
総合評価
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0投稿日: 2013.12.02
powered by ブクログすごく図々しいんだけどこの本を読んだ時に最初に感じたのは、 圧倒的な既視感だった。 え、千早茜ってあたしじゃないの?とまで思った。本当に不遜にも。 <引用> 「ねえ、スケキヨ」 「何」 「私がいなくなったらどうする?」 「探すよ」 「探しても、探しても見つからなかったら?」 「ねえ、白亜。僕は白亜がいなくなっても決して泣いたりなんかしないよ」 スケキヨが立ち止まる。私をまっすぐ見つめる。 「人間は泣いたり怒ったりしたら、その事を忘れてしまうんだ。忘れなくても泣いたりしたらその痛みは確実に薄まっていく。そのために泣くんだ、忘れるために。だから僕は絶対に泣かないよ。そして絶対に諦めたりはしないから安心して」 「うん‥‥」 私は自分に言い聞かせるように何回か頷いた。 「じゃあ私もスケキヨがいなくなったら、泣かないで探し続けるね」 「いや、白亜は僕がいなくなったらたくさん泣いて、僕のことなんか忘れてしまうといいよ」 <引用終わり> 読みながらその既視感の正体をあたしは、ゆるゆると紐解いた。 そうだ、すべて、あたしの敬愛する作家の小説の、なんらかのキーワードに オーバーラップするのだ。 何度も何度も読み返し、まるで自分が書いたかのように詳細までキオクしている、 そのコワク的な小説たちに。 例えばこうだ。 貘のくだりは、澁澤龍彦の「高丘親王航海記」 郭の悲哀は、隆慶一郎「吉原御免状」 スケキヨ、という響きは横溝正史「犬神家の一族」 二人の呼応のしかたは宇江佐真理「雷桜」 隠れて思い続けるそれは、もしかしたら東野圭吾の「幻野」「白夜行」 そうして全体に流れるゴシックかつペンダントリな雰囲気は、 昭和の探偵小説のそれを思わせる。 小栗虫太郎「黒死館殺人事件」、中井英夫「虚無への供物」 あるいは上記と並んだ三大奇書、夢野久作「ドグラ・マグラ」 読み終わって重たく、でも充実した感触。満足。 最後のくだりはやや、江戸川乱歩を彷彿とさせなくもない。 うーん、これはまさに、極上の贅沢読書。 こういった作家さんに出会えるのも、御褒美なのかもしれない。
4投稿日: 2013.06.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
運命的。 響きだけを見れば綺麗で聞こえはいいけれど、 実際は難しいものです。 目が合うだけでいい、 何もかも満たされた気になる、 言葉すらも要らない、 深みで繋がっている自身の片割れ。 わたしはそれを理想の愛と呼びます。 千早さんのデビュー作「魚神」、 彼女の世界に初めて触れました。 白亜というお姉ちゃん、 スケキヨという弟が世界の中心。 彼らこそ、 わたしの求めていた運命的な間柄に当て嵌まる2人で。 名前を呼び合うだけでいいなんて素敵じゃありませんか。 元々この本は、 遊郭を舞台にした作品を探している時に出会いまして。 買ってから数ヶ月経って、 ふと読みたくなり約4時間で読破。 気分に合わせるのもひとつの手ですね。 遊郭の描写は満足しました。 それ以上に、白亜ちゃんがだいすき。 千早さんの描写には惹かれるものがありますね。 こういうキラキラした文章が大好きです。 輝く言葉達、とても綺麗で。 作中の時代は明らかではないですが、 わたしの好きな時代です、きっと。 また運命、というものに戻ります 傍に居るだけで心が癒され、 世界に相手と自分しか居なくなるような。 愛したひとに愛される、静かで暖かい感覚。 そんなものを憶えたらこの物語を読むべき、と。 最後、白亜ちゃんは幸せだったと思います。 2人がいつまでも、 何にも邪魔される事なく、 傍に居たいから居られる、「雨極」なのだと。 本当に愛するならば、言葉も営みも要りませんから。 主観で書いてしまいましたが、 良いお話です。 皆様の感想読んでいると、わたしは少数派なのかなあ。 ともあれ、これからずっとわたしの宝物として共に。 「デンキ」に満ちた世界を、ありがとうございました。
1投稿日: 2013.04.10
powered by ブクログこの世界観好きだった。青味がかった映像が目に浮かび物語に引き込まれていった。いつまでも読んでたかった。 白亜、スケキヨ、蓮沼にとても惹かれた。
1投稿日: 2013.03.25
