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月の輝く夜に/ざ・ちぇんじ!
月の輝く夜に/ざ・ちぇんじ!
氷室冴子/集英社
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総合評価

34件)
4.3
13
10
5
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    このレビューはネタバレを含みます。

    初夏のある日、部活帰りに友達が「これ、面白いから読んでみて」と貸してくれたのが「ざ・ちぇんじ(前編)」。そう、昔は前編と後編に本が分かれていたのだった。夕暮れどきの薄暗い部屋で電気も点けずに読み耽ったのを思い出す。当時、私は中学一年生。この本で「直衣」や「御簾」の読み方を覚えたのではなかったかな。 平安時代の登場人物たちが現代の言葉で生き生きと話し、恋に悩み嫉妬に狂えば、人生に迷う。私たちと大して変わらないじゃんと歳の近い彼らに親しみを覚えた。一気に読んで翌日、後編も貸して欲しいと友達にお願いしたのは言うまでもない。 10代前半で読んだ時は80年代当時の感覚として特に引っかかることもなかったけど、ジェンダーで役割分担がガッツリ固定化されていた平安時代は姉綺羅のように能力ある者にとっては、さぞかし窮屈で生きにくかっただろうなと同情する。初版から40年近く経った令和の現代ではジェンダー役割が流動的になってきているから、今の子供達が読んだら何と感じるだろうか。そして、十人並の容姿でこれといった特徴もない三の姫が宮中で姉綺羅と人気を二分する宰相中将をしっかり射止めるところが昔の少女マンガの王道的展開(読者の少女達の夢を壊さない著者の優しさ)のようだなぁと微笑ましく思った。 空蝉の術や、あらぬ人の恋の恨みを買う夕顔や葵の上、といったような源氏物語に由来する例えがちょくちょく出てくる。とりかへばや物語を下敷きにした小説だけど、氷室先生は設定に源氏物語からヒントを得たところもあるのではないだろうか。 セリフに「おたんこなす」と出てくるあたりが昭和の作品らしいと、ふと懐かしくなった。

    0
    投稿日: 2023.03.27
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    中学生の頃に大好きだった氷室冴子さんの「ざ・ちぇんじ!」をウン十年ぶりに再読。 子供の頃好きだった本って、大人になってから読むとガッカリする場合もあったりするので少し心配だったのですが、全くの杞憂でした。図書館から帰ってすぐ、前後編続けて一気に読んじゃいました。 昭和ならではの表現もあり、今の時代に同じテーマで書いたら全く違ったお話になっただろうな…と思いつつ、でも読んでる間ずーっとニマニマが止まらないくらい楽しかった!

    0
    投稿日: 2023.02.06
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    表題作の他に、単行本未収録と思われる(昔、雑誌で読んだ記憶がある)短編がいくつか。 ああ、氷室先生、もっと書いてほしかった。

    0
    投稿日: 2022.10.17
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    ざ・ちぇんじ! が、氷室冴子さんとの初めましてでした。平安時代がこんなに身近? 何人にこの本をプレゼントしたか! 青春と読書の連載、女性誌の連載、ずっと読み続けていたのに、亡くなられた時は、悲しくて ご冥福を御祈りします。

    1
    投稿日: 2021.08.04
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    面白かった。 話の筋としては面白かったんだけど、話し言葉に外来語が入ってきたり妙なハイテンションだったりするのが、やっぱりティーンズ向けなんだなと限界を感じて残念。軽薄な感じがしてしまう。少女漫画のノリ。 ただ話の展開は面白かった。とりかへばや物語。

    0
    投稿日: 2021.01.01
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    2018.5.4市立図書館 30年前の女子中高生は猫も杓子も読んでたコバルト文庫の氷室冴子をなつかしくて借りてみたけれど、なかなか読む時間が取れず… その間に長女(高1)が読破。いまだったら越水利江子のポジション、あるいはテーマ性の薄い川原泉、という感想。たしかに「読む漫画」という感じはあたっているかな。 (自分では読む暇もなく返却)

    0
    投稿日: 2018.05.25
  • 氷室絵巻最高!

