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ねじまき少女(上)
ねじまき少女(上)
パオロ・バチガルピ、田中一江、金子浩/早川書房
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総合評価

84件)
3.6
12
28
23
6
3
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    当時のタイム誌〈今年の十冊〉にも選ばれた名作。石油が枯渇し、チビスコシス(咳とともに肺の肉を吐く)や瘤病(皮膚が肥厚してひび割れていく)が蔓延し、エネルギー構造も農作物も激変した近未来のバンコクが描かれています。アジアンテイストのディストピアの魅力が溢れています。

    22
    投稿日: 2025.07.30
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    タイのディストピア的世界観は凄く好き。 ねじまきというエネルギーも面白い。 ただ、ねじまき少女の虐待されている描写がキツかった。 後半から割とさくさくのめり込んで読めたが、序盤から中盤までなかなか登場人物達の思想や立場や性格が掴みにくく読み終わるのに時間がかかった。 オリジナルの固有名詞も色々あって理解するのに時間がかかった。 同著者の「第六ポンプ」という短編集の中にある「カロリーマン」という短編が面白く、同じ世界観の長編である本作にも手を出したが…後半読むかは決めかねる…。

    0
    投稿日: 2024.12.07
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    「カロリー企業」「ねじまき」突然乱雑なタイの雑踏に落とし込まれたようで、物語の設定を理解するのに時間がかかった。ネットで誰かの用語解説サイトでやっと状況と対立軸を把握。 誰もがカロリーを摂取してエネルギーを確保するのに必死な世界で、白シャツの暴力に怯えながら、どのように生き残るのか思考を巡らせる、泥に塗れた汚くも弱肉強食の世界観。

    0
    投稿日: 2022.08.19
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    複数巻を平行に読破月間。 遺伝子改変とハックが当たり前になり、他国の作物をジーンハックゾウムシによって壊すことで、エネルギー機器に陥らせる時代。独自の種子バンクを持つタイでは西洋由来のカロリー(エネルギー)企業に負けない食文化を構築した。そこで藻類を研究するアンダーソン、通産省で闇カロリーを駆逐するジェイディー、日本製の遺伝子改変"ねじまき"少女のエミコの人生が交錯していく…。 クールなアンダーソン、自分がうまく制御できないエミコ、熱く衝動的なジェイディーに、得体のしれないホク・センと、サイバーパンクというか、アニメ的な登場人物の視点でそれぞれ進む序盤。状況の説明と、やや支離滅裂なストーリー展開がほとんどのため、上巻前半はなかなか読みすすめるのが難しい。 裏表紙に書かれているストーリーも、何となく全体にずれていたり、表現が誤っていたりするような感じで、出版社も上巻だけでなんともならないように思える。 そういう滅裂感が、上巻の後半にやや動き出してくる。的だと思っていたジェイディーが事件に巻き込まれ、エミコは北を目指す。 ヨーロッパから見たアジアの混沌とした世界観、特に通産省とは名ばかりの、日本のヤクザをベースにしたと思われるネチネチした陰湿な組織形態、得体のしれない敵国としての日本など、そういう風景が見えるようになってくると、理解が深まっていくだろう。 でもまあ、まだ序盤である。ようやく話が始まろうというところなので、後半に期待。 余談。 吾妻ひでおの『不条理日記』に出てくる「ミルクちゃん」の元ネタかと思って読み始めたのだが、2009年の作なのね。不条理日記って1979年頃よね。

    0
    投稿日: 2021.08.25
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    世界観が好き。カタストロフィも。アンダースン、エミコ、ギブソン、マイ、ジェイミー、カニヤ。みんなキャラが良いね。

    0
    投稿日: 2020.09.20
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    ずーーっと気になってた作品。 印象的な装丁と期待高まる表題(これは春樹の「ねじまき鳥クロニクル」が好きだからでもあるが)で、一体どんな作品なんだろうと思いつつ、以前読んだ著者の短編がそこまでヒットしなかったので長らく見送っていた作品でした。 古本屋で上下巻が売られていたという不純な動機で読み始めた本書ですが、これがなかなか面白い。 舞台は未来のタイ・バンコク。この時点でワクワクさせられるのですが、本書はもっと刺激的。環境破壊で海面が上昇し、ニューヨークなど世界各地の沿岸都市は水没。石油が枯渇し、伝染病が蔓延し、遺伝子組み換え作物しか栽培されない世界。バンコクでは伝染病の広がりを防ぐ環境省配下の白シャツ隊が権力を振るう一方、海外との貿易により富を稼ぐ通産省が躍進を遂げ、両省は一触即発の状況にあった。そこに日本国製造の「ねじまき少女」エミコが思わぬ形で関与し、タイは未曾有の事態に陥ってしまう… 発展途上国の政権争いが物語のメインストリームですが、結果的に誰も得しないブルーな結末にションボリ。しかし、登場人物のそれぞれが苦境の中でなんとか幸運を掴もうと足掻く様はなんだか今の自分にはないハングリーさを感じられて、ちょっと思うところがありました。 それにしても、おもしろいSF作品の特徴は確たる世界観を構築していることですよね。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、キャンベル記念賞と名だたる賞を総なめにした本書もまたその例に漏れません。

    2
    投稿日: 2019.12.08
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    上巻読み終わり。この世界がようやく分かり始めて、楽しくなってきた。 本当は嫌いなキャラであるはずのホク・センを応援してしまうのはなぜ?

    0
    投稿日: 2019.06.11
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    石油が枯渇し、エネルギー構造が激変した近未来のバンコク。 遺伝子組換動物を使役させエネルギーを取り出す工場を経営するアンダースン・レイクは、ある日、市場で奇妙な外見と芳醇な味を持つ果物【ンガウ】を手にする。 ンガウの調査を始めたアンダースンは、ある夜、クラブで踊る少女型アンドロイドのエミコに出会う。 彼とねじまき少女エミコの出会いは、世界の運命を大きく変えて行った。 (あらすじより) このタイプのSF小説にありがちな事として、物語の前半を使って世界観や独自の文化を説明する手法がある。 最初は物語に入り込めず忍耐が必要だが、ここをしっかり読まないとその後の話にもついていけなくなるので、重要なパートでもある。 上巻はまさにその典型的なパターンだったように感じた。 洪水のような情報量。 イメージの奔流に圧倒される。 世界観、文化、人間関係、政治情勢、登場人物達の思惑が描かれ、上巻の最後のほうでようやく物語が動き出した感じだ。 下巻で一気に爆発するんだろうか。

    0
    投稿日: 2018.12.08
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    さすがに賞を総なめしているだけはある。希望はないが、非常に現実味のある設定と、それを読ませる筆致がすごい。遺伝子操作が行くつく先はこれなのかと暗くなってしまうが、なんとかならないのか、という一縷の希望を持ちながら読んでいる。

