
総合評価
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powered by ブクログしんどかった。主人公の独白もさることながら、読み進めながら、「旦那も良い大人(しかも当時は今より社会的にも強者である「男性」)のくせに、自分の人生に対する、自分の気持ちに沿った決断をしてないじゃないか」とイライラした。 解説の方の意見がおっしゃる通り。
1投稿日: 2026.01.17
powered by ブクログ自らの理想を自らの絡む全てに対し追求する女性を描くことで,人という生命体の理想像とは一体何なのか,という思想・人生哲学を否が応でも読者に考えさせる(少なくとも私には皮肉がたっぷり効いていると感じさせる)物語.より多くの人,より多くの世界に接することで,段々と自らを客観視するようになり,その精神的偏りを自覚していく様は,ミステリ仕立てになっているが,決してエンターテインメントでは語れない文学性が感じられる.クリスティの本質の一端が感じられる逸品.
1投稿日: 2026.01.15
powered by ブクログタイトルと表紙がとても好き。 昔、同じようにタイトルと表紙に惹かれて読み始めた時は、 何も起こらない退屈さと、主人公の独りよがりなところが嫌で 中断してしまった。 最後まで読めるようになったのは、自分が大人になったからか、 何らかの諦めを知ったからか。 こういうお話は、欧米小説にはあまりないと思う。 好き嫌いはさておき、とても印象深い作品だった。
0投稿日: 2026.01.11
powered by ブクログジョーンの自己中心性、奢り、焦り、認めたくない気持ち、赦しをこう気持ち、変えられない自分など、文章からとてもリアルに伝わってくるようだった。外から見ると、何と人は哀しい生き物かと思うが、誰もがもつ心理だし、大なり小なり人生の間で出しているのだろう。聖人君子のようなロドニーにもまた人間くささが見えて、エピローグもよかった。
0投稿日: 2026.01.06
powered by ブクログ最後が恐ろしすぎて鳥肌がたった。 惨たらしいとはこの事。 賛否両論あるけど、このラストの衝撃で怖すぎて星をマイナス一にした。怖すぎる。 でも実はこういうのって日常にたくさん隠れてるよね、の答え合わせをしてくれている優しい結末なのかもしれない。
0投稿日: 2026.01.05
powered by ブクログ流石のクオリティ 3人称で、1人称ぽく書くのか肝だなと。 女の登場人物の書き分けが良い。 男の作者だとここまでいかない気がする。 栗本薫のあとがきが、また秀逸。 最後の方は主人公がかわいそうになってきて、これだけ一人になって内省できるって、実は繊細なんじゃないのとか、旦那の方もなんだかな とか思ったのも全て作者があえて仕組んでるんだなと思うと、やっぱりアガサクリスティー凄まじき しっかりエンタメで、かつ深い理想的な小説
14投稿日: 2025.12.31
powered by ブクログアガサ・クリスティーといえばミステリーの女王だが本作では誰も殺されないし、名探偵も登場しない。巧妙な殺人トリックも血なまぐさい演出もない。これは文学…悲劇。 中年の主婦ジョーンは旅先で交通の不備により足留めを余儀なくされる。数日間、砂漠の中の宿泊所で退屈な時間を過ごす。ゆっくり自分の人生を振り返りながら徐々に自分のこれまでの言動に疑いを持ち始める。自分のしてきたことは本当に正しかったのだろうか? 人生とは何なのか? 幸せとは何なのか? 大切なものは何なのか? 偽りの人の世はあまりにも虚しい。
0投稿日: 2025.12.31
powered by ブクログ「ミステリーの女王」であるアガサ・クリスティー氏。平易な文章と特殊な設定で読者をミスリードするエンターテイメント性が特徴だが、こういう作品も書けるんだなあと感心(当たり前か…)。 本作では殺人は起こらない。しかしミステリーとしては最も怖いかもしれない。そしてある意味哀しい物語。 主人公ジョーン・スカダモアのような承認欲求の塊のような人っているよねと思いながら読んでいた。気付くようで気付かない。気付いたと思ったらまたふたたび日常に戻る。それを支えるのはある種の諦観を伴う周囲の哀しき愛。茫漠とした時に包まれ孤独のなかフラッシュバックのように猜疑心とともに真実に迫っていく過程の心理的機微の描き方が見事。
2投稿日: 2025.12.29
powered by ブクログ国も違う、時代も違う今読んでも共感できる。そんな不思議な本です。 結局人間の本質は時代や国をも超えて同じような所に行き着くんだろうなと感じました。
0投稿日: 2025.12.28
powered by ブクログ旅行カバンと女性の座っている姿が素敵な表紙です。読んだ後に考えさせられる、素晴らしい内容でした。 春にして君を離れ absent in the spring 英語の題名も、日本語訳の題名も秀逸です。「君」は誰なのか、「absent」の意味も考えさせられます。 「君」はジョーン側から見るとロドニー、逆から見るとジョーン。物理的に旅行したから「離れた」って意味合いもあるけど、「心が離れている」意味もある。 本の流れとして、ジョーンは自分の意見が間違っていない、周りを良い方向に直してあげていると思っているが、周りからは融通のきかない、わがままなお母さんと捉えられている。しかし、別の面から見たら、この家庭を作り上げたのは、自分の意見を出さない夫のロドニーの不甲斐なさ、中途半端な子供達も一因であることに気づく。事なかれ主義が、無難で平和な家庭を作り上げた。決してしっかりものお母さんのジョーン1人のせいではない。 旅先で一瞬、他者の気持ちを無視してきた自分の身勝手さに気づいたジョーンだが、イギリスに戻ったら元どおりの自分に戻ってしまう!アウェイだからこそ、内面に向かって気づけた気持ちだったが、あまりにも内省の時間が短すぎたのでしょうか。 人が変わるのは、年を取れば取るほど難しいですね…
8投稿日: 2025.12.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
地に足のついたサスペンスでこわかった。 子育て中の身には人ごとではない。自分と向き合うこと、自分が子どもたちにしたことに向き合うことは怖い。彼女と一緒にわたしも自分と向き合うことになった。 ジョーンが過去に向き合い悔い改め、変わろう!と決意するも、日常に戻れば漫然と元に戻っていくのは本当にリアル。人はそうそう変われないのだ。 ジョーンが毒妻毒母なのはもちろん否定できない。けれど、その被害者であり子どもたちの理解者であるように振る舞う夫こそおそろしい人だ。農場経営に踏み切れない勇気のなさを妻が反対したせいにする。愛情もかけず、育児もメイドまかせなのに子どもをコントロールしようとする伴侶から子どもたちを守れない。人として欠陥がある妻を優しく見つめるようでいて、向上のための気付きは与えず、崩壊していく家庭を最後まで傍観するのみ。 ロドニーは夫婦として、父親として、ジョーンとぶつかり向き合うべきではなかったか。 とても孤独な家族の物語だと思う。アガサもそうだったのかもしれない。
0投稿日: 2025.12.27
powered by ブクログ人間の心理を描いたとてつもない作品。 毒親、ともよべる、自己中心的な母親ジョーン。 家族のことを思っているようで、実は自分の思い通りにすること、それが彼らにとってよいことだという一方的な決めつけを押し付けることしかせず、そのことに自覚もない。 皆にうとましがられていることにも気づかず、自分1人の幻想の中で孤独に生きている。 その真実に、一番気づきなくないのは、本人自身だ。 一人きりで時間がたっぷりあるとき、 ジョーンはようやく、自分自身の真の姿に出会うことになる。 それは、気持ちいいことではない。 不安で、不穏で、懺悔がまちうけているような、天変地異のような。 そのシーンの描写は圧倒的だ。 そして、改心し、 心から罪の赦しをこい、やりなおそうとする、のだが・・・ 私は、やり直したいというのも自己中心的な気持ちなので、ロドニーがようやくしびれをきらして別れになるという結末かと予想していた。 が、見事に、裏切られた。 ジョーンもロドニーも、 自分の本心を自分自身にもひたかくしにしながら 表面上だけの夫婦を続けていくのである。 これには、もう本当に、びっくりした。 そして、このような夫婦を身近に知っているので、リアリティがあり そして後書にもあるように、とてつもなく、恐ろしく、哀しく、感じた。 中年の域に入り、それまでのゆりかごから自ら脱することの難しさ、人間の弱さを見事に描いていた。 現実的でもあり、だからこそ、哀しい。 勇気、というものが 結局は、この2人は、なかった、ということなのだろう。 アガサクリスティの冷徹な、人間の心の深奥をみつめるような眼差しと描写は本当に見事だった。 読後感はよいものではないけれど、 人間の心をこれほどリアルに描いたものもなかなかないと思う。
2投稿日: 2025.12.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
第三者視点から客観的に見たジョーンは夫や娘のことなど何も分かっていないように見えるのに、ジョーン本人は「私はいつも良い選択をしてきた」と思い込んでいる、その差に怖さを感じます。自分の思い込みではなく、相手が本当は何を求めているのか、という本質を見抜く必要性を感じました。自分を見つめ直す時間を与えられたのにもかかわらず、旅から帰った後夫に今までのように接する選択をしたジョーンは、これからも誰にも愛されることがないのだろうなと思いました。
0投稿日: 2025.12.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
普通の主婦が旅先で人生を振り返るだけで、殺人も盗難事件も何も起きない。それでも一気に読めてしまう。そして怖い。アガサ・クリスティって凄いって感じる作品。
0投稿日: 2025.12.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
クリスティの別名義の本。優雅な奥様が、もしかして私は思うほど幸せではない?という自問自答を砂漠で1人でし始めて、実際は?そして結末は?というのが最後に明かされるわけだけど、日常系心理サスペンスって感じでゾクゾクした。うまいなー
1投稿日: 2025.12.13
powered by ブクログミステリーかと思って読み始めたら、誰も死なないし、それどころか状況もほとんど変わらない なのに先が気になって読み進めてしまう面白さでした 立場上旦那さんに感情移入して、自己犠牲を払っている気の毒な人だと思っていたのですが、解説を読んで初めてその身勝手な一面に気づかされました まだまだ人を見る目が足りません 自分の結論を揺さぶられたくないから真実を見ない人、考えたくないことから目を逸らすために忙しくしている人――「あの人も同じだな」と現実の顔が浮かんできて、生き方を考えさせられる一冊でした
1投稿日: 2025.12.13
powered by ブクログ結ジョーンも夫のロドリーも、今の生活から結局改革できなかった所は、九州男児の父に従わざるをえない自分の家族を思い出した。 あと、思春期に親の正義を押し付けられて苦しんだことなどを思い出して、自分の子ども時代を思い出して辛くなってしまった。 結局ロドリーとレスリーは一線を越えてしまったのか、、、? 自分も周りの人に、自分の価値観を押し付けてしまってないか? 心の奥底で人を勝手に評価してないか? 嫌なこと目を背けて、不要に時間を埋めようとしてないか?等反省しました。 じわじわ意味がわかってきて、後味悪かったけど面白かった!
