
総合評価
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powered by ブクログp. 82 「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」をヴォルテールがどんなふうに訳したか。「やめよ。選び、瞬時に移らねばならぬ/生から死へ、もしくは存在から無へ」
0投稿日: 2025.05.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
装丁とタイトルだけで買って長らく積読していたが、やっと読み終わった!!対談、ということなので話があっちこっちいったりと読みにくさもあり、少しずつ読んだけどめちゃくちゃ面白かった。 タイトル的に絶滅するかもの話をするのかと思いきや、残るって前提で話が進んでいく感じで、そうだよねぇって嬉しくなる。絶対この本棚の本たちは死ぬまで持ってるだろうなっていう根拠のない確信がある。 本って無条件に崇拝されていて確からしさが保証されているような気がする(そう教育されてきた?)し、必読の名著!みたいに言われたりするけど、偉大な残されなかった本も、馬鹿阿呆間抜けが書いていていてもの残されてきた本もある。様々な解釈や脈絡が付与されてきた本もある。そう思うと、好きに読めばいいんだよなとあとがきにあったような強迫観念から救われる気持ちになる。インターネットやSNSのよくわからん情報に疲れがちなこの頃なので、うわぁ超好きってなりました。 だいぶ知識不足が否めないのでまだチャレンジしたい1冊。エーコさんの本も読みたい!
1投稿日: 2024.03.22
powered by ブクログ昔は、王族や貴族階級しか本を読むことができなかったけど今はどこでも本読めるし合わなければ読むのやめたっていいからいい時代だなって思った。基本的に読みたい本を買って読んでるけど時間が経つにつれてなんとなく妥協で読んでる本もある。読みたい本を読んでるよりも読むことが好きで読んでるみたいな状況も自分にもちょっとあるなって思った。
1投稿日: 2023.10.27
powered by ブクログ放談に近いが、蘊蓄はすごい。コーディネーターの力量によるのかもしれないが、紙の本の問題の全てを網羅しているわけではない。 装丁、活字組が素晴らしい。
1投稿日: 2023.07.28
powered by ブクログ装丁が素晴らしくツボにくる。本の天地総てが、ブルーブラックで染色されており万年筆の青を思わせる。厚み、本棚での存在感がたまらない。そして中身はペダンチックて軽妙な対談集。
0投稿日: 2023.07.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
愛書家による本にまつわる対談集。こういうのがエスプリが効いた掛け合いとでも言うのでしょうか。 原題直訳の『本から離れようったってそうはいかない』もなかなか良い感じ。 邦訳タイトルはかなりおどろおどろしく、衝撃的ですよね。 著者の片方、ウンベルト・エーコは薔薇の名前やフーコーの振り子のタイトルだけ知ってた作家さんであり学者さん。 フーコーの振り子と言ったら上野の科学博物館ですわー。 そのうち読んでみたいです。薔薇の名前は文庫版がないみたいで残念。 『保存すべきものを保存するための当てになるツールが、今日なかなか見つからない(p93)』って、ほんとその通りで、だから私が積極的に電子書籍を買わない理由にもなってます。 つい昨年も電子書籍のサイトがサービス終了で、全ての購入品が見られなくなりますなんていうニュースもありましたし。 数年単位で買い換えて更新しなきゃいけない電気機器を使わないと読めないというのがどうもね…。 音楽に関してはカセットからMD・CD・iPodを経て今はマイクロSDカードとパソコンに集約したかなぁ。これはもう他にどうしようもないので。 USBメモリもマイクロSDカードも平均寿命3年くらいらしいですよ。 あと自分で焼いたDVD-Rなどもメーカーに寄りますが、10年保たないとか。 一転、物質としての本ならいつでもパッと手にとってめくれば済むのが強み。 まぁ物質としての本も寿命はあるのですけど、手持ちの本は私の寿命くらいはだいたい持ちそうなのでそれでいいです。 本の寿命で思ったんですけど、50年以上前の文庫より最近のラノベ系文庫の寿命の短さといったら! 発行から10年も経ってない物でも、すぐぱかっとのど割れするんですよ。ノリが弱いのかなんなのか。 一応修復できなくはないですけども。 電子書籍だと検索できるなら便利かな?あとふせん。 歴史的な話ではパラケルススの痕跡本の表現が素敵でした。 『刺繍のように丹念に書きこまれた手書きの文字と印刷された活字が調和して、全ページがレース編みさながらです(p160~161)』 あと行商本。何かどっかの本で読んだ気がします。 コンキスタドールは許すまじ。 意外と愛書家の方でも台詞だけの飛ばし読みすることがあるって所にびっくり。 現代っ子の動画倍速視聴みたいなものですねぇ。 『雇用の問題に誰もが頭を抱えている現代社会では、手工芸の分野に活路を見出す若者が増えています。これはイタリアでは明らかな事実で、おそらくフランスやその他の西欧諸国でもそうだろうと思います。(~中略~)五十年前に同じ仕事をしていた人々は、高等教育にたどり着かなかった人が多いので、その手の本は読まなかったでしょう。つまり今の人たちは高等教育を受けたうえで、手仕事の世界にのめりこんでゆくんですね。(p307)』 これは地味に共感出来る話。もういまや、学校卒業して誰もが安定した会社にお勤めなんて夢を見ている時代じゃないんだよなって気がしてます。 もっと一次産業や二次産業にも目を向ける教育が子供の頃から必要なのかも。 それと続けるのにしんどくならない作業改革ですかねぇ。 文庫で出たら手元に欲しい一冊でした(文庫ガチ勢なので。
0投稿日: 2023.01.31
powered by ブクログ紙の本についての深い愛が貫かれている1冊。 少しリラックスした語り口(あるいは対談)なので、緻密な小説世界に比べて本当にちょっとだけ読みやすい(気がする)。
11投稿日: 2022.08.16
powered by ブクログなんせ、朝の通勤の時しか、それも山手線に乗って池袋から恵比寿の間の時間でしか読んでなかったもんだから、えらい時間がかかってしまった… にしても読んでる人は読んでるというか、この二人は、とにかく蔵書の数が万単位だというから、本当に世界は広い。でもやはりというか、もちろん全部に目を通しているわけではないし、もう死ぬまで読まなくてもいいと思っている本だってあると聞いて、結構共感できたな。ま、全然格が違うんだけど。
1投稿日: 2021.02.12
powered by ブクログ「与えられた時間と予算の範囲内で、私たちは自分の好きな旅先を選ぶように、好きな本を選んで読みさえすればよい。」訳者あとがきのこの一節は、稀代の古書愛好家二人による対談の本質を示しているように思える。 対談というのは、面白いものだ。頭の中にあったもの、世に顕れている事実を論理的に構築し整理した文章とは異なり、ある種の放縦なエネルギーを持っている。 「紙の書物はなくなるのか?」という問いについては、早々に「なくならない」という結論が提示される。一方で「なくなってしまった」書籍、焚書や単なる火災、時の洗礼により忘れられてしまったものへの言及もある。 忘却というプロセスが文化を産む、しからば忘却というフィルタリングが作用しないインターネット時代において文化はどうなるのだろうか…という問いには考えさせられた。 辞書と見紛うばかりの重厚な佇まい、老練な愛書家による対談という端書きから想像される骨太な内容。敬遠する理由には事欠かない。そもそも本人たちが「本は無理して読むものではない」というようなことを言っている。しかし、だからこそ、本書を手にとってみる価値はある。 老練な愛書家のグルーヴに酔いしれ、あらためて読書の海原へと漕ぎ出す力を貰えるような気がするのだ。
3投稿日: 2021.01.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
書物という切り口で、二人の知的巨匠がそれぞれの文化観や歴史観を語り合う対談(電子書籍より紙の方が、というような、タイトルから勝手に想像してしまった薄い内容ではない)。膨大な書物コレクションを有している二人だからこそ発せられる、紙に印字された書物そのものの意味や価値、というのは本当に興味深い。特に、それを読む必要は必ずしもない、というチャプターは面白い。 引用したい文章はいくつもあるが、エーコの一文。知る、知識を得る、ということが、インターネットの発展した現代においても、絶対的に必要なことである、というメッセージは、自分も耳が痛いところです。 「何かを暗記しているということが、知的な優越性につながる場合がある・・知っておくことで、ある種の知的自律性を確保できます」(P106) 「最大多数の人間が過去を知るべきかというご質問でしたら、答えは「はい」です。過去を知ることはあらゆる文明の基盤です」(P418) 訳者のあとがきもかなり綺麗にまとまっている。 「世にあるすべての書物一冊一冊が旅路のようなもの・・書物というものを、過大評価も過小評価もせず、ただ素直に愛おしみ、気負わず気楽に人生に取り入れる方法と、それによってもたらされる豊かさを、本書は手加減なしに教えてくれる。 世界中の名所旧跡を見尽くすことが不可能だからと言って、旅することを諦める旅人がいるだろうか」(P464)
2投稿日: 2020.11.02
powered by ブクログまず、電子書籍に対する紙の本の良さを単純に論評した本ではない。 稀覯書(インキュナビュラ)の楽しみや、本の出版の過程、歴史によってフィルタリングされていく書物について、博識の二人が縦横無尽に気ままに語る内容である。 7歳の孫とテレビゲームに興じて惨敗するウンベルト・エーコなんて「薔薇の名前」を見た時には思いもしなかった。 披露される蘊蓄は凄まじくハイレベルなのだが、対談内容そのものはかなり緩い。 対談形式ということもあり、翻訳は読みやすいのだけど、日本人にはコンテクストが読みづらい会話も所々に…。 電子書籍に対する優位性はほとんど語られないものの、人が重ねてきた書物の歴史を紐解くことで、紙の本を所有する楽しさを思い起こさせてくれた。装幀もおしゃれなので、本好きなら購入をおすすめする。(表紙裏にもデザインがあるので、図書館で借りる場合には注意) ・グローバリゼーションがもたらしたのは、共有体験の細分化。インド神話のあり方(自分が信仰する神は3,600柱のうちの1柱だが、世界観は共有)は指針になる。 ・珍説愚説礼賛:歴史のフィルタリングを受ける中で消えていく珍説愚説に、人間知性の豊饒をみる。時代的・技術的な善意の無知はやむなし。人間は愚かしさからは逃れられないが、せめて哲学・教養を身につけられればマシになるかも。 ・歴史による評価の変化:ハムレットやモナリザなどは、作品そのものの評価ではなく、後世の人々の解釈や論評まで含めて作品の重みとなっている。再評価される場合もあれば、忘却されていくことも。。。 ・本棚には必ずしも読んだ本やいつか読むつもりの本を入れておくものではありません。本棚に入れておくのは読んでもいい本です。あるいは、読んでもよかった本です。
