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永遠の森 博物館惑星
永遠の森 博物館惑星
菅 浩江/早川書房
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総合評価

81件)
3.9
19
32
18
5
0
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    知人におすすめされたけれど、ちょっと合わなかったかも。 もしくは、今の自分がSFを読みたい気分ではないのかも?

    1
    投稿日: 2025.06.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最近の生成AIブームを横目に、そういえば脳内で直接AIみたいなものと会話できる設定の小説があったな、と思い出して再読。 接続するAIのバージョンで性能が少しずつ違って、初期バージョンの人が、会話中にじっとしなければならなくなる…という設定が妙にリアルで印象に残っていた。 前にこの本を読んだときは、まだAIなんてかけらも自分たちの手に届くところにはなかったのに、ほんの20年でここまで来るなんて思わなかった。 にもかかわらず、人がつながった先の女神たちは今読んでも違和感がない、どころか、ChatGPTの先には彼女たちがいるだろうと思えるほどで、作品のすごさを思い知る。 技術の進化は芸術分野から始まるんだと言ったのは、中学のときの先生だったけれど(変わった先生だった)、なんだかそれを改めて実感する。 惑星ごと博物館という舞台と、女神たちと脳でつながっているという設定を隅々まで活かした短編は、心地よく読めるのに、少しずつ引っ掛かりを残し、芸術とはなにか、人が人であることはなにかという大きな問いへの答えまできっちり回収していく構成は見事としか言えない。 全体に漂う“博物館っぽい”妙に静謐な雰囲気と、そこで働く面々のけだるさがなんだかうまくかみ合っていて、とても好きな作品。 なにより、自分と直結したムネーモシュネーが欲しくなる。ChatGPTをちゃんと使いこなせば、近づけるんだろうか。

    0
    投稿日: 2025.05.14
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    こんなロマンティックな SF小説には今まで出会った ことが無かった。 まるで少女マンガの様な設定に、 ギリシャ神話の女神たちの 名を冠したデータベースやAIなどを 組み合わせて、 唯一無二の世界観を作り出している。 普段SFを読まないという 女性の方にもオススメです。

    0
    投稿日: 2025.04.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「これは評価されるべき良作だが私は嫌いだ」というのがこの作品の感想。 芸術を題材にしたSF作品は珍しいと思うが、珍しいだけに終わらず2つの要素がどちらも高いレベルであり(;本編中の芸術に関する記述はどれも本当に美しい)、そこに加えて登場人物の人間描写も緻密である。複数の賞を取るだけの作品だと思う。「嫌い」という思いはこれら物語の本質ではなく、設定や登場人物の性格などが私と合わないことから来ている。 『解説』にあるように本作は6年間(単行本への書き下ろしを加えるなら7年以上)をかけて投稿されたものである。そのためだろうか、途中で作品の雰囲気が変化している。 前半部分は現代に近い時間軸の芸術作品をメインにしており、SFとしての設定は甘めで味付け程度。登場人物も少なく手の届く距離の小さな物語が並ぶ。中盤以降は近未来(;作品内の時間軸としては過去、読者から見ると未来)の技術を用いた芸術作品が登場するようになり、科学的な設定も細かく具体的になって登場シーンも増えるので、よりSF作品らしさが増していく。ひとつひとつの物語のスケールも大きくなり、複数部署を巻き込む話やアフロディーテ全体、さらには博物館を超えた大きさの事件を扱っていく。 SF設定については作品内での科学技術のバランスはあまり考えられておらず、生物学に関する部分は現代から近い未来の堅実な設定であるが、環境工学などの工学的内容はそれよりも進んだやや遠い未来のレベル、物理学に至っては魔法に近いレベルで遠い未来の技術となっている。 特に博物館に関する技術は「魔法」と同義のフレーバーだと感じた。「作品を収納・展示するのに困らない広大な土地と、極端な環境も含め芸術作品を維持・展示するために最適な状況を整える魔法」としてのSF設定(ファンタジーに近い)だと思った。 ただ、本作の面白さは、科学技術が発展していくなかでも人間が美しいと感じる心は失われることはなく、それぞれの技術レベルに合わせた美の表現があると描き出している点であり、また、時代が移っても現代と何も変わることのない人間心理(『解説』に因るなら『どこか傷を抱え苦しんでいる』様子)を繊細に描きながら美と科学技術とも上手く混ぜ合わせている点である。SF設定の粗だけを突くのは野暮というところだろう。 SF設定はやや粗いと思う一方で、未来予想のような科学技術に対する優れた描写もある。 8話のデータベースとの接続を絶たれるシーンでは主人公らが右往左往する様が描かれているが、これは現代でもインターネットから切り離されることで誰もが感じるところではないだろうか。現在は私を含め多くの人が知識や(コミュニケーションも)をインターネット上に”外付け”している。専門家でも論文やデータベースでの検索はコンピュータ任せで紙や脳内に完全に収めている人はまれだろう。インターネットが未発達だった本作の発表当時よりも現在の方が多くの人が実感を持って読める部分ではないかと思うとともに、その状況でデータベース(≒ イターネット)への依存をよくイメージしたなと感心した。 最終話の美和子がガイアを育てるところはAIを教育していく過程(教師あり学習やディープラーニングだろうか)を彷彿とさせる。当時のAIはまだ、事前にすべての情報を辞書のように詰め込んでどんな状況にも対応できる即戦力としての考え方が一般的だったと思うので、その中で機械学習の概念を盛り込んでいるのは随分先進的な考え方だったのではないだろうか。 褒めるところはたくさんあるのだが、嫌いな部分の印象が強く「このシリーズは続きを読まなくてもよいかな」と感じている。 どの話も本題に入ってからは気持ちよく物語が進み、途中の展開も面白く、結末も心が温まるような気持ちの良い余韻を残して終わるのだが、そこに入る前の前置きの印象が悪い。主人公の愚痴(妙に生々しいものもあり辟易する)が多く長く、それに加えて前半の内容では毎回底意地の悪いゲストキャラクターが登場してイヤな動きをし、後半は疑問を感じる設定が続いて導入での不快感が強い。この不快な部分がページ数の半分から2/3を締めるのでせっかく気持ちよく話を読み終えても次の冒頭から「またか・・」と気分が盛り下がってしまう。 ゲストキャラクターの性格もだが、主人公である田代孝弘の性格に共感できないこと、全く合わないことも私がこの作品と合わない原因のように思う。実際、孝弘がほとんど登場しない4話、5話は良い話だと感じ「この流れが続けば」と思ったのを覚えている。 孝弘の主な気に入らない点はコミュニケーションの不足と学芸員としての姿勢で、どちらも最終話の伏線なのかもしれないが終始イライラさせられた。コミュニケーションの不足については一言言えば良いだけのことをバカみたいな行動をするせいですれ違い、大ごとになっている。このことに全く共感ができない。「調整部局の奴がこんなことってある?」と思ってしまう。 それぞれの話の導入時に主人公が常に及び腰なのもいただけない。この手の仕事は「難しい問題が来た時ほど面白い」というような感性の人でないと務まらないので「こんな役人みたいな事なかれ主義の奴は向いてないよ」と思ってしまう。相棒のネネの方がよほど学芸員として向いている性格や描写がある。主人公は若いのに向上心を失って無気力に仕事をやり過ごしているように見える。広く深い教養を身につけた者とはとても思えない描写が多く、新しい物事への好奇心も探究心も見えない。「付け焼き刃」のようなその場をやり過ごす表現が多く、詳しくないことを知ろうと踏み込む様子も無い。この辺が非現実的で全く共感できなかった。 後半は組織に関する設定に無理があり過ぎ、入り込めない。前半の物語は「主人公の業務のなかで印象に残った一場面」という感じの小さなお話なので組織の拙劣さは目立たないが、人類を巻き込むような規模になる後半は博物館組織の粗も無視できないようになってくる。 アフロディーテは宇宙一の博物館であるのに人員が少なすぎる。スミソニアンの職員が数千人規模であることを考えれば、面積的にも数万人かもう一桁大きな規模の職員が必要である。その規模の組織で学芸員が所長と気軽に直接やりとりできるはずはなく、彼らの部署の管理者はどうなっているのかという疑問が湧く。アポロンが所長直轄の少数精鋭の組織であるならば所属する学芸員は下位の組織よりもかなり権限が強くなるはずで、作中の名目だけの木っ端役人のような描写とは合わない。逆に博物館全体がテクノロジーを生かしたコンパクトな組織だというなら協働する学芸員は皆、多かれ少なかれ顔見知りであり揉めるにしてももう少しマシなやりとりになる。また、少ない人数で専門的な仕事を回すなら頻繁に他の部局と揉めているような暇はないだろう。どうも描写とあるべき組織の規模が合わずモヤモヤとする。 マシューのような人間を好き勝手させているのもヘンで、世界中の貴重な美術品を大規模に収集している施設でそれらを平気で毀損しそうな人物に首輪を付けられない、上司も出てこないでは組織としての統制がとれていない。 終盤に入ると設定の奇妙さから違和感がさらに強くなる。 8話ではこの規模の組織で広報に関する部署が存在しないのもおかしい。担当でもないただの学芸員が世界的な発見で報道担当をするハズがない。非常時に隔離できるとはいえ世界中の芸術作品が収められている環境工学の粋を尽くした替えの効かない小惑星を未知の物体の分析拠点にする点や、学芸員と研究者だけで地球外の物質の分析を行うことも異常だ。 9話では実務経験も無く、たとえ専門分野の博士や修士を持っていたとしても現場から長く離れている美和子が世界最高峰の学芸員に簡単になれてしまう点や、内部の人間が全く知らされず不信感だけが漂う新しいシステムの秘密裏の運用(:実際、主人公に情動記録の逆流という事故が起きている)、大事なイベントに合わせて行われる新システムの始動、と杜撰すぎる設定が気になってしまう。生物学の専門家がいるであろう担当部署を無視して行われた、何の管理もされていない「雄花と雌花の“実験”」と称するものもエイリアンパニックの導入部(= 大惨事)になり得ると思って閉口した。 どうもアフロディーテのイメージがあべこべなので、あまり大風呂敷は広げず前半のような小さな話にとどめ、それらが全体として緩いつながりを持つ形態にしておいた方が良かったのではないかという感想を抱いた。