    0
    投稿日: 2018.11.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    初長編で大きな賞を獲ったということで「『ニューロマンサー』以来の衝撃」がオビの売り文句になっているが、さらに言うと、雰囲気・手法もギブスンを意識しているみたいだ。 ・遺伝子ハックやねじまきといった道具仕立ての細かい中身には立ち入らず、それらがいかにもリアルな世界で使われているという描写で世界観を描き出していく。ねじまきの性格がドMにデザインされているとか、人が錘になって動くエレベーターとか。この辺は読んでいて面白かった。 ・タイを舞台にしてエキゾチックな感じをうまく出している。出てくる日本人のおかしさは相変わらず(ある意味正統的なステレオタイプ)。 ・章ごとに入れ替わる多視点。語り手のバラエティも亡命中国人の爺さんとかいい感じ。 ・翻訳でよく分からんところもあるが、現在形を使うところとか、章や段落の最後を印象的なセリフで区切って見せたりするのも似ているかな。 普通はねじまきの自意識が人間と同じホンモノなのかがテーマになりそうに思うが、そこはねじまき本人が語り手になっていることもあって(保守的タイ人は「カルマがない」なんて言うものの)当然ホンモノですよ、という感じでスルー。遺伝子をいじっているとは言え立派な生物だからかな。作中の世界では可愛そうに社会的にはモノ扱いではあるが、電気羊なんかと比べると、世界観的には人造人間の人権確立が進んでいる気がする。 惜しむらくは、筋の運びがぞんざいでアラッと思うところが多々ある。例えばジェイディーの最期とか、終盤のあたりかな。トントンとテンポがよろしいという評価もあるかもしれないけれど、なんか安易に思えた。バイオをSF的道具仕立てにしているが、そこらへんの描き込みも新しさは感じない。

    0
    投稿日: 2018.11.05
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    amazonでも売っていなかったので、仕方なく楽天ブックスで注文。SFにしては結構売れているようだ。 それにしても覚えにくい作家名だ(苦笑

    0
    投稿日: 2018.10.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    上巻の150ページくらいまで読んだけど、ストーリー展開がいまいち見えないし、キャラに魅力を感じず、挫折中。 近未来のアジアの、猥雑さとテクノロジーの混合、みたいなイメージもやや飽きた。

    1
    投稿日: 2018.05.25
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    遺伝子組み換へなんとかが世界を席巻し、象が頑張る世界の、タイで、なんか「原種の果実」とかが出るので、それを調査するコーカソイドの人とか、お国を守るためにがんばるをっさんとか、マレーシアで地獄を見た支那のぢぢいとか、温帯専用の人造人間が、いろいろする。  作者のご両親はヒッピーで、先生は支那へ行っていろいろやってたさうであるが、遺伝子組み換への品種で「近所の雑草を枯らすイネ」と言ふのが出てくる。  アメリカはどうだったか忘れたが、ヨーロッパでは除草とかにウェイトかけないので、かう言ふのは欧州では異常に見えさう。

    0
    投稿日: 2018.03.09
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    遺伝子組換SFで前半は分かりにくいが後半の展開は早くすべてはエピローグのためにある 表紙   8点鈴木 康士  田中 一江・金子 浩訳 展開   7点2009年著作 文章   7点 内容 690点 合計 712点

    0
    投稿日: 2018.03.08
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    SF。エコSF。バイオSF。 説明不足で分かりにくいところもあるように思うが、先に『第六ポンプ』を読んでいたおかげで、すんなりと物語に入っていけた。 アンダースン、エミコ、ジェイディー、ホク・センと、複数の視点から物語が進む。 ジェイディーとホク・センのパートが好きではないが、エミコのパートが良い。ねじまき少女は何を考えて生きているのか?

    0
    投稿日: 2017.06.16
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    ヘンタイジャパニーズがつくったリアルドールみたいな生体アンドロイドが主人公の冒険小説? 湿っぽいスチームパンク、といった印象の設定でなにぶんタイが舞台なので湿度気温共に高い。暑苦しい。 そんな中に咲く毛穴のない女の子。激しく動くのは短時間のウルトラマンは毛穴が無いからだ!なんだか毛穴の話がツボって、熱くて動けない描写の度に毛穴が無いからなあ、と反芻してしまった。なんなんだ、女性の毛穴になんか思うところでもあるのか? 見たこと無いけどキルビルの栗山千明とかこんな感じなのか?つまり、こう、あくまでもヨーロッパ人から見た東南アジア、といった印象。

    0
    投稿日: 2016.03.02
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     2010年SF賞総なめの作品。邦題はオタク受けを狙って『ねじまき少女』なのかと思いきや、原題もきっちりThe Windup Girl。    化石燃料が枯渇し、遺伝子改変動物を使役して生み出す力学的エネルギーを小型高性能のゼンマイにため込むというのが、この時代のエネルギー事情だ。よってすべてのエネルギーの源は家畜が食べる飼料のカロリーにたどり着くことになり、農業こそがが最重要産業なのだが、バイオテクによって生じた疫病や害虫で植物もまた壊滅的となっている。  舞台はタイ王国。農作物の遺伝情報を握るカロリー企業の支配に屈せず独自の繁栄を築いている。物語はアニメ風のねじまき少女の冒険ではない。この起こりそうな暗い未来における群像劇である。  タイでエネルギー工場を営むアンダースン。実はタイの種子バンクの情報を狙っているらしい。そして植物遺伝子にまつわる重要な情報をみぎっているらしいギ・ブ・センないしギボンズという男を捜している。  アンダースンの側近として働く、中国難民の老人ホク・セン。かつて大企業主であった彼は、再起を図って、アンダースンを出しぬき、地元のギャング「糞の王」と接触する。  ねじまき少女エミコ。遺伝子操作で作られた「新人類」。人間と区別するため、わざとぎこちない動きをするように作られていて「ねじまき」と蔑まれているが、ゼンマイで動いているわけではないようだ。日本で作られ、日本の企業家の秘書兼愛人としてタイに連れてこられたが、主人が帰国する際、経済的理由から捨てられ、見世物小屋で働く。  タイの繁栄を守っているのが環境省、通称、白シャツだが、役人は賄賂を取り、腐敗している。賄賂を取らず、不正を暴く、環境省の役人ジェイディーはやり過ぎてしまい、政争に巻き込まれる。  章ごとに別の登場人物の視点に切り替えつつ進む語りは、ひとりの登場人物への感情移入を妨げつつ、全体的な状況をゆっくりと明らかにしていくが、それは登場人物たちみながそこから駆け出すことができるように、慎重にゼンマイのねじを巻いているかのようだ。

    1
    投稿日: 2016.02.05
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    今の時点では苦痛の方が大きい。 ちんたらにあまり意味を感じないが 下ではびっくりするほどまとまって、まあ‼︎ というのを期待していいのか。

    0
    投稿日: 2016.01.16
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    近未来のバンコクを舞台にした物語ですが、現在私たちが映像などで知っているバンコクとあまり違わないように思えます。違うのは、市場にありとあらゆる遺伝子組み換え植物が並んでいたり、象を組み替えた動物がいたり、日本で作られたアンドロイドが出てくるところでしょうか。遺伝子組み換え植物は新たな病気をもたらし、人間には対抗策がありません。しかしアンドロイドなどつくられた生き物たちは、そうした病気と無縁です。必要から生まれたアンドロイドのエミコは、日本では大切に扱われていたものの、ここバンコクでは敬意を払われず、蔑まれています。主人(持ち主)に服従することを教育されているため、不満があっても逆らうことはありません。このあたり、日本の女性が置かれた社会的環境を示唆しているようです。バンコクには不穏な空気が満ちており、その中で登場人物たちは思い思いに行動します。エミコは課せられた拘束を解き、自由になりたいと思っていますが、上巻ではまだ答えは出ていません。

    0
    投稿日: 2015.03.19
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    (((o(*゚▽゚*)o))) 化石燃料が枯渇し、カロリー(遺伝子操作で創られた動物たちの運動力)がエネルギー主体となった世界。 遺伝子バンクと穀物の覇権を争い、しのぎを削る社会。 新人類として創られながら、その能力の高さ故に恐れられ、科学者たちに生殖能力を奪われ様々な制約を与えられた奴隷「ねじまき」。 世界観、ストーリー構成ともに秀逸!

