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総合評価

33件)
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    戦争から生還し、沢山の孤児たちの親代わりとして生きた男の話。損得勘定抜きに、自分の幸せも二の次にして、こういう人生が送れるってスゴイなぁ。それだけやはり戦争での、人には語りたくない体験が、影響してしまったということなのだろうな

    60
    投稿日: 2025.02.28
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    戦後の混乱期に十三というこれまた混沌とした地にある骸骨ビルで育った身寄りのない子供たち。どうみても苦労の連続であった話を中心に物語が展開されていくのだが、読了した最後には爽快感が残っているのは、本作の不思議な魅力だと思う。

    0
    投稿日: 2024.01.20
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    戦災孤児について全く知識が無かったので、この本を読むことにより生きることがどれだけ大変だったろうかと思いを巡らせることができた。 一人一人インタビューしたものを日記ふうにしたためてあるのでグイグイと読めた。 話の端々に心に沁み入る箇所があった。 うまくまとめられなかったので再読してピックアップしようと思う。 宮本輝氏の小説は毎回、事業を起こそうと思わせるものがある。今回は食堂。 錦繍では今で言うタウン誌を作ったエピソードがあった。 流転の海を読んで、事業を起こす事が描かれるのは宮本輝氏のお父さまの影響であることがわかる。 また今回も能を見に行くという箇所があり、たまたま能を見るチャンスに恵まれたのでこれも何かの縁と思い見に行くことにする。 それから舞台である十三に近々行くので、近辺を歩けたらと思う。

    6
    投稿日: 2023.07.10
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    大阪十三にある通称「骸骨ビル」。開発のため立ち退きを促す担当者として派遣された八木沢省三郎と個性豊かな住人たちとの交流がなんとも楽しく味わい深い。 敵対する関係のはずがいつしかヤギショー、ヒデト、サクラちゃん、トシ坊、ナナ、チャッピー、ヨネスケと渾名で呼び合う人間関係に入り込んでいく。 そして中庭に畑を再現し、住人たちから昔の話を聞くにつれ戦後のオーナーたちの苦労を知り彼らに感情移入していくヤギショー。 ーー人間は何のために生まれてきたのか? ーー自分と縁する人たちに歓びや幸福をもたらすため 戦争から生還し、何かの力によって生かされたと感じた男が、孤児たちを育てて父となることで生を全うするその生き方に心を動かされる。 滋味深い物語は最後の1ページに至ってさらに大きな感動をもたらしてくれた。 「雄弁で彩りに満ちた沈黙」のシーンは自然と涙が滲み、後には深い余韻が残った。 いい作品を読めました。

    1
    投稿日: 2023.04.26
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    十三の骸骨ビル もしかしたらあるのかもしれない 孤児たちと2人の男の人 特別な戦後の時代を経ての人生 独特の空気の中にすぐに吸い込まれて読んだ

    0
    投稿日: 2022.05.27
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    一気読み。宮本輝は初読み。主人公の八木沢と住人(優等生的な住人)の会話があってこそのストーリー。現代のような隣人どうしが希薄な世の中ではこの様な関係を築くことはないだろう。そう言った意味ではこんな終わり方が良いようにおもう。

    1
    投稿日: 2022.02.15
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    何と言っても装丁TAKORASU「植木街」 何かが届きました。 響きました。 落としどころもよかった。 ラスト皆が骸骨ビルに。 36枚の絵と80ページノートのコピー。 パパちゃん、テッちゃん=阿部轍正 亡くなってからの物語 茂木のおじちゃん=茂木泰造 骸骨ビルで育てられた戦災孤児の面々。 チャッピー ヒデトくん ナナちゃん サクラちゃん トシ坊 夏美 ヨネスケ 幸ちゃん マコちゃん 峰ちゃん ヤギショウ 比呂子ねえちゃんの『みなと食堂』 『エデンの仔猫』『和楽之湯』 料理、本、能 『史記』読みたくなり、漢詩についても。 宮本輝ミュージアムの『骸骨ビルの庭 登場人物紹介』 何度もみて、振り返りましたぁ。 いい大人になりたいと、思ってました。 どうしたら、なれるか⁉な、と。 いい大人と付き合わないと、って。 まんま、さらけださなきゃ。 って、教えてもらいまいした。

