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勝手にふるえてろ
勝手にふるえてろ
綿矢りさ/文藝春秋
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総合評価

500件)
3.5
57
149
181
45
6
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    綿矢さんの本は蹴りたい背中に次いで2冊目。 相変わらず文章も感性も独特すぎて共感はできなかったが、これはこれで面白い。 同時収録されている短編「仲良くしようか」は完全に理解の範疇を超えていたので誰か解説してください…。 ✏相手の体臭が好きになれるかなれないかは遺伝子レベルの相性の問題で、遺伝子が近いほど、例えば家族などの臭いは嫌になり、遺伝子が遠いほど臭いは好きになる。 ✏自分と遺伝子がかけ離れた相手との方が丈夫な子どもが生まれる。 ✏好きになった人と結婚したいと思い詰めるあまり、どんどん年を取って生殖の機会を逃そうとしている。生殖促進効果のはずの恋が、逆に子孫繁栄を阻害している。 ✏思い浮かべる人がいないのは孤独だ。 ✏自分の愛ではなく他人の愛を信じるのは、自分への裏切りではなく、挑戦だ。 さあ私は、愛してもいない人を愛することができるのか?ううん違う、私は今までとは違う愛のかたちを受け止めることができるのか?

    6
    投稿日: 2023.02.26
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    やっぱり綿矢りささんのキレのあるワードセンスが好きだな〜。タイトルも秀逸。 めんどくさいこじらせ系女子の脳内を覗き見している感じで飽きずに楽しめた。 〈audible〉

    2
    投稿日: 2023.02.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    オーディブルにて。 耳で聴いてるのもあって途中途中で何度か頭の中混乱したりしましたが、面白かったです。 脳内妄想( ? )をよくしている、拗らせているOLの恋愛話でした。 ここまで拗らせてるとは思いたくないけれど、共感してしまうところもあって…憧れの人って自分の中では神様みたいにキラキラしてるんですよね。 何度か「あぁぁぁぁあ…」と頭を抱えたくなりました。 この先ずっと一緒にいるのなら追いかけてくれる二の方がいいのでは…と思いつつ、私もきっとイチを追いかけてしまう気がします。追いかけられたら逃げたくなるので。笑

    2
    投稿日: 2023.02.06
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    綿矢りささんの文章って独特。 文字びっしり、みたいな。 ヨシカの妄想が炸裂しまくってて面白かった。でもこんな人か身近にいたら怖いな。 会社をずる休みするために妊娠したから産休取ろうっていう発想がぶっ飛んでて笑った。 タイトルの『勝手にふるえてろ』はヨシカがイチに対して言うセリフだけど、インパクトは薄かった。 自分的にはリアリティのない小説として楽しめました。

    2
    投稿日: 2023.01.16
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    表紙の可愛さとパンチのある題名のギャップに惹かれて♪ 不器用で複雑な乙女心が繊細に描かれていた。 恋愛と結婚の違い。愛するより愛されるほうが幸せなのか。 そんな答えのでない永遠の問い。悩みすぎて時に暴走してしまうが、それは真剣に向き合った証でもある。 自分の想いを伝えること。相手の想いを受けとめること。決して簡単なことではないけれど、どちらも大切だよね。 主人公が相手と本音でぶつかりあえた時に初めて少し大人になれたような気がした。

    27
    投稿日: 2023.01.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    いわゆる"非リア"主人公。妄想彼氏(中学時代の初恋)に区切りをつけて、愛してくれる人と向き合うことに。オタク気質だからか?斜に構えるような考え方や行動があまりしっくりこないまま読み終わってしまった。 「好きな人には正直でいたいという気持ちも、ただの欲望の一つ」「でもいくら好きだからって、そのまま受け入れるなんて無理だ。相手に全部受け入れてほしいなんて、乱暴だ。うまくやっていくには、二人とも相手に合わせて少しずつ変わっていかないと」 「自分の愛ではなく他人の愛を信じるのは、自分への裏切りではなく挑戦だ」 愛を受け止める、というのはただ受け身でいるのではなく、覚悟をもった選択。それも一つの強さなのだろうなと感じた。

    1
    投稿日: 2023.01.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    悲しい。 自分は霧島くんと認識できないまま結婚してしまうと思うし、そういう人は多いと思う。 過去好きだった人や絶対に手が届かない人に恋をしたまま今後も現実を諦めていく人が多い中で、この主人公は過去の恋にある意味ピリオドを打てたのが羨ましい。

    2
    投稿日: 2023.01.03
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    感想 突きつけられた現実。理想を追っているつもり。それでもいつのまにか現実は邪魔をする。思い通りいかなくてもいいや。なんて言いたくもないのに。

    1
    投稿日: 2022.12.18
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    恋愛小説?違うよな。昔の片思いの彼のことを妄想ぽく思い続けている主人公。現実につき合っている男とどう折り合いをつけていく?うーん、身もふたもないなあ。とにかく大人しい若い女性の心理を細かく述べるのが主眼?分からんなあ。解説の辛酸なめ子さんは、「主人公のヨシカがニ彼のことを好きになったらダメ」と言う。ニ彼は手に入れたものには関心がなくなってしまうから。脳内二股を続けたほうがいいとか。うわあ。

    82
    投稿日: 2022.11.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    高校時代に読んだ本を再読。 映画も最近鑑賞した。 ここで映画の感想を述べるのは野暮かもしれないが、松岡茉優さんの演技は見ものなので、原作が好きな方、松岡茉優さんが好きな方はぜひ。 綿矢りささんの本は、恋愛ものでありながらも、キュンキュンと言うよりか、昔の、若かりしイターイ恋愛を思い出して、思わず目を背けてしまいたくなるようなお話が多い。 勝手にふるえてろ、もその類で、中学時代に好きだった人との思い出(ほぼ会話していないため、思い出という思い出もないが。)を脳内で神格化し、現実逃避にも思える26歳交際経験なしの女性が主人公。主人公の特徴を書いただけでも、綿矢りさワールドといったところか。 (ちなみに映画版の方はもっと妄想が過激で、以降映画のネタバレにもなるが、序盤ではバスの乗客や道端で釣りをする人らと楽しそうに話していたが、実は全部妄想で、誰とも会話していない…なんて終盤でオドロキを得た) 美しい思い出の中に生きるイチより、好きでもない欠点ばかりが目に付くニを、私は選ぶことができるだろうか。 恋愛の難しさというか、どう気持ちを乗り越えて行けるか…ひねくれているようでとてもまっすぐな主人公を俯瞰して応援してみている気分だった。 やっぱり綿矢りささんの本が好きー!!

