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ダブル・ファンタジー(上)
ダブル・ファンタジー(上)
村山由佳/文藝春秋
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総合評価

108件)
3.2
6
28
50
10
4
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    有名売れっ子作家だが、性欲がかなり高い女性の行く末を書いてある。 男性なので分かりづらい部分もあるが、女性の気持ちや性に対しての考えが上手く表現されているんだと思う。 また、人が何かに依存する時や心情もうまく具体的に書かれていると思う。 その辺の心理描写が見事にされていると思う。 「どこまでも自由であるとは、こんなにもさびしいことだったのか」 というセリフは、色々な意味で考えさせられるし、印象的なセリフだと思う。 2021/04/26

    0
    投稿日: 2025.06.26
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    モラハラ夫の束縛に吐き気がする。 これを本人は悪気なく愛情だと思い込んでいそうだから質が悪い。 過干渉としか思えないけど、こういう支え?を必要とする人もいるのかもしれない。 相性の問題なのかな。 それともどこかで何かが変わってしまったのかな。 「いいところもあるんだよ」とフォローしてる時点で、それはもう愛情じゃなくて情みたいなものに聞こえますね。 自分で自分に言い聞かせてる、みたいな。 そこから救い出してくれそうな相手が現れたら、惹かれてしまうのは必然かもしれない。 ましてそれが敬愛してる相手なら尚更。 お互いに割り切って付き合えたらよかったんでしょうけど、依存したくなるのも無理ないですね。 終盤の展開が予想外で、なんだか一緒にショックを受けてしまいました。 短期間でめまぐるしく揺れ動く心。 下巻も気になります。

    6
    投稿日: 2025.06.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【2025年49冊目】 脚本家である奈津は、たった一夜を共にするべく男を呼んでいた。客観的評価の高かった彼がどんな風に身体を重ねてくれるのか――期待した分、失望は大きかった。奈津をかき乱した演出家・志澤、奈津を束縛する夫・省吾。男に振り回されながらも創作家として前に進む女を描いた上巻。 最初のメールのやり取りのところで読むの止めようかなって思いました。なんだこの茶番、いやもういいから、さっさとやんなよ、と思って胸焼けがすごかった。志澤の対応にイライラしてしまって、「こういう年上の男が一番嫌いかもしれない」と思ってましたが、メールの箇所を通り過ぎてからは読みやすくなりました。 志澤はもはや年の功というか、奈津が勝てないのも当たり前というか。まだ上巻ですが、奈津が大成したときにもう一度寄っていって「あえて突き放してた」ということもできるし、そのまま奈津が何もできなければ流したままでいい。狡い年上の男だ…メールの感じは嫌いでしたが、対応としては間違ってない?気がします。 夫との会話は、読んでるだけで心が疲弊しましたが、メールの箇所ほどではなかったかな(まだ言う)典型的なモラハラ男過ぎていっそ単純でわかりやすい。結局マンションの場所を教えているし上げているのは奈津の弱さなんだろうなぁ、わかる気もする自分に共感性羞恥を覚えるなど。 清々しいほどに生々しい一作。下巻がどう転がるのかなあ。

    0
    投稿日: 2025.04.29
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    ドロドロしたシーンは少なく、35歳の主人公が女性として脚本家としての自信・自尊心にフォーカスされたお話 不倫は伴侶のあるものとして許されないことのはずなのに、夫のモラハラに憤慨してみたり、志澤からのメールに一喜一憂してみたり、年齢が近いせいか感情移入しやすく「わかるわかる!」でした 下巻も楽しみです

    0
    投稿日: 2025.03.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    村山由佳先生の小説の面白さは、人間の欲や、異性との関係性をどんどん暴いてしまうところだと思った。観察眼の鋭さ。

    0
    投稿日: 2024.10.27
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    読書の幅を広げたく手にしたが、新境地をあっさり超えていった。内容がディープで読み進めるのを躊躇う。 「性」に関して日常生活ではなんとなくタブーに感じるが、視点を変えると神秘的であったり、芸術的であったり。著者様の表現には美しさをも感じるが、やはり恥ずかしさが優った。 ただ既婚者ならば方向性は違えど理解出来てしまう部分もありそう。日々の安定か、闇に惹かれてしまうのか。自分は前者でありたいが、観ている世界が広い人ほどそれは難しいことなのかもしれない。

    0
    投稿日: 2024.09.26
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    以前から何となく気になっていた本作にようやく目を通した。もっと性愛シーンに溢れているのかと思ったが、その辺の描写は到って普通。既婚女性が夫の支配から逃れ、他の男と交わるなかで自らを解放していくと云う構図は「チャタレイ夫人の恋人」を彷彿とさす。傍目には仲睦まじく映るであろう奈津と省吾の実情に夫婦関係を築く難しさがよく表されていた。当初心身共に奈津を虜にした志澤とは全てにおいて正反対の岩井が終盤に登場。どう展開するのか、下巻を読むのが楽しみ

    0
    投稿日: 2024.08.21
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    『いい奴から与えられた悩みがいちばん深い。相手がいい奴だから、永久に傷はふさがらない』というフレーズがあって、身に染みたよね。

    1
    投稿日: 2024.07.07
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    感情の浮き沈みの激しさが、35にして新しい世界を見ようともがく様子を表していると思う。 初めは、なんてイタい旦那なんだと思ったけど、奈津もなかなかめんどくさい女だ。 志澤も、シチュエーションに酔っているだけなのか?と思ったり。 でも、突然、相手に冷めてすべてが滑稽に思えてくる感じや、圧倒的な自信と余裕をもつ人物に溺れる感覚もよくわかる。 それぞれの人物との関係がこれからどうなっていくのか楽しみ。

    0
    投稿日: 2024.05.22
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    第一章からフルスロットルだねー 官能小説のままで終わるんかねー と思いきや、後半では夫婦関係の崩壊や浮気相手からの放擲が緻密に描かれる。 結婚して10年経って伴侶の長所と短所の天秤が狂い始める、性生活の均衡が崩れる、いやはなから均衡を保っていたわけじゃない。要するに我慢していただけで、伴侶が能天気にもその我慢に気づかず気遣えず、限界がきてしまった。いや我慢を自覚する出逢いがあった。 我慢し過ぎると、解放された後の際限の無さは猟奇的になる。下巻が楽しみなのと、上巻で物語の幕を引いても良かったのではむしろその方が良いのではという二律背反。 それにしても、相手に依存し始めてしまった時の自信の無さからの「幼児退行」は刺さり過ぎますって。反省の反芻で「心臓が、背中に体当たりを繰り返していた。」 作品内の表現が自分に過去の反省を促している。

    1
    投稿日: 2024.04.11
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    束縛系の夫から、野獣系の男へ。さもありなん。 ただの浮気というわけではなく、主人公の才能を潰している夫から、野獣系の男がきっかけとなって解放されていくお話。

    9
    投稿日: 2024.03.23
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    大胆な性描写と女性の男に対する恋愛感情をこれでもかと書いている。性描写が多くてちょっとだれるけど今現在の文学なんだろう。中央公論文芸賞、柴田錬三郎賞、島清文学賞を授賞している。最後まで読みきると文学作品だと認識する。

    0
    投稿日: 2023.12.30
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    好きな表現が多かったです。めも。 愛憎の問題は論理で解決してはならない 好きな人への想いの根幹に絶対的な尊敬と信頼があるというのはこんなにも幸せで、豊かな気持ちになれることだったのか 言い返すのは相手の変化を期待するからだ。期待そのものを手放してしまえばもはや言い返す必要もない