    0
    投稿日: 2021.09.19
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    展開がそれなりに面白く、 どのように収束させていくのか楽しみだったが、 かなりの消化不良で終わった。 回収していないネタ (もっと展開を深めてほしかったネタ) が多すぎ。

    0
    投稿日: 2020.11.03
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    マンションへの建て替えを了承したものの、ビルに居続ける茂木氏。彼は生きる場所と意味を与えてくれたビルの正統な後継者である友人阿部氏に不義理を働いた女性に、彼女がそこで知るべきことを知らせる義務感から居残っていた。 そのビルで育った子供たちの思い出と、彼らを育てた阿部・茂木両氏との思い出とが読んでいく中で重層構造を成していく。思い出に関係のない様々な知識も込められ、知的好奇心が満たされる感覚が良い読書体験として残る。 末尾まで来た時に、頭の中に残ったものはとても綺麗なのだけれど、文字では伝えきれない。良書。

    0
    投稿日: 2020.10.25
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    人間の愛を読めました。苦労は自分のことを考えるから苦労と感じると、気づきました。自分が、今後、どうやって生きていくのか指針になるような本です。まだ、そのように生きられるのかはわかりませんが、そのように生きられれば幸せになれるのかもしれません。

    0
    投稿日: 2020.09.23
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    宮本輝の作品に共通しているように思うが、この作品にも「光」が登場する。人間の存在を超えた何かが、人の運命を決定しているかのような感覚。苛酷で残酷な世の中に、稀に存在する点のような光と、存在としての人間が生死を超えていく様を現代的な言葉で、日常的な風景の中に、よくもまあ上手く織り込めたものだと思う。 多くの人の人生が、不思議に結び付けられていく縁を信じてみたくなる作品。

    1
    投稿日: 2019.04.03
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    骸骨ビルと言う場所の意味、阿部轍正の存在、そして茂木泰造の思い。終わりに向けて動き出す…。 パパちゃんに対し周囲からは邪推され陰口を叩かれる中、自己保身しか考えていなかった役所が子供たちを引き取りたいと言ってきた時に、彼が言った言葉。 「人間としての誇りは捨てんが、小さな自尊心なんていつでも捨てるで」 これもパパちゃん。 「人間はその根本の部分に必ず何等かの癖を隠しているものだ。…つらい苦しいことからは逃げるという癖を持つ人間もいる。そのときどきの気分で表情や態度が変わるという癖を持つ人間もいる。…そのことをしっかりと自覚しろ。」 私に言われているようだ。 ヴィクトル・フランクル「意味への意志」からの引用。 「――われわれは他者の人生に意味を与えることはできません――われわれが彼に与えることのできるもの、人生の旅の餞として彼に与えることのできるもの、それはただひとつ、実例、つまりわれわれのまるごとの存在という実例だけであります。というのは、人間の苦悩、人間の人生の究極的意味への問いに対しては、もはや知的な答えはあり得ず、ただ実存的な答えしかあり得ないからです。われわれは言葉で答えるのではなく、われわれの現存在そのものが答えなのです。――」 フランクルの「夜と霧」も考えさせる言葉が多く、勉強になったなあ。この本も読んでみよ。 終わりは静かな感じだったが、充足感の得られる内容であった。 宮本輝さんの本は初めてだった。他の本も読んでみたい。

    2
    投稿日: 2017.12.23
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    とても面白かった。初めて読んだ宮本輝作品。十三を舞台にして戦後を描く。登場人物の置かれた状況は大変だが、それを不幸自慢にしないところがいい。事実と虚構を混ぜて効果的に伝えるということにこの作品は成功している。生臭くないがリアルに思える。そう感じることの出来る作品だったと思う。後半、物語世界が閉じてしまうのが残念に思えるくらい。どっちを先の読もうか迷った「道頓堀川」も楽しく読めそうだ。芥川賞選考委員の、これが解答例とでもいえるようなそういう感じがしたかな。