0投稿日: 2025.12.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最後の万華鏡の例え、自分のこれからのウィンドウをどう捉えて生きていくか決めるシーン、凄い 頼むから気づいたことに正直になってこれからを生きてほしい…と最後の最後のページまで思わずにはいられなかった。 しかし、ロドリーの最後の「気がつかずにいてほしい」の一言できっとこのまま過ごすんだと確信してしまい… それだけじゃなく、最後にヒトラーの名前が出ることによりとてつもない戦争がこの先起こること、バーバラの真実の手紙が燃やされてしまったこと…主人公がこの先自分自身と向き合って気づく時間や物や人はもうないんだと暗雲が微かに匂わされていて、終わり方に感心してしまった。良い本でした。 あのとき主人公がきちんと贖罪して改めていたら…という想像の余白をこれから何度か考えてしまいそう
1投稿日: 2025.12.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
誰でもこの作品の主人公になり得ると思うと.... 真実に気付くことの哀しさ、人生において自分自身を客観的に見つめ続けることの難しさを感じる作品でした。後味悪いのに嫌いになれない。むしろ好きです。大好きな作品。
0投稿日: 2025.11.29
powered by ブクログ中年の女性が思いがけず時間ができてしまったため人生を振り返る中で、自分の見て見ぬふりをしていた他人から向けられている感情に気づき苦しむが、、、 読んでいて辛いものがあり自省していたがラストで怖いが勝ってしまった
0投稿日: 2025.11.28
powered by ブクログ2025/08/17 読み終わった な〜〜〜〜んにもわかっていないお母さんの話。こういう人いる!て感じ。 あと、帝国主義時代のイギリスの雰囲気がよく伝わってきたのが面白かった。バグダードもイスタンブールもローデシアも自分のもの!あれ?もしかしてこのお母さん、帝国主義のアナロジーなのかしら…?
0投稿日: 2025.11.27
powered by ブクログ読了してないけど、なんとなくあらすじ把握できたので。 決めつけって怖いね また後でちゃんと読みます
0投稿日: 2025.11.21
powered by ブクログ翻訳文はちょっと読みづらい。。と思ったけど、ぐんぐん引き込まれて、今年いちばん面白かった。。。 自分のことを人がどう思ってるか、見たくないことをわからないふりして生き続けて、自分が見たいようにしか世界を見ず、その型に当てはめるためにまわりが苦しくなって。 面白かったなあ。
4投稿日: 2025.11.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読んでいる間ずっとしんどかった。 独善的で視野が狭くて、自分が見たいものしか見ようとしない。自分が良いと信じることを、他人も良いと信じると疑わない。なので無邪気に他人に自分の思想を押し付ける。コントロールしようとする。 今の自分の人生のスタンスとは対極すぎて、自分語りを読むのがしんどすぎた。 ようやく気づいたのに、気づかないふりをしたジョーン。こういう性質の彼女と暮らし続けるロドリーと彼女を避け当然のように出て行ったエイヴリル、バーバラ、トニー。
0投稿日: 2025.11.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
アガサクリスティは有名作しか読んだことがなく、こちらの作品の前評判なども知らずに読了しました。 結果、いつ殺人が起こるのだろう、とハラハラしながら読み進めてしまい、そういった意味で、驚かされました。 自分は家庭を円滑に運営し、完全に成功していると考える、視野の狭い主婦が、自分の時間を得て人生を振り返った結果……『善き主婦』であるべき自分はすでに、愛する家族によって否定され死んでいた……。 そう考えると、殺人と同じくらい恐ろしいストーリーだと感じました。 再就職活動の束の間、主婦のような時期にこの作品を読むことができて良かったです……。
0投稿日: 2025.11.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
自分の思い込みで周りの意見を取り入れようとせず、価値観を押し付けてきた主人公は、最後の最後まで変わらなかった。 夫は被害者なのだが、彼の『休暇が終わってしまった』というメッセージなど痛烈に刺さる
0投稿日: 2025.11.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初アガサ・クリスティ この主人公は長年何をしてきたんだろうかと…… 人の言葉や思いにずーーーーっと向き合わずにきたジョーン そのつけがラストにきてる 自分勝手な幸福論を押し付けてきた結果、きっと誰にも幸せを願われずにいくんだろうな 子供のために主人のために その奥にあるのは変化を恐れる自分のため なんてプア・リトル・ジョーン 勇気を持ち合わせないプア・リトル・ジョーン せっかくの回心のチャンスを与えられたというのに 最後のエピローグの最後の一文 一番愛している人間にそんなことを思われているとは なんて哀れなプア・リトル・ジョーン
1投稿日: 2025.11.16
powered by ブクログおそらくは世界で一番有名なミステリ作家、アガサ・クリスティ。彼女のノン・ミステリ作品で、しかも彼女の書いた物語の中で1、2を争う傑作であるという下馬評はずっと前から知っていた。ずっと手に取らなかったのは、クリスティのミステリ以外の部分、ちょっと気取ったような繊細な心理的なやりとりの部分が面倒だったからだ。ただ、最近クリスティのミステリを読むと、そういう部分が少しおもしろく感じられて(大人になったのかもしれない)、よし!とおもむろに手に取ったのである。 最初は少し退屈だった。何よりも主人公の語り口調というかキャラクターが妙に鼻について、「ああ、嫌いな方のクリスティだな」と思った。が、読み進めていくうちにその嫌いな部分こそが将にこの作品のテーマの根幹にあることがわかり、次第に物語の仕掛けがわかってくるにつれて、どんどん引き込まれていった。 物語自体は地味である。素晴らしい家庭を築き上げたと人生を振り返る満足げな女性が、旅の途中に過去を振り返るシーンがほとんどだから。ただ、読んでいるうちにこれは地味でのんびりした物語ではなく、強烈な迫力に満ちたサスペンス小説だということがわかってくる。個人的にはサスペンスと言うよりも、むしろホラー小説に思えてならなかった。暗闇の中から魔物が出てきて自分の首を食いちぎることを恐れながら、森の中の小道を歩いていく、そんな感じで、次第に気配が濃厚になる魔物に、主人公と共におびえながら読み進んでいた。 そんなふうに感じるのは、主人公の思いが自分と重なるからなのだろうと思う。「人は自分の見たいものしか見ようとしない」というユリウス・カエサルの言葉が紛うことなく真実だと思うが、自分自身も見たくないものをできるだけ見ないようにして生きている。そして穴に埋めてなかったことにしようとしていた「過去」が何かの拍子にふっと顔を出してくると、慌ててまた土をかけたりしながら生きているのだ。そして自分自身が「目を逸らしている」ことすら心の奥に押し込んで、決して見ないようにしながら。魔物は心の中に潜んでいるのである。いや、魔物は自分自身なのだ。無意識に隠そうとしている自分自身。 そんなことを考えながら読んでいた。後半、ほとんどもう結末を迎えたと思ってからもう一度物語が動き出す(電子書籍で読んでいると、残り香どのくらいか物理的にわかりにくいのが利点だと思う)。結末はある意味意外で、ある意味当然のものだった。クリスティの巧みな物語展開と心憎いほどの文章表現に息もつかず引き回された後、たどり着いた結末はとても美しく、とても寂しいものだった。我が身とも重ね合わせながら、ぞっとする気持ちで余韻に浸った。 なるほど、傑作である。いわゆる推理小説だけしか読まない人にも、クリスティの代表作として読んでほしい。これまでみんながそう言っている理由が確かにわかった。良い読書体験だった。
3投稿日: 2025.11.16
powered by ブクログ何もかもに恵まれ、妻として母として人間として素晴らしい人生を送ってきた…と自分では思っている主人公のジョーン・スカダモア。 第二次世界大戦前のイギリスで何不自由なく暮らしていたが、家族に多少の不満は持っていた。 バグダッドで暮らす末娘家族を助けるために出かけた帰り、鉄道の不通で数日間一人の時間を過ごす。 いつも忙しく生活を送っていた彼女が自分や家族を顧みた時、ある事に気付かされる。 自分の至らなさに気付き、帰宅してすぐに夫に謝ろうとしたものの、帰宅した時にはその思いは消えていた。 何もかも自分が正しく、周りの人を正さなければ、と思うタイプの人ジョーン。 なぜ周りの人はそれを指摘しないのだろう? 彼女の帰宅で「休暇が終わった」とつぶやく夫。 愛する夫にそんな気持ちでいさせているジョーンは哀しい人である。
1投稿日: 2025.11.15
powered by ブクログ和訳されている文章だからか、個人的には読みづらい、すんなりと受け入れづらかった。 名前の表記では、男性はファーストネームで、女性は同じファーストネームなのにラストネーム表記だったり。 誰が何を話しているのかパッと理解できないところがあったのは、私の理解力不足かもしれません。 内容としては、大きな起承転結やミステリーがあるわけではない。 ただ考えさせられる、そして10年後にまた読んでどう自分が受け取るのか、変化があるのかを感じたい一冊。 主人公の思想に共感が全くできず、 こういう人がいるよね、自分の親と重ねる部分があるよね、と主人公の嫌な部分を誰かに重ねて読んでいくことになってしまい、辛かった。