    0
    投稿日: 2023.09.18
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    ざくざく刺さって痛かった。手元に置くために買おうか、ちょっと迷っている。 「成長期に着ていた、とても好きな服」の例えがつらかった。 大好きで、似合っていて、心が安らぎ昂ぶりももたらしてくれる、最愛の服。でもからだが大きくなって、着られなくなってしまった。でも大好きなのだ。大切にしまって、掌で優しく撫でたりする。そうすると癒されるし、なくてはならないものだと感じる…でももう、着ることはできない。骨格が違ってしまっているのだから。 それは人に対してもそうだとしても、自分のガワについても言えること。私はこれまでの「ガワ」をどうしても捨てられない。もう私の姿には合わないモノになってしまったけれど、それに縋ってしまう。元々志澤が例えていた、人間関係もそう。そちらはもちろん自分のガワよりももっと捨てがたい…。大好きなのだから。 ああー苦しい!苦しい!!! ☆5なのは「もう忘れられない」から。

    0
    投稿日: 2023.08.25
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    つまらなくはない! 性描写も嫌いでは無いし、奈津の気持ちも分からなくは無い! ただ、なんとなく結末が予想できてしまう。もちろんいい意味で裏切ってくれればよいが。 私は気性や性格は省吾寄りだろうな、と思った。 下巻も読みます。

    0
    投稿日: 2023.05.22
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    この先どれだけ身も心も燃やし尽くせる相手に出会えるだろう-。35歳の奈津は、尊敬する男に誘われ、家を飛び出す。もう後戻りはしない…。官能の愛の物語。

    0
    投稿日: 2023.04.20
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    なんだろう…後半に行くにつれ、薄れていくこの気持ち… 前半は共感できる部分が多かった。という事は、これがスタンダードなのかと錯覚するが、合ってるのかな? 自分の中の葛藤を、女の親友を使い代弁させている感じがして、言われなくても自分でわかるだろって、ツッコミを入れる。 そして、親友なら、こう言って欲しいよね!通りの会話。自分ばかり話して面白い事などあるのだろうか? 手紙の文章の字体が違うのが、面白いなと思った。 唯一、「私の事好き?」って聞きたくなるのは、本当にそうなのか不安だから確認したくなる。という一般論に、前からすごく違和感を感じていたのだが、そんなのは解ってて、でも、相手の口から言わせたいのだ。自発的に言われたら(うん、知ってる)ってにやにやするだけなのに、言わせたい。 あー言わせたかったんだ…というのがわかって、よかった。 でも、やっぱり何かが違う。親友がいてくれなかったら?いや、いない方が、自分とじっくり向き合える。自分にとって何が大切なのか。自分はどうしたいのか。 奈津にひとりになる勇気などない。対象を見つけての依存、甘えの塊みたいに、私は感じる。ここからの成長?たかが知れてるような気もしてくるが… 共感できなくなっていく自分がいる。 で、さあ下巻!ラストは楽しめるものであってほしい。

    12
    投稿日: 2022.12.31
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    ぼんやりと感じていた多くのことがこの作品では文章で表現されていて、共感と尊敬の嵐だった。 下巻も楽しみだ。

