権が議会に移った。これにより借金の主体は王個人ではなく国家に変わった。保険の歴史も古いが1678年にロンドンのロイズ・コーヒーハウスでは海上保険が売買されるようになった。投資家は航海が無事に終われば分け前がもらえる変わりに損失が出れば無限責任を負う。 戦後のターニングポイントは1971年のニクソンショック。このころ日本の一人当たり実質GDPはイギリスに追いついた。ニクソンショックから生まれたのがシカゴの先物市場、為替やモーゲージ債、原油など値のつくものは何でも商品になるのはここからが。そして76年には金利先物が生まれ81年に適法になる。現物決済が不要な商品が生まれたことでマネーの受け皿ができてしまい後のサブプライムローン問題につながっていく。そして85年のプラザ合意で円高が進むとともに政府の低金利政策は続きバブルが生まれた。ドル建てで日経平均を見るとニクソンショックから89年の最高値まで年率30%で上がり続けた。 現代史では市場は効率的かそれともそれとも投資家がインデックス投資に勝てるのかの議論が興味深い。1896年から2012年までのNYダウの日時収益率をデーターに取ると中心部はきれいなベルカーブを描きランダムウォークをしているように見える。しかし、正規分布であれば合計29850日のデーターのうち5%以上の上下をする確率は0.22日分しか無いはずなのに現実にはブラックスワンは97日も存在していた年に1度は異常値がでることになる。それでもインデックスに勝ち続けるのはウォーレン・バフェットなどの1部の投資家だけのようだ。バフェットも重視している時価総額/GDPという値を見るとバブル崩壊後は60〜100%で推移しており2013年はおよそ90%になっている。
1投稿日: 2014.11.16
powered by ブクログ◼︎2014/08/17 読了 ◼︎金融に関する歴史を概観できる。 ◼︎特に55話以降は現在にもつながる歴史であり、読み応え十分。
0投稿日: 2014.08.17
powered by ブクログメソポタミアで農耕が始まった頃に原始的な徴税のしくみが生まれた。穀物の再分配のためには記録が必要になりシュメールの粘度板には在庫管理だけでなく不動産取引も記録され所有権移転のしくみがあった。ハムラビ法典には銀や穀物の貸し借りに対する利子の規則が定められている。ちなみにまだ貨幣は発明されていない。小麦であれば順調にいけば1年後には当時のメソポタミアでは20倍以上に増える。1年後の小麦が貸した方から借りた方に移転していると考えれば返す時には量を増やして返すのは当然のように思える。これが利子の発明だったのかもしれないのだ。 コインの発明は金、銀を一定の比率で同じ重さに切り分けたものから。原料費と額面の差額が発行者の利益になった。紙幣の場合は素材には価値が無く信用が元になっている。宋の時代には手形が発達しこの証書が貨幣の変わりとして使われたことから紙幣が使われる下地になった。政権の権威が凋落すると紙幣は流通できなくなり金貨や銀貨が復活する。ミクロネシアで使われた大きな石の貨幣も信用が元になっており現物の引き渡しは無くてもよかった。有る時には先祖が削りだした石を持ち帰る時に船ごと沈没したが証言者がいたため貨幣として認められた例もあるらしい。島に来たドイツ人は石にX印をつけ返して欲しければ道路整備のために働けと脅した。島民は破産を怖れて一生懸命働いたそうだ。道路完成後にはX印は消され島民は金を取り戻した。笑い話の様だが同じことは先進国でも起こっている。大恐慌の直後にフランスはニューヨーク連銀にある手持ちのドルを金に換えた。金本位制の停止を怖れたのだが金はそのまま連銀に預けて帰った。ラベルを張り替えただけなので石にX印をつけるのと変わらない。アメリカでは金が国外に流出していると騒ぎになった。 金融派生商品デリバティブの歴史も古い。世界最初のオプション取引はギリシャ時代にアリストテレスから世界初の哲学者と紹介されたタレスがやったものだ。タレスはある年のオリーブが豊作だと予測しあらかじめオリーブオイルの搾油機の使用権を買い占めた。