
総合評価
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powered by ブクログ『七瀬ふたたび』からの繋がりが全くなく、唐突に学校篇が始まった。冒険的でハードボイルドな前作とは異なり、いきなりミステリー小説のような調査が始まり、あの緊迫感はどこに消えたのかと戸惑い、置いていかれる思いがした。 これまで物語の舞台は家族から国へと広がってきたが、本作では宇宙や神にまで拡大した。さらに置き去りにされた感覚を覚える。 しかし、前2作との繋がりを探しつつ「これは一体何の話なのか」と思いながら読み進めると、最後の最後で一気に収束していった。 自分の感情や記憶までもが宇宙意志に関与されていることに気づく不幸。恋に落ちることを「心を奪われる」と表現することはあるが、そこに第三者の意志が介在し、しかも未熟なその第三者の自己都合であると悟った場合、人生に前向きでいられるだろうか。これは「知らなければよかった」の最上級であると思う。 神の存在を信じる人は多いのに、以後ずっと神の関与を疑いながら生きていかなければならないのは、最後に仲間との再会を受け入れられなかった七瀬にとってしんどいはずである。納得感のある結末ではあったが、これまで応援してきた七瀬にとってはバッドエンドになってしまった。
7投稿日: 2025.10.15
powered by ブクログ第1作ブラックホームドラマの『家族八景』、第2作ハードSFの『七瀬ふたたび』に続くシリーズ完結編。といっても昔は「七瀬シリーズ」なんて括りはしてなかったけど。テレパスの主人公というのが同一なだけで、前2作はまったく毛色の異なる作品だし、本作もまたそれらとまったく異質な作品である。SFジュブナイル小説を思わす学園ミステリーな導入から、画家とその妻の謎を冬の田舎の山村に追うミステリーへと展開し、後半は、広大な宇宙の意識の中で繰り広げられる母と子のエディプスな恋愛を通し、私という意識、私の中の無意識というものの在り様を肌で感じさせてくれる。これをとてもわかりやすくエンタメ小説として感じさせてくれるところに感心した。自分は巨大な綾波レイ=碇ユイを思い出してしまったのだが、思えば庵野監督の『シン・ヱヴァンゲリヲン』も、師匠の宮崎駿監督の「恋人に自分を産んでもらう」という『君たちはどう生きるか』も、本作がどこかでモチーフになっているのかも知れないなぁなんて思った(ただしあくまでモチーフであり本作は「母への恋」自体には特段の関心を示していない)。『エディプスの恋人』がこの小説のタイトルであると同時に、本作の中で宇宙意志が用意した舞台名でもあるというメタ構造という落としどころもさすがと思った。
12投稿日: 2025.10.12
powered by ブクログ何という壮大なラストなんだ。 読み終えたけど凄すぎて言葉が出ない。 第一作『家族八景』の家政婦から始まって、 第二作『七瀬ふたたび』で超能力での戦い、 そして本作、全てを超えて宇宙?、神?、精神世界とスケールが大き過ぎて頭が追い付かない。 テレパスを持った家政婦からこんなラストを誰が想像できるだろうか。 本書を読んでいてずっと気になっていたことがある。 まずタイトルのエディプスとは何だろう? そして二作目の超能力暗殺集団と、ラストで七瀬はどうなったんだ? エディプスとは調べればすぐ分かった。 ギリシャ神話の『オィディープス王』の物語に因んで名付けられたようだ。(オィディープスが父を殺し実母と結婚してしまう物語) そして暗殺集団と二作目のラスト、タイトルの意味、全てが本書のラストで明かされる。が 一体どこからどこまでがあの意思の力だったのか? 全て思惑の内だったのか? そもそも超能力者は何のために生まれたのか? いや生きている全ての人間があの意思の力によるものなのか? もう話が大き過ぎて頭がパンクしそう。 そして『オィディープス物語』と重ねるととても奥深さを感じる。 既知の範囲を超えた世界の描写は読み手の想像力をどこまでも膨らませ、大きなロマンを感じさせてくれる。 私もあの意思の力によって生かされているのかも? 何て思わされる、凄い一冊でした。
54投稿日: 2025.09.17
powered by ブクログ七瀬3部作の3冊目 果たして七瀬の命は助かったのか? 前作の続きが気になる……と思ったら! 今作、舞台は私立高校の教務課事務員の七瀬 ⁇あれれ… 特異な精神構造を持つ学生香川智広に興味を持ち調べてゆく 彼は本人の力ではなく、絶対絶命のピンチに遭遇すると、何者かの「意志」で助けられ危害を加えようとする相手はてひどい反撃に遭う! (これって既視感!十二国記 魔性の子の高里のようではないか!) 2作目最後、七瀬は命を落としたか? と思われたのに、何と3冊目では、女神?宇宙の意思?が七瀬を再び生かして、女神が人間であった時の息子智広と七瀬を操ってゆく‥‥絶句 七瀬の人生は、超能力を持って生まれたため、 散々苦労した挙句命も落とし、と思ったら 女神?とやらに思うままにされる 何なのだろう! 3作目、よく分からなかった!
23投稿日: 2025.08.30
powered by ブクログ七瀬三部作を読み切った。 1作目はおどろおどろしく、2作目はエンタメ小説、3作目の本作は作者が自分自身のために書いたような難解な小説だった。 難解ではあるけれど、考察がとてと面白い。 まだ読み終わった直後であり、自分の考察がまとまっていないので、ゆっくりまとめていこう。 七瀬三部作は父のおすすめで読んだので、父と意見交換をすることが楽しみ。 七瀬三部作、特にエディプスの恋人は同じ小説を読んだもの同士で意見交換するまでが楽しみ方のセットと感じた。 週末、父の意見交換をすることが本当に楽しみだ。
2投稿日: 2025.05.14
powered by ブクログえっ!なんなの? これは続編ではなくて単独のお話か? と 思いながら読み進める しかもなんなの?意味がわからん この展開は何? 筒井先生、勘弁してよ あまりにも壮大な、全宇宙的な いや、神の領域というか 七瀬が、全てが操られる ところが結末は すとんと、落ち着いてしまった ああ、そうなのね 私が未熟でした 申し訳ありませんでした! やっぱりすごかったです 一瞬でも 筒井先生を疑ってしまった自分を 悔み、反省しつつ 読了とします!
