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「世界金融危機」のカラクリ データで読み解く本当の大問題
「世界金融危機」のカラクリ データで読み解く本当の大問題
吉本佳生/PHP研究所
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総合評価

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  • この本の本質は,副題の「データで読み解く」という部分

    「世界金融危機のカラクリ」というちょっと人目を引くタイトルがついていますが, この本の本質は,副題の「データで読み解く」という部分だと思います. 貿易収支,所得収支など経済データの読み解き方を分かりやすく解説しています. 経済ニュースに関しては「専門家」によって分析結果が異なる場合があるので 漫然と聞いているといったい何が正しいのかよく分からないことがあります. そういう問題に対して,「どういう根拠で,自分はどう考えるか」の思考の ベースを学べると思います.

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    投稿日: 2014.03.26
  • もっと勉強すべきことが分かりました

    私は経済を専門とするものではありませんが、興味があって拝読しました。著者が述べておられた通り国際金融の概念は少々複雑で、ニュースの記事などで記載されていることが良く理解できませんでしたが、本書を通じて基本的なところを知ることができました。この分野のことを知ることで役に立つことが多いと思うことができたので、もう少し深く勉強してみようという気持ちになりました。

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    投稿日: 2013.12.14
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    世界金融危機のからくり アメリカ、英国、フランスの対外純資産マイナスだが、それを不安視されていない。 →理由は、対外純資産のマイナスが金利負担に繋がっていない。 →借金による金利負担が大きい時に、追加借金が出来ず危機に陥るのであり、これらの国には当てはまらない。 日本の所得収支の黒字は、対外資産から得られる金利等が、対外負債に支払う金利等のほうが大きい、ということ。 →日本の場合、対外純資産のプラスが所得収支の要因。 →アメリカは対外純資産マイナスだが、日本以上の所得収支のプラス。(フランスも同じ構造) →理由は「受取の利回り>支払いの利回り」 →投資には国債などの「証券投資」や、現地に工場を建てる等の「直接投資」などがある。  「証券投資」であれば、誰が投資しても利回りはそれほど変わらないが、  「直接投資」であれば、投資する人によって利回りが大きく異る。 →アメリカは海外から集めたお金を、高収益率の直接投資で運用することで、  対外純資産マイナスの、所得収支大幅プラスを達成している。 名目金利だけではなく、インフレ率も見るのが重要。  実質金利=名目金利-インフレ率 実質為替レートとはインフレ率を考慮した為替レート。 これをユーロ圏で考えると、、、 ユーロ圏は当然ながら名目レートは各国で同じになっている。 →しかし、各国でインフレ率や労働コストは異なっている。 →例えば、ギリシャの物価や労働コストが相対的に上り、ドイツは下がり →結果、ギリシャの実質為替レートは上り、則ち通貨高となっている。 →一方のドイツは通貨安となり、これが経済が強い要因の一つ。 ※ユーロ各国(ドイツ以外の国)がドイツの給料を上げろ!  といっているのは、こういう理由から。 日本の輸出メーカーが「円高で困る」と言っているのは、米ドルだけではなくウォンや人民元、台湾ドル、バーツなどのアジア諸国の通貨。 →実質為替レートを見ると、昨年までも米ドルに対してはそれ程の円高ではなかった。 →しかし、上記アジア通貨は円以上の通貨安状態だったため、それが厳しかった。らしい。 国際収支統計の分類 経常収支=貿易・サービス収支+所得収支  ※所得収支とは日本人・日本企業が海外で稼いだ所得   雇用者報酬、直接投資収益・証券投資収益(金利・配当)などに分類。  ※貿易・サービスは最近赤字にでも所得収支はそれ以上に黒字なので、経常収支は黒字 資本収支=投資収支+その他資本収支  ※投資収支は金融取引による資本の流出・流入   直接投資・証券投資(元本)などに分類  ※資本収支はずっと赤字だったが2011年は黒字化   ⇒米ドル買介入が要因のひとつ

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    投稿日: 2013.05.18
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    ■世界金融 A.借金大国の中でも、アメリカ・イギリス・フランスの対外的な借金があまり心配されないのには、共通の理由がある。 3カ国とも、対外純資産残高のマイナスが金利負担につながってい。 海外に支払う金利や配当より、海外から受け取る金利や配当のほうが多い。 B.ストックの借金残高だけをみて論じると、まちがったイメージをもってしまいやすく、複眼思考で、フローの金利の受取・支払もあわせてみるべきです。 C.貸借をみれば、日本は世界一の対外純資産高を誇っている。 D.世界の経営収支を全て足せば、ゼロになる。だか大国は自国の収支だけをみてはいけない。

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    投稿日: 2012.12.09
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    アメリカ・イギリス・フランスは借金大国であるにもかかわらず、国全体としては、対外純資産残高のマイナスが金利負担につながっていません。むしろ、海外から金利や配当などを稼ぐ構造になっています。 世界一借金漬けのアメリカが、世界一の金貸しの日本より、金利などをたくさん稼いでいるのです。 アメリカ国債が基軸通貨の役割の一部を担っている アメリカという国は、政府が国債で海外から資金を集め、民間企業がそれを対外直接投資に回している 対外直接投資、イギリス、フランス、ドイツの残高も大きく、GDP比をみると、イギリス・フランスの対外・対内直接投資の残高は、アメリカを上回ります。 直接投資によって高い利益率で海外ビジネスができるからこそ、アメリカは所得収支の黒字を維持・拡大できたのです。 世界一を誇る対外純資産をうまく活用できていないと指摘してきた人たちが、たいてい証券投資を中心に考えていたことに問題がありました。もっと直接投資に注目することが大切です。 経常収支赤字の対策としておこなえるもの 1、国内景気を悪化させて、輸入を減らし、国内企業に輸出努力させる方向でのマクロ経済政策が求められます。緊縮的な経済政策。 2、為替レートによる調整。自国通貨を安くして、輸出を伸びやすくし、輸入が抑制されやすくします。 3、経常収支赤字を放置する、通貨危機、最後は海外からお金を借りる 政府が借金を返すための原資は、銀行に預けられている預金などではなく、国民の将来の経済活動が生み出す価値です。国内の銀行から預金は流出してもかまわないけど、国内から人が流出するのは困る、と考えるべきでしょう。 ユーロ圏内での独ユーロの大幅な通貨安が、ユーロ圏内の国々の経常収支不均衡を拡大してきたのです。これがPIIGSが対外的な借金残高を膨張させた根本的原因のひとつです。 貿易収支黒字が増やすのは、自国の労働者の仕事です。他方、所得収支黒字が増やすのは、外国の労働者の仕事です。 長期的にみれば、2011年に赤字化した日本の貿易収支を、無理に黒字に戻そうとするべきではないのです。経常収支の赤字化が心配なら、日本経済の長期的な理想像としては、貿易収支ではなく、所得収支で黒字を稼ぐ姿をめざすべきです。 対外債権国でいまは経常収支黒字の国が、貿易・サービス収支を赤字にして、かつ、経常収支を赤字にしてこそ、世界の対外債務国が全体として、対外債務を減らすことができるからです。日本ドイツに求められること。

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    投稿日: 2012.12.01