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ハーモニー
ハーモニー
伊藤計劃/早川書房
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総合評価

713件)
4.3
314
231
79
13
5
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    ハーモニー。そういうことでしたか。 SF小説ですが、どう読むか難しかったです。 本書内の設定は、何百年先にも実現はしないもののように個人的には思いますが、そのイデオロギーは今の現実世界に確かに存在しているようにも思えます。 現代は日々、人間への抑圧が強くなっているように感じますが、抑圧されているものの中には、きっと必要性があって、存在していたものもあるんだろうなと時々考えます。 それが、そのときには悪く見えるようなものでもです。 このまま抑圧されることが加速していったとしたら、その先にはどんな世界があるのでしょうか。 こうならないことを願います。

    47
    投稿日: 2025.12.17
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    「虐殺器官」と同じ世界観の未来の話。 「虐殺器官」のラストは「この先、世界は壊滅的な状況になるんだろうなぁ」エンドだったけど「ハーモニー」は言わば終わりのその先の物語。ジャンルはディストピアSFで、「こんな社会はやっていられないよ」という書き方がされているのだけれど、でもどうしても頭の片隅で「この社会で何も気がつかず一生を終えることができたら一種の幸せかも」という思いが読んでいるとどうしても消しきれない。読み終わったらどっと疲れちゃった。 「虐殺器官」で一度崩壊した世界では新たな社会体制が生まれ高度な医療経済社会となり、その社会体制で生きる人々は「個人」ではなく公共のリソースと見なされるようになった。不健康な行為は社会体制に反する行為となるので酒も煙草も嗜んではだめ。カフェイン摂取だって目くじらを立てられる。人々の体には体内を常時監視する医療分子が仕込まれているため、禁止行為が即時バレてしまうだけではなく、病気も瞬く間に感知・治癒されてしまう。 ハーモニーの社会では健康と幸福であることが義務としてのしかかる。のしかかるが、この社会はその義務に対しての保障が手厚い。社会の基盤にさえ乗っていれば病気になることは無く生活に困ることはなさそうだ。 ハーモニーはこの社会を憎悪する一人の少女がいた、というところから物語が始まる。同時刻に世界中で6,582人の人々が一斉に自殺を図る事件が起こり、WHO螺旋監察事務局の上級監察官の主人公は事件解決のためにこの少女の軌跡を追っていくことになる。彼女は主人公の幼馴染だった――。 物語の冒頭では3人の女学生が「こんな世界嫌よねー」みたいな会話をしている青臭い雰囲気で始まるので「虐殺器官」みたいに軍人が主人公ではないからそんなにダークじゃないのかも!と思っていたら集団自殺のシーンが克明で震え上がってしまった。じっとりした重苦しさがありながら、伊藤計劃の筆致は詩のように耽美。それでいて華美ではなく鮮明な文体がやっぱりかっこいい。 もしこの小説のタイトルが明かされていないまま読んだとしても私は「ハーモニー」というタイトルを当てられたんじゃないかな、と思うくらいハマっているタイトルだったのもかっこいいなぁ。

    16
    投稿日: 2025.12.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    伊藤計劃の長編の素晴らしいところは、「人間を人間たらしめるのはなにか」という本質を突きながら、常に“社会的生物としての人間”という集団にフォーカスしている点だと思っています。 長編第一作『虐殺器官』では、「言葉」が虐殺のための臓器として描かれていました。デマ、欺瞞、対立──それらは言葉によってもたらされ、人間は集団の中でいかに安易に誘導されうるか、その危うさが描かれていたように感じます。 今作『ハーモニー』では、大災厄を経た後の社会が、WatchMe に代表される総監視社会・究極の合理社会として描かれ、その中に生きることについての思考実験のような要素を強く感じました。WatchMe による健康の完全な管理は、人間から「死のおそれ」をほぼ完全に取り除いてしまう。そしてそれはやがて、体だけでなく精神までもコントロールするようになり、人間は決められたタイミングで怒り、決められたタイミングで落ち着く、管理された行動しかとれなくなっていく。 人類の進化において「ウイルスや細菌が絶滅すると人類も絶滅する」と言われるように、害悪と免疫は表裏一体です。同じように、社会もまた、人間の苦悩や葛藤をもたらす社会的な「害」と、それを乗り越えていく精神の「免疫」との関係によって、人間が人間たらしく生きているのだと、この作品を読んで強く感じました。 ここでひとつ興味が湧き、自分なりに思考実験してみたくなります。 完全に苦悩という感情を失った人間、葛藤を完全に失った人間は、果たして「意識」すらも失うのだろうか、という問いです。 ラストで、ミァハはハーモニープログラムを発動させ、トァンはミァハの命を奪います。これはトァンがミァハの作り出した「完全に調和のとれた存在だけがいる世界」を受け入れながら、ミァハには「不完全な人間としての意識と個体を持ったままその生を終わらせる」というある種逆説的な行動でした。その後、トァンは意識を消失し、人類は「意識を持たない、管理された個体」として淡々と生きるようになって物語は終わります。 苦悩や葛藤を失うということは、結果として喜怒哀楽も失うことにつながる。 それは、人間としての「感性」を失うことと同義であり、感性を失うということは、「感じる」という感覚そのものがなくなることでもある。感じることがなくなれば、考えることがなくなる。考えない人間には、もはや“記憶する”必要もなくなる。 そうしたプロセスの先にある「究極の退化」を、この物語はあえて「進化」として描いている。そのねじれた構図に、とても強い興味深さを感じました。

    1
    投稿日: 2025.12.07
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    医療分子により病気がほぼ消滅、健康、標準体型を維持できる高度な福祉社会 健康面の生活が保障された社会に女子高生が叛旗を翻す 10年以上前に読んだ今回再読 今の世の流れにふとこの本を思い出したから 大変なテーマを綺麗な文体で描かれているし 最後の結末は究極のホラーとも取れるし とにかく面白かった けれど、伊藤計劃さんはこの本を最後に病に倒れ亡くなったことを知っている今は 何か違う読み方、悔しさとも似た 表紙の真っ白加減がまた……ハーモニーだった 10年以上経っても細部まで覚えていた だからこそ冒頭から痺れるものがあった。名作と思う

    25
    投稿日: 2025.12.02
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    見慣れない言葉が多かったので随分時間を要してしまいましたが、皆さんのレビューがとっても良いので何とか読了しました。 近い未来にこうなるんじゃないかと思わせられるほど、よくできたお話でした。 私には言葉が難しくて映像化されていれば助かるのに…と思ったらアニメ化されていました。今度見てみます。

    0
    投稿日: 2025.12.01
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    人類の救済は最終的にアポカリプスによってしか成されないんやなぁと。 テクノロジーの力で人類が死を乗り越えられるようになってしまえば、こういう結末が必要になるかもなぁ。

    0
    投稿日: 2025.11.23
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    前作『虐殺器官』に引き続き面白かった。個人の意思と社会の調和の終着点、というテーマでここまで話を広げていけることに驚き。前作は扱っているテーマからして取っ付きやすさがあった分、今作は退屈さもあるかと思いきや、むしろ前作よりものめり込んでしまった。 余談だが、先に前作を読んでおくと、ニヤリとさせられる一文もあるので、可能ならば先に読んでおくと良い。

    0
    投稿日: 2025.11.01
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    今の価値感で想像すると、ハーモニー後の世界はぞっとしないけど、意識を理由づけする存在とするなら、自分で選んだと思い込んで案外幸福でいられるのかも⁈今の世界だって選んだつもりになってることの方が多いし、そう考えると大差ない⁈私が目指したい調和はどんな形⁈とか とにかくいろいろ考えさせられる本

    14
    投稿日: 2025.10.24
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    読み終わった後に本文冒頭を見てハッとした。 幸福とはなんだろう。誰もが幸せな世界は実現不可能なのだろうか。 いつかこんな未来がくるんじゃないかと思わせる説得力がある。 とてもおもしろかった。作中の仕掛けに驚いたし、登場人物たちも魅力的な人ばかり。「姉御(クイーン)」って呼ばれてるのかっこよくて好き。世界観を理解するのにも時間は掛からず、ぐいぐい読み進められた。 大好きな一冊になりました。「虐殺器官」も読みます。

    1
    投稿日: 2025.10.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    文体が綺麗で、残酷。 「調和」と「意識」という哲学的なテーマで、こんなにも惹かれるとは思わなかった。「意識の消失は死なのか」という命題に、真っ向から勝負している。 病気が根絶され、「福祉」という公共的な優しさで満たされた息苦しい社会。 苦痛や自殺を悪と見なし、「セラピー」という論理的な優しさで抑えつける社会。 まるで予言書のようで恐ろしかった。 結末がハッピーエンドかバッドエンドか、どっちとも解釈できるのが魅力的だった。

    0
    投稿日: 2025.09.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    虐殺器官が面白かったのでこの本を読みました。 最初は独特なキャラの名前やhtmlタグのような文字の羅列に慣れなかったけど、時代背景を考えたり最後まで読んだことで腑に落ち、納得した。 いやーー面白かったです。これを作者が病床で書いたというのがまた…。 意識がなくなる…のくだり、エヴァンゲリオンの人類補完計画を思い出した。感情を感じることがない、という意味では似てるかなと。 社会性を完全に獲得した人類がどう崩壊していくのか、するとしたらWatceMeが入ってない外部の国からの外圧なのかなとか、この先の話も別作品としてみてみたかった。 伊藤計劃が早逝したのは本当に残念。もっとたくさんの作品を読みたかった。

