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つやのよる
つやのよる
井上荒野/新潮社
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総合評価

28件)
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    井上荒野祭り。本人に語らせずに関わった人間たちの口を借りて艶というその人物を描くってこの手法は、「悪女について」かあるいは「横道世之介」か?と思って読み進めたけど、そこは井上荒野だわ。直接的な描写はほとんどせずに、読者に想像をさせつつ艶って女性を描こうと物語は進んでいくし、それぞれ単体で短編として見てもそこそこ成立してる。読み終えても、艶ってどんないい女だったんだろう、悪い女だったんだろう、って思いが残るのは作者の思う壺か。しかし井上荒野が描く中年女性にはすごくリアリティを感じるのに、彼女が描く若い女性にはあまりそれを感じないのは何故なんだろう。読んでる自分が中年だからなのか。

    0
    投稿日: 2021.12.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    井上荒野先生の小説が読みたくて、映画化されている小説なので読んだ本。井上先生の著作で初めて読んだ本。共感できるキャラクターや好きなキャラクターがほとんどいなかったので、あまり作品の中に入り込めなかったが、松生艶の描き方がプロの作家じゃないとできないやり方だと思った。井上先生の別の作品も読みたいと思った。

    0
    投稿日: 2018.10.27
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    オムニバス形式ものが好きなので、みんなが直接でなくとも艶につながっているのが面白かった。 ラストだけ松尾(男)の話。もうただの執着というか…。こういう人っているな。映画も見てみたい。

    0
    投稿日: 2018.04.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ざらざらと何かが引っかかるような、なんとも言えない読後感を味わうのは初めて。少し前に流行った『イヤミス』とも異なる。 …多分、三十代後半の今だからこそ(うわ、面白い)と思えたのだと思う。 目の前がぐらぐらするような展開は決してないのだけれども、どの章にも不思議な爽快感があった。 個人的には、艶を看取った看護師がすき。

    0
    投稿日: 2018.01.08
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    次から次に男を翻弄する女、艶。彼女が死の淵に立たされたとき、夫は艶と関わった男たちにそれを知らせようとする。男たち目線ではなく、男の周りの女たちの目線で物語がすすんでいったのが印象的。艶目線では一言も物語は語られてないのに、艶にすごい存在感を感じたのは筆者の文章力なのかも。夫、松生の章ではどんな情念が語られるのかと思ったけど本人は至って淡々と忙しい日々に流されるように生きていて、はたから見れば波乱万丈な人生も本人たちからすると意外と淡々と日々が流れていってるのかもと思わされた。

    0
    投稿日: 2016.03.29
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    行間を読むことに慣れてない自分には、はじめは女性がただただ怖い生き物にしか感じない小説だった。 ただ最後まで読むと印象が一変する。涙が出てきさえする、そんな人間味溢れる一冊だ。 こんなに息が詰まる本は初めて読んだ。ただ、また数年後に読んでみたいと思う本だ。

    0
    投稿日: 2016.02.23
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    島の病院で死んでいきつつある「男ぐるい」の女、艶。彼女とかつて関係をもっていた男たち、ではなく、彼らの妻や恋人たちの視点から、死にゆく女の存在が引き起こす、ほんの微かな波紋を描いているのが、この小説の味噌だ。 艶のために自分の人生を放り出し、自分を見ようとしない女で自分の時間のすべてを埋めつくし、今また彼女のかつての男たちにわざわざ連絡をとって波紋を引き起こそうとしている松生の真意は、本人にとってすらよくわからないし、小説の中で分析めいたものも示唆されない。 かつて艶と関係をもった男たちは、このわけのわからない松生の狂おしさからは、もはや地理的にも心理的にも遠い場所にいるはずなのに、さらに安全な場所にいるはずの語り手の女たちは、彼女たちの男たちの身体から発される微かな波紋を、感受してしまう。そのことが、安全な場所の中にある不穏なものの存在を明らかにしてしまうのだ。 まったく井上荒野らしい、穏やかでありながら不穏な小説だ。 で、行定勲監督はこの映画を撮ったのかしら?

    0
    投稿日: 2015.12.21
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    死の床についている女「艶」 男に奔放な人生を送った彼女と 過去に関わりがあった男たち。 そのまわりの女たち 淡々とした文章とセピア色の光景が かえって人間らしさを醸し出す作品