    氷室先生の平安絵巻物語は、本当に楽しい。「なんて素敵にジャパネスク」を8巻を一気に読破(おもしろくて止まらなかった)して、次を探して、「ざ・ちぇんじ!」を読むと、また、止まらなくなった。都屈指の名家の綺羅姉弟の姫と若君が、男女逆転 姫→若君 若君→姫 として育ち、事もあろうに、綺羅姫は若君として、綺羅君は姫として宮中に仕える事になり、その上 帝に愛されると言うとんでもない状況のドタバタです。綺羅姫は姉として弟や家を守る為に、必死で頑張っている。 それに比べて綺羅君は、ひ弱で人見知りで、すぐ失神してしまう。帝は、たった一度出会った姫としての綺羅姫を一目惚れし、思い出の中で純愛物語化してしまうほどのロマンチスト。三者が交錯し、ドタバタだけどとっても純粋な物語です。 結末は秘密。でも、読み終わったら、元気出ますよ~!!

    1
    投稿日: 2016.01.09
  • 氷室さんの懐かしき平安時代少女小説

    ジャパネスクから始まり、いろいろ読んだ少女時代が懐かしく、ざ・ちぇんじ!を読みたくなって購入。 「ざ・ちぇんじ!」はとりかへばや物語のラフ版?、楽しく読ませていただきました! 新鮮だったのは、「月の輝く夜に」。 こちらは読んだことはなかったのですが、「ざ・ちぇんじ!」同様平安もの。「ジャパネスク」「ざ・ちぇんじ!」の元気な楽しいドタバタ感とは異なり、普通の恋のちょっとした嫉妬や妬ましさ、少女の背伸びが見える貴志子の恋。場面は平安、気持ちは時代共通でしっとりと読めました。

    3
    投稿日: 2014.05.16
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    氷室冴子さん追悼という事で購入。相変わらず、うまいなぁと思う。本当は、最後まで書いて欲しかったと貪欲な読者は思う。でも、書かなくてもいいから、もっともっと生きていて欲しかったな。

    0
    投稿日: 2014.04.17
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    彼女はあらゆる意味でもったいない作家だ。 物語を書かせたら実にうまい。 余計な描写をせずに登場人物をかき分ける能力、きちんとした文章、起承転結のうまさ。 ただもったいないのが、未完の割合が実に多い作家でもある。 大作『銀の海金の大地』を筆頭に、『碧の迷宮』『冬のディーン夏のナタリー』連載だけでも三本ある。 さらに言うなら予定されていたスピンオフの多さときたら。 『シンデレラ』シリーズは完結編である『おやすみシンデレラ』が宮崎事件を想起させるため自主的にとりやめた。そして作られた『碧の迷宮』は断絶。 『なぎさボーイ』のシリーズは仲良し4人組みの最後『野江ダンディ』は予告だけずっとうたれていたが頓挫。 それでも何本かはスピンオフが残されていて長らくそれは図書館で雑誌を探すしか手がなかったが、このたび復刊された。 それがこの本に収録されている『少女小説家を殺せ』と『お姉さまの憂鬱』である。 私は図書館で読んだくちだが、卒業したのでもう読むことができず、というか、文庫化を待ち続けるためにちょっとしか読んでいないという阿呆なことをやっていたので、この知らせは泣いた。 そして、待ちに待った到着。自転車を走らせて発売日前に買いに行った甘い記憶を思い起こしながら、読む。 やはり、面白い。 氷室冴子は大人向けに転身できなかった小説家だが、それは違うと思う。 彼女は大人向け、子供向けを書いていたのではなく、ただ物語をつづっていたのだ。 ただ、当時の彼女の読者が子供だったのだ。 むしろ、彼女があのまま書き続けていたなら、彼女はどちらにでも受け入れられる作家になっていただろう。 同じようなテイストでベストセラー作家がいるが、正直氷室冴子の方が青春の痛々しさをすっきり描く技量は優れている。また本人が口で言うほどキャラクターに溺れていないので物語が破たんしない。 月の輝く夜には、おそらく少女小説全盛期には受け入れられなかっただろう。 茫洋としたつかみどころのない主人公に、ずるい大人の恋人。 ジャパネスクを期待していたひとにはツマンナイと思われるかもしれない。 が、現代にも置き換え可能な恋模様を平安の時代設定を使い自然に書いてしまうというのはやはりうまいと思う。 彼女の最後の物語がこのような悲しいのに前向きな物語であったことは非常にらしかった。 けれど、やはりもったいない。

    5
    投稿日: 2014.04.02
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    単行本に未収録だった「月の輝く夜に」が収録されているだけても価値がありますが、クララ白書や少女小説家は死なないの番外編も収録されていて充実した内容でした。 今先生の表紙が美しく、収録作の「ざ・ちぇんじ」の挿絵も書いて欲しかったです。

    0
    投稿日: 2014.03.28
  • 乙女の夢を....