0投稿日: 2025.11.14
powered by ブクログhttps://x.com/tsutsutsu_2020/status/1972633025814171712?s=46 ↑のツイートを入ってるDiscordで見かけて読んでみた。 これはホラーだ、人怖だ。 翻って自分を見つめ直さなければな、と思いながら、どこかで「私はここまでひどくはない」と結局主人公と同じ考え方になってしまうのが一番怖かった。 アガサ・クリスティー全然読んだことなかったけどもっと読みたい
0投稿日: 2025.11.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初めてアガサ・クリスティーを読んだ。 ジョーンの傲慢たるや。他人のため、と言って自分が気持ちいいだけの都合を強いてくる人ほど厄介なものはない。解説には、ジョーンに掛け合ってこなかった家族についても責任があると書かれていて、それはそう思いつつも、結局ジョーンが全く耳を貸さなかったから、全員諦めて、ジョーンは変わらないままだったんだろうなと思う。ギルビー、ブランチ、サーシャからも示唆されているのに気付かず。そんな自分の考えを転換できるチャンスを一度は手にしたものの、間際で破り捨ててしまった勇気のないジョーン。本当に気の毒でかわいそう。
0投稿日: 2025.11.13
powered by ブクログ哀しい話か。 結局、家に帰っても反省するそぶりもないジョーン、向き合わないロドニーや子供たち。 終わっている家族ってことか。 誰が悪いのかって話になったら難しいな。答えれない。ふわふわした物語だな。
0投稿日: 2025.11.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
訳がやや古いせいか、単純にものを知らないということもあるが読めない漢字、意味のわからない熟語がちょこちょこある。 ストーリーとしては何ということは無いが、有り余る時間の中で自分自身を嫌でも省み、少しずつ真実に迫られる描写がページを進ませる。 沙漠の中でのある種のカタルシスから、本編ラストの描写までの揺れ動きも良い。現代なら、最後の一行は書かずにエピローグも割愛する作家もいそう。そこを書き切っているのも、切なくて好き。
0投稿日: 2025.11.08
powered by ブクログ読ませたい人間が何人かいる 俺自身もその1人で、見につまされる部分もある 自分を客観的にみる方法を知りたい。 ど名作。教科書に載るべき。
1投稿日: 2025.11.06
powered by ブクログ哀しい話だったな。子育て中の身にはなんだか読んでて辛いものがあった。 ジョーンは家にメイドとコックがいて、子供も巣立って一体何をしてるんだろう…?? ミステリーかと思ったけど、そうではなかった。 最後の後味もなんとも…
0投稿日: 2025.11.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
主人公であるジェーンの回想が物語のほとんどを占めている。 ずっと回想なのであまり話が展開しないなーと思いつつ、最後にどんなどんでん返しがあるのだろうと期待していたけど、、、 まぁこれも一つのミステリーなのかなという感じ アガサクリスティー作品のなかでもちょっと特別な感じかなー
0投稿日: 2025.10.30
powered by ブクログ嫌悪感しか感じない主人公の語りがどんどん哀れで可哀想になり、最後は袋小路だと分かって進んで行ったと思え、怖くなった。
0投稿日: 2025.10.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読む人を選ぶ本。この本があまり刺さらなかった人は、割と幸せな人生を歩んできたのかも。 異国の地で、自分と向き合って目を覚ましたかに見えた主人公が、家に帰ってきて、元通りになってしまうということは、やはり環境が人を作るのかな。
0投稿日: 2025.10.26
powered by ブクログずっと主人公の気持ちに寄り添って読み続けてきたのに、後読感は最悪です。 何日か引き摺りそう。 とはいえ、とても素晴らしい小説でした。 もしかしたら、同じ境遇の女性でないと、なかなか没入できないのかなとも感じました。
8投稿日: 2025.10.25
powered by ブクログ本作は、誰も死にません。 色々考えるけど、結局人は中々変われない臆病な生き物なんです、特に夫婦関係や子育てについては、と。まあ分からんでもないけど、心に響くのにはもう少し歳を重ねる必要があるかな。
12投稿日: 2025.10.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
自分の母を見るかのようで、心がゾワゾワした。きっと私の母は、砂漠で一人になっても、自分を顧みることはしない。自分は良い母親だったと満足し、疑うことはないだろう。 ロドニーの視点から見たジョーンが最後に描かれていた。諦めと失望と歪んだ優越感。栗本氏の解説にもあったが、結局似たもの同士なのだろう。子供達の視点から見たジョーンの姿も見てみたかった。 ジョーンが最後にあの選択をした(というより、考えることを放棄した)のも、リアルだし納得。私はロドニーにはなれないので、衝突の上、絶縁した。この選択が良かったのかは分からないし、ずっと関わらないで居られるのかも分からないが、自分に嘘をついて生きるのだけは嫌だ。
1投稿日: 2025.10.19
powered by ブクログ結局なんも変わらんのかーーーい!!! ドキドキワクワクはないただひたすらに哀しい物語。 長女が1番賢いのでは?
1投稿日: 2025.10.13
powered by ブクログ読了直後の今、この気持ちをどう言い表したらいいのかわからない わからないけど、とにかく怯えている自分がいる.. カウンターくらいすぎて、ちょっと休ませて...ってなってる... 栗本薫さんの解説も、ほんとにほんとに言い得て妙 これを、家族や恋人に読まれるのが恐ろしい。 恐いのはたぶん、どうか、私がこれに気づかずにすむように......
2投稿日: 2025.10.12
powered by ブクログ初アガサクリスティ。長年世界で愛されるだけある。 欺瞞に満ちたお似合いの夫婦。 ジョーンは普通にASDで家族はカサンドラ症候群になる前に自衛しただけにすぎない。
1投稿日: 2025.10.05
powered by ブクログ自分の幸せや正解は他人と同じではない 解説の身近な人にこそ言うべきことはあるし、それをもってどうするかはその人次第というのがその通りだなと思った。ジョーンになってしまってないか、定期的に振り返りたい
0投稿日: 2025.10.05
powered by ブクログ最近色々思うことがあり、やっとこの年にして初クリスティ。もう刺さった……私も人生第一楽章の春が終わり、夏の第二楽章へ向けた間奏を走り抜ける、そのためには砂漠の地でちょっとばかりの列車の旅と思索が必要ね。
1投稿日: 2025.10.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この旦那は自分の夢に浸ってるせこい勘違い野郎だと思います! 読み終わった後の虚無感がアガサクリスティの醍醐味ですね。
0投稿日: 2025.10.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
アガサ・クリスティの『春にして君を離れ』は,ミステリーではなく,一人の女性が自分の人生を振り返り,思いもよらない事実に直面していく物語である。主人公ジョーンは「完璧な妻であり母」という自負を持ち,なかなか来ない鉄道を待つ間に過去を省みる。その過程で彼女は,夫からも子どもからも,そして誰からも本当には愛されていないのではないかという恐怖に突き当たる。 ジョーンは世間体を基準に人の生き方を決めつけてきた。夫の仕事や子どもの結婚相手でさえ,「この人のため」と思い込みつつ,実際は自分の価値観を押しつけてきた。しかしそれを本人は善意だと信じている。そして,自分の作り上げた小さな世界に満足するために,他人の心の機微を無視し,気づきたくない現実からは目を逸らす。だから,レスリーの死を語るときに夫ロドニーが沈黙した理由を「癌の話題は誰でも避けたいもの」と皮相的に解釈するなど,やり取りのずれに気づかない。読者には明らかに違和感があるのに,ジョーン自身は無自覚のまま過ごしている。この姿は,ギルビー校長が語った「苦痛を回避するために,手っ取り早く皮相的な判断を下す人間」にそのまま重なる。 物語が進むにつれて,ジョーンは人々の発言や態度を思い返し,「あれは自分を嫌っていたのだ」「あの人は自分に呆れていたのだ」と,まるで伏線を回収するかのように気づいていく。その瞬間の積み重ねが読者の胸を突き刺す。特に,「この人には何を言っても無駄」と周囲が判断し,表面上の穏やかさだけを保っている描写には,あまりにもリアルな冷たさがあった。無関心こそが最も残酷な態度だと突きつけられる感覚に,心臓が悪くなるほどだった。 ただ,ジョーンを全面的に断罪できるかというと,それも違う。夫ロドニーの農場への夢を「くだらない」と切り捨て,弁護士としての安定を強いたのは彼女だが,実際に夫に寄り添ったレスリーは,農業の疲労と貧困の中で早死にしてしまった。「よき妻」であったはずのレスリーの最期を考えると,ジョーンのやり方だけが間違っていたとも言い切れない。この曖昧さがまた,物語の不気味な現実味を強めている。 やがてジョーンは,絶望の中で「赦しを乞おう」と決意する。しかし,イギリスの我が家に帰れば,その思いは霧のように消えてしまう。公爵夫人の言葉どおり,ジョーンは聖人ではなくただの人間だからだ。読後に残るのは,人間の弱さと,そして「自分も同じように周囲から見限られているのではないか」という得体の知れない恐怖である。その恐怖があまりにリアルで,だからこそこの小説は読み終えても心に居座り続ける。
