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稲穂の海
稲穂の海
熊谷達也/文藝春秋
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総合評価

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    熊谷達也の稲穂の海を読みました。 昭和40年代の仙台近辺を舞台に、その時代に生きた人々を描いた短編集でした。 方言をとりまぜて描かれていてその時代の空気が感じられる物語でした。 現在ではこの時代の名残もほとんどなくなってしまっていて、昭和は遠くなったなあと思ったのでした。

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    投稿日: 2016.10.23
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    郷土の作家ですが、残念ながら今まで読んだことがありませんでした。初めて読んでみたのですが、当に郷土を舞台にした高度成長時代の頃の昭和の時代の短編が8つ。いわゆるズーズー弁を喋る登場人物たちや馴染みの地名に、そこに自分がいるような臨場感が湧き起こりぐいぐい読み進むことができました。良く考えてみると話し言葉がその土地の良さを物語っているにも関わらず、方言で書かれた小説が少ないのは残念なことかもしれないと考えます。

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    投稿日: 2016.09.16
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    【そこに、人の暮らしの真の豊かさがある――】昭和40年代。高度経済成長とそれまでの暮らしの狭間で、生きる喜びと未来への希望を抱くたくましい地方の人間たちを描く短篇集。

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    投稿日: 2014.09.09
  • リアル東北暮らしを描かせたら一番

    好きな作家です。マタギ3部作(相剋の森、邂逅の森、氷結の森)を読んで大ファンになりました。明治~昭和頃の東北地方のリアルな暮らしっぷりを描かせたら日本一かもしれません。その時代のその場所にタイムスリップしたかのように感じて、目の前で登場人物の息遣いが聞こえてきそうです。人間と東北の自然とのかかわり、人間と動物の関わり、その時代毎に丁寧に設定された背景に基づく描写が、この作家の東北やちょっと昔の時代に対する知識や愛を感じさせてくれます。

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    投稿日: 2014.08.18
  • 熊谷小説の初読の方には、ピッタリな入門書

    2007年~2009年にかけてオール讀物に掲載された短編集。熊谷作品の代表作と言えば直木賞受賞作の『邂逅の森(2004年)』になるが、この本を読む前に熊谷作品の入門書として『稲穂の海』は最適だと思う(ただし、こちらの方が後の作品だが)。東北の方言で書かれた短編あり、ユーモアチックなものあり、子供目線で書かれた重松作品を彷彿とさせる佳作ありで、短編集ながら熊谷氏の作品の魅力が凝縮されている。

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    投稿日: 2014.07.19
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    昭和40年代の宮城県に住む人々の暮らしぶりを描いた短編集。 方言使いで書かれているものもあり、非常に情緒豊か。 昔話『梅太郎』が良かったな。

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    投稿日: 2014.06.05
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    昭和四十年代の宮城県を舞台に描かれる珠玉の短編集。いずれも懐かしく、心に訴えるものがあり、なかなか面白い作品に仕上がっている。 『酔いどれ砲手』は牡鹿半島を舞台に廃れゆく捕鯨をユーモアを交えながら描いており、ユーモアの中に潜む哀しさが何とも言えない。 『稲穂の海』は宮城県北を舞台に減反政策にあがらう若者の姿をユーモアを交えながら描く。 『梅太郎』は民話を収集する大学の若手助手と語り部の婆さんを描いているが、あくまでも純粋な婆さんに対して、物事を四角四面に捉え過ぎる大学助手の姿が滑稽である。 『屋台「徳兵衛」』は思わずホロリと来る人情話。今は見ることの無い屋台の描写が何とも言えない。 『てんとう虫の遍歴』も昭和の時代を上手く描いている。あの時代、自家用車は憧れであり、自家用車を持つことはものすごいステータスだった。 他三編も懐かしく、ユーモアの中にある人情味が心地良い。

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    投稿日: 2013.05.04
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    昭和40年代を舞台にした短編集です。 熊谷さんといえば東北、自然、動物、マタギなんてキーワードが浮かびます。この作品は東北を舞台としているものの、人情ものというのが相応しそうです。 衰退する捕鯨の砲手を描いた「酔いどれ砲手」、米の減反政策に翻弄される農民を描く「稲穂の海」、民話の語り部を主人公にする「梅太郎」、屋台の親父の幸せを描いた「屋台「徳兵衛」」、スバル360との不思議な邂逅の物語「てんとう虫の遍歴」、畜産農家の悲喜の「桃子」、ちょっとスタンドバイミーを思わせる「星空を見ていた夜」、不思議な「団塊の世代」。 高度成長期の貧しさからの脱却の時期、どこか希望に溢れ、ノスタルジックで、暖かい。そんな話が続きます。熊谷さん、こんな話も書くんだな。

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    投稿日: 2013.04.23