    0
    投稿日: 2025.01.28
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    ほぼ現在と地続きなようで、少し遠いようで、脳内でネット検索ができるのは果たして便利なのかどうなのか。自分がそれをできるとしたらやるかなーどうかなーと思わず考えながら読んだ。内容はお仕事なストーリーで、ああ、近未来でもこういった面倒臭さは人と人が交わる限りなくならないのか…wと。主人公がそうなんだけど全体的にロマンチックですごく良かった。恋愛的などうこうではなく、その世界がロマンチック。

    0
    投稿日: 2024.09.28
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    連作集。ネット上にあふれるさかしらな言説を振りかざす方達も、もともとはその対象に純粋な気持ちで関心を持ったはず。学ぶことは大切だし、データベースを充実させていくことも大事だけれども、それらはなんのためのものなのかを忘れてはいけないと感じさせられました。

    0
    投稿日: 2022.09.20
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    終始きれいな穏やかな物語だった! SFだと聞いて読み進め、あれ?ミステリ要素強め??とちょっと戸惑いました。 切羽詰まった感じはなく、日常系のような優しい物語が続きます。 美しい風景がほわ~んと頭に浮かんでくる素敵な小説です。 感嘆詞として形容詞を使っちゃう美和子さん、わたしも同じタイプなのでよくわかります。美術館に行くのは好きだけど、作品たちから何を感じとればいいの!?少し焦る感覚もありました。そんな気を張らずにもっと心から作品に身を委ねるだけで良かったのか〜と感じました。 もう何年も美術館に行けてないけど、また落ち着いたら行きたいなあ〜

    0
    投稿日: 2022.05.29
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    データベースコンピューターの名前がかっこいい。どの話も紆余曲折あるけど、登場人物たちがみんなあまり不幸せにはならないように終わってるところがいい。登場する様々な学問分野の話が物語の説得力とか奥行とかを増させてて、著者の頭の良さがうかがえる。ベストSFなのも納得

    1
    投稿日: 2021.08.22
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    地球の衛星軌道上に浮かぶ人工惑星。そこは地球のあらゆる芸術品を収容する巨大博物館<アフロディーテ>。主人公の田代孝弘はこの博物館で働くいち学芸員。脳外科手術により、芸術に関する膨大な知識を集積したデータベースに直接接続することができる学芸員は、そのテクノロジーを駆使して収容される芸術品の価値を確かめ、その意義を問う。ただし、田代孝弘が所属する総合管轄部署<アポロン>は、専門部署間の調整役が主な仕事であり、彼は常に厄介ごとに巻き込まれるのだが… うーん、なんともロマンチックな連作短篇集。 それぞれ扱われる芸術作品に主眼を置きつつも、それを取り巻く人間模様がメイン。SF的バックグラウンドもしっかりしており、雄大な自然を有するアフロディーテの描写も相まって、本当にこんな博物館があればいいのにな、と切望してしまったり… そもそも設定がおもしろいですね。芸術とSFを結び付けた作品はたぶん探せばいくつも出てくるのでしょうが、ひとつの惑星がまるまる博物館で、そこに収容される芸術品をめぐって学芸員がドタバタさせられるというのは、なんとも微笑ましい限り。というのも、よく読むSF小説は、異星人と接触したり、タイムトラベルしたり、地球に危機が訪れたりと、どれも穏やかではないからです。本書は日常系SFみたいな感じで、ゆったりと読み進めることができました。

    2
    投稿日: 2021.05.18
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    面白くないわけではないものの、今ひとつ入り込めず、途切れ途切れに読んで、かなり時間がかかったかど、最後の3作は一気に読んだ。 入り込めなかったのは、あまりに設定が人工的、技巧的というか、細部まで作り込まれていて、この世界のルール、常識が判らない身には、書かれていない部分をを想像できない、受け身でしか読めない感が強かったからと思う。 後半はもう少し人の内面に踏み込んだ話になってきたので、読みやすかったのかな。 まあ、綺麗なSFではある。

    0
    投稿日: 2021.05.02
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    2,3作目を読んで懐かしくなって書棚から引っ張り出した。初読時、DBと直接接続して検索するという設定に魅かれ、今でも自分がネット検索する時に(Googleでも)"ムネーモシュネーと対話している”と思うことがある。でもずっと接続している描写が続いていると思っていたのに、再読してみると、孝弘が持ち込まれる難題に振り回されている描写の方が多く、働き盛りの若手が悩みを抱えながら成長している姿が印象に残った。解説によると本作は足掛け6年の連作ということだが、描かれている博物館惑星の美にあふれた姿、働く人々はブレがなく一貫しており、物語としても見事に展開し結末へと向かっている。自分の本棚の中にこんな素敵な小宇宙があったのだなと再確認。3作目まで読了した今、19年かけて完結した物語の全容を見てもみごとな一大叙事詩となっていると思う。なお本作は2001年にベストSF2000国内篇第1位、星雲賞・国内長編部門及び日本推理作家協会賞・長編並びに連作短編集部門を受賞。