3投稿日: 2025.10.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ずっと読みたくて、だから、やっと読めて嬉しい。1,2日でほとんど一息に読んでしまった。とても面白かったし、考えさせられる本だった。 バクダットで足止めを食らったジョーン・スカダモア夫人は、自身の半生を振り返る。穴からのぞくトカゲは終いには彼女を覆い尽くし、最後はさも「イギリス人らしく」改心したかと思いきや、最後のオチはなんと…といった内容。シェイクスピアのソネットの引用、タイトルの「Absent in the Spring」。そしてエピローグで夫のロドニーがこう独りごつ、「ああ、どうか、きみがそれに気づかずにすむように。」 まったく大した出来事も起こらず、ジョーン夫人とインド人の召使いしかいない、油臭い宿泊所(レストハウス)で、彼女を襲ったあの出来事。果たして意味があったのだろうか。 【栗本薫氏の解説が素晴らしかったために】 ・「夫のロドニーはいやなやつだ」とは露ほどにも思えなかった私だが、いつか「年をとって」気持ちが変わるのだろうか。 ・「ジョーン・スカダモアを連想させるような家族」を持っているか否か、という着眼点はかなり鋭い。現代でいう毒親をこんなに鮮やかに(かつそれとなく)描けるなんて、やはりクリスティにはミステリだけではない純粋な筆力があると言わざるを得ない。
0投稿日: 2025.09.28
powered by ブクログ人間の心理描写、考え方に対する技巧がすばらしい。 ただ内容に関しては読むのが辛かったです。 ジョーンは現代に生きていればいわゆる毒親とよばれるものでしょう。ラストのカタルシス的な展開を期待しつつ、、、やはりといった締め方。 救いようのない哀しさも覚えますがそれがまた人間らしい、、、。
0投稿日: 2025.09.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初めてのアガサ・クリスティ どなたかのインスタでの紹介で見て気になった本。 ミステリ系かと思ったけど全然ちがった。 自分では良妻賢母のつもりでいた主人公のジェーンが娘の見舞いのために遠出をしてその帰りに、汽車がこなくなって?なかなか帰れず砂漠で何日も宿泊所で過ごしている間に今までの自分の人生というか色んなシーンを振り返り思い起こしていくうちに、 自分が良かれと思ってしていたことが 周りの家族や友人に全く逆の効果になっていたことに自ら気付かされていく。 何故か子供たちからよそよそしいような距離を置くような態度をとられていたが気づかない、ふりをしていたというかそんなことあるはずないと思い込もうとしていた、 自分の憐れさに今更気づく。 弁護士である夫のロドニーがやりたいと言っていた農業の仕事をことごとく否定し、 旅の途中で振り返りしているときにその時のことを思い出し自分の愚かさに気づいて 帰ってきてロドニーになんて謝ろう、とまで思っていたのに 実際に帰ってきたら反省の気持ちなど忘れて 昔農業をやりたいなんて言ったことをあの時私があなたを思いとどまらせて正解だったでしょう?なんてぬけぬけと話す懲りないジェーン。 それに対して自分の意見をはっきり言わないロドニー。 よく我慢できるなと思ったけどロドニーも結局逃げてるだけだと解説の人が書いててなるほどと思った。 優しいと思ったけど、これは優しさではなくロドニーもロドニーでまた違った種類の愚かさがあった。 読み味は個人的にあまりよくはなかった。 なんだかんだで読んだけど驚くような展開があるわけではなく、わりと淡々と話が進んでいく感じだった。 この本を読んでいてジェーンのように押し付けがましく良かれと思ってと思いつつも結局は自分にとって都合のいいように相手を支配せず もう少し一歩引いて相手を尊重できるような接し方をできる人になりたいと思った。 最後まで誰も救われなかったように感じたので、若干もやっとした終わり方だった。
0投稿日: 2025.09.23
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こんな本があるんだと驚いた。あとがきも良い。主人公の人との接し方に問題はあるものの、周りの人たちはそれを治そうとしなかった(学校の先生以外)。そして、彼女の親もいわゆる毒親で、主人公が可哀想になってくる。自分もこんなふうに周りの人を傷つけないよう、アンテナを貼っておきなければいけないと思った。
0投稿日: 2025.09.18
powered by ブクログたぶん春にして君を離れな生き方をしている人はたくさんいるし、これほどではなくても誰でもそういう生き方をしているだろうけどやっぱり現実世界に生きていきたいと思うな。 好きではない人とは同じ世界を共有したいと思わないが、誰か自分で選んで選ばれた人と同じ感覚を共有したい。 そのためにはほどほどに感覚をぶつけ合わなければ。傷つきすぎない程度に リアルで生きていきたい
0投稿日: 2025.09.18
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クリスティ作品は8冊目だけど、他のばたばたと人が死ぬミステリーよりよっぽど怖い。 それは自分が今後殺人事件に巻き込まれることはないだろうと心から信じられるが(真実はどうあれ)、自分がジョーンやロドニーのような人間である可能性は大いにあり得るからだろう。 ただ男として言いたいのは、ジョーンが全て間違っていたかと言うとそんなことはなく、結果的に子供たちに好かれているロドニーが正しいかと言うとそうでもないということ。 ある意味ではジョーンが家庭内で悪役を引き受け、ロドニーはその後の冷静なフォローというおいしい役目と子供たちの好感度だけかすめ取って行くずるい人間とも言える。 そういう意味でもやはりジョーンは努力がとことん報われない「かわいそうなジョーン」なのだ。 ラスト、ジョーンが堰をきったように家族にすべてを懺悔するカタルシスマシマシ展開かと思いきや、いやそっち?というのも現実的で良い。 でも結局その方が良い気もするのは、正直今更謝られたところでどうしようもないから。年月は戻ってこないし、「本当はもっと良い人生があった」という妄想がより現実味を帯びてまとわりついてくるだけ。 それに「間違いを認めて許しを請う」という行為そのものが結局は自己満足だから。 ジョーンは自己満足に甘んじることなく、間違いを本当に認めたからこそ、そのありのままの結果を受け入れて生きていくことを決心したようにも思える。 また子供たちが成人した頃に読み返して、どう印象が変わるか試してみたい1冊だった。 そのときは立ち直れないかもしれないけど。
1投稿日: 2025.09.07
powered by ブクログ■参加者の感想をピックアップ■ ・ジョーンが砂漠ではとても深く反省し全てを告白して夫に詫びようと思っていたが、イギリスに戻った瞬間にさっと決意を翻して、元のジョーンに戻ってしまった。人間はやはり簡単には変われないのかと恐怖を感じた。 ・主人公のジョーンに同情を感じた。世界大戦前のイギリス、裕福層の女主人として、不平や不満を押し込めてまで周りの期待に沿う生活を維持するなど、今とは比べ物にならないほど自由がなかったのではないか。 ・「毒親」である。子供の希望には耳を傾けず、子育てとはこうあるべきとマニュアルのみ信じた結果、子供達に逃げられ秘密も相談してもらえず。ただ、気づかないほうが幸せだったのかもしれない。 ・ジョーンと自分は同じなのでは、と思えてしまい読み進めるたびに心が痛かった。人の話を聞かず、正しいと思い込んだ道へ突き進むこと、親切のつもりが迷惑がられているかもしれないこと、ジョーンと同じ過ちを犯しているかもしれない。 ・殺人より恐ろしい小説。でも人は己の幻想の中にいつしか生きてしまうのかもしれない。 ・主人公の夫、ロドニーには嫌悪感しかなかった。農場経営に挑戦する度胸もないのに、妻に反対されたからとネチネチ繰り返したり、「プアリトルジョーン」と彼女を見下し、自分は常に正しいと思いこんでいるのは卑怯だと思う。 ・ジョーンは人の話を聞かない、自己肯定感の塊だが、ロドニーは卑怯者で人を見下すいけ好かない男である。この二人は割れ鍋に綴じ蓋でお似合いの夫婦だと思う。 ・世界大戦以前の約80年前に書かれた話なのに、現代にも十分通じると思う。人間は、衣食住に困らなくなったら似たようなことで悩むのだと妙に感心した。 ・事件は何も起こらないのにドキドキハラハラさせられる内容だった。サスペンスの女王と呼び名は正しいと感銘した。 ■開催日時■ 2022年6月 ■参加人数■ ・5人 ■今月の課題本■ ・アガサ・クリスティ著『春にして君を離れ』
2投稿日: 2025.09.05
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娘を見舞う旅の帰りに、砂漠で足止めされた美しい主婦ジョーン。汽車を待つ間、やる事なくてヒマすぎていろいろ考え始めます… 怖すぎる話でした。 友達の言葉が引き金になって、無意識に自分が見ないようにしてきた様々な事象が次々頭に浮かんでしまう。それがパズルのピースようにカッチリはまって、今までの自分の「良かれ」が全否定されてしまいます。 その過程も怖いのですが一番はラスト。 「ああ〜〜〜(脱力)」ってなるけど、でもわからないでもない。 ロドニーを想うとやるせない。 そして「じゃ自分はどうなのか」と、もうずーっと怖いです。