    0
    投稿日: 2022.12.29
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    ”まず、自分の殻を破りたいということがありました。…。一度思いっきり突き抜けたものが書きたかったし、今まで遠慮していたものをとことん突き詰めてみたかったんです”とおっしゃる村山由佳さん。 どんな人にもその人ならではのイメージがあります。私はクラシック音楽が好きですが、数多の作曲家の誰でも良いというわけではありません。それぞれの作曲家は新しい表現を求めて新たな試みを続けてきました。それが、現代の豊かな音楽世界の土壌を作ってきたとも言えます。しかし、一方でどこまでいってもその作曲家ならではのイメージというものがあり、それがその作曲家を好きだと感じる私たちの思いにも繋がっているのだと思います。 これは、どんな世界だって同じことです。テレビに登場する数多の芸能人の皆さんにだって、それぞれの芸能人さんのイメージがあり、一度それが出来上がってしまうと今度は良くも悪くも、視聴者がその人に期待するイメージを演じ続ける他なくなってもいきます。 そして、それは小説を書く作家さんにだって言えることだと思います。私は女性作家さんが書かれた小説ばかり500数十冊をこの二年半で読んできました。読書の幅を広げたいという思いから出来るだけ多くの作家さんの作品を手に取るようにしていますが、再びその作家さんの作品を手に取ろうとする時にはその作家さんのイメージというものを思い浮かべ、その時の気分と合わせて、誰の作品を読むかを選ぶ、そんな選書の時間があります。そんな中で村山由佳さんというと、私が最初に手にした「天使の卵」の印象が未だに鮮烈です。そもそも読書経験がまだ二年半の私にとって、そこに展開する”純愛物語”は私の心の中にストレートに突き刺さるように入ってきました。村山由佳さん = “純愛物語”、その第一印象はなかなかに抜けないものです。 しかし、ここにそんな村山さんのイメージを打ち破る作品を手にした私。”自分の殻を破りたい”とおっしゃる村山さんの強い意思と意欲を見るこの作品。『熱く濡れた舌の動きは細やかで心地よかった』という『官能』の世界を垣間見るこの作品。それは、主人公・奈都が複数の男性と接していくその先に、彼女が人として成長していく様を見る物語です。 『男の臀(しり)とは、どうしてこうも冷たいのだろう』と『両手で男の臀部をきつくつかん』で思うのは主人公の奈都。『どうかした?』、『まだちょっと緊張してる?』と訊く男に『あんたのリードが不味いから気が乗らないだけでしょうが』と思う奈都は、『胸の尖りを吸』われ、『んっ』と『声が鼻に抜け』ます。『舌だけでしてみて』と『思いきって囁くと』、『律儀にそのとおりにし始めた』男。しかし、『ああ違う、そうじゃなくて。そこはもっと、強引に扱ってほしいのに』と思う奈都は『だめだ。この男とは、合わない』と感じます。結局『二度達した』男に対して『その都度、ふりだけはした』という奈都。『ね、ナツさん、気持ちいい?』と『いちいち訊かれたら気が散って没頭できない』と思う奈都に『ね、僕とさ、また逢ってくれる?』と訊く男。そんな男に『舌打ちしたい気分』になる奈都は『もう二度とこの部屋に男を呼ぶような真似はするまい』と思います。そして、男を外まで見送った奈都は『表玄関に並んだ表札を、見られたくな』いと思うも、『おたく、高遠(たかとお)ナツメさん、でしょ。脚本家の』とおもむろに男につぶやかれます。『心臓が背中を破って飛びだすかと思った』奈都に『トイレの棚』のような『ところにシナリオなんか置いとくからだよ』、『どこかで見た顔だったよなあと思って』と続ける男は『誰にも言うつもりはないよ… 守秘義務っての?』と苦笑いしながらタクシーに乗り込みました。『いったいいつから気がついていたのだろう』と思う奈都は、一方で『そのわりに、請求された金額はサイトに載っていたままだった』とも思います。『ひどく辛辣だといわれる』セリフを書く『脚本家〈高遠ナツメ〉』に対して、『腰が低く、人当たりもおだやか』と『初めて会った者はみな驚く』『〈高遠奈津〉』。『もうとっくに、どちらが本当の自分かなどと考えるのをやめていた』という奈都。『演劇の戯曲を書く〈劇作家〉』を目指すも『ドラマのシナリオを書く〈脚本家〉』となった今の奈都。そんな奈都に『売れるものを書けばいいんだよ』と言う夫の省吾は、『いつしかドラマの制作会社を辞め』、『彼女の尻を叩き続け』てきました。しかし、今は都内の『六十平米ほどのワンルーム』で一人暮らす奈都。そんな奈都が今の暮らしを送るようになるまでの日々が赤裸々に描かれていきます。 上下巻合わせて600ページを超える圧倒的な文章量と、表現し難い表紙のイメージが強いインパクトを与えるこの作品。中央口論文芸賞など文学賞トリプル受賞が話題ともなった村山由佳さんの代表作です。そしてこの作品は、”純愛物語”でもあるもう一つの代表作「天使の卵」から『官能』へと村山さんが大きく舵を切ったことでも知られています。その理由を”自分の殻を破りたいということがありました”と語る村山さん。そんな村山さんは”このままずっと同じテイストのものだけ書いていたら駄目になってしまう…一度思いっきり突き抜けたものが書きたかった”と続けられます。そして、読者の前に姿を現したこの作品。そんな作品の読みどころを、構成と『官能』の視点からまず見ていきたいと思います。 まず構成という点で注目したいのが、この作品の〈第一章〉の相当部分を使って展開する三十五歳の主人公・奈都と、『独自の美意識と世界観でみるみる頭角を現した天才』とされる演出家の『志澤一狼太、五十六歳』との間でやりとりされるメールです。手紙やメールのやりとり、いわゆる書簡体が登場する作品というと合計56通の手紙のやりとりが登場する湊かなえさん「往復書簡」、さらには、圧巻の合計179通もの手紙とメールのやりとりが登場する三浦しをんさん「ののはな通信」などが思い浮かびます。そして、この作品では、すべてメールとなりますが上記した二人の間の親密なやりとりがそこに繰り広げられます。せっかくなのでそのメールの数を数えてみました。 ・一狼太 → 奈都: 23通 ・奈都 → 一狼太: 23通 ※書きかけで送信しなかったもの2通を含む ということで合計46通ものメールが登場します。その全てが〈第一章〉に集中していることから、この数以上にメールをたくさん読んだ感が読後に残るように思います。そんなメールは、『お元気ですか』という件名で敬愛する志澤に対して『いつもお心に留めて頂いて、ありがとうございます』という奈都発の尊敬の念に満たされたメールから始まりますが、その内容はどんどんエスカレートしていきます。それは、『いつかおまえは、官能をつきつめた先にあるものを書いてみるといいんじゃないか』という志澤の示唆が起点となりました。『臆さず、腐らず、あれこれ試してみるといい』と続ける志澤。この言葉で感じるのは、村山さんがこの”官能小説”を書かれるきっかけと同じではないか、ということです。表現することを生業とする以上、新たな試みにチャレンジする精神は誰しもが持ち合わせているのだと思います。村山さんが”自分の殻を破りたい”と思い、奈都が志澤の言葉をきっかけに新しい地平へと踏み出そうとする様を見るこの作品。小説家・村山由佳さんと脚本家・高遠ナツメがここに重なり合う瞬間を感じました。 そんな村山さんの”官能小説”という側面を持ったこの作品は、〈序章〉から一気に『官能』の世界が顔を覗かせます。『男は奈津の体じゅうに舌を這わせている』、『ああ違う、そうじゃなくて。そこはもっと、強引に扱ってほしい』、そして『恥ずかしくないよ。まかせて。うんとよくしてあげるから』といった感じで『官能』の世界が展開します。まあ、こんな風に『官能』の世界を冷静にレビューするのもどうかという気もしますが、個人的には村山さんの性表現は大好きです(爆弾発言(笑))。私はプロフィールにも書いている通り”女性作家さんの小説を読む”と宣言して読書&レビューの日々を送っていますが、少し前に性別を勘違いして、男性作家さんである乾くるみさんの小説を三冊読みました。乾さんの小説もかなり大胆に性表現が展開します。特に「セカンド・ラブ」は色んな意味で過激でした。その時すでに村山さんの”官能小説”である「アダルト・エデュケーション」を読了&レビュー済みだったのですが、そんな乾さんの作品を読んでいて瞬間的および感覚的に自分の好みは村山さんの表現世界にあると感じました(再・爆弾発言(笑))。もちろん好みの問題(笑)なので、乾さん、つまり男性作家さんの性表現を好む方も多々いらっしゃると思います。なかなか表現が難しいのですが、村山さんのような女性作家さんの性表現には、そこに美しい艶っぽさを感じます。一方で男性作家さんである乾さんの性表現を私は穢らわしいと感じました。今回この作品で村山さんの『官能』の世界に再び接して改めてこの点を再認識した次第です。つまり、『官能』を描いた作品にも幅があり、単純に『官能』というだけで毛嫌いするのはもったいない、特に男性作家さんの『官能』表現のイメージで『官能』なんて…、と思った方にこそ村山さんの作品は是非手にしていただきたい、そんな風に感じました。もちろん、感想としてこの逆パターンもありうると思いますが、” 肉体を伴わない恋愛なんて、花火の上がらない夏祭りみたいだ!”とおっしゃる村山さんの『官能』の世界はそこに”弾ける性”を感じ、それが何よりもの魅力だと思いました。 さて、そんなこの作品は、脚本家の主人公・奈都が複数の男性と関わる姿が描かれていきます。『一旦惚れこんでしまうと、前後の見境がなくなる。どうしても、何が何でも、自分のものにしたくなる』という性格であることを認識もしている奈都。そんな奈都は『相手に惹かれるかどうかはいつも、〈ことば〉のやり取りで決まる』という経験を積み重ねてきました。『どれほど美しい顔だちや肉体を持っていようと、どれほど誠実で優しかろうと、はたまたどれほど性的技巧に優れていようと』、『〈ことば〉のニュアンスに鈍感な男』だとわかると『瞬時に興ざめしてしまう』という女性、それが奈都でした。それは、彼女が脚本家という言葉を何よりも大切にする職業に就いていることもあるでしょう。だからこそ、上記でも触れた演出家の『志澤一狼太、五十六歳』との合計46通ものメールのやりとりによって彼女が昂ぶっていく様の説得力もあるのだと思います。一方でそんな奈都に関係していく男性陣はある意味多彩です。上巻では序章に登場した『自称役者の』出張ホストの男の他に三人の男性が登場します。前述の志澤は『おまえに官能をつきつめた芝居を書かせたい』と言い放ち奈都に新しい世界の扉を開けさせます。また、夫である省吾は、『なんでそう、私のことを管理して、束縛しようとするの?』と奈都を囲い拘束し続けたことが結果的に奈都に新しい世界の扉を開けさせます。そして、〈第三章〉の最後に『会うのは何年ぶりだろう』と登場した大学時代の先輩・岩井良介は、『じゃあ、さ、誘ってもかまいませんか』と下巻への新たな展開の可能性を匂わせていきます。『〈ことば〉のやり取り』に拘る一方で『これほどまでに強い自分の性的欲望の突きあたりを、誰かほんとうに肌の合う相手と一緒に見てみたい』と願う奈都。そんな風に複数の男性との出会いが主人公・奈都の人生を前に進め、結果として彼女を成長させていく物語。次から次へとダイナミックに展開していく物語が故にあっという間に読み切った上巻は、早く下巻を手にしたい、そんな思いの中に幕を下ろしました。 『誰であれ、相手の男がたまらずに自分の中で達するたびに、見返してやれたような気分になる』。 そんな風に主人公の奈都が『官能』の世界に魅せられ、自らの中にその炎が灯るのを感じるこの作品。”セックスを描くのは好きですよ。もともと、本来ことばにするのが難しい感覚を、的確に描いて、読者の感覚を翻弄したい、引きずり回したいという野心があるんです”とおっしゃる村山さんが『官能』な世界を描くこの作品。合計46通にものぼるメールのやりとりや『官能』な描写の美しさに、一気に読み進んでしまうこの作品。主人公・奈都の心の揺れ動きと、悶えるような感情表現の上手さが際立つ、なるほど村山さんの代表作!と感じた作品でした。 では、下巻へと読み進めていきたいと思います!