    0
    投稿日: 2014.05.08
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     単行本が出たときから気になっていた作品。この著者の作品は、雑誌に載ったエッセイくらいしか読んだことがなかった。文庫になっているのを知りつつ、なかなか読めなかったのだが、やっと読了した。  ひとりの女について、複数人の語りというスタイルは、有吉佐和子の『悪女について』等にも見られる型ではあるが、主人公「艶」の最後の夫の視点から描かれた最終章とその前の看取った看護師以外は、「艶」と「関わった男」と関わった女の視点となっているところがこの作品の特徴だと思う。看護師にしても、その関わりは職業上でのことで、ワンクッション置いたかたちである。  それぞれの女たちが「艶」との関わりの中で、内なる「艶」的なものを意識的に無意識的に照らし出している。多視点から投影された像が、「艶」を形づくる。求められることを至上とするのか、自らなりふり構わず求めていくのか、そこには「男」は木材のようにごろりと横たわっていて、それに乗るか、斧を振るうか、背を向けるか、それぞれの女の行動がある。  作中、敢えて「語られていない」部分について思いを巡らせられる作品だ。わかっていても触れない、触れられない、もしくはわからない、わかりたくない、そういう部分が実際の男女間にはある。多くの視点から語られることによって、その「語られていない」事柄が浮き彫りになってくる。  最終章で「艶」の夫の視点で描かれ、ラストの少年とのいきさつが、「語られていない」男女間のわからなさを、少年の科白「何言ってんのか意味わかんね」と投げだすさまで表現されていると感じた。  文庫版での解説は、この作品の映画化にあたった監督なのだが、あくまで男性視点である。映画は見てはいないのだが、いわゆる「恋愛物語」として描かれてしまうことによって、作中での男から女への「わからなさ」がそのまま作品への「わからなさ」になってしまっていて、気が遠くなる思いである。  恋愛だけに留まるものではない、人のもつ「渇き」とそのきりのなさ、異性との解りえない「壁」を描いた作品だと思った。「結論」なんてものはないし、希望の「道」もどこにもない。

    2
    投稿日: 2014.04.20
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    阿部寛主演で映画かも決まっている 「つやのよる」 井上荒野らしさが詰まっている作品だった 性や男性に奔放に生きた「艶」という女性が主人公のようで 主人公ではない。 生活の中に「艶」というひとが投じたその影響を受けた人たちの 視点で起こるさまざまな出来事。 穏やかな生活の中の張りつめた感情、緊張感を書かせると井上荒野はいいよね。 ただ結構淡々とした感じでした。映画はどうなんだろうか。

    0
    投稿日: 2013.11.02
  • 死の間際に何を思うか

    読み終えるのがまどろっこしかったです。 好みではありませんでした。 主人公が今一つ、つかみどころがなくて。

    0
    投稿日: 2013.11.01
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    つやと関係を持った(持たされた)人たちの短編集・・・とも言えるかな。 んー、思ったほどおもしろくなかった。 これはきっと映画の方がおもしろかったんじゃないかな。観てないけど。 周りの人の話より、やっぱりつや本人の独白というか、つや自身で男性の遍歴をつづった方が、素直に興味深いと思った。

    0
    投稿日: 2013.09.22
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    大人の男と女の連作短編小説。 謎めく艶という女性でつながる登場人物たち。 艶の存在が少しずつ色濃くなるにしたがって、面白さが減ってしまったように思う。 が、危ういバランスの男と女の話は、なかなかに楽しい。

    0
    投稿日: 2013.09.12
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    死にゆく女、つや。 彼女に囚われ関わってきた男たちと、関わることになってしまった女たち。 つやの魅力や魔性については本書で語られることは少なく悟るしかないのだと思う。 この本に魅力や面白みを感じることが出来なかった私はまだ読むのが早すぎたのだろうか。 映画化を気に手にとったが読むのは事務的になってしまった。 もう少し年を重ねた時に読み直したらどうなるのかは気になるところ。

    0
    投稿日: 2013.07.20
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    映画は観てないのでなんともいえないが、原作読む限りではそれほどでもないような。 一話短編と思えばよいのかもしれないが、全体としてどういう風に落とし込むのかと最後まで期待してたが、不完全燃焼は否めない。 様々な女の生き方、考え方が出てくるが、それが艶に関連させていくにはちょっと無理があるような気がした。

    0
    投稿日: 2013.06.16
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    行定勲の解説が、解せない。 なぜ、映画化したくなるのか??巨匠には、良書に読み解けるのか。 まったくホレる要素が、どの人物にもないのに恋愛小説として 売られているところに、疑問が残るけど そこが小説のおもしろさ??というふうに、自分を納得させてみる。 「切羽へ」のほうが、数段上。

    0
    投稿日: 2013.06.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    男狂いの女がひとり、死の床についている。 その名は艶。夫・松生はかつて妻子を捨て艶と出奔したのだった。 艶の危篤を、彼女が関係した男達へ告げずにはいられない松生。 だがその報せは、彼らの妻、娘、恋人、愛人たちに予期せぬ波紋を広げてゆく。 平穏な人生に突然割り込んできた女の存在によって、 見知った男が別の顔を見せ始める。 一筋縄ではいかない男女の関係を描く恋愛長編。 大人の話やな・・・ 艶の魅力が良くわからなかったけど でも松生はなぜ、艶の関係した元男達に必死に伝えようとしたんだろう 最後は自分のものだと見せ付けたかったの?? それとも、朽ち果てた最後の姿を見せたかったのか・・・・ 結構、想像に任せる部分が多いので、捉え方は人それぞれかな~ 映画化もされているみたいなので、こういう話は映像として見て 一緒に見た人と感想を語り合うのが楽しいかもしれないなぁ