3投稿日: 2025.08.31
powered by ブクログ- 人生なんてまったくのところ、そうした些々たるドラマの連続といってもいい。 - 人生はね、ジョーン、不断の進歩の過程です。死んだ自己を踏み石にして、より高いものはと進んで行くのです。 - 親が何か隠していると勘ぐる方が、子ども心をずっと傷つけるのではないかと。
0投稿日: 2025.08.24
powered by ブクログ打ちのめされた。すごすぎる。ずっと面白いけどずっとこわい。技巧的にも見事な気がする。言葉が出てこない……
1投稿日: 2025.08.11
powered by ブクログサスペンス風の文章だから引き込まれて続きが気になった。 ジョーン・スカダモアの心の声、ものすごく生々しい人間の心情だったから、人の嫌な部分を丸裸にするような、、 誰しもが持ってる感情でもあると思う。 私も重なるところがあって途中ドキッとした。笑 ラストスパート、最高だったなあ。
2投稿日: 2025.08.10
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主人公のジョーンが、一人旅により自分の半生を振り返る物語。優しい夫と3人の子供たちに恵まれ、人生に充実感を得ていたジョーン。砂漠地帯で電車が止まり、本も読み尽くしてやることがなくなったことから、自分が正しいと信じ続け、夫や子供たちの生き方をも決める自分の身勝手さに気付いていく。 特に愛する夫の人生を奪っていることに猛省し、赦しを乞おうと動き始めた電車に乗るも、家に近付くにつれどんどん『いつもの自分』を取り戻してしまう。 夫より先に家に到着し、謝るか、いつも通り振る舞うかの2択で悩んだ結果、後者を選んだことが残念だった。 ジョーンも悪いが、夫であるロドニーも、子供たちも、もう少しジョーンと対話をすればよかったのだ。(おそらくあきらめてしまったのだが…) これは反面教師にすべきだし、人生を迷わないために繰り返し読むべきだと思う。なんとも哀しい物語。
1投稿日: 2025.08.09
powered by ブクログアガサ・クリスティの本でオススメある?って聞いて勧めてもらったのが[春にして君を離れ]でした。 しかしポアロさんはいつまでたっても出てこなかったです、、笑 ジョーンは娘の看病帰りに女学校時代の古き友人と出会い、その友人の落ちぶれた姿に愕然とする。 それと同時に自分の人生は良き家族に恵まれたと優越感に浸る。 だが果たして【良き家族】だったのだろうか? 遠征途中で足止めを受けることになり、砂漠の真ん中で1人過ごす日々。 その時に自分の人生を振り返り、家族のことを考え、そして後悔する。 自分のものさしで価値観を押し付け、家族の気持ちを考えなかったこと。ハッとする。子供達が頼るのは良き母親の自分ではなく父親だったこと。 優しい夫。優しさではなく諦めたということなのかと思うとゾッとする。 違和感はいつもあった。だがこの正体に気づけないと孤独が待ち受けることとなる。 この小説を読んでいると果たして自分は大丈夫なのだろうかと不安になる。自分も楽しくなると周りが見えなくなることがある。 人を蔑ろにしてないか? 自分も人の忠告を素直に受け入れられるのか? あぁ、1人にはなりたくないなぁ、、 でも自分を変えるって難しいよね。 でもジョーンの最後の変わらない選択はジョーンらしくて好きかも。
16投稿日: 2025.07.27
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ミステリー以外のアガサ・クリスティは初めて読んだけどめっちゃ面白い!というかこれ以上があるの?ってぐらいよかった。 ジョーンの主観視点だけど、彼女に自分を投写して読むんじゃなくて、主観を俯瞰で見るような不思議な感じ。 彼女がいつ気づくのか、気づいたとしてロドニーは受け入れるのかって色々予想してたけど、この終わりはあまりに残酷だと思えた。 エピローグ手前に彼女がどっちの自分を選択するのかにかなりハラハラした! 汚いものを見ないでさえいれば、それは存在しないし関係ないものとして徹底してないものとするジョーンに寒気がしました。ここまで非人間的選択しかしないのかとブラックすぎて笑えて仕方なかった。愛ゆえにといちいち頭につけて言うその傲慢さ、私がいなければあなた達は堕落し、道を踏み外し、幸福にもなれなかったのよと言い聞かせてくる。そりゃ嫌われるわ(笑) こんなに恐ろしい主人公は初めてかも、あなたのためなのよ……怖い…… エイヴラルが言う皮肉には爆笑しました(≧▽≦)
58投稿日: 2025.07.25
powered by ブクログ良かれと思って行動した結果 自分の夢を叶えられなかった、その他諸々を全て妻のせいにして自分達観してますよーいい人ですよーみたいな旦那にもやや腹が立つ 結局夢追って子供食わせられなかったらどうにもならん でも反省の姿勢を見せてたら老後の生活、死ぬ時に看取ってくれる家族はいたと思う 便箋が残っていれば、早々に使い切っていなければ反省の手紙を書く機会があったろうに……
0投稿日: 2025.07.21
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老害お母さんが自己反省の末、生まれ変わることを決意するが、結局老害お母さんのままとなる話。ただただ哀れ。
1投稿日: 2025.07.08
powered by ブクログ初めてのアガサ・クリスティー。 職場のおばさんがジョーンと似たような感じなので脳内でジョーンの見た目が職場のおばさんになってしまった。 何も起こらないのに家族それぞれの中では大きく変わって何も起こらず、何も変わらず日々が戻っていくことをこういう風に書けるんだなあ。 第二次世界大戦終戦前に発行された作品だけど、女性としての価値観は令和の現代と比べてそんなに変わらないね。1940年代から2025年に語りかけてくる女性の声は、今日この世界のどこかから聞こえたかのようにリアルだ。
0投稿日: 2025.06.27
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今ではこういう人のレポをXなどでたくさん見かけるけど、身内にいたらやばいとぞーっとするお話。 自分の目の前で、夫が、真に愛する人と大切なひとときを過ごしているのを目的してしまう。ヒロインにはその意味が伝わっているのだろうか。 肉体ではなく心で裏切られているのはわからないかもしれない。 ヒロインが自分の行いに反省しかけたのに、元に戻ってしまうところもリアル。 こういう人が傍にいたらどうやって対処しよう、というのと、自分にもそういう面はあるんだろうなと思う。 これをぐっさりと刺さる描き方のできたクリスティーさんはやはりすごい。 一度は読むべき傑作。
0投稿日: 2025.06.21
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アガサ・クリスティーがメアリ・ウェストマコット名義で発表した『春にして君を離れ(Absent in the Spring)』は、彼女の作家人生のなかでも特に内省的で、個人的色彩の濃い作品である。1944年の刊行当時、クリスティーは第二次世界大戦下という不安定な時代の只中にあり、50歳を超えて人生の折り返し地点を迎えていた。当時クリスティーはすでに「ミステリの女王」としての地位を確立していたが、その一方で、プライベートでは二度目の結婚生活を送りながら、自身の女性としての在り方や人間関係について内省的な時間を過ごしていた。 物語は、旅の途中で孤立を強いられた中年女性ジョーンが、ふとした空白の時間のなかで自分の人生これまでの人生を見つめ直すというシンプルな構造をもつ。しかし、回想するにつれて、ジョーンがこれまで信じてきた「良き妻」「良き母」としての自己像は、実のところ自己満足や独善に過ぎなかったという残酷な真実が明らかになっていく。 クリスティーは本作について、自伝のなかでこう記している。「これは誠実に、真心を込めて書かれました。私が書こうと意図したとおりに書けた作品であり、それこそが作家にとって最も誇らしい喜びなのです(和訳)」(An Autobiography, Agatha Christie)。さらに同書で、「彼女(ジョーン)は絶えず自分自身に出会うことになる。ただし、それが自分だとはわからず、次第に居心地の悪さだけが募っていくのです(和訳)」とも語っている。 興味深いのは、ジョーンが自己の欺瞞に気づきながらも、根本的な変化は起きず、再び日常へと戻っていくという結末である。ここでは、変わることの困難さ、人間の保守的な心理が淡々と描写されている。この静かな終幕が、読後に深い余韻を残す。 『春にして君を離れ』には、謎も事件もない。それでも、心の奥底に潜む暗がりを見つめるという意味ではクリスティーの他のどの作品よりも深く刺さる読書体験を提供してくれる。映像化されていないこの作品は、クリスティーの知られざるもう一つの顔を示す貴重な一冊であり、ミステリの名声とは異なるかたちで彼女の文学的真価を物語っている。
24投稿日: 2025.06.03
