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紫式部日記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
紫式部日記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
紫式部、山本淳子/KADOKAWA
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総合評価

20件)
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    『源氏物語』の作者、紫式部が残した日記文学『紫式部日記』。 「紫式部の宮仕え回顧録」という紹介通りの内容ではあるが、全体的に紫式部の悩み苦しみ、生きづらさ、そんなものが滲み出ている。 文才があるにも関わらず、それを表に出すと人を遠ざけるからと、わざとぼんやりした演技をするところなんかは切ない気持ちになる。 また、父親から才能を認められつつも「お前が男だったらなあ」と言われたエピソードもあり、今でもそんな家はあるんじゃないかと思った。 紫式部は宮仕えに対して悩んだり、鬱屈した思いを持っていた。 しかし時を経て少しずつ自信をつけていったのか、職場である後宮自体をもっと良くするためにということも書き残している。 ライバル清少納言への辛辣な評価が書かれているところも面白い。 紫式部が仕える彰子の夫である一条天皇と、同じくその妻である定子に仕える清少納言。 『枕草子』は定子とその後宮の美しさにフォーカスした章段が多く、一方『紫式部日記』は暗い印象を受ける。 紫式部はその目で見たものと、自分の経験を通して、華やかなばかりではない宮仕えのリアルで生々しい生活っぷりを書き残した。 そしてそれが1000年経った今でも読めることが奇跡だと思う。 今も昔も人は変わらない。 古典を読むとそんな気持ちになって嬉しくも悲しくもなる。

    10
    投稿日: 2025.10.29
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    現代語訳が先に書かれていて、またそれが丁寧なので、古文があまり読めなくても充分に楽しめる。 紫式部の目を通して語られる宮仕え事情。古の日本に興味のある私からしたら、当時を知れる最高の書物だった。これまで、日記系は堅苦しいものだと決めつけていたが、そんなことはなかった。もっと日記系に親しもう。 そして、殊に紫式部の心情の所は、原文の方が直に伝わってくる。世の中に対する思い、宮仕えに対する思い…決して明るいことばかりではないが、つい彼女の言葉を反芻し、噛み締めてしまう。世の中も仕事も、時代は違えど思う所はあるのだと、救われた気持ちになったからだ。 現世を鬱陶しく感じたとき(頻繁すぎるが)、背中を押す訳ではなく、共に闇を共有するという点で、味方になってくれそうな一冊だ。

    2
    投稿日: 2025.03.27
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    約1000年前の官庁で働く女性の話だけど、人間って全然変わらないんだな〜と実感。それはちょっとほっとした。

    2
    投稿日: 2025.01.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【ブログで紹介】 NHK大河ドラマ「光る君へ」を越後行きの前くらいからきちんと観はじめ、紫式部に興味を持って読みました。 1.解説に助けられる 現代語訳、原文、解説の順で各日記が掲載されています。 先に原文を読んでから現代語訳・解説を読むようにしました。 しかし、はじめに読む原文の意味が全く分からず、読み終えるのにとても時間がかかりました。 このビギナーズ・クラシックス 日本の古典シリーズの「古事記」の場合は書き下し文でなんとなく意味が分かったのに、「紫式部日記」の原文が”まったく”分からないとは! 授業の古典も漢文も好きじゃなかったからなあ。。。 ただし、山本淳子さんの現代語訳・解説に助けられました。 背景や心情がよく分かりました。 古典が苦手でも、本書は分かりやすいためおすすめです。 なお、たくさん登場する人物はNHK大河ドラマの相関図を見て、イメージが分かるようにしました。 これはロバート秋山、はんにゃ、にいにい(NHK朝ドラ「ちむどんどん」)とか。。。 2.内容 紫式部が内気な性格であること、 漢学を知っていることは女性として好ましくないため隠そうとすること、 定子のサロンは雅であったが、仕えた彰子のはそうではないこと、 女房達が役に立たないこと、改革した方がよいと強く願うこと、 清少納言への強烈な批判があること、 などは大河ドラマの放送もあってwebで見かけるようになり、ここでは多くを書きません。 彰子への宮仕えがルポ―ルタージュの意味合いもあったとは驚きです。 そのため冷静な情景の記述があります。 3.日記の構成 何となく日記の最後が尻切れトンボのようになっているように思いました。 日記を残そうと努めたのか、藤原道長や彰子に提出したのか、どうだったのでしょうか。 最後が消失しているのでしょうか。 日記の合間に、私的な手紙がまぎれているような構成になっているそうです。 本日記は江戸時代の写本しか残っていないとのことで、だれかが編集してしまったのでは、と思います。 CDのボーナストラックや雑誌の特別付録のような感じで。 原本や当時の写本はきっと残っているはずです。 どこかの家から発見されないか願っています。 (2024.9.23) ※2024.7.3購入@調布市真光書店  2024.7.25読書開始、9.21読了