93投稿日: 2025.05.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
これは「魔性の子(小野不由美)」的なお話?と思いつつ読んでいたら、なんと壮大な世界に連れて行かれ、驚いたことでした。
1投稿日: 2025.04.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
七瀬3部作の最後の本 人の心が読める力を持つ七瀬 2作目の最後で生き果てたと思いきや、唐突に普通にある高校の事務員として働く七瀬から始まる 何だったんだろ?と思ったけど、それにも実は理由があった 神ともいえる意志が七瀬の人生を翻弄する その意志は、全能の力を自分の夫と、特に息子のために使う 神なのに、ものすごく自分勝手で、親バカの極致ではないか けど、中には嫉妬して相手を貶めたり、気に入らない物を殺したりする神もいる それは神じゃなくて、大きな意志と呼ぶ方があってるのかもしれない 神について少し考えた一冊だった
3投稿日: 2025.03.18
powered by ブクログ3部作の中で家族八景が一番良くて、エディプスの恋人が一番 ぶっ飛んでた。ただ読んだだけで 特に何も感じるものはなかった。
1投稿日: 2025.03.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
今までにない読書体験だった。 ラストにとんでもない視点が提示されて、初めて本当の意味でタイトルの意味がわかる。 七瀬は『エディプスの恋人』を演じさせられる為にこの世に再創造された存在である、ということに気づくなんて読者の誰も想像できなかったんじゃないかな。 智広の身勝手に超能力を信頼している人間性に個人的にはずっと注目していたし、七瀬がそれとどう向き合うのか、そして七瀬が一人の人間として、「火田七瀬」として、自分自身とどう向き合うのか楽しみにページを繰っていたわけだけど、ここに帰着させるのかという。 最初は超自然的ミステリー的な始まり方なんだけど、後半の展開がすごい。 七瀬が頼央(智広の父親)から話を聞き終わった後に、アイドルグループが体育館でライブをしていて、隠し芸という名の子供じみた茶番を知性のある男観客が大盛り上がりで本気で感動している姿を見るシーンも素晴らしい。 七瀬がそれを見て思うシーンが以下。 七瀬ははっと座席から身を浮かし、中腰のままでまじまじと周囲を見わたした。これは現実なのか。夢ではないのだろうか。それとも現実そのものが夢のさほど変わらぬのであろうか。自分たちにとっての現実とは宇宙の対極に存在している「彼女」の夢の舞台、その舞台上での、「彼女」によって紡ぎ出された幻のようなうたかたの群像劇なのか。今、七瀬の急激な動作にも、彼女の方を向く者はひとりもいず、観衆はすべて熱狂し、歓声をあげ、舞台に向かって拍手している。非現実感が七瀬をとり巻き、彼女は自分の存在が根抵から切り崩されていくような恐ろしいほどの不安に苛まれ、またしてもじっとしていることができなくなってしまった。(p.259) 演目に従って、茶番劇のようなパフォーマンスをするガールズ・グループの舞台を見て、彼女は自分のいる世界を疑い始める。女の「性」としての役割を消費して、知性ある男たち観客のために茶番劇を演じるアイドル・グループを見て、七瀬は自分自身が置かれたこの現実世界すらも、この夢現な舞台と同じなのではないか?と。 彼女は会場を抜けて、雑踏を歩き続ける。自分自身の存在を確かめる、自分のいる足元が現実であることを確かめるために。 しかし、その疑いは遂にラストシーンで確信に変わってしまう。確実に死を迎えた仲間たちの再創造とその消失を決定的に悟ってしまった七瀬は、自分でマリオネットとして『エディプスの恋人』を演じることに首肯した。 この劇を終幕させるために。 「意志」によって再創造された存在である主人公が、「意志」に逆らえない運命を悟り、「意志」に押し付けられる理不尽を受け入れて、『エディプスの恋人』を終わらせるために。 七瀬個人が女性であるからこそ、エディプスの恋人として選ばれて、その役を演じさせられる理不尽には本当に舌を巻いた。特に恋人として、女性として一番大切な破瓜の痛みさえ感じさせられず、代替させられてしまう理不尽はあまりにもえげつない。 筒井康隆にあっぱれ。伊達に文壇で好き勝手やってない。 にしても、自分はこの作品を単独作品だと思って読んでたんだけど、七瀬三部作の最終作ということに、読み始めてから気づいた。 最初のテレパスの描写とかわからんかった。 でも、この順番で読んでて良かったのかもしれない。 家族八景、七瀬ふたたびも当然読みます。
1投稿日: 2025.02.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
久しぶりに壮大なSFの世界観に陶酔してしまった。筒井康隆先生はやはりSF御三家と称されるだけある。 「彼」を包括する"意志"というものは宇宙、言ってしまえばこの世の全てとも言えるだろう。非常に不確実で抽象的な存在である。同時に「彼」という一人の人間に向けられた母性でもあるということ。この、明白なコントラストに筒井康隆の色が感じられた。 記憶が薄れて来た頃にまた読みたい。
1投稿日: 2025.02.12
powered by ブクログ始まりから終わりまで、すべては神の手のなかにってやつなのか。このタイミングでこの本を読んだのも、神の計らいか。これを読んでから、運とかをすこし信じるようになった。
1投稿日: 2025.01.29
powered by ブクログ個人的に、エディプスの恋人の登場人物のイメージ像が伊藤潤二作品の画風にぴったり合う。(七瀬→富江さん、香川智広→四つ辻の美少年) 香川くんの名前(普通)がかけがえのないすばらしいもののように思える七瀬が普通の女の子みたいで可愛いすぎる。 筒井康隆の意外なまで(宇宙はさほど話の舞台にならないから)真摯な宇宙への畏怖がある。 エディプス(男の子が母親を慕い父親に反感を覚える傾向であるエディプスコンプレックスから来ている)(=智広) エディプスの恋人(=火田七瀬)
1投稿日: 2025.01.19
powered by ブクログSF界の神様 筒井康隆さんの七瀬シリーズ最終巻。 最終巻から読んじゃったけど普通に楽しめる良作! 他者の考えが読めるテレパス(超能力)をもつ 主人公『火田七瀬』は、自分が務めている学校で 別の超能力が発生するのを目撃。 その出処を探していると1人の異端な高校生の 存在が浮かび上がる。しかしここから急展開。 教諭の七瀬と高校生である「彼」が恋仲になる。 しかしその愛情にはある理由が……。 というタイトル回収をしっかりしてくれる作品。 SFとエディプス・コンプレックスを掛け合わせる あたりやっぱり筒井さんは天才だなと。 SF好きな人にこそ読んで欲しい、SF味変できる良作。 ぜひ読んでみて!
2投稿日: 2024.12.22
powered by ブクログ4.0 ラスト数ページが全て。 こう来ましたか! という驚きとともに子寂しい読後感。 賛否両論あるだろうが、40年以上前の作品ってことを考えると凄いなと
1投稿日: 2024.11.30
powered by ブクログ美しきテレパス火田七瀬の「家族八景」「七瀬ふたたび」に続く完結編「エディプスの恋人」。高校の事務に勤める七瀬の前に現れた不思議な力を持つ高校生。七瀬はなぜか彼を愛するようになる。それは七瀬にはとても力が及ばない「意志」の力によるものだった。全宇宙を支配する「意志」とは何ものなのか。 ナンセンスドタバタのイメージの筒井康隆の本格的なSFで、最後の七瀬の葛藤は悲しくてならなかった。「七瀬三部作」面白いです。 2024年9月21日読了。
1投稿日: 2024.09.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