予定通り豊作になるとタレスは搾油機の権利を売り大もうけした。手付金をオプション料と考えればいろんなものが取引できる。 銀行、為替、株式、保険などいろいろなものが大きく発展を始めたのは大航海時代からだ。複式簿記、減価償却などもこのころにはできて来ている。グーテンベルクの印刷機は書類の偽造を困難にしヴェネチアに銀行が生まれた。それまでも現物の貨幣の両替は行われていたが、帳簿と手形だけで決済や資金の移動ができるようになったのだ。一方で信用の創造は17世紀のロンドン、預かった金に対する預かり証が貨幣の代わりに使われ、ゴールドスミス(金の保管業者)は預かった金以上の貸し出しが可能なことに気づいた。新大陸で発見された大量の銀はメキシコ・ドルとして世界中で流通した。イギリスの海賊フランシス・ドレイクがペルーからパナマ経由で大量の銀を持ち帰り次いで太平洋横断から世界1周公開を企画した。これに投資したエリザベス1世は大儲けし対外債務を全て返済しさらに余った金で東部地中海のイスラエル辺りを開発するレヴァント会社に出資した。この会社が儲けた金で作られたのが東インド会社だ。東インド会社を首になった中には有名な海賊ジャック・スパローもいる。イギリスの東インド会社は1航海1事業とした特許会社で出資者が無限責任を持つ共同事業体だった。これに対してオランダの東インド会社は出資者の責任は出資金の範囲の有限責任であり、21年間の全ての航海を一つの事業とした。また株式は誰でも買える近代的な株式会社でアムステルダム証券取引所で株の取引が行われた。 国債の誕生はイギリスの名誉革命から。それまでは戦費を国王の個人的な借金でまかない、たびたびデフォルトしたり、貨幣の作り替えでインフレにして借金を返済したりしていたが、権利の賞典により王の権限が制限され主権が議会に移った。これにより借金の主体は王個人ではなく国家に変わった。保険の歴史も古いが1678年にロンドンのロイズ・コーヒーハウスでは海上保険が売買されるようになった。投資家は航海が無事に終われば分け前がもらえる変わりに損失が出れば無限責任を負う。 ナポレオン戦争でも資金調達は争点になっている。オランダを支配下に置いたナポレオンは金融業者を追い出し、アムステルダムに変わってロンドンが金融の中心になった。戦費調達に困ったナポレオンは1803年フランス領ルイジアナをアメリカに1500万ドルで売った。アメリカ中部15州をまたぎ現在のアメリカの23%の面積を締める。1867年日本では坂本龍馬が暗殺され大政奉還があり、マルクスが資本論を書いた年に世界で初めての国際通貨会議が開かれた。ナポレオン戦争の復興資金は金本位制のロンドンでのポンド建て公債として調達されており、フランスを始めとする国は金本位制を導入し世界的な通貨同盟を支持した。しかし肝心の金の現物なしでは話にならず、銀を売って金を買ったこのため金と銀の交換比率は15倍からアメリカが金本位制を採用した1900年代後半には30倍を超えるようになている。日本は日清戦争での賠償金を元に金本位制を導入し、また日露戦争の戦費調達は金本位制だからこそ可能だった。後に第二次世界大戦に突入する原因となったのは資源の確保が原因だが、これはドル建てであり日本は絹のストッキングをアメリカに輸出してドルを稼いでいた。しかしナイロンの発明とともにいずれは無くなる運命だったことが1996年に機密解除になった外交文書に書かれている。高橋是清の積極財政が始まるまで1ドル2円ほどだったのが金本位制からの離脱により一気に4.7円への急激な円安が進行している。1941年7月以降アメリカの預金封鎖により決済資金のドルは上海などで闇で入手するしか無くなったがこのレートは1ドル8〜9円だった。売るものは無く円安のため資源は高騰と資金面で首が絞まっている。ここだけ見ると今の北朝鮮のような状況に置かれていた様だ。その後は東南アジアに侵攻し自給自足を目指し更なる経済封鎖を受け、例え金を持っていてもドルとは交換できなくなった。