    2
    投稿日: 2024.07.26
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    図書館の大河コーナーにありとりあえず借りてみましたが、読みだすと、これが読める。古典は苦手の私にも、現代文、原文、解説、の順に日にちを追って印刷されている。細切れになっているところが読めた理由かも。それに山本さんの現代文、解説がとても分かりやすい。やはり手元に置かねばと購入しました。 「紫式部日記」は、彰子の出産の様子を記すようにとの命令から書かれたものだとの推測。書かれたのは2年後だがその時はメモを取っていたのではという解説。后の出産は一大事、一大イベントであるのがわかります。血は穢れとされ天皇は穢れに遭ってはならないので后姫たちは内裏から出て実家などに帰る。本人は几帳の中にはいるものの回りには女房だけで40人が控え、出産の無事を祈る祈祷の僧侶などもいて、紫式部は分娩室の次の間にいた。道長は几帳の外でサポートし大声をあげている。 「紫式部日記」は A 前半記録部分」寛弘5年(1008)秋の彰子出産前から翌年正月3日まで B 消息体 「このついでに」で始まる手紙文体部分 C 年次不明部分 いつのことかしらされない、二、三の断片的エピソード D 後半記録部分 寛弘7年(1010)元旦から正月15日まで。 この構成は、一旦記録を書き終えた紫式部が飽き足らずにその後を書き加えたとも、紫式部が残した幾つものメモが後の人の手でつなぎ合わされたためとも考えられるが、謎のままだとある。 「紫式部日記」は作者の書いた原本はもちろん、古い時代に書き写された本も伝わっていない。現在残るのは「紫式部日記絵巻」の絵詞以外は皆、江戸時代以降に書き写された写本や印刷された版本ばかりだとある。 2009.4.25初版 2023.11.30第14刷 購入

    13
    投稿日: 2024.05.04
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    道長妾説、実際どうなんでしょう?大河ドラマ『ひかる君へ』では、恋人って関係だったけど…、(物語盛り上げるため)いやー、気になりますねぇ。紫式部さんのプライバシーににゅっ入ってしまうけど、気になってしまうー。紫式部さん、人のこと一人一人レビューしてて、なんか面白い。合コン行った時の男定めみたい…。(いい例えではありませんね、ごめんなさい。)

    2
    投稿日: 2024.05.03
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    ビギナーズ・クラシックス4冊目ともなると不思議と一冊目よりも原文が比較的すらすらと読めるようになってきました。もちろん詳しい解釈は出来ないので本書の「現代語訳」→『原文』→『解説』はスムーズな理解に大いに役に立ちました。 日記の作者紫式部は『枕草子』の清少納言が宮仕えしていた定子時代のあとの彰子時代に宮仕えし、本書はその彰子中宮の出産前後のエピソードから始まります。 なかなか理解しがたかった相関図や、当時の雰囲気がとても分かりやすくて、紫式部の目を通して中宮彰子や藤原道長、宮仕えの女房たち、さらには紫式部自身のこともしることができ、面白い構成や時々意地悪だったり辛辣だったりする紫式部のもの言いもとても面白かったです。 そのことには紫式部自身は触れていないとしても、なんとなく、紫式部、道長の愛人説も有り得たかもな、プライドの高い紫式部はズバリ言わずにほんのり匂わせているのかも、と思いを巡らせるのもまた楽しいものです。 宮仕え時代には清少納言と面識はなかったようですが、清少納言の存在が紫式部の作品をさらに上質にさせたのだろうな、と思うとオリジナルエピソードだらけの今放送されている大河ドラマも素直にとても楽しく見られます。