    乙女の夢を全て叶えてくれる超傑作ロマンティック?コメディー 「ざ・ちぇんじ!」を収録。

    1
    投稿日: 2013.12.30
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    なつかしの「ざ・ちぇんじ」も収録されている豪華版。 内容は文句なく面白かったです。 それにしても、懐かしいなぁ~

    0
    投稿日: 2013.10.22
  • 由緒正しい少女小説

    表題作の「月の輝く夜に」は、短編ながらほろ苦く余韻の残る和歌のような作品。「ざ・ちぇんじ!」はとりかへばや物語を下敷きとしたポップな平安もの。「少女小説家を殺せ!」「クララ白書番外編」は本編を読み返したくなる懐かしさ。平安時代が舞台の前半2作はともかく後半の2作は現代ものなので、ノリとかに時代を感じますが… 一冊に収録するにはカラーが違いすぎる作品ばかりなので一気読みには向かないかもしれないけれど、充実した一冊です。

    1
    投稿日: 2013.10.08
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    昔、読んだ「ざ•ちぇんじ」を思い出して手に取った一冊。リアルタイムに読んでいた頃が思い出されると同時に、今読んでもやっぱり面白い。

    1
    投稿日: 2013.10.06
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    重い話だったが、月の輝く夜に、はけっこうよかった。 ざ・ちぇんじは楽しめた。 少女小説家~は、あまり好きではない。 (雑居時代よりこれはもっと苦手) クララ白書のおまけが読みたくて図書館で借りた。 短い話だったけど、よかった。 高城さんてのんびりしてるんだなー。

    0
    投稿日: 2013.04.16
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    ものすごく分厚くて、読み応え抜群。 『月の輝く夜に』 『ざ・ちぇんじ!』 『少女小説家を殺せ!』 『クララ白書 番外編 お姉さまたちの日々』の四編。 1980年代に書かれたものがほとんどではあるが、今読んでも全く遜色のない作品ばかり。 現在のラノベの礎である。

    0
    投稿日: 2013.03.02
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    表題作が、もうっ、ツボでした。 この方が、書く桜はどうしてこうも美しいのか! 表題作だけだと★5で。 たくさんはいってるのはうれしいけど、文庫でこれは厚すぎてとても読みにくかった、個人的には。

    0
    投稿日: 2013.01.14
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    〈内容〉十七歳の貴志子は、親子ほどに歳が違う恋人の有実から、彼の娘で十五歳になる晃子を預かってほしいと頼まれた。気が進まない貴志子だったが…? ベストセラー『ざ・ちぇんじ! 』とともに、文庫・単行本未収録作品が待望の文庫化!

    0
    投稿日: 2013.01.03
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    何組もの恋人たちのお話が重層的に出てきて、ものすごい読みごたえ。 それもほぼ悲恋だから、すごく印象的で。 キレイでものがなしくて、こういう話が書けたらいいんだけど。 一度では追いきれないくらいの話だったので、何度か読んで、頭にしっかり入れたいところ。 ほかには、少女小説家は死なない!の番外編2作も面白かった。 宗教にかぶれさせよう作戦と、ハーレ由子との嘘の賭けの話。 火村先生のキャラが強烈かつ、まわりもすごいから、話が転がる転がる!キャラ小説ってこうあるべきなんだろうな。 同じく分析しつくしたい一作。 クララ白書の番外編もあり。こちらは本編読まないとー。

    0
    投稿日: 2013.01.03
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    今市子さんのカバーイラスト。氷室冴子さんは大好き。いつか大人になる日を夢見てた遠い昔を思い出す文面。編集はメチャクチャな感じがあるけど(ぶ厚いし・・・)もう一度読み返してしまう1冊。

    0
    投稿日: 2012.12.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    短編4編。長編1編。 『月の輝く夜に』『少女小説家を殺せ1、2」『クララ白書番外編」 『ザ、チェンジ!前、後編」