    106
    投稿日: 2022.04.23
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    これでもかのセックス描いて人間の情を感じさせない小説。悲しくなるような貧しいセックスがテーマとも思えないし・・・情緒的な奥行きがこれほど希薄な物語を誰がどんな気持ちで読むのだろう。女性が官能小説書いても珍しくもなんともなく、立原正秋や高橋治の職人的な魂の扱いを思う。同著『約束』もやっぱり薄っぺら、残念。

    2
    投稿日: 2021.12.31
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    妻の才能に嫉妬する夫と、より大きな才能で心地よく屈服させる大演出家と、売れっ子女性脚本家のお話。下巻はどうなるんかなあ。

    3
    投稿日: 2021.11.06
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    夫婦だから言えないこと、求められないことってあるよなぁと共感する事が多かった。なつのように自立した生活が送れるわけではないから、うらやましく思った。夫の嫌なところだけに目が行きがちは今日この頃。。。他の男性に夫から得られないものをもらう事が悪い事ではないと思ってしまう私は普通じゃないと思ってたから、この小説を読んで何だか安心してしまった。

    0
    投稿日: 2021.09.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    35歳の脚本家・高遠奈津が主人公。 異常に性欲の強い奈津の物語とくれば当然男との関係が描かれますよね。 旦那、先生と崇める演出家の志澤、大学時代のサークルの後輩石井。 さてさて下巻ではどんな展開が待っているのやら。 説明 内容紹介 女としての人生が終わる前に性愛を極める恋がしてみたい。35歳の脚本家・高遠奈津の性の彷徨が問いかける夫婦、男、自分自身 内容(「BOOK」データベースより) 三十五歳の脚本家、奈津は、才能に恵まれながら、田舎で同居する夫の抑圧に苦しんでいた。ある日、夫の創作への関与に耐えられなくなった奈津は、長く敬愛していた演出家・志澤の意見に従い、家を飛び出す決意をする。束縛から解き放たれた女性が、初めてめぐり合う生と性、その彷徨の行方を正面から描く衝撃的な官能の物語。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 村山/由佳 1964年、東京生まれ。大学卒業後、会社勤務、塾講師などを経て、93年「天使の卵~エンジェルス・エッグ」で第6回小説すばる新人賞を受賞。2003年『星々の舟』で第129回直木賞を受賞。主な著作に、第4回中央公論文芸賞・第22回柴田錬三郎賞・第16回島清恋愛文学賞を受賞した『ダブル・ファンタジー』「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズなどがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

    3
    投稿日: 2021.05.04
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    恋愛小説。王道のラブストーリーではないと思う。恋愛は気持ちも大切だが、身体の欲望も共にあるのも当然である。W不倫やら、浮気やら、恋愛体質やら、人間はなにかにカテゴライズしたがるが当事者になってしまったらそんな言葉ではいいたらない状況になる。そのすべてを書き表している小説だと思う。恋の激しさ、そして、残酷にも冷めてしまう恋もある。恋愛とはそういうものだと思う。

    0
    投稿日: 2020.12.22
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    いっぱい受賞しているようですが、そんなにいいかな。。。 ベッドシーンが話題のようでしたが女性目線だとそうやねーぐらい。 狼とキリンが出てきてキリンで終われるのかと思っていたら 最後は「結局は一人なのよ」みたいな結末でした。 うーん、モヤモヤ感。

    1
    投稿日: 2020.09.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    やっと読了。 嫌いじゃないけど放蕩記と内容がかぶりまくりでちょっと新鮮味がないなぁと思いつつ、モラハラ気味な夫とのやりとりに共感しまくって泣きそうだった。 憧れの人といい関係になって、それがだめになって先輩ともいい関係になって… この辺まではつらかったしね、ときめくのもわかるんだけどその後ぽっと出の俳優さんに惹かれてしまうという。 先輩がかわいそう。 でも村山氏の本て恋愛小説に見せかけて実は違うからこの辺は承知のうえ。 やっぱり文章がきれいで好きなんだけど、今回の本は放蕩記とあまりに展開、設定がかぶってて新鮮味に欠けたかな。 ラストなんてほぼ一緒じゃない。 そこが残念。 設定は一緒でもいいんだけど、せめて展開は違ってたらうれしかったなぁ。 2020/03/14

    0
    投稿日: 2020.03.14
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    最初は、この女、どうなって行くのかな、と読み進めては見たものの、単なるヤリマンだけだった。ストーリーの終わり方も拍子抜け。❌

    0
    投稿日: 2019.10.05
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    久々にひどい本を読んでしまった…。村山由佳なのに。 母親との確執からの、夫との合わなさからの、強烈な不倫という上巻はまだよかったけれど、下巻のただただ流されて色々な男に溺れていく感じとか、上巻で張った伏線は全然活かされなく、最後は「え?これで終わりにするの?」という閉め方。 しかも、官能小説張りに色んなシーンを細かい描写で書いているけど、全く官能的ではない 。理性で書いた観察日記のような。 旅行中の移動の際に読もうと思ってブックオフで「村山由佳なら外さないだろう」と思って買った本。二度と読まないので、売る予定。

    1
    投稿日: 2018.12.24
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    随分前から気になっていた作品。 100円セールにて購入。 なかなか強烈な内容でしたが、途中からは吸い込まれるように読んでます。 下巻も楽しみ。

    0
    投稿日: 2018.12.22
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    水彩絵具のチューブから、紫色の液体と固体の真ん中のものが出てきた。 パレットの上にいるときはにゅるっとしているものが、 紙の上にのると活力と表現力が溢れだした。 (以下抜粋) ○背中に腕をまわして肩甲骨を撫で、背骨をひとつずつ数えおろしていき、  その手を斜め下へ滑らせると、必ずと言っていいほど、  よく冷えた臀に出くわす。(P.8) ○正直に自分の年齢を言うと、とてもそうは見えないと笑ったが、  「とてもそうは」とわざわざ口にするところにこそ女の三十五歳を  どうとらえているかが透けて見える気がして、  奈津はその時もぬくる微笑むしかなかった。  曲がりなりにもプロを名乗るなら、  <三十五、か。女性がいちばん魅力的な年齢だね>  さらりとそう言ってのけるくらいの芸当ができないものか。(P.14) ○性欲の強い女の何が悪い。  男の場合は「絶倫」で、女の場合は「淫乱」。納得がいかない。(P.30) ○ありがちなくらいが、人の胸には届きやすいのだ。  少しダサいくらいでちょうどいい。  大衆を甘くて見ているのはない。  セリフというものは、文字をともなわずに音として耳に届くから、  あまりにも研ぎ澄まされていてはかえって受け止めてもらえないのだ。  鋭利な刃物が向かってくれば本能的によけるのと同じように、  鋭利な言葉に対して、多くの人は無意識のうちに身をかわす。(P.280)

    0
    投稿日: 2018.12.16
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    登場人物全員を、文字通り全員を好きではないどころか気持ち悪いと感じさせられた稀有な作品。 主人公に協力してくれるサバサバした女性にすら、「この女にそこまで親切にするお前の真意はなんだ」と。あー気持ち悪かった