    14
    投稿日: 2024.03.07
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    編者の選択にもよると思うが、思っていたよりお仕事小説だったのが面白かった。 紫式部、それほど陰湿ではなかったけど、 やっぱりちょっと面倒くさい女だな。

    3
    投稿日: 2024.02.07
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    清少納言曰く「派手好きな旦那」を持ち、華麗なる宮廷ロマンス文学を執筆した紫式部のことだから、見た目も性格も男女関係もさぞかし華やかな人物だろうと想像していた。紫式部日記を読むまでは。 イマイチ乗り気じゃない宮仕えが、やがて自分の得意分野(物語執筆活動や出産時の記録係、彰子への漢文講義等)を活かして宮中に居場所を見つけるとともに、知識をひけらかすことなく周囲とも波風立てず穏やかな人物を装うことで時の権力者・藤原道長にも一目置かれるような唯一無二の存在となった処世術は、現代人の我々にも参考になりそうだ。  「マウント女子」とは対極的な紫式部。かと言って容易く周囲に流されるような頼りない性格でもない。「チーム彰子」の女官としての誇りを保ち、同僚やライバル達に対して表立っては言わないが一家言を持っている。悩み事も軽々しく口にはせず、控えめながらも内に秘めた強さを持っている女性だと感じた。 道長と愛人関係にあったのか気になるところだが、自己顕示欲の強くない紫式部の性格からして、もしそうだったとしても後世には書き残さないんじゃないのかしら。わざわざ言及しなくても良いのに道長をあしらったエピソードを敢えて残しているところが意味深だけども。 本書を読み終えると、土御門殿の道長が六條院の光源氏と重なって見える気がした。

    1
    投稿日: 2023.05.05
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    大変貴重な史料だった。もちろん原本は残っていないし後年の写本ではあるものの…。この時代にこんなお手軽に読めることに感謝したい。 1000年も前に生きていた人たちの生々しい生活が垣間見える。いつの年代でも人間は本質的には変わらないんだなと(悪口言ったり意地悪する場面ね) 世の中には清少納言好きで紫式部は性格が悪いだの友達になりたくないだの、嫌なことを言う人が多く、編集者さんも同様の人だったらどうしようと不安であったが一切そのようなことはなく、客観的なコメントをされていて安心した。 確かに明るくはなく物憂げな感じではあるが本人としては世間に対し思うことはありながらも生き抜いたんだろうなと…。 どちらかというと紫式部よりの人間なので気持ちがわかる気がする。

    1
    投稿日: 2021.03.06
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    これでもかっ! という現代語訳の後に古文を配し、そして解説文が続く構成がとても良かった。源氏物語の作者として教科書でも有名な彼女の、中宮彰子に仕えた女房としての記録とエッセイと言える日記を楽しむことができた。天皇の後継者を生んだ彰子に仕える女房のあり方に対する熱い想い、そして枕草子の作者・清少納言へのライバル心が生き生きと伝わってくる。