    0
    投稿日: 2025.09.19
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    久々に手に取りました。 返す返すも日本は天才を早くに喪ってしまいました、痛恨の極みとはまさにこのことか。 この才人でも時代という制約を感じさせる設定もなくはない(解説を読むとその感を強く意識せざるを得ないかと)ですが、それを超えた普遍性というか先見性が尋常ではない。 おそらくは完全に弱肉強食が剥き出しになって究極の既得権益の保持を隠そうともしない現在、そしてこの先の方が読む意義があると思われ。 この作家のもっと大きな法螺話を読みたかったなぁ。

    0
    投稿日: 2025.09.14
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    とても静かに話が進んで行きます。 知り合いの方を殺さないといけないのが、せつなかった。ただ、父親を殺された時も淡々としていたのは、13年も会っていなかったからだろうか? 〈ベストセラー『虐殺器官』の著者による“最後”のオリジナル作品〉 これは、“人類”の最終局面に立ち会ったふたりの女性の物語——急逝した著者がユートピアの臨界点を活写した日本SF大賞受賞作 ※本文中にHTMLタグのような表記がありますが、これは本書の仕様です。

    16
    投稿日: 2025.09.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    体の中に入れられた「WatchMe」のおかげで病気がなくなった世界。 危険な事も先回りして勝手に回避され 個人情報も常に公開されている社会の中で、人々はお互い慈しみ支え合い暮らす。そんな少し未来の話。 3人の女子高生、トァンとミァハ、キアンの関係とか、ミァハの存在感に掴まれます。 トァンの退廃的でちょっと投げやりな感じ、そしてミァハに傾倒している感じも…ビジュアル的にも「真紅のコート」だし! こんなふうにキャッキャと読んでも、雰囲気やストーリーに浸れて、うすら寒さも感じて、ホントに面白いのですが 何やらわかる人にはわかるものすごい仕掛けがあるらしいですね! 〈えー?〉 どなたかの解説を読んで 〈鳥肌〜〜〉 となりました。 〈あまりわかってはいない〉 伊藤計劃が病床でこれを書き上げたと思うと、さらに複雑な気持ちになります。

    1
    投稿日: 2025.09.01
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    ちょこちょこ科学的なのに,自意識みたいな非科学的なところに重点を置いているストーリー性が良い。 2025年17冊目

    0
    投稿日: 2025.08.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    久しぶりに紙の本でSFを読みました。そのため、読み疲れしました。ただ、この世界から病気というものがなくなったらどうなるのかということが書かれていて面白かったです。作者が36歳でなくなっており、賞を受賞しているが、直接受け取っていないことが解説に書かれていました。そういう背景もあり、この小説に繋がったのかも知れないと想像すると色々考えるものがありました。

    0
    投稿日: 2025.08.16
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    途中から混乱してきたのでまた、再読する。 調和のとれた世界を目指す事で意識が消滅につながる。 今の現代と重なるところもあり、SFを面白く感じさせてくれた。

    0
    投稿日: 2025.08.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ふとした時に読み返したくなる、大好きな作品。 私にとって、この小説の世界はユートピア風のディストピアである。そんな不穏な世界を読んでいるとなぜか心が落ち着く。 極端に行き過ぎた世界を目の当たりにすることで、むしろ自分が本当に望んでいるものと、そうでないものとがはっきり浮かび上がってくるからかもしれない。 「WatchMe」と「メディケア」によって基本的に事故と老衰以外で人が死ななくなった世界。国家や政府がなくなり、自分と他人の健康を最大限に尊重する〈生命至上主義〉が前提となった世界では、争いも起こらない。 若くして病気で亡くなった著者の伊藤計劃さんにとって、誰よりも健康な身体は切実に欲しいものだったはず。ところがこの物語は、その完璧な健康管理システムに馴染めず、あえて反発する主人公トァンの一人称で語られる。 人工的にコントロールされた絶対的に平和な世界がもたらす、目に見えないストレス。 「真綿で首を絞めるような、優しさに息詰まる世界」という表現が、まさにしっくりくる。 「俺は人生を愉しみたいんでね、システムの穴はできるだけ探し出すことにしている」 トァンの協力者が放ったこの台詞がとても好き。 どんな世の中になろうとも、自分自身で良し悪しを判断し、決定権を手放さないことこそ、人間らしく生きるということなのだろうと思う。

    36
    投稿日: 2025.08.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    重いSF(想像の域を超えすぎているもの?スターウォーズみたいな、もうそれはその人にしか思いつくのも無理や!みたいなの)は割と苦手で、SFという先入観で読み入ったので自分に合う作品かかなり不安だったけどとても面白く読めたので嬉しかった。 ただ、本の前半35%ぐらいは割と世界観の説明づくしで物語としては詰まらなかったかな。後半はその世界の解像度がグンと上がってテンポよく読めたのでおすすめ。 内容は人類がほぼすべての病気を克服したらどうなっていくだろうという思考実験を物語にしました!みたいな感じ。 伊藤計劃は初めて読んだので、とにかく理屈と予測が丁寧でそれでかつ読みやすいように没頭しやすいように物語として登場人物でまとまりとフローを作り上げている作品だなと思った。 2010年の作品とは思えないぐらい、当時から社会の片鱗というか流れが変わっていないのか伊藤計劃の予測が卓越していたのか。両方だろうな。読んでいる最中から終わりまで現代のSNSとか社会の在り方を考えられる作品だったかなと思う。

    0
    投稿日: 2025.08.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    初・伊藤計劃 SFが本当に苦手!!! https://note.com/kksk/n/n3a2e6bf50ec6 https://hiddenstairs.hatenablog.com/entry/2025/07/30/104020 (いずれでも内容は同じです)

    2
    投稿日: 2025.07.30
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    普段、重厚なSF小説を読み慣れていない為、最初は世界観に入り込めるか不安だった。しかし、少しずつ舞台である世界の常識や歪みが分かってきて、丸ごと楽しんで読むことができた。 自意識を手放すことが本当の幸福なのではないか、という点まで行き着いてしまうのがすごかった。自意識があるからこそ選択に迷う。意識がなければ自明である、という所までいってしまうのがゾクゾクして、終盤は一気読みしてしまった。 中盤、徹底してロジカルに構成しながら、トァンの一人称で進むのでエモーショナルな点もきっちり味わうことができるのが良かった。 終盤は、いきすぎたロジックでしか魅せられない景色まで連れて行かれたような感じがしてゾクゾクした。

    1
    投稿日: 2025.07.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    永遠と人々が思っているものに不意打ちを与えたい ミァハが自殺に成功したというのは母の嘘? ミァハが死んだものと思っていたからトァン父がミァハを無毒化した液体を人々のMedicareに組み込むことで思想が蔓延する…みたいな話かとあたりをつけて読んでいたので、根幹的なテーマはずっと徹底されていたけれど少し難しい部分がややあって手放しにうおー!という読了感ではなかった 意思を持たなくても自明だけで人は生きられるというのは、現代の私には想像もつかないな… 虐殺器官の地続きでクラヴィス•シェパードが巻いた虐殺の種が開花した後の世界として書かれていたのが虐殺器官好きとして嬉しかった〜

    0
    投稿日: 2025.07.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『ハーモニー』、めちゃくちゃ面白かった! 世界観の設定がぶっ飛んでるのに整合性がとれててすごすぎる。意識とか、「わたし」であることの意味を改めて考えさせられて、かなり楽しかった。意識のないユートピアが最後には実現されていたけど、だからこそ私は意識の非合理性の美しさを再確認した。ハーモニーっていうタイトルの意味がわかったとき震えた。極論で理想論的なものではあるけど、そんな世界が実現したら本当にこんな感じなんだろうなぁとリアルに感じられて凄かった。ジャンルはSFではあるんだろうけど、それ以上の重いテーマを感じられてかなり良かった。 あとは、文章の表現やテンポ感が面白くて好きだった。コードで表現されてるのは言わずもがなだけど、要素を列挙したり、ある要素をいろんな言い方で表現し直していたり、音の表現が印象的だったり、この作家さんの特徴なのかもしれないけど新鮮でワクワクした!登場人物たちの名前が現代社会の日本人のものとは違うのも、SFっぽいというか、平行世界のような感じがして好きでした。

    0
    投稿日: 2025.06.04
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    何度も読んでいる。 生きているなかで息苦しさを感じた時に、 真っ先に手に取る本。 今回の再読も、やはり心の居場所になった。 お守りのような本。

    8
    投稿日: 2025.05.21
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    思いやりと健康に満ちた美しく「完璧」な世界。 そんな世界でも、自分の感情や意識が世界と同じ方向を向き同調出来ていないと息苦しさを感じる。 その苦しさは当人にとっての真実だ。 優しさは、対価としての優しさを要求する。 そう感じてしまっている時点で、ミァハやトゥアンは「ハーモニー」の世界では異質だった。 「意識があること」をどう捉えるかによってハッピーエンドともバッドエンドとも捉えられる。 読み手が置かれている状況によっても解釈が変わるだろう。 自分は、あんなにハーモニーの世界を像をしていたミァハがこのような結末を選んだのには、「異物」でありつづけることへの孤独や慢性的な疲労や絶望によるある種の自暴自棄にも感じた。

    0
    投稿日: 2025.05.15
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    体内デバイス「WatchMe」で体内を監視し、コンサルやアドバイザーによって日常生活が完璧に設計され、他者を気遣う精神が根付く世界。 自分は「何のために生きるか?」「極限まで調和した社会が幸か不幸か?」と投げかけられる一冊。SFとしてもディストピアとしても設定が細かく世界観が作り込まれていてとても面白かった。 プログラミングのような独特な本の進行もちゃんと意味が有り◎ ↓(以下若干のネタバレ含む感想) 個人的には完璧に社会が調和し、幸福も絶望も戦争も経済も無くなった場合、社会は半永久的に続いていくように思える。しかし調和した社会は病気や自殺が無くても外部からの脅威(自然災害や致命的な疫病。調和した人類は8割なので残り2割の人類によって疫病は起こり得るかも?)によって全滅する可能性はあるなと考えた。 調和した社会の「継続」は「停滞」であり「停滞」は「衰退」であるとも言える。