    0
    投稿日: 2012.12.23
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    小学生だか中学生だかの若かったころ、氷室先生の「ジャパネスク」にはまったのを良く覚えています。このシリーズがきっかけで、源氏物語とかの王朝ものに興味が出てきたんでした。そういえば。 懐かしくて、つい手にとってしまいました。 名作といわれる「ざ・ちぇんじ」も恥ずかしながら初めて読みました・・。なんつぅか、瑠璃姫と融君に似てません?? でも女房として後宮に乗り込みはしても、瑠璃姫は男装して出仕したりはしませんでしたっけ。

    0
    投稿日: 2012.12.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    月の輝く夜にのみ読了。 久しぶりに氷室さんの小説を読みましたが、今回のお話は格別でした。 綺麗で美しくて本当に月の光のように冴え冴えと透き通っている感じ。 お気に入りは有実さんです。秘めた激情を綺麗に覆い隠してしまった彼に背筋を震わせました。彼は栄華を極めようと貴志子への少し狂的な愛を抱き続けるのだろうな、と。貴志子も彼を愛するのでしょうか。

    0
    投稿日: 2012.11.08
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    (No.12-76) 文庫・単行本に未収録だった「月の輝く夜に」が読めます!コバルト史上最も分厚い本ではないかと思う。 買ってすぐ「月の輝く夜に」を読み、「ざ・ちぇんじ」はとばして「少女小説家を殺せ!1」は読んだけどその先で挫折、そのままにしてあった本。 だって「ざ・ちぇんじ」は持ってて、何度も読んだことがあったし、「少女小説家」や「クララ白書」はやっぱり好みじゃなかった。 ふと思い立って「ざ・ちぇんじ」を読む。だってせっかく買ったんだから。 おお~、やっぱり面白いよ!最後に落ち着くとこに落ち着くので気持ちが良いしね。 勢いで続けてまた「月の輝く夜に」を読む。 なんだか氷室さんがコバルトを離れちゃったのは分かる気がした。 この短い話の濃さといったら・・・・。 ここまでになったのに、もっともっと素晴らしい小説が書けたはずの人なのに。 この無念さはどうしようもない。改めて悲しくなってしまった。

    0
    投稿日: 2012.10.26
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    ホントに「コバルト文庫」だよ。厚さは2倍も3倍もあるけど! 月の輝く夜に、と、ざ・ちぇんじ!、少女小説家を殺せ!、クララ白書番外編が1冊にまとめて650頁!なんでまとめる必要があるの??

    0
    投稿日: 2012.10.08
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    ぶ、分厚かった…。 そりゃそうだよね、「ざ・ちぇんじ」が前後篇ともども収録されてるんだから。 「ざ・ちぇんじ」はいつ読んでも面白いわ。綺羅君(♀)の破天荒(?)ぶりにも、綺羅姫(♂)の頼りなさっぷりにも。 ま、それとえてして女の方が耳年増ですわ(笑) 表題作は…まぁ、それなりだったかな。 「で?」という感じがしないでもなかった。 クララ白書関連のサイドストーリーは…クララ・アグネス白書を読んだのがはるか昔(図書館で)だからまったく主の話を忘れていたのでチンプンカンプン。 最後に収録されてる「少女小説家を殺せ!」(だったっけ?)は、私的にはまったく面白くなかった。 何が言いたいのやら…という。 表題作と「ざ・ちぇんじ」だけなら星4つ(4.5ぐらいをつけたい)なんだけど、最後の作品のせいで、私の評価はガタ落ち。 もし「少女小説家を~」だけの本だったら星1つ以下だったかも。