    2
    投稿日: 2018.06.05
  • 人生の晴れやかさとしめやかさ、甘さと苦さ

    『紫式部集』によれば誰も声をかけてくれず、「仲良くしてください」と歌を送ってもはぐらかされる始末。 結局欠勤してしまい、それがこじれて五ヶ月にもわたりひきこもるはめになりました。(本文・寸評より) 角川ビギナーズ・クラシックスにはいろいろあるが、だいたい、現代語訳→原文→寸評+コラムという形になっている。 未読者や挫折者には「読んでみたい」と思わせ、既読者には「そんな読み方があるのか」と思わせる、その両方ができたら、このシリーズとして成功なのだと思う。 そういう意味で本シリーズの『紫式部日記』は結構好き。<寸評>の部分を上手く使っている。 『紫式部日記』といえば 清少納言の悪口を書いてあるやつか というイメージが強いように思う。 少なくとも私はそれで、あまり好きではなかった。 原文を読もうと頑張ったことがあるが 「あかんこの人、性格暗すぎ・・・」と挫折した。 が、本書は、紫式部の暗くてじめじめして、ちょっといけずなところを とても好意的に読み解いていて、新鮮だった。 それも、根拠のない読み方ではなく、きちんと学説を紹介した上で読み方を提示したり、 上記のように『日記』には収録されていない『式部集』から窺える式部の姿を紹介したり。 最後に添えられた解説も興味深い。 「政治的な意味、個性的な表現」と題した文章、一部抜粋すると また晴れの日とである中宮自身にしても、紫式部の描くその姿は、決して肩で風を切るような様子ではありません。 彼女が歩んできた道の険しさは、当時の貴族社会の人々なら皆常識として知っていたことでしょう。 この作品は、一見華々しい世界がはらむ「苦」の面をあえて目をそらさずに記しているのです。 紫式部にしか書けない、人生の晴れやかさとしめやかさ、甘さと苦さのない交ぜになった個性的な宮仕え記録。 ・・・そんなこと言われるとやっぱり原文再チャレンジ?(笑) ビギナーズ・クラシックスは、「原文を読んだ気になる」ものよりも、「原文を読みたくなる」ものが一番だなあ、と思った。

    10
    投稿日: 2014.10.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    源氏物語の原作者紫式部が彰子中宮の元で宮仕えをしていた3年程の記録及び体験記とも言える「紫式部日記」の解説本です。 原典と口語訳とを併記されておりまずはとてもわかりやすいです。 タイトルにビギナーズ・クラッシックスと銘打ってあるだけのことはありますw 残念ながら原典の全てが掲載されているわけではなく、日記の内容や式部が家庭の主婦から職業女房へと成長・変化してゆくさまにあわせ、3部構成になっています。 「鬼と女は表に見えないのが良い」とされていた平安の時代、職業としての女官や女房は多くの男性に顔を晒さねばならず総じて「はしたない」「言い寄り易い」と軽視されている側面がありました。 式部もその世論の中で生まれ育ってきたため、再三再四の宮仕えの要請にもなかなか首を立てには振らず、中宮彰子の熱烈な要望に根負けして出仕したものの、立ち居並ぶ先輩女房たちに気圧され、また冷たくあしらわれ凹み翌日から5ヶ月も家に引きこもりますw 更に結婚して3年と言う短さで夫が亡くなりいよいよ華やかな宮中へ戻る気にもなれません。 が、ここで式部の意識は主婦から女主人へと上昇します。 残された我が子賢子や家司・女房たちを養うのは自分しか無い。 それに彰子の出産日記を書くことが第一の勤めとされ決まった出仕話。中宮彰子の出産も押し迫りそうそう引きこもってもおられず宮中へ戻ります。 式部の住む堤邸を担う大黒柱は自分しかいない、ここで働きお産日記を完成させ先輩女房にも気に入ってもらえるように立ち回らなければ!と一念発起します。 すると女房たちからは「式部さんって思ってたのと違って本当は優しいのね」「式部さんは学がおありだから私なんかきっと叱られるんじゃないかと思ってたのよ」と意外な言葉が。 冷たくあしらわれ逃げ帰った式部ですが、実は皆式部の学識の深さに恐れうかつなことは言うまいと警戒していただけなのです。 中宮彰子のお産は男御子誕生と言う上々の結果、産後も母子ともに健やかで宮中は和やかな日々が続きます。 宮中女房としての処し方も身に付き、徐々に宮中での生活にも慣れてきた式部は手紙形式の日記を書き始めます。 これは「こんなこと内々の手紙ででも無ければ書けない話なんだけど」と前置きをし女房評・公達評を繰り広げるといったものです。 式部の文章もくだけた表現が増え、本当に他人の手紙を垣間見してるかのように感じます。 紫式部日記には、彰子のお産記録、お祝いの儀式の様子の記録だけではなく、中宮女房としての式部の成長日記の要素もあります。 このビギナーズ・クラッシックのシリーズは本当に初心者に優しくわかりやすいので入門篇としては最適に思いました。 でも出来れば田辺聖子さんに口語訳+読み物としての紫式部日記を出して欲しいところですw 今、森谷明子さんがシリーズとして刊行している「千年の黙」「白の祝宴」「望月のあと」は紫式部を主人公としたミステリですが、これらよりも先にこの本を読んでおけば良かったなぁ、と後悔してます。 「源氏物語」だけではなく「枕草子」の書かれた背景「むかし・あけぼの」を読んだ後だからこそ「千年の黙」が面白かったのですが、更に「紫式部日記」も読んでおけばなおよし!ですw