    1
    投稿日: 2021.03.27
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    芸術を理解しようと探究・分析を進める毎に、美しさからは離れてしまう矛盾。舞台はSF、テーマは芸術、語り口はミステリーだけど、読み終わったら美と愛についての感動的なドラマだった。

    1
    投稿日: 2021.01.20
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    芸術を扱う惑星を舞台としたお話。SFとミステリーを合わせたような感じの作品。全体的にロマンチックな結末で物語として楽しめたし、植物の葉の着き方がフィボナッチ数列になってるとかいう話が出た時は知的好奇心刺激されて色々調べてしまった。

    2
    投稿日: 2020.11.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    国産SF読みたいなーーーと言ってたら教えてもらった作品。 舞台はSFやけど、雰囲気はミステリーって感じかな。でもテーマは一貫してラブだったよラブ。頭に機械埋め込んで、ものいわぬ物品を扱いながら、心と愛情を見つめなおすお話であった。 Ⅴ抱擁はSFだなあと思ったし面白かった。最先端て、すぐ古くなるからね。最先端て古いんだよ。

    0
    投稿日: 2020.10.31
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    地球の衛星軌道上に浮かぶ、全世界の美術品と動植物が集められた博物館惑星「アフロディーテ」、データベースと脳を直結させた学芸員、そこで起こる様々な事件にまつわる、SFと芸術とミステリー要素が混淆した物語。という設定だけで堪らない。 様々な要素がある分どれもやや物足りなさはあるが、総合的な設定が秀逸なので余り気にせず楽しむことができた。SF的美術品の数々も面白い。そして何より、芸術を味わう/楽しむってどういうことだろう、というのを改めて考えさせられた。なぜ我々は、美しいものを見て美しいと感じるんだろう? 余談だけど。黄金率が鍵となる物語「きらきら星」を読んで、地球外生命体に向けて放たれた衛星ボイジャーのゴールデンレコードを思い出した。地球人のみならず、知的生命体はロマンチストなのかもしれない。

    1
    投稿日: 2020.10.26
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    地球と月のあいだに浮かぶ博物館惑星〈アフロディーテ〉は、既知世界における動植物、芸術・工芸、音楽・舞台など、ありとあらゆるものを収める。その総合管轄部署〈アポロン〉に勤務する田代孝弘は、頭に浮かぶイメージを直接検索できるデータベース・コンピュータ〈ムネーモシュネー〉を操る学芸員。博物館惑星に持ち込まれる厄介な美術品たちとそれに翻弄される人びとを描いた連作短編集。 最後まで主人公を好きになれなかった。自らの審美眼を誇るわりに思い入れているものがあるわけじゃないし、素人目線をバカにしたすぐ後で「素直な感性」に感じ入ったりする。ネネとの関係やラストの妻とのエピソード含め、全体的に中間管理職おじさんの夢って感じ。地球の文化をアーカイブするための人工衛星があって、未来の芸術作品がトラブルの種になるというアイデアは魅力的だが、すべてが人情話に終始するので物足りなかった。

    1
    投稿日: 2020.10.25
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    図書館で。 なんだか読みにくいというか、とっつきにくい文章で最初から躓きました。舞台背景も用語もよくわからなかったし。 とりあえず最初の短編は読みましたが、ちょっと今読み切る気がしないので。

    0
    投稿日: 2020.10.12
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     2からSFマガジンで読んでいたが、1も1で面白い。こういう、進歩した世界における人の営みに重きをおいて書かれた作品はすごく好きだ。  1つ1つで起承転結がありつつも、全体として大きな物語を描き出すような形だともっと好みだが、本作は1編の完成度が高く、様々な趣向が凝らされているのでそうでなくとも面白い。後ろの3つは結構しっかり繋がりもあって良かった。  思わず唸るようなトリックがあるわけではないが、ミステリを書かれる作家ということもあって、推理小説風味の話の進行は興味深い。多岐に渡る題材からは、美術への深い造詣が伺える。専門用語が多く、想像力の及ばない箇所もままあるが、十分楽しめた。  キャラクターは魅力に富んでいるし、丁寧な心情描写が胸に響いた。以下、各話の簡単な印象。 1話は若干の物足りなさを感じた。 2話は普通。 3話は言葉遊びに重点を置かれて面白い。 4話はこれまでとは毛色が違っており、ミステリ風味は控えめながら、好みな味わい。 5話はめっちゃいい。こういう細かな問題を扱う話は好き。攻殻の新劇場版を若干彷彿とさせる。 6話は題材が好き。 7話はテクニカルな感じ。 8話は図表があるともっと良かった。 9話は非常に良かった。とりわけキャラクターが魅力的。

    6
    投稿日: 2020.10.11
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    様々な芸術品が収められている巨大博物館"アフロディーテ" という設定などが最初は読みづらかった。 総合管轄部署の田代孝弘の苦悩といった感じで、SFになっても中間管理職は大変そう。

    0
    投稿日: 2020.09.20
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    結末のお粗末なこと。 とても2人のために喝采を贈ることはできない。 田代と美和子の責任ではない。 2人はそれぞれの純粋さをその身のうちに宿す とてもよい人々だと思う。 私には、ストーリーテラー(作者)が、自分の手にも負えない壮大な舞台装置に気を取られ、この美しい愛を、描いた本人にすら上下が分からないくらい混沌とした抽象画のような世界に塗り込めてしまったことが、この物語を読む者を疲弊させる原因だとしか思えない。 美に感応する瞬間、その感応を大切な誰かと共有する瞬間は、こんな大げさな世界の助けを借りなくても、多くの人々のそばにある。 美を弄ぶな。私はそう言いたい。

    0
    投稿日: 2019.12.23
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    2001年のベストSF、星雲賞、日本推理作家協会賞。宇宙に浮かぶ惑星の博物館、音楽・舞台・文芸、絵画・工芸、動植物各部門をもち、人類の芸術品を収集・分析・研究・育成している。新婚の学芸員が遭遇する謎とその解決、9連作短編集。 さすがの受賞作。アートの謎には、感性、情熱、祈り、憧れ、そして愛がある。部門間のいつもの対立に悩む調停役..という連作お定まりの定型句も、最終話のラブストーリーにつながるとは。

    0
    投稿日: 2019.09.18
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    まず設定に引き込まれる。 一編毎に程よい読後感がありながら、後半まとめ上げる感じが良かった。 美とは何か。 感情とは何か。 人間とは…といつの間にか考えさせられる本。

    1
    投稿日: 2019.08.21
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    大昔読んだ気がするが、内容は覚えてなかった 仕事帰りの電車の中で読んでて、最後の最後で泣きそうになった。結末は予想してたんだけど、なんかね、仕事で疲れてたせいもあるけど、いいなあって思った。 続編買いました。

    0
    投稿日: 2019.06.22
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    この作者は初めて読んだが 岡崎二郎作品(『国立博物館物語』は微妙に違うが)にとても似ている 同一人物が書いているといわれても違和感ない そういうわけでマンガと比較してしまうからかもだが 読みやすいが全体にやや回りくどいかも 芸術は題材であって主題でないのも物足りない これは無理もないか