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怖い。最後の文章とエピローグ、背筋が凍るようなぞくっとした感じ。 結局ジョーン、元に戻ってしまったの?その事実にも恐怖を感じたし、「少しジョーンが変わってくれたかな?」という期待が打ち砕かれ、結局これからも待ち受けているロドニーの奴隷のような生活にも、ぞくっとするような絶望と恐怖を感じた。 しかしながら、読み返してみた。 初めは、ジョーンの独りよがりで自分を顧みない態度に少し苛つきながら読んでいた。 でも、ロドニーに対しての「もや?」の方を段々と感じるようになった。 しっかりと自分の意見を伝えない姿勢に、優しく見えて煮え切らない態度。ジョーンを憎むでも恨むでもない諦めて突き放す態度。ジョーンが間違っていると思った時に、伝えることができなかった。たしかに、長年ジョーンを連れ添い、したくない仕事にも追われ、ロドニーは精神的にも疲れ切っていたから、強く決断することは難しかったのも無理はないとも理解はできる。 だとしてもレスリーに対して「愛してると言えばよかった」はすごく不快。 もし強くあれば、ジョーンとちゃんと向き合って自分たちの考え方を言い合ったり、きっぱりと別れてしまったりすることもできたはずで、でも精神的に病んで仕舞えばそれも難しくて、でも最初からちゃんと向き合っていれば病んでしまうこともなくて、、、。 側から見ればそんなことは言えるけど、いざ自分を振り返ってもそう強くはあれない。 なんと難しいこと。 この小説は、読んだ人の「人生の段階」によっても響き方が変わる作品だと思う。
4投稿日: 2025.06.03
powered by ブクログクリスティーの作品はまだ10冊くらいしか読めていませんが、一番没頭して読めました。 主人公ジョーンの気持ちが徐々に変化していく様が繊細に描かれており、終盤に向けて物語はどんどん盛り上がり… そしてラストは… 読みながら私も自分の人生を振り返り、ジョーンと似たことろはなかったか考えてしまいました。 夫ロドニーのことを思うと切なくなる。 この歳で読めたからよかったのかなと思います。
24投稿日: 2025.05.28
powered by ブクログ時代や国は違うけど、同じ年の主人公だしなんか共感出来るのかなと思って読み始めた。 理想的な結婚をして子どももしっかり育てた主人公、毎日に集中してしっかり暮らしてきた。 優等生だったのに恋愛主義で見た目が老け込んだ友達の再会のトークはなかなか噛み合わなかったり、 旅の途中で、砂漠で行き止まりになった主人公が色々思い出すシーンでは、実は夫に浮気されたこととかおもいだしたり、過去の他人から言われた一言を、思い出したりと、人生これで良かったのかと、選択肢は良かったのかと、何度も振り替えるのがあって、 "中年クライシス"を煽ってくる。 私のなかでの中年クライシスの結論は少し前に結論がでてるから、最後の着地だけ知りたいから我慢してよむ。これはなんなのだろうとカバーみたら、ロマンチックサスペンスらしい。 途中で読むきがなくなった。
0投稿日: 2025.05.17
powered by ブクログこの小説では、誰もいなくならない。 バグダードに住む娘が出産し、その生活の手伝いのためロンドンから同地に向かった主人公が、帰路で悪天候に見舞われ、予定より長くシリアのあたりで足止めを食らった数日間に、”幸せだ、よくやった”と、満足感で満ち足りてきた人生を振り返るというストーリー。 自分の夫や子供、友人たちに対して、良かれと思ってやってきたことの一つ一つが、当事者たちにとって本当にいいことだったのかという疑念が、彼女を支配していく。 主人公の初老の女性が、自らの人生を回想する過程で、視点が夫や子供に移る。
0投稿日: 2025.05.17
powered by ブクログ読み終わって…"仮面夫婦"という言葉がピッタリなんじゃないかと思った。 主人公(ジョーン)の自己都合的な考え方、夫(ロドニー)の受け入れているようで内心は突き放している考え方。 『かわいそうなリトル・ジョーン』 ⇒たびたび夫が(おそらく嫌みで)言っているが、当人のジョーンには全く響いていない。 周りのせいにして、自身の本当の気持ちと向き合わない(閉ざし諦めた)人生は互いに哀しい。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ■1944『春にして君を離れ』恋愛小説 メアリ・ウェストマコット名義で執筆。 ●あらすじ↓ ずっと考えるのを背けてきた家族との"真相"。 沙漠近くの宿泊所で列車の遅延により身動きが取れなくなり、予定外な時間が数日間出来たことで自身のこれまでを振り返る。 都合よく解釈することで自身を守ってきたが、真相を見つめ直すことで"新しい認識"と向き合うことになる。 ------------------ ●感想↓ 結構序盤から主人公の自己中さに驚いた。 他人の幸せなんて誰にも基準はないのに、自分世界だけの狭い物差しでしか判断できない。 さらに勝手に他人を哀れむ…。(何様だw) 唯一、直接助言してくれたギルビー校長(聖アン女学院)の『自己満足に陥らないように』と忠告を理解できていなかったのが惜しい。 自己中だけど、しっかり見つめ直したら真相がやっと見えてきたのに、ホーム(地元)に帰ったら戻ってしまう…人間そう変わらない。 自分の短所をみつめ直し、まわりに伝えて共有し合えるのが本当の夫婦や家族だよなと思った。 『時間がない…』と考えるの放棄して、自分に都合のいいように家族を駒として扱う。現代でもよくあるし、よい戒め本だなと思った。
17投稿日: 2025.05.13
powered by ブクログ率直な感想を言うと、あまりに読みやすく驚いた。そしてこの読みやすさがなんなのか考えてみると、恐らくジョーンに共感する部分が多かった。少なからず、過去の私自身はジョーンに近い人間で、けれどロドニーや子供たちのようにそれを見て見ぬふりすることなく叱ってくれた人がいた。ジョーンの気持ちに共鳴しながら、今少し離れた位置からこの物語を読めた気がした。 これは本当に自分自身を隈なく鮮明に映す鏡のような本だと思う。というか、鏡と鏡を端を合わせた状態で近づけた時現れる、自分と目が合わない自分を眺めているような気分。そしてそれは他人から見える自分で、現実。 辛く、痛く、悲しい現実から逃げ、見ないふりすると痛い目を見ることは、大抵大人は経験している。だからこそ、この歳まで気づけなかった「プア・ジョーン」なのだが、周りの人間が何故彼女を助けないのか、疑問だった。気づいていながら、それをひた隠しにすることは正解なのか? また読みながら、ジョーンにはこの本を最後まで読めるのか考えたけど、恐らくだいぶ序章のあたりで投げ出す。(笑)また同時に、私はこの本を読ませたい人物が浮かんだ。けど、私はしない。そんな勇気も、義理も、資格もないし、自信もなければ、その後に及ぶ影響を考えると末恐ろしいから。つまりは私もロドニーや家族たちと同じ人間で、彼らがジョーンを助けなかった理由はきっと同じだった。 「……誰でもいい。ここにいてくれれば。…わたしの傍にいてくれれば。」というセリフから、学生時代を思い出した。友人と喧嘩をして、昼休み共に過ごす人がいなくなった時、私の後ろの席でひたすら絵を描くクラスメイトの存在に、妙に暖かさを感じたことがあった。仲良くなり、彼女は絵を描いてくれたけど、その彼女と話をしなくなったのはいつだったのかも、今は名前すら思い出せない。 この物語をまた読みたい。どこまでも痛々しい現実を突きつけてくるけど、私にとって合わせ鏡の中の自分を、いつでも確認するための大切なツールになった。そして大嫌いな上司に今すぐ、読ませたい。本心は
0投稿日: 2025.05.05
powered by ブクログ夫と大きなケンカする事もなく子育てを終えた婦人(ジョーン)が、1人で旅に出る。 時は第二次世界大戦の足音が聞こえてくる11月(全く春じゃない)。 駅で惜しみつつ別れた夫を振り返ると、夫は早くも帰路に向かっており、その足取りは何故か軽いものであった…。 旅路での旧友との偶然の再会やボロ宿での足止めを機に、自分の半生を顧みるシーンがメインですが、各回想からジワジワと暗雲が立ち込め、終盤から最後のシーンに至っては、ホラーさながらの、誰の家庭にもあり得る恐ろしさを内包したインパクトある小説でした。真の愛とは、良い親とは何だろう。
12投稿日: 2025.04.28
powered by ブクログオーディブルで視聴。砂漠の真ん中で足止めされ、自分のこれまでの人生について振り返り自分自身を見つめ直す。これまでの行いについて心からの反省をして、夫へ詫びようとするが、自宅に帰ってくると心変わりしてしまう。やはり人間は簡単には変われないのだろうか?圧倒的な人物造形で、たった一人の人生だけでひとつの長編を完成させてしまうところが本当にすごい。
1投稿日: 2025.04.16
powered by ブクログやだ…これ好きじゃない… 言葉に表せない嫌な感じ。 なんかもしかしたらこの主人公は自分なのかもしれないみたいなものが付き纏ってまとわりついてくる感じ。 え…実際そうなのかな… そう思う時点で作者の思う壺にハマってるのかも… ミステリーでもホラーでもないけど、すんごい怖い。 後味悪…
51投稿日: 2025.04.15
powered by ブクログ優しい夫にかわいい子供達に恵まれ理想の家庭を築き上げたと自負する女性が、旅先で出会った友人との会話から「自分が築いてきた親子関係、夫婦関係は本当に良いものだったのか」と思い悩む場面から過去の家族とのやり取りを経て次第に疑心暗鬼になっていく姿からホラーとはまた違う不気味さが感じられ、ラストもゾクッとするものだった。
0投稿日: 2025.04.13