    0
    投稿日: 2022.11.05
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    綿矢りささんは若くして芥川賞を受賞してその後の作家人生については悩み苦しんでいた時期があるとインタビュー記事にあった。インタビューが全てとら思わないけどもちろん苦しみはあっただろう。本作のような女性心理を描くことに長けていることに気づくと一気に魅力を増したように思える。彼女の新たなスタート時期に描かれた作品で感慨深い。

    2
    投稿日: 2022.10.20
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    なんでだろうか、もっと早くに出会っていたはずなのにもしそのときに出会っていたならきっと私は惹かれなかった あらゆる生存と愛情の共生に、受け入れられない筈のものをめちゃくちゃ味わってしまっている 何時間もかけて潜る文字の海で、出会いたかったのはたった数行、なんて、そのために文字を追っている、最高な経験だ。 もっと、もっと潜ろう

    2
    投稿日: 2022.10.19
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    イチ、ニ、2人の男性の間で揺れ動く主人公の残酷なほどリアルで時たま衝動的な言動に引き込まれる作品。軽いタッチで描かれているような部分も多いけれど、ガツンと響くような的確すぎる表現ややり取りが挟まれていたのが印象深くて面白かった。

    1
    投稿日: 2022.10.16
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    題名である「勝手にふるえてろ」が書籍の中に出てきた時嬉しかった。彼が名前を覚えていないところが、ヨシカの幻想の恋にすぎなかったことが分かり辛かった。

    1
    投稿日: 2022.09.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    仲良くしようかを読んで勝手にふるえてろの感想が全部飛んでいってしまった。 この作品に対しての感想みたいなのは出てこないけれど 映像にしてほしいと思った。 部屋に押し寄せる波から始まり海の底から出てきた門の中で放たれた犬に身体中を食べ尽くされる。 中華屋で目があった男との間にその先起こりうる5年を2秒で見て、見るだけにした 全てが流れるように頭の中で映像化されてく感覚が不思議だったので 作者の思うように映像にしたものを見てみたいと思った。

    0
    投稿日: 2022.09.02
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    綿矢りさの本はテンポが良くて読みやすいと思って手に取ってみた。 勝手にふるえてろ、は蹴りたい背中と少し似た雰囲気。 もう一つ入っていた話、仲良くしようか、は全く読み進められなかった。ストーリーがよく分からなかった。

    0
    投稿日: 2022.08.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    中学生の時の片思いの彼「イチ」か、今職場で思いを寄せられている「ニ」か。イチを絶対的な王子として描くヨシカの視点から見て、ニは勝手で思いやりがなくて気が利かないし話聞いてくれないし全然よく見えないけれど、最終的にはイチには脳内で「勝手にふるえてろ」と切り捨て、ニをとるヨシカ。恋愛ってそういうものだろうか。もの静かで気が合うイチに惹かれる気持ちは分かるが、最終的になぜニをとったのか分からない。イチが完全に脈なしで、自分の中で作り上げたイチの幻に恋していただけだったからか。自分の愛ではなくて相手の愛を信じてみる、相手の純情を優先してみる、っていうのは、自分を大切にすることになるのだろうか。オタクで26年彼氏がいたことがなくて、処女がコンプレックスで思い込みが激しくて空回りしてしまうヨシカに共感するところがなくもない。結局自分の視点でしかものが見られてないので、イチには名前さえ覚えられていなかったりする。仕事が嫌なんだけれど、もう辞めることになるかも、と思うとそこがかけがえのない居場所だったと思えてしまうところとかも共感する。

    1
    投稿日: 2022.08.03
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    めちゃめちゃ好き 数年前に映画を見たんだけど内容はあまり覚えていなかった、その時の感想を見てみたら☆5をつけて絶賛していた。 ヨシカの頭の中をのぞいている感じとても楽しい さらっと読めるから何度も読みたいな 『仲良くしましょう』はちょっと疲れた

    1
    投稿日: 2022.07.27
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    イチを一途に思う自分が好きだけど 埋まらない距離を実感した時、突然ニに会いたくなるの、なんかわかるなあ 愛し愛されること、どっちも望むのは贅沢なのかな、

    3
    投稿日: 2022.06.22
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    イチとニ、2人の男性の間で揺れ動く妄想女子のヨシカ。 イチを見る目やイチと再会するための企みが、ストーカー気質でちょっと痛々しい女子。 どんな行動をしでかすのかハラハラしながら読んだ。 「相手の名前を呼ぶ」って恋愛や人間関係において大切なことなんだなぁ。

    6
    投稿日: 2022.06.13
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    「五感の膜が一枚はがれたように、いつも見ている電線越しの青空が急にみずみずしく見え、家の近くのケーキ屋さんから流れてくるバターの溶けた甘いスポンジ生地の香りが鼻をくすぐった。」p116 「おかげで人からほめられることもありますが、それは擬態で、生きる術で、猿まねです。そんなものを後から身に付けなくてはならなかった時点で、私はとぼしい。」p207

    3
    投稿日: 2022.06.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    中学生の頃の恋愛を拗らせたまま大人になった女の子の話。 心の声がリアルで生々しくて、読んでいて面白かった。 もう過去のことなのに(過去のことだからこそ?)美化してしまって、現実から逃れようとするビミョーに子供なところとかわがままなところに共感。 だけど、私はもっと子供だからこの恋愛を諦めないし、もっとわがままだから、典型的な男らしい“二”とは絶対に付き合わない。!!! P 15 彼は自由だ、毎日毎時間毎秒自由だ。縛りきれない、私は彼の自由を愛せない。

    3
    投稿日: 2022.06.01
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    脳内二股をしてるこじらせ26歳OLの話。 独特の文章と表現で好みは分かれるかもだけど、共感できることが多々あって面白かった。女性はあるあるが多い作品だと思う。 辛酸なめ子さんの解説が端的にまとまっているうえにクスッと笑える。

    4
    投稿日: 2022.05.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    少し前占い師の人に言われた あなたの彼氏はあなたを失ってから、あなたの大切さに気づくよって 気づくのおせーよ!ふるえてろ! 二はヨシカが振り向いた瞬間離れてく気がする イチはそもそもこっちを向いてくれない

    2
    投稿日: 2022.05.27
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    「処女とは私にとって、新品だった傘についたまま、手垢がついてぼろぼろに破れかけてきたのにまだついてる持ち手のビニールの覆いみたいなもの」 比喩表現がいちいち的確だなと思った。昔これを読んだ40代後半くらいの大学の先生が「何が言いたいのかさっぱりわからなかった」とぼやいていたけれど、読んでみてなるほどこれは中年男性向けではないと思った。更に言えば男性向けではないと思う。 26歳こじらせ女子ヨシカの痛さに共感できるのは、同世代もしくはそれより少し下くらいの同じ境遇の人間だと思う。ヨシカの葛藤には共感しつつ、どうにもスッキリこなかったのはそれだけ年齢を重ねてしまったからかななどと思った。

    5
    投稿日: 2022.05.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ヨシカの中二病感が最後までダラダラと続くのかなと思いきや、意外としっかりした恋愛ものだった。 ヨシカが中学の時から一途に大好きなイチと同じ会社の営業部で働く、話などは全く合わないけどヨシカのことを好きなニ。 自分が好きな人(イチ)を選ぶか、自分を好きな人(ニ)を選ぶか。思ったより面白かった。 短編の「仲良くしようか」は癖が強すぎてよく分からなかった笑

    3
    投稿日: 2022.04.29
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    解説が面白かった。 小学生の頃、好きだった男の子にサッカーボール型のチョコをプレゼントして、お返しに童貞ください。って話。笑った。 本編は、改めて映画すごいなってなった。原作まんまだ。 26歳のヨシカは乙女心を未だに失わず、イチとニで脳内三角関係を作り出す。自分よがりな恋愛で痛々しい。ラストの大人になってしまうヨシカはもっと痛々しい。 もう一個の短編はさっぱりわからなかった。

    2
    投稿日: 2022.04.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自分に好きな人がいる時に好かれても興味が持てない気持ち、とても共感しながら読みました。 それでも最後に彼女は「ニ」を選ぶことに決め、現実と向き合おうと思えたわけで。理想ばかりを追い求めるのは難しいのだなと考えさせられました。

    3
    投稿日: 2022.04.17
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    この小説で綿矢りさを知った。うん、文体というか表現というか、書き方というか この人すげえなって思いながら読んだ気がする。