23歳の七瀬が生きているのを見て、理由は分からないが助かったんだ!と半信半疑で見守っていたら、まさかこんな展開になるなんて。シリーズを超能力者の話として読み始めたため、三作目の視点の壮大さは意外だった。面白かった。 でも超能力を持って生まれた者の行く末として、最後までとても悲しい道が用意されていて、読み終わった後どんよりしてしまった。結局七瀬は幸せになっていない。やはり私は彼女に幸せになってほしかったのだと思った。 愛し合う二人の間に割って入る母親という存在が正気じゃなくて、読んでいて気が狂いそうだった。七瀬はもっと怒っていいのだけど、観察者であり理性的で賢い七瀬は自身の感情をぶつけることがあまりない。これがまた悲しいなと思う点だ。 人間ひとりひとりに意志などなく、全知全能の存在が人間を操っているだけだとしたら、やはり人間はショックを受けるのだろうか。
1投稿日: 2024.05.29
powered by ブクログ『家族八景』『七瀬ふたたび』に続く、俗に言う七瀬シリーズの完結編。 異能SFの雰囲気は影を潜める、というよりかは作者の中で“異能”というものをより深く推し進めたであろう本作は、形而上的な色合いを帯びる。 生物の上位存在の様なもの..宇宙意思..定まった呼び方の無いこういったものに対し、本作はかなり突っ込んだ、かつ文字化に成功している作品かもしれない。七瀬シリーズの幕引きに寂しさもありつつ、個人的には支持したい締め方。
13投稿日: 2024.01.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『七瀬ふたたび』のラストからどうなって本作に繋がったのか疑問に思いながら読み始めるも、次第に、そんなことは忘れ読み進める。ラストでなるほど納得の理由でうまく前作と繋がった。これにはまんまとやたれたという感じ。図形的な文章表現も出てきて前衛的。他の小説では見たことがない「赤字の文字」は極北と言えるのではないかと思う。
1投稿日: 2023.11.12
powered by ブクログ「七瀬シリーズ」の第3弾。 高校の事務員として働くことになった七瀬は、香川智広という男子生徒に向かって飛んできたボールが、とつぜん粉々にくだけ散るという異変に遭遇します。彼女がテレパシーの能力をつかって智広の心のなかをさぐると、ほかの生徒たちにはけっして見られることのない絶対的な自信があり、やがて七瀬は彼が神のような強大な「意志」の力に守られているという確信をいだくことになります。 智広と彼を守る「意志」の源をさぐるために、七瀬は絵描きである智弘の父の頼央の故郷を訪ねます。やがて彼女は、頼央から「意志」にまつわる秘密を教えられますが、しだいに彼女は自分の智広に対する関心も、それどころか自分自身の存在ですらも、「意志」の力にもとづくものではないかという疑問にたどり着くことになります。 最初は、前作である『七瀬ふたたび』とのつながりがわからず、前作とはべつの世界線のストーリーだと思って読み進めていましたが、最後のほうで前作とのつながりが示唆され、本作の壮大な仕掛けが明らかにされています。ここまで舞台装置が大掛かりなものになると、SF的な世界観の根幹となる問題につながっていくことになりますが、これもシリーズの締めくくりにふさわしいテーマといえるのかもしれません。
1投稿日: 2023.11.12
powered by ブクログ七瀬3部作の最後。この世界、そして七瀬自身も神に操られた存在であると気付く。太母の意思で、七瀬は復活し、存在し、行動する。現実存在とは、そのような「神」的者のシナリオによって演じさせられているのだ。それを受け入れるしかない。七瀬は、エディプスの恋人を演じるしかない。
0投稿日: 2023.11.04
powered by ブクログ前作の内容をほぼ覚えておらず、最後の方でああ、そんなこともあったなあ、って思い出したが。全体的に暗いよな。筒井さんならくすりと笑えるところもあるかなあと期待したが全くない。本文の中で時代を感じさせるところがあるので、十年早く読めばよかった。
0投稿日: 2023.06.21
powered by ブクログ2作目の「七瀬ふたたび」を飛ばしての作品だったけど楽しく読めました。生まれて初めて恋心を抱いた相手が高校生。超常現象の行方を追った結果それが全知全能による亡き母親によってであって それに従い認めざる負えない中、自己の存在自体にも悩む。しかし、最終的にはこのタイトルを超えて七瀬が幸せな方向へと向かったので良かったかな。
3投稿日: 2023.04.01
powered by ブクログ1作目とも2作目ともまた違う作風。 「宇宙意志」まで話が飛んでいってるけれど、神の依怙贔屓な展開はあまり面白くない。 ただ前作との繋がりが示されたシーンは、3作品目が作られた理由であり、伏線の回収であり、圧倒的な絶望感を叩きつける結末そのものになっていて凄かった。
0投稿日: 2022.12.28
powered by ブクログ無意識のエディプス的傾向を母親=「彼女」側からのアプローチで智広に対して実現させてるのか、結局のところその無意識は智広側から膨れ上がってきていてその結果が「彼女」をこういうかたちの存在にさせているのか、、、とかを考えたりした。 包み込むっていう意味での母性をSFっぽく体現している感じがしておもしろかったし、終盤に七瀬がどんどん現実の構造に際限の無い疑いを持つ不安定さを見せたことでおもしろに拍車がかかった気がする。
2投稿日: 2022.12.21
powered by ブクログ三部作の最後を飾る作品。 にもかかわらず、冒頭を読んで思った感想は、「あれ?」というものでした。 前作とは全く違う性質の超能力者。物を動かしたり、未来を予測したりと、1点に秀でた才能の人物が出てくることはありましたが、今作の"彼"は異質です。 今作は、全く繋がりのないように思えましたが、なるほど読み終えてみるとそういうことだったのか、と納得しました。 別作品ですが、三部作でテーマが広がっていく物語で思いついたのは、「リング」「らせん」「ループ」がなんとなく自分の中で近いのかなと。もちろんストーリーは全く違いますが。 果たして私たちに意思は存在するのでしょうか。 今のあなたの瞬間的な考えも、誰かに持たされたものかも知れません。明日には消えてしまうかもしれない、誰かに。
8投稿日: 2022.12.10
powered by ブクログ七瀬さんに幸せになってもらおうと、作者である筒井さんは、本書に登場する「意志」の如く振る舞ったのだと感じました。 人間の心理描写に秀でた作品とのコメントがあったのがきっかけで『家族八景』を読み始めた物語でした。七瀬さんの話は、いつもまでも続いてほしいという思いもありますが、ここで終了のようです。まだ続きも描けそうですが、筒井さんはどうお考えなのでしょう? しばらく、筒井康隆さん作品を読み漁るというマイブームは続きそうです。
3投稿日: 2022.11.09
powered by ブクログ3部作のラスト 結末がやばい その結末はないだろうと思いながら読んでたらその結末だった まあこういう話ってことでいいのかな 3部作だけど、どれも全く趣が違う
0投稿日: 2022.09.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
文字通り「神」SF。七瀬シリーズを読んでいると思ったら『モナドの領域』だった。 相変わらず意識の流れ的な手法を使った心情描写の説得力がすごい。文字を二次元的に配置するやつなんて名前だっけ。 「意志」の正体が判明するにつれてコズミックホラーにも似た気持ちのいいゾクゾク感が味わえる。『モナド〜』に比べて万能でもなくかつ人格があるのがおもしろい。 官能シーンは「彼氏が彼氏の母親(神)にNTRれてるのを全能状態で見せつけられる」という構図が斬新すぎて笑ってしまった。 途中これ七瀬シリーズでやらなくてもとか思ってしまったけど、最後のメタ的展開、自問自答に至るのは主人公が七瀬故の必然といった観がある。
0投稿日: 2022.08.27