東京株式市場は大本営発表を受けて1943年半ばまで上昇を続けたがダウ・ジョーンズ工業指数の底は1942年の4月が底でまだ日本が勝ち続けている時に反転している。 戦後のターニングポイントは1971年のニクソンショック。このころ日本の一人当たり実質GDPはイギリスに追いついた。ニクソンショックから生まれたのがシカゴの先物市場、為替やモーゲージ債、原油など値のつくものは何でも商品になるのはここからが。そして76年には金利先物が生まれ81年に適法になる。現物決済が不要な商品が生まれたことでマネーの受け皿ができてしまい後のサブプライムローン問題につながっていく。そして85年のプラザ合意で円高が進むとともに政府の低金利政策は続きバブルが生まれた。ドル建てで日経平均を見るとニクソンショックから89年の最高値まで年率30%で上がり続けた。 現代史では市場は効率的かそれともそれとも投資家がインデックス投資に勝てるのかの議論が興味深い。1896年から2012年までのNYダウの日時収益率をデーターに取ると中心部はきれいなベルカーブを描きランダムウォークをしているように見える。しかし、正規分布であれば合計29850日のデーターのうち5%以上の上下をする確率は0.22日分しか無いはずなのに現実にはブラックスワンは97日も存在していた年に1度は異常値がでることになる。それでもインデックスに勝ち続けるのはウォーレン・バフェットなどの1部の投資家だけのようだ。バフェットも重視している時価総額/GDPという値を見るとバブル崩壊後は60〜100%で推移しており2013年はおよそ90%になっている。 100年後の金融史にアベノミクスと各国の通貨切り下げ競争はどう評価されるのだろうか。弱い通貨のインフレは既に起こっている。
0投稿日: 2014.02.24
powered by ブクログ金融マン必読。 本のタイトル通り「金融の世界史」について非常に具体的かつ分かりやすく書かれている良書。 短期的な証券マン思考を改めるには、このような「金融史」を学ぶ方が良いと思う。 日々の株価推移、為替推移などのチャートのみを追うだけでは、歴史の一部分を切り取ってみているに過ぎず、なぜ現在の金融経済の世界が出来上がっているのか?という連続性を改めて認識できる本。
0投稿日: 2014.01.04
powered by ブクログ金融の世界史的イベントと発展について、シンプルにエピソードを積み重ねる形で記述している。著者はヘッジファンドマネージャーのようだが、特にバイアスのかかった感じがないのがこの手の本では珍しい。 イギリスの海賊の略奪が民間資本の蓄積に貢献した、ジョン・ローは私腹を肥やさなかった、アムステルダムの東インド会社証券を取引するための都市引き所はロンドンに先駆けること170年前だった、ロンバード街はイタリアのロンバルディア出身のものが多かったから、名誉革命から債券は国王ではなく議会により発行が決議された、 など。
0投稿日: 2013.11.05
powered by ブクログ金融の観点から書かれた世界史の通史です。金融にかかわる部分については、当然、日本に関する記述もあります。古代において貨幣の考え方がすでに出来上がっていたのも興味深かったのですが、株式会社が歴史に登場してきた大航海時代辺りの解説が一番面白かったです。 イギリスがまだ新興国だった時代、スペインから独立したばかりのオランダが実力をつけて、アムステルダムとロンドンの関係が、ニューヨークと上海・インド辺りの関係だったころのイメージが私の中ではダブりました。江戸幕府がオランダとのみ交易したのは、つい最近までアメリカとメインに貿易していたのと重なりますね。 国債や紙幣がなぜ発行されてきたか、その背景には多くの商人が発行元である王様を信じていて裏切られて破産した歴史があることもおぼろげながら分かりました。 今起きていることには、必ず背景があることは、どの世界でも同じなのだなという思いを強くした本でした。 以下は気になったポイントです。 ・戦国時代を描いた歴史小説で出てくる銭1貫は、銭1000枚のこと(p38) ・フランスはNY連銀に預かってもらっている手持ち資金(ゴールド)を売却したが、実際には移送することなく、保管してあったゴールドの一部を別の棚に移し替えた(ラベルの付け替え)のみ(p42) ・中世の地中海交易では、コショウと並んで奴隷が主要製品、奴隷貿易は1807年にイギリスが最初に禁止、1863年にオランダが最後に禁止にするまで続けられた。キリスト教では「肉体を束縛することは精神の救済に役立つ」と折り合いをつけた(p55) ・ユダヤ教でも「外国人からは利息を取っても良いが、同胞からはいけない」と旧約聖書にある(p55) ・アラビア数字は、数学者の間ではセンセーションとなったが、金融分野ではなかなか使用されなかった、アラビア数字は改竄されやすかった、グーテンベルクが印刷金を発明(1445頃)して活字ができてから(p62) ・1672年に英国王チャールズは債務不履行をおこし、債務を引き受けた金匠は破綻した、しかし国債引受に参加できなかった小規模な業者は公証人銀行とともに生き残り、個人向け銀行の母体となった(p70) ・胡椒が腐った肉に使われたというのは間違い、コショウを買える身分の高い人は腐った肉は食べない、あくまで肉を美味しくする調味料、おいしさへの欲求が胡椒貿易へのこだわりを生んだ(p71) ・大航海時代に先立つ鄭和の大船団が7度、インド洋を横断したのはスケールが大きい、137メートルの巨漢を中心に62隻、乗組員2.78万人、コロンブスサンタマリア号は18メートル、ペリー旗艦で78メートル、この事業を止めたのは、万里の長城建設のため(p75) ・スペイン人コルテスが600人でアステカ王国を滅亡させたか、いろいろ理由はあるが、持ち込んだ伝染病が先住民を壊滅させたことによる、1500年に5000万人いた人口(移住した欧州人含む)が、1650年には400万人になった(p76) ・イギリスは重商主義(金や銀貨の海外流出を制限)だったので、当時のアメリカではポンド通貨は不足してため、メキシコドルが広く使われた(p80) ・12世紀に設立されたコーポレーション・オブ・ロンドンは、シティの4分の1の土地を所有、なので、ロンドンには、自治体首長の大ロンドン市長と、その会社の「ロンドン市長」がいる(p91) ・イギリスの東インド会社は、後のインド植民地経営によって存在感が大きくなるが、当初では、オランダン東インド会社の10分の1の規模(p94) ・1600年頃の一人当たり実質GDPは、オランダ:2175、イギリス:1440、最強のスペイン:1370、ポルトガル:1175ドルであった(p94) ・オランダは当時利幅の大きかった胡椒貿易に固執したので、1667年の第二次英蘭戦争において、東インド会社のナツメグ山地でしかないルン島と、NYのマンハッタン島を交換した(p95) ・イギリスでは株式ブローカーはマナーが悪く、王立取引所には入れてもらえなかったので、近くのコーヒーショップ(後のロンドン証券取引所)に集まった(p98) ・オランダチューリップの球根価格が上昇した季節は、球根が土の中にある時期、受け渡しの時期に暴騰した、かわりに先物が取引され、決済は差金決済、暴落が始まったのは3月に現物が入って受け渡しが始まるから(p101) ・オプション、先物取引は世界各地に見られるが、整備された制度をもつ市場としては、堂島米相場会所は世界初であろう(p129) ・17,18世紀のイギリスおよび欧州政府のファイナンスは、アムステルダム市場に依存していた、イギリスは対外債務国であったから(p133) ・英蘭戦争と、フランス革命戦争によるフランス軍の侵入(1795)により、オランダはフランスの衛星国(バタヴィア共和国)となってアムステルダムは衰退、そしてユダヤ商人はロンドンへ移住した(p134) ・戦費に困ったナポレオンは、1803年にフランス領ルイジアナを1500万ドルで売却した、その広さは、現在の領土の23%に相当する(p135) ・米国政府の代理人であったベアリング商会は、アメリカ領土購入のための連邦債を販売してナポレオンのために現金化、フランスの戦後賠償資金もフランス国債を発行した、これらを通じてロンドン金融市場を支配した(p136) ・1837年にコネチカット州において、株式会社設立に法律を作らずに、登記のみですむようにした、大規模な資金を必要とする鉄道事業のため(p144) ・1861年にリンカーンが大統領に就任すると、5日後には、南部連合議会は、北部とは別の財務証券と独自通貨を発行した、これが南北戦争のはじまり(p149) ・日露戦争後の利払い費と借換費の合計である国債費は、国家予算の3割、これは第一次世界大戦の特需により返済した、債務を重ねたロシアは革命によってデフォルト(p158) ・1兆紙幣マルクが1金マルクトナッタ時点で、金貨値を基準とする臨時通貨(レンテンマルク)が発行された、それは、1ポンド20.429マルクであった、国債保有者は額面の40分の1の価値で新国債と交換した、1兆分の1にはできなかった、この損失分がインフレ税(p166) ・1904年当時の東京株式取引所の主要銘柄は、日本郵船、鐘紡、瓦斯、電灯を除くと殆どが鉄道株、ロンドンもニューヨークも同様(p179) ・円は1871年(明治4)により、金1.5グラムを1円とした、金換算すると1ドル=1.003円となる。これは、幕末に流通していた万延2分金(1両の半分)の金換算の延長で、1両=1円とされる(p182) ・1882年に兌換紙幣が発行されたが、兌換対象は1円銀貨、日本は新貨条例で金を基準に円を決めたにもかかわらず、金銀複本位制をとった、日清戦争後に金本位制になったときには、1ドル=2円で固定された(p183) ・1943年に、軍需省を設置、民間会社に対して「軍需会社法」が制定され、重要産業を「軍需会社」に指定し、企業代表者には公務員資格与え、従業員は徴用扱い、法的に勝手に会社を辞めたりできなくなってしまった(p189) ・新円の引出しは厳しく制限されていたが、株を買って売却すれば簡単に「新円」の現金を手にすることができた(p196) ・50-70年代にかけての日本の輸出はGNPの11%程度であり、欧州先進国の半分以下であった(p212) ・戦前に販売した投資信託は、1950年5末に全て償還を終えた(p213) ・レーガン大統領の大きな決断は、航空管制官ストライキに参加した公務員は解雇、再雇用まで禁止、これによりアメリカにおける労働組合主義の敗北となった、これにより公務員解雇は普通に行われるよういんあった(p224) ・ニューヨークダウ平均が正規分布であると仮定すると、2.98万日のうち、マイナス5%以下の日が発生する確率は、実は0.22日しかない。またブラックマンデーのマイナス22.61%という下げ確率は、10の80乗日の確率になる(p250) 2013年9月29日作成
0投稿日: 2013.09.29
powered by ブクログ最初のほうは お金や金融商品のなりたちが描かれ また読みやすくておもしろかったが 徐々にわからなくなっていって 自分に残念 きちんと読めると面白いだろうと 思える本
0投稿日: 2013.09.28
powered by ブクログ科学力や技術力は一見すると進化したように見えるが、貨幣という概念を生み出して数千年、モノの価値を測るモノサシを得た代償として、その次元に拘束されてしまい、退化の一途を辿っているようにも感じる。この次元から超越することを考えていかないといけないな。
0投稿日: 2013.09.03
powered by ブクログ経済に全く疎い自分でも、一応金融史を俯瞰することができた。 先のことはわからないということですね。
0投稿日: 2013.08.26
powered by ブクログ初級者、中級者には大変分かりやすく、面白く読める本だと思います。いたずらに、大仰な言葉で読者を脅したりすることはなく、実はそれでいて、金融の大変な危険性、リスクを冷静に説明してくれる好著です。
0投稿日: 2013.06.21
powered by ブクログ金融の世界ほど歴史を知ることが重要な分野は少ない。大まかに歴史は分かったものの、もう一歩踏み込んで知りたかった。
0投稿日: 2013.06.12