    1
    投稿日: 2022.04.14
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    audibleにて拝聴。 「勝手にふるえてろ」の映画を先日観たので、原作を読んでみたくなって拝聴。 結果、あの映画凄くいい実写化だったんだなぁ…としみじみ…原作の内容をしっかりふまえた上で、さらに主人公の事を「ああ、こういう子居そう」という実体感を更に盛り上げていた。 映画だと「二」に対する考えがあまり分からなかったけど、原作を読んでこういうこと考えてたんだ…とか、結構「一」に対してはあっさりと引き下がってたんだなぁ…とか、印象の違いがあったりして面白かった。 映画と同じく、最後の最後で「二」の本名が主人公の口から出た時に、何かぐっっっっと込み上げるものがあった…これから目の前の相手にきちんと向き合って行くんだろうなぁ… また、「仲良くしようか」という短編があるとはしらず、流れでそのまま聴いていたためビックリした… ナレーターさんも同じ人だけど、何か違う…鬱々とした空気が言葉から漂ってきた。

    1
    投稿日: 2022.04.05
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    綿矢さんの本は初めて読んだけど、心の内に秘めている言葉の具現化が非常に秀逸。表現の仕方が独特というか、何か生々しいというか、言葉では表せない魅力がある。 女性の内面のエグイ部分の描写は僕だけでなく、他の男性読者もヒヤヒヤさせられたはず。内心ではこう思ってるのか、と自分の普段の女性に対する接し方を考えさせられるほどに。 イチとニの対比が落差があってまた面白い。紆余曲折を経て、理想と現実を彷徨って結局そっちを選ぶのかという部分もあったけど、ヨシカが今後どういう心境で人生を歩んでいくかが気になって仕方がない。

    1
    投稿日: 2022.04.03
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    何をしてもかっこいいし大好きだけど、自分のことなんか眼中にないイチと、何をされてもダサくてキモいけど自分のことが好きなニ。その描写の対比が本当にひどすぎて面白い笑 言葉選びが秀逸で、読んでるこっちまでイチはかっこよくていいにおいがして、二はなんかダサくて臭そうと思ってしまう。 主人公がストーカーじみてて完全には共感できないが、理想と現実のギャップには誰もが心当たりあると思う。 物語の面白さもあるが、それよりも頭の中で考えていることをそのまま文章にしたような文章が素晴らしい。 あと他の人の音姫に便乗するのはめっちゃわかる笑

    1
    投稿日: 2022.03.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    映画見てから読んだ。 わたしをくいとめてもそうやけど 綿矢りささんの本、この年代のこういう女の子 ほんまに上手に助けてくれる。 おもしろかった!! 映画は映画でおもしろかったし 小説は小説で面白かった! イチなんてとっとと思い出の中の人に召喚して もっともっと召喚して 二に進んだヨシカの選択を正解にしてくれ!

    1
    投稿日: 2022.03.05
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    中学時代の初恋の相手、"イチ"。 社会人になってから同じ会社でヨシカに猛アタックしてくる、"二"。 自分だったらイチへの恋が終わったとしても、二にはいかないなあと思った。 単純に彼の性格にあまり魅力を感じなかった(笑) 初めて綿矢りささんの作品を読んだが、要所要所に出てくる例えが面白かった。 〜〜、で、その鳩は誰が面倒みるの?とか(笑) 続けて別の収録作「仲良くしようか」を読み進めて、「????」となった。 てっきり前ページの続きの話だと思い込んでいたので、よくわからないままパラパラ飛ばしてモヤモヤが残る読書になってしまった。

    2
    投稿日: 2022.02.28
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    恋愛に不器用な主人公の葛藤と妄想に、心が 掴まれてしまいました。特に女性の方には共感 する部分が多くあると思います。タイプの違う 二人に心が惹かれてしまった主人公。行けそうで、 行けない。そんな心模様に『勝手にふるえてろ』と 己を鼓舞する姿にヤられました。映画化されているので、映画もチェックしたいです。

    19
    投稿日: 2022.02.25
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    綿矢さんの本を初めて読んだが、エネルギー溢れる感じが伝わってきて最初から最後まで楽しく読めた。映画も見てみたい。

    1
    投稿日: 2022.02.20
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    Amazonオーディブルが聴き放題になってついつい小説にはまった。 2人の彼氏候補とどう向き合っていくか心の動きが、綿矢さん独特の心理描写でとても共感しながら最後まで一気に聞いてしまった。 小説はやっぱり面白いなぁ!

    1
    投稿日: 2022.02.13
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    すごく私的なコメントではあるが、自分に初めて恋人ができたこのタイミングに読んでよかった より作品に没入できた気がする 2022.02.07

    1
    投稿日: 2022.02.07
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    比喩が独特ながら大共感の嵐で、読めば読むほど世界観にハマった。好きだなと思う一文が多すぎる。行動力のあるヨシカにハラハラしちゃう。

    3
    投稿日: 2022.02.01
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    文庫化の際に購入。単行本を図書館で借りて読む。買ったことを忘れて2冊買ってたので備忘録がわりに登録。

    0
    投稿日: 2022.01.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    痺れるほど痛かった。最高な拗らせ女子。 イチと絶滅危惧種の話をしてるところ どうしようもない気持ちになって 泣きそうになってしまったよ。 二はずっといいやつでさ、ヨシカは欲張りすぎだ。 頭の中で見えない恋してるんだよね。 全部が特別に見えて感じるよね。 私も、二みたいな人と出逢えたらな。 うーん、ちょっとウザいか…?笑 

    3
    投稿日: 2022.01.10
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    綿矢りささんの比喩が好きです。 勝手にふるえてろ。 ふるえる、ふるえろ、ふるえてろ。 命令形が好きなのはいつからだろう。 ああ、きっとあの曲を聴いた日からだ。 楽しかった記憶、後悔していること、 あああ、また思い出してしまった。 あ、でも今なら悔しくなんてないと思える。 確か2年前にこの映画を観た。その気持ちを引っ張り出してみる。 喫茶店でゆっくりしすぎてぎりぎりに映画館に着いたこと、タモリ倶楽部のネタ、ミュージカル調の映像。 あ、思い出した。

    1
    投稿日: 2022.01.06
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    自分を見ているようでしんどくて愉快だった。 自分だけで考えて被害妄想が膨らんでいく。 イチじゃなくて二を選ぶことが大人になるってことなんだって思った。 二を選ぶことが女の幸せ。幻想を捨てろって言われてるみたい。それなら私はまだ大人になれそうにない。

    1
    投稿日: 2021.12.29
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    空想しがちで、アニメ好きな26歳、処女のヨシカ。 簡単に嘘をつけちゃう、失ってから大切なものに気づくとか、自分に戒めないとなって思った!笑 ラストは被害妄想して、妊娠したって嘘ついて会社休むんだけど、それをニに明かして、そしたらニが俺との子供つくろーぜってどんな展開。笑 くるみちゃんとのすれ違いは、 くるみちゃんは良いように取り持ってくれてるだけじゃないかなぁって思った。 好きになるのと好かれるのとじゃ、気持ちが全然違うのはすごく共感したなぁ。 自分の直感が大切なように、相手の直感を大切にするのも大切っていうのは、良い考え方だなぁって思った。