    0
    投稿日: 2014.11.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    とにかく世界観についていくのが大変だった。 遺伝子操作の果てに蔓延した疫病と害虫によって多くの国は崩壊しており、舞台となるタイ王国は、エネルギーを支配しようとする”カロリー企業”に抵抗し続けている。 そこには西洋人・中国人・タイ人、そしてねじまき娘といった多種多様な人間がいて、それぞれの視点から、過酷な現実を描き出している。 人々は耐病穀物で飢えを満たし、遺伝子操作したゾウを使役しながら、改良型ゼンマイを動力に生産する。 カルマ(因果)やピー(精霊)といったタイならではの信仰が加わり、独特の雰囲気があった。

    0
    投稿日: 2014.05.03
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    途中で挫折。 アジアを出しときゃオリエンタリズムで受けるだろう的なノリを感じてしまって。イヤになった。 ニューロマンサーの時は新しい言葉があり(電脳空間!!)鮮烈だったからチバシティが新鮮だったんだ。それとは違う。

    0
    投稿日: 2013.11.11
  • バンコクの蒸し暑さを感じるSF

    初長編で大きな賞を獲ったということで「『ニューロマンサー』以来の衝撃」が売り文句になっていますが、さらに言うと雰囲気・手法もギブスンを意識しているみたいで、テクノロジーの世界観への組み込み方とか変な日本人とかセリフ使いとか多視点とか、もろに似ています。 普通は人造人間(ねじまき)の自意識が人間と同じホンモノなのかがテーマになりそうですが、そこはねじまき本人が語り手になっていることもあって「当然ホンモノですよ」という感じでスルー。遺伝子をいじっているとは言え立派な生物だからでしょうか。可愛そうにまだ社会的にはモノ扱いではありますが、電気羊なんかと比べると、世界観的には人造人間の人権確立が進んでいる気がします。 惜しむらくは、終盤にかけて筋の運びがぞんざいでアラッと思うところが少々あります。トントンとテンポがよろしいという評価もあるかもしれませんが。 また、バイオを道具仕立てにしていますが、世界観への組み込みはうまくても発想自体にはさほど新しさは感じません。そういうタイプのSF小説ではないと思います。

    1
    投稿日: 2013.10.13
  • アジア理解SF

    バンコクを舞台とした「アジアという地獄」の物語。前半がやや退屈かつ冗長だったが、中盤以降はイッキ読み。著者はアメリカ人だそうだが、タイや日本やマレー華僑や、アジアのことを皮膚感覚レベルで理解しているように思う。「日本人以上に日本人的なねじまき人間」なんざ、日本人以外の誰が作るってんだい(笑)

    0
    投稿日: 2013.09.25
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    アグリビジネス、遺伝子組み換え作物、外来生物による自然破壊、伝染病の蔓延、難民、官僚の腐敗、カルト宗教...。未来のタイを舞台に現実にある様々な問題が物語に内包され、凝縮されています。 混沌とした世界でそれでも生きていく人たち。 いままで知識でしかなかったことが登場人物に共感することで実感として理解できます。下巻が楽しみです。

    0
    投稿日: 2013.09.22
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    まだ上巻だからだろうか特に動きもなく終了。ねじまきってんだからほんとにぜんまい仕掛けのアンドロイドかと思ったらファティマみたいなもんなのね

    0
    投稿日: 2013.07.27
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    賞は、取っているが、 物語の世界観を把握するのに、ずいぶん時間がかかった。自分のせいかもしれないが。

    0
    投稿日: 2013.06.24
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    本書は著者の長編デビュー作。 しかしデビュー作にも関わらずヒューゴー賞/ネビュラ賞/ローカス賞/キャンペル記念賞とSF界の様々な賞を受賞。 そしてそれだけに留まらず、タイム誌の「今年の10冊」で9位にランク付けされる等、SFと言う比較的ニッチな世界にとどまらない作品となっています。 簡単にストーリーをご紹介すると、 本書の舞台は温暖化効果と遺伝子工学の暴走により環境が激変した500年後の地球・タイ王国。 この舞台において、蘇りつつあるグローバル経済を主導しようとする多国籍企業とそれと敵対するタイ王国環境省及びその実働部隊、通称白シャツ隊。 そして、白シャツ隊と敵対するタイ王国通産省の三つ巴の駆け引きが展開されると言うストーリーです。 またそれだけでなく、マレーシアで起きた虐殺で家族を失うも辛うじて単身タイに逃げ延びた華人の元大物や、日本人が遺伝子工学を駆使して作り上げ、やがては捨てた新人類、通称・ねじまき少女の存在がストーリーを横方向へ展開させており、、彼らマイノリティの視線を用いる事によって一つの世界が様々な立場から描かれています。 尚、本書が描く世界は、石油資源が枯渇し、温暖化により海面が現在よりも極めて高く、その為、動力源が人力もしくは遺伝子改造された動物と言う世界です。 読者に対し、この点を改まって解説している箇所はありませんので、読みながら小説世界に対する理解を深めていく必要があります。 その点、普段、懇切丁寧に世界観を説明してくれる読者にやさしい小説か、あるいは現実とさほど変わらない設定を持つ小説しか読まない方にとっては、ちょっと違和感を抱くかも知れません。 しかし、読み進めるにつれてきちんと理解できますので、この点に関する心配は無用ではないかと思います。 いずれにせよ、各種賞を受賞しただけあってか、人々が生きる姿を見事に描き出しており、充実した読書体験を提供してくれる事と思います。 お時間のある時にでも一読されてみては如何でしょうか。

    0
    投稿日: 2013.06.21
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    未来のタイを舞台に、ねじまきと呼ばれるアンドロイド少女や野心満々な外国人たち、何もかも失い再起を期す元中国人実業家、激しい権力闘争を繰り広げるタイの官僚たち、と多彩な登場人物それぞれの視点から物語が進んでいきます。 物語の設定は興味深いものなんですが、今ひとつピンきませんでした。翻訳が下手くそなのか元々の文章がそうなのか知りませんが、文章がとても読みにくいし、物語の背景が複雑すぎてゴチャゴチャになりすぎている感じがしました。下巻でスッキリすることを期待したいと思います。