    1
    投稿日: 2017.12.18
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    ビルの住人の戦後の話は、まだまだ続く。そして、成人に達してからの住人の日頃の生活、性質などが少しずつ明らかになっていく。 父親代わり、母親代わりの二人が住人の戦災孤児の精神構造構築に与えた影響のすごさが描かれている。 そして、除却するための条件について、色んな思惑が語られる。 濡れ衣を着せられた父親代わりの人間性も、少しずつ明らかにされ、また、母親代わりのもう一方の主人公の心の奥底のことも次第にわかってくる。 最終段階に至るまでの関係者の行動・思いが作者のすばらしいタッチで描かれていた。 関わった人間の99%は、納得いく形でこの物語は終わる。 世の中で生じる様々な現象、100%すての人間が納得して終わるということない。 しかしながら、人間として大切な価値観は十分守られ、ストーリーは終結するという形でこの物語は終わった。 読み終わって、なんとも言えない爽やかさが残るというのは、宮本輝さんの小説感によるのだろう。

    1
    投稿日: 2017.11.16
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    ヤギショウはんとその家族に不幸な事故や事件が起きるでなく、夏美が骸骨ビルに来るでなく、それでも5月31日に一つの区切りがついてしまった。茂木は諦められたのか? 「子どもたち」は、それを受け入れられたのかが今一つ感じられなかった。戦後、様々な理由で親を失った子どもたちを育んだ骸骨ビルの幕引きが、ひっそりと行われた感じ。重箱の隅的に言わせてもらうと、日記として綴られた本文だが、骸骨ビルに関わる人々の発言をあんなに事細かく書けるのか? その部分にはリアリティを感じず、違和感があった。

    1
    投稿日: 2017.09.06
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    ものすごく余韻のある物語。 ラスト近くの静かなシーンは、祈りたくなるくらいの厳かな気持ちになった。 もう亡くなった人を、こんなに立体的に思い浮かべられるだろうか。

    1
    投稿日: 2017.02.18
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    残り20ページほどで読み終わりというところで電車の中に置き忘れ。 落とし物届けなし。 痛恨のミス。無念。 これから宮本輝作品を読んでいこうと思った一冊でした。

    0
    投稿日: 2016.11.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    内容(「BOOK」データベースより) 今も親代わりの茂木の話では、彼らが一緒に育てた桐田夏美から性的暴力を受けたと訴えられ、失意のうちに亡くなった阿部轍正の名誉が回復されればみな立ち去るという。孤児たちの暮らしをなぞるように庭を耕し始めた八木沢は、真実を求めて夏美の消息を追うが…。人間の魂の絆を描いた感動の力作長編。 八木沢とかつての孤児(八木沢と同年代ですが」の交流によって阿部、茂木両名がいかに孤児たちを慈しみ育ててきたかを感じ、その崇高な人柄に感化され自分の人生も考え始めるのであった。 意外と呑気な八木沢。はっきり言って楽しそうに大阪生活を満喫しています。

    1
    投稿日: 2016.08.25
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    骸骨ビルで育った子供たちの話。 農業、料理の話。 生きることとは。 と、面白かった気もするんだけど、イマイチ心に響かなかった。

    1
    投稿日: 2016.05.14
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    相変わらず鶏のスープがよく出てくるのね。大阪の下町の戦後の混沌とした感じをここまで読み易く書けるのは宮本輝さんの小説。暗い中に希望がある。ただ今回は登場人物が多くて混乱。。。

    1
    投稿日: 2014.09.21
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    久々に素晴らしい現代小説を読んだ。個性あふれる登場人物に戦後を振り返る筋書き。劇を演じるというのがキーワードの一つだが、与えられた役割をこなす受身ではなく、主体的行為。自分も演じたい。読み終わって冒頭を読み返すとさらに感動。映画になるのでは。

    1
    投稿日: 2014.07.06
  • 骸骨ビルに集う人々。そして…

    主人公の人柄が人々を結びつけ、やがて骸骨ビルの庭にかつての仲間が集う時…。 宮本輝氏の人間描写の豊かさ、巧みさは、僭越ながら流石!の一言。静かに、しかし力強く進む物語に満足の読後感だった。オススメです。