    2
    投稿日: 2021.12.28
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    現実逃避のための妄想だったはずなのに、だんだん目的と手段が入れ替わってこんがらがってしまう。良香の気持ちわかる気がした。だって現実を直視したって辛いだけだもんね。 巻末に収録されてる『仲良くしようか』は私小説なのかな。綿矢りさって言葉が溢れて止まらない人なんだろうな。零れ落ちるように連なる言葉が気持ちいい。

    1
    投稿日: 2021.12.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    久々の綿矢りさ なんだろう、ヨシカにイライラすらするのは 振り回してることに無自覚だから? 年齢にしては青いから? イライラしながらも最後まで読んでしまったのは イライラさせるくらい色んな意味で感情移入してしまったからなんだとおもう きっとニ彼とは別れることになって またうだうだ言うんだろうなっておもうけど やっぱりそれもヨシカの魅力なんだろうな イライラするけど。笑

    1
    投稿日: 2021.11.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    イチを愛する私は外面はともかく、精神的に現実の世界にはいない。過去のイチを想うだけだ。 二は私に好意を持っている現実の男性。当たり障りのない会話を交わすが、好きではないので、心の中での評価は辛らつだ。 イチへの片思いが溶けてしまったとき、私は自分の殻を脱ぎ捨てたのだろうか。非常識な行動をとるが、それが二への気持ちの持ち方に変化をもたらす。 ラストで形式でしかなかった二の名前が出てきて、私は現実の世界に生きる道を見出す。

    0
    投稿日: 2021.11.11
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    一途に初恋の人を想う自分がアイデンティティ ものすごく身に覚えがあるから 恥ずかしくて切なくて 不思議と行動力があるヨシカに ハラハラしてドキドキして 一緒にいてくれる人に抵抗してしまう感じ それもまたよくわかる 天邪鬼な自分が止められない 痛々しいけど軽く読める感じの一冊だった これは映画も面白そう

    1
    投稿日: 2021.11.08
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    映画が好きで、それをきっかけに原作を読みました。 痛いよ、ヨシカ、、、。 って思うけど、やっぱり映画の方が妄想と現実の境がわかりやすく、ストーリーも追いやすかった。 もう1つの収録作の「仲良くしようか」もだけど、 綿谷りさって、こんな文章書く人でしたっけ⁇ ちょっとわたしには読みづらかった、、、。 辛酸なめこの解説は、ステレオタイプで物見てない? って思ってしまったけど、 自分の過去エピソードとかがおもしろかった。

    0
    投稿日: 2021.11.03
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    自分が思ってるほど、他人なんてどうとも思ってない。って事を頭の片隅に入れてないと常にてっぺんから人を見下すようになって…周囲に気付かれようが気付かれまいが、自分自身が不幸になってしまうんだな。 ヨシカはイチの一言がきっかけで、ニに救われてそんな独りよがりな世界から抜け出せた。 ニはいい奴だ。 ヨシカのような考え方は結構ありがちではないかと思う。私も気をつけてよう。

    10
    投稿日: 2021.11.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    どうしてなのイチ、懐かしい仲間たちに、とくに私に、今日の一回しか会えなくても平気なの。 さてはこの会をあんまり楽しんでないわね、どこかさめているのね、でもそういうところも好きだわ、イチ。 怯えがセクシーなままのイチ。 ぬれた黒目がちの瞳。 恋をしたときの感情を、大好きだったイチにはあげることができない、他人の想いを受け止めることは妥協ではなく挑戦だ。 この物語はイチ、ニではない、一宮くんと霧島くんとの出会いによってヨシカが五感の膜をもう一枚破る最初の一日までのプロローグだと思った。

    1
    投稿日: 2021.10.31
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    妄想こじらせ女子の話。 わかる。わかるぞヨシカ。 自分の中で対象がどんどん成長していって、もはや現実世界での対象をとらえられていない感じ。 で、挙げ句の果てに「ごめん。なんていう名前だったか思い出せなくて」とくる。 そんなもんさ、妄想ばっかりしてると。 私も大学の時に、2年間一緒にいた文化祭実行委員会の先輩に、先輩が引退する時に告白したら「そんな風に思ってるなんて一ミリも知らんかった」だってよ。 そういや、デートらしいデートなんか一回もしたことなかったすわ。 その笑顔と一緒に色んなことを語りかけてくれてたのは、私の頭ん中だけでしたわ。 全部、妄想でしたわ。 わかるぞヨシカ。

    1
    投稿日: 2021.10.21
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    妄想と純情は紙一重。メンヘラと悪女もきっと紙一重。途中までは気持ちはわかるが、最後は全く共感できず、なんとゆうか、過剰防衛の子供の自意識が突飛な行動をしたとしか思えず。大人とは。社会人とは。私も歳をとったのね。

    2
    投稿日: 2021.10.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    たいがい初恋やとっても好きになった相手のことは美化したまま記憶にとどまっているけど ヨシカのはそれの最高潮という感じ。 頭の声や妄想がとにかく面白いし、人間味あっていい。 結局相手にとったらなんてことない理由でした行動が自分にとっては何年もずっと綺麗なまま残ってしまうのは良いことなのか悪いことなのか。 そして相手のこともすごく美化するし、相手が世界で1番モテてると勘違いもしやすい。 だからそこの沼から出られない。 最終的には名前さえ忘れられてた存在で まぁ現実はこんなもんだなぁと。 一が頭からいなくなり突然ニが繰り上げてくるのも 分かる気もするし。ヨシカ不思議ちゃんすぎと思いつつも実はめっちゃ身近な感じかな、誰しもこういうことあったんじゃない?って読み終わった後になった。 すごく面白かったけど、第二章の仲良くしようかが全然理解できなくて、残念だった。

    3
    投稿日: 2021.09.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    簡単にいうと、夢見る少女のお話です(簡単に言い過ぎました)。 この方の作品を読むのは初めてだったのですが、主人公の価値観や思想、言動が面白く、どこか惹かれるところがありました。他の作品も読んでみたいです。

    1
    投稿日: 2021.09.16
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    人間臭い、リアリティのある文章だった。 共感するところもいっぱいあった。だけど、主人公が孤独に負けてニとまた関わり合おうとするのを見て、なんか可哀想だなとも感じた。 だからこそ人間臭い、リアリティのある話だと感じたんだろうな。 「仲良くしようか」という別の話も収録されていたんだけど、マジで話の内容が理解できなかった。途中で読むのをやめてしまった。

    2
    投稿日: 2021.09.07
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    なんかすごい文学的?とういう感じ 主人公のヨシカがすごい厨二病で恥ずかしい気持ちになるけど、おもしろい 中学の時からほぼ会話もしたことない憧れのイチと自分のことを好いてくれてる同じ職場の二で揺れ動く話 最後は嘘で産休申請を出したやばいヨシカを受け入れてくれてホッとした

    2
    投稿日: 2021.09.02
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    主人公がいい人過ぎず、人間臭いところがあって感情移入しやすくおもしろかった。でも最後の章(仲良くしようか)はイマイチなにが言いたいのかよくわからなかった。モヤモヤなまま終わった。

    3
    投稿日: 2021.08.27
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    宅飲みで働こうと思っても動けない。でも人が水をつけずにしゃもじを使うことを皮肉的にみる。要領の良い子が仕事を取っていくと陰湿な視線が秀逸。 ラスト後半の描写はよくわからなかった。

    4
    投稿日: 2021.08.18
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    綿矢りささんの作品は思考の描写が自分と重なり易くてスイスイ読める。 思い出を1回取り出したら風化しちゃうとか、二との恋愛のこととか