    0
    投稿日: 2013.04.25
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    初めは馴染みの無い単語も多く状況を把握する事だけでも大変だったが、いつしかその独特の世界観に没頭してしまっていた。 登場人物の個性も豊かで、読者を惹きつける要素も満載だ。 石油に換わるエネルギー源としてのゼンマイ、蔓延する遺伝子操作、人々に暗い影を落とす疫病、発展途上を思わせる混沌とした都市、そしてねじまき少女の存在。 世間では本作について賛否が分かれているようだが、私的には非常にSFらしくワクワクできる良作だった。

    0
    投稿日: 2013.02.25
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    90ページほど読んで、1年以上積んであった。 石油が無くなり、常に変異する疫病群で多くの動植物が絶滅している世界で、タイを舞台に、遺伝子改造食料メジャーの西洋人アンダースン、ホロコーストを逃れた老中国人難民ホク・セン、試験管から製造された工業製品である日本の女の子エミコ。 改良された象とゼンマイが動力源の世界で、タイの固有名詞に馴染めなかったのと、悪いやつ二人と奴隷が一人、個別視点で語られて、感情移入できなくて。 で、先週続きを読み始めたら、あっという間に上巻終わり。 あと数ページ先から面白い展開が待ってるとは思わなかったよ。 実はバンコクも水没の危機下にあって、タイ環境省の実力行使チームが出てきて急に面白くなった感じ。(たぶん4人めの主人公) で下巻を読み始め

    0
    投稿日: 2013.01.16
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    まず上巻まで。奇抜だけどあり得そうなグロテスクな近未来を描いたSF作品。石油が枯渇しゼンマイ動力やバイオテクノロジーに支えられている混沌とした近未来社会。 上巻では、タイのバンコクを舞台に、主要な五人の人物が出揃う。それぞれの背景説明のため、ストーリーの動きはまだ鈍いですが、作物を牛耳るバイオ企業、新しい疾病の蔓延、遺伝子操作を受けた生物の氾濫、現代の不安が形になったような近未来社会の描写は濃密で飽きさせません。 下巻に向けて、ストーリーが動きだしそうな予感の中でおわる。まずはいい感じの上巻。

    0
    投稿日: 2012.11.26
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    読むのに時間をかけすぎたせいで、ちょっと全体像を掴み損ねてしまった。 細かいモチーフとかは、非常に好みだったので、また読み直したい。

    0
    投稿日: 2012.11.04
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    エネルギー資源がゼンマイと遺伝子組換動物に変わった後の世界、様々な遺伝子操作の結果、食の安全も崩壊した世界。タイ・バンコクを舞台にした群像劇。 汚染されていない植物の謎を追う欧米人、失った富を取り戻そうと機会を狙う老中国人、不正を許さないが故に身内からも狙われるタイの役人、そして日本製の新人類である「ねじまき少女」。 湿度が高く、不快指数の高いアジア特有の空気感がどんよりした世界の雰囲気と良く合う。そしてどん底の状態でも精一杯、したたかに生きようともがくそれぞれの姿も興味深い。 ただ、状況が見えにくい上に独特の語彙が多く、入り込み辛くもあった。下巻に期待。

    0
    投稿日: 2012.10.03
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    そこかしこで散見される訳の拙さはさておき、散文的にばらまかれる現在形による描写にまず打ちのめされる。いわゆる普通の文体に慣れた身にはほんと辛かった。 そんな読み手の困惑を無視してしょっぱなから話はぐいぐい進む。今我々が住む世界とは似ても似つかないとんでもない近未来世界へ何の前知識もなく放り込まれるものだから、もうたまったものではない。帯の惹句につられて軽い気持ちで本書を手に取った読み手の多くは下巻を手に取ることなく書を閉じているに違いない。 かくいう私もこりゃ無理だわ。 80点(100点満点)。

    0
    投稿日: 2012.09.18
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    石油の枯渇した近未来のバンコック、外国人の工場では遺伝子操作したゾウを動力として海草タンクを用いて新型エネルギーであるゼンマイを製造している。最初80ページ位はタイトルと小説の世界観が上手くなじまずちょっと読み進むのに抵抗があった。ちなみに昨年このあたりで一回挫折w そしてタイトルでもある日本製のアンドロイド、ねじ巻き少女が成人向けの描写とともに登場し、通産省と環境省の争いなどぐいぐい引きつけられ下巻に続きます。

    0
    投稿日: 2012.08.19
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    石油が枯渇し、エネルギー構造が激変した近未来のバンコク。遺伝子組替動物を使役させエネルギーを取り出す工場を経営するアンダースン・レイクは、ある日、市場で奇妙な外見と芳醇な味を持つ果物ンガウを手にする。ンガウの調査を始めたアンダースンは、ある夜、クラブで踊る少女型アンドロイドのエミコに出会う。彼とねじまき少女エミコとの出会いは、世界の運命を大きく変えていった。主要SF賞を総なめにした鮮烈作

    0
    投稿日: 2012.08.16
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    上巻でギブアップ。「石油の枯渇した世界で、エネルギーはネジに移り変わった」という設定や小道具にはワクワクするのに、話が全くワクワクできない。読んでいて飽きてしまった。

    0
    投稿日: 2012.08.12
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    SFはまったく読んだことがなかったので、世界観についていけるか不安だったのですが無用の心配でした。 最初はこの世界の用語が多すぎてなにがなんだか訳が分からない状態でしたが話が進むにつれ個性的な登場人物と結構エログロかつアクティブな展開のある話に引き込まれました。 意味不明の用語も何度か使われるうちになんとなく意味が分かってきて、 普段は現代日本作家しか読まないので目新しい読書体験でした。 日本ではねじまき少女のあとに発売された第六ポンプの方が、執筆順は反対だったみたいなので、先に読んでおけばよかったかと思いました。 下巻どうなるかすごく楽しみです。

    1
    投稿日: 2012.08.05
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    石油が枯渇し、ぜんまいが手動力の世界。 食糧を牛耳る西洋の大手企業により為的に病気や害虫が作り出されて、いろんな植物は失われた。 いっぽう、ロボット大好き日本人は人造人間をつくったりしてた。 造語や慣れない言い回しが多くて読みにくい本ではありましたが、皮肉たっぷりなこの設定はおおいに楽しみました。 事件にいろんな人々が巻き込まれて行く話なので、中心になる人物がおらずのめり込み度は低め。 終わりの始まりの物語です~

    0
    投稿日: 2012.07.09
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    登場人物表がないせいでややごっちゃになってしまいますが、SFなのに設定や世界観がリアルすぎるのですいすい読めます。エミコ、幸せになってほしいな…。

    0
    投稿日: 2012.07.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    舞台は近未来のタイ、バンコク.石油は枯渇し、ねじまき(ぜんまい)が主な動力源となっている.温暖化のためか海面は上がりバンコクも水没の危機に瀕している.また新たな疫病もはびこっている.カロリー企業や通産省、環境省の役人、軍人はそれぞれの勢力を伸ばそうとして暗躍する.エミコは日本製のねじまき少女だがタイにつれてこられてそのまま不正滞在をし、裏社会のSMショーや売春をして生活していたがカロリー企業の経営者アンダーソンと出会う.