    0
    投稿日: 2025.05.06
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    ■キャッチコピーを書くとしたら 「徹底された健康で文化的な最低限度の生活は、最高の幸福なのか?」 ■共感したところ 痛みや悩みを取り除くことは、息苦しさも生む。 取り除くのではなく、何とか折り合いをつけながら生きていくのが人間らしい生き方なんだと思う。 でも人間は欲張りだから可能ならやってしまうんだろうな。 ■他の人に勧める理由 人としてどうあるべきか。それを考えさせてくれるから。本作の社会的価値観に同意する人もいるだろうしそうでない人もいると思う。共通テキストとして最適。

    0
    投稿日: 2025.04.29
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    この作品を読めば、なるほど、今の日本SFをポスト伊藤計劃と呼ぶのに相応しい事がわかる。 これはディストピア?それともユートピア?あなたがきめるべきだ。

    1
    投稿日: 2025.04.27
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    「WatchMe」というシステムは、単なる健康管理のテクノロジーではない。それは人間の身体を完全に可視化し、管理可能なものとして捉える装置として機能する。注目すべきは、このシステムが強制ではなく、むしろ人々の「善意」によって受け入れられていることだ。健康で長生きしたいという願望が、存在の根本的な変容をもたらすトリガーとなる。 トーアン・チュオンは自身の体内に「メディカルケア・ターミナル」を埋め込まれた存在として描かれる。しかしそれは単なるサイボーグ化ではない。彼女の身体は、テクノロジーと生命が不可分に結びついた新たな存在様態を示している。そこでは「自然な身体」という概念自体が意味を失う。すべての身体活動が数値化され、最適化され、管理の対象となる。 「大きな調和」と呼ばれる世界的な管理体制は、特異な時間性を持つ。それは未来への強迫的な指向性を持ちながら、同時に永遠の現在として機能する。病気や死からの解放は、時間の終わりを意味する。完璧な健康の維持は、変化のない永続的な状態を生み出す。この停止した時間の中で、人々は生の本質的な不確実性から切り離される。 注目すべきは「優生的な天使」という存在だ。彼女たちは管理された生の極限的な形態として現れる。完璧な健康、完璧な遺伝子、完璧な精神性。しかしこの完璧さは、同時に存在の可能性の極端な制限をも意味する。彼女たちは「生きている」と言えるのか。それとも生の可能性を完全に失った存在なのか。この問いは作品全体を貫く。 ミアッカは特異な反抗を試みる。それは単なるシステムへの反逆ではない。むしろ、管理された生そのものへの根源的な異議申し立てとして理解できる。彼女の自殺未遂は、完璧な健康という価値に対する根本的な疑義の表明だ。それは「生きる価値のある生」という概念自体を問い直す行為となる。 記憶の問題も重要な位置を占める。WatchMeは身体だけでなく、記憶をも管理の対象とする。トーアンの「消された」記憶は、システムによる存在の根本的な改変の可能性を示唆する。記憶の操作は単なる過去の改変ではない。それは存在の連続性そのものを危うくする。 言語もまた特異な変容を被る。管理社会における言語は、極度に機能的なものとなる。感情や曖昧さを排除し、すべてを数値化可能な形で表現しようとする。この言語の変容は、存在の様態の変化と不可分である。人々は自分自身の体験を、システムの言語でしか語れなくなる。 空間の描写も示唆的だ。完璧に管理された都市空間は、あらゆる偶然性が排除された人工的な環境として現れる。しかしその完璧さは、同時に不気味さも帯びる。人々は快適さと引き換えに、環境との生きた関係を失う。空間は単なる機能の集積となり、存在の場としての性質を失う。 最も重要なのは、「善意の専制」という主題だ。システムは人々を病気や死から解放するという「善意」に基づいて機能する。しかしその善意は、同時に存在の可能性を根本的に制限する。完璧な健康と引き換えに、人々は生の本質的な不確実性、つまり「生きている」という感覚そのものを失う。 伊藤計劃は、このようにテクノロジーによる存在の管理という設定を通して、人間の生の本質を問い直している。それは単なるディストピア小説ではない。むしろ、現代社会に既に潜在している傾向を極限まで推し進め、人間存在の可能性と限界を探る試みとして理解できる。完璧な管理が約束する「幸福」は、同時に存在の本質的な可能性の喪失をも意味するのである。

    0
    投稿日: 2025.01.04
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    著者のデビュー作の虐殺器官に通ずる作品で、ミステリー要素とSF要素が本当にうまく絡み合っている。 生とは?死とは? 生きること、生かされること、 どちらが幸せか?人間らしいか? 今の保険制度もいずれ、こうなるのでは?と、感じてしまう。 著者の経歴を知った上で、是非読んでいただきたい作品

    0
    投稿日: 2024.12.21
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    なんだこれ!おもしろすぎる! これが感想というのもアレだけど、素直に読後の興奮を残しておきたい。 哲学的で非現実的で現実的。幸せとは… きっときちんと理解できていないだろうけどそれで良い気がする。

    0
    投稿日: 2024.11.09
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    自分の中で伊藤計劃ブームが再燃。10年ぶりに再読。 読んだ後にアニメ映画も見て気付いたのだが、 これは『人狼 JIN-ROH』ですわ。 ざっと共通点を挙げると、 1.死んだと思っていた女性が生きていた。 2.その女性はテロリストである。 3.主人公はその女性を愛している。 4.クライマックスにおいて、主人公はその女性を撃ち殺さねばならない。 意識とか高度医療社会とかに目を奪われて、物語が押井守原作のケルベロスサーガである『人狼 JIN-ROH』をベースにしていることに10年ぶりに気づいた。

    0
    投稿日: 2024.11.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

     私はこの本を読んだ、が、物語を受け入れられなかった。どうしてだろうか。この物語の中で世界は見せかけの優しさと倫理に支配されている。絶対的な健康を強制され、全てが管理される社会。そんな社会の中で主人公が感じている閉塞感が私にとって他人事には思えないからだろう。誰も傷つけないように、自分も傷つかないようにと他人との深い関わりを拒み、全てを薄いオブラートで包み始めている。私達の社会が迎える結末も案外この本と同じなのかもしれない。それが良いことなのか悪いことなのか、まだ私には判断がつかないけれど。

    1
    投稿日: 2024.08.31
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    『SF超入門』で紹介されていた本。 とても読みやすくて、設定が面白いので物語に入り込んでしまう。 全国民の体内に「WatchMe」が埋め込まれ、各個人の病気や病気の発症をも管理することができるようになり、人間は病気では死ぬことがない世界。 自分は持病があるので、そんな世界は羨ましいと思いながら読んでいた。 でも読み進めるうちに、その世界は本当に幸福なのか?と思うようになっていく。 健康とは?管理され過ぎる社会とは? 色々考えさせられた。 Audibleにて。

    59
    投稿日: 2024.06.05
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    めちゃくちゃおもしろい! 言語化が難しいが、身体が熱くなって動悸が速まる、そんな物語。 社会のリソースとして「生命主義」を敷く生府という構造は、フーコーの「生権力」論による。フーコーの著作を読んで唸らされた諸事象が、フィクション作品として再度衝撃を与えてくれた。その他にも、自由意志・意識・死といったテーマが扱われているが、これらのようないわば陳腐なテーマも、読者にとって新たな側面で描き出されていて、改めて考えさせられるよいきっかけとなった。 もし自分が「メイルストローム」を止められるなら、ボタンを押すだろうか。『三体』の葉先生と同じ状況だ。人間なんてどうしようもないのだろうか。綺麗事で片付くものではない。

    1
    投稿日: 2024.05.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    虐殺器官とはまた違った趣。より哲学に振り切った内容になっていた。管理社会だったり、人間の意識の必要性など、十年以上前の作品とは思えない斬新さ。SF苦手って人でも読めると思う。

    24
    投稿日: 2024.05.03
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    人生ベスト3に入るSF作品。数年ぶりに再読しましたが、世界観もキャラクターも好みすぎて何度読んでも面白い。最高の作品です。 「健康であるとは何なのか」「他者を思いやることはどこまで正しいのか」といったテーマが、ハーモニーでは常に提示されます。もちろん健康である、他者を思いやること自体は悪いことではありません。むしろ推奨すべきことだと思います。しかし、そのためにあれもダメ、これもダメとルール付けし、個人の自由を縛っていくことは本当に良いことなのか。互いに支え合うためという名目で、我慢し続けることは正しいことなのか。もしそれを正しいとすると、「わたし」という個々の意識は必要なのだろうか…。 なんて、考え出すと止まらなくなってしまうんですが、読み返すたびにそんな思考に至るのが、ハーモニーの魅力の一つかもしれません。このテーマに対する正解はないと思いつつ、だからこそ議論したらとても楽しいと思うので、ぜひ誰かと感想を語り合いたいですね。

    12
    投稿日: 2024.04.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人間に意識や意志は必要か、そうでないか。最後まで読んでも自分の中で答えが出せなかった。 争いもなく自死もない世界は望ましいのだけれど、「わたし」というものが無くなったら、それは生きている意味があるのだろうかと悩んでしまう。時には自らを傷つけもするこの自我を、どれだけ厄介であっても、持ってしまった以上は捨て去る勇気は出ないだろうなと思う。 読んでいる最中、病気や体調不良をなくしたいという気持ちと、空気を読むなんて真っ平御免、何にも指示されたくないという気持ちが拮抗してつらかった。 ユートピアでありながらディストピア。少女が夢見た世界を、少女自身は見られなかったのが切なくて、でもその決断をしたトァンのことも嫌いになれなかった。私の印象では、終盤でトァンがどんどん魅力的になっていった。真実を知ることでシンプルになっていったのかもしれない。大人になったとも言える。ミァハを神格化する向きが無くなったからかもしれない。 最終的に色んな要素が削ぎ落とされ、ミァハとトァンの個人的な話になっていくところが良かった。世界を元少女たちが動かしているという、すべてはあの、本気かどうかも分からないたわいもない会話から生まれたのだと思うと感慨深かった。

    3
    投稿日: 2024.03.27
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    ・こちらのほうがなんとも残ってる ・重い本を持つことは社会的正義に反する ・ワッチミーによる完全監視社会 ・こどもは守られなければならない ・スコアリング ドミネーターみたいな社会感 ・キアン、ミァハ、 ・ひところしのほんは良くない ・リソース意識 ・さよなら、わたし、さよなら、たましい。

    1
    投稿日: 2024.01.14
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    ユートピア感のあるディストピアの話は個人的にとても大好き。終わり方も最高に好き。 戦争や暴力、疫病や無秩序は間違いなく人の不幸を招くけれども、逆に振り切れば(完全な健康と秩序)人類は幸せになれるのか。「病気にならないこと」と「病気になることが許されないこと」は似て非なるものではあるけれど、じゃあどうすれば人類は幸福になれるのかと言われると難しい。社会性とプライベートを両立させるためには、人は傷つきながら進むしかないんだろうな、と思う。

    1
    投稿日: 2023.12.16
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    SF小説が少し苦手ながらも一気に読了。壮大なストーリーでまだまだ余韻が抜けません。こんなユートピアは厭ですね……。ありきたりな言い方出すが、色々と考えさせてくれました。文章が好き。ミァハの、孤独への持久力は紙の本がいちばん頑丈、という意見に頷きました。

    1
    投稿日: 2023.11.03
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    勧められなかったら読まなかった本。 すごい完成度の高い未来の世界に次々と予測出来ない事が起こる。 この世界ならではの少女達の自殺の動機。 なかなか斬新な一冊。

    2
    投稿日: 2023.10.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    何度読んでも面白い!優しさに殺される世界の少女たちの話。 世界を巻き込む規模の話で、最終的に世界は大きく変わってしまうけど物語の形としてはひたすら主人公の個人的な話で、セカイ系だな〜としみじみ トァンが良いキャラしてる。好き。 なんのために考えて生きてるんだろうってたまに思考するけど、そういうものをロジカルに突き詰めたSFでとても引き込まれる。 最後は世界が幸福で満ち溢れる「ハッピーエンド」だけど、意志をもつ私たちからしたら素直にそう受け取れないのも良い。

    1
    投稿日: 2023.10.17
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    人が病気にならない世界。 身体は社会皆の共有物で大切にしなければいけない、ボランティアにも倫理活動にも出ないと可視化された評価が上がらず信用を得られない世界。1984みたい、と思った。 高度過ぎるシステムが人の意思を自在に制御でき、好きに自殺させられるようになり、社会的大混乱を起こす。これを解決するには、合理的判断を最大化し結果無用の長物となった意識を排除するしかない。 意識を残したい主人公が勝利?するかと思ったが、結果意識は無くなった。敵?のやり方はともかく、目的には納得する形。まぁ、、、そっか、なるほどって感じ。 リアリティーもあって、展開も早くとても面白い! 満足です。

    3
    投稿日: 2023.06.17
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    ・SF長編と聞いて難しそうに思っていたが、主人公の一人称視点と、あくまで僕らが住む世界のifの延長線上として描かた世界観で、すんなり読み進めることができた。 ・ヒトの幸福や意志についての堅苦しい内容ばかりかと思いきや、少年漫画のようなハラハラドキドキする展開もあって、ワクワクしながら読めた。 ・変に希望的展開にはせず、この世界のこの状況で成るべくして成った。といったラストだったので、個人的には満足。 ・この作者の作品は初めてだったが、以前に出版された「虐殺器官」が、本作で登場する大災禍に至る物語らしいので、ぜひ読んでみたいと思えた。

    3
    投稿日: 2023.06.06
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    詳しくは収まらなかったので自分のメモにて 不思議と、これを読んだあとに何カ国か旅をして日本に帰ってきた時、清潔感がある整ったインフラや健康志向の色々なものに対して、既視感のある息苦しさみたいなものを感じた。トァンが言っていた感覚に少し近かったのかもしれない。

    4
    投稿日: 2023.04.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    超厚生社会、生命主義など新たなステージの人間社会をSFチック、ミステリアスに描かれている。 主人公トァン、カリスマなミァハ、突然自死するキアン、この3人の少女たちが感じる生きづらい空気、これは現代にもある空気と思った。 平和世界のストレス、とても面白い。 また、プログラムのように書かれた文章が、意識のない世界を表現しているのかとも思った。 読んでいて、登場人物たちは相当頭が良いし、それを書く著者の頭の良さ(?)を感じた。 伊藤計劃の違う著書も読んでみたい。

    0
    投稿日: 2023.03.06
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     映画が発表され、原作があると知って手を出しました。 (……と記憶していますが、いかんせん、だいぶ昔の話なもので)  映画版はEGOISTさんの曲がとても良かった。とても。『Ghost of a smile』は、この作品にとてもとても合っていました。  漫画版は、読み返すたびに、最終巻で、なんでだか、泣いてしまいます。  ふたりの、おんなのこの、おはなしなのです。  おんなのこ、と形骸化させてしまうことは良くない、と思うのですが、そう、あらわしたい、ものがたりだと思っています。  『生きる』とは何か、というおはなし。  血潮にまみれても、愛するひとが遠くにいってしまっても、先を見据えるのか。  たくさんの血と、たくさんの死とがあふれている、ちいさくておおきいものがたり。  「『生きる』ために『誰かを殺せ』」と言われたら、あなたはどうしますか?  → じさつする  → ひとをころす  → ほかのみちをえらぶ  『虐殺器官』から色々読んできましたが、この『ハーモニー』が、伊藤計劃さんの作品の中では一番好きです。読みやすいというのもあるかもしれませんが。

    0
    投稿日: 2023.02.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【結末のネタバレあり】 巻末インタビューで著者が「敗北宣言」と述べているように、結論部分については、正直物足りなさが残るラストとなった。 個人的に一番気になったのが、ミァハという人物が、本当にこのような結論にいたるのだろうかという疑問である。 ストーリーではミァハは、生まれつき「意識」を持たない民族だったと明かされる。 そのため、全人類がミァハの民族のようになるだけと考えれば納得はできるのであろう。 しかし本当にそうと言えるのだろうか。 父のヌァザは、「社会と完璧なハーモニーを描くように価値体系が設定されている」と述べている。 つまり多様性の失われた、ひとつに価値観が統一された上での、意識の喪失ということになる。 このようなプログラムをミァハは肯定するのだろうか? 例えば、ミァハの一族がこの都市に住むか?と問われたとする。 はたして、全ての一族がここに住むことを選択するだろうか。 中には合理的な思考を経て、住まないという選択をする者が出る可能性も否めないはずだ。 人々から「迷い」を取り除いても、正解はひとつではないのだから。 他の例で考えると、無我の境地に達し、悟りを開いた僧侶たちが、この世界に訪れたとして、仏界(浄土)に辿り着いたと感じるのだろうか。 その場合も、ただロボットのようにプログラミングされた人々が暮らす都市を見て、憐れみとともに静かに通り過ぎるだけではないかと私は思う。 意識を失うということは、生き続ける意味も失うともいえるはずだ。 本来であれば(価値体系の設計がなければ)、食事を摂る意志を無くしそのまま餓死するものが現れる可能性だってあるのだ。 (WatcMeに感知されるだけだろうが) そのような観点から、この結末はミァハがたどり着くべき結論ではなかったような気がしてならない。 インターポールのヴァシロフは死の間際にこう言う「こいつが痛みってヤツなんだな。WatcMeとメディケアめ、人間の体にこんな感覚があるなんて、よく隠しおおせたもんだ。腹の立つ話だとは思えんかね。」 このような発想を持つ集団が、このような結末を望むのだろうか。 恐らく、もし著者に時間があれば、もっと時間をかけて結論を探すことができたのであろう。 しかし残念ながら著者に時間は残されていなかった。 著者による「敗北宣言」という言葉を聞くと、どうしても他の結末というものを考えてみたくなってしまう。 大変身勝手なこととは思いながらも、僭越ながら異なる結末というものを私なりに考えてみた。 以下が私個人としての結論案である。 ---------------------------------------------------------- ミァハは、自ら書いたプログラムにある細工を施していた。 プログラムが歌い出した瞬間、全ての人類に選択肢が示される。 社会とひとつになれば、全ての苦しみや恐怖から解放されます。 あなたは、あなたという意識を捨て、生命主義社会とひとつになって、生き続けていくことを承認しますか? Yes/No 生府の老人たちや、螺旋監察官たちは、想定していなかった事態に一瞬戸惑いはしたが、迷いなくYesを選択した。 (ウーヴェのようなものたちを除いて) 今回の事態に怖れを抱いていた者を中心に、医療社会に生きる多くの人類も、同様の選択をした。 そして、Noを選択した人類には、ミァハからのメッセージが示された。 「さあ生きて自由にハーモニーを奏でよう」 その後の社会では、紛争もまだ続いている、自殺だってその存在を消してはいない。 しかし、『空気』と呼ばれていたものは、もうそこには存在しない。 この社会では、お酒を飲んでいる者を見ても、誰も見向きもしない。 もちろん、司法は存在している。 殺人を犯せば罪に問われるように、飲酒が違法な地域や年齢では罪を償わされることになる。 しかし、空気という形で人々から自由を奪うことは、できなくなってしまった。 偏狭な生命主義者も、それを他者に押し付けるために必要な「意識」を失ってしまったのだから。