    3
    投稿日: 2021.08.16
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    好きなんだよなぁ綿矢りさの書く陰キャ女子。 イチはヨシカの中で美しくなりすぎてしまっていて、完璧で誰も入り込めなくて前に進めない。 女子のうじうじを描くのがうますぎる。

    3
    投稿日: 2021.08.13
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    初恋を拗らせちゃったヨシカ。 痛いけど、可愛らしい。 映画も最高で松岡茉優ちゃん演じるヨシカ、 まさにイメージ通りです。 「仲良くしようか」は途中で脱落。

    2
    投稿日: 2021.08.09
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    2021.08.05 再読。 二作続けて痛かった… 1番好きな人とは結婚できないって言われるまさにそれ? ライトな喋り口調で書かれてるから読みやすいです。 ただ、結構ぶっ飛んだこともして共感できない箇所は 読むのが辛かった……!! "自分の人生をじっくり見直す休暇"欲しすぎるな 2つ目の話は、怒涛の語りかけが止まらなくって息苦しかった、、、こういうのは苦手なんだと再認識。

    1
    投稿日: 2021.08.05
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    『勝手にふるえてろ』と『仲良くしようか』の2作が収録されている。 『勝手にふるえてろ』は主人公とちょうど同じ年齢だからとても共感してしまった。ただ好きな人、もしくは好いてくれている人と一緒になるばいいわけじゃない。色んな事を考えて付き合わないといけないな。 ニみたいな男もいるよな〜。 『仲良くしようか』は正直最後まで内容がよく分からなかった。 あまり印象に残らなかった。

    1
    投稿日: 2021.08.03
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    いるいる、こんな男。主人公の気持ちもわかる〜、26歳までくると、結婚に仕事、相手の相性、将来性とか現実的なことと好きな人と一緒になりたいっていう理想的なことがぶつかってぐるぐるしちゃうんだよね〜かといって、恋の火加減は自分でつけたり消したり調節不可能で、恋愛ってめんどくさい。

    2
    投稿日: 2021.08.02
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    一気に読めた。 主人公のヨシカの考えや、感じることが、「イタイなぁ〜」と思いながらも、痛いくらいに分かってしまう自分もいる。 最後の数行、ニに人間としての輪郭が現れる瞬間は、さぁっと心が晴れるような気持ちになった。

    2
    投稿日: 2021.07.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ヨシカの心情の揺れがずるいけど分かってしまう。 産休を取るのはさすがにやりすぎだと笑ってしまったけど、そういう気になるのはとても分かる 一気に自分が全部の被害者に感じてきて何もかも投げ出したくなる。 後悔して自分で要らないと言ったいつでも寄り添ってくれたものに縋りたくなる。 女のズルさや感情的な部分が描かれているように感じました。

    1
    投稿日: 2021.07.11
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    綿矢りさ初読。最初に選んだ作品が運悪く合わなかったのか、楽しめない。 「勝手にふるえてろ」 「仲良くしようか」 心理描写を省略し、主人公の突飛(と作者としては思わせたい)な行動、思考をぶつ切りで書き連ねることが、綿矢りさの「ワールド」「綿矢節」なのか。 時々はまった感はあったけれど、全体的には成功しているようには感じられない。 表現方法は独特。ただ私には、テキストの奥側に存在していてほしいあれやこれや(音楽性とか詩心とか)が根本的に失調しているように思えて、読んでいて辛かった。 もう一作読んで駄目なら、綿矢りさ離脱。

    1
    投稿日: 2021.07.06
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    今年の頭に、3週間だけ付き合った女性に前の男が忘れられないとフラれた事を思い出した。 イチが忘れられずニをフるヨシカ、僕は彼女にとってのニだったのだろうか。 読んでいて皮肉だなと思ったのが、ヨシカにその気がないのに的外れなアプローチをしてくるニの構図は、そのままイチとヨシカに当てはまるんじゃないかということ。 その気が無い人からの恋愛感情というのは、時にただ重苦しくて鬱屈としたものでしかない。 世の中には、特に小説の中には、どうやったって"幸せ"になれない人が存在すると思う。 彼ら彼女らは大抵拗らせた自意識を認識しつつも、変われない自分に苦しんでいる。でもそれに気づいていない事もあるのが、人間って難しいよねぇって感じ。 『蹴りたい背中』でも思ったけど、五感と比喩の結びつきがとてもユニークで綺麗な文章を書く作者。 『嘘はばれたとき人を傷つける。でも正直に言うことも、ときには同じくらい人を傷つける。』

    1
    投稿日: 2021.06.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    初綿矢りささんでした。好き、綿矢さんの、言葉の例えがたまらなく好きだと思った。すっごく地味な例えなんだけど、ああもうわかる!と日常に溶け込んで見落としそうなくらい小さなザラつきとか、不快感とか、そういうの全部ひろわれていて共感しかなかった。 ヨシカが他人とは思えないくらい身近な人という感じでいろんな部分を当てはめ寄り添いながら読みすすめたなあ。初っ端の、恋が死んだのフレーズがとても強くて、 振られたわけじゃないのにどういうこと?と思ってたら、物語の中で痛烈な決定打。ああ、これは、死ぬ。 目に見えて好きとか嫌いとかじゃない、相手の一挙一動からわかる自分への思い。虚しいくらい相手の心は ここに無かったと思い知らされる時のあの感じ。 そしてニへの感情。好いてくれる気持ちにあぐらをかいて、ひとりぽっちになるまで気付けない鈍感さ、人間なんてそんなもの。失って初めてどれだけその愛に甘えきっていたか寄りかかっていたかわかるもの。ニのヨシカへの気持ちも痛いくらいわかる。人を好きになる時のあの真っ直ぐな気持ち、人を好きになる時に理由なんてなしに、胸にふせんがついてただけでその人を見つけてしまった、恋の始まる時の感覚。 追われるのと追うの、どちらが幸せになれるか?は永遠の恋愛テーマ。なんだけど、端々の言葉に納得と胸にストンと落ちてくるものがあった。自分の気持ちだけを貫いて、自分を思ってくれる人には目もくれないでそれが純情だなんてよく言う。だからヨシカが選んだ選択は、妥協じゃなくて挑戦。相手の純情を信じてみる挑戦。 いままでとは違う、愛の形。 自分が探していた答えがいままさにタイムリーにぽん、と落ちてきた感覚。 変な自分を曝け出しても、大声で受け止めてくれる愛のある人に、コンソメの匂いがしても愛しくなっちゃうそんな人と、私も恋愛がしたいなと切実に。 好きなフレーズがありすぎて、メモするのに必死だった小説。大好きになった綿矢りささん。 ただ、同時収録されていた話は綿矢りささんの大好きな書き方がもう完全ワールド化されていて、一般人の自分には入り込む隙がなくってちょっと難しかった。

    1
    投稿日: 2021.05.19
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    綿矢りささんが女性を描くと、大抵の小説で美化されそうな部分があまりにも直接的に描かれるから重たい感情とかがズシンときて胃もたれする時があるんだけど、それでもつい最後まで読んでしまうんだよなぁ…。勝手にふるえてろ、ってタイトルはイチにも当てはまるしニにも当てはまるしなんなら主人公に一番あてはまるタイトルなのでは?と思った。