    0
    投稿日: 2013.05.01
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    容姿が美しく、男性を異常なほど求める艶という名の女。艶の現在の夫である松生は、艶と関係してきた男たちに、艶が死の間際にいることを伝え、それを知った彼らの妻であったり愛人や恋人の心情の動き等を書いた物語。他の人物が回想することで艶という女性の個性を表現しているため艶がどのような女性なのかいろいろ思考させられてしまう。自分の読解力がないからか、経験不足だからなのかしりませんが、一つひとつの話がこれで終わり?というように感じてしまった。しかし話自体はおもしろく、読み進めていくうちにどんどん引きこまれていった。

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    投稿日: 2013.04.30
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    全体的に読むのが辛く捗らなかった。大人も通り越すとこんな風に、諦観したままこっそりと混乱したりするんだろうか。分かるような気がする。 映画になんかしちゃだめな作品だと思う。このままでいいのに。

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    投稿日: 2013.04.11
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    初の井上荒野。 すらすら読めたが、何とも不完全燃焼気分。 男性陣、全員魅力なし。 別な作品に期待!

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    投稿日: 2013.04.08
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    死にゆく艶と関わった人達の話。 暗い。 いろいろあった女とはいえ晩年が辛いな。 自業自得と言ってしまえばそれまでだけど。 井上さんの小説に嘘はないとは思うけど 共感できるかは別だ。

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    投稿日: 2013.03.24
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    死の床についている男ぐるいの女性、艶とそれに関わる女性たちのお話 艶と直に関わるのはもちろん男性ですが、それぞれの男性というフィルターを通して見える艶は女性なら気にしたくないの気にせずにはいられない存在だと思います 艶と関わるどの女性も現実と向き合うことを避けているところがあり、 本能に従って現実を生きている艶に心を揺さぶられるのかな?と思ったり “他人を傷つけるとかこの世から消し去ってしまうとか、そんなひどいことをするにはそれに見合う分量の思いや感情が必要なはずだ” 誰かを傷つける自分では、自分を愛せなくなるから嫌だという自己愛もあるかもしれない 映画化されますが大竹しのぶさんの役、本当にハマリ役だと思います

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    投稿日: 2013.02.12
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    いったい何が伝えたい小説なのか、理解不能。 恋愛小説と書かれていたから手に取ったのだけど、、これははたして恋愛? 結局、艶がどんな恋愛をしたのか、まったく読み取れない。 それぞれの登場人物にしても、なぜその人が選ばれたのか、よく分からず。。 なぜこれが映画化されるのでしょう。。?

    0
    投稿日: 2013.02.03
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    行定勲の解説は、この小説への私が持った思いとは、少し同じで少し違う。 松生の行動が、愛の証明であるとは私には思えない。 登場人物の多くが狂ったように見えるが、それが愛の深さ故とは思えない。 このなんだか歪な行動や言葉や思いは、何と表わしたらいいのかわからないけど、なんだか異様なものだけど、その異様さが、小説らしさであり、この不思議な空気をつくっているのだろうな、と思う。 後半に行くにつれ、なんだか艶の実態がみえてきて、艶よりも、その周りの人々の魅力が、人間らしさがにじみ出てくる感じがする。 すっきり!する小説じゃないけど、小説らしい小説だなと思う。 これ、どんな映画になるん? スペインからオランダへの移動中に読了

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    投稿日: 2013.02.03
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    つやに関わった人のいくつかのお話。 映画化ということで読んでみました。 艶が全然出てこないので、どういう形で繋がっていくのかなぁと思いながら読みましたが、艶目線でのお話は、いつくるのか・・・と思っているうちに終わってしまった。 この不思議な感じが、この本の魅力なんでしょーかね。

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    投稿日: 2013.01.27
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    自分はここまでは行ってない、という安心感、似たような気持ちを抱えながら平凡に生きていることの焦燥感…。またしても荒野を読んでしまうのは、そんなことを味わいたいからかなあ?

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    投稿日: 2013.01.27
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    映画化されるということで読んでみたが、謎に満ちた本だった。 もう少し、複数の話がつながるところがあるとよかったかなぁ。

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    投稿日: 2013.01.27
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    星三つ半くらオ製にいな感じで、いいんだけどすごくはないかも。艶という女性にかかわりのある人たちにおとずれる日常を描くことで、おとことオンナのあいだにある不可解なできごとを浮き彫りにしている。他人にはわからない人への思い、わからない んだろうな誰にもとやはり思わせるお話です。

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    投稿日: 2012.12.10