    1
    投稿日: 2023.01.05
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    伊藤計劃。その人は、デビューしてからわずか2年で34年の人生を終えた。 本作は彼が亡くなった後に日本SF大賞を受賞した作品。 私はSFには疎く普段は手に取らないのだが、書店に平積みされた真っ白な文庫が目を惹いたのと、帯に書かれた「人間は、なぜ人間なのか。」「病床で遺した最後の長編」にその場でショックを受け、チラリとページを開いた。 飛び込んできたのはプログラミングのような文字の羅列。 すぐさま購入した。 理想郷ユートピアをめぐる少女たちの戦い。 まだ無垢で、純粋に懸命で、それでいて妙に冷めた大人の一面も持つ少女達の危なっかしさが、悲しくも美しい。 そして怖い。 ユートピアとは名ばかりの、見せかけの「善」。 人間として健康な身体で生きていくとは、どんなことなのか。 人間が持つ欲望、個々の意思、行きすぎたそれらは悪なのか。 では行きすぎるとは? 絶対的な統制の方こそ、悪なのではないか。 全てを善悪では片付けられない。 今この現在に生きている私達でさえ、どこまで統制を目指すのが正しい社会なのか判断するに難しい状況に出くわす。 秩序とは時に強制にならないか。 いやしかし「自由」は歯止めが効かなくなる恐ろしさも孕んでいる。 本書は、読み進めている間も、読後も、私達に疑問を投げ掛け続ける。 そしてプログラミングのような文体の意味が分かった時にやってくる、深い納得と、悲しさと、違和感。 そして文學界から既に失われてしまっている、伊藤計劃という才能に想いを馳せずに居られない。 病と生が共にあったのであろう彼にしか書けない作品だ。 小説の奥の奥に、彼自身の人間としての戦いや答えのない疑問が渦巻いているようで、 読み終えてからも暫くは、ハーモニーの世界から抜け出せない私が居た。

    2
    投稿日: 2022.08.30
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    おもしろかった。 個人としての尊さが消え去ってひとつの全体になってゆくことがディストピアではなくユートピアのようなものとしておとされ(一応は)この物語が閉じられることに妙な違和感と妙な心地よさの入り交じりをおぼえた。 あとこれは本当にわたしが言ったってしょうがない要求ですが、ウーヴェ、もっと前から登場しててほしかった!!とおもった。

    0
    投稿日: 2022.08.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「作家刑事毒島」に作者の名前が出て来たので。 「虐殺器官」の方が先に書かれた本のようだが、 こちらの方が先に入手できたので。 正直、難しいところはよくわからなかったが、 現代の平和な、だが、閉塞的な空気感をよく表している世界だった。 もちろん、子供が怪我をしないようにジャングルジムがぐにゃぐにゃと曲がる、 人体にはメディカルポートが埋まっている、 未来のお話なのだが。 しかし、そこに違和感はない。 食べものからの栄養を拒否する薬を作り飲んで自殺した友だちと、 大人になって久しぶりに会って食事をしている最中に、 ステーキナイフで自殺をした友だちと、 かつて三人で死のうとした主人公。 人びとの健康と命が管理され、痛みも不快感もない平穏な世界に、 突如として、自分が殺されないために人を殺せとメッセージが出回る。 「自由意志」を示せと。 はるかに進んだ医療を持つ未来のSFでありながら、 行方知れずの父親を追うミステリーでありながら、 印象に残るのは、共感というか、好感というか。 この空気感を表現する力は、自分には無い。

    0
    投稿日: 2022.07.20
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    10年以上も前に書かれたものだと思うと、なぜこんな未来を想像できるものなのか、と驚いてしまうくらい設定がすごく面白い。 watch meは今のApple Watchみたいなものだし、度の行き過ぎた健康志向、心身共に平和に穏やかにいようと言う風潮も、今の時代に十分ある。

    0
    投稿日: 2022.06.16
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    SFってひたすら未来的な世界のイメージだったけど、こんな『意識』と『意志』についてのSFは新鮮だった 『ハーモニー』によって得られたものと失ったものの物語 伊藤計劃さんの新作がもう読めないのが残念すぎる

    0
    投稿日: 2022.04.24
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    ユートピアとディストピアは表裏一体。 精神と肉体と本能の関係性。 「わたしは逆のことを思うんです。精神は、肉体を生き延びさせるための単なる機能であり手段に過ぎないかも、って。」pp173 「みんなは決めつけてくれる人間が好きなんだよ。何かを決めてくれる、決断してくれる人間の周りには「空気」が生まれる。科学者はそれが苦手なんだ。だって、正しいことっていうのはいつだって凡庸で、曖昧で、繰り返し検証に耐えうる、つまらないことなんだから。」pp209 「人間は絶えず「自然」を抑え込んできた。都市を築き、社会を築き、システムを築いた。全ては自然という予測困難な要素の集合を、予測し統御する枠組みへと抑え込もうとする人間の意志の現れだ。(中略)そして、脳もまた肉体の一部である以上、それを制御してはならない根拠など、どこにあるだろうか。」pp256 「我々の魂とは、進化後その場その場で継ぎを当ててきた双曲線的な価値評価の産物でしかない。完璧な人間には、魂そのものが不要なのだ。」pp264

    0
    投稿日: 2022.02.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    例えば私が考えようとしている公共性、公共圏といったものがすべて満たされるようになった社会を推し進めて行った先がこの世界だったら。私も彼女たちと同様に死を望む気がする。 「わたし」というものが大切にされない社会。あくまで「わたし」が大事なのは公共的リソースだからという意識。 人権は守られなければいけないが、「わたし」に国家が(いや政府ではなく生府が)介入することのえぐさを感じた。 突拍子もない設定のSFというより、今ある社会を基盤に 発展させた、あるかもしれない世界観、というのが心地よい。 なぜ、「あなた」が大切にされなければいけないのか、迷っている人におすすめ。 . . . . . ⚠️ネタバレ含む⚠️ 文中の「わたし」は意思を持たない者へ向けたコード上の「わたし」で、一体なんだったんだろう。読者はトァンの目、脳が文字化(コード化)された羅列を読んでいたようだ。奇妙な感覚。 また、最後老人らによってコードを入力され、この世界には意思が消滅した人間ばかりのような終わり方であるが、WatchMeをインストールしていない子どもは、あるいは紛争地域の人々はどこへ?かれらは「意思」を持つ「最後の人間」になったはずだ。終章を読む限り、トァンらの世界は随分と昔の話で、時代がくだった世界の読者に宛てられたコードを読んでいたことが分かる。でも、その世界の「われわれ」にどうやら意思を、感情を持つ人々は存在しないらしい。 すべてがシステム化され、相互扶助が高められた社会において、「意志を持つ人間」 はもはや人間ではないのか。

    0
    投稿日: 2022.01.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    冒頭からHTMLをもじったETMLに面食らう。 感情を修飾する言語とは一体なんだろう?と分からないまま読み進めて、終盤でようやく理解できた。 『わたし』であることを捨てられたら、感情や記憶に苦しむこともないし幸せかもしれないけど、それがユートピアだとは認めづらいなとも思った。だからトァンの選択には賛同できたが、キアンとヌァザに対する感傷がそれほど感じられなかったので、復讐する動機は弱い気がする。 ミァハの境遇は、ひどく耐えがたかった。身体の尊厳を守るために意識を生み出さざるを得なかった…というのは自分の実感としては逆ではないか?という気もするが、このへんは著者自身のことと肉薄しているように思う。

    0
    投稿日: 2022.01.14
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    文学ラジオ空飛び猫たち第23回紹介本。 ラジオはこちらから→https://anchor.fm/lajv6cf1ikg/episodes/23-en365k ダイチ 『虐殺器官』よりもさらに完成されている印象で、それを読みやすく小説にしているのがすごいと思いました。『虐殺器官』あっての『ハーモニー』だと思うので、順序としてはさきに『虐殺器官』を読んでほしいです。未来の監視社会において人間のあり方を問いている小説で、結末に対していろいろな考え方が持てると思うので読者は意見を触発されると思います。 『虐殺器官』同様、SF初心者でも読みやすいです。ただグロテスクな描写もあります。アニメ化もされているのでアニメから入ってもいいと思います。 ミエ 人間とは何かを描いていて、SF小説ならではの思考実験が楽しめます。完璧に調和された世界に個人の意識は存在しない、という問いたてを小説におもしろく落とし込んだ伊藤計劃さんはすごいと思いました。ラストの喪失感は『エヴァンゲリオン』の人類補完計画を観ていたときの感覚に近いです。個人的には『虐殺器官』より『ハーモニー』の方がより緊張感が伝わってきて惹かれました。 伊藤計劃さんの小説はまだまだ古びないと思います。世の中がシビアになればなるほど読者と通じ合うものがあると思います。

    0
    投稿日: 2021.12.30
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    エヴァ観た日に、伊藤計劃『ハーモニー』読了。 ミァハの自分勝手さとかトァンの振り切れない甘さとか人間誰しも持ってるような、決して「良い」とは言えないような部分が光る