    1
    投稿日: 2021.05.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読み始めは、ヨシカの妄想拗らせている様子に共感できないな〜と思っていたけれど、気付いたらあっという間にラストまで読んでしまっていた。 ずっと片想いしていたイチとの思い出がキラキラしたまま残っていて、イチと再開するためのヨシカの行動力に驚き。久しぶりの再会、その後飲み会でもイチへの思いは熱いまま。この距離感って異性をすごく魅力的にさせるなと思った。 自分に絶対に向くことがない人になぜか惹かれる。自分への好意を感じてしまうと、その人に対して嫌悪感を抱いてしまう。どうしてもうまくいかない感じ。 ヨシカの同期のくるみ、ヨシカの今までの交流関係からすると目立つ女の子と仲良く入れることで自己肯定感が少し上がっていたのに、裏切られた、結局自分のこと下に見て本当の信頼関係が築けていなかったと知って絶望する感じ、すごく辛い。とっても痛々しく感じた。 ラスト、ニ彼と結ばれる?ようなラスト。何となく付き合って何となく結婚まで行くのかもしれないし、ニ彼がヨシカが手に入ったことで興味が薄れて上手くいかないような気もする。どちらにしてもそれが恋愛なんだよなって思った。

    1
    投稿日: 2021.05.09
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    語彙?表現力?がすごかった、好きだった。 勝手にふるえてろはラストがあまりピンと来なかったけど展開は楽しめた。 2つ目の話(なんだっけ)は最初からずっとよく分からなかった。何も記憶に残ってない。

    1
    投稿日: 2021.04.24
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    映画と比較して、原作からどんなふうにアレンジされたかを目の当たりにできてよかった 映画のつくりやセリフ、脚本家さんや監督さん、キャストで めっちゃ上手く作り込まれたんやなぁって思えてめっちゃくちゃ感動した!

    2
    投稿日: 2021.04.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    かつて冴えない中高生だった私はヨシカの卑屈さと嫌なプライドの高さに心当たりがあり過ぎて、死にてえと思いながら読み進めていたが、ウソ妊娠あたりで「こいつよりマシ…」とヨシカを見下してしまった。裏切ってごめん。 平田や来留美のような女子には、自分のような苦しみや葛藤がないと思い込んでいそうなところが、ヨシカの嫌なところであり、しかし、共感してしまうところでもある。 キャラクターの端々に現れる中二感が、大人になるって難しいよな、そうだよな、と私にまた一つ要らぬ安心感を与えてくれた。

    1
    投稿日: 2021.04.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    愛されるよりも愛したい、でも女は愛された方が幸せになれるとよく聞く。初めは二股しているのかと思ったら、イチは妄想の中で付き合ってて、ニには全然興味がないかんじ。イチに対して中学からの片思いをずっと大事にしすぎて、美化してしまい独りよがりなところがオタク気質なのかな。でもちゃんと行動して接点を持って気持ちを伝えたけど、名前さえ覚えてもらっていないなんて悲しすぎる。ニがいるからいいやと思っても、衝突すると連絡が来なくなって不安になる。それに同僚の女の人が勝手に秘密をニにバラしてて、会社も辞めたくなっちゃう。八方塞がり。最終的には、自分は自分の純愛を信じてイチを求めていた。ニもニの純愛を信じて、上手くいくという確信があるから、それを自分が信じないのは烏滸がましいのでないかと、ニと付き合い始める。なくなって気づく大切なものがある。遠くに輝く星だけじゃなく、足元にあるものをもっとよく見てみよう。あなたが満足できるのもきっとあるはず。

    4
    投稿日: 2021.04.07
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    オタクっぽい性格の主人公が自分と重なってすごく共感できた。シニカルでこざっぱりした比喩と読んだ後の爽快感が好きです。

    1
    投稿日: 2021.04.04
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    自分が愛する人か、自分を愛してくれる人か… これは私の中でも永遠の疑問になると思っている。 しかし二は何故こんなにも主人公が好きなのか…主人公が自分勝手過ぎてあまり共感出来なかった。

    1
    投稿日: 2021.03.24
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    面白い。登場人物にずっとイライラしてしまう。 イチはもちろん、主人公の拗らせ具合が人をイライラさせるレベルで見事。

    0
    投稿日: 2021.03.20
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    読みやすく、一気に読めた。 読んでいるときは何となく苦しかった。 主人公が幸せになるといいなと思う。

    1
    投稿日: 2021.03.09
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    恋愛の仕方というか、付き合うってどういうことか少し分かった気がする。相手が自分のことが好き、自分が好きな相手、この相手が一致することはないのかな。愛は育てるものなのかな。

    0
    投稿日: 2021.03.09
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    共感性羞恥の頂点。 読んでて叫びたくなるくらい恥ずかしくて痛々しいのに、どこか共感できる。 怒涛のように溢れてくる文章の熱がすごい

    0
    投稿日: 2021.02.19
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    膜。この話には膜が何度も登場したと思う。というか膜が印象に残った。処女も付箋も母の言葉もイチへの思いや思い出も、薄くてすぐ剥がれちゃいそうだけど、すごく大切で絶対そこにあるもの、なのかと感じた。綿谷さんの作品はいつも、膜があって好きです。

    2
    投稿日: 2021.02.07
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    2021年11冊目 真っ当な恋愛小説で、読了後こそばゆい気持ちに。二に対する主人公の心の中の毒舌ぷりが痛快。面と向かってはあれこれ言う度胸は彼女にはないのだろうなぁ。主人公は独りよがりで身勝手そのもの。だけど最後ほんのちょっぴり、成長する。若き男女よ、幸あれ!

    0
    投稿日: 2021.02.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    初恋を大人になっても引きずり妄想している主人公。 好きな人が自分を特別だと思っているという妄想や、興味がない人にアタックされると引いちゃうところが過去の自分と重なった。 片想いの妄想は楽しいけれど、拗らせると怖い。 主人公には好きになってくれた人がいたけれど、彼がいなかったらどうなっていたんだろう。

    0
    投稿日: 2021.01.31
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    2021.1.25 自分が好きな人と付き合うべきか、 全然好きじゃないけど自分を好いてくれる人と付き合うべきか。 若い頃あるあるだなあ。 因みにわたしは結局後者を選んで相手を好きになれたけど、浮気されて終了。そんなもん。 多分、ニもヨシカが振り向いた途端に飽きちゃうタイプだと思う。 解説でなめこさんも書いてたけど、ヨシカはニと付き合いながらイチを想っていくのが一番幸せだよな なんかハタチ前後の自分を思い出して苦い顔になる一冊だった(笑)

    0
    投稿日: 2021.01.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    200ページ程度で、一気に読破できる小説です。 主人公の女性が、2人の男性との関わりを通じて、変化していく様子が細かく描写されている作品です。 個人的には、『コンビニ人間』と似ている内容のように感じて、読みやすかったです!