powered by ブクログ尊敬する先輩からオススメされた作品。 移ろう心理描写は面白かったけど、正直私には理解しきれなかった。悔しい。 時間を持て余すと確かに過去のことを振り返り、自分の行動や言動を急に恥じて、消えてしまいたくなることは度々あるよなぁと思った。 家族でさえも自分が知ってる顔と全く異なる顔を見せる可能性があるんだというのはとても恐ろしい。 傲慢にならず、周囲の側に立って考える気持ちを常に持ちたいと思った。
1投稿日: 2025.04.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
あとがき作者の栗山薫さんも書いている通り、哀しい物語。主人公がいかに自身の真っ直ぐで、哀しい自信家であることか。 自分に自信を持つ、自己肯定感を上げる、といった言説がそれなりに支持されている現代だが、この話はそんな主人公が周囲の関係者をどれほど無意識のうちに虐げてきたか、自分から逃げながらも直視する物語。 自分の理想や、信条を「相手のため」という言い訳を盾に押し付けてはならない。 これは私にとても痛く刺さった。頭では当たり前と理解していることではあるが、これまでジョーンのように無意識に自分の理想を演じるよう相手に押し付けてしまう場面がなかったかと聞かれると答えられない。 最終的にジョーンは内省の果てにたどり着いた答えから再度逃げ出した。 私は… またアガサクリスティの筆致の凄さなのか、中山妙子さんの訳のおかげなのか分からないが、何もない砂漠という舞台でジョーンの頭の中が読者を飽きさせることなく何十ページにも展開されているのはシンプルにすごい。 本当に面白かった。
1投稿日: 2025.04.04
powered by ブクログとっても面白かった。哀しくて恐ろしい話だ。 順風満帆に生きる中流階級の弁護士の妻が、旅行途中で足止めをくらい、手持ち無沙汰になって自分自身を見つめ直す話。 特に舞台展開はなく、基本的に主人公の回顧を追ってるってだけの珍しい構成。 でも全然読み飽きなくて、めっちゃ惹きつけられた! 思考の過程を描くの上手すぎる。 心情をここまでリアルに表せるところに感銘を受けました。 どんどん良くない方向に考えちゃうところとか、すごく分かる。 どんどん過去が明らかになっていくのが面白かったです。 あと何より、自分自身を客観的に見るのって難しいよなと感じました。 自分も知らず知らずのうちに現実逃避してそうで怖いなあ。 終わり方とても好きでした。 アガサ・クリスティーこんなのも書けちゃうのね、さすがでした。
7投稿日: 2025.04.03
powered by ブクログクリスティーのノンシリーズです。ミステリーではないので別の名前で出版されていた作品だそうです。なるほど、クリスティーの名を使わず出版されていたのはなんとなくわかりました。 主人公ジョーンはかなり病んでますね。 離れた土地から帰宅途中で足留めされ、辺鄙な土地で色々なことを回想していくのですが、とにかくその思考がかなり問題ありで。クリスティの性格描写は凄いです。最後までイライラさせられました。 最後、エピローグでの旦那さんのセリフが、グサリと突き刺さりました。恐ろしさと悲しさと。
35投稿日: 2025.04.03
powered by ブクログひたすらむず痒い感情 家族は向き合おうとしたことあると思うけど、変わらなかったんだろうな 結婚したらまた感情移入できるのかな、
0投稿日: 2025.04.02
powered by ブクログ友人の紹介で読んだ。 すごく、すごーくよかった。 おもしろかったし、苦しかった。 あの砂漠の3日間が、 文字通り砂と散ってしまう衝撃と 夫の最後の言葉に涙が出そうです。 どうしても、読み手の来し方を考えさせられる。 自分はどうだろうか。 「みんなのことをいつも考えてる」って 自分のことしか考えてないじゃん、みたいな。 いくつも周囲から与えられてきた真実のかけらを 見ないで、気づこうとしなかった、みたいな。 いや、自分はどうなんだろう…
1投稿日: 2025.03.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
救いがなさすぎてびっくりしちゃった。人生って何……… 自分の考えを疑ったり立ち止まってみたりすることを怠り続けた主人公、そんな妻と正面から対話してその怠惰を指摘しようとしなかった夫と子どもたち。本当に救いがない。 指摘してくれる人間が身近に居なかったのも不幸だけど、これまで自分自身を顧みることができなかった主人公がとても哀れ。大切な家族に距離を置かれ、気づいたらひとりぼっちになってるんだよ?最期までひとりぼっちであることに気づかずに人生を終えることができるか分からないし、終わり方が不穏過ぎる。 砂漠で自分を省みることに成功したのに、帰宅して夫に会うまでに元の自分に戻っちゃうの、すごいリアルで嫌だった。そうだよね〜人間ってそうだよね〜うわ〜〜 「私の考えが一番いいんだから!あなたは私の言うこと聞いてれば一番幸せになれるのよ!私が身近にいて本当に良かったわね!」みたいなタイプ、創作物にはわりと出てくるよね。創作として観る分には自信過剰で滑稽だなぁで済むけど、今の自分はそういうタイプの人間になっていないか?本当に?とか考え出しちゃうとどんどん怖くなってくるよね…。ほどほどに自分を疑っていこ……
4投稿日: 2025.03.23
powered by ブクログ1つ前に読んだ柚木麻子の『名作なんかこわくない』から影響されて読んだ。 名作と呼ばれる有名作ことごとく読んでない自分が情けないので少しずつ気になったものを読もうと思う。 『春にして君を離れ』 めちゃくちゃ面白くて一気読みしてしまった。 自分が他人からどう見られているのか、砂漠に取り残された時間の中でどんどん気づいていってしまう怖さ。 どこかで薄々気づいていたのだろうけど気付かないふりして生きてきたジョーン。 他人を惨めで可哀想と哀れんだり、子供や夫を自分の思い通りにしたがるジョーンは身勝手に思えるんだけど、意外だったのが幸福であることよりも義務を重んじているところ。 幸福よりも義務を重んじる価値観であるからこそ誰からも好かれることなくひとりぼっちになってしまったのか。 というかロドニー可哀想だけどお前も悪いよな。
0投稿日: 2025.03.19
powered by ブクログ1944年発売当時は、著者名をメリア・ウェストマコットで有ったそうで、推理小説でない事で読者が失望しないようにしていたらしい。 私もあれ?ミステリー小説では無いかと読み始めて気付いた。 イギリスからバクダットに娘の体調不良のため、行き、帰りの途中、天候不良の為に汽車が来ず、砂漠で1週間弱滞在する中、主人公の女性が自分の人生を振り返り、反省や間違いに気づくと言う内容で、ドキリとするような物語。
7投稿日: 2025.03.16
powered by ブクログ主人公の変わろうとしても結局は何も変われなかったことに共感と恐怖を感じた。主人公の夫にも主人公の傲慢さには責任があると感じた
1投稿日: 2025.03.09
powered by ブクログ「春にして君を離れ」#読了 ミドルからシニア世代に是非読んでほしい一冊。何かの事件が起こるわけでもないのに、ヒタヒタと忍び寄る怖さ。無自覚に隠されていた本当の自分や周囲の評価。知りたくなかった真実を知った時、人はどう次の一歩を踏み出すのだろう。 #ミステリー小説 #アガサクリスティ
11投稿日: 2025.02.10
powered by ブクログ私の分類上、星★1つにしていますが、内容が悪かったわけではありません。 2024年3月31日に定年退職したとき、部屋の中に散らかっている本を見て、1年以内(2025.3.31)までに全て処理することを心に決めました。段ボール箱3つと、スーツケースに入った本達です。読み終えてポストイットが貼ってあるものは完全にレビューまで書き終えましたが、読みかけ本の処理に困りました。 半分以上読んでいるものは、読み終えてレビューを書きましたが、それ以下のものは処理に困っている状態でした。興味があって購入し、読み始めたもの、読んだらきっと良いポイントがあるのは分かっていますが、これから読みたい本も出版されるし、目の状態もあまり良くないので、部屋を整理するためにも、今日(2025.2.3)から私の61歳の誕生日(3.31)までに、全ての本を片付けたく思い、このような結果となりました。 2025年2月7日作成
0投稿日: 2025.02.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
怖い怖いって評判だけど本当か~?と思いながらオーディブル版を視聴。 ふんふん……まあまあまあ確かにね、怖いっていうか息苦しい気分になるけど、そんな震え上がるほ怖ぁ!? (オーディブル朗読担当の田島さんの迫力がだいぶ作用しているように思うが)何だこの終盤の畳みかけ(迷子になる辺りの恐慌!)。からの、バッドエンド。 なまじ、一度、己のこれまでに向き合う選択肢が現れたぶん、静かな終幕ではなく、バッドエンドを選んでしまった感が凄い。絶望である。 彼女が“勇敢”になる機会は恐らく永遠に失われてしまったのだろう。 そして何にも気づかなかった頃にも、もう戻れない。 天国にも地獄にも行けず、煉獄を永遠にさ迷うような人生が彼女の眼前に長く長く横たわっているのが見えるようだ。 これは、怖い。 オーディブル版、おすすめです。 それはそれとして、夫の被害者ヅラもなかなか苛つくな……なんだかんだで似たもの同士という気もする。マッチングとしては最悪だけど。
0投稿日: 2025.01.28
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1ページ目から丁寧にタイトルの伏線回収というか答え合わせというか…な感じでずっと胸くそで恐ろしかったです(おもしろかった!)