    2
    投稿日: 2021.06.04
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    10年も前に書かれたとは思えない。いま人類が直面している問題を乗り越え実現しそうな未来の話という感じ。 トァンを中心とした人物相関図は結構複雑で、それゆえに彼女の感じた喜怒哀楽以上のたくさんの感情は非常によい教材となっただろう。意識•意思•感情というものがなくなって、平和になったとして、人間は人間でいる意味があるのだろうか。

    0
    投稿日: 2021.05.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    キアンが実はただの腰巾着ではなく、誰よりも大人だったことに気づいたトァンがそこから真相に迫りつつ、復讐心を抱いていたこと、真相に迫りながら意識、意志の存在を理屈として否定しながらも復讐心という意識の産物を抱えている姿が、どうしようもなく人間らしい と感じることが、ハーモニーであることを妨げる 人は一体であることを望んでいるんだろうか? 少なくとも一体感は大事にされている? だが意識があれば一体となることはできない そして意識を失うことは耐え難い 故に人は一体になれず、一体感を目指して苦しい思いを抱いている ということを切実に描いた小説だと受け止めています

    0
    投稿日: 2021.04.22
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    虐殺器官に引続き読了。 虐殺器官を読んでいたから、読みたい気持ちと怖さがあった。 そして案の定あっという間に引き込まれて、そして今、押し寄せる読後感に圧倒されている。 頭の中を駆け巡る、答えの無い問い。 虐殺器官の時もそうだった。こうやって本を読み終えてもなお、その世界を垣間見ながら考える。本の世界が続いている感じ。 そして何より、作者が死を前にこれを書いていたことを、どうしても意識せざるを得ない。 そうして読んだ時の文章の重みをどう表せば良いのか、それだけの術を私は持ち得ない。

    0
    投稿日: 2021.04.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2010年に書かれたとは思えない本。これからこの本に書かれたようなことが起こっても決しておかしくないと思った。この本を読んでから電子決済が怖くなってしまった笑

    0
    投稿日: 2021.04.10
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    虐殺器官もそうですが、世界観の完成度が高すぎる。 設定や起こる事件はなかなかぶっ飛んでいるのに、今の世界から地続きであり得そうな違和感の無さがすごい。

    1
    投稿日: 2021.04.08
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    細かい部分は読み飛ばしたから完全に理解したとは言えないんだけど、ストーリーの大筋はとても興味深くて面白かった。私はこういう、人間の心理とか、生きることの意味とか難しさとか、考えても答えが出ないような、正解がないような、哲学者たちが考えていたような問いについて思いを巡らすのが好き。ある一つの考え方があって、それに対して反対する人も賛成する人もいて、また、ある一点までは同じ道だったのに途中から分岐することもある。ずうっと昔から変わらないんだろうなと思う。意識が奪われたら生きる意味はないのでは、って、反射的に思ってしまうけど、「意識をもって」「苦しみや喜びを感じながら」生きることにだって意味があるのかと問われたら、どう答えて良いかわからない。その時々で生きるために必要な機能をインストールしながら生存してきた。不要なものはアンインストールされるべきなのかもしれない。進化って不思議で面白い。

    1
    投稿日: 2021.03.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    21世紀後半、大災禍により従来の政府は 生府となり生命主義の健康社会を保つために、 人は大人になると個人用医療薬精製システム (メディケア)を使用し『公共物としての身体』を 大切に扱うというルールの下で生活している。 「ただの人間には興味がないの」(P22)と言い放つ 御冷ミァハ、ミァハに心酔する主人公・霧慧トァン、 2人の友人の零下堂キアンは、自殺を試み、 結果、ミァハだけ自殺は成功する。 大人になったトァンはWHOの螺旋監察官となり、 僻地で世界のルールを犯しつつ働いているが、 日本に戻されてしまう。そして、彼女の目の前で 大事件が起こる。 最後に人類は何を得て何を失うのか。 SFは苦手分野ですが、もともと存在するWHOの 人間が主人公ということもありとても 読みやすかったです。 三人の少女もそれぞれ個性的で全員厨二病かな?と 思わせつつ、それぞれのバックボーンもしっかり 描かれていました。10代なら御冷ミァハのことを 好きになっただろうなー。 スイーツを好きなように食べられず、 やせた人も太った人もいない世界はさぞ 味気ないでしょうね。私には無理だ。

    0
    投稿日: 2021.02.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    選択する必要すらない理路整然とした世界、世界全てが一つとなり、調和した世界。 それは究極の幸せなのか。何もかも「全」となったとき、「個」とはなんなのか。それは「死」とどう違うのだろうか? 感情メタ言語etml記述が、ラストで効いてくる構造がすごい。 HTMLがわかる人なら、感情という概念がない世界で、タグ付けでで感情を指定すると言う表現が実感をもってわかって、とても面白いと思う。

    0
    投稿日: 2021.02.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    前作の『虐殺器官』が合わず、積読すること10年。何を思ったか読み始め、一気に読み通した。 舞台は21世紀の後半。〈大災禍〉と呼ばれる核戦争、その後の未知のウイルスの発生、放射線による癌の蔓延を経て、世界は各国政府による統治ではなく、医療合意共同体である生府による政治形態に移行した。すなわち、健康を至上命題とし、体内に埋め込んだ医療システムによる常時監視である。体に悪いことは警告が発せられ、食事はデータ化、体内の異常にはシステムから自動的に修復プログラムが送信される。これにより、ほぼ全ての病は駆逐され、老いすらも克服されようとしている。ウイルス蔓延後の世界…。今の時期にこれを読むと、どうしてもアフターコロナの先取りをSFがしているように思えてしまう。 ユートピアのようではあるが、一切の嗜好品は禁じられている社会である。人々は、それが禁じられていることにも気がついていない。なぜなら、最初から選択肢にないからであり、何を食べるか、どんな運動をするか、いつ寝るか、そのような選択をすることはシステムに外注しているからである。ディストピアは、本人たちが気が付かないうちにそこに現れる。 身体の監視により、健康に悪い生活習慣を一掃した社会が次に考えたのは、意識の制御であった。脳も身体の一部であるなら、そこから派生する意識をも制御することにためらいはない。苦しみや絶望、葛藤を取り除き、調和のとれた意思を再設定する計画「ハーモーニー・プロジェクト」。その結果は…。 このくだりを読んだ私は、本当に驚き、また納得した。ああ、なるほど、そうなるよね。しかも、そうなっても当人の生存に全く影響はなく、周囲の人間は気がつかないという。怖!怖すぎる。 ラストで、本書はetmlというテキストコードで書かれたものであることが明かされる。たしかに、ところどころhtmlのようなコードが記され、感情を表す英単語が挿入されていた。読書中は変わった趣向だなくらいに思っていたが、実はそれすらも大きな仕掛けであったことが判明する。 今さらながら、凄いSFを読んでしまった。

    16
    投稿日: 2021.01.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    友人に勧められて購入。 初めて読む作家さんだった。 作者が闘病生活の中で作品を書き、その後亡くなっていることを聞いていたせいかもしれないが、文章に隙がなく、キリキリに巻かれたネジのように、自らの命を削って描いている印象を受けた。 近未来、私たちも本作に描かれているように、全てを管理された生活になるような気がしないでもない。 管理された健康で生きていくことは幸せなのか? 疑問を持つことは罪なのか? 考えさせられる。 セットのようになっているらしい「虐殺器官」も読んでみようと思っている。

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    投稿日: 2020.11.23
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    ラストが悲しくも美しい、と思った。 で、何が悲しくて何が美しいのか、を考える。 悲しいとか美しいってなんなんだろう?って。 ステップを踏み、銃口を向け、それぞれの理由のために考え、または感じることで肯定し、否定をすることの譲れなさ。 悲しいとか美しいとか理屈じゃないんだろうけど、そこに割り切れない好き嫌いみたいなのがあって、認めるか認めないかってのが意識なんかなー。 好むと好まざるにかかわらず、出なきゃ行けない出口に向かって行く話…かな。

    0
    投稿日: 2020.09.13
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    よく練られたストーリー。そして充分にあり得るハードボイルドな未来図をみせてくれる。人間最大の欲求の一つである健康を保つために体にインストールされるWatchme。バックドアさえ仕掛けられていなければ自分もインストールしてほしいとさえ思うアイテム。更には意識さえ無効化されてしまう裏コードが仕掛けられていてそれを発動させるために人類を人質に取る発想。個人情報の保護に過敏になっている現代の風潮を真逆にそしてとても説得力を以て描かれている。 最後はなんとも言えない空虚なハッピーエンド。 氏の描く独特な世界観は現代と密接していてとてもリアルな面もあり、濃厚な背景描写からも氏の知識の高さが伺われる。

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    投稿日: 2020.07.05
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    夭折の作家、伊藤計劃さんの遺作。「虐殺器官」よりわかりやすい話だった。不完全な人類の向かう先を描く作品。おもしろすぎた。

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    投稿日: 2020.05.02
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    「わたし」とは何か 「意識」とは何か 「幸福」とは何か グイグイと惹かれて読み進めながら、 めちゃめちゃ考えさせられる、 そんな作品です。 何とも言えない余韻を残すラストも必見。

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    投稿日: 2020.04.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    虐殺器官が好きだったから、これも読んでみたが、どこか気持ち悪さを感じる。 世界観はリンクしていると思うのだが、学生の時か、もう少し年を取ったタイミングに読んだらまたイメージが違ったのだろうか。 主人公たちが、ライ麦畑で捕まえての奴みたいであんまり好きになれない。