    2
    投稿日: 2018.12.02
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    学生時代に好きだった村山由佳さん。読んでいたのは, おいしいコーヒーシリーズとエンジェルズエッグのシリーズ。両シリーズに共通する純粋な恋愛やもどかしい距離感といった様子が全くないこの作品を読んで, 作者の別の面を見た気がした。同姓同名かと疑った位。 wowowでのドラマに比べて原作の省吾のモラハラレベルが高くて読んでいて苦しくなった。どうしても官能的な表現に気がいってしまいがちだけど, 結婚って・夫婦ってどうあるべきなんだっけ?という正解はない堂々巡りの自問自答のループに陥る。

    1
    投稿日: 2018.11.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「すずらん本屋」で面白いと紹介されていたのと、著者の村山先生が「ネコメンタリー」で特集されていて著作を読んでみたくて読んだ本。奈津と志澤のメールのやり取りが面白かった。奈津の夫が怖いと思った。

    0
    投稿日: 2018.09.05
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    自分というものを持っていなくてなんて身勝手なんだろう……  脚本家の高遠ナツメ(奈津)は自分の性欲の強さに薄々気づいていた。その性欲を満たしてくれるのは夫の省吾ではなく、意を決して呼んだ出張ホストでもなかった。  ある日、自分をこの世界に押し上げてくれた恩師とも言える脚本家の志澤から舞台のチケットが送られてきた。  お礼のメールを送る。それから志澤とのメールのやり取りが続く。最初は近況報告程度だったものが段々と深いところまで相談していく事になる。奈津は親身になって相談に乗ってくれる志澤に心を許していく。 「舞台の千秋楽に東京に泊まりで出てこれるか?」  こうなる事を予想していたかのように奈津は志澤との逢瀬に溺れる。  心も体も満たしてくれるのは志澤だったと気づく。しかしそれから夫の省吾とはすれ違いが多くなりやがて奈津は家を飛び出す。 志澤とは4回ほど会ったが全てにおいて満足させてくれた。しかし最後会ってから志澤の態度が急に変わった。 「自分のどこがいけなかったのか」 「悪いところがあれば言ってもらえれば直します」 色々メールを送ったのだが志澤からの返事は一切なし。 もやもやしているところに昔の仕事仲間から久しぶりに電話がかかってきた。 「香港でレポーターの仕事をしないか?」 奈津は少し考えてOKを出す 香港で無事に仕事を終えた最終日に大学時代の先輩にバッタリ出くわす。 彼とは二ヶ月の間だけ付き合った事がある… とここで上巻は終わり。 親身になって相談を受け奈津と体を重ねた志澤 ただやりたいだけのエロじじぃやん!とツッコミを入れたくなる。 実力のある奈津が今落ち込んでいていい脚本が書けない事に対してこういう経験をさせて今よりももっと上の脚本をかけるようになって欲しいとも読み取れるが…ただのエロじじぃやん! 更に輪をかけて悪いのが友達の岡島杏子、奈津からの話しか聞いていないのに夫と別れる事を煽る煽る。 まぁ、全ての登場人物に対してあまりいい印象は持たなかった上巻ですが下巻で考えが変わるのかな?と期待しつつ下巻を読む事にします「まる」

    1
    投稿日: 2018.08.15
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    今までだったら絶対手にとらないタイプの本だったのだけど魔がさして買ってみたら相当面白かった。 モラハラ夫のデリカシーのなさ、「わかるー!」って思うとこばかり。それらを言葉に、物語にできるところがすごい。

    0
    投稿日: 2018.07.17
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    ドラマ化されると知り、読んだ。 村山由佳さんの作品は、10年ほど前に おいコーシリーズにハマったとき以来。 爽やかで瑞々しいお話を書かれるイメージだったので いい意味で裏切られた。 主人公の気持ちの移り変わりに腹立たしさを感じるが これこそがリアルな女性なのかなあと。 いいところで終わっているので下巻が楽しみ。

    0
    投稿日: 2018.06.20
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    男女の情愛の話が書かれているのに、どこかエロさよりも結婚、恋愛ってなんだろうってところを考えさせられる作品。

    0
    投稿日: 2018.06.08
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    wowowで放映されるので手に取りました。 本のレビューやあらすじを少し目を通してから本を読んだので ある程度の覚悟はしていましたが、 かなりきわどい性描写が沢山出てくるので 吃驚してしまいました。 それを男性ではなく、女性がこれだけ事細かく描いたものを 読んだのは初めてなので更にインパクトがありました。 けれど官能的とまではあまり思えないのは 奈津が意外と大胆な性格なせいなのかと思えました。 主人公の奈津は脚本家であるために仕事のために よりリアル感を味わうために様々な衝撃的な事を 経験していたかのように思えましたが、 敬愛していた人に出会ってしまってからはそれが違う方へと向かってしまったのでこれはどのような心境の変化かと思ってしまいます。 二人のやり取りを見ていると、師弟関係を通り越して 不倫のようなものにも思えてきてしまいました。 いわゆるこれが俗によく言う、 一人の男によって変えられてしまったというか、 閉じられていた扉が開かれてしまったとでも言いましょうか。 それとも元々の楽な方へ楽な方へと流れてしまう性格が災いを招いてしまったのでしょうか。 それに対して夫との関係はまるで兄弟や同級生といったような関係で これもまた少し違和感のあるような気もしました。 自分だけの小さな世界だけを好んでいるというのもちょっと幼稚というか子供っぽさがあると思えてしまい夫とというより、人としてどうなのかと思ってしまいました。 後半の夫との諍いでは結局仕事がらみのことが中心になりちょっと夫が可哀想な気もしましたが、 奈津のような上の世界を目指している人には 物足りなさを感じてしまうのかと思えてしまいました。 下巻は奈津が脚本家としてひと花咲かすのか、 そしてこれからの男女関係、 夫婦関係などがどうなっていくのか そして人としてどう成長していくのかが楽しみです。

    0
    投稿日: 2018.05.21
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    女の人独特のあの気持ちを、ここまで活字にして表現することができるのはほんとにすごい。蛍光マーカーで文に線を引きたくなるくらい的確な表現でした。ただの官能小説じゃない。心の中の深い感情まで書かれています。

    1
    投稿日: 2018.03.26
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    ちょっとエロい小説が読みたいなぁと思ってネットを漁っていたところ、わりと評判が良かったので読んでみた一冊。しかし、期待以上にエロかった…。村山由佳は学生時代に何冊か読んだことがあって、みずみずしい青春路線だとばかり思い込んでいたら、いつの間にこういう作品を書くようになっていたのか…。 前半、志澤とのメールのやりとりやセックス描写は、渡辺淳一かと見紛うような三流ポルノで、何度途中で読むのを止めようかと思ったか判らない。しかし、主人公の奈津が別居を始めたあたりから急速に面白くなり、後半は一気読みだった。特に奈津が男を誘うときのセリフはなかなか秀逸で印象深い。性に淡白な夫との関係、憧れと従属、日溜まりのような満足、淡白なセックス、圧倒されるセックスなどなど、様々な男女関係が描かれる中で、男と女のすれ違いが残酷なまでに繰り返される。表題のダブル・ファンタジーは、男と女がそれぞれに相手に対して描く幻想を象徴しているが、もう少し判りやすい表現を知っている。曰く、「恋愛は双方向の片思い」。

    0
    投稿日: 2017.04.15
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    上巻だけではまだタイトルの意味がピンとこなかった。下巻まで読めばわかるかな。 逢瀬のシーンが、激しさを想像できる記述だった。

    0
    投稿日: 2016.12.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    共感出来てしまう自分がいます。女は、いつまでも女でいたい…そして、ひとりの人を愛してしまい、旦那さんを置いて出ていってしまい、あげく撃沈…続き、下巻を読んでみます!