powered by ブクログ再読。 サイン入りの文庫本を見つけてしまい、一人重版状態。ちょっとだけと頁を捲るともう止まらない。久しぶりに幻想世界へ旅に出る。 5頁目 《この島の人間は皆、夢を見ない。》 書き出しの一文で、頭の中に様々な物語が浮かぶ。華美な装飾や特徴的な口調は、想像するためには邪魔なものにしかならない。余地を残すのなら、できるだけ簡素に。見習いたい。 6頁目 《ヘドロの臭いに満ち溢れたこの島が私の世界であり、この島の掟を受け入れる以外に生きる道などなかった。》 現実と幻想が滑らかに混ざり合った世界観。重ね合わせる想像と、思い描く創造と。頭を酔わせながら読めるのが心地好い。 15頁目 《自分達は僕らより上だと、幸せだと思って優越感と征服感に酔っている。僕が許してないってことに気付きもせずにね》 上に立ちたがる人間ほど扱いやすい。下に隠れたがる人間もそれなりに。どちらにせよ、自分の立ち位置を主張する人間は、酔いから醒めることができない。 19頁目 《私の頭の中で何度も眼球は卵の黄身のようにどろりと潰れて流れ落ちていった。》 「何度も」を置く位置で、この一文の印象は大きく変わる。いろいろ組み替えてみたら、リズムや語感、意味合いなど、やはりこれがベストだった。日本語って美しいなあ。 148頁目 《「……地図なんて見たことがないし、自分がどこにいるか知ったところで、ここから出ていけるわけではないから」》 自分の居場所は自分で決める。今そこに居るからといって、それが最善かどうかなんてわからない。だから、あえて知らないでいることも必要かもしれない。 200頁目 《そこに罪悪感など無い。必要とあらば、どこまでも残酷になれる生き物なのだった。》 合理的で薄情で。だからこそ人に優しくしようと思える。優しく、しようと。無意識な善人になれないのはわかってる。けれど、決して偽物などではないと、自分の意識に言い聞かせている。 202頁目 《私達はきっと、笑って自分をごまかしながらしか真面目に話せない。》 役者の父を見て育ち、営業職として働く毎日。嘘や演技、そしてごまかしに塗れて生きてきた。だから多分、創作の奥に本音をちらつかせるような人を好んでしまうのだと思う。 再読了。 何度読んでも色褪せない。「面白い」と表現したくなくなるほどの芸術性がある。文庫版には表紙のイラストを描いた宇野亜喜良さんの解説が載っていて、今作のビジュアルセンスについて述べている。わかるわかると共感してしまった。そう、まるで美術品のような小説なのだ。
1投稿日: 2012.12.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
本土から隔離された島の歓楽街で生きる遊女の話。 なんだかミステリアスな雰囲気だそうとして中途半端に終わってるような気がする。 名前が同じ、伝説の遊女の話もそんなに色濃く出てくるわけじゃないし、 なんだか、うーん。 タイトルと物語にずれを感じる。 新人賞を受賞してる作品だから、まだこれから伸びる作家さんなのかな。
0投稿日: 2012.12.13
powered by ブクログ舞台設定も登場人物も非日常的でありながら読んでて違和感がなく、うまく読ませる作家だと感じた。 性描写がもうちょっとうまければ、ぐっと評価があがる作品だと思う。
1投稿日: 2012.11.14
powered by ブクログ装丁と設定が気になり文庫待していたものが、本屋に並んでいたので速攻購入。の癖、積み本。やっと読了。 湿り気のある世界観の描写が良い。 そこにやがて自分も溶け込んでしまうかの様な気がしてしまう。 個人的感想としては、白亜の女性性故の哀れさや移ろいやすさに惑わされ、スケキヨの男性性故の感情と行動が折り合っている様で折り合わない二極化にもどかしさを覚え、それらを自分の中に抱えている矛盾に重ねてしまった。 そして個人的な人間関係にも重ねてちょっと陶酔。 助長な場面や設定で冷めてしまう事は珍しくないけれど、そんなに気にかかるほどでもない。 気持ちよく酔わせてもらいました。 とても良かったけれど、本棚に収めるか古本屋行きかは検討中。 期待値が大き過ぎたかもしらん。 でも今後が楽しみな新人作家さんには間違いない。
0投稿日: 2012.09.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
正直あんま面白いとは思えんなぁ。世界観は良い感じなんだけどもなんだか退屈だ。美男美女の姉弟の話だけどもなんで名前がスケキヨなんだろう?スケキヨったらもうアレしか思い浮かばん。
1投稿日: 2012.09.10
powered by ブクログ文章の雰囲気がなんとなく綺麗でしたが、ずっとふわふわして、地に足つかない感じのまま終わってしまいました。
1投稿日: 2012.08.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この島の人間は皆、夢を見ない。島の中ほどにある小さな山の上に朽ちかけた祠があり、そこに棲む獏が夢を食ってしまうのだ。島に住む人々の心は虚ろで、その夢はあまりにも貧しいため獏はいつも飢えていて、島の灯りに惹かれ訪れた客人の束の間の惰眠ですら、その餌食になってしまう。でも、私は知っている。獏などいないことを。