    0
    投稿日: 2012.06.26
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    前半の終わりにきて少し面白くなりかけた。なかなか新しい世界の言葉に理解が及ばず、登場人物も整理しにくく、訳が悪いのか原作自体の分かりづらさかその辺は分からないが、もう少し工夫が欲しいところ。 後半に期待する。

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    投稿日: 2012.06.24
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    面白い! ニューロマンサー以来の衝撃! バンコクを舞台に、ブレードランナーに似た混沌とした行き場のない閉塞感がこれでもかと表現されていて、途中で止められない面白さ!

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    投稿日: 2012.06.17
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    この話はナス好きのおじさんの語りから始まる。哀れな元富豪の現難民は日々の地獄を生き抜きながら返り咲きを目論む。鎖国派(≒愛国派)の「バンコクの虎」は、貿易派の通産省相手に無茶をやらかし、人間として認められない「ねじまき」、有機アンドロイドは北に自由の夢を見る。 なかなか複雑なお話。原因は一度に世界観を語らない手法。メインの語り手のはずのナス好きのおじさんの正体は下巻まで明かされなかったり。そんなわけでなかなか読むのに時間がかかるが、掴めてくれば先が気になってしょうがなくなる。 ポイントは①石油の枯渇と温暖化、②遺伝子操作技術の進歩と暴走。これらのせいで世界は暑いし、ゼンマイでモノを動かすし、戦争が起きて難民がいる。アンドロイドもいるし、新しい疫病が蔓延して生態系は崩れかけてる。だから遺伝子操作された得体のしれないものは嫌われるし、鎖国派と開国派で争いも起こる。安全なエネルギーや遺伝子で一攫千金を狙う輩も出てくる。と。

    0
    投稿日: 2012.05.20
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    石油が枯渇し、温暖化による海面上昇と、致死的なウィルスの蔓延にさらされるタイを舞台に物語が展開する。 物語は4つの視点から描かれる。 物語世界でエネルギー源となる「ぜんまい」にエネルギーを蓄える会社を経営するレイク。正体はアメリカのバイオ企業のエージェントであり、タイの豊かな植生を探るというのが彼のミッション。 レイクの会社の従業員であり、華僑のホク・セン。彼はマレーシアで家族を虐殺され、タイに逃れて来た「イエローカード難民」である。 致死的なウィルスなどを水際で防ぐべく活動する、タイ環境省の実力行使部隊「白シャツ隊」のリーダーであるジェイディー。向こう見ずな性格が軋轢を産むが、タイの民衆は潔癖な彼を英雄視する。 日本企業の重役のタイ出張に伴い入国した、日本製の人造人間であるエミコ。同伴した重役の帰国の際に「廃棄」されてしまったため、存在自体が違法な状態になり、やむなく娼館に身を寄せ、屈辱の日々を過ごす。 設定がずっしりと重いが、展開が早いのでテンポよく読める。

    0
    投稿日: 2012.05.04
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    上巻を読んでの一番の感想は、下巻への期待がとてつもなく高まったということです。 上巻は、世界観や登場人物達の人物像を理解していくための文章が多い為、物語の展開テンポが遅く感じました。 ただ、高温多湿なジメジメ感の中で織りなすなんともやるせない世界観や、登場人物の過去の記憶や行動で浮かび上がってくる人物像は、長編小説だからこその表現だと個人的には思います。 そのため、テンポが遅いからといって、もどかしさを感じることは無く、小説を読んでいて良かったと改めて実感させてくれます。 私にとっては、事前に『第六ポンプ』を読むことでこの世界観を垣間見ていたことにより、内容をスムーズに理解できている気がします。

    0
    投稿日: 2012.04.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    東南アジアを舞台にしたエコSF!というだけでゲテモノの趣だが、設定とガジェットでグイグイ読ませる。ただ、振り返って冷静に見渡すと、ストーリーがダメな気がする。伏線のほとんどはほうりなげられっぱなしだし、途中から何と何が戦ってるのか、良く判らなくなってしまった。雰囲気で読ませるのだから良いのだけど。でももしかしたら、戦ってる両方に主役級を配し、どっちにも感情移入させながら読ませると言う方法は他で見たことはないかも。

    0
    投稿日: 2012.04.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    近未来のバンコクが舞台のSF小説。 様々な登場人物の視点で物語が語られ、 彼らが今後どのように関わり合っていくのか 非常に気になるのですが・・・あのキャラがまさかああなるとは! あああこんなところで上巻が終わってしまうだなんてー! 日本の扱いが割とヒドくて好みですね。 この小説的には国の名前が残ってるだけマシなんですけどw、 不足した労働力を補うために造られたアンドロイド ”ねじまき”(タイトルにもなっている「ねじまき少女」は 日本製の秘書兼愛玩用アンドロイド!)や、 作物にとって強大な敵であるニッポン・ジーンハック・ゾウムシなど、 遺伝子を弄り倒すのが当たり前となった作品世界の中で、 さらに異形のブツを生み出しちゃってます。 日本ってこういうイメージ?と笑いながらも、 遠い未来、この国が生き残るためには こういう選択肢に走らないといけないのかもなあと、 作品とは直接関係のない部分で、ちょっと考えさせられました。 (2012年2月26日購入、2012年2月28日読み始め、2012年3月23日読了)

    0
    投稿日: 2012.04.01
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    石油が枯渇しゼンマイを動力、遺伝子操作した食料、水没しつつあるタイなどの設定がリアルに感じます。複雑な人間関係があり、後半から展開が早くなる印象。破滅へ進む世界で、ねじま少女の本当の正体が徐々に解り、未来への希望が見えてエンディング。頑張って読んだ印象。

    0
    投稿日: 2012.03.23
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     石油が枯渇した後、エネルギー源の多くを改良型ゼンマイに依存している「ねじまきパンク」的な世界観はなかなか面白いところ。「ねじまき都市」って書くとドラえもんだけどw  あとは舞台がバンコク、というのも何か妖しい感じがしていい感じを出している気がします。マニラにもKLにもジャカルタにもない気怠い、アヤシイ雰囲気が作中からもにじみ出ているような、そんな感じ。  ただ、上巻の段階では物語はあまり展開を見せず、多くの登場人物の背景を解説するのにその紙面の多くを割かれています。その割にはなかなか状況説明が不親切で、読んでてイメージが湧きにくい感もあり、今のところは下巻に期待、としか言いようがないという感じはします……

    0
    投稿日: 2012.03.19
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    石油エネルギーが枯渇した後の近未来のタイを舞台とした作品。エネルギーのあり方、動植物や食料のあり方が変わってしまった世界が濃密に描かれながら、話は進んで行く。タイが舞台ということで、そのネットリ感は否応にも増している。 上巻ではこの世界や人物を、少しずつ描きながら、色々なエピソードが積み重ねられていく。 話の展開は遅いが、段々この世界に引き込まれている自分がいる。しっぽりとこの世界にハマってきた。 事件が色々と動きだしそうな、下巻が楽しみになってきた。 一昨年のSF賞を総ナメにしてきた理由もうなづける。前半は辛抱して読み続けないと、ちょっとツライけどね。

    0
    投稿日: 2012.03.09
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    これはもうしょうがない事だが、 登場人物が出そろうまでは少々退屈な感じがした。 またこの世界のルールがすんなりと頭に入って来ず、 多少難儀しつつ読み進めて行った。 設定は確かに、かなりユニークで面白い。 現状の技術が進化していった先に、ありそうな気配である。 ストーリー的には、登場人物が出そろう後半部分くらいから 加速し始める。

    0
    投稿日: 2012.02.26
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     石油が枯渇した後の時代の物語。強力なゼンマイのような物がエネルギーを蓄える。昔、ゼンマイで動く時計やおもちゃがあったが...  舞台はタイのバンコク。エミコという日本製のゼンマイ仕掛けのアンドロイドが主人公のようだ。SF界の著名な賞を総なめにしたということで、大いに期待して読み始めたのだが、上巻を読み終えたところでは、まだおもしろさが感じられない。  さて下巻はいかに?