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テレパスである火田七瀬は、私立高校の事務員として、突然存在する。彼女自身、現在の自分に疑問を持たない。彼女は、ひとりの男子高校生に興味を持つ。彼の周囲では、たびたび不思議な現象が起こる。そして、理由もわからぬまま、少年に惹かれていく。 彼の父親と会い、彼を巡る強い意思の存在を知ることになる。それは、かつて少年の母親だった女性の意思だった。母親は、選ばれし大宇宙の支配者となりその意思は宇宙に偏在しているのだった。 少年の母親の意思は、七瀬の肉体を一時的に支配して、息子と肉体関係を持つ。その刹那に、七瀬は宇宙意思の感覚を経験する。そして、七瀬によるその世界観の表現となる。 壮大なファンタジーに行きつき、好みが分かれそう。人は、何者かの支配下にあり、支配者は時間と空間を操る。大きな意思に反して、息子への愛には固執する。ギリシア神話のエディプス、実の母親と知らないとはいえ結婚してしまう悲劇を、息子に背負わせる。七瀬は、息子に与える為、その生も愛さえも操られる。 家族八景の火田七瀬が、この最終作の世界観でラストを迎えるとは。
34投稿日: 2022.07.01
powered by ブクログ面白かった? よく分からない。正直、頼央の話以外はあまり面白いと思えなかった。後半になって智広の母が世界の云々というところから、読者を楽しませるために描かれているものではないと感じた。エンタメ小説ではない。前作や前々作のようなエンタメを期待していたので少し残念だった。ただ、誰しも一度は考えたことのあるような、自分という存在の唯一性、それの真に迫るような文章は圧巻だった。死の恐怖を連想させるそれにドキリとさせられる。そして、最後の七瀬が全て思い出すシーン、とても良かった。
2投稿日: 2022.06.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
七瀬三部作の最終章。 前作では、超能力者の仲間たちが抹殺され、七瀬自身もかなり危険な状況で終わってしまった。 この本では、七瀬はある名門高校の教務課職員として働いており、前作からどのように生き延びたのか、暗躍する組織もまったく触れずに物語は進んでいくので、七瀬が主人公であるものの、スピンオフ的な作品なのかと思いながら読んでいきました。 (最後の方でその謎は解かれるのですが) 不思議な力で護られている高校生の香川智広。そして七瀬は自分の意思か何かの意思の力で智広と相思相愛の恋愛に堕ちていきます。(今まで男性を避けてきた七瀬がそうなることに少し嫉妬した) さてさて、内容は詳しく書けないのと自分の表現力が弱いので終わりにしますが、香川智広の父の頼央が失踪した妻の珠子や智広との幸せな過去を顧みて話すシーンは何10ページもかけて書かれており凄い。そこからラストまで一気に読んでしまう迫力がありました。特に頼央と形を変えた珠子との性的シーンは麻薬的でとてもエロティックなもので、こういう感覚のまま死んだら人はなんて幸せなのかと本気で思ってしまった。(エロい自分だけかもしれないけど) そして、手塚治虫の火の鳥に通じるような、壮大な宇宙的な発想、結末に感動しました。よかった。
16投稿日: 2022.04.25
powered by ブクログある日、少年の頭上でボールが割れた。音もなく、粉ごなになってーそれが異常のはじまりだった。強い”意志”の力に守られた少年の周囲に次つぎと不思議が起こる。その謎を解明しようとした美しきテレパス七瀬は、いつしか少年と愛しあっていた。初めての恋に我を忘れた七瀬は、やがて自分も、あの”意志”の力に導かれていることに気づく。全宇宙を支配する母なる”意志”とは何か? ー文庫うらすじより もの凄い本を読んだのかもしれないと思いました。 『七瀬三部作』第三作。 私と同じ昔の田舎の高校生だった親友のAちゃんが「読書は苦手だけど七瀬のシリーズだけは好きなの」と言っていた七瀬三部作。 前にも書きましたが、こんな前衛的な本をあのAちゃんが高校生の時に読んでいたなんて、信じられません!! 来月Aちゃんの誕生日なので久しぶりにLINEしてみます。 SFは、ほとんど読んでこなかったジャンルなのですが、このくらいは普通なのでしょうか。 人の心が読めるテレパスの七瀬。第一作の『家族八景』では人の心は著者の筒井康隆さんがこれでもかと書かれる程、腹黒いものなのかと思いましたが、今回は大いにあり得ることかもしれないと思い直しました。 さすがに『家族八景』のような家族はあまりないのではと思いますが。 これは、孟母のお話です。 設定が斬新で(昭和56年初版になっていますが)とても面白かったです。
75投稿日: 2022.03.13
powered by ブクログ七瀬三部作のラストを飾る一冊。前作『七瀬ふたたび』が超能力者の闘いを中心に描いた作品で、今作もそういった内容なのかなと思って読み始めましたが、今作はそのスケールの大きさに驚愕しました。 地球規模で女性化が進んでいる、という考え方は時代も感じられて面白いなと思いました。
1投稿日: 2021.12.29
powered by ブクログ七瀬3部作。 高校生の時に読んで、忘れられない作品。 大人になって読んでもやっぱり面白かった。 こういうのは本当にすごい。
2投稿日: 2021.12.20
powered by ブクログ七瀬3部作の第三弾。 読んだのは学生時代以来かな。 「存在」がテーマになっていて哲学的。 こういうストーリーだった? という感じで印象が違った。 最後の方は七瀬がもっと偏在化して、活字がもっとはちゃめちゃになってるイメージだったけど… 他の本の印象と混ざってたか。 いや、私も宇宙の意志に操られているのかもしれない。
1投稿日: 2021.09.18
powered by ブクログ実在論という観点から超能力を相対化したんかもしれん。 形而上的な存在が世界を操ってるんだとしたら、超能力者もそうでないやつも吹けば飛ぶような存在として大した違いはないと。 サブカルとカウンターカルチャーの違いを影山民夫さんが話しているYouTubeを見たけど、日本はカウンターカルチャーは無くてサブカルが群居していると指摘していた。 サブカルとしてのSFがメインストリームになりかけてた時代なんだとしたら、なんとなくわかるけど、多分その時代は大人の話として聞いてた俺は、やっぱり超能力者という設定にピンとこない。 ただ「家族八景」からみるとスケールが格段大きくなっているのは間違いなく、先生の本腰の入れようは大いに感じられる。
0投稿日: 2021.09.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
話しが大きくなりすぎて、何が何やら。 リングシリーズもそうだが最終的には神の領域にいくのかな。 この時代の作者の方々は
0投稿日: 2021.08.30
powered by ブクログ初めから中盤にかけては、謎が謎を解決しない様な展開で、先を読みたくなるような物語です。最後、彼が超能力を持っていたわけではなく、母親に守られていた事がわかってエディプスコンプレックスを題材に近親相姦の様な場面が描かれますが、内容が宇宙を連想させる様な記述なので、変にイヤらしくありません。これが筒井康隆のSFなんだと思います。
0投稿日: 2021.08.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
三部作の完結篇といった位置付けで、それに間違いはないのだが、第1作2作とはまた大きく違っている。発表順が逆だが、鈴木光司の「リング」三部作の「ループ」を思い起こさせる。 思いもよらぬ展開、重要登場人物香川のキャラクター表現の少なさ、その父の独白の長さなどのびっくり要素はいろいろあったが、うねるような独特の文体で、やはりぐいぐい読まされる。 正直、このストーリー、この結末は、スケールが大き過ぎて、理解しようにもなかなかにむずかしい。筒井康隆氏の構想力の凄さに圧倒されるのを楽しむ作品と思った。
0投稿日: 2021.03.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「七瀬ふたたび」の余韻がなくなりそうだったので早めに購入。七瀬のパーソナリティーは好きですが、物凄いマザコン小説のようで、後味が非常に悪く、全く共有できなかった。テレパス能力をもつ七瀬、孤独な日々を過ごしていたが、超能力をもつ少年と恋をする。しかし、その少年には能力は全くなく、失踪した母親が、少年を守るために能力を操っていた。母親の少年に対する愛情は親子愛を越え、さらに、宇宙をも支配する存在。ここまで来ると私の理解を超え、脳の神経回路がショートし、そのまま「了」。最後は懲りすぎ?私の理解力の問題?