    0
    投稿日: 2019.01.12
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    素晴らしい作品でした。 fantasicが満ちあふれていました。 良いね。これもSFの素晴らしさだと思う。 ガリガリなcyberpunkも好きだけど、こういうのも好き。 舞台装置としてのSF、というのはお洒落です。 概略を書こうと思ったんですけど、ちょっとぼくの手には余りました。 改めて文字に纏めようとすると、非常に難しいのです。 どうしてもクドクドしくなって、冗長になってしまう。 読んでいる最中は、全くと言っていいほど気にならなかったのに。 本文では、ほんの数頁であっさりと説明されている程度なのに。 いかに小気味よく、飄々と凝縮しているのかがよく分かりました。 舞台となるのは、あらゆる「芸術品」を集めた博物館惑星「アフロディーテ」。 そこは、3つの専門部署によって管理され、探求を続けています。 主人公、田代孝弘は、その3部署を管轄する<アポロン>に所属しています。 本人の卓越した能力と、膨大なdatabaseによる知識の裏付けで、 分野を超えた様々な問題を、一つずつ丁寧に解決していきます。 9つの章に分かれていて、連作短編集という装いです。 章が進むにつれ、田代は悩みを深くしていきます。 問題を解決しながらも、自らの理想と現実の間に横たわるgap。 自分はただの雑用係なんじゃないか? きわめて優秀なdatabaseの能力に頼っているだけではないのか? そして迎える最終章。 これまで、あちこちに散りばめられてきた伏線が一気に収束します。 その中で、孝弘は「芸術」の本質を、自らの原点を、再認識するのです。 手段や理屈や分析ではなく、純粋で真っ直ぐな、素直な気持ちを。 本当に大切なものは。 感じる心の本質とは。 heroineの言葉に、その全てが集約されて、目の前に提示されます。 その瞬間、読者の心に浮かぶ言葉も、きっと同じものです。 これが芸術。これが美。これが幸せ。そう感じるはずです。 心がほっと暖かくなり、優しい気分になれる。 そんな、本当に素晴らしい作品でした。 宝物にしたい、そんな作品ですね。

    0
    投稿日: 2018.11.13
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    SFと芸術。 一見接点が遠いように思えるが、読んでみると違和感はない。 短話がいくつも連なっている形式だが、毎回別の芸術ジャンルと別の展開が待っていた。 加えて最終話への導線も各話に少しずつ盛り込まれている。 舞台が同じ作品が他にあるなら読んでみたいと思うが、無いなら無いでいい。 この一冊で十分満足した。

    2
    投稿日: 2017.11.24
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    既知世界における「見物する」の目的語をジャンルをこえほぼすべて網羅する遠未来の博物館惑星を舞台に、学芸員・田代孝弘が出会う事件を描いた連作。 人に頼られたらむげにはできない優しく苦労性の主人公・孝弘のてんてこまいっぷりに笑ったり、「過渡期の技術」の一言で忘れ去られた往年の先輩に対し 「可哀想だって思うことと、哀れに思うことって、違うわよね」 と胸中を吐露するネネに切なくなったり、データベースと直接接続する学芸員の特権に酔い痴れて「反省?なんですかそれ?僕エリートだし」といわんばかりに幼稚なマシューに心底むかついたりと魅力的かつ個性的なキャラクターにはすんなり感情移入できる。 どこの職場にもある上司や同僚との軋轢や人の話を聞かない困ったちゃんの後輩など丁寧に描かれる人間関係の機微が固くなりがちな芸術論の緩衝材となり華々しくアカデミックな会話に絶妙のユーモアを添える。 中でも「ラブ・ソング」は秀逸。 ラストシーンの美しさは圧巻。 芸術を難解に語る言葉をもたない妻が漏らすたった一言の「綺麗ね」を軽んじていたと主人公が猛省する場面に思わず貰い泣き…… 主人公の美は対象物以外を夾雑物として除く峻厳な美。 妻・美和子の美は対象物以外のものをも含み全体を成す豊穣な美。 だからこそ主人公は美術品の鑑賞中に隣にいる妻を忘れ 美しいものに接した妻は「愛する人とこれを見たい」と望む。 「貴方みたいに上手く説明できないけど、とても綺麗ね」 抱擁する手は包容する心。 美しいものを美しいと素直に感じる心があり、愛する人が隣にいれば、世界はきっと美しい。 愛することとは互いに見つめあうことではなく同じ方向を見ることだ。 ラストシーンの二人にその言葉を捧げたい。

    1
    投稿日: 2017.08.25
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    設定はハードSFなのにリリカルな読後感。 わりと大騒ぎな事件もあるのに、全体的にしんと静謐な空気が感じられて、初めて読んだ作家さんだったが、かなり好み。特に最後の「ラブ・ソング」がロマンチックでよかった。

    2
    投稿日: 2016.01.15
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    とても"綺麗"で優しいSF。 芸術やら美術とテクノロジーを融合させた話は読んだことがなかったのですが、面白い。 イメージや「だいたいこんな感じ」で脳と直接接続したデータベースから検索できる技術も、そのうち実現するんだろうなという感想。 今の技術だと、キーワードによるGoogle画像検索で概念がなんとなく調べられるので、それの超発展系のような感じか。

    2
    投稿日: 2016.01.15
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    ゲージュツというのは、一般人ならこの絵が好きとかこの本が面白いとか適当に言ってれば良いけど、博物館とかの専門家にとってはそうもいかないんだろうかなぁ、と。でもフィギュアとか挙句の果てにはスキーのジャンプにまでゲージュツ点みたいなものが付き始めると、その結果に対するもやもや感が半端なく、そうなるとゲージュツを客観的にとらえて点数付ける事が機械でできるようになるのも悪くないか。 というストーリーではなく、男はやっぱりロマンチストという話だった。

    0
    投稿日: 2015.08.31
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    10数年ぶりに再読。 初めて読んだ頃の私は、まだあまりパソコンに馴染みがなくて、”バージョン”とか”接続”とかいうことの意味が本当にはわかっていなかったなあ。 このお話が最初に書かれたのは1993年。SF作家の想像力ってすごいもんだ。

    2
    投稿日: 2015.07.18
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    博物館惑星アフロディーテで起こる美術品などについての問題を、コンピュータ(でいいのか?AIではないし…)と脳を直接接続した学芸員が解決していく話。コンピュータでぱぱっと解決するのではなく、結局は想像力やロマンで解決するのがいい。 しかしながら、マシューは最後まで好きになれず、ミワコの魅力もよくわからん。

    0
    投稿日: 2015.03.20
  • こんな博物館があれば、行ってみたい。

    未来の博物館の物語。 人間の知識や芸術、文化を納めるために、小惑星に造られた博物館。 そこで働く学芸員と、美術品を取り巻く騒動が描かれています。 名無しの人形に隠された悲しい過去、「絵」から聞こえる歌、海に溶けて消える人魚。 芸術と心をめぐる、とても穏やかで優しい物語です。 SFは苦手という方にもぜひ読んでほしい一冊です。

    2
    投稿日: 2015.02.15
  • 技術は進歩しても……

    惑星丸ごと博物館!という小さな惑星を舞台に、学芸員・田代の悩める毎日を描いた連作短編集。脳外科手術を受けた「直接接続者」である田代は、専用のデータベースコンピュータを呼び出すことで、頭に浮かんだイメージをそのまま検索にかけることができます。キーボードやタッチパネルがいらないのはもちろんですが、声を発する必要さえありません。スマホで音声検索、なんてのは今でもありますが、本作に出てくる技術はそれよりもずっと高度です。 しかし、直接接続者なら仕事もサクサク進むというわけではないようで……。各部門の調停作業に追われたり、面倒事を押しつけられたりと、田代は基本、損な役回りばかりです(そこが愛しく思えたりするのですが)。技術がどれだけ進んでも、人がやらなきゃいけないことってあるんだろうなあ、としみじみ思いました。 全体的に会話が面白く、外国人のジョークなんかも非常にリアルに感じました(ユーモアと「寒い」の境界線!)。収録されている9編はどれも好きなのですが、特に印象的だったのは「夏衣の雪」と「抱擁」です。

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    投稿日: 2015.01.20
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    未来の宇宙に浮かぶ小惑星に設立された博物館の物語。 学芸員タカヒロがいつも通り館長から無理難題を言いつけられる。 音楽が聞こえる絵に美術的価値があるか? SFっぽい舞台でおこる珍事が面白い。 ほのぼのと読めそうな短編集。