0投稿日: 2020.01.13
powered by ブクログ高校の時に本屋さんで装丁に一目惚れ! 欲しいなぁとは思ったのですが、一目惚れして即買いするにはちょっと値段が高かった…なので図書館で借りて読みました。 ウンベルト・エーコとジャン・クロード・カリエールの対談。 紙の書物と電子書籍の話から、書物の歴史についてや文学、芸術についてなどなど様々なテーマで2人が語り合います。 高校生の私には難しい話も多々でしたが、興味深く読みました。 また機会があれば再読したい一冊。
11投稿日: 2019.12.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
かなり分厚いですが、対談のまとめということもあり 割とさくさく読める内容です。 また、厚みや装丁もなんとも言えず紙の本の良さが出ています。 原題の直訳は本から離れようったってそうはいかないという感じなようで 原題もまた、本好きはにやっとしてしまうタイトルだなと思いました。 電子書籍を否定し、紙の書物を礼賛するような浅はかな内容ではないので、本が好きな人には取り敢えず読んでみては、とおすすめしたい気持ちです。 私は保管場所を取らず軽々何百冊と持ち歩ける電子書籍は 大変便利に利用していますし、 紙の本の魅力もまた捨てがたいとも思っています。 様々な実用と習慣が並存し、選択肢が広がるのは願ってもないことというのは私も共感するところです。 傘は18世紀から進化しないと言われますが、本も パピルス、巻物、印刷機、などと形が変わり 本を形作るための道具や素材も変わってきたとは言え 変わっていないものと言えます。 変わりはしても、やはり本は消滅しないのでしょう。 「ネットが登場したことでアルファベットの時代に戻った」という表現に なるほどと思いました。 本というのは不思議なもので、昨年出版された真新しい本に 100年前に書かれた内容が載っていることもあるわけで 形があり、それでいて形のない歴史や思考が詰まっています。 昔は手で書くしかなかった本が、印刷技術の発展で多くの人に広まるようになりました。 一部の上流階級や知識層だけのものではなくなり 昔のように本を燃やしてもその一冊しか無いという本は 最近出版されたものなら基本的に無いわけで、 確かに駆逐しようとしても難しいでしょう。 紙の本は場所を取るので保管には困りますが、保存の点では優れています。 たとえば和紙と墨で書かれたものなら千年はもちます。 電子書籍は便利ですが、hontoで買ったものはKindleで読めず 互換性がありませんし、データを配信している電子書籍店が潰れた場合 今まで購入してきた本のデータがどうなるのかというリスクがあります。 FD、MD、VHSが現在ではほぼ使用できる機器が無いように、 記録媒体はすぐ時代遅れになってしまい、そうなると中身を見られなくなりますが、 紙の本はそこにありさえすれば中を見ることができます。 道具としてケース・バイ・ケースで使い分けするのが良いのだろうと思うのです。 電子書籍がこの先完全に浸透したとしても、紙の本はゼロにはならないのではないでしょうか。 録音や記録媒体といった技術の質の違いではなく、 人間の体格となども変わってるから声自体が変わってる可能性があるというのも 確かに、と思ったところでした。 カフカは死後に作品を焼いて欲しいと言いましたが 電子書籍化されて広まってしまうとやはり完全に消すことは ほぼ不可能なのだと思います。 そしてまた、燃やして欲しいというのは生前は無名であったから 言い残した言葉なのかもしれません。 大島渚が日本人なら誰しも一度は本気で自殺を考えたり自殺未遂をおこしたりしていると言ったそうで 実際のところはさておき、そう言えなくもないのかもしれません。 日本人の死生観は、時代にもよりますが外国の方から見れば 独特なところもあるでしょうし。 インターネットが広まったことによって、 電子書籍の配信も勿論ですが、ブログや情報サイトなど ありとあらゆる情報が飛び交うようになりました。 それぞれの信憑性は謎ですし、出版された本のように校閲が入っているわけでもありません。 (近頃は出版された本でも校閲が入っているのか疑問に思うような 内容の間違いや誤字脱字がやたら多い場合もありますが。) 未精製の情報が数多とある中から、自分で真偽を調べつつ より分けられる人間でないと、すぐ嘘に騙されたり情報の洪水に押し流されたりしてしまうでしょう。 歴史家たちはしばしば国家の言いなりになると言われていましたが 本やネットなどにある情報が正しいとは限らず、なんらかの意図で 捻じ曲げられていることはよくある話です。 文字を持たない民族について、 文章で残さないと存在しなかったのと同じになってしまう、とまでは言えないかなと思いますが 残しづらいのはその通りだと思います。 アルツハイマー病は長生きになったから出てきた病で、 百歳まで生きるようになったら大半の人は癌で死ぬという話も 興味深かったです。 紙の本が電子書籍に駆逐されるのか、書店はなくなるのか という論点ではなく、雑多に脱線しつつ、本が好きな人たちによる 様々な話題が語られているのが良いです。 読書は咎められない悪習だというのも面白い言い方ですね。
0投稿日: 2019.03.13
powered by ブクログ2人の愛書家エーコとカリエールの本に纏わる対談本です。特筆すべきは2人の引き出しの多さで、書籍、物語、あるいは情報について、自分が気づいていなかった視点からの見方が知れたのが有意義でした。
0投稿日: 2019.01.03
powered by ブクログ●書物はできた当初からすでに完成されたもの。それに比べ新しいメディアは進化の途上であり、使い方をマスターしなければならない上に、すぐにより新しいものができて、またマスターし直す必要がある。その点が、紙の書物の優位点である。
0投稿日: 2018.10.22
powered by ブクログ『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』 「裁判の証拠書類を2500点押収するようなときに、電子化されていれば楽」はというのは確かにと思った。また、「テレビやラジオは書物から何も奪えなかった。電子書籍はどうか?」という問いかけは面白い。
0投稿日: 2018.04.06
powered by ブクログ紙か電子書籍かという話というよりも、知識はどうやって繋がるか、学ぶのかということがテーマ。出版されたときにはなかった、AIと人間を考えさせられた。電子書籍をよく使う人が読んでもいいと思う。
0投稿日: 2018.03.05
powered by ブクログ閉ざされていた空間にひっそりと忍び込むよろこび 夫とまだ付き合っていたころ、彼の住んでいた寮の近くで暇をつぶすために入った古書店。その古書店で手に取って買おうか迷っていた本を、ようやく読みました。 あの時の直感はまちがっていなかった、心にのこる一冊でした。
0投稿日: 2017.10.19
powered by ブクログインテリ万歳!タイトルだけ見ると、なんだかシリコンバレー系の人がpdf移行と電子書籍について書いたAMZNの動向とかベゾスがどうのとか思いそうだけど、あらまだそんな知らない本があったのね、と沢山教えてくれる対話形式。ありがとうエーコ。最高です。
0投稿日: 2017.03.26
powered by ブクログ本の魂と肉体についていろんな側面から語りつくす一冊。 エーコとカリエールの博学には驚くばかり。しかも何か資料を片手に対話しているのでもない。おそろしい二人だ。 エーコの蔵書数は3万冊を超えているという。へぇーっ‼︎
0投稿日: 2017.01.29
powered by ブクログウンベルト・エーコとジャン=クロード・カリエールによる書物をめぐる対談。 現在に至るまでにどれほど多くの書物が消えてなくなっていったのかという指摘は新鮮だった。 現在出版されている本も、どれだけの書物が後世に残っていくのだろうか。そんな視点で現在の出版物を読んでいくというのも、なかなかおもしろいと思う。
0投稿日: 2016.12.21
powered by ブクログおすすめ資料 第121回 本を愛する人へ(2011.3.4) 「電子書籍元年」とさわがれた2010年。 この本は、単純に「本の絶滅」を危惧し、それを阻止しようとするものではありません。 また、あらゆる点で巷の電子書籍関連本とは一線を画すといっていいでしょう。 対談者のウンベルト・エーコはイタリアの中世学者、哲学者、小説家。『薔薇の名前』で有名。 クロード・カリエールはフランスの劇作家、脚本家。『ブリキの太鼓』の脚本などでご存知のかたも多いはずです。 世界でも屈指の愛書家の二人は、底なしの博学でもあります。 彼らは、本書の邦題とはうらはらに、書物の未来を案じてはいません。 紙の書物はすでに完成された発明品であり、絶滅するはずのないものとの確信をもって対話にのぞんでいます。 いわゆる紙の書物が培ってきた文化が、声をあげて、自由に語り合っているような錯覚を覚える本です。 といっても、電子書籍やインターネットの世界に無関心、無知でいるわけではありません。 今後、変貌をとげるであろう「文化」のありよう、意味を問い直す内容になっています。 特に情報のフィルタリングに関する話題は、示唆に富んだものです。 ここで、あまりの格調の高さに怖気づいてはいけません。 意外にすらすら読めるのです。 もし、本への愛があり、声高に語られる「電子書籍元年」にいいようのない不安を覚えるなら、おすすめの一冊です。
0投稿日: 2015.07.29
powered by ブクログすべての読人(よみんちゅ)に捧ぐ―― もうすぐ絶滅するという紙の書物についてばかり語っている訳ではない、が、それ以上に面白い、オモシロイ、示唆に富んだ対談。USBからフランス詩、インキュナビュラ(グーテンベルクの印刷術発明から15世紀末までにヨーロッパで活字印刷された本)に名著珍本、焚書と禁書、空き巣まで…… 読み終わったら誰もがこう思うはず。 ”本から離れようたって、そうはいかない”!!