    1
    投稿日: 2013.10.10
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     人生はじめての宮本輝作品である。一度、映画化になった「泥の河」を観たような気もするが、暗く陰湿な画面に気持ちが沈んだのを思い出す。暗い画面が描き出すストーリーは印象的で人間の根源に関わる問いを提示されているようなお話だった。「骸骨ビルの庭」についても同じような印象を受ける。  戦後の行き場を失った孤児たちが共同で暮らした骸骨ビルを舞台にしたお話である。ビルの立ち退きを迫る男が日記として語るビルにまつわる話が小説になっている。感動的でありまた当時の孤児たちの状況を知ることもできる。

    1
    投稿日: 2013.06.28
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    第13回司馬遼太郎賞受賞作。 「骸骨ビル」で生活し大人となった戦争孤児達が、立ち退きを進めるためにやってきた管理人「八木沢省三郎」に語る半生。 戦争を生き延びた「阿部轍正」、結核で死にかけた「茂木泰造」が自らの人生を投げ打ち多くの戦争孤児を育てるが、彼らが育てた桐田夏美から性的暴力を受けたと訴えられ、阿部轍正は失意のうちに亡くなる。その名誉が回復されればみな立ち去るという。 「人間が抱く嫉妬の中で最も暗くて陰湿なのは対象となる人間の正しさや立派さに対してなの」 少し宗教がかっているが、人間の魂魄を描いた大作には違いない。

    1
    投稿日: 2013.05.20
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    ハラハラする展開はあまりないのですが、心に残るお話でした。 食べ物の描写が結構でてくるのですが、読んでいる途中に何度も料理をしたくなったり、料理本を買いたくなったりしました。それくらいおいしそうで…。 他には、ナナちゃんが若い頃に、お店のママにブックリストを渡され、そこに書いてあった本を片っ端から読むというエピソードも良かった。読書欲をかきたてられました。 単身赴任の主人公と奥さんとの関係もぐっときました。 そしてもちろん、最後の茂木さんの行動には涙しました。

    1
    投稿日: 2012.11.26
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    骸骨ビルを中心に各人の思い出が淡々と語られていた。話としては起伏に乏しかったが、語られるエピソードは心暖まるものだった。クライマックスの茂木のシーンはもう少し詳しく知りたかった。

    1
    投稿日: 2012.09.05
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    八木沢省三。骸骨ビルの住人を立ち退かせるために派遣された人物。 なぜか住人は彼に自分らの生い立ちを話始める。 阿部轍正と茂木泰三と子供たちの絆。絆という言葉だけでは表現できない関係。 小説なのに実際にあった話のように感じて、引き込まれていった。

    1
    投稿日: 2012.08.05
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    立退きを求めに来た八木沢は骸骨ビルでの日々を過ごす中で住人達に親しみを感じるようになっていた。立退きの具体案も無いのでやる事と言えば料理と読書の毎日。 住人達の話を聞いていると子供の頃の畑仕事の話を幾度のなく聞く事になり、八木沢も農作業を始める事になった。骸骨ビルの庭で住人達に教えてもらいながら作業に没頭する。 農作業に携わる事で住人達に過去の記憶を呼び起こす事にも繋がる事になる。 とてもゆったりとした小説だったと思います。農作業をしたり 、料理をしたり、読書をしたり、そしてまた農作業と料理と読書の繰り返しの毎日。 いつまでも続ける訳にはいかないが、先は見えない中で立退きを迫る事も無く住人達の話を気長に聞いて行く。 骸骨ビルで育った住人達は一つの家族だったのだろう。 例え血が繋がっていなくても共に育った兄弟であり、共に育てて貰っらった仲間であり、苦労を共にした戦友だった。 本当はみんな骸骨ビルを壊して欲しくなんかないんだろうな。

    1
    投稿日: 2012.07.28
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    読み終わって、 自分はこの物語を字面では最後まで追って行き、 頭の中でなんとなく話を理解したつもりだけど、 大事なところを全然理解してないんだろうなあという 確信めいた気持ちになった。 理解するには、今の自分には人生経験が足りてない気がする。 歳をとってから、また再読したい作品。