    0
    投稿日: 2012.10.05
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    2008年6月に逝去された氷室冴子さんの(多分)最期の作品「月の輝く夜に」が収録された作品集です。 3㎝弱ある分厚い一冊ですが、単行本未収録作品は全650頁のうち200頁のみです。 その殆どは「ざ・ちぇんじ!」の再録が占めているので。 でも氷室作品は「なんて素敵にジャパネスク」シリーズのみしか手元に残していないので(山内直実版は持ってますw)、久しぶりに読んだ活字の「ざ・ちぇんじ!」は良かった! 山内さんの再現率の高さも今更ながら感心してしまいます。 そしてこの濃い目のピンクの背表紙は私の中学時代のど真ん中に在していました。 手にした時にはあの頃の青い思い出たちが鷲掴みに目の前へと突きつけられたようで嬉しいやら気恥ずかしいやら。 中学生にしか出来ない読書があると思います。 それを私に授けてくれたのは、氷室冴子さんであり新井素子さんであり久美沙織さんや田中雅美さんといったコバルト作家陣でした。 漫画じゃないけれど漫画の頁をめくるようにすらすらと、そして色鮮やかに脳内で漫画化(映像化とは少し違った気がする)されたコバルト文庫の秀作たち。 特に氷室冴子さんの「なんて素敵にジャパネスク」があったから今源氏物語を趣味のひとつに挙げられる私がいると言えます。 その氷室センセが鬼籍に入られて4年が過ぎた今、こうして単行本未収録作品が随分なごちゃ混ぜ編集ではありますがまとまって単行本として世に出たことは氷室ファンにとって僥倖以外の何物でもありません。 長くなりますが各作品について。 ・月の輝く夜に ★★☆☆☆ 2005年2月号Cobaltに掲載された作品。 掲載時のコメントに、 「月の輝く夜に」は書いた時から、好きな作品でした。ページ数が足りなくて苦労した記憶が・・・。掲載原稿を元に打ち直して、幾らか増えています。 と、背表紙裏にあります。 「銀金」シリーズはどうにも合わなくて読んでいなかったのですが、体調・精神面・創作意欲といった色んな面からも「月の輝く夜に」の頃から既にかなりトーンダウンしていた感が否めません。 この作品自体が、平安時代の受け身でしか結婚も恋愛も出来ない女人を主人公にしているので暗くロートーンになるのは仕方がないと言えますが、それにしても作品に力が無いというか・・・。 未完作品の「碧の迷宮」もここまで中途半端に物悲しいだけのお話では無かったように思います。 しかし、氷室冴子は少女小説家でしたが生涯少女小説家だったわけではありません。 対象読者の年齢を上げて内容も少しずつオトナになっていった結果がこの「月の輝く夜に」に見受けられます。 読者だっていつまでもコドモじゃないんだ。 オトナの恋愛、どうしようもないってことが現実にはあるってことを「なんて素敵にジャパネスク(人妻編)」では既に描いていますしね。 読後感がいまひとつ良くないのとなんとも言えない物足りなさを感じてしまったのと、やはり久しぶりに新作を読む期待値が大きすぎたせいで星が減りました(苦笑) でもこんなんじゃ読めないままでもよかった、とは思いません! 山内さんのコミックス版も読みたいなぁ。 初版は売り切れ、今は再販がかかるかどうかもわからない状態です(-_-;) ・ざ・ちぇんじ! ★★★★★ 「とりかえばや物語」を元に創作された平安ラブコメディの代表作ですね。 帝の純情で単純なところが今読んでもかわゆいですw ほんとよく出来たお話ですよねぇ。 おとなになってから読むと何か違うかしらと思ったのですが、心は一気に中学生の頃へと巻き戻されてしまってなんてこたーない楽しいばっかりでしたw ・少女小説家を殺せ!Ⅰ・Ⅱ ★★☆☆☆ 「少女小説家は死なない!」の番外編。 相変わらずの火村彩子センセに若干引き気味になりますw 今なら「ラノベ作家」となるのでしょうが呼び方が変わっただけで内実は案外このままなのかも?w 脳みそからっぽにしてがーっと読める作品ですw ・クララ白書 番外編 お姉さまたちの日々 ★★★★☆ このシリーズ大大大好きでした! 女学校!寄宿舎!中高一貫のお嬢様学校!お姉さま! あこがれてんこ盛りですw 自分自身高校が女子高で一年上のバレー部のエースに憧れていたのですが、超地元だったため寮に入ることは出来ずあることないこと想像して憧れを強くしていたものです、あぁ懐かしいw この番外編は本編とは違ってお姉さま方達が主役です。 地の文章は煌めきの虹子女史。 そこへ軌跡の高城さんと今回の台風の目清らかなる椿姫白路さん! しーのと一緒になって憧れまくっていたお姉さま方たちが主役の番外編なんてもうたまらんですw みさきのあさんのコミックスは再読しまくりで本棚に並んでいますが、この番外編も漫画化されないかなぁ。 そういえば中学の国語の授業課題で「短編小説を書く」と言うのがあって、私は「アグネス白書ぱーと2」の後日談を書いたのでしたw 冒頭400字程は一気に書けたのに、構成も何も考えずの見切り発車だったのであっという間に頓挫して完成させることなく中途半端な状態で提出しました。 お陰で小説家になろうなんて夢を見ずに済みましたが!(苦笑) 本編を読んだだけではまさかここまでとは思ってませんでした、白路さんの天然ぶっ飛びぶりwww 虹子女史の、 白路のアホッ!だから、あんたの友人、やめたいのよ。 は、ソウルボイスですwww めいいっぱい楽しませてもらいました。 読めて良かったー! Cobalt本誌を購読してない方にとってはこの200ページは至福の時を与えてくれると断言しちゃいます。 初版後たった2週間で再販がかかったことからも、まだまだ氷室ファンは健在だぜ!とガッツポーズをしてみせたい気分です。 氷室センセ、ずっとずっと大好きですよー!