3投稿日: 2020.08.11
powered by ブクログ内容紹介 ある日、少年の頭上でボールが割れた。強い“意志"の力に守られた少年の謎を探るうち、テレパス七瀬は、いつしか少年を愛していた。
1投稿日: 2019.10.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
後半、七瀬が「神」(太極存在)になるところは、なかなか壮大だと思った。しかし、とくにセクシャルなもんをいれる意味があるんかいなとも思った。ここが日本ぽいと言えば日本ぽい「神」だなと思う。 「神」のことを「太極存在」とかいっていて、西洋的な人格神とは異なるという点を強調しているようにようだが、息子を見まもるところなど、なんとも日本的な「女神」である。自由意志の問題も作品の最後で解決をみておらず、なんとも放り出されたような終わり方である。 「宇宙ということばの字義通り、空間としての宇宙と時間としての宇宙の両方をつかさどっている」(220頁)云々は「宇」が「軒」(空間)を指し、「宙」が「水時計」(時)を指すことを言っているのであろう。作者は東洋風をいれようとしているんだなと思った。 もしかすると、「なぜ超能力者が生まれたのか」という『七瀬ふたたび』にみえる問いも、「彼女」のせいかもしれないと思う。
0投稿日: 2019.08.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
筒井康隆的な跳躍したぶっ飛んだ発想は楽しめるが「七瀬」という優れたモチーフをこのような形で描くのはどうなのだろうと思ってしまう。「意志」なる者を描くこの物語は、確かに三部作完結編として「七瀬」である必要があったかもしれないし、「七瀬」である必要もない。
1投稿日: 2019.03.03
powered by ブクログ七瀬三部作の完結編。 それぞれ全く異なる作品であり、 本作は、「宇宙意志」の下にある人間がテーマ。 そして、「彼女」の下にあることを知ってしまう七瀬。 人間は実在する存在なのか? この世界は実在しているのか? 哲学的な話である。 『マリス博士』の中にあった「人間機械論」にもどこか通じるものを感じた。つまり、自分というものが存在するのか、という点で。 ただ、三部とも、救いがある話ではないので、 それによって、好き嫌いが分かれるだろう。
0投稿日: 2018.10.12
powered by ブクログ何者かの巨大な「意志」によって護られた少年と 自身の恋に引きずられ苦しむ七瀬。 戦いを経て、仮初めの恋愛劇を繰り広げた七瀬の驚愕のラスト。 赤い言葉に語りかけられ七瀬は宇宙と一体化する。 全ての現実感を無にする自身を超えた存在に慄然する。
0投稿日: 2017.12.06
powered by ブクログほとほと感心してしまった。同じ素材でテーマの異なる3題を作り上げる巧みさ、何より2作目と本作とのつながり方には驚いた。死んだはずの七瀬がしれっと登場するのはどうして? これ初出の時は驚愕だったろうなぁ。3部作と知っていてこれだけ驚かされたわけだから。 それにしても神様が代替わりするっていうアイデアには爆笑してしまったぞ。
0投稿日: 2017.11.08
powered by ブクログ「七瀬ふたたび」の続きが気になって頑張って読んだのだけれど、ピンとこなかった。タイトルから恋愛小説をイメージしていたのに、全然恋愛小説ではなかった。
0投稿日: 2017.10.04
powered by ブクログ第二作と全く関係のない高校事務職員として七瀬が書き起こされた。超能力者抹殺集団の凶弾に倒れた印象が残る中、著者がこれから語ろうとする物語に気持ちがざわつく。エディプスに擬せられた少年・智広よりも、彼を守る宇宙意志というフレーズから、桂南光師匠の宇宙意志の会を思い出し、著者も関西出身だったなぁといらんことが脳内に湧いてくる。後半の智広の父の独り語りは圧巻で、彼を守る圧倒的存在が読者にも伝わる。その後、第二作で死んでいった超能力者達が出てきたことが、七瀬の諦観へつながっていく。その結末が切な過ぎる。
0投稿日: 2017.08.16
powered by ブクログ2017年3月21日読了。読心能力を持つ高校教員・七瀬は異常な能力を持つ「彼」の存在に気づくが…。筒井康隆の「七瀬三部作」の最終作、ということは読んでから知った。自然に読み始めてしまったが、前の2作を読んだ人にとっては、このお話の冒頭から展開、全てにおいて「!!??!!」だったろうな、と思うといきなり読んでしまったのは少し残念。SFミステリ調の冒頭〜前半から、突然ギアが全宇宙的スケールに拡張する展開は、呆気にとられているうちに読み終わってしまう印象だが、終わってからゾオッとするというか、自分の足元が消えてしまうような不穏な余韻が残る…。前2作を読んでから、改めて読み直してみたい。
0投稿日: 2017.03.21
powered by ブクログ読み終えたのは半年も前の話になります。 「エディプスの恋人」は七瀬シリーズの三巻にあたるので、一冊目から読むことをおすすめします。 感想、なのですが とにかく僕にはどストライクでした。 正直、小説読んでて動悸がしたの初めてです。心臓がバクバクなって手が震えました。誇張ではありません。 ひとり部屋のなかで読んでいたのですが、物語のクライマックス、「いやーーーー、これはっ(笑)」と、悲鳴とも嘆息とも恐怖とも苦笑ともつかぬ叫び声をあげていました。 ちょっとネタバレになっちゃいますが、小説に赤い印字をするなんて、反則でしょう。。笑 氏の恐怖小説集なるアンソロジーを読んだこともありますが、僕のなかではこの「エディプスの恋人」こそ、ぶっちぎりで怖かったです。 もう一度読み返したい気持ち半分、またあの動悸を味わうのかと思うと、読みたくないような気持にもなります。笑 とにかくいろんな人に読んでもらいたいです。おすすめです。
0投稿日: 2016.09.10
powered by ブクログ星幾つで評価するとかそういう感じではなかった。退屈なわけでもないが、起承転結が綺麗に収まる話でもない。ただなにか、漠然とした莫大さ、これだけが読み終わった後に残った気がする。言葉ではよく言い表せない。他の七瀬シリーズを読んでいなかったためかもしれない
0投稿日: 2016.03.28
powered by ブクログ壮大な宇宙意志とのセックスが頭から離れない。最後の最後まで妥協せず自己の在り方を問い続けた七瀬が不憫
1投稿日: 2015.10.16
powered by ブクログ3部作の最終巻。前半はミステリーっぽかったが、後半は、SFらしい、現実にはない スケールの大きい背景定義。論理的になんだか分からないのがSFなんであろう。
0投稿日: 2015.05.12
powered by ブクログふう。これはちょっとやばかったね。読んだことによって一つ諦めたものがある程に、おもしろかったよ! 【第328回てるぞう賞 長編部門受賞】
1投稿日: 2015.04.09
powered by ブクログ読み終えた率直な感想は「著者は七瀬になんか恨みでもあんのか!?」…七瀬が不憫すぎて怒りすら覚えるほどに…笑 だって、前作の悲しい物語の記憶を消されて、神が近親相姦するための駒に使われて、挙句の果てには、これからもお人形としてがんばりますエンドですからねぇ…これは酷い扱いですよ。 しかし、このアクロバットで強引な物語の閉じ方が嫌いかといわれると、「筒井康隆ならば許す」となってしまうのが恐ろしいところ笑
1投稿日: 2015.03.15
powered by ブクログ最終巻ですがこれでおしまいなのが残念だ。 やっぱり筒井さんよかったわぁ。作品全般にわたっての「ある」ということの「あり方」への問いかけが、ワタシの思っているあり方と似ているように思います。3部作の最終巻ですがこれでおしまいなのが残念です。 「七瀬ふたたび」を読み終えたときに職場の同僚から3部作であることを教えてもらい、すぐさま第一作「家族八景」とこの文庫を古書店で購入しました。「ふたたび」で死んでしまった(のではなかったかな?)七瀬がどんなふうに登場するのかという不安はありましたが、その疑問も本作のラストで明らかになります。人間にとっての「ある」ということの相対さ加減がじんじんと感じられる作品でした。
1投稿日: 2014.12.12
powered by ブクログ七瀬三部作の最終巻。 ただ、三部作といっても、それぞれ世界観は全く違うし、スケールも違う。 今作は圧倒的にスケールが大きく、途中から少し置いてけぼりにされたように感じたほど。 私の好みを言えば、哲学にまで発展していく今作よりも、日常の中に七瀬達超能力がひっそりと潜んでいた前二作の方がわくわくして読めた。
0投稿日: 2014.10.05
powered by ブクログ題名の通り、テーマはとても神話的。ミステリー、ラブストーリー的な展開に乗せられて読み進めていくうち、七瀬が突きつけられたのは自分の存在意義というめちゃくちゃ哲学的な問題。 フロイト、海辺のカフカ、スターオーシャン3などなど、いろいろなものを連想させるのは、根本にあるのがとても普遍的な問題を扱っているからなのか。もしくは、自分の興味、思想にどストライクではまっただけなのか。 最初に『家族八景』を読み始めたときには、まさかこんな展開になるとは誰も思わなかっただろう。ひとつひとつは全く違う舞台で描かれている物語を、“七瀬”という一人の女性を通して作品化したことにも深い意味があるのかも。 三部作通して、ホップ、ステップ、ジャンプ!という感じで、久々にハイスピードな読書体験。
1投稿日: 2014.07.25
powered by ブクログ三作目はなんとも壮大なストーリーですね。何故、七瀬は二作目で絶体絶命のなかで事もなく生還したのか、過去の出来事を全く語らないのか、前半で調査している智広君のことをなぜいつまでも「彼」と言い続けるのか、終盤で全て明かされ雲が晴れる気分に。 絶対的存在になる前の母親はなぜイマイチな頼央を選んだのかが分からない。まぁそんな些細なことをつついてもしょうがないほど話は一挙に急展開するんですけどね。 三部作は見事に関連性を持ちつつもそれぞれ違ったテイストで楽しめます。
0投稿日: 2014.07.22
powered by ブクログ七瀬三部作の最後の作品。 『エディプスの恋人』って、何だろう。それから、前作を読んだ方なら真っ先に浮かぶ根本的な疑問。読んでいくうちに湧いてくる「じゃああの人は…」「そういえばあの事はどうなった…」という疑問。それらがラストに、壮大なスケールで、それにスピード、重さ、勢いを持ってなだれ込んできました。 三冊の中で一番すらすら読めたと思います。これまた地に足付かない感じで終わるのが良い。これでこそ!