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    投稿日: 2012.01.12
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    Live Wire 11.12.26|堺三保&菊池誠の底抜けSF実験室#3「ね、ね、年末ジャンボ?2011年科学&SF&オタク業界10大ニュース」にて、堺さんが激賞されていたので手に取りました。 なんだか背景が上田早夕里さんの『華竜の宮』と似ているな、と思ったのですが、同じような印象を持った人もいて、なんと著者ご本人ともTwitterでやりとりされていました→http://togetter.com/li/144576 ネット時代すごいなぁ(^^;)

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    投稿日: 2011.12.30
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    状況説明が少ないために、読んでいて映像が脳に浮びづらい。そのためのめりこみづらく感じる。一人称での視点が登場人物ごとに変わるのだが、きっと主要人物なんだろうとと推測するしかない。作者のほかの作品も読まないと世界観が認識しづらい仕掛けなのか。が、まだ前編だ。ここまでが壮大な状況説明なんだと考えることも出来る。では後編に期待するか。

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    投稿日: 2011.12.11
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    舞台の世界観がなかなか掴めず。 登場人物の関係性もなかなか掴めず。 上巻の後半になっておおよそ掴めてきた。 誰が主人公なのかな。 下巻がおもしろいことを願う。 ねじまき少女がかわいい。

    0
    投稿日: 2011.12.11
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    退廃的なSFの中でも今まで読んだことのない雰囲気だった。 色んな視点から未来のタイの崩壊を眺めるお話。一言でいうなら諸行無常。 あと、タイの大洪水の話がすごく近しいものに感じられる。

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    投稿日: 2011.11.23
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    暗い未来世界。 著者はYAもの“Ship Breaker”も書いている。 下巻も頑張って読もう。

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    投稿日: 2011.11.21
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    まだ日本で翻訳されていない既刊と世界観を共有しているらしいのだが,いきなり意味のわからない単語の羅列.世界観に没入できないため,取っ掛かりが悪くかなり読み進めるのがしんどかった.また章立てごとに主人公が変わるような構成の割に,人物同士のつながりが希薄なので本当に読み進めるのがしんどかった.独特な世界観にはまれる人には面白いかもしれない.下巻ではもう少しテンポよく進むようだけど,私にはもう読み進めるのは無理で結局斜め読み.

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    投稿日: 2011.10.20
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    気象異常の果ての未来、タイを舞台にした群衆SF。暑苦しさが伝わりすぎて苦しいくらい。 あるべき姿のサイバーパンクだと膝を打つ。 遺伝子操作で生まれたものと、社会不安、どうなるか。

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    投稿日: 2011.10.16
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     ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞などを総なめにしたってことで期待半分、怖さ半分で手に取った。結果的には上巻前半でギブアップ。途中からななめ読み。  もちろん、ヒューゴー・ネビュラWクラウンは伊達ではないと思う。エネルギー枯渇の近未来設定は真に迫る筆致だし、細部も含めてよくできている。ヒロインは日本製のアンドロイドという設定だが、それも特段違和感なく受け入れられる。  しかしながら、ワンダーという部分が少し足りない。ありきたりの結末というかなんというか・・・・。 残念だった。

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    投稿日: 2011.10.14
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    エネルギー問題が深刻化し、代替として遺伝子操作された象が巻くゼンマイ、「ねじまき」が主な動力源となっている近未来のお話。 世界観は本当におもしろい。ゼンマイがもっとも効率的だとされていたり、カロリーという単語が説明なしに多用されて戸惑い、それが内包している意味を理解したときには気持ちよかった。 ただその世界観を理解するまでに結構読み進まないといけなかった。硬派SFとでも言うのか、僕は読み応えがあって結構だったけどとっつきにくさを感じる人もいるだろう。 ストーリーには夢中になる程引き込まれなかった…。舞台となる王国での人々の暮らしぶりと、それをとりまく世界の現実からの変質っぷりを味わう感じ。それだけでも満腹にはなったんだけどね。 ホク・センの過去話なんかも原書では出ているようなので、翻訳されれば手に取ってみたい所。

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    投稿日: 2011.09.14
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    「ニューロマンサー」ほどの衝撃はなかったかも。 化石資源が枯渇した近未来。エネルギー源は強力なバネを利用した「ねじまき」。致命的な疫病が蔓延し、遺伝子操作によって生物や食物が生み出され、経済さえも左右しているらしい世界。 世界はおもしろいと思うんだけど、なんか、話が進まない感じだ。

    0
    投稿日: 2011.08.07
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    訳が所々酷い ねじまき少女がFSSのファティマっぽかったり、SF的なガジェットとしては目新しさは感じなかった。 コピーワンス的な食物によるカロリー支配というアイデアと、バンコクを取り巻く国際情勢が妙に現実味がある。白シャツ隊というネーミングも、どうしても赤シャツ隊を意識してしまうし。 あと、日本はねじまき少女に理解があるあたり、やはり未来に生きてるなと思った。

    0
    投稿日: 2011.08.03
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    特異な世界観は良いのだが、 その世界に至る歴史や背景の説明が殆ど無く、 ポンと放り込まれても馴染み辛かった。 話がいきなりスキップしてしまう箇所が複数あった。 イヤイヤ、間の話書いてもらわないとわけわかりません。 それと、死んだ人が普通に話しかけてくるのもなんかね・・・。 厚み・深み・奥行きが私には感じられず、 残念な作品と言わざるを得ない。 アジアンテイストが欧米系の人には良いのかな?? 2010 年 ヒューゴー賞長編小説部門受賞作品。 2009 年 ネビュラ賞長篇小説部門受賞作品。 2010 年 ローカス賞第一長篇部門受賞作品。 2010 年 ジョン・W・キャンベル記念賞受賞作品。

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    投稿日: 2011.08.02
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    「主要SF賞総なめの鮮烈作」ということで期待して読み始めたんですが、化石燃料が枯渇した世界という設定ゆえ現代にはない単語がたくさん出てくるのにその説明がほとんどなく、本筋とは関係なさそうなエピソードがグダグダ続く割りには話しが進展せず、極めて退屈でした。あと、「The Windup Girl」の邦題が「ねじまき少女」じゃ安っぽすぎるような気がします。

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    投稿日: 2011.07.27
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    近未来のタイが舞台というのが、まずぶっ飛んだところ。なにやら人工の病虫害で植物がかなり絶滅していたり、内燃機関用のエネルギー源がほとんど涸れていたりという設定のようです。混沌としたアジアの町を舞台に謀略やアクション満載。世界観にさえ慣れてしまえば、ぐいぐい読書スピードも増していく感じでした。ブレードランナー好きならこれもお勧めです。