    0
    投稿日: 2016.07.14
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    随分前に電子書籍で買ってあったのをやっと消化。官能小説のような部分もあるが、才能ある女性が付き合う男性によってどう駄目になるかが一番描きたい内容かもしれない。とにかく奈津の旦那の省吾が酷い書かれようだ。よくもまあこんな嫌な男を作れたものだと感心しきり。あと神格化されている志澤も当初のメールでのやりとりは中高生並だし、さっさと離れていく様も大人気ない。まあ下巻への伏線なんだろうけど、昔付き合っていた先輩との出会いも含めてどうまとめていくのか楽しみだ。

    0
    投稿日: 2016.01.09
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    思ったほどエロく無かった でも、男としては なかなか勉強になった(笑) 気をつけないならないことは いっぱいあるな(笑) 下で、エロさが増す事に期待(^o^)/

    0
    投稿日: 2015.08.14
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    花酔いに続き、村山由佳さんの作品本。 やっぱり登場人物は好きになれないけど、男を買う所から始まる物語は覗き見感覚ですぐに話の中に入っていける。 途中のメールのやり取りは退屈で飛ばしたくなったが、その後の展開は面白くすぐに下巻を読みたくなる。 なので、早速下巻に行きます。

    0
    投稿日: 2015.07.08
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    今のところ、誰ひとりとして好きになれる登場人物がいない……。 よくこの夫を好きになったと思うし、劇作家の方も全く魅力を感じない。 嫌な人物を書くことと、表現が素晴らしいのでこの評価。 夫が主人公を『ナツッペ』と呼ぶのも、文字を読むだけで、なんかイラっとする。

    0
    投稿日: 2015.06.27
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    村山由佳さんの本は初めて読んだけれど、どハマりしそう。気取らない、さっぱりしていて読みやすい文章がとても気に入った。それから、奈津の感性は私に近いものがあるかもしれない。読んでいてはっと我に返るように共感する感覚も、くせになりそう。

    0
    投稿日: 2015.05.07
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    あぁ、いるいる。こんな男の人。 こんな夫婦も居そうだなー。 と言う感じで共感は出来ないものの、あるあるが詰まっていそう。 官能的と言われていたので渡辺淳一の様な作品をイメージしていたのですが、 やはりこれは女性目線。 主人公の女性に共感は出来ないものの、続きが気になります。 あんな夫との生活、私は無理だなぁ。

    3
    投稿日: 2014.11.29
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    34 とんでもないことを そそのかしているように思うだろうが、 ものをつくりあげる人間の人生は、ときにリセットしなければならないんだよ。 自分で自分わらの事を嫌いだなんて言うのは、 自意識過剰の馬鹿だけよ。 誰だって自分のどこかを嫌っている。 それをわざわざ口に出すなんて、 逆に、私は自分のことが大好きですって 白状してるようなものじゃない。 かっこわる。

    0
    投稿日: 2014.10.17
  • 上巻までならよくある恋愛小説に近い雰囲気

    仕事を持つ女性とそれに依存してしまっている夫、倦怠期とも言える夫婦仲。 上巻ではそこから抜け出そうとする主人公と、そこに理解を置く男性との不倫。 それすらもうまくいかなくなってきたときに現れた元彼な先輩との再会。 官能的とはいえ、まだ比較的共感されやすい内容だと思うし、これからどうなるのかなと期待して読むことができた。 ただ、下巻まで行ってしまうと、ある程度の人生経験や女性への理解がないと理解しづらい部分があるように思う。

    2
    投稿日: 2014.08.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    今までの村山由佳と全く異なる。 でも、世界に引き込まれる。 --- 三十五歳の脚本家、奈津は、才能に恵まれながら、田舎で同居する夫の抑圧に苦しんでいた。ある日、夫の創作への関与に耐えられなくなった奈津は、長く敬愛していた演出家・志澤の意見に従い、家を飛び出す決意をする。束縛から解き放たれた女性が、初めてめぐり合う生と性、その彷徨の行方を正面から描く衝撃的な官能の物語。

    0
    投稿日: 2014.02.17
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    これまでの作品とは随分イメージが変わった気がしました。 性描写がかなり多いですが、男性作家が描くそれとはちょっと違って、女性らしさがかなり表現されているような気がしました(*^^*) 全然読みにくくないです。 主人公が惹かれていく志澤は私には何の魅力も感じられないのがちょっと残念。 もうちょっと魅力的な人で主人公に感情移入できたらもっと楽しめたかも。

    5
    投稿日: 2014.01.10
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    田舎暮らしを辞め離婚、再婚、タトウー、離婚前後の顔つきの違い等々…著者自身の事を書いているのであれば非常に興味深い。安全平穏より花火のように一瞬の輝きを求める生き方を、と言う意味なのか。ただ小説としては少し消化不良感あり。それにしても女の性欲恐るべし…。

    0
    投稿日: 2013.10.20
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    『天使の卵』、『BAD KIDS』の頃からしたらだいぶ印象が変わった。桐野夏生、角田光代路線。ほとんどセックスシーンだが、追体験できるくらい感覚描写が冴えている。会話や手紙の文句やいちいち臭いのだが、その臭さがかえってリアルかもしれない。いわゆる「業界」を描いた小説。

    0
    投稿日: 2013.09.11
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    上巻は離婚に傾いて行く主人公の 気持ち、混乱、罪悪感と、 それでももう過去には戻れない感 に共感度100%。 やはり、これが女なのです。

    0
    投稿日: 2013.08.13
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    小説の内容と作者の思想や体験は同一視すべきではないとわかっていつつも これは邪推してしまう人がいても仕方がないなぁ~ と思う

    0
    投稿日: 2013.07.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    苦手な方の方が多いようですが、私はこの作品、好きです。 男女の違いや性描写についても、 痛烈で、むしろ笑ってしまうところが多くて。 女性がいつも感じている事を、そのままズバリ文章にしてくれているなーという感じです。 最後の岩井先輩のメールは、ベタなんですが、 どういう訳か、何度、読んでも泣けてしまいます。切ない? 恋愛に行き詰っている時に読むと「なぜか(笑)」元気になれる本です。

    0
    投稿日: 2013.07.24
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    本当に村上さん?と思うくらい文体が違うような…と思ったけど、後半の描写はああ、と。 人伝にエロいと聞いてたけどそこまでじゃない。でもこれって官能小説風にする必要あったんかな?書きたかったのかな? とりあえず下巻読む。

    0
    投稿日: 2013.05.29
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    ガツガツしてる。獰猛で野蛮で、狂暴で。荒れてて飲み込まれそうな表現ならなんでもいい。 面白い。 細かい感想は下巻で。

    0
    投稿日: 2013.03.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    昔からおいコーシリーズとか読んでいたが、今まで読んでいた本と違い、大人な話だった。 男キャラにそれぞれカラーがあって、楽しめた。 主人公の感情の転がり具合は、私も似た部分があるので、共感。

    0
    投稿日: 2013.02.05
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    ただのエロ小説だと聞いていたので期待してなかったのが良かったのか、意外と面白かった。 共感するところが多々あるってことは、私も依存症だったのかもな。

    0
    投稿日: 2012.11.29
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    性的衝動がとてもとても強い、脚本家、女性の物語。 旦那サマから逃れて、他のオトコ達と情事を交わす、的な。 うぅうううん、わざわざ村山由佳が書かないでも良かったんじゃないかなぁって思う。 まぁ、今までの「天使の卵」みたいなイライラするほどの純愛系から抜け出たかったのかもしれないけど。 少なくとも私には、この小説から何も得るものはなかったし、エンターテイメントとしてのワクワクドキドキ感もなかった。

