
総合評価
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powered by ブクログ最相葉月(1963年~)氏は、関西学院大学法学部卒、広告会社、出版社、PR誌編集事務所勤務を経て、フリーのノンフィクションライター。『絶対音感』で小学館ノンフィクション大賞(1998年)、『星新一 一〇〇一話をつくった人』で講談社ノンフィクション賞(2007年)を受賞。そのほか、大佛次郎賞、日本SF大賞等を受賞。 本書は2001年に出版、2004年に新潮文庫で文庫化、2014年に岩波現代文庫で復刊された。 私はこれまで、著者のエッセイ集『なんといふ空』、『れるられる』、ノンフィクション作品『絶対音感』、『東京大学応援部物語』、『セラピスト』を読んできたが、その感性と徹底した取材スタイルが好きで、本書についても新古書店で目にして手に取った。 本書は、西洋において“不可能なことのシンボル”とされる「青いバラ」を巡って、バラが登場する古今の文学作品、遺伝子組み換え等のバイオテクノロジーの技術、近現代日本のバラをはじめとする花卉産業の歴史、青いバラを作るための様々な取り組み等を記したノンフィクションである。また、生涯で100を超えるバラの品種を作出し、数々の国際的な賞を受賞した、「ミスターローズ」とも称される鈴木省三(1913~2000年)氏に繰り返し行ったインタビューの内容が随所に挿入されている。 私は、「青いバラ」が不可能のシンボルであることは知っていたし、そう言われる以上は、相当昔から、人々は青いバラを求めて様々な努力をしてきた(探すなり、作ろうとするなり)のだろうと漠然と思ってはいたのだが、遡ると、既にギリシア・ローマ神話の中に記述があるのだという。 ところが一方で、(私は、バラに限らず、花について特段の知識も関心もあるわけではない)青いバラを思い浮かべてみると、既にどこかで見たことがあるような気がして、ネットで検索すると、実に鮮やかな(りんどうのような)青いバラがいくつも出て来る。しかし、これは白いバラの茎の部分から青い染料の入った水を吸い上げさせて作ったもので、本来の青いバラとは呼ばないのだという。そして、本物の青いバラというのは、本書にも登場するサントリーが、2004年に、世界で初めて、遺伝子組み換えにより「アプローズ」(青というより紫に近い)を作ることに成功したとあった。 鈴木省三氏は「青いバラができたとして、さて、それが本当に美しいと思いますか」と語ったというが、その言葉には様々な意味、複雑な思いが含まれているのだろう。ミスターローズと呼ばれた男が、もう少し「遅く」生まれていれば、自分の手で青いバラを作ることができたかもしれない。。。しかし、遺伝子組み換えによって作られたバラは、本当のバラと言えるのか。。。 私は、基本的にバイオテクノロジー(の行き過ぎ)に対して疑問を持っており、青いバラくらいならと思う一方で、人間の欲望がどこかで留まり得るのか、非常に強い懸念を抱いている。 著者は本書の中で、「青いバラ」をテーマに実に幅広い分野を行き来し、それが本書の面白さであることは論を俟たない。が、冒頭の「問い」の章には、著者が本書を書くに至ったきっかけ・問題意識が明確に書かれており、それこそが著者が本書により最も提示したかったことではないかとも思うのである。 (2024年1月了)
0投稿日: 2024.01.12不可能への挑戦
サントリーから出されるようにはなりましたが、やはり青いバラは高級品であり、そこらの花屋で見られるモノではないですね。 Γ青いバラ」=Γ不可能」へ飽くなき挑戦をした人びとの話です。今では単行本で出された頃とは技術も進化し、状況も異なるのでしょうが、沢山の方が関わって今につながっていると思うと頭が下がります。 ΓプロジェクトX」という感じの一冊です。
0投稿日: 2013.09.30
powered by ブクログ「青いバラ」最相 葉月 ジャーナリズム、倫理、思索。ライトシアン。 第8回さいたま読書会課題図書。 棚分類…ohd 読了。マラソンでした。 ----- @全体として、[バラ交配の歴史]に関する本 @[不可能と呼ばれた青いバラの交配へのチャレンジ]について、[戦後日本のバラ育種家、鈴木省三の功績を振り返りながら]詳しく述べている @[構成] 中世から連綿と青いバラ=不可能というイメージが醸成されている → 具体的に青いバラを作るための技術 → 「ミスター・ローズ」鈴木省三の生涯 → 青いバラ作出の最新の展望と、遺伝子組換えに対する心理的抵抗の問いかけ
0投稿日: 2012.11.11
powered by ブクログロマンチストでセンチメンタルなプロジェクトX、様々な角度からの青いバラの話。 すでにほかのかたのレビューにもあるように、サイエンス系の解説はレポートめいてしまっている。おそらくは著者が科学を専門とするわけではないから、聞いたことをまとめるだけになってしまっているからだろうと推測する。 反面、ミスター・ローズと呼ばれた鈴木省三との対話のくだりは「偉大なる育種家」の経歴と現在、そして終わりに立ち会った記録として、著者の感性と視点にぐっと来る。 読者の前に鈴木省三は最初は人のよい寛大な老人として現れ、やがて学生時代は不器用だと言われていたこと、一度は遺伝工学の道へいったこと、戦時中の秘密研究に関わったこと、政治へも関わったこと、日本と世界のバラへの功績、それでも晩年の「まだやれることをやっていない」とする悔恨、主軸と傍系の構成がすさまじいノンフィクションだった。