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    投稿日: 2011.07.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    SF関連の著名な賞を総なめにした書籍ということなので、聞いたこともない作者でしたが期待して読んでみました。結論としては面白かったの一言に尽きます。石油が枯渇して遺伝子操作の生物や植物が氾濫している近未来の世界観が、タイのバンコクを舞台に淡々と描写されていきます。ここら辺の雰囲気は映画ブレードランナーの世界観に通じる混沌とした行き場のない閉塞感がこれでもかと表現されていて、読んでいても臨場感たっぷりです。主人公は数名いて、それぞれの人物からの視点で交互に物語が運ばれる形も新鮮で飽きさせない構成だと思います。 舞台であるバンコクを含めてタイは何度も訪れましたが、国民から国王が尊敬されているのがよく分かります。現国王であるプミポン国王はラーマ9世ということですが、物語中には既に過去の偉大な王としてラーマ12世が登場しています。タイ王国は実際に2つの大戦中も独立を保ちつづけた唯一のアジア国家ですが、このことはこの小説の背景の大事な骨子になっています。小説の世界では石油が枯渇し、タイではメゴドントと呼ばれる遺伝子操作された巨大な象を使役して、動力源としておりその象の餌(カロリー)は欧米企業に牛耳られており、不稔性の穀物を世界中に輸出していることでエネルギーを間接的に握っているという図式です。現在も欧米の穀物メジャーが遺伝子操作で収穫効率を上げた品種を世界中にばらまきつつありますが(これは事実です)、なんだか現状への大きな警笛であるとも感じます。 本当にエネルギーというものは失ってから気付くのでは遅すぎるというのは、現在の日本の原発問題を見ても明らかです。エネルギーを失うということは、長い世代を経て辿り着いた今の世界の秩序を失うことに等しいとこの小説は問いかけています。実際に石油が無くなっただけでここまで世界が崩壊するかは別として、長いスパンでのエネルギー問題の解決と展望は優先課題であるはずだと考えます。 SF小説である本書ですが、自分が一番印象に残ったのは物語のラスト近くで、物語のキーアイテムでもある種子バンクを欧米企業に引き渡す直前に、既に亡霊となっている主人公の一人である白シャツ隊の元隊長が語る言葉で「大事なことは町を守ることではなく、国民なんだ。隷従状態の国民では意味がないんだ。」というくだりがあります。それを聞いた元部下の女将軍が行動を起こし、結果としてはバンコクを放棄することになるのですが、それと引き換えに欧米企業からの独立は保持しつづけるという希望で物語は終わります。ここら辺、今の日本の現状を思うと「国土は残ったけれども国民の一部は占領を経てすっかり隷属気質になってしまった」という皮肉に感じてしまうのは私だけでしょうか。。。 最後に星が一つ足りないのは、上巻で世界観と背景に馴染むのに時間が掛かったこと(訳が変?)、例によって帯に「エコSF」なる意味不明なタイトルが付けられていたことなどです。題名である「ねじまき少女」も原題の"The Windup Girl"をそのまま訳したのでしょうが、ほんとにあっているのでしょうか?世界観から考えるともう一つの意味でもある「終末や結末」に掛けた英語題だと思うのでもう少しましな邦題はなかったのでしょうか!?いづれにしてもこれだけの世界観を構築できるこの作者は、SF小説の楽しみを今後も開拓してくれそうです。期待しています! 蛇足ですが、日本の妙な?カバーイラストより右の原文のハードカバーの方がしっくりきますね。

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    投稿日: 2011.07.22
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    久しぶりに、上下巻一気読みできた本。 近未来SF、系統は正統派ではない。 コードウェイナー・スミスに近い。作風ではなく、サイエンスの匂いがしないところがである。 ねじ巻きという発想、カロリー企業というネーミングのすばらしさが光る。 個人的に残念なのは、主人公を一人でなかったこと。 これだけの舞台を一人の主人公で乗り切るのはまず無理だろうけれど・・・

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    投稿日: 2011.07.18
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    旅行に持って行ってタイで読んだ。バンコクではないけど。雑多で不穏な感じとかうだる空気がやたらリアルに感じられておもしろい体験でした。

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    投稿日: 2011.07.18
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    ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、ジョン・W・キャンベル賞など SFの賞という賞を総なめにした化け物みたいな小説。 とはいえSF小説を読み慣れていない人には読みやすい本ではないです。 翻訳というのもあるし、専門用語やスラングが当たり前のように出てくるので 世界観を理解するまでしばらくかかります。 日本文学を読む時とは頭を切り替えなくちゃいけない。 設定は、エネルギーが枯渇し、遺伝子操作によって生物の多様性が失われた世界。 タイを舞台にしている事もあって、SFなのにサイバー感とは無縁で、 終始うだるような暑さと汗の匂いと人々のいらだちの中で物語が進みます。 タイトルの「ねじまき」に村上春樹的な意味合いは全然なくて、 エネルギーを失った世界の貴重な動力源としてぜんまいが使われるから。 とかくSFは近代の世相を盛り込んでいる事が多く、 政治不安、遺伝子操作の末路、温暖化の影響、伝染病の脅威など、 これでもかと盛り込まれたテーマが絡み合い、うねるように展開します。 鳥インフルエンザなんて言葉も出てきてどきり。 ある価値観の崩壊を予感させながら上巻が終わりました。 もしや、昨今のタイで起きている事とそんなに変わらないのでは・・・。 政治的対立。形骸化する王政と軍部の暗躍。 果たしてどうなる。

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    投稿日: 2011.07.07
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    2011年6月28日 読了。上巻だけでは評価は難しい。温暖化が進んだ世界、物語の舞台となっているタイの描写は魅力的。あとはエミコは少女なのかという素朴?な疑問が残るが…

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    投稿日: 2011.06.30
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     え、だってこの順番に登録しないと駄目でしょ……(本棚に並べたときの都合) 「究極のエコロジーSF」という宣伝文がやたら目についたのだけど、正直、それを期待して購入すると、肩すかしを食らうのでは、と思った。 (宣伝としてはそれでよいのかもしれないけれど) 複数の主人公が入れ替わり立ち変わりして視点がころころ変わるので、最初は少し辛抱が必要。「ねじまき少女」というタイトルではあるけれど、肝心のエミコはなかなか登場しないし、登場しても正しく「お人形さん」でしかないし。 ただ、世界観や用語が飲み込めてしまうと、俄然、この話は面白さを増してゆく。この感覚、どっかであったなあと思い出したのがPSゲームの「クーロンズ・ゲート」だった。あの世界観を楽しめる人だったら、間違いなくハマれる。 で、私はハマったわけですが。

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    投稿日: 2011.06.28
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    下巻次第。 登場人物、専門用語が多く視点の移り変わりも多いため最初は非常に読みにくかった。視点となる人物が多いため物語がなかなか進まない。 終盤は面白かったし、今後の展開は気になるので下巻に期待。 日本がどうなっているのかも気になる。 設定はすごいと思うんだけど。