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    投稿日: 2020.04.10
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    『すばらしき新世界』と同様の世界観をベースに、安心、安全で、完璧な絶望的世界を舞台としている。生命主義によって身体という個をシステムに同化させ、身体についての個を放棄した世界の中で、最後に人間に残された個である意識についての探究をしている。意識は生物としての自然選択の結果であるという、これまでの人類の有史以来の意識への探究に終止符を打つかのような科学的事実に対し、意識のない世界の効率性と、それに対して嫌悪感を感じざるおえない生物としての人間という感覚を読者に突きつける。また、etmlという空想のマークアップランゲージを用いてテキストが構成されており、それがエピローグでメタ的な構造に繋がっている事で読者と小説内世界との境界さえも曖昧にしていく。SF界に「伊藤計劃以降」という言葉が存在するのがうなずけるほどに完成度の高い、ユートピア的ディストピア小説。

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    投稿日: 2020.02.29
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    途中から、ストーリーが急に方向転換したように感じたけど、すごくすきな物語。 これが1番のすきな台詞。 このからだも、このおっぱいも、このおしりも、この子宮も、わたしのもの。

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    投稿日: 2020.02.21
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    「虐殺器官」で衝撃を受け続けて読んだ長編二作目。前作と毛色は違うが間違いなく傑作。 なんだろう、この作品全体を覆うような違和感。生活感のない部屋の居心地の悪さに似ている。 著者の創造する世界観と言葉や意識を追及する内容が素晴らしい。綿密なストーリー、哲学的なセリフ、現代社会へのメッセージ性。どれをとっても一級品。これ程の才能の持主が早世したのは悔やまれる。純粋にこの人の小説をもっと読んでみたかったという思いだ。

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    投稿日: 2020.01.17
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    イデオロギーとして健康が社会を支配する面白い設定 個人の自我までを失わせて社会化させていくという壮大なテーマに消化不良を起こしている。途中までずんずん読めたのですが。。

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    投稿日: 2019.10.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読み上げた所で、ふと、私は日本現代文化に強く影響されたなと感慨みたいな事を思った。私の思案が『調和計画』に似ている。結果と過程は違うが、目標が略一致だ。御冷ミァハは自然な意識を除去して、人類を統一して、人類が自明に行動する生命主義の社会を創建しようと革命した。私は意識を連結して、人類を統一して、意識が一体化した社会の創設を目論でる。そもそも私の思案の源頭の一つは富野由悠季が思考した新人類が理解し合い得るという着想だ。 批評しなければならない一点は物語を語るが未だ拙い。

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    投稿日: 2019.09.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人間が社会化されて、何もかもがオープンになっていて。誰もが人に優しく。病気もなく。葛藤もなく。 それが、虐殺器官後の世界。 ミァハは「優しい世界」を変えようとするのだけれど、失ったものを取り戻す、のではなく逆の方向へ向かう。 種が存続するためには「個」も「意識」も必要ない、と。 気持ち悪いけど分かるような気もしてくる。 意識のない状態で営まれる世界。 それは存続することに意味があるのか? 何とも言えない… 著者は「この先の言葉をみつけられなかった」と言っている。みつけてほしかったなあ

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    投稿日: 2019.08.24
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    陌先ョコ蝎ィ螳倥b繧ェ繧ケ繧ケ繝。縺ァ縺吶′縲√%縺ョ菴懷刀縺ッ莨願陸縺輔s縺ョ謇崎?繧呈─縺倥&縺帙k邏?譎エ繧峨@縺?ス懷刀縺ァ縺吶?ゅヵ繧」繝ェ繝???趣シォ?弱ョ繧」繝?け迚ケ蛻・雉槭?蜿苓ウ槭b邏榊セ励〒縺吶?ゆサ翫?縺薙?菴懷刀縺ァ髯千阜縺ィ縺ョ縺薙→縺ァ縺励◆縺後?∫函縺阪※縺翫i繧後◆繧峨?√←繧薙↑邏?譎エ繧峨@縺?ス懷刀繧堤ァ?#縺ォ隕九○縺ヲ縺上l縺溘〒縺励g縺?°?滓ョ句ソオ縺ァ縺吶?ゅ?ゅ?ゅ#蜀・遖上r縺顔・医j逕ウ縺嶺ク翫£縺セ縺吶?

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    投稿日: 2019.05.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ユートピアな多分ディストピアの物語 読書中からhtmlのような記述で装飾された文書は、おそらくは感情のない者向けへの記録文書なのだろうと予感させるものであり、その予感はおおむね合っていた。 しかし、これが「人類の意識最後の日」とのエピローグには心底ぞっとさせられた。だって、この世界にはWatchMeをインストールされていない人類がまだ社会を形成できる程度には残されていたはず。WatchMeをインストールされていなければ意識が停止されることはないはず。 つまり、この文書が管理されている世界ではこの日に意識が停止されてハーモニーを形成している人類のみが人類と定義されており、なお意識を持っている存在は「旧人類」として人類の枠からはずしてしまっているのだ。 彼の世界において、ハーモニーと旧人類は共存できているのだろうか。かつてミァハが生きていた意識を持たない社会は、意識を持つ人々の社会と共存していた。だがおそらく、それは圧倒的な少数派であることと意識を持つ人々の意識を停止する手段がなかったことからの合理的な唯一の帰結(選択ではない)だったからではないだろか。 もはや圧倒的多数であり、意識の停止を伝播させられる「人類」が旧人類にどう接するのか。あまり楽しくない光景が想像される。 そんなところもユートピアなディストピア小説として実に素晴らしい。

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    投稿日: 2019.05.02
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    虐殺器官を読んでしまったあとでは色あせて感じるが、面白い。ケアされすぎることに嫌気を感じる感性はよくわかる。そこから発展して頭脳に自殺テロを仕掛けるところまで行くのはぶっ飛んでいるけれども。メディケア用の人体に入れた電子機器をつかってひとの思考を操り自殺にしむけることもできるというのは将来的に本当にあり得そうで、空恐ろしい。

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    投稿日: 2019.02.25
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    ・「生府」による健康管理システム ・生活の大部分を外注化。 ・脳血液関門(Blood-brain barrier):血液と脳(そして脊髄を含む中枢神経系)の組織液との間の物質交換を制限する機構である。

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    投稿日: 2019.01.03
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    生命保全技術の確立でなく 調和の精神へ自らを作り変えた近未来を描く 「人類の進歩と調和」 と来ると次の場面はきんどーさんがキャーといって暴れまわる画が思い浮かぶのだがそれはともかく 真面目で大規模感溢れるまっとうSF  もうひとつ荒削りというか新城カズマ的なライトノベル様なものに足を取られているところが嫌な感じだが エンタメとして読みやすいと前向きにみよう 高く評価されるのは前作『虐殺器官』と本作を並べて先へと連なるところ 単体でも優れているが合わせてこそ この次この先この未来この作者のみる世界で描かれる物語が読みたい作品 失われたものは確かに大きい

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    投稿日: 2018.12.09
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    大変な傑作、と呼ぶしかない。 ここに表されたすべてが凄すぎる。 白一色に塗り潰された表紙に、ぽつりと浮かぶ「ハーモニー」と「伊藤計劃」の文字。 そして、その下に書かれた<harmony/>のタグ。 読了後に改めて見るこの表紙に、軽く震えがくる。 一つ言えるのは、帯を作った人はセンスが無いから仕事を辞めたほうがいい。 この<harmony/>に被せるなんて、ナンセンスもいいとこだ。 「虐殺器官」と本書が対になっていると、解説で取り上げられたインタビューで作者が語っている。 キーになっているのは、人の「ことば」「意識」「道徳」「倫理」。 そして何より「人間」そのもの。その存在。 この圧倒的なまでのアイディアの奔流。 そして、その溢れ出るアイディアを文学作品へと昇華させる筆力。 冷静で客観的に、語り部たる魅力的なキャラクタを造形する表現力。 揺らぐ事の無い、強靭な世界観。 神林長平氏に比肩する才能だったと思う。 改めて、その早すぎる逝去が惜しまれてならない。 もっともっと、伊藤計劃の紡ぐ作品を読みたかった。

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    投稿日: 2018.11.13
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    こんな世の中で良いのだろうか。究極の幸せとはこんなことなんだろうか?幸せがなんだか分からななくなった。幸せになりたいと思っているあなたに一読を勧めたい。この本にある幸せに、あなたは同意しますか?

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    投稿日: 2018.11.12
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    うーん、やっぱりそこまで良いとは思えず。。。おもしろいはおもしろいのだが、評判がよくて期待しすぎてしまったところが。 ヒトの「意識」をテーマにするのは面白いけれど、虚構をホントらしく見せるのになんかもう一押し足りない気がする。 しかし病気で死を意識しながらこういうのを書いたっていうのはなんだかドッシリくる。健康云々ってところじゃなくて、ヒトの「意識」を問題にしているところが。

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    投稿日: 2018.11.05
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    アニメ映画かとかされる前に読んどかないとな。と手を出したモノの、今まで手を出さなかったのなんでだったんだろうね、勿体なかったねと。ただし、今だからこれよんでも精神的に耐えられるという面はあるかもしれない。中学生や高校生の時にこんなの読んだらその後正確どうなったんかなと想像すると期待できるような恐ろしいような。(もちろん当時これは書かれていない)まあ、今は『選択を迷うことこそが意識で有り、俺が俺であるって事なんだ』と安心して迷える気がする(誤読かw)そして、間違いなくこれまで読んだディストピアもので最高だなとも。独裁者も法律も無い。空気によるファシズムなんてのは日本jんにしか発想できないモノなのかなとも。