    1
    投稿日: 2012.10.04
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    シリアス系恋愛物からコメディに、時代背景から何から違うごちゃまぜ本。 どのお話も違う面白さがある良いものなだけに、もう少し、こうどうにか編集というか、まとまりのある出版ができなかったんだろうか?と 集英社コバルトがうらめしい気もします。 そう感じた文庫の中に少女小説家を殺せ!の続編が入っているっていうのもなんだか、うん。苦笑。 でも読めてよかった。 やっぱりいいなあ、氷室先生……。ほんと、いい。

    0
    投稿日: 2012.09.29
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     故・氷室冴子さんの文庫未収録の短編&絶版の本の再録。  中身は少女小説にコメディに平安モノとまぁごった煮(笑)  タイトルの「月の輝く夜に」はマンガを先に読んだせいか、「ああ、原作に忠実に漫画化されていたんだね」と言う感想。あと小説のほうが少しだけ伏線が分かりやすく容赦ない。漫画の方がミステリの謎解きとしては面白いかなと思ったり。でも先に読んだ順で面白いのかもなぁ。  クララ白書は噴いた。すごい高校生たちである。  こんな感じで、過去の未収録作品とか、草案とか出るなら読みたいなぁ(でも出されたくないものは生前にきっちり片付けておられそうだよね)  

    0
    投稿日: 2012.09.23
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    氷室冴子さんの単行本未収録本を含む4作をまとめた一冊。 どちらかというと、元気いっぱいの頭が切れる女の子が活躍する話が多かったけど、表題作『月の輝く夜に』は淡々とした静かな話だった。自分の思惑や政略の通りにするために妬み、貶めるループが凄かった。小説の方がその様子が色濃く出ていたと思う。平安時代の恋愛のやり取りと言うよりも政略をメインにしていたところが残念。

    0
    投稿日: 2012.09.18
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    表題作の「月の輝く夜に」がいい。わずか数十頁の短編にどれだけ話を詰め込むのか。 そして有実に萌える。悶え死ぬ。 今市子のイラストも合ってる。涼しい顔して内心はドロドロ。ぴったり。

    0
    投稿日: 2012.09.18
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    久々に”ざ・ちぇんじ”を読みました。 やっぱり面白いなぁと思いながらも、さすが少女小説と・・・。 古典のとりかえばや物語は、子どもが何人も生まれてくるので・・・ あぁ、あっさりしてるとか思ってしまった。 けど、さすがは氷室先生。 他の作品もまとめて出版して欲しいな・・・

    0
    投稿日: 2012.09.07
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    ・クララ白書 地味に高校一年から読みたかったものでした。クララ、アグネスを読み返したくなるのに、読んだのが高校図書室の本だったという罠。 ・少女小説家 (死なないの方は未読)作者、基本のなっていない少女小説に何か言ってやりたかったのかしら。 ・ざ・ちぇんじ これが文庫買った目的なのです。とりかえばやは読んだことあったけれど、うまくコメディ調にアレンジされてるというのが初っ端の感想。母親の性格が…(笑) ・月の輝く ドタバタ以外も書くんだな、と。 最初てっきり二人でなにかやらかしてめでたしめでたし、ってストーリー想像していたから重い話に余計打ちのめされました。

    0
    投稿日: 2012.09.04