1投稿日: 2015.06.08
powered by ブクログ紙の書物を愛好する二人の対談をまとめた本です。まさしくインテリの二人の頭脳から生み出される話題は紙の書物の「絶滅」よりもはるかに広範で、紙の書物と電子書籍、紙の書物と文明、残された書物と消えた書物、古書収集など、社会のあらゆるテーマに及びます。 内容については目次を読むとかなり推測できますが、全体的には、「知のフィルタリング(選別)」が大きな問題として挙がっていると思います。はるか昔へ目を向ければ、当時は存在したはずなのに現在では存在していない、あるいは語られてさえいない書物というものは確実にあるはずですし、近現代でも、名著として挙がるということにはなんらかの選別が働いています。 こうした選別のなかで、対談に臨むお二人が愛好しているのが「人間の愚かしさ」です。人びとが善意で犯す誤りは、ときにとてつもなく滑稽なものです。「存在を隠していることだけが彼らが存在している証拠である (p. 301)」みたいな意見を真剣に言うわけです。人間は賢い生き物のように思えて、ときにとてつもなく馬鹿げた推測を、”真剣に”行ってしまう。そして、「過去についての我々の知識は、馬鹿や間抜けや敵が書いたものに由来している (目次)」。結局のところ、われわれは(とくにぼく自身は)馬鹿なのだ! そしてそこに知の営みの面白さがあります。二人の対談者への共感を勝手に覚えた本でした。 紙の書物から、歴史と知の営みの旅へといざなってくれる本です。 (その意味でこの本は”楽しむ本”で、知識を得る本ではありませんから、お忙しい方にはおすすめしません)
1投稿日: 2015.03.19本のこれまでと、これから
劇作家のジャン=クロード・カリエールと作家のウンベルト・エーコが、書物やそれを巡る文化について語り明かす、知的好奇心を十二分に刺激してくれる1冊です。 話しは当然電子書籍へも言及していきますが、そこでは紙の本へのノスタルジーを語るのではなく、極めて理性的に本とインターネットそれぞれの特性について説明していきます。 エーコは物としての本は変わらないだろう、と言います。500年以上機能の面でも構造の面でも変化していない紙の本は、スプーンやハンマーと同じように「一度発明したら、それ以上うまく作りようがない」ものだと言うのです。本に取って代わるものがあるとすれば、それは「本とは似て非なる何か」だと。 印象的なタイトルの本書ですが、訳者によれば、原題の直訳は「本から離れようったってそうはいかない」という意味とのこと。 果たして紙の本は絶滅するのか、生き延びるのか、そしてどのような存在になっていくのか? ふたりの丁々発止のやり取りに、本の行く末の想像が膨らみます。
4投稿日: 2015.01.30
powered by ブクログ本についての本。”本は消える消えるといわれてるけど、でも、電子媒体のほうがもう過去のものになって見られないの多いよね?”っていうとこになるほどーと思った。 難解なのは覚悟して、四苦八苦しながら読んだけども、対談形式がどうしても苦手なので辛かった…。 この本、装丁がほんとに素晴らしくて、小口が深い藍色のグラデーション。イタリア版もこういう感じなのかしら。これだけ凝ったものなら自分の本棚に置きたくなる人多いかも。
0投稿日: 2014.12.01
powered by ブクログ『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』というタイトルから、誰もが紙の本から電子書籍への移行についての本だと想像するはずだ。もしくは、書物というものがなくなっていく世界の話と思うはずだ。自分も、電子書籍もしくはWebに散らばる電子のテクストが、知の世界に与える影響や複製されて編纂され共有されるテクストの価値、などについて論じられているものと考えた。それらの考察を通して、そもそも紙の本が持っていた役割が根源的かつ歴史的に問われることを期待した。 これまでの電子書籍についての言説は、主にビジネス観点からの影響を語るものがほとんどだった(書店や印刷産業、著者の印税、Amazonの隆盛)。しかし、ある意味それ以上に知の有り様にも変化を与えると常々思っていた。まさにそれを形にしてもらえるものと思っていたのだ。 ところが、どこまで読み進めてもそういう話にはならない。そもそも思考を重ねた末の論述ではなく、対談をまとめたもので、本棚をワインセラーに譬えたり(その譬えは面白くないわけではないのだけれど)、見方によってはたんに古書蒐集家のおじさん二人がうんちくを重ねるだけの会話に終始しているようにも見える。 そもそも後で気が付いたことだが、本書の原題は、"N'espérez pas vous débarrasser des livres"だった。直訳すると「本から離れようったってそうはいかない」 なるほど、そのタイトルであれば、この内容でもよいだろう。その意味で、この日本語版の編集者は誠実さに欠ける。内容を誤認させた上で購入させ、その上で期待を裏切ることがあることをこのタイトルを付けた人は相応に意識をしていないわけはあるまい。エーコという名前に乗っかって単に商売をしようとしているのではないのか。装丁が凝っていて素敵というレビューも多いが、こちとら電子書籍なので関係ない。 内容以前の話かも。購入前にレビューを見ればいいんだけどね。すいません。 誰か、電子書籍による知の再編とか、電子書籍という形式が現れたことにより明らかになった書籍の与件とその歴史的意義、みたいなことを論じてくれないだろうか。テクストだディスクールだ言ってたフランス人、そういうの得意そうじゃん。
2投稿日: 2014.08.10
powered by ブクログ記号学者と脚本家の対談。本を愛し古書や稀覯書を収集しインキュナビュラの探求経験がベース。人類の愚かしさの礼賛。書物・愛。 人類の本と歴史の流れの中での今。ひとつの到達点かも。
1投稿日: 2014.01.09
powered by ブクログ著書を読むと圧倒されるが、対談にしてみると人となりが見えて少しほっとする。碩学は変わらないが、理系部分のぽっかりとした穴が見えるのも興味深い。現代に万能人たることの難しさか。
0投稿日: 2013.08.17
powered by ブクログ「スミスの本棚」の池上彰氏にて紹介されていた一冊。海外の「本の虫」がどんなだか見せてくれる対談集。 タイトルはさも紙の本 VS 電子書籍な印象を抱かせるが、実際は紙の本が如何に愛好されてきたか、その魅力は何かをコアに語っている。様々な書名や作家名が登場するものの、そのほとんどがついていけない…。
2投稿日: 2013.06.29
powered by ブクログ本というメディアについての対談集。 恥ずかしながら語られている小説や映画のほとんどを知らず、知っていればいっそう面白く思えたのにと、自分の無学が悔やまれました。 しかし、知らなくても言いたいことは伝わってくるので、のめりこんで読みました。 タイトルからして電子書籍化についてがメインなのかと思いましたが、そうでもありませんでした。 非常に多岐に渡るテーマで語られており、飽きることなく最後まで読み通せました。 特に馬鹿とまぬけと阿呆の違いなどは笑いつつも唸らされます。
1投稿日: 2013.05.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
タイトルのイメージから、デジタル化されたものに言及されているように感じるが、そうではない。 タイトルと内容はあまり関係ないように思えて、実は確かに紙の書物について言及しているので面白い。 実によく考えられたタイトルだ。 本好きの雑談。 要点メモ: ・勉強のやり方や資料のまとめ方、探し方は、それぞれをこなしていかない限り身につかない。それぞれをこなすのが最善の方法。 ・一日十冊読めと記載された記事をみるたびに、その必要はないと考える。効率のよい読書のやり方は、十冊読むよりも参考文献を数多く使用している本一冊を読むことである。 ・一つの物事を十の違う方法で調べて、検討するくせをつける。おのずと、情報の正誤がわかるようになってゆく。
1投稿日: 2013.04.06
powered by ブクログ某ブログでみかけて。手にとってみるまで対談集ということを知らなかった。どうも講演や対談を書きおこした本は私に合わないようだ。論旨が曖昧だったり矛盾したりしているとそれだけでイラッと来て、読む気がうせてしまう(小説だと矛盾してても全然問題ないんだが…我ながら心が狭いと思う)。というわけで、「本」の定義が曖昧なことに引っかかってしまって、この本も最後まで読み進められなかった。(本は紙でなくなるかも、と言いながら電子書籍は本でないってナンなのさ?) ●面白かった点 なし ●気になった点 用語が曖昧。それ以前に、この本が何を語りたいのかが意味不明だった。アブストがほしい。
1投稿日: 2012.10.06
powered by ブクログイッキに読んでしまった。本に対する偏愛というかなんというか。『どうして蔵書を全て読む必要がある?』には笑ってしまった。そうだよね、みんな読む以上の速さで本が増えていくんだよね。本は自己増殖するから(笑)
0投稿日: 2012.09.11
powered by ブクログスミスの本棚で紹介されていた本。 装丁がブルーブラックでとても綺麗です。 いつか、よみたい。というか手に入れたい。
0投稿日: 2012.07.26
powered by ブクログ日本語のタイトルはひっかけですね。 原題『N'pspérez pas vous débarrasser des livres』は、 直訳すれば、本から離れようったってそうはいかない、という意味(訳者あとがきより)。 すっごい大胆な意訳だよ。 中身は、「書物・知識収集の今までとこれから」についてですから、原題の方が内容を伝えていますね。 2人の本を愛する爺さんの対談集です。 編集者トナックさんも負けずに、会話に加わります。 読み切れない本、読んだことのない本を まるで読んだかのように語る術について語るところが、一番興味深かったかも。 本好きの人にオススメです。 表紙は青みがかった黒。天・小口・地の青色の配色がなされたデザイン。 厚みがあるのに、かなり本が軽いので、 手にとって読み始めた瞬間、高揚感を味わいましたよ。 (だって、普通のハードカバーは重いばっかりで嫌いなんだもん。) ちょっと調べていたら、造本装幀コンクールで受賞をしていたんですね。 http://books.hankyu-com.co.jp/_ISBNfolder/ISBN_10100/10113_kami/kami.html こんなコンクールがあったんだ(ぼそっ)。