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    投稿日: 2018.10.14
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    前作の『虐殺器官』に比べると、ちょっと謎解きの部分は劣るかな、とは思いましたが、 まぁ、推理小説ではないので気にしない。 全体的にはこちらもディストピア小説の王道路線をとっていて、読み応えはあります。 途中途中でHTML言語っぽいのが出てくるので、それで面食らう人もいそうですが そんなのは最後の最後まで全然無視して構わないです(ラストでわかるので)。 非常にセンシティブな女の子たちが主人公だということもそうなんですけど 設定そのもの…「医療が高度に発達した末の世界」という設定、そのものが この本全体に漂う神経の細さを物語っています。 その細い神経の最後の1本、つまり 「私(という意識)」をどうするか? というのがテーマなのかな。 肉体的な痛みや苦しみからは解放されても 精神的な痛みや苦しみからはどうしたら解放されるのか。 突き詰めていった先に 「意識」 が横たわっている。 「私が」痛い 「私が」苦しい 「私が」悲しい 「私が」辛い 私が 私が 私が 誰でも 辛くて悲しくて 痛くて苦しい時に なんでこんな気分を味わわなくちゃいけないのかな とまたさらに落ち込んで、 場合によっては死にたくなることもあるけれど その苦痛を与えているものが 喜びや幸福を知り 楽しさや美しさを受け取る場所でもあるんだ、 ということ。 その事実を忘れることはできないし 生きる選択をする以上、それを抱えていかなくちゃいけない。 もうこれを書いている時には作者の病状もだいぶ悪化していて、病院で書くことも多かったとのこと。 その前情報を仕入れて読むと、本当にこう…作者の死生観というか、 「自分が“なくなる”って、何を指すのかな」 という疑問が見え隠れするような気がして、 やはりどこかでそういうのはずっと引っかかってたんじゃないかな、と どうしたって勘繰りたくなってしまいます。 そんでもって 生きる気でいるんだよっていう 宣言にも聞こえるようで。 まぁ 今となっては、 いや、たとえ存命だったとしても、 そんなことは本人以外の人間には知りようもないことですが。

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    投稿日: 2018.10.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    映画観ていたのにラストが解っていなかった。 あぁ、そういう終わりかたしたのか。。。 リアルにありえそうな近未来SF。 意識の無い人間は人間である意味はあるか・・・?

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    投稿日: 2018.09.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人間があらゆる自然を制御出来るようになった世界の話。 最終的に己の自然的要素である意識をも排除してしまうようになるる、という展開には単なるフィクションと思えない説得力があった。例えば、非リアルのマネーで取引するなどお金のあり方が変化していたり、生命を扱う実験が飛躍的に進歩したりと、倫理観が刻々と変化しモノの境界がグラデーションになっている。そんな社会の延長線上にこの作品の世界がある気がしてくる。人間の発展は受け入れながら、この作品と違う世界にするには我々はどう行動すべきなのだろうか。。。

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    投稿日: 2018.06.02
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    伊藤計劃の最後の長編。世界観に入り込むまでは時間が掛かるが入り込めば読みやすい作品。基本的に伊藤計劃はメタルギアシリーズの小島秀夫の影響が強くこの作品にもスナッチャーやポリスノーツの影響が窺える。そういった作品を知っているともっと伊藤計劃の作品を楽しめる。

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    投稿日: 2018.01.06
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     伊藤計劃氏二作目の、そして最後の長編小説。 「METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS」を二作目と数える方もいらっしゃるだろうが、あれはゲームのノベライゼーションなので、あえて省きます。  前作「虐殺器官」の感想に僕は「僭越な言い方を許してもらえるのならば、良い意味でのアマチュアリズムに溢れているように思える」と書いたのだけれど、今回も僭越な言い方を許してもらえることとしてこう書きたいと思います。 「非常に文章がしっかりしてきて、上達したなぁと思った」と。  本当に僭越な言い方(書き方、か)なんだけれど、読み進めていくうちに、「上達したなぁ」という印象はどんどんと強くなっていった。  けっして「こなれてきたなぁ」ということではなくて。  今回の話は「虐殺器官」以降の世界(ただし、「虐殺器官」を読んでいないと判らない、といいうことではない)。  前作でアメリカはメチャクチャになり、国家としてのアメリカは消失。  その後、大規模な福祉厚生社会が築かれ、殆どの病気は駆逐された。 優しさや思いやり、倫理観があふれ出ている、まるでユートピアのような世界。  だが、果してこれは本当のユートピアなのか……といった感じの話。 僕は前作よりもSF的なものを感じた。  そして、前作と同じように、世界感、哲学的とも思える思想、そして作品の構成まできちんと論理立てされている。  そしてロジカルになりすぎることによる息苦しさは全く感じられない。  難しくなりそうな内容を、簡単にどんな人にでもきちんと理解出来る文章で書き表してくれている。  良く言われることだが、簡単なことを難しく言うよりも、難しいことを簡単に表現することの方が難しい。  この作品はまさにその難しいことをやり遂げているように思える。  それにしても、本当に面白い。  前作「虐殺器官」も充分に面白かったのだが、本作はそれ以上に面白い。    本編のラスト、その後のエピローグ。  僕はこの関連がとても印象深かった。  ネタばれになるので詳細は書かないが、仮にエピローグなしで本編のみで作品が終わっていたら、とても心情的で切なく悲しい作品になっていたと思う。  本編のあとのエピローグの存在があることで、シニカルでダークで、一種ホラーじみた読後の印象を残すような作品になったように思う。  このエピローグは、論理的な作品を書いてきた伊藤計劃氏の面目躍如的な存在なのかもしれない。  また、このエピローグによって、本編全体を貫いている仕掛けの謎も明かされる(だから、間違ってもエピローグから本書を読んではいけない)。  本編ラストを簡単に言い表せば「少数の人間の死によるハッピーエンド。心情心理に溢れた美しい風景」。  本編ラスト後のエピローグを簡単に言い表せば「多くの人々の命が救われるダークエンド。あくまでもロジカルで冷やかな風景」。  こんな感じだろうか。  いずれにしても、極上のエンターテインメント作品だと思う。

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    投稿日: 2018.01.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    なかなかハードで強烈な描写もあるのに、ナイーブで繊細な香りがした。感情を表すMarkup言語というアイディアも面白く、一方で何だか居心地が悪い様な、登場人物のミアハやトアンに共感しきれず、でも先が気になって止められない。途中から予想していた結末とは違って、最後はそう来たかあ!という感じ。 ミアハのしたかったこと、ハーモニーの目的、理由は予想を越えて、斜め上の展開だった。ミアハ本人が言った理由は本当の理由なのか?生き苦しくて自死を選ぶ人がいないようにするって本当に?そのためにキアンを殺したのか?というかキアンが自死することになったのは、本当にランダム、たまたまなのか?たまたま選ばれ、たまたまトアンの前でって、できすぎでしょう。口にしている理由が本当とは限らないということか? 「意識の消失」というのが、なかなか想像つかなかったが、読書会で「昆虫社会」のようなと言われた方がいて納得。生活はできて社会が回って、でも意識、感情は個々にない状態か。 作者の境遇を知ったうえで読み返すと、闘病生活の中で誰よりも死を近くに見ていたであろう作者のヒリヒリするような感情が伝わってくるようでもあった。すごく面白い本と出会えた。もういらっしゃらない、もう書いていただけないのは本当に惜しい。

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    投稿日: 2017.12.23
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    また少し感触の違う作品だけど、タッチの割に深い。そういう印象を受けました。文学の最先端はSFにあるのかもしれない。外殻はSFをまとってるのかもだけど到達点や広がりという点でも相当の作品だと思う。作者が亡くなってしまったというのは残念。伊藤計劃は国産SFを見直すいいきっかけになったと思います。

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    投稿日: 2017.12.18
  • 生きていれば日本の当代最高のSF作家の作品に

    虐殺機関の世界線から延びるディストピアSFの到達点でしょう。 例の国が崩壊した世界観というのは、日本人の嗜虐心と極めて危険な表現の限界ではあります。 この作者の作品は素晴らしいが、ディストピアSFを何冊か読んだ後で読むことをお勧めする。 純粋なくらいに悪意にも善意にも満ち溢れた世界に! 人類のハーモニー…。 既に技術的に可能なのが背筋を震わせます。 伊藤計劃、暗殺されたののでは、とか少し真剣に考えてしまいます。 星5つ。

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    投稿日: 2017.11.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    誰もが一度は感じたことのあるような<自分が健康であることを他人や社会に要求される違和感>とか<かつて身近だった色々なもの(人間の病気や生死、食べ物や排泄物など)が近代化以降どんどん外部化されて見えなくなっていった事>や<人の好意や思いやりが時に過剰に感じて鬱陶しくなる>…といって身近な問題たちを、SF的に突き詰めていって一枚の絵に描ききった感がある。 小説としての不満点は多々あれど(賢かったはずの主人公が終盤で答えをほとんど明らかにされてるのに全然気付かないとか、実際意識が消えると何がどう変わるかの記述がほとんどなくて人類補完計画的な何かとしか見えないとか、このチョー個人的な結末はどうなのとか…)、それ以上にイロイロなアイデアが詰まったおもしろい一冊。

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    投稿日: 2017.09.18
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    伊藤計劃、ハーモニー読了。 最後まで読むのをやめさせてくれなかった。 いつもながらの意識の有無、個別性みたいなテーマもさることながら、本書の設定ではある意味自明ですらある最後の社会の決断に、人がなかなか決断できないことののジレンマを感じた点が面白かった。 他の本では感じられた終盤での息切れ感もなく、最後まで非常に研ぎ澄まされた感じ。 また、伊藤計劃にやられたっす。

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    投稿日: 2017.06.16
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    B913.6-イト  300227840 春の新生活応援コーナー特集のおすすめ図書に、ご紹介とコメントをありがとうございました!!

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    投稿日: 2017.04.26