    0
    投稿日: 2012.11.21
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    ただの官能小説じゃない。読んでてムラムラする、そんな生易しくない、いやらしくない、渇望する性といったところか?また読み返したい。

    0
    投稿日: 2012.11.05
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    147 どうしよう、下巻は、、、。 上巻は人物の進展が見れない。 下巻がこのままだったら単なるエロ小説だよな。

    0
    投稿日: 2012.10.25
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    ひどい小説だ。数十頁を読んで読むのをやめた。下巻まで同時に買ってしまい(電子書籍なので)全く損した。

    0
    投稿日: 2012.10.19
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    今(下の途中。 アイドルオタ友達には期待しないように言われパイオニアになる気で読んだが、興味深い。 冒頭が性描写でびっくりしたけど、ナツの気持ちがすっと入ってくるのは私が女性だからか。 サクサク読めるのでノンストレス。表紙が可愛い。

    1
    投稿日: 2012.10.18
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    いつもお洒落な言葉がポツポツと咲いているような本が好きで読むのだけど、この本はなんだか言葉たちがコダサイのだけど、ついつい夢中になった。。。学生時代に戻った気持ちに入り込めて結局ハマってぐっと読みいってしまった。

    0
    投稿日: 2012.10.04
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    奈津と自分の性格が似てるなと思った。 盛り上がりから醒めるまでの一つ一つの感情が、やけにリアルだった。

    0
    投稿日: 2012.09.29
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    35歳の人気脚本家、奈津。奈津のマネジメントに専念するため仕事をやめた夫の省吾とともに埼玉の田舎の家で暮らしていたが、敬愛する演出家志澤の出現で、それまで見ない振りをしていた省吾との齟齬がごまかしきれなくなり…。 厳しかったという母親についての具体的なエピソードはどこで出てくるのだ?と思っていたら出てこないままだった。省吾との関係にまで影響しているわりにはちょっと弱すぎる気がした。 それとは別に、いったん奈津を突き放した志澤が、いつか「あれはおまえを自立させるための演技だった」とかなんとか言って戻ってくるような予感が常にしていたのたが、とうとうそれもなく。奈津がつぶやく“一つが始まれば、一つが終わってしまう”の通り、これからもひたすらに何かを求めてさまよい続ける奈津の姿が予感されるようなラストだった。 奈津のように性欲のおもむくままいっちゃう、という心理はよく分からなかったが、一人の男性に惹かれてから恋愛の絶頂を迎え、やがて自分でも不思議なくらいのスピードで醒めていく…その一連の過程のなかに生まれる小さな感情のひとつひとつがやたらリアルだった。 ☆柴田錬三郎賞・中央公論文芸賞・島清恋愛文学賞

    0
    投稿日: 2012.09.21
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    自分では絶対に買わない類の本ですが、借りたので。 やっぱり、このどうにもシンクロ出来ない女性主人公。コレが女の性(さが)だとか、心理だと男性に思われるとちょっと。。。 性欲とかエロスと表現されているけど。。。なんか欲望と性の利用としか思えない。 取り敢えず、ストーリーの流れは気になるので、下巻に期待。

    0
    投稿日: 2012.08.28
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    読んでからすでに3ヶ月が経過してしまったので忘れてしまった。 村山由佳は、女性らしいエロさを描くよね。

    0
    投稿日: 2012.08.09
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    2012.07.04 読了 女性視点で性愛が緻密に描かれているというならば、自分は間違いなく女性よりも女性の心理を捉えられるだろう。小説としては面白いが、主人公・奈津のどうしようもない軽さ(思慮の浅さ?)が、ところどころで心につっかえる。下巻の展開に少し期待したい。

    2
    投稿日: 2012.07.05
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    久々の村山さん。大好き、村山さん。 青春系のさわやか物語と官能系のドキドキ物語、どっちのお話も好きです。 今回は後者。ドキドキしながらどんどんと読みました。 色々と妄想してみたり。のめりこんだ。 脚本家の女性が主人公。性格が似ている気がする。 旦那の省吾に「Aの話をしていて、その途中でBを話されてしまうと、私はAのことを考えているので、ついていけなくなる。反論もできなく、口を閉ざしてしまう」というのが、似ている!てか、一緒! 他にも色々と共感できました。

    1
    投稿日: 2012.06.25
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    久々においコー以外の村山作品を読んだ。 純愛とは全くかけ離れてます。まさにエロス!だけどいやらしさは感じない。嫌味がない。 薄いわりに読むの時間かかったな。

    0
    投稿日: 2012.06.01
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    村山由佳らしからぬエロス!しかしエロいだけじゃないね。描かれる女の心の動きを理解、共感できる部分が多く、自分の成長を感じてしまった…。できることならドラマ化したくなる感じ(笑)

    0
    投稿日: 2012.05.29
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    色情薄情の女性を描いた作品。村上由佳さんの作品は純愛ものしか読んだことなかったので、斬新奇抜でした。自分のことしか考えず、人を裏切ったり傷つけたり悪びれることなく平気で出来てしまう人にはなりたくない。

    0
    投稿日: 2012.04.28
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    徐々に自分の考え方とかが染まっていたことから脱却しようともがき出しているので、後編がどうなるか楽しみだ♪

    0
    投稿日: 2012.04.22
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    作者の自伝的な話なのかな。 自意識過剰なヒロインの奔放な性生活が綴られてます。 読み切るのに頑張りが必要です。

    0
    投稿日: 2012.04.16
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    感想*ピュアな童話も書く村山由佳さんの、女性のセックス感の機微がよく描かれている女性視点の初めての官能小説。男性に読ませるの酷だなーとも思うし、女心理解しようという男気があるなら読んでみたらいいんじゃない?と挑発を仕掛けたくなる気もする。笑

    1
    投稿日: 2012.04.03
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    カテゴリ,恋愛でもないような。 といって,官能小説っていうのとも違うのだけど,字面だけ追えばそうなってしまうのかな。 身も蓋もなく言えば,夫がいても満たされない欲望を他の男性で補おうとしてる女性の物語なのだけど。 きっかけがあって,その一歩が意外と簡単に踏み出せて,1度知ってしまった快楽はもう知る前には戻れない。 相手を変えて経験を重ねるうちに,本当に欲しいものがわかるかといえばそうではなく,更にわからなくなる。 そして元の場所にも戻れない。 そもそも一緒にいた夫に対して抑圧されてるものがあったからこその一歩。一緒に暮らせなくなるのも道理。 後味悪いわけでもなく,上下巻のボリュームにしてはさくっと読めたけど,んー,他の作品に好きなのがあるだけに普通な感じでした。

    0
    投稿日: 2012.03.24
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    女性の心の移り変わりと男性の女々しさをよく表現していると思います。 非現実的な設定でありながらも、登場人物の葛藤や感情表現などがとても身近に感じられたのが面白かった。人の心理というものがこれほど面白く感じられたのは初めてでした。 ただ、官能的すぎて人に勧めることはできませんが・・