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    投稿日: 2014.12.08
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    SFで学芸員が主人公の話って、基本的に私好みではあるのですが、軽いノリのこじゃれたおはなしに仕上がっております。未来の学芸員は脳が直接コンピュータと繋がっており、データベースを自在に操るのである。 それでいて主人公は絵画、音楽、自然という分野の調整役で現代のサラリーマン同様、各セクションの好き勝手な要望のとりまとめに日々頭を悩ませているのである。この設定は面白いのだが、舞台が地球と月のラグランジュ・ポイントに設定された美術館星という設定が話を軽くしているのである。 できればルーブル美術館のあとに建った美術館というような地に足がついた設定にしていただけるともう少し重厚感もでた話になったのではないかと思うのである。

    0
    投稿日: 2014.11.03
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    先進的なSFのギミックを効かせ芸術に関するモチーフがたっぷり入った連作短編集。絵画・音楽・彫刻・舞踊だけでなく多くの芸術群が登場するが、それらを扱う学芸員は、あるいは人は、どう向き合うのかといった芸術論が展開する。将来ムネモシュネーのようなデータベースやインターフェースが生み出されるのだろうか。それを使える後世の人たちが羨ましい。 素晴らしい作品ばかりだが中でも「きらきら星」が一番好きだなぁ。

    1
    投稿日: 2014.10.10
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    久しぶりにSFを読んだので、その世界観に馴染むまで戸惑いましたが、綺麗な読みやすい文章なので読み進められました。 案山子と呼ばれる所長や、困ったちゃんの後輩、気の合う同僚と人間関係も愉しいし、展示物も想像力をかきたてられる。 最後の杮落し公演の場面は、映像を想像しながら読んだ。

    0
    投稿日: 2014.05.15
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    地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大博物館<アフロディーテ>。 そこには全世界のありとあらゆる芸術品が収められ、データベース・コンピュータに直接接続した学芸員たちが、分析鑑定を通して美の追究に勤しんでいた。とワクワクするようなSF連作短編。最初は難しい言葉だらけで大丈夫かぁ!?とも思ったけど、読み進めていくうちに、ただのSFではない事に気付き、最後の「ラブ・ソング」では、これって・・・テーマは「愛」じゃない?とも思いました。純粋に感じる気持ちって大切ですね。

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    投稿日: 2014.05.06
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     データベースコンピュータに接続した学芸員たちが日々あらゆる芸術品の鑑定を続けるアフロディーテ。様々な芸術品の裏に隠された人の想いに迫る連作短編SF。  芸術品と聞くと、自分は絵画や彫刻などを思い浮かべるのですが、この作品で出てくるのはそうしたものに加えて、音楽やダンスといった、実体のない芸術品まで取り扱います。そのすべてに共通しているのは”美”です。なぜ素晴らしい芸術品を見たとき美しいと感じるのか? を調べることも学芸員たちの仕事の一つなのですが、絵画やダンスをひとくくりの芸術品として扱う発想は、著者の菅さんがさまざまな芸術に触れ感動を得る感性があったからこそ思いついた設定なのだろうな、と思います。  ミステリとしての評価が高いのも納得でした。ところどころ記述が不足してるな、と思うところがあったのですが、それが見事に最後につながります。それは切なくもあるのですが、ラストのページでその切なさを包み込んでくれる優しさを感じさせてくれました。  主人公とその妻の芸術に対する姿勢の違いが何よりも印象的でした。学芸員として仕事で芸術に関わる主人公は、理性で芸術と対峙しなければいけないわけですが、その妻は素直な感性で芸術に触れています。  読んだ本に星をつけたり、レビューを書くということもこの本の学芸員の仕事に似ている気がします。レビューを書くということはその本の面白さを分析しているわけで、でも最近自分はレビューを書くことに一生懸命になりすぎてその本を読み終えて純粋に、理屈抜きに感じた”おもしろさ”に思いを馳せる時間をなくしているようにも思ってしまいました。  もちろんレビューを書く以上面白さを分析をする冷静な視点は必要ですが、上に書いたような無邪気な”おもしろさ”も忘れないように本を読み、本に対し評価やレビューをつけていきたいと、読み終えて思います。 第54回日本推理作家協会賞 第32回星雲賞

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    投稿日: 2014.03.05
  • 久々に再読

    人と芸術(美)との向き合いについて、様々な角度から描き出された連作。 私のような中年男が読むには少々センチメンタルに過ぎる感はあるけれど、初読から十数年が経過した今でも面白く読めた。 また、人とデータベースとの付き合い方に関する描写は秀逸で、現在のネット依存に通じるものがあったりする。 特に、最新ファームの活用に優越感を持ち、旧バージョン利用者を蔑視するキャラクターなど、やたらに情弱を連呼する輩にそっくりなので、そういった向きにも是非読んで欲しい(笑)

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    投稿日: 2013.11.26
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    菅浩江による、人の死なないSFミステリ。データベースに神経接続した学芸員が働く博物館惑星を舞台に、学芸員のタシロが展示物にまつわる謎や事件を解きながら、その裏にある人の思いに触れていくという物語。 描かれる情景は綺麗だし、物語も多少の陰を含みながらポジティブなエンディングを迎える。悪くはない。ただ、綺麗なんだけど、綺麗なだけで終わってしまう。とにかく厚化粧して、何かを偽っているようにしか見えない。それはそれで技術なのかもしれないけれど、それはまるで御伽の国を模したテーマパークのようで、気分が悪い。「切ないでしょ、綺麗でしょ」と押し付けてくる感じで、ドン引き。作中に「美術品に主観をつけて展示すべきではない」みたいな言葉があったけれど、そっくりそのまま返してやりたい。逆にそういうテーマパークを楽しめる人なら、ほぼ間違いなく気に入るだろう。 また、サラリーマンのような学芸員の仕事風景が、美しい世界観に馴染まない。主人公を各部署の調整役にすることで、色々な部署の物語ができるというのが裏にあるのだろうけれど、逆に展示物に対して向き合う場面が少なくなって、せっかくの博物館という設定を活かしきれていないように感じた。それはデータベースとの神経接続というSF設定を無理やり取り込んでしまったせいでもあるだろう。 それに物語の構成も、短編ミステリを並べて少し一貫性をもたせただけで終わってしまった感がある。伏線はあるけれど、大した驚きもないし、意味もない。だったらミステリにこだわらず、「火星年代記」みたいに舞台だけを共通の設定にしてしまった方が作品として面白いような気がする。本作品の「Ⅳ 享ける形の手」は唯一それに近いもので、語り手が移り変わって異なる主観を提供してくれる。個人的にはここがクライマックスだった。 と、あまりにも悪口を書きすぎた気がするので少しフォローすると、データベースとの神経接続による客観的な美と、学芸員の眼による主観的な美という対立は面白かった。果たして美という感覚を情報にできるのか。機械で再現できるのか。そういう問いを投げかけてくれる。ただその問いが展開していかないというのが残念なのだけど、まあそれはいいや。

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    投稿日: 2013.06.25
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    久しぶりのSF。 ああ、想像力をフル回転させてイメージを、膨らませる感覚やたら懐かしい。 どの物語も美しく、人と美の繋がりを人類最先端の学芸員の目を通して、 優しくユーモラスに紡いでいます。 もっと早い時期に読みたかったな~。

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    投稿日: 2013.05.23
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    SFという事で読むのを少しためらいましたが、切なかったり心温まるお話ばかりで読んで良かったと思いました。 何回も読み直してます。