    1
    投稿日: 2012.02.09
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    内気で人付き合いが苦手だけど、プライドは高い。そんなリアルな紫式部の姿や、爺バカ丸出しな道長の姿が見てとれて、大変面白い一冊。

    1
    投稿日: 2012.01.23
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    平安時代の宮廷生活を活写する回想録。華麗な生活に溶け込めない紫式部の心境描写や、同僚女房やライバル清少納言への冷静な評価などから、当時の後宮が手に取るように読みとれる。道長一門の栄華と彰子のありさまが讃仰の念をもって描かれ、後宮改良策など、作者が明確に意見を述べる部分もある。話し言葉のような流麗な現代語訳、幅広い話題の寸評やコラムによる『源氏物語』成立の背景を知るためにも最適の入門書。 卒論の参考にさっと。 けっこうおもしろい。紫式部も人間だね。

    1
    投稿日: 2011.11.22
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    紫式部の宮廷生活での日記。登場人物の周囲の物事とか上手く解説されていて読んでいて楽しい。紫式部の人物像や成長、宮廷の雰囲気を感じ取れました。

    0
    投稿日: 2011.09.26
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    女房の普段の生活、中宮彰子、道長、同僚の悪口・・・色んな話が盛りだくさんで、おもしろかったです。 また、話の間に挟まれる解説も、女房事情や、平安の生活など詳しく書かれていて、とてもよかったです。

    0
    投稿日: 2011.09.10
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    (2011.02.18読了)(2010.11.17購入) 2008年が「源氏物語」が書かれてから千年目にあたるということで、ブームに乗って「源氏物語」関連本をいくつか読みました。 紫式部の著書としては、『源氏物語』と「紫式部日記」と「紫式部集」があるということです。「紫式部日記」もいつかは読んでみたいと思っていたので、手ごろな本が見つかったところで読んでしまうことにしました。 内容は、他の著作物に紹介されていたものが多いので、新鮮味に欠ける面もありますが、生身の紫式部を知るうえでは、貴重な本だと思います。 「日記」となっていますが、われわれがイメージする日記とは違うようです。山本淳子さんは、「回想録」と呼んでいます。1008年7月ごろの記述からはじまっています。 本の構成は、原文を小さく区切って、現代語訳、原文、解説、という形で、繰り返されます。現代語訳を読んで原文を見るのですが、原文の言葉は、今使われている言葉と同じようなものでも、意味合いがずいぶん違うことがわかるので、とても原文だけでは、意味を読みとれないことがわかります。さらに解説で、書いてあることの意味合いを詳しく教えてくれるので、宮廷及び、藤原道長のことがよくわかります。 ところどころに(中略)とありますので、原文のすべてが収められているわけではないことがわかります。「ビギナーズ・クラシックス」シリーズですので、やむを得ないでしょう。 ●「紫式部日記」(3頁) 素顔の紫式部が綴った宮仕え回想録です。内容の中心は、主人彰子の初めての出産、そして男子誕生という晴れの出来事。紫式部は得意の観察眼を働かせて、人々を生き生きと描き出します。そこに見えてくるのは、娘のお産に政治家としての栄達をかけた藤原道長の張り切りよう、繊細な性格の持ち主で、重圧にじっと耐えながらもやがて凛とした女性として開花して行く彰子の姿、それを見守りながら、自分も女房として成長してゆく紫式部自身の姿。いつしか彼女は「女房はどうあるべきか」と熱く語り出します。 ●藤原良房(57頁) 良房は、866年、「摂政」に任命され、幼い天皇に代わって死ぬまで国政を執り続けた。 ここに、天皇家に生まれた人間でなくても、摂政となれば天皇の代理として天皇と同じ権力を握ることができるようになった。 これ以後、貴族たちはこぞって、摂政を目指すようになった。 その方法として、自分の娘を天皇に入内させ、皇子を産ませ、その皇子を即位させ、その摂政になろうとしたのです。 ●ゲームの賞品は「紙」(62頁) 公卿がたは座を立って渡り廊下の上に移られる。道長様を筆頭に双六をなさるのだ。賞品は紙。(当時の紙の貴重さを知らせてくれます) ●孫のおしっこに濡れるのはうれしい(71頁) 「ああ、この親王様のおしっこに濡れるとは、嬉しいことよの。この濡れた着物をあぶる、これこそ念願かなった心地じゃ」 ●清少納言(193頁) 清少納言と紫式部とは直接面識があったかどうかはわかりません。紫式部が彰子に勤め出したのは、定子が亡くなり清少納言が宮中を去ってから5,6年後のことだからです。 ☆関連図書(既読) 「藤原道長」北山茂夫著、岩波新書、1970.09.21 「紫式部」山本藤枝著、火の鳥伝記文庫、1987.03.21 「小説紫式部 香子の恋」三枝和子著、福武文庫、1994.12.05 「紫式部の娘 賢子」田中阿里子著、徳間文庫、1992.05.15 (2011年2月21日・記)