1投稿日: 2012.07.21
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白亜とスケキヨが醸し出すオーラが 本の中からむんむん伝わってくる。 島の独特の雰囲気、その世界にどっぷりと浸かれる作品。
1投稿日: 2012.07.15
powered by ブクログ本土から遠く隔てられ見捨てられた島。かつて一大遊郭があった、ヘドロの臭いに満ち溢れた島で白亜とスケキヨの姉弟は育つ。捨てられる子供は珍しくなく、成長すれば女は娼婦に、男は妓友夫か島の自治組織に入り島のために働く運命を受け入れて生きていた。白亜とスケキヨもやがてその中に身を投じる時が来て…。 登場人物たちのセリフがときに饒舌すぎるというか説明的すぎて、物語世界の風味を削いでしまっている場面がちらほらあったのは残念だった。白亜のキャラクターがところどころでぶれているような気がしたのもちょっと気になり、ストーリーに没頭、とまではいかなかった。 蓮沼の存在はなかなか粋で、島のどんよりとした独特の雰囲気も癖になるかも…という感じではあったが。 ☆小説すばる新人賞・泉鏡花賞
1投稿日: 2012.03.27
powered by ブクログやられた。久々に一気読みしてしまった。何と言っても背景描写の書き方がうまい。読んでても頭の中に綺麗な映像が浮かんでくる。話もグイグイ引き込まれて、悲しみや切なさなんかが目まぐるしく襲ってきた。途中で読むことをやめさせてくれなかった。これは面白かった!他の作品も読んでみたい。
2投稿日: 2012.03.23
powered by ブクログ日本の様な、異国の様な島での美しい姉弟。 離れ合い、惹かれ合う……本当にそうだろうか? 雛鳥は殻を破れた? 彼らの世界には最初から最後まで2人きり。 それは絆か依存か。愛か弱さか。 触れれば消える儚い水泡の様な、払っても纏わり付く闇の様な、そんな2人の物語。 (きっと2人が2人でいることに、理由はない。水がある様に、空気がある様に、何があっても変わらない自然の摂理の様なものなのだろうと思う。) 色彩や空気の臭いが紙越しに透けて感じられる気がした。 好きな書き方。 心地よい微温湯の中で、揺蕩っている様な感覚で読んでいた。 言葉の運び方や選び方が、五感を冴えさせる。 最近読んだ中で、最も印象的な作品だった。 瞼裏に色が残るなぁ…。
1投稿日: 2012.03.01
powered by ブクログまぁまぁ面白かったです。描写が儚く美しく、汚であるものさえも美しい情景を思い描いてしまいがちになりました。 【遊女】って何だか惹かれてしまう言葉です。 ぜひ実写化して綺麗な物語を観てみたいものです。 監督には是非、蜷川実花さんでお願いしたいな。
3投稿日: 2012.02.19
powered by ブクログ書店で平積みされているのを見て、小説すばる新人賞と泉鏡花文学賞のダブル受賞という事や、いかにも私好みな雰囲気の漂う設定という事も気になりましたが、何よりも、弟の名前が「スケキヨ」という事で、購入しました。 いつの時代の、どこの国とも知れない場所。 地図にも載らず、切り捨てられたような、小さな島が存在します。 そこに暮らすのは、戸籍を持たず、島の外では生きられない人々ばかり。 かつて、一大遊郭として栄えたその島は、今ではすっかり寂れてしまったものの、それでも、遊郭は機能し続け、本土から男達がその為だけに、舟で訪れます。 物心ついた時には、既に両親はおらず、二人だけの世界で生きてきた、美しい姉と弟が主人公です。 二人は、全く同じではないけれど、でも、二人で一つの魂を形作るような、そんな姉弟。 成長し、引き離されてしまうけれど、お互いに必要とし、求め合っているのに、再会を恐れ…。 島に伝わる、雷魚伝説に登場する遊女、白亜と同じ名前のを持つ、姉の白亜は、やはり、伝説の遊女の生まれ変わりだったのでしょうか。 そして、弟のスケキヨは、雷魚だったのでしょうか。 不思議だけれど、とても美しい話でした。
1投稿日: 2012.02.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
泉鏡花文学賞受賞作品。そりゃあ綺麗でせつない文章でした。 本当に恐ろしいものしか美しくないという言葉こそ極致。 個人的に剃刀の男―蓮沼が好きだった。 ああいう自分の流儀に従っている人は好き。 泉鏡花がすきなひとにおすすめ。
1投稿日: 2012.01.28