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    投稿日: 2011.06.27
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    舞台はタイのバンコク。地球温暖化による海面上昇、石油枯渇、遺伝子操作による疫病と伝染病など現代の環境問題に起因する災害を詰め合わせたような世界。 工場を経営するファラン(西洋人)のアンダースン・レイク、その工場で働くイエローカード(中国人難民)の老人ホク・セン、ねじまき娘のエミコ、環境省の白シャツ隊隊長で元ムエタイチャンピオンのジェイディー、その部下カニヤ。この5人の視点で物語は進んでいく。 ファランやイエローカードなど専門的な用語、タイ語の読みにくい言葉や登場人物がとても多く、そして視点がころころ変わるので激しく読みにくい。 世界観にうまく入り込めないと読み進めるのが辛い。 世界の説明もあまり詳しくされるわけではないので最初に下巻の解説を読むのが良いと思う。 上巻の時点ではまだ5人の視点がどう絡み合っていくか検討もつかないが確実に大きく動いていくことはわかる。タイの情景描写などとても細かい。そこに住んでいる人の息遣いが聞こえてくるとはまさにこういう文章のことをいうのだろう。

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    投稿日: 2011.06.27
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    「ニューロマンサー以来の衝撃、2010年代をリードする超新星」というキャッチも、総なめにした受賞歴と「ねじまき」という好奇心がらくる期待も裏切りはしない。 こういう本を読むともう日本のSFには戻れない。 さて、本書の舞台は近未来のバンコク。22世紀後半、石油は枯渇してしまい、世界は”収縮時代”に入った。 エネルギーは、ゾウを遺伝子操作して作られたメゴドントによる動力で巻かれる強力なゼンマイによってまかなわれている。 次々に変異する疫病、チビスコシスや瘤病に人々は苦しみ、農作物には伝染病が蔓延している。病気に耐性を持つ遺伝子組み換え作物を牛耳るカロリー企業と呼ばれるバイオ企業が、実質的に世界を支配している世界。 "ねじまき"とは、近未来の日本において遺伝子操作によって人工的に創りだされた”新人類”。 若者が減り続け労働力不足に悩む日本で、秘書、通訳、愛人を兼ねた”もの”としてつくられた。 エミコも日本企業の重役の秘書兼愛人として、バンコクにやってきたのだが、彼女の主人が日本に帰国する際捨てられた。その後はいかがわしいバーで性的見せ物として生き延びている。 彼女たち”新人類”はあらゆる疫病に苦しむことはないが、人間と区別するために、その動作は一目でわかるほどにギクシャクとしてる。 ちなみに、ブックデータベースなどのあらすじではエミコのことを少女型アンドロイドと紹介しているが、”ねじまき”はねじで巻いて動くロボットではない。 血が通い水も食料も必要とし、遺伝子によって従順さを強く植え付けられてはいるものの、感情もある。 だが、”ねじまき”が”人間”として扱われることはない。 人間性とは詰まるところ何であるのか。 人間は、”ねじまき”のことを「魂もカルマもない」という。 カルマという言葉は、 前世の善悪の行為によって現世で受ける報いという意味をもって本書にしばしば登場し、ひとつのテーマになっている。 登場人物それぞれのカルマ。 生態系を破壊した人間のカルマ。 遺伝子リッパーのギボンズはいう。 「わたしたちは、全員ねじまきになっているべきだったんだ。初期ヴァージョンの人間を瘤病から守るよりも、瘤病の耐性のある人間をつくるほうが簡単なんだから。」 緻密で圧倒的な世界は、既に現在その予兆が現れている充分に起こりうる未来だ。 石油はバチガルピが設定したよりも早く枯渇してしまうかもしれない。既にバイオ企業は、種子を残さない農作物を第三世界の農家に売りつけている。 もっと決定的な何かが世界を変えてしまう可能性も大いにある。 この悪夢のような世界をフィクションだと笑うことはできない。 http://spenth.blog111.fc2.com/blog-entry-101.html より

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    投稿日: 2011.06.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2011 6/18読了。Amazonで購入。 @sakstyleが面白い、と言っていたので買った本。 世界がどうしてこんなふうになったか、体系だった説明はないままだけど何かとんでもないことになっていることが読んでいるうちにわかってくる。 とりあえず上巻読了、引き続き下巻に入る。

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    投稿日: 2011.06.18
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    (上・下あわせての評価・感想です) 舞台は、海面上昇で水没の危機にあるバンコク。エネルギー資源が枯渇し、遺伝子操作の失敗による疫病や食料危機に見舞われた近未来。エネルギー源は、象を遺伝子改造したと思われる家畜で巻く「ねじまき」。そんな世界の造形が秀逸で、ヒューゴー、ネビュラ、ローカス、キャンベル記念などSFの有名な賞を総なめしたのも納得できます。 但し、この作品が楽しめるかどうかは、この「世界」にどっぷり浸れるかどうかがカギ。世界描写が主で、登場人物やストーリーは従なのです。いろいろな展開の布石はあちこちにあるのですが、それが結局活かされず、私としては、それがいまひとつ物足りませんでした。

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    投稿日: 2011.06.16
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    詳しい感想は下巻へ。 帯にあるようにイーガンやチャン、ましてやギブソン的なものではありません。 個人的にはレナルズの「融合疫」以降の世界を思い出しました。

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    投稿日: 2011.06.13
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    石油が枯渇し、遺伝子改造によって環境が破壊された近未来を舞台としたエコSF。石油に変わるエネルギーの主流がゼンマイという設定が愉しい。複数の視点人物を配することで立体的に描かれる退廃的なバンコクの姿も魅力的。 主人公たちの思惑が絡み合い物語が緊張感を増しつつあるところで下巻へ。

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    投稿日: 2011.06.03
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    象が暴れるシーンとか、なかなかいいなあ、と読み進むも、段々物語を見失ってしまい、楽しむところまでいかない。登場人物表つけてくれー。てところで下巻へ。

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    投稿日: 2011.06.02
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    石油も枯渇、原子力も当てにならない。地球温暖化が進み海面が上昇。崩壊したグローバル経済。防波堤でかろうじて水没を免れている灼熱のタイ。遺伝子改造のはて蔓延した疫病や害虫(ニッポン・ジーンハック・ゾウムシ)。遺伝子操作されエネルギーを生み出すために使役される動物群。そして遺伝子操作された新人類。う〜ん、超ハードな設定の「シャングリ・ラ」か。タイに置き去りにされた日本製のアンドロイド「エミコ」。違法な存在として生き延びるためには娼婦でも何でもしなければならない。滑らかな肌にするために毛穴をほとんど無くしているため熱の上昇に弱く、タイではすぐオーバーヒートしてしまう切なさ。「ご主人」に使えることもなく新人類だけで生活している村を探すエミコ。なかなかの迫力。蒸し暑い夏に雰囲気を出して読むのにぴったり。BGMは細野 晴臣「細野晴臣アーカイヴス vol.1」

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    投稿日: 2011.05.30
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    さっき買ってきました。帯によると2010年のヒューゴー/ネビュラ/ローカス各賞トリプルクラウンをgetした本格SFらしい。んじゃがタイトルのせいで日常の「なの」のイメージで読んでしまいそうです。

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    投稿日: 2011.05.29