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    投稿日: 2013.02.03
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    舞台は地球衛星軌道上、世界のあらゆる「美」を蒐集する博物館惑星<アフロディーテ>で勤務する学芸員の日常がささやかな謎とともに描かれる。サイバーパンクなガジェットもそれで知性体とやりあうわけでもなく。SF版日常の謎とでも言おうか、あくまでも人と人や「美」とは何か、といった言ってしまえば地味なテーマが多いが、それをもって余りある美しさ、完成度。音楽を奏でる絵画、雪の中響き渡る篠笛、水の音色、そして弾けるピアノの音。どの篇も良いけど、「ラブ・ソング」のクライマックスほど美しいシーンは滅多にないだろうと思う。

    1
    投稿日: 2012.11.28
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    割と珍しい類のSF。 ほっこりと暖かい感じですね。作風でありましょうか。 天上の芸術小惑星だ、コンピュータと脳で直結だ、といっても、 文明ある限り人間は(あるいは日本人は)サラリーマン根性から 逃れることは出来ない、というお話だったかと思います(違) 情動と論理とどちらがより本質的か、というのは永遠のテーマだと思います。 本作では情動の方が原始的(or根源的)だ、というスタンスのようですが。

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    投稿日: 2012.10.07
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    天上の調べ聞きうる者 / 初出 S-Fマガジン 1993年2月号 この子はだあれ / 書き下ろし 夏衣の雪 / 初出 S-Fマガジン 1993年9月号 享ける形の手 / 初出 S-Fマガジン 1994年11月号 抱擁 / 初出 S-Fマガジン 1995年5月号 永遠の森 / 初出 S-Fマガジン 1997年4月号 嘘つきな人魚 / 初出 S-Fマガジン 1997年9月号 きらきら星 / 初出 S-Fマガジン 1998年2月号 ラヴ・ソング / 初出 S-Fマガジン 1998年7月号 解説「美しい科学と文学の殿堂へようこそ」 (三村美衣) (第32回星雲賞国内長編部門, ベストSF2000国内編第1位, 第54回日本推理作家協会賞長編並びに連作短編集部門) 『永遠の森 博物館惑星』 2000.7 早川書房刊 文庫化 カバーイラスト 菊池健 本文イラスト 菊池健 カバーデザイン ハヤカワ・デザイン 印刷 三松堂印刷 製本 明光社

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    投稿日: 2012.09.17
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    SF初心者だからか少し戸惑ったけれど、知的で優しく美しい素敵な話だ。幸福感が漂う読み味のよさで、読後はうっとり。 あらすじ: 地球の衛星軌道上に浮かぶ星には世界中のありとあらゆる美術品、動植物などが集められたアフロディーテと冠される博物館がある。学芸員、田代孝弘は芸術品がらみの部署間の争いや厄介な命令に、頭を悩ませながら対処しているうちに、さまざまな人の想いに触れる。 何が大変かってそれぞれのデータベースや部署の名前を覚えるのが大変で、さらにいろんな横文字の名前が出てくるから混乱してしまって、初めは「解らないー!」とそこだけ戸惑った。ミステリ風味のストーリーたちはどれも優しく美しくて、素敵。全編を通したテーマがあって、それがまた抜群の効果を持っている。

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    投稿日: 2012.08.01
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    博物館惑星「アフロディーテ」を舞台にした、芸術作品にまつわる9話の短編集。データベースに直接接続している学芸員、田代孝弘はわけありの美術品たちに困らされながらも、そこに確かにこめられた人間の想いに気づく。 宇宙、ファンタジー、美術と好きな要素が詰め込まれてかなり好みの一冊。 ミステリ調でもあり、謎解きにはわくわくする。「夏衣の雪」と「永遠の森」が特に良かった。 それまでの言動からして孝弘は本当に美和子のこと好きなのか疑問なので、ラストは少し微妙だった。

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    投稿日: 2012.07.06
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    期待の菅浩江作品。  ラグランジェ特異点に浮かぶ博物館にコンピューターと直接接続可能な学芸員がいて、そこにいろんな芸術品が持ち込まれる。その物語を連作でって趣向。それぞれがつながっており、面白いと思うのだが、いかんせん知識フルな直接接続学芸員の主人公とどっちかというと感性で美しさを判定するその奥様に感情移入できなかったために、平坦に終わってしまった。  主人公とヒロインに関する説明やエピソードが少なかったからかもしれないし、軌道博物館の意味が理解しにくかったからかもしれない。流し読みして、もう一度最初から読んでみたのだが、それでもイマイチ乗り切れなかった。美しさは知識ではなく感性なんだってことがメインテーマなのかなぁ。だとしたら芸術品ではなく、人間でドラマはなんぼでも作れると思うのだが。  作品は以下の通り。「天上の調べ聞きうる者」「この子はだあれ」「夏衣の雪」「享ける形の手」「抱擁」「永遠の森」「嘘つきな人魚」「きらきら星」「ラヴ・ソング」。個人的には自分のために踊るというダンサーのお話「享ける形の手」が良かったかなぁ。なんか続編がありそうな感じだから、その頃にもう一度読み直してみよう。

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    投稿日: 2012.05.04
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    眉村 卓以来、久しぶりにSF小説読みました。 (高校3年生以来・・ヽ(~~~ )ノ ?) 未来の美術館だけの星アフロディーテを巡り、その中で働く学芸員のお話。 思考や考えている内容の取っ掛かりさえあれば、全てを検索し、導き出してくれるデーターベースを頭に埋め込んだ、選ばれた学芸員が主人公。 この、能力が有るが故に、万物に精通し、あらゆる権限を持っているが、研ぎ澄まされた感性や純粋に美しいものを感じる心が鈍ってしまうという葛藤が主人公からとても伝わりました。また、彼を通して色々な国や人種の学芸員が登場し、とても新鮮でした。 様々な美術品のエピソード9話のオムニバスなので、読みやすくて入り易いです。 神経質で仕事堅気な主人公(典型的日本人像)に降りかかる、判定が難しい美術品や厄介なお客、また手がかかる後輩に、美術品を感性だけで感じ鑑賞する妻との確執。 最後の、伝説のピアノに纏わる話で、美しく完結した時は、心が温かくなりました。 難しい言葉が沢山出てきますが、ストーリーは簡潔で、ファンタジーです。 心が清らかになる本だと思いました★

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    投稿日: 2012.02.20
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    表紙の絵の通りパステルカラーの小説 全体的に児童小説のような雰囲気。 主人公の最後の言葉は陳腐なセリフだが そこに至るまでの、 音楽と花の開花音、ピアノの寿命と雪のような雄花、喪失と補完、スピード感と幸福。 それらがその陳腐なセリフに説得力を持たせている。 コレこそが、感情の記録だと言えるのではないだろうか。 ただ、この感情は空想の産物なのだけど。