6投稿日: 2012.07.01
powered by ブクログ訳者あとがきで原題は「だから本好きはやめられない」というようなものと書いてあったが、そっちのほうが内容をよく表していると思う。 「薔薇の名前」のエーコと「昼顔」のカリエールが書物について縦横無尽に語りつくす。 まず、2人とも最初から電子書籍の登場で紙の書物がなくなるなんて全く、これっぽっちも思っていない。邦題にあるような危機感なんて始めの数ページであっさり否定し、その後は2大書籍おたく(笑)が本をめぐるあれこれ、うんちくを古今東西、古代から現代までにわたる広範囲にわたってひたすら語り倒す。本好き(≠読書好き)にとって「そうそう、そうなんだよ(笑)」と膝を打つ会話があちこちにちりばめられている。 これだけの読書家でもまだ読んでいない本がある。積ん読だっていいんだ!と勇気を与えてくれる本。 最後に、タイトルと帯について。電子書籍の話なんて一瞬で終わっている。より目を引きやすいようにという趣向なんだろうけど、なんだかなぁ。
0投稿日: 2012.06.20
powered by ブクログ本好きなら、ちょっと「ぉっ」って思うと思う装丁と題名。小口の染めといい、遊び紙の質といい、これだけで手に取りたくなります。ちなみに、内容はといえば、思いっきり本マニアな二人がひたすら好きな本について語るという・・・。冒頭に、紙の本は絶滅するなんて思ってないと二人して確認してますし。読みたい本、飾りたい本、色々な種類の本好きがいるけれど、私達二人は満足してるよ、とそんな本ですw やたらと綺麗な装丁は、本棚に入れておきたくなるかも。
1投稿日: 2012.06.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
フランスとイタリアの「老練愛書家」2人よる対談。タイトルからみて、紙の書物は絶滅するのか?という問題意識で手に取りましたが、それに関しての2人の答えは一貫していて、それよりも、ありとあらゆる情報が入手可能になった現代、私たちはどう情報と向き合ったらいいのか、本質的な示唆に富んだ視点が盛りだくさんで学びが多かったです。 ・これから求められるのは、考えをまとめて結論を導く技術、真偽を確かめられない情報をチェックする方法 ・書くという行為は常に危険を伴ってきたし、今でも変わらない ・過去がそのままの姿で我々のもとに届くということはまずない ・我々自身が情報提供者になり、善意で悪気なしに情報をねつ造することだってある。修正するには、延々と検証しつづけるしかないが、苦労が多すぎるので、結果的に野放しになる ・映像は人を欺く ・自己顕示は何によっても止めることができない そのほか、面白かったのは、インターネットの方が先に姿を消す可能性だってある、とか、そもそも私たちが学んだのは傑作や偉大な歴史に偏っていて、それも「敵や馬鹿や間抜けが書いた」結果であるものが多いし、それよりも「珍説愚説」の方が豊穣で示唆に富む、とか。 こうして当たり前に、前提としてとらえてきたことを逆から見る気持ちよさ、というか、常識が揺さぶられる、何とも言えない爽快感を味わいました。 もう一つ、衝撃だったのが「誤りとか、思い違いとか、ばかばかしさとか、そういうものにどうしようもなく惹かれるんです。くだらないことが大好きなんです」と言い切っていたお二方。珍説や嘘が書いてある本を集めているのだそうです。その潔さといったら。 全体を通して、世界の広さと深さ、そして希望を感じさせてくれる本でした。 でも基本的に長くて読みにくいので、★は4つ!
4投稿日: 2012.05.29
powered by ブクログ「災害時にどんな本を保護しようとするか、という話でしたね。自宅が火事になったとします。自分が真っ先に何を守ろうとするか、おわかりですか」「書物の話をさんざんしておいてなんですが、私の場合、今まで書いたもの全てが入ってる250GBの外付けHDDを持って逃げますね」エーコ先生御年80、まだまだ元気。対談相手を務めるカリエール氏(79)も「愚かしさの研究をしていて最初に気づくことは、自分自身が馬鹿だということです」とかなりパンチのきいた発言を。稀代の蒐集家である両氏から、豊かさってのを散々見せ付けられた気分。
0投稿日: 2012.05.28
powered by ブクログ書物(冊子本)とは、車輪のように出現した時点において既に完成されたものである。つまり、書物はこれ以上進化(変化)することはない。この意味において電子書籍とは「書物」ではありえず、書物に取って代わることのできる同型の存在ではないということである。 名うての創作家・学者であるジャン・クロード・カリエールと、世紀の碩学ウンベルト・エーコの間に交わされる超ハイレベルの「雑談」には、グイグイ引き込まれつつも、思わずため息。。。 とにかく、本への情熱では彼らの右に出るものはないのであろうが、世界中の書物・読書愛好家と、あまり変わらない一面も垣間見えるのが嬉しいというか慰められること請け合いである。 本の積読は全く恥ずべきことはないのだ。世界の積読症者よ胸を張れ!!愛書家に対する「これらの本は、みんな読んだのですか?」という問い以上に「間抜け」なものはこの世に存在しないのである。
0投稿日: 2012.05.18
powered by ブクログ小口が鮮やかな青で染めてあるド派手かつステキな装丁! ウンベルト・エーコは薔薇の名前の作者。 知と知がぶつかりあって話がどんどん広がっていって面白い。 本好きな私にはニヤニヤ楽しい読書時間でした(^0^)
0投稿日: 2012.04.29
powered by ブクログ高尚なものも馬鹿げたものも、人間の文化であり、知の一部である。書物はそれを自身の存在によって、伝えてくれるツールなのかもしれない。
0投稿日: 2012.04.22
powered by ブクログ印象的な装丁の本。手に取らずにはいられない魅力を秘めているようです。 タイトルも扇情的で、著者が稀代の知識人、ウンベルト・エーコとジャン=クロード・カリエールとなれば、読まずにはいられません。 エーコとカリエールとの対話形式で、話は進んでいきます。 タイトルのように、二人とも電子書籍礼讃派なのだろうかと心配しましたが、ある意味逆説的なもので、むしろ紙媒体礼讃派だったので、安心しました。 出版業界が斜陽となり、電子書籍が日に日に交流してきた現在においてなお、紙の書物の未来があるとあえて語る彼ら。 そうはいっても、伝統的な紙出版に固執しているわけでもなく、電子書籍を否定してはいません。 きちんと出版界の現状を把握しているため、さほどバイアスがかかっているようには感じずに読み進められます。 本の歴史から、さまざまな側面から見た書物、ソフト面とハード面を極度に分けた、趣味人としての視線などが縦横無尽に駆使されて、二人の無限に編み出される知のパラダイムに取り込まれて陶然とするばかり。 派手なことはまったく書かれていないのに、文章に輝きを感じます。 そんな古今東西の書物に通じた博識の彼らが、「日本人は携帯電話で小説を執筆し、それを配信したりもしているそうだ」と話題にしていたので、なんだかおかしくなりました。 ケータイ小説は、ほかの国では不思議に思われることなのでしょうか。 二人の語りは広範囲に渡り、進行役の司会者も手綱を握りきれずに、どんどん話が拡散していくところに、彼らの肉声を感じます。 ツルゲーネフとフロベールが文通していたということを、なんだか新鮮に思いました。 互いの作品も読み合ったことでしょう。 また、文化の蹂躙・冒涜と言えば、ヨーロッパではまずナチスが連想されますが、それよりもひどいのは、スペインが新世界でやったことだと、熱く語っていました。 一番たくさん書物を葬ったのはスペイン人とモンゴル人だそうです。 また、彼ら二人とも非常な古書愛好家で、古書収集談義がノンストップで繰り広げられていました。 博学多識の彼らですが、それでも蔵書の全てを読んではおらず、読む必要も感じていないと口を揃えて言っていたので、(あの彼らでさえ読めずにいる本があるんだ)と思ってほっとしました。 小説というよりは書誌学に関する対話。 著名な作家というよりは、無類のビブリオマニアとしての情熱がほとばしっています。 とはいえ、本を盲目的に愛しているわけではなく、シニカルな視点からしっかりと貶め、さげすんでいる姿勢も忘れていないのが、また心にくいところ。 読書は害のない悪習だという説に、まったく同意します。 めまぐるしく話題が代わり続ける、高速回転の知の空間へと誘われる一冊です。
0投稿日: 2012.04.09
powered by ブクログ対談をベースとした内容のせいか、ちょっと内容は発散気味な感じがしたが、稀覯書のマニアックかつ魅力的な世界を垣間見たと思う。あまり本とは関係ないが、現代のあわただしい時の流れをさして、過去がものすごい勢いで迫ってきているのだというのが非常にしっくりときた。今、というときそのものは速くも短くもなっていないのだろうけど、過去の時が押し寄せるそのスピードが相対的に現時点の厚みを薄っぺらくしているのだろう。 そして本書を読んだ後、昔みた「薔薇の名前」がまたくみたいと思った。
0投稿日: 2012.03.29
powered by ブクログ訳されたタイトルが悪い。 紙の書籍は電子書籍に駆逐されると世間では言われているみたいだけど、出版社としては紙の書籍がなくなっては困るし、そもそも私は紙の書籍が好きだし、ほら、この偉大なる著者たちもそう言ってるでしょと、誤解してしまうタイトルだ。 何のことはない、本の歴史を振り返りながらつらつらと語っているだけである(ものすごく大雑把に要約しているし、ものすごく失礼な要約の仕方ですね)。 紙の書籍と電子書籍の対比については語っていないし、そもそも神対電子と二項対立図式でしか考えられずタイトルを訳してしまう、出版社のレベルの低さに呆れてしまう。 と、タイトルについてばかり批判を加えてしまって、肝心の内容については知的好奇心を擽られたい愛書家の皆様には是非お読みいただきたい一冊です。 夜な夜なむふふと思いながら読める本です。
0投稿日: 2012.03.14