    2
    投稿日: 2012.06.18
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    宮本輝の文章が好き。日本語の美しさを感じる。 大袈裟でなく、遜ってもいない。自然な日本語。 子供が出来たら、ぜひ宮本輝を読ませたいと思う。 この作品の舞台は大阪の十三。 登場人物の身の上話が、すべて語り口調なので、文章の中にも大阪弁が多く出てくる。 中にはズルイ奴、人の顔色ばかり伺ってる奴、オネエなどなど、色んな個性が集まっているけれど、主人公のヤギショウさんの語り口が、それを緩和して、まとめている感じ。 ラストまで、「どうなるんだろう・・・」というドキドキを引っ張りながら、登場人物たちの個性を浮き彫りにし、最後には親代わりとなったパパちゃんと茂木のおじちゃんの人となりを集大成として描く。 淡々とした文章なのに、最後には表現しがたい「ほっこり感」や静かな感動(じわじわと!)が待っている。 またやられました「宮本輝ワールド」。 もう一度読み返さないと勿体無いなぁ。  

    1
    投稿日: 2012.04.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    うむむーーー! そうなのか。 きっかけが必要だっただけなのかな。 骸骨ビルを巣立った孤児たちと、ご近所さんや主人公や、それぞれの戦後〜現在に繋がる人生が、それぞれに際立ってて、うーんなんだろう‥ その時その時を必死で生きていた連続が、現在につながってるんだなって。 じゃぁ、「現在」を生きてる私はどうなのかなってちょっと自分を顧みた。 「未来」になって私が年をとった時に、あの頃(つまり今)のことを悔いなく思い返すことができるかなぁと。 パパちゃんの内面は、難しかった。 戦地での語り(聞いた話だけど)の場面は、あれは、私が想像してどうこう言える話じゃないんだろうな。 結局、夏美が自ら嘘だったとパパちゃんに謝罪したりする場面はなくて、お話が終わってみても、事実が事実としてあるだけだった。 パパちゃんともぎさんは、自分は結婚もしないで孤児たち20人以上を育て上げ、その廻りにはほんとうのことを知る訳でもない人たちが勝手に憶測したウワサが広がってて。(それは夏美の事件に関することだけではなくて、パパちゃんが聖人でもなんでもなかったこと、本当は迷ってたこともあったろうってことも全部含めて) 主人公が、単身赴任終わったら大阪に店を買ってオムレツ屋さんをひらきたい、って手紙を奥さんに書いたあとの、夫婦の電話。 これすっごい印象的だった。 わかるんだよなぁ奥さんの言ってることが。すごく。すっごく。 離れていてもそれぞれに「楽しく暮らしているだろう」 楽しく暮らしているのはいいよ。 仕事なのだし、やむを得ない事情なのだし、離れて暮らしていてもそれを受け入れて平穏に過ごして行くのは、寂しがって辛くて泣きわめく生活するよりはいいさ。 だけどそれが目的になってしまうのはおかしいんだよな。 うまく言えないけれど。 離れているけどある程度の寂しさには目をつぶって、うまく暮らしてる。 それを当たり前に思ってほしくないんだよね。 今回のことで、奥さんが主人公にその気持ち(ホンネ)をぶつけられるきっかけができたのはよかった。 奥さんと主人公は別に仲が悪かったわけじゃないし、浮気とか、あったわけじゃないし、だけどそれを当たり前に思ってもらっては困る。 …↑自分の愚痴書いてるのと同じじゃないかこれ?w

    1
    投稿日: 2012.03.07
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    2012/02/29 「親」である2人の想いに話が移行していって、そしてあのラストシーン。 何か大きなことが起こるでもなく、主人公がこれで給料貰ってたのかと思うとビックリだけれど(笑)、いいお話だった。 読み終わってから、もう一度冒頭に立ち戻ると、なお感動。

    1
    投稿日: 2012.02.29
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    チリ旅行中に読了。 相変わらずの文体で読ませる。特に大きな展開を見せるわけでもなく、淡々とした、でも日常では出会えないような物語、生活、人々が描かれていく。 温かく、またリアル。全てパーフェクトな人なんていなくて、優しく、完璧に見える人も独善的なところがあったり頑固だったり、実はいろんな思いをもっていたり。 それが人間というものだと思う。 相変わらず、深いことをさらりとやってのける宮本輝。 作家、ってやつだなぁと本当に尊敬する。 深く、感慨深く、人生を考えたりさせてくれる作家。 だけどさらりと。 また、続けて宮本輝を読みたくなる。

    1
    投稿日: 2012.01.12