    0
    投稿日: 2021.01.07
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    久しぶりに一気に本を読んだ。 映画も何度も見たし、ストーリーも分かってるんだけど、原作やっぱりおもしろい。

    0
    投稿日: 2021.01.05
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    映画の松岡茉優ちゃんが本当に本当に最高だったので読みました。 やっぱりよかった。男の人にも読んで欲しい。こっちがどう感じてるか生々しく書いてあるから。 後ろに載ってるエッセイはまだ読み終わっていないけど、遠いものははっきりに見えて、近いものはぼやけるという感覚は本当によくわかる。

    1
    投稿日: 2021.01.01
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    女の子の妄想メンヘラなとこ 女の子同士のドロドロしたところ 男の子の無神経さ 昔の恋の煌びやかさ 冷たそうに見えて暖かい現実 どれも等身大ですごく良かった

    0
    投稿日: 2020.12.12
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    恋してる時に読むとめちゃくちゃ共感できて悩みとかつもりに積もった思いとかが発散出来てすごく好きな本。よしかの妄想癖とか視野見とか自分もやってるし面白くなってくる

    0
    投稿日: 2020.12.06
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    こじらせ女の恋愛、と言ってしまうと身も蓋もないけど、読み終わって何日か経っても余韻が消えない。 「とどきますか、とどきません」の冒頭から綿矢りさだなぁ〜って感じで、ちょっとした心の動きを見逃さない視点、終わりそうで終わらない、主人公の気持ちと行動の振れ幅、ドキドキしながら好きになってしまう。 共感しない女の子なんているの?いるか。いいな。 ニも、気持ち悪そうで絶妙にいい男として出ていて、バランスがうまいなぁ ありのまま私を丸ごと愛して、じゃない、他者との実際的な関係性。 松岡茉優主演の映画も観たけど、それもめっっちゃくちゃ良かった。 小説は「勝手にふるえてろ」という言葉ははイチに向けられていたけど、映画ではおそらく「自己完結ばかりしている自分に向けて」向けられており、そっちのほうがいいなと思った。

    0
    投稿日: 2020.11.18
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    昔のひとは言いました。”初恋は実らないものですよ”、と。 昔のひとは言いました。”恋はする程艶がでる”、と。 昔のひとは言いました。”恋は死ななきゃなおらない”、と。 そして、主人公は言いました。『初恋の人をいまだに想っている自分が好きだった』、と。 誰もが上る大人への階段。誰にも訪れる青春の日々。そして、誰もが経験する初恋の切ない想い。では、そんな初恋の人と結婚にまで至る確率はどのくらいあるのでしょうか?ある調査によると、なんと1%ほどしかないというその数字。そう、圧倒的大半の初恋は、初恋のまま終わる、それが成就することなどありえないというその数字。でも、そんな数字を見てあなたはどう感じるでしょうか?どんなに好きでも長い間一緒にいれば嫌なこともあるでしょう。結婚すれば理想と現実という言葉が身に染みることもあるでしょう。いつまでも自分の心の中に、自分の心の中だけにひっそりと持ち続けるもの、あの時代の汚れなき想い出の一つとして大切に宝物の如く持ち続けるもの、初恋とは、そういったものであってもいいものかもしれません。 さて、ここに、そんな初恋の想い出を過去のものとしないで、いつまでも執拗に固執し続ける女性がいます。初恋の人を十年経った今も狂おしいほどに思い続けている、そして、そんな自分自身に恋をしてしまっている女性。これは、そんな女性が本当に好きなひとは誰なのかを探し求める物語です。 『両隣のトイレの個室は女性社員が入っては出て行き回転率が高い』という状況の中、『ふたをしめた便器のうえに座り頭を抱えていた』という主人公の『江藤良香(えとう よしか)、二十六歳、日本人、B型、…彼氏なし、貯金なし…』。『トイレから人の気配が消えて昼休みが終わ』っても、『どうしても出る気が起き』ず、『上司が呼びに来ても上からバケツの水がふってきても外に出たくない』という良香。『さぼりたいわけじゃない、辞めたいわけでもない、ただ会社が嫌なだけ』という心の内。『今日このまま帰って明日もあさっても会社には来たくない』と思う良香。『私には彼氏が二人いて、どうせこんな状況は長く続かないから存分に楽しむつもりだった』という良香は中学時代を振り返ります。『イーチ』『なんだよ』『呼んでみただけ』、と『朝イチが登校してくると活発なグループの女子たちが彼をふりむかせてくすくす笑う』という状況を横目に見る良香。『イチ寝ぐせついてるし』『ついてないだろ』『ついてるよ、後ろ髪うねってる、カワイー』と戯れるクラスメイト達。『さらさらの長い重たげな前髪、横長たれ目で微笑むとちょっとずるそうに見える、ぬれた黒目がちの瞳』と彼のことを『男子も女子もみんなが彼をかまいたがった』という状況。そんな彼のことを『イチ』と呼び、『イチに関心があることはイチ本人にも周りにもばれてはいけない』と心の中で特別視する良香。イチを主人公にした漫画『天然王子』を描いていた時、『なんで王子?』とページをめくりながら訊いてきたイチ。『一国のあるじになるから』と『なにも考えずに完全に口だけで喋った』良香に『ふうん。へんな髪型』と、意味が通じず行ってしまったイチ。別の日、先生からの言いつけで教室の黒板に『”ぼくは授業中私語を慎みます。”と白いチョークで書いていた』イチを放課後に見つけ、声をかけた良香。『一つくらい”ぼくは授業中私語を慎みません。”にしてもばれないんじゃないの』と言う良香に『書きかけの一文を”ぼくは慎みません。”にした』イチ。『間違い探しみたい』と言う良香は『信じられないくらいにうれしく』なります。そして『中学三年になるとイチとクラスが離れて』しまったものの、ある時彼の担任を訪ねると『一宮くんに反省文を書かせると一つか二つ、”遅刻します”とか”友達としゃべります”とかいう全然反省してない文がまぎれこんでるの、変な子でしょ』と言われ『甘いめまいでくらくらした』という良香。『その変な文章は私とイチが精神的につながっていることの証なんです』と心の中で叫ぶ良香。それから10年が経っても未だに気になる『イチ』の存在。そして、身近で気安く話せる存在である『ニ』とを天秤にかける良香。そんな今の良香が二人の男性のどちらかを選ぶ物語が始まりました。 当時26歳の綿矢さんが26歳の女性を主人公に描いたこの作品。本を開いてまず圧倒されるのは冒頭の一文です。『とどきませんか、とどきません』という十三文字のその表現。綿矢さんの作品の冒頭には、いつも読者を一気に作品世界に連れ込む魅力に溢れた一文が存在しますが、この作品の冒頭も強力です。そして、この作品が凄いと思ったのはこの一文から始まる独白のような表現が止めどなく溢れる思いのように複数ページに渡って続いていくことです。それは、『とどきそうにない遠くのお星さまに向かって手を伸ばす、このよくばりな人間の性が人類を進化させてきたのなら、やはり人である以上、生きている間はつねに欲しがるべきなのかもしれません』と自らの『手を伸ばす』という行為の延長に『人類』の進化を重ね合わせるという大きな世界観を表現したと思ったら、『でも疲れたな。まず首が疲れた。だってずっと上向いてるし』という単に自らが疲れたことの感情の吐露だったりと全く目が離せません。そして、その表現の極端な振れ幅もあって、これを事情も知らず受け止めなければならない読者には、いきなり何かを背負わさせるような何とも言えない感情が襲ってきます。綿矢さんの文章は句読点が少ないという特徴を持っています。慣れないと読む途中で”息を注ぐ”タイミングが掴めず、ちょっとしたストレスを感じてしまいます。この冒頭はそういう意味でも、これだけで結構な重量感を感じさせる始まりです。そして、そんな独白のような冒頭の表現がようやく終わったと思ったら、次に登場するのは『両隣のトイレの個室は女性社員が入っては出て行き回転率が高い』と始まる本編です。この展開のあまりの落差には、くらくらと目まいさえしそうな気分になりました。いずれにしても、受けた衝撃があまりに大きかったこともあり、この冒頭だけすぐに続けて読み返してしまいました。そんな二度目の冒頭は、独白とは言え一本筋が通っているというか、『とどきませんか、とどきません』という表現の狂おしい感情が二回目にはスッと入ってきた結果、その後の読書に、より感情が入っていくことに繋がりました。この冒頭、是非続けての読み返しをお勧めします。一回だけだとしっくりこない冒頭ですが、その二回目は綿矢さんの世界観がストンと入ってくるのを感じます。一回だけだともったいない、読者を酔わせてくれる世界観がそこにある、そう感じました。 そんな冒頭から始まるこの作品では、主人公の良香が気にする二人の男性のことが執拗に描かれていきます。一人は『中学以来会っていない、たった三度しか話したことのない初恋の人に十年以上片思い』という『イチ』。良香はそんな『イチ』のことを『イチ彼は私の最愛だけれどとうてい添いとげられそうになく彼がおびえがちに微笑むのを私が見ていたいだけの関係』と語ります。これだけの文章に、読点なしで一気に繋げてしまう読みづらい文章ですが、言いたいことは伝わってきます。そして、もう一人の彼は会社の同僚の『二人』。良香はそんな『二』のことを『二彼は私が彼をまったく愛していないにもかかわらず、私が将来結婚するかもしれない相手だ』と全く対象的な存在として位置付けていることがわかります。この位置づけの異なる二人をひたすらに比べては悶々とする良香。色んな側面から二人を見比べますが、においを元に表現した箇所が絶妙だと思いました。『子どものころ、いつも抱いて眠っていたきりんのぬいぐるみのにおいがした』という『イチ』のにおい。それに対して『スープ系の体臭、飛行機で出される油の浮いたコンソメスープと同じにおいがする』という『二』のにおい。『二』の表現が、いくらなんでもと気の毒にさえ感じてしまいます。そして、このにおいの表現だけでさえ『二』を選ぶという選択肢がそもそもあるのか?と疑問にさえ感じますが、そこに綿矢さんは『イチ』のにおいにこんな表現を付け加えます。『二のにおいよりもよっぽど好きで、深く吸いこむと遺伝子のレベルで落ち着く』という『イチ』のそのにおい。『でも少しさびしくなるにおいでもあった。私たちの間に少し空いたまま、埋まらない隙間みたいに』。このあたりの微妙な表現から、簡単には答えを出せない良香の心の内、そして、あなたならどうする?という読者への問いかけを感じさせる部分です。そんな二人の様々な場面からの比較、同じようなシチュエーションでの二人の対象的な反応の違い、そして冷静に相手の心の内を読み解いていこうとする主人公・良香。そんな良香の身悶えるような心の呻きが、読者の心をも引き摺り込む悶々とした展開が全面に渡って繰り広げられていく物語。分量としては中編ですが、まるで長編を読んだかのようなすざまじいまでの感情の揺れ動きを経た後の結末に、ある意味、良香に対して読者である私が『勝手にふるえてろ』と言いたくもなりました。そう、それだけ読者の心に強く訴えかけてくるのがこの作品だと思いました。 二人の男性の間で揺れ動く女性の微妙な感情の動きを執拗に描いていく綿矢さん。初恋の人と結婚に至る確率は1%程度という現実は、”わずか1%”と感じる一方で”1%もあるのか”とも取れる数字だとも言えます。そんな『初恋の人をいまだに想っている自分が好きだった』と感情を昂ぶらせる主人公・良香が『自分の直感だけを信じず、相手の直感を信じるのも大切かもしれない』という冷静な感情を身につけて、ひとつづつ大人になっていく物語。 ”綿矢さんワールド”全開なその物語に、綿矢さんの作品を読む喜びを再認識させてくれた、そんな作品でした。