powered by ブクログ電子書籍が普及した現代で紙の書物はどのような存在なのか。 タイトルにはこのようなニュアンスが含まれているが、決して電子書籍と紙の書物とを比較検討する本ではない。これはこのタイトルの通り「紙の書物」についての本なのだ。 その内容はウンベルト・エーコとジャン=クロード・カリエールという二人の超本愛好家老人による対談。この二人の紙の書物に対する愛たるや。我々が考えるような読書好きとは次元が違う。本を読むものとして捉えている人間にとっては着いて行くことが出来ないレベルにある。本当に本そのものを愛していのだ。 そんな二人が紙の書物に関して延々と語るのであるからそのディープさたるや尋常ではない。本というものをあらゆる角度から検討し語り合う。 正直に言うと、言っていることを完全に理解することは難しい気がする。私の読解力が足りないのもあるのだろうが半分くらいしか理解出来なかった。と言うか読者に理解させる気なんてないのだろうな。まぁ好きなものについて熱く語っている人間に万人に理解出来る話をしろと言うほうが無理だわな。 じゃあこの本の価値は低いのかと言うと決してそうではない。個人的にこの本は雰囲気を味わうためのものなんだと思う。熱く語る二人を見て、あぁ、本ってやっぱりいいもんだなぁ、と実感する。そして、たまにへ~と言いたくなるような話が聞けたら儲けもの。 本の価値は決してそこから得られる知識のみではない。感慨や余韻やら、そのような類のものを楽しむのもまた一興だろう。本著はまさしくそれ。何かを得るのではなく、感じるために読む一冊。 これを読めば本に対しての見方がなんとな~く変わる。。。かもしれない。
2投稿日: 2012.02.21
powered by ブクログ(メモ) デジタル情報の耐久性 近代の巨匠崇拝と、前近代のパターン繰返しの文化 レヴィ=ストロース
0投稿日: 2012.02.17
powered by ブクログやっと読み終えました。内容は本好きの博識二人の文化論、書籍論です。二人の書籍収集にかける情熱がよく伝わり、とても楽しく読めました。冒頭部分を除いて本書のタイトルと内容にギャップを感じ、あれっと思っていたのですが、訳者あとがきで原著の直訳が『本から離れようったってそうはいかない』とわかり謎が解けました。内容は直訳のほうがしっくりきますが『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』もとても上手に考えたタイトルだと思います。直訳よりも人目を引きますね。いずれにせよ邦題と中身のギャップに関係なくとても面白い内容でした。ただ本書に続々出てくる歴史上の人物、書籍、イベントに知らないものが多く、もし知っていたならもっと楽しめたのにと思い残念です。東日本大震災の少し前に出版されているのですが、埋め立てた核廃棄物の所在を数千年後の世界に如何にすればに知らしめられるかという議論もあり、自分でもじっくり考えてしまいました。無論答えは出せませんが。また装丁がとても美しく、汚したくないのでこの本のために初めてブックカバーを買いました。
0投稿日: 2012.02.08
powered by ブクログ青の天地小口。 表紙は、黒を背にぼろぼろの革表紙の本の写真。 その上に銀箔でタイトル、著者・訳者名。 装丁の美しさに一目惚れ。 本マニア二人の 本にまつわる自慢話と蘊蓄語り。 と言ってしまうと身も蓋もないですが、 その語り口調が実に楽し気。 得意満面な様子が目に浮かぶようで、 読んでいてわくわくします。 書物、ひいては文明、人間に対する興味を拡げてくれる一冊。
0投稿日: 2012.01.07
powered by ブクログ秋に日本に帰ったら本屋さんで平積みになってた。エーコの名前に惹かれて買った。今日読み始めたとこ。対談なので読みやすい。たしかに電子書籍はリーダーがないと読めないのが不便だよね。それと,データが消えるってこともあるし。コンピュータのハードの不具合でiTuneで買った曲が全部消えた後,しばらくCD買ってたしな。今は「貸しレコード」感覚で曲を買うようにしているが。
0投稿日: 2011.12.30
powered by ブクログ博覧強記、イタリアの中世学者ウンベルト・エーコとフランスの作家ジャン=クロード・カリエールによる対談本。 タイトルのインパクトと、まさに本文で何度も出てくる"インキュナビュラ"( 1500年以前に印刷された本)を彷彿させる装丁の美しさに惹かれて買いました。 本書は、本の魅力や本の価値が、引き出しの多い愛書家のお二人のストーリー(うんちく話し?)によって緩やかに展開していきます。 例えば、本には、あえて読まないでワインのように貯蔵して古い書物を所有する楽しみ方もあることや、本の価値を金額にすると、インキュナビュラでは100万ユーロ以上もの高値で入札するものもあることとか。亡くなった父親の遺産相続の際に土地やお城ではなく「本だけでいいです」といった子供の話しが印象的でした。 では、紙の本は、電子書籍に駆逐されてしまうのか?本は絶滅するのか?という問題提起についての結論をどう捉えるべきか。 確かに本にも寿命はあるし、最初から本という体をなさずに電子媒体として生まれてくる書物もあるかも知れません。 そもそも紙の本や電子がもたらす体験や価値には、少なくとも紙であれば単純に「読む」ということだけではないことが本書からはメッセージとして明確に受け取れるんじゃないかと思います。 だからこそ、そんなことをふまえて、紙の本や電子書籍をを提供する方は、もっと「読む」ということにまつわる体験や価値を本書の対談のように広く深く考えたうえで、従来の延長戦ではない本の価値を絶えずリノベーションし続けることが必要に感じました。 ぜひとも再読したい一冊です。
0投稿日: 2011.12.11
powered by ブクログ原題を直訳すると「本から離れようたってそうはいかない」となるらしい。 邦題の「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」とはかなり印象が違うし、原題の方が内容にあっているように思う。 ウンベルト・エーコとジョン=クロード・カリエールの対談。 博識なおじいちゃん同士の対談というだけあって、議題は、本、映画、文化、芸術、言語、宗教、と多岐にわたっている。 正直なところ、彼らが取り上げた、フランス文学の巨匠も、イギリス映画の重鎮も、ギリシャ哲学の偉人のほとんどを知らなかった。 それでもおもしろいと思ったのは、彼らが取り上げるエピソードが機知に飛んでいるということと、なにより楽しそうに話ていたから。 進行役のジャン=フィリップ・ド・トナックがふった話題をそっちのけで、よくしゃべるし、脱線してまたよくしゃべる。そしてなんでも知ってるんじゃないかと思うぐらいの豊富な知識 。そして、本が好きなんだなってのがよく伝わってくる。 自分も彼らの間に入って、一緒に話せるぐらいの知識があれば、もっともっと面白いと思えたんだろう。私が今の彼らと同じ歳になったときには、それぐらいの知識が身についているんだろうか。 本を車輪に例え、完成された発明品と呼んだのが印象的だった。 本好きの本好きによるの本好きのための本 そんな感じの本。 以下は、自分メモのための抜粋。 グローバリゼーションにより、みんなが同じようにものを考えるようになるとばかり思ってましたけれども、じっさいにはまったく逆の結果になりました。グローバリゼーションがもたらしたのは共有経験の細分化という現象でした。 ・・・・・・119頁(ウンベルト・エーコ) 私もいつか文化や思想が統一化に向かうのではないか、まるで混ざり合った絵の具のように、暗くつまらない色に染まってしまうのではないかと考えたことがある。学生時代、それを風刺(しようと)した絵を描いたこともあったことを思い出した。 だがネットをはじめとするあらゆる情報媒体が教えてくれるのは、驚くほど人は多種多様な思想もち、あまりに違い合うということ。 無知な人々というのは、そこらじゅうにいて、しばしば無知の何が悪いと開き直っています。熱心に仲間を増やそうとさえしています。無知は自身に満ちていて、狭量な政治家たちの口を借りて、その優位を宣言します。 ・・・・・・417頁(ジョン=クロード・カリエール) 無知を是とする彼らは、いつその自信を手に入れたのだろうか、自ら思いついた結論なのだろうか。誰かの言葉が彼らの自信を支えているのだろうか。なら、その言語によって、その知識によって救われたということではないだろうか。知識は道具だ。その道具で、もし誰かを助けることができるのだとしたら、私はできるだけ多く、より良い道具を持っていたいと思う。 ちなみに、私はハードカバーの本読むときは、カバーを外して読むことが多い。 単純にそのほうが読みやすいのと、ズレたり、折れたり、汚れたりするのが嫌だからだ。 そこで、カバーを外し、裏を見てみると、フランス語の原題が記されている。 そうこのカバーはリバーシブルだったのだ。 これには気づけたときには、歓喜し、自分で自分を賞賛した。 「よくぞ気づいた、お前は天才だ。きっとこれに気づいたのは世界で数人の愛書家だけだろう。」と。 (後で知ったが、リバーシブルであることを書いている書評はネットでも多くあったので、持っている人なら誰でも知っているんだと思う。) 今、この本はフランス語の背表紙で私の本棚を彩ってくれている。 実に美しい。
0投稿日: 2011.11.27
powered by ブクログアマゾンで話題になっていたのと、装丁が素敵で思わず購入。しかし期待した程収穫はなかったです。豆知識好きのおじさんと話してる気分で読みました。簡単な話をしているけど、文章が難しいです。 “これ読んでる自分に酔いたい”人が好きそうな本でした。
0投稿日: 2011.11.22
powered by ブクログ読書が大好きな海外の文筆家たちの対談集です。 対談の片方が「薔薇の名前」の作者であることと、装丁の美しさとタイトルの奇抜さで一目惚れ買いしてしまいました。。。 内容は、紙の書物の過去・現在・未来、あとは本好きの二人がとりとめのないことを自由に好きに語っています。 正直、作中に出てくる海外の作家・詩人をほとんど知りませんが、それでも全然飽きない。むしろ彼らが語ると非常に魅力的に見えます。例えば、全部で14作品出した某作家を『ゼロかける十四』と批評した作家を紹介したり。この批評は痛烈で面白いですよね。 この本を読後、自分が読書好きであることを改めて感じ、今しかないのだから、その時に自分が好きだ面白そうと感じる本を自由に読めば良いのだと思いました。
0投稿日: 2011.11.12
powered by ブクログ正直、ジャケ買い。 まだ、中身は読んでませんが、 タイトルにハマった装丁に惚れ込んでしまいました。
0投稿日: 2011.11.11
powered by ブクログとある雑誌で装丁が取り上げられていたのが気になったのとタイトルに興味を持ち購入 まず装丁の素晴らしさもさることながら「紙の本」を愛する人達の哲学にも似た情熱が伝わってきます。 でも知識がたらず一回読んだだけではまだ1/3程も理解できていません… 多少なりとも本を愛する者として読み込みたい一冊です。