1投稿日: 2014.05.29
powered by ブクログ二作目が無かったことになっているかのような仕掛けは、おもしろかった。話が壮大で、家族八景好きな私にとってはあまりにも壮大で…。世間が女性化してきているという指摘は、30年も前の作品だけど、いまとリンクしますね。三部作通じて古さがまったく無いのが本当に凄い。ただ、神のような存在となると話が大きすぎて、また、タイトルからわかっていたことだけれども、エディプスコンプレックスというか、そのものを見せられた瞬間は、直視しづらかったでが…おもしろかったです。
0投稿日: 2014.03.17
powered by ブクログ三部作の三部目。 これまでとはちょっと違った内容になったが、これはこれで面白かった。 もう一度三部通して読んでみたいと思える作品。
0投稿日: 2014.01.08
powered by ブクログ前作「七瀬ふたたび」から続けて読むと、「あれっ」と違和感を感じる。その違和感を、主人公も同様に感じているというのが面白い。 主人公と一体化しながらも、私は同時に神の立場でもある(厳密に言うと筒井氏が、か)。 ふたつの視点を改めて意識しながら、物語の謎を追っていく。物語の中にも外にも自分がいる不思議さ可笑しさを思い切り楽しめる。
0投稿日: 2014.01.07
powered by ブクログ日本のSF作品の中では、既に古典名作的ともいえる七瀬三部作を読み切りました。最初の「家族八景」を読み始めてから少し時間が空いていたのですが、次の「七瀬ふたたび」と最終巻の「エディプスの恋人」は、昨日と今日で読んでしまいました。「家族八景」が発刊したのが私の生まれた年と同じ1972年ですから、相当古い作品とも言えるのですが、今まで読む機会がありませんでした。それでも「七瀬ふたたび」は何度かドラマで放送していた記憶があり、タイトルは知っていたので、SF作品としては何度も映像化されている代表作というのも頷けます。 この三部作と呼ばれているのは、テレパスを持つ火田七瀬という主人公でESPをテーマにした作品というところが共通ではあるのですが、各作品の趣や構成は随分異なっています。それでも「エディプスの恋人」以外は何度も映像化され続けてきており、特に「七瀬ふたたび」は超能力ものの典型とも言え、時代を超えて何度も映画化をされているのも分かるエンターテイメントの要素が揃っています。 最終的に主人公が生き延びれないという読者としては寂しい結末ではあるのですが、趣の異なる三作を通して悲壮感はあまりなく、テレパスの主人公である七瀬の目を通した社会や世界観の描写に感情移入させられます。最終作の「エディプスの恋人」では、宇宙意思という壮大なSFテーマにまで七瀬の目を通じて表現しており、同じ主人公で3つの作品が楽しめるオムニバス的な構成でもあります。それでもやはり超能力ものとしては「七瀬ふたたび」が王道で、主人公以下が全て抹殺されてしまう結末はさておき、色々なエスパーとの邂逅や謎の抹殺集団との闘いといったエンターテイメント溢れる作品でしょうか。 これだけの有名な日本SF作品でしたが、今まで読む機会がなかったのが不思議なくらいでした。期待通りの面白さではありましたが、たったの三作で終わってしまっているところが寂しくもあり、だから名作として残ったのかもしれませんね。それでもこれだけ魅力ある主人公であるわけですから、読者としてはもう少し活躍する作品をみたところです。エスパーものでこれだけ面白かったのは、スティーブンキングのファイヤースターター以来でした。機会があれば映像化された作品も観てみたいと思います。
0投稿日: 2013.11.10七瀬シリーズ、最高の傑作にして唯一の非映像化作品
七瀬シリーズ「衝撃の最終巻」というのが相応しい作品です。 「家族八景」「七瀬ふたたび」まで読んだのであれば、当然読むべきです。 「家族八景」を読んだ後に、七瀬シリーズの次作として「七瀬ふたたび」を読まれた方は、ある程度面食らったかと思いますが、更に面を食らうハメになるのがこの最終巻です。 最後まで読んだ時「え、こんなオチ、アリなの?」と思うか「流石筒井!これは参った!」となるかは、人に寄るでしょう。 ただ、その最後のオチ以外は、人を選ばず楽しめると思います。 是非読んで頂き、「家族八景」と「七瀬ふたたび」は何度も映像化されても決して「エディプスの恋人」が映像化されない理由を知ってください。それは決して「エディプスの恋人」が詰まらないからではなく、別の理由なのです。
2投稿日: 2013.10.16
powered by ブクログ神の視点を手に入れたときに『存在と時間』を読んだことを思い出すっていうのが、いまだによくわからない。でも面白かった。
0投稿日: 2013.09.28七瀬三部作の最終巻
前作の終わりから何の説明もないまま平穏な日常に戻っている七瀬の周りで起こる不可解な現象。それがある人間と係わり合いがあると知ったときから彼女の超常現象の元である「意志」探しが始まる。前半は、ミステリー風の誰がその超常現象をおこなっているのか?を探す旅が面白い。その過程でわかってくる不可解な謎。ただその正体が徐々に明らかになってくるにしたがって日常世界から神話世界へ移行していく後半はなに~と思った。初見の時には、この展開、特に前作での状況が置いて行かれたような本作にいまいち納得できなかった。ただ今回読み直してみていろいろと気づいた点も多い。 神によって「彼」同様、七瀬自身も守られていたと気づいた時、小説という舞台で演じているうんぬんのくだりが出てくるのだが、これは作者=神という意味に読み取れた。。。この最終巻に登場する「神」は、日本的ではなく西洋、特にギリシャ神話に登場する独善的な「神」であり、実はこの「神」、作者自身にかぶって見える。なんせ小説世界では、作者は絶対的な神であるからだ。これってメタ小説?まあ神を登場させるということは夢オチと同じで小説では諸刃の剣。使い方によっては作品そのものを壊してしまうが、ここではうまくいっている。小松左京の「こちらニッポン・・・」よりは、小説としての納まりは良い。 ここまでの物語の飛躍を生んだのは、続編を書かなくても良いようにこのシリーズを終わらせるという意志が作者にあったということらしいが、主人公を小説舞台から消す(つまり殺す)という安易な話に持っていくのではなく、物語自体を(神を登場させることで)ドンつきまで持っていくことで終わらせてしまうというこの作者の力量には脱帽してしまう。やはり筒井康隆はすごい作家だ。
1投稿日: 2013.09.24
powered by ブクログ再読 何度目かの再読。七瀬シリーズ三部作の完結編。 前作の最後を知る読者にとって、少し不思議な始まり方ではあるが、その謎の答えは後半に明かされ、七瀬という存在の希少性が明らかになる。 三部作を通じて物語が大きな拡がりを見せ、作者の伝えたいメッセージが読後感として私たちに贈られる。続編を読みたい気もするが、この物語はこれで完結が正しい。 何度も読みたくなる名作。
1投稿日: 2013.09.18
powered by ブクログ七瀬シリーズの完結偏。主人公、七瀬のキャラクター設定以外、世界観が変わるこのシリーズの最後にエディプス・コンプレックスかぁ~、ユング持って来たかぁ~。ラストは「ですよねぇ~」。 昔に読んだときには頭の悪い私は解釈できなかった。今読んでみると「自分(筆者)が作り出したキャラクターを溺愛しちゃダメじゃんっ!」と感じてはみたが だからユングかと納得。筒井さんはすごいです。
1投稿日: 2013.08.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
七瀬シリーズ三作目。 人間臭さ→バトル→神 という感じでシリーズが進む。 一番最初が一番好みだった。 何というか壮大だった。 一作目は七瀬も人間らしくて 好きだったが、 どんどん人間味が無くなって。 でも一字一句もれなく読みたくなるのは この作家さんが好きだからだ。 シリーズ全部超能力で通してほしかったな。
1投稿日: 2013.08.08
powered by ブクログ七瀬三部作の最後。面白いし、読みやすいしきっちりと世界が描かれているんだけれど、荒唐無稽感も拭えなかった。他の二部と比べて映像化されにくいのは、技術的な問題よりも「意志」というネタで「何でもあり」になってしまった世界をまとめるのが難しいからではないか。 「意志」の行動原理は人間には理解できないのかもしれないけれど、やっぱり、そこに共感できないということは作品として成立できていないのではないかと思う。「ああ、まさにこうでなければならないんだ・・・」という情景が描ききれていないのではないか。作者はもっと「意志」の存在について語りたかったことがあるのではないか・・・。 この三部作はそれぞれ別と考えたほうがいいですね。それぞれ多次元宇宙での別個のものとして・・・。個人的には「幼年期の終わり」よりも「スラン」が好きなんです^^; ということで、作品そのものを否定するものではないので、個人的好き嫌いから星三つまで。
0投稿日: 2013.07.28
powered by ブクログ2作目の結末はどこにいってしまったのか、パラレルワールド?と思った時点で作者の思惑に乗せられてしまったのかもしれない。 七瀬と一緒に『彼』と『彼女』の秘密)探りながら、最後に明かされた事実にしてやられた。 あと解説に笑ってしまった。 開庫厳禁…!