0投稿日: 2012.07.05
powered by ブクログ「絶対音感」の最相葉月のノンフィクション。 ひとつの問いかけに始まり、終わる。 つまり「本当に青いバラがあったとして、美しいと思いますか」 遺伝子操作により、青いバラが誕生するかもしれないと言われはじめた頃、その問いかけによって、彼女はバラの育種という迷宮にはいりこむ。 読んでいて、ずっと眠れる森の美女のイメージがつきまとっていた。青いバラは、果てしない茨の向こうの高い塔の中でひっそりと眠っている…。 基本的に、ロマンチストなんだと思う、最相葉月。 そして、もうひとりのロマンチスト、日本のバラの名品をいくつも誕生させたミスターローズ、鈴木省三。 老いて、床に伏せがちの鈴木を最相が訪ねて話を聞くという形で進む。まるで、「モリー先生との火曜日」のようだと思いつつ読んでいた。 それにしても、考えてみたら戦争中、バラは敵国の花だったのだ。 つまり、バラがまともに育てられるようになって、まだ60年ぐらいなのだ。そして、戦争中もこっそりとバラを守り育てていた人がいて、そういう人がいたからこその今日なのだ。 これがロマンでなくてなになのだ。 最相葉月は、青いバラを語ることで、鈴木省三を語りたかったのだ。 バラに魅せられた、とんでもないロマンチストの話を。 文中に「聖火」というバラの話が出てくる。 花弁の先はピンクで根本が白いバラだ。蕾ですくっとたっていると、本当に炎のように見える。 昔、うちの家にあった。 うちの市で開催されたバラ展で買って、大事に育てていた。花が咲くと母と、その美しさに見惚れていた。 読んでいて、その記憶がとても鮮明に浮かんできた。 こんな優しい綺麗な思い出をくれた人なのだと思うと、胸が熱くなった。 鈴木省三さん、どうもありがとうm(__)m バラ展は、毎年開催されている。 今年は、母と一緒にいってみようかと、思う今日この頃。
0投稿日: 2010.05.08
powered by ブクログ新規購入ではなく、積読状態のもの。 2009/6/27〜7/8 長らくの積読本を読了。 英英辞典には\"blue rose\" =\"an impossibility\"と記載される「青いバラ」について人類の挑戦の歴史が日本のバラ業界の大家鈴木省三氏を中心に語られる。実務家の鈴木氏に対し、学術的アプローチで迫る多くの研究者。また、バイオテクノロジーを武器に青いバラを商売にしようとする企業。それぞれの立場での「青いバラ」へのアプローチが綿密な調査、取材をもとに綴られる(巻末の参考文献の山はその証)。最相氏のデビュー作「絶対音感」で見せた抜群の切り口は今回も健在であるが、今作はちょっと話を広げすぎたような気がする。イイタイコトがぼやけてしまった感じでそこが残念。また、タイトルは「青いバラ」であるが、内容とは少しずれてしまっている印象がある。 「青いバラ」があったとしてそれを美しいと思うのか? 私は思えないだろう。科学を生業とする身ではあるが、人間は自然をいじりすぎてはいけないと思うのだ。
0投稿日: 2009.07.08
powered by ブクログ薔薇に一生を捧げた男。サントリーがバラを研究していたんですね。鈴木さんが産み出した『芳純』、『パパメイアン』。 私もいつか育ててみたいなと思う。 千葉県の京成ばら園には、このバラがあります。資生堂から出ていたこの香水は廃盤になってしまったけれど、ほんとにいい香り。鈴木さんが亡くなった後に、青いばらは最近発表されたと新聞で読みましたが、、、。う〜ん。灰味がかったばらです。
0投稿日: 2007.04.30
powered by ブクログ「不可能」を意味する青いバラが、遺伝子操作で実現するという。「青いバラ」に魅せられた育種家を追い、遺伝子操作によって実現した「青いバラ」を、果たして美しいのか?と問いかける力作。
0投稿日: 2006.05.15
powered by ブクログ以前に読んだ「絶対音感」が面白かったので購入。青いバラをテーマに、思想観から植物育種の歴史、さらにはバイオ開発に関わる膨大な文献を丁寧に調たことが伝わる。が、「絶対音感」の時に感じたドキュメント風な文章展開が少なく残念…歴史の解説風なので読むのに時間がかかった。2006/1
0投稿日: 2006.02.04
powered by ブクログ今まで不可能とされており、その代名詞としても使われていたほどの 「青いバラ」。 それがまさか開発されたというニュースには、本当に驚かされましたね。 こちらの著書は、それよりも前に単行本で世に出ており、 今回、文庫版となったものです。 「青いバラ」の開発をめぐる、様々な人間の情熱や欲望、夢・・・。 著者渾身のノンフィクション、興味深い一冊です。
0投稿日: 2005.05.22
powered by ブクログ「青いバラ」とは西洋では不可能という意味で使われる 言葉。その青いバラが遺伝子操作で生み出す事が可能に なったというニュースに疑問を抱いた筆者が、バラの歴 史をひもといてゆく。 何故青いバラは不可能の代名詞になったのか?また人は 何故そのバラに惹かれるのか? その謎を解きながら丁寧に語られるバラの品種改良の歴 史は、専門知識のない私にもわかりやすく、魅力ある物 語のように書かれています。 植物の品種改良というと伝統的な職人の仕事のように感じますが クローン技術にも通じるものなんですね。
0投稿日: 2004.11.11