0投稿日: 2011.11.02
powered by ブクログジャン=クロード・カリエールとウンベルト・エーコの古書蒐集など書物を話題の中心にした対談本。正直、出てくる固有名詞は全く理解できなかったが、書物が担う役割、意味をじっくりと理解できた気がする。書物を好きになるよ。
0投稿日: 2011.10.29
powered by ブクログ本の蒐集の大家による対談集。 つまらなくはないけど、まとまりがなく話もよく飛ぶ。 雑学をどや顔で応酬している印象で、ちょっと投げ出した。
0投稿日: 2011.10.23
powered by ブクログ80を過ぎた本をこよなく愛するジジィ二人…いや、書物の歴史を知る生き証人二人の対談集。 タイトルに惹かれて購入したけど、それそのものについてはちょっとしか触れられてない—というか、どの章でもコーディネーターが困るくらい話が別方向へと脱線しまくる。楽しい。 書物の未来を論じるだけなら、べつにこの二人でなくてもいいし。 例えに出てくるいろいろな書物、ほとんど分らないけど、書物に憑かれた愛すべき二人のジジィの話は、それでもとても興味深い。
1投稿日: 2011.10.19
powered by ブクログ紙の書物が絶滅するのか否か、その答えは冒頭に書かれてしまいます。 結果が出てしまった後に続くのは、エーコとクロードの雑談です。 彼らの飽くなき書物への愛情が長々と綴られる一冊。
1投稿日: 2011.09.10
powered by ブクログこれは「卑怯」な本だ。愛さざるをえない。本を愛する人達に向けて、本を愛する賢人二人が、本への愛を語る、という本なのだから。内容の是非以前に、悪い評価を「付けられるはずがない」本になっている。 もちろん内容も面白い。賢人二人が自然に発しているセリフの中にも、引用したくなるフレーズが山ほどある。例えば、「哲学って何の役に立つんでしょう?」とか・・・あなたたちが言いますか! 当然ながら装丁も凝っていて、まるで高級家具のよう。考えぬかれたであろうタイトルもずるい。電子書籍の話が毎日取り沙汰される現在、このタイトルにそそられない人がいるだろうか。 いやほんと、卑怯な本だ。
4投稿日: 2011.08.26
powered by ブクログ2011 8/18読了。筑波大学図書館情報学図書館で借りて読んだ。 ウンベルト・エーコとジャン=クロード・カリエールによる、文化史・書物史・読書史的な対話篇。 タイトルは原題の正確な邦訳ではないけど、皮肉が効いていていいと思う。 電子書籍云々、インターネット云々という話も多少はあるけど、大半は古書やインキュナブラや刷られなかった本や残らなかった本や残った馬鹿・阿呆・間抜けな本についてだったりする。 次々に参照される知識量が半端ない。なんだこの2人。 それも今は忘却されて知られていない17世紀の詩人の話とか、他に興味を持っている人の限られるような古い大衆小説の話なんかもぽんぽん出てくる。 分厚いけどすらっと読めるし、面白かった。
1投稿日: 2011.08.18
powered by ブクログこれは面白いです。タイトルがちょっと刺激的ですが、非常に読みやすい本です。エーコとカリエールという偉大なビブリオマニアが、書物への偏愛を基軸にあらゆる知識教養を駆使して語ってくれます。本が好きな方には間違いなくお勧めできる一冊です。
1投稿日: 2011.07.23
powered by ブクログ刺激的で知的好奇心が湧いてくる良作。タイトルが釣っぽいが、価値や意味を変えて残り続けるという結論が冒頭に出て安心して読み進められる。そこからは、話題があちらこちらに振れ。知識が追いつかないが、一つ一つの逸話を追うだけでも十二分に愉しめる一作。その二人の熱量が図書館や本屋に足を運ぶ欲望を誘発する一作。 特に面白かったのは「今日、我々が目にしているのは本当に価値がある本なのか?」というテーマ。ギリシア時代の悲劇/喜劇の内、「その後の世界史を変えたかもしれない傑作」は既に姿を失い、今読んでいるものは当時のポピュリズムに迎合しただけの駄作かもしれない。その可能性に想いを馳せるだけで、やるせなくもあり、悠久の時を感じられて楽しくもある。 時に事故的な火災。時に焚書。時に間違った廃棄。意図する/しないに関わらず失われた本、残った本がある。そのことに対して感傷的にも懐疑的にもならず事実を受け止めた上で進んでいく対談が、静かなながらも熱量があり、スリリング。 装丁と序章だけでも読む価値がある本。これで興味を惹かれた人は絶対に本章も面白く感じられると断言できる作品。本好きの人が更に本好きになる。お勧めです!!
1投稿日: 2011.07.10
powered by ブクログこれぞまさに本の本だと思いました。 と、判面がちいさいのでけっこう分厚いけどすらすら読めました。今までで最速かも。。 そういう点からも参考になる本でした。
0投稿日: 2011.07.07
powered by ブクログ厚いが嵩高用紙なのとページ文字数が少なめなので、意外とさっくり読める。テーマが本だけに装丁も凝ったもので、鮮やかな青く塗られた小口は、本としての所有感も考えてでしょう。書名から想像するような電子書籍についての見解はほとんど1章でさらっと触れて終わり。紙の書籍は車輪のように完成された発明で、「車輪の再発明はない」で結論。あとの尽きることない稀覯書談義で内容的には気軽に楽しめるが、洋書中心となるのはいたしかたない。2人のファンならともかく、装丁はがんばったけど常に手元に置いておきたい1冊とはいえないところかな。
1投稿日: 2011.07.05
powered by ブクログ書物が消滅するという固定概念について、「インターネットが登場したことで、私たちはアルファベットの時代に戻ったのです」との回答。これが、書物、言語の全てを表している。蔵書のすべてを読んでいる訳でもないし、読まなければいけないと思っている訳でもないそうだが、電子書籍だとそういった積ん読は間違いなく増えるだろう。紙と電子の差はその辺りにあると理解した。
1投稿日: 2011.07.02
powered by ブクログ面白かった! ウンベルト・エーコとジャン=クロード・カリエールという、読書界の巨人2人(と言って間違いないですよね?)が、紙の書物について縦横無尽に語る語る。 前半は、技術の革新と紙の書物の関係、紙の書物の特性や魅力を語り合い、紙の書物はなくならないという確信を深める。 また、中程からは書物という物体への愛を語り出し、それぞれのコレクションを披瀝するに及び、これじゃあ、まるでメンココレクションを自慢しあう小学生小僧じゃん!!の勢いで、書物オタクの面目躍如なんである。 そのオタク度に、あちこち笑ってしまったのだが、中でも 「オクタビオ・パスの身に降りかかった悲しい出来事の話をしましょう。書庫が焼けたんです。悲劇です!それも考えてもみてください、オクタビオ・パスの書庫ですよ!世界じゅうのシュルレアリストたちが彼に贈った直筆サイン本の数々。ここ数年で、いちばん悲しい事件でした」 と言う、身も世もないほどのカリエールの嘆き。 いやあ、オクタビオ・パスの書庫が焼けるなんて、書物マニアにとって、そりゃあこの上ない悲劇ですよ、だけど、だけどねえ? また後半のほうで、 「世界には書物があふれていて、我々にはその1冊1冊を知悉する時間がありません。(略)ですから我々は、読んでいない書物、時間がなくて読めなかった書物から、深い影響を受けています。誰が『フィネガンズ・ウェイク』を全部、というのは最初から最後まで一字一句逃さず読んだことがあるでしょう。」「白状しますと、私が『戦争と平和』を読んだのは40歳になってからです。」 などと言い出すエーコは、なんとも愛くるしいではないか。 これだけの読書家でも、読んでない本がある! 読んでなくたっていいのだ! なにせ、カリエール曰く 「本棚に入れておくのは、読んでもいい本です。あるいは、読んでもよかった本です。そのまま一生読まないのかもしれませんけどね、それでかまわないんですよ」 である。 さすがマニア。 書物本というより、オタク本、かも。一級品の。
1投稿日: 2011.06.30
powered by ブクログ店頭で見た時、厚い本だなぁ!と感じました。最近は文庫本、新書が紙の書籍では多くなっています。電子書籍端末でも本を読んでいるので尚更です。 内容は面白かった!です。何カ所かで過去に読んだクリフォード・ストールの「インターネットはからっぽの洞窟」でデジタルデバイスの危うさを言っているのを思い起こしました。 核廃棄物の処理方法は今の福島第一原発の後処理に参考になりそうです。 本の内容では無いのですが翻訳者の表現力が足りないかなぁと感じました。言葉の使い方、句点の入れ方がしっくり来ないのです。
0投稿日: 2011.06.26
powered by ブクログタイトルが大袈裟だが面白かった。久しぶりに、本を語る人たちと接した感じ。大人な対談が、青臭さがなく衒学的でもなく、とてもよかった。
0投稿日: 2011.05.26
powered by ブクログ停電の夜に懐中電灯の灯りで読むと感慨深さが倍増。 デジタルのデータは電気がなかったらもう見れないけど、本だったら、ろうそくの光でも見れるのです。