    0
    投稿日: 2012.03.16
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     2度と読むことはないだろうと思っていた作家の作品を、とある理由から再び手に取ってみたのだが。  以前、もう何年も前に『天使の卵 エンジェルス・エッグ』を読んだ時に、何て表面的で浅い作品なのだろうと思い、当時は他のタイトル作品も気になっていたのだが、幻滅して2度とは読まないことに決めたのである。とにかく深みが無くファンタジーに近かった。  ところが本作は違うのだと・・・友人からの薦めもあり書店に足を運んだところ平積みされていたその帯に書かれていた文言は「作家・村山由佳の転換点にして衝撃作。」とあった。何やら賞もたくさんとっているらしい。官能の物語ということで云々・・・  脚本家である主人公、奈津の男性遍歴のお話である。半分から3/4ぐらいまでであろうか、そこそこ楽しめて読めたと思う。次の展開も気になって読み進めていたのであるが。読み終えてみるとどうだったのか。終盤に向かって何か心を揺さぶられるような展開は全く無かった。全体としては、女性視点の性欲や関係依存についてはそこそこ描けていたような気もするが、ここまで長くする必要はないだろうし、もっと心に響くように描ける作家はたくさんいるはずである。結局のところ奈津という女性1人視点の男や人生に対する思いやセックスの話ばかりであったような気がする。  もう2度と読まないと決めた作家だったこともあり、かなり期待して読んだのであるが、正直期待外れで何だか残念な気分になってしまった。

    2
    投稿日: 2012.03.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    アガペーとエロースとファリアがくっきりとはっきりとしながらも 生活は混沌としている。それが不思議であるし、面白い

    0
    投稿日: 2012.02.20
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    恋愛小説が多い村山由佳の、話題の新巻。主人公は脚本家の女性で、夫との不和等により不倫に走る。簡単なストーリーは、昼ドラの愛憎劇だけど、登場人物の描写、感情表現がリアルに書かれていて、さすが村山さん!と思った。下巻では心の虚しさ、枯渇感を主人公がどう受け止めて行くかがポイント。

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    投稿日: 2012.02.09
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    小説家、高遠ナツメは夫との不仲から不倫をしてしまい、別の二人の男と身体を重ねていく。女として求められることに悦びを感じるナツメは、自身が男に対し求めているものの深さに気付き、過ち苦しみ悲しんでいく。夫との離別を経て自由を獲得したナツメだったが、堪えきれない愛欲に浮気を繰り返し、やがてそのたどり着けない寂しさを知ることになる。

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    投稿日: 2012.01.17
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    この本は、良く官能小説と言われるけれど 私が一番気になったのは、愛して結婚したのに 夫の事を怖いと思うこと、暴力をふるったりするわけでもないのに 何か恐れているということ。 一方的にすごく気を使っていること。 感情の行き違いを我慢して居たり、無理していたことを 他人から指摘されないと分からなかったこと いったん気が付いてしまうと、我慢できなくなること。 その根本の原因が性なのか、どうなのか? 早く下巻を読んでみなくっちゃ~

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    投稿日: 2012.01.07
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    村山さんの今までのものとは異なる、女性の官能を描いた小説。官能に乱れているのでなく、葛藤や心の動きが描かれており、男性の僕としては、こんな心持ちがあるんだと興味深く思った。そして、様々な男性のタイプがあり、男の側の気持ちをも考えてみて面白かった。

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    投稿日: 2012.01.01
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    主人公は脚本家(戯曲作家?)の女性。 その女性が自分の殻を破ってゆく過程を描いた作品、になるのかな? とても奔放で自分に素直な主人公。そういう人もいるという理解はできるけど、共感は出来なかった。 性描写が多いので、昼ドラ的な感じで楽しむと良いのかもしれない。 この主人公はこの先どうなっちゃうんだろう?的な。 内容は極めて薄かった。

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    投稿日: 2011.12.27
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    3章にはいるまで、序章と1章が時系列でなかったことに気づかなかった。ちょっとわかりづらい。 あと、1・2章がダラダラで疲れる。しかし3章で面白くなってきたので下巻に期待。

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    投稿日: 2011.12.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    放蕩記といろんなところが被る。 筆者自身の体験が色濃く出ているのではないだろうか・・・と思いながら読み進めています。 官能要素はエロゲ耐性があるので、そんなに気にならない(笑) むしろ主人公の奈津の様にチャレンジしていらっしゃるのだろうなぁと応援したくなります。 おいコーからこの本に入るとびっくりされる方もいるかもですが。。 小説だと言い回しの技がいっぱいあるんだなぁと感心してしまう。

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    投稿日: 2011.12.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    村山由佳氏の「ダブル ファンタジー」を読みました。 この作品は第4回中央公論文芸賞、第22回柴田錬三郎賞、第16回島清恋愛文学賞の3賞を受賞しています。 女性作家による女性の官能小説。 自分の自由を追い求めるために、自分が傷つき苦しむ。 それを繰り返すことにより、相手を傷つけていることにも やっと気づく。 自由とは何と哀しいことか・・ 解説の最後にジャン・ポール・サルトルの言葉が引用されています。 「人間は自由である。人間は自由そのものである。・・・・・ われわれは逃げ口上もなく孤独である。そのことを私は、人間は自由の刑に処せられていると表現したい。(伊吹武彦 訳)」 大人の本でした。

    7
    投稿日: 2011.11.24
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    村上由佳さん好きでオイコーは継続して読んでいますが、あたしにはちょっと官能的過ぎたかなぁ・・・?と、おもってしまった一冊です。 新境地のようですが。。。

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    投稿日: 2011.11.19
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    奈津の状況が、ちょうど自分の現在の状況とシンクロしていて、自分の心の中を見ているような気分だった。それ故に、先の展開が気になってしまい一気に読みすすめた。 下巻の展開も気になるので、また一気に読み進めたいな~。

    0
    投稿日: 2011.11.19
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    早く続きが読みたい!! 女の感情がかなり詰まってる。なんだか共感できてしまうことばかり。わたしならこんなに強くはいられないけど。知らない間に甘えてしまっていたなんて、依存してしまっていたなんて、そのときには気づかないもの。失ってから気づくもの。

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    投稿日: 2011.11.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    主人公の気持ちがわかるようなわからないような とりあえずどんな理由であれ、隠し事とか嘘つくような奴が何言っても説得力なんてないと思う それはただの独りよがりの自己チューだ

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    投稿日: 2011.11.06
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    今までの村山由香と全然違う。でも心に響く言葉が沢山あった。良き人から与えられた悩みが一番深い。その通りなのだ。

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    投稿日: 2011.11.06
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    圧倒的な勢いでぐんぐんページが進む。とくに上巻は、この先どうなるの?って感じ。 世の中いろんな男がいるんだよね。 でも男を甘くしてしまう、のくだりは妙に納得。 志澤のように自信がある人の気持ちは想像できない。自分の好き勝手にふるまって、「俺はこういう人間だから」って相手のせいのように言う人はきらい。

    0
    投稿日: 2011.10.26
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    「転換点にして衝撃作」と帯に書いてあったので、久々に村山由佳の本を手にとってみた。 官能がテーマのこの物語、たしかに『天使の卵」や『おいしいコーヒーの入れ方』シリーズの先入観から読んだら驚く人もいるかもしれない。 けど、衝撃というにはちょっと違う気がした...。 良い意味でだが、「村山由佳」は「村山由佳」である。 官能的な場面こそあれ、その関係性がどうであったとしても、そこに描かれているプラトニックな描写は村山由佳の今までのそれと違わずに楽しめた。 下巻の展開がどうなるのか楽しみだ。 物語自体の感想はその後で。。。

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    投稿日: 2011.10.23
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    これは正直、わからないなあ。官能小説にチャレンジしてみました、ってだけ?読んでいる間はまあ読み進むけれど、官能小説ならば、この直後によんだ「甘い鞭」くらいのほうがいいような。可もなく不可もないなら、官能小説でなくていいのではないか。

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    投稿日: 2011.10.23
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    「官能」がテーマ。 そうとう過激なんだろうなと、覚悟しつつ文庫化を機に購入。 「定員は一人」に共感できた。 心に新しく誰かの居場所を作ったら、かつてそこに居た人をもう同じようには愛せないの。 下巻を読んでから感想を書きます。

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    投稿日: 2011.10.15