    0
    投稿日: 2011.02.20
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    ある日道長が、女郎花(おみなえし)の枝をとり、さあ一首どうだ、と迫ります。朝顔だった紫式部は恥ずかしがり、さっと奥の硯へと逃げこみます。そしてすらすらすら。。 女郎花さかりし色を見るからに露の分きける身こそ知らるれ 露の分きける、がポイントです。女郎花はこんなに美しいのに、私は露のめぐみをうけられず、美しくありません…と詠んでいます。謙虚さをあらわしているというよりも、このときの紫式部の自信のなさの反映でしょう。道長の返歌はなかなかです。 白露は分きても置かじ女郎花心からにや色の染むらむ 白露にわけへだてなどあるものか。女郎花は美しくあろうとして美しいのだ。心がけこそが大切なのではないか、と紫式部を励ましています。積極的な歌です。前向きな人生を歩みたい人への、エールだとうけとめてもよいでしょう。 ナビゲーターである淳子は、あたたかい筆致で読者を誘います。紫式部への愛情をたっぷりと注ぎながら、日記をたくみに解きほぐしていきます。ところどころ、変なカタカナが顔をだしますが、まあいいとしましょう。

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    投稿日: 2010.08.12
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    「千年の黙」があまりにおもしろかったので、紫式部についてもっと読みたくなって。 この本は、原文に忠実そうな現代語訳、原文、解説、とあって、すごくわかりやすく、読みやすかった。古文嫌いなので原文は飛ばしたけど。(古文法とか旧かなとかが異常に嫌い。ちゃんと勉強して理解すれば好きになれるのか?)おもに、皇后に子が生まれ、そのお祝いごととかの様子が描かれているのだけれど、紫式部はそもそも宮中づとめがイヤでイヤで、イベントごとも嫌いで、仲のよい同僚の局とうしろのほうでこそこそしていた、とか、行事にギリギリに行った、とか、そんな話がおもしろかった。すごく気持ち、わかる(笑)。しかし一方で、あんまり引っ込み思案でも、子どもっぽくてみっともない、お勤めを果たしているといえない、とか考えていたり、そういう心のうちが書かれているのが興味深かった。主婦として家にいれば、守られているし、好きにできるし、いちおう家の主でいられるけど、華やかな職場に勤めに出れば刺激があって楽しい反面、気苦労も多いという。今と同じみたい、と、宮中づとめの感覚がわかったような気になったり。

    0
    投稿日: 2009.08.20