1投稿日: 2013.05.30
powered by ブクログ3部作を読み終えて、1作目は物語が日常であるために、日常こそが怖いという状況に自分を投影することができなかったけれど、日常こそが本当だと分かってから、おもしろさが分かった。 2作3作と読み終え、自分の意識が本当のものが混乱する感覚を味わった。 また読み返したい。
0投稿日: 2013.05.24
powered by ブクログいままでとはまたしてもうってかわってミステリ調な本作。いや、ハードSFなのか? 176ページまでが導入部、256ページからが本編ですかね。章分けが一切ないのも納得。 本を読むことでざわついた感じを味わうことができます。これを求めていました。 この読後感、往年の名作ゲーム、MOON.と似たものを味わいましたね。
0投稿日: 2013.03.19
powered by ブクログ三部作の最後を読んでしまう私(笑) だけれども単体でも楽しめました。 あ、主人公の七瀬はきちんと知っていますよ。 この物語はよくよく考えると 悲しい物語だな、と思います。 あのお方がそうなったのは運命にしても 結局は干渉をやめることはできなかった… そして七瀬の前に 繰り広げられるのは 「絶対にあってはいけない光景」 行き過ぎた絶対的なものは 結局は周りを狂わすのです。 結局七瀬は その干渉から逃れえたのでしょうか。 多分その先は 私たち読者に ゆだねられるのでしょう。
0投稿日: 2013.02.21
powered by ブクログ七瀬ふたたびシリーズの三部作でもこれは異色。 もう宇宙創生や創造主のレベル。スケール大き過ぎて理解の範疇を超えます。 でもこの三部作はやっぱり面白い。
0投稿日: 2012.12.18
powered by ブクログ「純と愛」を観ていてなんだか「家族八景」を思い出しそういえば3部作の最後のあれって読んだっけと思って手に取ったが既読でした。というもののあんまり覚えていなかった。そりゃだいぶ前に読んだんだもんねぇ。
1投稿日: 2012.11.08
powered by ブクログ三部作として読みました。 結局、宇宙に行ってしまうのか。。。と思った。 (マンガで読んだ陰陽師も最後宇宙だったな~と関係ない事も思った) 七瀬ちゃんはどんだけ美人なんだろ。。。とか 本文から違う事ばかり考えてしまった。
0投稿日: 2012.10.03
powered by ブクログすべてはこのラスト20ページのために存在する。 読後感の悪さ最高。 ページをめくる手が止まらないことは数あれど、 手を休めて考え込まされた珍しい作品。 なぜ筒井康隆に共感するかようやくわかった。 俺の選んだ道は間違っちゃいなかった。
0投稿日: 2012.09.22
powered by ブクログなんというか……中盤からは空いた口が塞がらなかった。特に終盤の謎解きが始まった辺りからは。 なんという閉幕。前作の七瀬ふたたび以上の衝撃であった。これまではSFでありながらもあくまで現実の常識に則した世界観であったが、今作ではもはや「神」と言っていい存在が出現。この小説丸々、最初から最後まで「神」の意志に操作されていたのではないか、という真相にただただ唖然とするしかなかった。加えて中盤からは非常に哲学的な語りが多かった。 七瀬は智広を本当に愛していたと言えるのだろうか、それが最後まで気にかかった。それについて作中でも言及されてはいたけど、あまりに哲学的すぎていまいちピンとくるものがなかった。現実感というものを失ってしまった七瀬、神の意志によって恋情を導かれた七瀬に幸せはあったのだろうか。もはや人知の及ばぬ神の存在が偏在する作中ではそのような思考も意味はないのかもしれない。 にしても読み始めた当初は死んだはずの七瀬が平然と生活を送っているところからパラレルワールドのような話なのかと思っていたけど、まさか前作から繋がっていたとは。 完全に個人的な願望になってしまうけど、七瀬とその同胞たちには幸せになって欲しかった。そうならなかったことが一番悲しい。
0投稿日: 2012.09.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
七瀬はなぜ人の心が見えるのだろう? たとえば、七瀬がこの世界の創造者だとしたら……。 心を見ることはおろか、蘇りさえ自在だろう。 本人がそうと気づいていない、創造者。 まるで「バニラ・スカイ」のように、彼女は自分の夢の中で「テレパス七瀬」を演じていたのだろうか。 覚醒から物語は始まる。 彼女は生き返ったのだろうか? 七瀬三部作の最後の作品は、前二作とは異相を呈して、彼女の存在理由に迫る。 物語はサスペンス調で進み、後半までは犯人探し。頼央のタネ証あかしが始まった時は、これは凡作か?と思ったけれど、その後の展開は意表を突いて、想像もしなかった方向に進む。 神は別にいた。 彼女は女神に選ばれた人形。 一作目から七瀬が悩み、考え続けてきた「テレパス七瀬」の存在価値は、あまりにも不条理だった。 無垢な少女、七瀬は失われ、神との一方的な契約の元、不条理を受け入れて存在を続けることになる。 これは次作での神との対決が楽しみ! って次はないのか。 残念。 心残りなのでカミュ、サルトル、ハイデガーあたりを読むと先へ進めるかな、と思って本屋に行ったけれど、どれも活字が小さくて参った。
0投稿日: 2012.09.08
powered by ブクログまさかこんな終わり方だとは思っていなかった。 今までの物語を全て放り投げるような壮大さ。ここまで吹っ切れた世界観を、ファンの多いシリーズで描くことができるのは筒井康隆のすごさだと思う。 ただ、相変わらず「○○だろうか、○○だろうか、そうでなければ○○だとでも言うのだろうか」という、七瀬の都合の良い思考回路で物語の幅を狭めているのには違和感を感じた。 筒井康隆の小説では、登場人物は読者の印象を裏切るような行動をあまりしない。それが心地よい安心感につながる作品もあるが、退屈さにつながることもある。七瀬シリーズ(特に2と3)では、七瀬の行動に新鮮さが感じられず、退屈さにつながってしまっていた気がする。 七瀬シリーズからは、筒井康隆という作家は、発想は凄まじいが人物を描くのはあまりうまくないのかもしれない。という印象を持ちました。
0投稿日: 2012.09.01
powered by ブクログ何にも知らないまま、タイトルに惹かれて読んだ本。 面白かったー!と思って他の人のレビューを読んだら、これがシリーズ3作目だと知りました。。。全部読んでみます。
0投稿日: 2012.08.29
powered by ブクログ七瀬ファンは嘆くが、個人的にはシリーズで一番好き。 「家族八景」「七瀬ふたたび」ばっかりじゃなくてこれもドラマ化してくれないかなあ(無理)。
1投稿日: 2012.08.18