1投稿日: 2011.05.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この対談は、『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』というタイトルである。だから、もうすぐ絶滅するという紙の書物についての内容なのかと思って読んでしまう。 ところが、内容は想像するものとはだいぶ違う。愛書家として本や言語や芸術について語り合うという感じだ。 私は本のタイトルから勝手に電子書籍とこれまでの本というものについての(プラスそこから広がっていく書物というものについての)対談なのかと思ってしまっていた。人はだいたいのことにおいて、予め予測をたててしまうものである。私もすっかり勝手に予測してしまっていた。だから実際に読んでみると、どうしてもしっくりこないのだ。一体何の話をしているのだろう?と読みながらちょこちょことクエスチョンマークが浮かんでしまう。だから対談自体はものすごくおもしろいのに、おもしろかったと言いにくくなってしまう。騙されたとまでは言わないにしろ、ちょっと拍子抜けというか、本としての仕様にすっかりやられてしまったという感じがする。 あとがきを読むと、もともとこの本のタイトルは『N'espérez pas vous débarrasser des livres, Grasset & Fasquelle, 2009』直訳すると『本が離れようったってそうはいかない』というらしい。こっちのタイトルだったらよかったのにと思う。デジタル元年に『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』というタイトルで出すのはやっぱりちょっとズルい感じがする。カッコイイ本だし私のようにうっかり手を出す人が沢山でてくる。まぁ内容自体はおもしろいから、いいといえばいいのかもしれないけど。 私はこの本を読んでいて、度々、佐々木中の『切りとれ、あの祈る手を』を思い出した。 どちらも、文学 → 言語 → その起源(宗教、<読む>ことから始まるムハンマドの『コーラン』や『聖書』)、伝わり残るもの、というような相似した内容だと思った。 古い本で今でも読まれ続けている本について(残り続ける本ということで)エーコとカリエールはこう言っている。 「時の流れの中で解釈が豊かになる。人類はずっと以前から生きていて、人類の記憶は書物に添加され、混入する。」と。 なるほどそうだと思う。 この本には、そういう「そうだよな」「なるほどな」と思えることがたくさんある。 終盤からは、本の良さや書棚や図書館の齎す効用など、本をたくさん持つ人の気持ちや拾集する人の気持ちなどがよく分かる話が続く。 私も本に囲まれて暮らすのが憧れである。壁一面の本は落ち着くというか安堵感がある。 これについてとてもいい文章がある。 C:私のある友人は、時分の蔵書を暖かい毛皮に喩えていました。本があれば、間違えたり、迷ったりしないだけでなく、凍えることもないんだそうです。世界じゅうのあらゆる概念、あらゆる感情、あらゆる知識、そしてあらゆる間違いに囲まれることで、安心と安全の感じが得られるんですね。書庫にいれば寒くありません。書物が無知という危険な霜から守ってくれます。(p409より) C:私はよく、本のある部屋へ行って、ただ本を眺めて、一冊も手に取ることなく出てくることがあります。言葉では言い表せない何かを受け取って戻ってくるんですね。不思議ですが、ほっとする一時でもあります。 E:公共の図書館や大型書店で同じような経験をすることがあるかもしれません。棚に並べてある本の匂いを嗅いだだけで、幸せな気持ちになる。それが自分の本でないとしてもです。(中略)本を眺めることでそこから知識を引き出すんです。まだ読んだことがないそれらの本は、何かを約束してくれるようです。(p420-421より) 素晴しい愛書家ふたりの様々な話は本当に面白い。 予測は立てず、愛書家ふたりのつれづれなる対談として読むべき本。 もしくは、エーコやカリエールのファンという人にはいいと思う(ふたりがどんな本を蒐集しているのかが分かるし、ふたり自身のことがよくわかる)。
1投稿日: 2011.05.01
powered by ブクログとびきりの愛書家二人による古今東西の書物を巡る対談。知のフラクタル、あるいは知の相転移と快哉を叫びたくなるような、人間わざとも思えない博覧強記ぶりに目眩を覚える。知識と知恵と諧謔を兼ね備えるとこうも魅力的になるのかと、うっとりしながらページを繰った。ブックデザインも心地よく、章が進むほどに込み入ってくるタイトルの飾り罫といったさりげない遊びも本書のコンセプトにマッチしていてニヤリとさせられる。
1投稿日: 2011.04.17
powered by ブクログ紙の本こそ残る、というのが私の信念。 それはともかく、この対談は良かった。稀覯本についていろいろ書かれていて、興味深かった。また、馬鹿と間抜けと阿呆については笑ってしまった。
1投稿日: 2011.04.03
powered by ブクログ『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』という、なかなかに臭味のあるタイトルの対談本が刊行された(阪急コミュニケーションズ)。仏語版原書では「本から離れようたってそうはうまくいかない」というほどの意味のタイトルで出版されたのだそうだが、本書は、KindleやiPadなど台頭著しい電子書籍リーダーに背を向け、「とにかく紙の書物がいいのだ」などという、聞き飽きた主張を又ぞろ高らかに宣誓するための本なのだろうか。 イタリアの記号学者・作家ウンベルト・エーコと、フランスの脚本家ジャン=クロード・カリエールによる、450ページ超におよぶすばらしい長時間対談。日本語版ではネームバリューを考慮したのか、エーコが先に表記されているが、原書では年功序列なのか姓のアルファベット順なのか分からないが、1才年上のカリエールの名前が先になっているようである(そんなことどうでもいいか)。 じつを言うと、本書は「看板に偽りあり」という点がおもしろいのだ。たしかに、紙の書物から発せられる離れがたい誘惑のことが語られ、電子による耐久メディアがいかに脆弱で移ろいやすいものであるかが、本書序盤で主張されてはいる。つまり、フロッピーディスクやMO、ZIPといったメディアに保存したまま、(ドライヴ機の衰退、絶滅によって)読み出し不能となったデータやドキュメントを、どなたもが多少の差こそあれ、空しくデスクの引き出しに保管しておられないだろうか。2人の論客は、そのことを強調している。いずれDVDを再生できなくなる日だって遠くはないだろう、ともエーコは述べている。 ところがそんな話題(宿題?)は、本書の序盤でササッと取り沙汰されて、片が付いてしまう。あとは稀覯書、古文書、奇書、愚書といった、2人共通の大好きな話題でひたすら盛り上がっているのだ。爽快なほど「看板に偽りあり」である。 先日の東日本大震災では、尊い人命はもちろんのことながら、どれほど多くの芸術作品、一点物の品、貴重な書籍・文献といったものも被災し、永遠に私たち人間の瞳から奪われてしまったのか、今はまだそのおそるべき被害の全貌は、まったく明らかとなっていない。たとえば、岡倉天心ゆかりの六角堂は、海の藻屑と消えたそうである。そうした喪失に思いを馳せつつ、思考を強靱に続行させるためのエンジンに、本書はなってくれるのではないかと思う。 P.S. 近年ではミロス・フォアマンの『宮廷画家ゴヤは見た』の共同シナリオで力を見せたジャン=クロード・カリエールだが、公開中のアッバス・キアロスタミの最新作『トスカーナの贋作』に出演し、そこそこいい味を出している。
2投稿日: 2011.03.27
powered by ブクログ西欧文学の基礎知識が無いので途中ところどころ話についていけなかったが、古書愛好という趣味と博識を垣間見るという点で雑学的に面白かった。 読まなきゃいけない本ではないが、暇があれば読んで損は無い本。
1投稿日: 2011.03.21
powered by ブクログスゴ本のレビューが素晴らしい→http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2011/02/post-d8a2.html 一見しただけではわからないが、装丁に力を入れている。
0投稿日: 2011.02.24
powered by ブクログタイトル通り、書物礼賛の色が濃い対談。 とにかくエーコとカリエールの博覧強記さ(会話が成立しているのが不思議!)に圧倒される。 デジタルとアナログ、ものすごいスピードで過ぎ去っていく現代、終身学習刑に処せられた現代人、炎による検閲、など書物にまつわる歴史を中心に書物を、そして現代をユーモラスに語り合う。 装丁の凝りようは、タイトルと内容からしても注目すべき点だ。書籍として、とても完成度が高い。 読書の楽しみにドップリ浸かりたい人にうってつけの一冊。
1投稿日: 2011.02.21
powered by ブクログ特徴的な装丁に惹かれて手にとった。ずばり紙に活字という本はなくなるのか、という問に対して、速攻でそんなことはないだろjkという結論に至り、以降本にまつわる眩暈のするほど知的な対談を繰り広げるスーパー爺さんたちの本。本は滅びない。
1投稿日: 2011.02.13
powered by ブクログ「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」というタイトルは、邦題オリジナル。原題は"N'pspérez pas vous débarrasser des livres"(訳者あとがきから「本から離れようったってそうはいかない」という感じで)であり、この邦題、パッと見た目にはどういう感じを受けるだろう?ちなみに本文を読んでから思うに、「もうすぐ絶滅する『と一部世間では専ら噂になっている』という紙の書物について」じゃないかと思うのでありました。個人的にはデジタル媒体で万遍なく提供出来る期間はそうとう短いだろうと思うので、デジタル媒体が長期的には先細りしていくことがあっても紙の本が絶滅することは(人類が滅びる時まで)ないと主張はしてます。 さて、内容はといえば、一言で言えば、本という物体が大好きな人達(エーコ&カリエール)の、本についての半端無い対談MAX。その知識量にも圧倒されるし、その蔵書量と内容にも圧倒されるだろう。 その上、この本(という物体)そのものが、すでにデジタル書籍では絶対に表現しえないものがあるということを、まざまざと我々に見せつけてくれる。なんという存在感のある装丁!これは美しい・・・。小口の塗装のにじみにはため息。おそらく計算され尽くしているのだろうなぁ。 カリエールが(その存在のあまりにもの馬鹿馬鹿しさに)驚いていた「ダイジェストで読む世界文学の傑作」という本の下り「そこではまともに考えたらありえないことが起こっています…(中略)…バルザックの全作品が一冊の本になっていたりするわけです(以後呆れ)」で、藤原書店の「バルザック人間喜劇全作品あらすじ」をつい思い出しちゃったが、あれはあれでまぁ役に立つ部分はあるのよー(笑)(バルザックの全作品とバルザックの人間喜劇全作品っーのはイコールではないけど)あと、それと同じラインにある話だと思うけど、「(速読で)バルザックの長い長い描写をはしょってしまったら、バルザックらしい深みの本質は失われるだけ」という主旨の事が書いてあったなぁ。速読疑問派の自分としては、まったくその通りだと思う。これはいい具体例だ。まぁメモがてら。 で、そのバルザックの話が出てくる箇所を後から拾うのに手間がかかって、「こういうとき、デジタル書籍だったら一発で拾えるんだろうなぁー」と思ってしまったりするのは、余談w 紙にもデジタルにも、どっちにも一長一短あるわけだよね。
1投稿日: 2011.02.10