    2
    投稿日: 2012.01.24
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    どこかで美しいお勧め本として紹介されていた本。 近未来の宇宙を舞台にした、巨大博物館の9つの美術品に関する話。 小惑星をアカデミックなユートピアである惑星博物館「アフロディーテ」にしているという、巨大な設定です。 キュレイターである主人公が、一つ一つのいわくありげな美術品と関わっていく様が描かれます。 ギリシア名前が頻出するところに、アリアドネやユビキタスといった、現代のリソースネットワーク用語との関連性を感じました。 名前の効果か、全般的にキラキラしく、私にとっては過剰感があります。 特殊すぎる設定の世界ながら、毎回、あっという間に話が始まり、あれよあれよと話が進んでいくため、なかなか入り込めませんでした。 知っていて当然のように話は進み、専門用語がどんどん登場していくので、一人おいて行かれた気分になります。 もともと、ハヤカワ文庫やソノラマ文庫はあまり得意ではない私にとって、慣れない手法だったのでしょう。 外国のSF小説のようでした。 主人公は直接接続者であり腕のいいサーチャー、という設定ですが、いつも検索機ムネーモシュネーに頼りっきりだというところで、作中で表現されるようなエリートという雰囲気がどうも伝わってきません。 芸術価値の高いものにのみ目を注ぐという態度に、エリートの偏狭さなら感じられましたが。 どうしてもこの名前からは、マリオ・プラーツの巨著『記憶の女神ムネモシュネ―文学と美術の相関関係』 (1979年):が連想されてしまい、ついそちらのイメージに引きずられてしまいます。 結局は検索機に頼りきりのような主人公があまり魅力的に思えず、感情移入できませんでした。 文中の情報はすこぶる多いものの、緻密なあまりに行間の語りがなく、沈黙の抒情性や情緒に乏しい印象を受けます。 各話の中では、ロストチャイルド・ドールの話が一番はっと胸を突かれました。 美しいでは済まされない、やりきれない思いが残ります。 広げれば、この話だけでも独立した作品になれそうです。 最後のまとめの話「ラブ・ソング」では壮大な美しさに包まれ、すばらしいエンディングで締められた物語でしたが、私にとっては、全般的に情報が多すぎ・情緒が足りな過ぎの作品。 とにもかくにも、作中に反映された著者の知識と教養の広さには驚かされるばかりでした。 著者の作品を読むのはこれが初めて。 読む前に、表紙裏に乗っていた著者の顔写真を目にしました。 美しい方でしたが、作品を読んでいる間ずっと、その面差しにとらわれて、なんだか話に集中できなかった気がします。 初めは著者について全くわからない状態で、ひたすら物語に入り込む方が、自分の読書スタイルには合っていると思いました。

    0
    投稿日: 2012.01.20
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    人生で今まで読んだ本の中で最も美しい本です。 やっと見つけた… たぶん八年くらい前に読んで、タイトルを忘れたままずっと探していた作品。 やっと見つけた!!! SF小説で、宇宙中の『美』を集める巨大博物館『アフロディーテ』職員が主人公のお話し。 SFなのにテーマは『美』 不特定多数に対してなんらかの情動を歓喜する何らか。 それって時代とともに変わらないんでしょうか?? 何か感動を生むものの共通点てあるんでしょうか?? そもそもみんなが感じる美って同じなんでしょうか?? 例によって脳みそパソコン直結の攻殻的要素もありつつ(個人的ツボ)、 それが設定要素としてきっちり盛り込まれていて実はキーだったりもする。 設定に飲まれることなく話が進んで設定に必然性がありかつ登場人物達の内面は普遍的な人間らしさを持ち続けていてその中にこそテーマがある、というのは素晴らしいSFの必要条件だと思うのです。 あぁ見つかって本当に嬉しい。 たぶん五年くらい探した… 私にとっては一生忘れない本の内の一冊です。

    3
    投稿日: 2011.10.03
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    「伏見タイリング」に遭遇しただけでも大収穫であった。美の博物館という設定も斬新だし、たしかにどの短編もミステリー趣向があり、楽しめる。しかし想像力が着いていけない場面が多かった。

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    投稿日: 2011.09.27
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    芸術方面はさっぱりな私でもおもしろかったです。 題材が「美」で、さらに優しい雰囲気の物語なので、読んでいて優雅な気持ちになりました。なんか頭良くなりそう。

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    投稿日: 2011.09.02
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    脳にコンピューターをつなげて、自在に思いついたものを検索できたらものすごく便利だけど、自分とコンピューターの境目がなくなりそう。 人とコミュニケーションとる気とか暇はたしかになくなるのかも。 ずっと先には実現できそうなSFの世界。

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    投稿日: 2010.05.27
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    内容 地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大博物館“アフロディーテ”。 そこには全世界のありとあらゆる芸術品、動植物が収められ、 データベース・コンピュータに直接接続した学芸員たちが、 分析鑑定を通して美の追究に勤しんでいた。 総合管轄部署の田代孝弘は、日々搬入されるいわく付きの物品に対処するなかで、 芸術にこめられた人びとの想いに触れていく…。 優しさと切なさの名手が描く、美をめぐる9つの物語。 日本推理作家協会賞受賞作。

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    投稿日: 2010.04.05
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    初めて菅先生の作品を読んだんですけど… こんなに直球ど真ん中なお気に入りに出会えるなんて思ってもみなかったです。 再読したい!!と思える本ってなかなか無いので。 文庫も購入しちゃいました。

    1
    投稿日: 2009.11.13
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    オーストラリアほどの大きさの惑星がまるまる博物館という舞台の、短編連作。 日進月歩で向上していくテクノロジーと、変わることのない美。学芸員という美を判断し識別する仕事に就く主人公と、各物語に登場する人物の純粋な美への想い。共存は可能なのか、そんなテーマが主人公の葛藤と共にじんわりと伝わってくる。 ああ、綺麗って感じるというのは、こういうことなのかな、と。そんな余韻が残りました。

    1
    投稿日: 2009.06.29
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    ファンタジックな雰囲気の美しいSF作品。 タイトルの通り惑星まるごと博物館の惑星が舞台。登場するテクノロジーは本当にあったらいいのに、と思ってしまいます。

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    投稿日: 2009.06.12
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    SFなんだけど、なぜか日本推理作家協会賞をとっている短編が入った本。 コンピュータと美と人間がどう共存していくのか、というメッセージはとってもおもしろいし考えさせられる。

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    投稿日: 2009.03.15
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    この話で初めて「管浩江」という作家を知りファンになりました。博物館を巡って、人類と言うより「人間が積み重ねた」知識の集積や、それを扱う人・担っていく人の描写が好きです。

    0
    投稿日: 2009.02.23
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    地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大博物館―“アフロディーテ”。そこには、全世界のありとあらゆる美術品、動植物が収められている。音楽・舞台・文芸担当の“ミューズ”、絵画・工芸担当の“アテナ”、そして、動・植物担当の“デメテル”―女神の名を冠した各専門部署では、データベース・コンピュータに頭脳を直接接続させた学芸員たちが、収蔵品の分析鑑定・分類保存をとおして、“美”の追究に勤しんでいた。そんな部門間の調停をつかさどるのが、総合管轄部署の“アポロン”。日々搬入されてくる物品にからむ、さまざまな問題に対処するなかで、学芸員の田代孝弘は、芸術にかかわる人びとの想いに触れていく…。至高の美とはなにか。美しさを感じる人間の感情とは。―星雲賞受賞の俊英が叙情性ゆたかに描く、美をめぐる九つの物語 「カフェ・コッペリア」よりもさらにSFチックで、芸術にかかわる話なので専門用語がいっぱいでちょっと難しかったです。でも、やっぱり繊細な雰囲気は出ていて、イメージが膨らみました。いつか、今の地球にも直接接続なんて技術が生まれるんでしょうか。

    0
    投稿日: 2009.02.14
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     衛星軌道上を周回する博物館惑星。 あらゆる美術品や動・植物までもを収集・展示する この博物館を管理・運営するスーパー・コンピューター のデータ・ベースに直接接続された職員たち。  本格SFの骨格を持ったファンタジーは、どこか ノスタルジックな雰囲気を漂わせます。 物語の最後に気付くこと・・・、これは「愛」の物語です。

    0
    投稿日: 2009.02.04
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    未来の学芸員の話。 いろんな美術品が出てきて、それにまつわる人間ドラマって感じです。 粘菌を使ったオルゴールの話が一番好きでした。 文章は読みやすいけど雰囲気はまじめなので、 最近ラノベみたいなのばかり読んでたからか「ああ、これが本だ。」としみじみ思いました。

    0
    投稿日: 2008.08.19
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    話は全体的に大好きだけども、最後で、それまでの話でふと湧く疑念が伏線によるものであった事を気づかされるのは快感であると思う。

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    投稿日: 2008.06.02
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     博物館惑星で働く学芸員たちのお話。人が感動するのには、理由があるに違いない。それなのに、その理由を説明しようとすると、感じたものは味気なくなっていく。そんなことってありませんか。  「享ける手の形」と「ラヴ・ソング」がすごく好き。ラストシーン最高。視覚的にも聴覚的にも訴えかけてくるすごいラストなのです。これは是非読んでみて欲しい。  こうやって本を読んで、思ったことを言葉にして、何が良くて何が悪かったのかを明らかにしていくうちに、感動が薄れてくることがないようにしたいと思いました。

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    投稿日: 2008.04.21
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    表紙に惹かれて読んだ本(だって加納さんの本の挿絵の方だったんだもの!) 遠未来の少し神秘的な短編集。綺麗な感じがしてスキだな〜。

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    投稿日: 2008.01.27
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    はじめての作家さんでした。 SFを小説で読むのは苦手なんだけど、読もうと思った決め手は 惑星全部が巨大博物館ってことと、惑星の名前、専門部署、 データベースに至るまで神話の神々の名前が使われていること。 主人公が扱うものは名のある芸術品の振り分けでだけでなく 特定の人だけに感動を与える絵だったり、古ぼけた人形の名前であったり、お家騒動だったり、昔見た人魚の作品に対する少年の想いだったりと 芸術とは何ぞや!という小難しい話しではなく、 作り手の想いや接する者の想いに近づき触れるものでした。 9つの短編ではありますが、ある部分では繋がっています。 それぞれの話の最後の方では鳥肌全開、涙ウルウル状態になってました。 読んでよかったです。 直接接続っていいなぁ〜と邪道な事も考えましたが ほら。あれあれ!っていうイメージまでも映像として見せてくれるデータベース・・・ 更にたくさんの芸術に触れていられるなんてステキです。

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    投稿日: 2008.01.19
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    本屋で何か買いたくて、思わずタイトル買いしてしまった作品。 惑星全体が博物館になっている巨大博物館惑星を舞台に、主人公田代孝弘と博物館へ訪れる様々な人びとの思いが込められた9つの物語。 9つめの物語「ラヴ・ソング」が一番お気に入りです。

    0
    投稿日: 2007.10.05
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    巨大博物館「アフロディーテ」を舞台にした短編集。とても優しいSF。いつかこんな場所ができたらなあ、と思う。

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    投稿日: 2007.07.09
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    地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大博物館「アフロディーテ」。そこには、全世界のありとあらゆる美術品、動植物が収められている。その中で 学芸員の田代孝弘は、芸術に関わる人々の思いに触れていく…。美をめぐる9つの物語

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    投稿日: 2006.12.11
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    題名に惹かれて買いました。 読みながら、何故か『星へ行く船/新井素子/集英社コバルト文庫』を思い出しました。

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    投稿日: 2006.10.23
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    ラグランジュ点に造られた巨大な博物館「アフロディーテ」を舞台に、美と芸術に纏わる難題でひたすら苦労させられる主人公孝弘の姿を描いた、ファンタジックなSF。美とは、芸術とは何か…? この本を読んでいると、そんなことを考えてしまう。  この本は9つのそれぞれ完結したエピソードからなっていて、孝弘は毎回別の厄介事に振り回される。難しい美学の話題でも、優れた物語性を持っていて、どの章も楽しめた。とくに第9章「ラヴ・ソング」ではSF的な謎解きと、音楽と植物とが絡み合うアタゴオルのような描写が、一体となった面白さだった。

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    投稿日: 2006.09.19
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    短編連作なのですが、読後のあたたかくなる感じが好きです。孝弘と美和子の物語が少しずつ進んでいき、ラストの「ラブソング」で素晴らしくきれいに終結します。ピアノの曲の盛り上がりに合わせて、違う星の花の開花と求愛でどんどん一緒にドキドキしていき、読むたびに感情移入して泣けてしまう・・・舞台は宇宙に浮かぶ博物館ですが、中の人間関係、上司とのやり取りなど今とほとんど変わらなくて、その辺りがかなりSF要素満載な内容なのに、地に足のついた感じで読める理由かなと思ったり。

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    投稿日: 2006.07.21
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    読み通すのにえらく時間がかかりました。主人公の奥さんが学芸員として大事な資質を持っていたという最後の設定は分かるけれど、それだけでなれるものでははないでしょう学芸員ってと思ってしまいました。

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    投稿日: 2006.01.22
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    2000年の推理作家協会賞を取ったとか帯に書いてあるのを見て手にとったんですが、これいちおうSFなんですよ。 地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大博物館『アフロディーテ』。 そこには、全世界のありとあらゆる美術品、動植物が収められている。 3女神が司るシステムの上位データベース『記憶の女神(ムネーモシュネー』の直接接続者である学芸員・田代孝弘は、調整役として色々な厄介ごとに巻き込まれる。 衛星軌道上に浮かぶ小惑星まるごと巨大な博物館! なんだかもう設定だけでわくわくしますよね(笑)。 美術(ミューズ)・技術(アテナ)・自然(デメテル)3つのセクションに分かれているけれど、他の分野にまたがる鑑定や調整が必要な場合のために上位データベースが存在します。 学芸員はそれぞれのシステムに「直接接続」する手術をしていて、つまり端末に言葉を打ち込んでデータベースを検索するのではなく、「こんな曲線」とか「これと似た絵があった」と思い浮かべるだけで膨大なデータベースから情報が一瞬で送られてきます。 便利で羨ましいけれど、情報は情報でしかなく、たとえばその1枚の絵の中に「美」を見出すのはやっぱり人間なのです。 というわけで統括部門というよりは女神様の使いっ走り(笑)・田代さんは毎日大忙しです。 どう見ても駄作なのに「天上の調べが聞こえる」と人々が泣く抽象画、古ぼけた人形、笛の音に合わせ雪が降るという着物、海の底に沈んだ人魚像や宇宙人が残したかもしれない破片などなど。 それらに関わる心やさしい人たちの美しい物語です。 どの話もとても素敵だけれど、引退を考えるダンサーの「享ける手の形」と正五角形に美しさを感じる図形学者の「きらきら星」が私はお気に入り。 ときおりほろりと泣けてしまいました。 そして最後、「九十七鍵の黒天使」と呼ばれる伝説のピアノ、ベーゼンドルファー・インペリアルの奏でるラブソングに導かれて物語は幕を閉じます。 本当に、美しくてやさしい物語でした。 私はこの美しさを表す言葉を持ちません。 「美しい」というのはきっと本当は言葉で分析できるものではなく、ただ感じるものなんですね。 久しぶりに美術展とか行きたくなりました。単純ですけど(笑)。

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    投稿日: 2005.11.26
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    未来の博物館が舞台。だが、持ち込まれるいわくつきの物たちに込められた想いは、いつの時代も変わらない。優しく、切ない連作集。

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    投稿日: 2005.10.31
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    地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大博物館<アフロディーテ>を舞台に、学芸員である主人公が様々な美とそれをめぐる人々の想いに触れてゆく物語。やや切ない感じの話が多め。 なお無関係とは思うが、直接データベースに接続している学芸員という件で、どうしても某アニメを思い出さずにはいられなかった。 (○殻機動隊…?)

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    投稿日: 2005.05.07
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    巨大博物館“アフロディーテ”。いつかこんな場所ができたら。こんなふうになったら。そう思うと、とてもわくわくする。

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    投稿日: 2004.10.06