0投稿日: 2025.01.21
powered by ブクログ面白いわけではないけど、最後まで読むと読む意味のある本だなぁとずーんとなった。 やたらに人のことを可哀想がる人って嫌いだなと改めて思う。 きちんと話し合うということをせずにと年月が経つとこうなるんだなという怖さがあった。
1投稿日: 2025.01.16
powered by ブクログなんとも言えない読後感。 ジョーンという女性が娘の見舞いの帰りに会った友人との会話から、しばらく家に帰れない状況の中で自分のことや家族のことを考える。 現状に満足しているジョーンは満足してるが故に、家族や自分のことを客観視できておらず、自分の価値のために家族を奴隷化しようとしている。 もちろん悪意があってではないが、悪意のない偽善が一番怖いと感じさせられた。 他人にはどうあるべきかを決めがちなジョーンは結局自分のことや、自分に対する家族の気持ちを理解できていない。 自分が良いと思ってることを他人が良いとは思ってないの極論のような話。
0投稿日: 2025.01.13
powered by ブクログとても恐ろしい、そして哀しい。 自信満々の本人は周りにどう思われているか真実を知らずに一生を終えて幸せなのか、それとも不幸なのか。 人はそれぞれ自分の正義、信条などがあって、自分の都合のいいようにしか周りを見ていない。 私もそうだ。客観的真実が見えていない。そう思うとものすごく恐ろしくなった。
4投稿日: 2025.01.13
powered by ブクログアガサクリスティーの作品としては毛色が異なる作品。 本作品はミステリーではないのだが、ミステリーとして読むこともできる。 表面的には淡々とストーリーが進む。 いつどんでん返しがあるのか、と期待して読んでいると裏切られる。 面白いところが、主人公ジョーンの性格、心理状況。 これをどう捉えるか(共感性があるのかないのか)によって感じ方が変わってくるのではないかと思う。 彼女は自分の正当性を自分の視点のみで捉える傾向がある。 言い方を変えると他人の視点に影響を受けない。他者の視点を顧みない。 そして、他者を階級、血筋等、表面的なことで判断している。 これはある意味簡単なこと(他者を単純化できる)であり、他人の視点に疎くなる大きな要因となり、実は多くの人がこのような傾向にあるのではないだろうか。 しかし、他者の視点を顧みることをしない結果として、自分を含め、周りを不幸せにする。他者が離れていく。 そして面白い発見として、他者の視点を意識する局面が、自分独りになった時、ということ。 つまり、他者との交わりの中ではそれが気が付かないが、独りになった時にそれを感じる。 皮肉なような感じだが、それは人間の心理として事実なのだろう。 他者の視点を顧みない、それが周りを不幸にする、これは自分にも起こっていることかもしれない。 他者の立場で自分を捉える意識を持っていかないと。 それには、人との付き合いの中で、一歩、心に踏み込む姿勢、聴く姿勢が必要なのだろう。 そして、自分独りの時間を大切にする、ということもこの本から学ぶ。 独りの時間は、自分のことを考えるのではなく、他者と自分の関係性をより客観的に捉える場になる。 この本は、好き嫌い(嫌いというか感動がない)が分かれるところがあると思うのだが、上記を踏まえると、その分岐点は、この本を人間心理の意味として捉えるか否かではないか。 ミステリーもベースにあるのは人間心理だと思うので、その意味ではこの本もミステリーとして読むことができるし、そう読めば面白いと感じることができるのだろう。
1投稿日: 2024.12.28
powered by ブクログ大体の人は自分が周りからどのように思われているのかうすうす知っていながら、それを認めたくなく目を背ける。旅の帰路、読む本さえもなく地の果てにいるようなまったくの孤独で、ジョーンは詩と共に自分という書物を読み始める。そこには自分は夫にも子どもにも愛されていないという事実が読めた。 印象に残ったのは、長旅の末やっと再会した夫に、ジョーンが「どっちの模様」で振る舞えばいいのか心の万華鏡を回す場面。自分でさえも予測のつかない態度に出てしまうジレンマ、変えようとしても簡単にはいかない人間関係のもどかしさ。クリスティの中でも、人の懊悩を突きつめたすごい作品だと思う。
6投稿日: 2024.12.14戦間期のイギリスを体現する主人公
ここには確かに謎がある。 が、その謎は主人公であるジョーンの心のうちに突如沸き上がった疑念に端を発しており、異邦の地である中東で一人立ち往生しなければ生まれてこなかったものである。 さらに謎を謎たらしめているのは本人自身でもある。 周りの人には明白な事実を、認めることの恐怖から慎重に避け続けていた結果、見ないように蓋をしてきた真実。 息子のトニーが「ときどきお母さんって、誰のこともぜんぜんわかっちゃいないって気がするんだ」と語っている通り、あるいはかつての恩師が指摘した「物事に皮相的な判断を加える」きらいがあり、自分のことばかり考えたがるのを戒めよと指摘している通り、他人を都合良く自分勝手に解釈してしまう。 このようにジョーンという「信頼できない語り手」による一人称の回想小説として物語が進むため、ともすれば読者は「志村、うしろうしろ」とツッコミを入れつつ、なんなら本人よりも早く真相に辿り着いてしまう。 夫のロドニーは私が留守にして、ひどく淋しい思いをしているに違いない、いなくて喜んでる? 嘘よ、嘘に決まっている。 「もちろん、ロドニーはわたしの帰りを待ちかねているにきまっている!」 こんな調子だから、疑念の連鎖に陥っていく様は読んでいてハラハラさせられる。 実は自分は一人ぼっちなのではないか。 誰からも愛されていないのではないか。 夫や子供たちに尽くしてきたつもりが、実はひどく独りよがりの思い上がった一方通行で、彼らは実は深く傷つき、有り難迷惑に感じていたのではないか。 母親失格というだけではない。 心から愛していたからこそ、自分の振る舞いはより残酷さを際立てているのではあるまいか。 そこに少しでも無関心や嫌悪の情でもあれば、弁解の余地はあっただろうに。 多くの人は読み飛ばしているが、帰りの列車の友連れとなるサーシャは、物語の結末を見事に予知している。 ジョーンの天啓とも言うべき回心に至る経緯と帰国後にとる行動の決意を聞いた上で、サーシャはなんと言ったか? 「神の聖者たちにはそれができたのでしょうけれど(聖者でもないあなたには出来ますまい)」と。 クリスティほどの小説家が、最後のジョーンとロドニーの再会の場面の前にあえて、サーシャというコスモポリタンな貴族を登場させたのも理由があってのことだろう。 それがよりハッキリするのは、戦争が間近に迫っていると告げる場面。 ユダヤ人に向けられる敵意、ヒトラーが戦争を始めようとしていること、火の手は世界中に飛び火するであろうことを予言するサーシャ。 それに対してジョーンは、ヒトラーがそのような大それた野心を持つ人物とも思えず、いまにも戦争が起こるなんて寝耳に水だと答える。 本書の刊行は1944年、つまり終戦の前年に当たる。 とすればクリスティは、この物語に単なる一婦人の自己省察以上のものを込めているに違いない。 おそらくそれはジョーンという女性を、イギリスそのものと重ねあわせているのではないか。 サーシャがイギリスの特異な国民性を皮肉る場面が続くことも、その解釈を裏付けているように思える。 ドイツに対する宥和政策をとったイギリスの首相チェンバレンは最後までヒトラーに翻弄され続けたし、イギリスの上流階級になるほどヒトラーの政策に理解を示してひとかどの人物だと認めていたこと。 さらに先走ってしまえば、戦後のイギリスは次々と世界各国の植民地を手放して落ちぶれていく。 民主化や近代化に少なからぬ力を貸し、多少なりとも恩義を感じていると思っていたのに、次々と独立を宣言して袂を分かっていく植民地の人々。 「ご自分たちの長所については何か後ろめたげで間が悪そうな口ぶりをなさるのに — 短所は進んでお認めになるばかりか、むしろ自慢にしていらっしゃるようですのね」 サーシャの分析を読んでいると、ますますこの物語がロマンス小説以上の意味をもってくるように感じられる。 本書で最も面白い場面は、ジョーンとロドニーの再会の場面ではなく、ロドニーとエイブラルの対決の場面だろう。 妻のある年上の医師カーギルと駆け落ち同然で出奔の決意を固めるエイブラルを父親のロドニーがどう翻意させたか。 まるで法廷ドラマのような鬼気迫る弁舌の応酬。 父親の出方がわからないエイブラルは予測のたてやすい母親の同席を求めるが、そこでロドニーが漏らした一言 - 「なるほど、怖いんだな」。 ここから父の繰り出す論法が実に見事。 若さゆえの短慮や一時の恋慕と詰られるなら跳ね返せたろうが、義務の不履行という自身が最も信をおく暗黙の契約を持ち出されたため、手も足も出ない。 相手の弱みを的確に攻めるというのは一流の弁護士の所作。
0投稿日: 2024.11.25
powered by ブクログアガサ・クリスティ作品2作目。 ミステリーを期待して読んだら面食らった。 主人公の人物像がわたしが苦手とする人間のそれで、多少の苦痛を感じながら読んだ。 読み終わった時、なぜ自分がジョーンのような人間を苦手とするかハッとさせられる。 わたし自身にもジョーンのような価値観があり、普段は様々な言い訳をして自分自身と向き合うことから逃げているからだ。 仕事、家庭、生活。生きるうえで考えるべき問題は山積みで、解決を優先するばかりに問題の本質たる深層部分に思考を割くことをせず目先の安定を選んでしまう。それが俗に言う、(悲観や皮肉をこめた)『大人になる』ことなのかもしれない。 ジョーンが何も無い砂漠で自己と対話をせざるを得なかったように、この本と向き合うことで私自身の醜さや弱さを露呈させられた。 もうしばらく読みたくないなと思う故に私はジョーンやロドニーを非難できなくなってしまった。
2投稿日: 2024.11.19
powered by ブクログ2024年11月15日読了。イギリスを離れ遠く砂漠で足止めされたジョーン、女学生時代の友人との再会・会話をきっかけに夫・子どもたちとの関係を思い返し…。まとめサイトで目にした本だが、「こわい本」のテーマでこの本を挙げた人はセンスがいい。「今までの人生は間違っていたのではないか?」という価値観のぐらつき、自分が見て見ぬふりをしていたものについて自分が気づいてしまうこと(人から言われても聞かないだろうからなあ~)、これは恐ろしい…これは女性が読む方がもっと身につまされて怖い話に感じるのだろう。後書きにもある通りだが、この夫の態度は不誠実でよくないよな~~自分で決めた人生なのだから、自分で責任を持って生きないと。そういう意味ではこのジョーンの人生だって、決して悪いものではなかったのだと思うし、最後に彼女が下す決断も、結局はそれしかなかったのかもしれないよな。
0投稿日: 2024.11.15