powered by ブクログフランスの作家ジャン=クロード・カリエールとイタリアの中世学者・哲学者・作家でもあるウンベルト・エーコの対談集。 タイトルは電子書籍の普及を意識して「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」となっているが、翻訳者によると原題は「本から離れようったって、そうはいかない」ということになるらしい。確かに電子書籍について語り合った部分もあるが、それよりも書物がどのような歴史を辿ってきたか、古書を収集する楽しみ、今後の本のあり方などについて、本に纏わる出来事やエピソードを交えて様々なテーマで語り合っています。 例えば、現在持て囃されている電子書籍ですが、メディアに依存するために賞味期限が限られてしまうという欠点があります。以前は主流だったフロッピーディスクやCD-ROMなどは、それを読み取る機械そのものが絶滅してしまうと内容の復元が不可能となってしまい、データは永久に失われてしまいます。また仮に機械があっても、その機械を動かす動力源(つまり電源)が無い場合も、内容を確認することができなくなってしまいます。 それに対し紙は最も保存に適した媒体であり、紙の書物は車の車輪と同じように最も完成されたメディアと言うことができます。 博覧強記のフランス人とイタリア人の対話ということから、どうしても日本では知名度の低い人物について語られているため、少々分かり難い部分もありますが、書物に対する様々な見方や面白いエピソードが紹介され、本好きの人にはとても面白い内容になっています。 本の装丁も素晴らしいです。内容も本もとても気に入りました。
1投稿日: 2011.02.08
powered by ブクログブックデザイン 松田行正+日向麻梨子 500ページ近い厚みを持った上製本。一番目につくのは、ブルーの小口塗装。読んでいても、邪魔にはならないが、常に目の端に無意識に入って、読んでいる気分に影響を与える。カバーの装画は、消滅しそうな朽ちた本。そしてそのカバーを裏返すと、ぼろぼろになった紙の表面のような写真が墨一色で刷られ、原著書名が入っている。この本文用紙はなんだろう? バルキーな感じで、目に優しいナチュラルな白。しなやかでいい感じだ。築地系書体のタイトルがマット銀箔押しされているのも美しい。 --- 『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』(ウンベルト・エーコ、ジャン=クロード・カリエール著/工藤妙子翻訳/阪急コミュニケーションズ/2800円+税)。ブックデザインは松田行正さんと日向麻梨子さん(共にマツダオフィス)。 http://books.hankyu-com.co.jp/_ISBNfolder/ISBN_10100/10113_kami/kami.html 500ページ近い厚みを持った上製本。黒が基調となったカバーには、消滅しそうな朽ちた本の写真が入り、その上に「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」という、引っかかるタイトルが、マットな銀箔で箔押しされている。 そのタイトルと姿が気になって手にとると、おっ、小口がブルーに塗装されている。私はどうにも、この「小口塗装」が好きで好きで(前回のこのコラムでもご紹介した、ハヤワカ・ポケット・ミステリーも小口が黄色に塗装されている)、小口に色がついていると、ついつい財布のひもがゆるくなってしまう。このブルーの小口塗装、読んでいても、邪魔にはならないが、常に目の端に無意識に入って、読んでいる気分に影響を与える。 そしてそんな小口に目を奪われつつ、手に取って驚くことがもうひとつ。この本、軽い! 四六判の上製本で、かつ500ページ近いのにこの重量。これは本文用紙が嵩高のものを使っているからですね。ちなみに詳しくは後述しますが、銘柄はOKアドニスラフ80の76g/㎡だそう。 そうそう書き忘れましたが、カバーを裏返すと、ぼろぼろになった紙の表面のような壁のような、そんあ写真が墨一色で刷られ、原著書名が入っている。こうしたところまでデザインの手が行き届いている本はいいですね。といっても、別に全ての本にカバー裏に何かを刷った方がいいというわけではなく(私も刷らないこと多いですし)、刷った方がより効果的な場合は、こうしてあるといいな、ということなんですが。 そして先程ちょっと触れた本文用紙。バルキーな感じで、目に優しいナチュラルな白。しなやかでいい感じだ。銘柄に当たりを付けて見本帳をめくってみるも、うーむ、ドンピシャな紙が見当たらない。どうしても気になって、ブックデザインをされた松田行正さんにお訪ねしてみたところ「OKアドニスラフ80の76g/㎡」とのこと。えー! かなり親しんでいる紙なのにわからなかった!!(結構ショック) 見本帳と見比べてみたら、ホントだ、アドニスラフ80だ。でも、いつもよりより紙が白く見える。小口がブルーに塗装されてるからかしら。いやぁ、これは驚きました。 内容も、紙の本に固執した懐古主義的なものではなく、大変読みやすくおもしろいないようです。ブックデザインや造本とともに楽しめますので、ぜひご一読をお勧めします(ちなみに昨年末に発売されたものですが、現在既に3刷とのこと!)。
1投稿日: 2011.02.08
powered by ブクログ本好きのおじいちゃん2人によるこれから紙の本が直面するかもしれない転機を覚悟しながらも、結局は本への郷愁たっぷりに繰り広げられる対談。 時々繰り返される本好きアピール合戦がとにかく楽しくて面白い。 紙の本が失われるかもしれない、という話でありながら、とてもきれいな装丁の本、です。 中で紹介されていたエピソード。今では否定されている説として、紹介されていたので、事実ではないけど面白かったので。 「ホメロスの詩を書いたのはおそらくホメロスでなく、ホメロスの孫にあたる人物で、その人物もまたホメロスといいました。」
1投稿日: 2011.02.08
powered by ブクログ(2011.2.11) まだ1/4も進んでないけど、詰め込まれてる知識量がハンパない。 刺激されて、つい、あれこれ書庫の本引っ張り出してきてしまう。 私も「グーテンベルクの銀河系」にどっぷり浸かってます。 嗚呼、幸せ。 (2011.2.6) 二人の知の巨人による『紙の書物』にささげるオマージュ。そして、これからおそらく主流になっていくのであろう『電子書籍』へのアンチテーゼ。 翻訳ものは、翻訳者によって大きく左右されるので、余程好きな作者+好きな翻訳者でないと読まないのですが、さすがにこれは脊髄反射で買いました。 読むの、楽しみ。
1投稿日: 2011.02.06
powered by ブクログ京都新聞・共同通信2011.01.30朝刊 書評欄より。 《ともに愛書家で希少本の収集家でもある2人が、本について語り尽くす。(中略)書物への愛こそが紙の本を存続させる力だと実感する。》
0投稿日: 2011.01.31
powered by ブクログ二人の碩学の紙の書物に対する微笑ましい漫談。 随所に読書好きが頷かされる台詞が出てきます。 装丁も綺麗で、本好きなら間違いなく読んでみたくなる本。
1投稿日: 2011.01.25
powered by ブクログ原題は「本から離れようったってそうはいかない」といったようなタイトルらしい(訳者あとがきより)。 電子書籍が流行りだしている中(アメリカに比べあまり日本では流行っていない様子?)、題名と著者に少し興味を引いた。読み始めたばかりなので、感想は後ほど。 とりあえずは面白そうです(笑 ただ、ちょいと高すぎ! *電子書籍ってどうなのでしょう。私は元来、便利な電化製品というものに全く関心がないので、同様に興味がないといった感じでありますが。個人的には単行本で読むのが一番好きです。持ち運びをするような読書(電車内など)は文庫本ですが…。
2投稿日: 2011.01.25
powered by ブクログ先ずは、本の見た目を印象付けるべくページの縁に施されたインク染めが目につく。出版および、その歴史・文化を振り返る対談となっており、昨今の電子書籍登場の流れにあやかったものだという感じがした。ただ、対談者がフランス人とイタリア人ということで、日本の出版業界にみられるような自転車操業や流通に関する指摘は見られなかった。ただ、いかなる進歩、発展を遂げたところで、従来のものが完全に廃れるということはない。それは、ハガキしかり、CD・DVDしかり、映画館しかり、そして紙の書物しかりなのである。
1投稿日: 2011.01.15
powered by ブクログ[関連リンク] タイトルは釣り「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2011/02/post-d8a2.html 文芸評論家・加藤弘一の書評ブログ:『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』 エーコ&カリエール (阪急コミュニケーションズ): http://booklog.kinokuniya.co.jp/kato/archives/2011/04/post_248.html
0投稿日: 2011.01.13
powered by ブクログ「本」をテーマに、ふたりの愛書家があれこれ語る。対談の内容は多岐にわたり、自分たちの蔵書コレクションや、書物の歴史、焚書について、阿呆談義、はては本の並べ方といったことまで、そのどれもが知的で非常に面白い。本の装丁は物々しいけれど、中身は口語的であり、しかもエーコもカリエールもかみ砕いて話してくれているので、とても読みやすい。 本書を読んで一貫して伝わってくるのは、「紙の書籍への愛」。タイムリーな電子書籍への言及はなかったけれど、きっとエーコとカリエールはiPadやKindleで読書なんてしないのだろうな、というのがふたりの対談から受けた印象。とはいえ、かれらはたんなる懐古趣味の老人ではない。「インターネットの発達で人々は記憶する必要がなくなった。では人はなにを習得するべきか」という問題提起に対し、エーコは答える。「考えをまとめて、結論を導く技術。そしてこれからの教育で大事なのは、インターネットに対する批評感覚を鍛えることだ」と。これは、教育現場でありがちな「ネットを見れば答えがわかってしまうからググるの禁止!」などという指導よりもずっと現状に則した考え方だと思う。 紙の本が好きな人はもとより、電子書籍派の人も、少しでも本に興味を持っている人なら読む価値ありの、傑作。
1投稿日: 2011.01.01
