アトムヘアーさんのレビュー
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61
このユーザーのレビュー
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すべてがFになる THE PERFECT INSIDER
森博嗣 / 講談社文庫
題名に込められた意味は深い
14
ご存知かもしれませんが、森博嗣先生は題名に深い意味を込めることが多いです。(勿論、多くの作家が題名にこだわりを持っていると思いますが)
そして、この「すべてがFになる THE PERFECT INSI…DER」というのも、読み終えた後で見返すと「なるほど!」と思うに違いありません。
「題名はそういう意味だったのか!!」という感動を味わう為だけでも読む価値は大きいです。勿論それ以外にも、独特のトリックや特異なキャラクターも非常に魅力的です。
(別の学者の御得意フレーズになりますが)読後に題名を読み返して、AHA体験してください。 続きを読む投稿日:2013.10.16
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バカの壁
養老孟司 / 新潮社
10年立っても色あせない、養老先生のエッセイ
8
養老孟司先生は、医学的な専門知識を元に社会やココロを語るエッセイを多く書かれ、一度は皆様も名前を聞いたことがあると思います。
控えめに言って、「20世紀末から21世紀初めの、文理横断的な大衆向け読み…物を書く知識人」と言ったら、多くの人が思い起こす人でしょう。
もし、養老先生を知っていて本書「バカの壁」を読んだことがないなら、是非読んで下さい。(恐らく)養老先生の著書の中では一番売れていますし、実際楽しく読めるエッセイ集です。
逆に、養老先生を知らない、著書を一切読んだことない、と言う方は、是非これを機会に読んでみてはいかがでしょうか。
無論、エッセイ集ですので重厚な知識の獲得等には向きませんが、「そう言う考え方もあるか!」「それは知らなかった!」という楽しみは、必ずあると思います。 続きを読む投稿日:2013.10.18
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一九八四年
ジョージ・オーウェル, 新庄哲夫 / グーテンベルク21
様々なフィクションに影響を与えた、不朽の名作。
7
本作「1984」は、以後の多くの作品に影響を与えた非常に意義深い名作です。
基本的には、未来の全体主義国家において抑圧を受ける市民の生き様を描く物であり、当然ながらそのような国家像に批判的です。
…20世紀からの贈り物として、21世紀を生きる我々が受け取る価値のある作品でしょう。
無論、1940年台の小説ですから、古くさいと思ってしまうかもしれませんが、本書から感じ取れるテーマは決して古くなく、今現在でも十分通じる内容です。あまり多くを語るつもりはありませんが、是非一度読んでみて下さい。 続きを読む投稿日:2013.11.01
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マリア様がみてる1
今野緒雪, ひびき玲音 / 集英社コバルト文庫
間口の広い少女小説。老若男女にお勧め。
5
本書は「マリア様がみてる」シリーズの第一巻です。
「マリア様がみてる」シリーズはアニメになり漫画になり実写映画にもなっておりますし、何より長期シリーズとして続いています。当然内容の面白さは折り紙付きで…す。
この、「マリア様がみてる」はコバルト文庫から出ていますので、少女小説になります。少女小説というと、なかなか敬遠する方も多い方と思いますが、実際にはこのシリーズは男性の読者も多く、それで居ながら特に男性に迎合している内容というわけではないので、男女どちらの方にもお奨めできます。
また、内容的にも特に過激でもなければ、妙にキャピキャピしたものでもありませんので、中学生から大人までの皆様にお勧めです。
人生で少女小説を一冊も読んでない、あるいは気軽に面白い物を読んでみたい、と言う方なら誰にでもお奨めできる、間口の広いエンターテイメント小説です。 続きを読む投稿日:2013.11.01
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脳が冴える15の習慣 記憶・集中・思考力を高める
築山節 / NHK出版
言われてみると当たり前、だけど言われなければ意外と見過ごす。そんな忠告。
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「定年退職してからは、毎日ゴロ寝してテレビを見てばかり居る高齢者」や
「いつも夜更かししてパソコンに向かう学生・社会人」
を見ると、『頭の動きが鈍ってそうだな』と思いますよね。そういう『頭に良くない行…動』を指摘し『生き生きと生活出来るための行動』を教えてくれるのがこの本です。
というと「そんな魔法のようなテクニックがあるのか?」とお疑いでしょうが、本書で上げられているのは決して突飛なアドバイスではなく、比較的皆が納得しやすい物です。そして、その大半が「言われると納得だが、意外とやってない行動」だと思います。
単なる読み物としても面白かったですし、雑談のタネとしても良書です。また、著者は「高次脳機能外来」を担当されるお医者様なので、医学的な面でも内容に問題は無いと思います。
これから頭を使う機会の多い学生や社会人、そして頭の動きを若々しくしたい中高年の方にお奨めしたい本です。 続きを読む投稿日:2013.11.01
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日本沈没(上)
小松左京 / 光文社文庫
日本を舞台にした、最高のパニック小説
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「日本沈没」このタイトルを聞いたことの無い人はいないでしょう。
タイトルを聞くと「なんと荒唐無稽な」と思われるでしょうが、作中では何とも綿密なロジックにより、この無鉄砲な展開に岩山の如き説得力を持た…せています。
そして、リアリティがあるのは沈没のメカニズムだけでなく、「日本沈没」という決定的破滅に向き合った日本人たちの生き様、これにも大変な現実感、生々しさが見られます。
タイトルがネタバレになっている以上、ハッキリ言いますが、確かに日本は沈没します。しかし、日本人たちは作中で何とか生き延びようとします。彼等の生存への闘争・努力、そして希望を得る姿を追体験できるという濃厚なひとときを楽しみました。 続きを読む投稿日:2013.10.18