powered by ブクログ「家族八景」「七瀬ふたたび」に続く、七瀬三部作の最終巻。 テレパスである七瀬を中心に、各作品がまったく違ったテーマを描いている。 今作では、これまで出てきた超能力よりも、更に超自然的な「神」や、この宇宙・世界の存在に関わる問題など。 かなり大きな話が描かれている。 最後まで、次の展開が気になる良い作品だった。
0投稿日: 2012.08.17
powered by ブクログ「七瀬三部作」の完結編。最後の最後に「あっ」と思うSF小説の楽しみがありました。最後の最後を読むまで私もすっかり「そのこと」を忘れていて、しっかり作者の術中にはまってました。 まあ、私の場合はホント「単純」な頭の構造をしているので、普段の生活でも「あっ」と思うことが多いです。 それにしても「七瀬」いいなぁ~。NHKドラマでやった「七瀬ふたたび」の時は確か石原さとみさんが七瀬役だったと思います。 って、今ネットで調べて見たら「蓮佛美沙子」さんという役者さんでした。驚く!確かにこのNHKドラマ、ちゃんと見たことなかったんですが・・。 「エディプスの恋人」の七瀬もとっても好きです。 books187
0投稿日: 2012.08.13
powered by ブクログずっと以前に読了。全宇宙を内包し、全宇宙に拡散している存在での神の愛のエクスタシーってかい?!…人類のエクスタシーにも過度に期待して絶望の暗黒物質の中に漂い続けることになるので、うら若きときに読むのは、要注意です!
0投稿日: 2012.05.24
powered by ブクログ七瀬三部作、読了です。 こんな終わり方だったっけ。って感じです。 お話としては『七瀬ふたたび』が一番好きかな。 誰かがレビューで書いてた気がしますが、スケール感がでかすぎ。だそうです。 僕は筒井康隆作品だものって思います…(笑)
0投稿日: 2012.05.22
powered by ブクログテレパスという男としてとても心地悪いスリルにドキドキさせられる。でも全体のストーリーは意外と大味なのでなんとかスラスラと読めた。 家族八景(TVドラマ)にはまった事からこの作品にたどり着きましたがアッチの方が個性的な魅力のある作品かな…
0投稿日: 2012.05.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
<ネタバレします> 七瀬三部作の最後。 一番面白かった。 タイトルの通り、 エディプス神話が元で、 かつエディプス・コンプレックスの話。 父性が弱くなっているのが当世的。 「七瀬ふたたび」の解説に書いてあったけれど、 この三部作は「家族」⇒「国家」⇒「神」という順番で、 段々と視座が高くなっていっている。 しかも最後の「神」は女性である。 またエディプスの相手役は、 「七瀬」という肉体と「宇宙意志」という精神に分担されている。 これは二分化する現代の女性性を表しているのかしら。 宇宙意志の設定というのがまた面白い。 多元宇宙論的でそれぞれの宇宙に管理者(宇宙意志)がいて、 他の宇宙は、 父性的な性格(があるかどうかはわからんけど)をしているのだけれど、 話の中の宇宙では、 秩序が乱れているのを解決できるのは「女性性」である、 と結論している。 「女性性」というよりも「母性」が近いかもしれない。 たぶんこれは、 筒井康隆の当時の社会に対する回答だろうと思う。 そんな感じで、 わたしがよく考えている母性社会的なものと相通じるものがあって、 とってもわくわくした。 ただ、 話の中の「宇宙意志」はかなり女性性的であり、 わたしの思っているものとは異なる。 けれども、 それがかえって「嫉妬する宇宙意志」といったコミカルな味にもなり、 物語の面白さを深いものにしている。
0投稿日: 2012.05.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
七瀬シリーズ最終巻(3巻目) いまいち。 ・家族八景、テレパスを持った七瀬の話 ・七瀬ふたたび、他にもいろいろエスパー?が現れて面白い ・エディプスの恋人、話がさらに飛躍して、宇宙や神の話に。 荒唐無稽ななかに飛躍がついていけずに 私にとってはなんだかなぁという第三作でした。
0投稿日: 2012.04.18
powered by ブクログある日母親が万能能の神になってしまったらどうなるか?全知全能な一方、ギリシャの女神のように自分の息子は偏愛し、その力で息子に影響を与える、息子にとってはこれ以上ない迷惑な状態でしょう。陳腐ですが力ある存在ほどルールを守らないといけませんよね~。
0投稿日: 2012.02.15
powered by ブクログ2作目からどう繋がるのか途中まで全然わからなかった。 筒井康隆らしい、という視点から見たら3作目が一番近いのかなー
0投稿日: 2012.02.02
powered by ブクログ七瀬シリーズのSFながら、 広がる空想性と、引き締める合理性、 引き込む文章、が大好きなのに、 何だか不合理な展開にガッカリ。 と言いながら、最後まで読むだけの着想・文章はさすがだけど、 他二作(家族八景・七瀬ふたたび)を読むことをオススメ☆
1投稿日: 2012.01.31
powered by ブクログ大好きな七瀬シリーズの第三弾。着想、人物描写、ストーリーすべてよし。筒井康隆は女性の描き方もうまい。
0投稿日: 2012.01.21
powered by ブクログ第三部は宇宙的規模、「彼」とそれを見守る「意志」との出会い。 物語のスケールがかなり大きい。 もはや人の心が読める能力などちっぽけだと感じる程の大きな存在である「意志」に対し、絶望感と愁傷感を感じてしまう主人公七瀬。 読後感は何だか空恐ろしい感じ。 この三部作は絶品。
1投稿日: 2012.01.08
powered by ブクログ家族百景で七瀬のファンになったから、 続編の「七瀬ふたたび」「エディプスの恋人」を読んだものの、 「エディプスの恋人」は、 素人の妄想・夢っぽい雰囲気に満ちたストーリーで おもしろくなかった。残念!
1投稿日: 2012.01.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
今まで読んだ本の中でたぶん一番恐かった。 しょっぱなから疑問に思いつつも、まぁSFだし・・と納得していた部分が最後で種明かしされてぞくぞくした。 「彼女」の存在が明らかになってきたあたりからはいい意味での筒井のキ○ガイ振りが発揮されていた。 終盤、七瀬がコンサート会場で思案することの恐ろしさがすごい。 発狂のにおいがしました。
0投稿日: 2011.12.16
powered by ブクログ七瀬三部作最終章。全巻から打って変わってなぜか高校で働く七瀬に、衝撃の出会いが。すごい話になっちゃってました;;SFどころかファンタジーに。大宇宙の意志が人格を持って直に働きかける恐怖。人間の意志って、幸せってなんだっけ…と話が大きすぎて混乱してしまいました。完結作にふさわしい壮大なエンドでした。だってもうどうしようもない。
0投稿日: 2011.12.13