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    投稿日: 2020.11.07
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    『勝手にふるえてろ』 一と二の中で揺れるヨシカ 恋愛って大変ですね 一との中学生時代はまさに青春って感じ。 自分はどこか二に似ていると思った なんとなくずっといっしょにいようと思える相手 見つけられるのは幸せや 『仲良くしようか』 情景描写に圧倒された。よくわからん 「この世で生き、勝ち、残るために身に着けた、他人の目に映る自分を意識した術をすべて残骸にして背景へ押しやり、まったくむぞうさに生きてゆきたい」 強い言葉

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    投稿日: 2020.11.03
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    女性独特の目線で書かれているというか男性は読んでてゾットするんではないか。 個人的な経験から言わしてもらうと二は結局自分に屈辱的な思いをさせたヨシカを許せなくなる時がきっとくる思う。 まあそうなる時まで関係を続けとけば良い気もするが。 でもある意味ヨシカは魅力的なんだろうとも思う。 このての女性に惹かれる気も解らんでもないが。 『あとがき』はとても納得! 「仲良くしようか」は、正直何のこっちゃ(苦笑)

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    投稿日: 2020.10.21
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    「好きな人」と「好きになってくれる人」は違うかもしれない。 理想と現実を見比べて、動けなくなってしまう気持ちはよくわかる。 いろいろぐちゃぐちゃと考えて、感情に流されたり突然冷静になったり、主人公に共感できるところは多い。 休職するかどうか決めかねるところなんて特に。 だから嫌い。 同族嫌悪というか、自分の汚い部分を見ているようで気持ち悪い。 それと、女の人ってこういう辛辣でクールなところあるね。 ぐちゃぐちゃな感情を表した比喩表現はおもしろいしきれい。 めちゃめちゃおもしろい!っていう小説ではないけれど、テーマを振り返った時に考えさせられることが多いのも純文学。 単行本未収録だった「仲良くしようか」は描写が飛び飛びになるので難しかった。 閉塞感は感じたんだけれど……。

    0
    投稿日: 2020.10.07
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    綿矢りささんの「インストール」は17歳のときの作品だ。書いた人はとにかく「若い人だ」と思って、学生の私は親近感を感じて読んだ(勝手にふるえてろは綿矢さん26歳のときの作品だった)。 昔の人の作品、ではなく、やはり今の作品、だった。イチとニは学生の間で「どっち?どっち?」と盛り上がる話題となった。 私は断然イチであり、そしてニだ。なんだ主人公と同じじゃないか、という、そう、まんまと共感女子。だがニこそ私はイチよりイチな存在なのだ。それが勝手にふるえてろ、の続編かもしれない。

    0
    投稿日: 2020.08.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    頭で考えてることが素直に文章になっているという感じで、読んでてとても面白かったです。 イチとの進展のなさが理想と現実の違いをうまく表していました… そして、痛い妄想にもうやめてくれ〜と思ってしまうところが多々あり、そこも面白かったです!

    0
    投稿日: 2020.07.18
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    脳内妄想で二股をする純情かつ小悪魔な女性のお話。 やっぱり女は愛するよりも愛される方が良いと再確認しながらも、これからもやっぱり追い続けてしまうんたろうなと途方に暮れる今日この頃。 ところで綿矢りささんのが書く話は個性的で、何と言っても例えが上手い! 読んでいて「確かに!」、「わかる!」と心の中で叫んでしまう。

    2
    投稿日: 2020.07.02
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    中学時代の初恋の相手と今の会社の同僚との間で揺れ動く主人公の話で、どっちにしようか揺れ動くんだけど、この「勝手にふるえてろ」のタイトルがおもしろい。 映画にもなったようでそのサイトを見るとコメディタッチだから、私はこっちの方がおもしろいと思った。小説では主人公にハツラツとしたものを感じなかったし、なんかつまんなそうに生きてる感じがしたので。 でも綿矢りさっていつもこんな感じの文章かも。

    0
    投稿日: 2020.06.14