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パンドラの匣
パンドラの匣
太宰治/新潮社
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総合評価

206件)
4.2
79
67
40
2
0
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    正義と微笑 シンプルな若さ、青さ。 自分の中で固まり切っていない思想が、兄などに影響を受けながら変容していき、その中でたまに見える信用に足るものがある、というのが若者らしくていい。 181 思いがけない事ばかり、次から次へと起ります。人生は、とても予測が出来ない。信仰の意味が、このごろ本当にわかって来たような気がする。毎日毎日が、奇蹟である。いや、生活の、全部が奇蹟だ。 210 「善く且つ高貴に行動する人間は唯だその事実だけに拠っても不幸に耐え得るものだということを私は証拠立てたいと願う。」(ベートーヴェン)

    0
    投稿日: 2026.01.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ○正義と微笑 純真な青年の内面を、日記形式で巧みに表現した作品。 主人公(芹川進)の感情の動きをとても丁寧に綴っており、学生(こども)から社会人(おとな)になっていく過程での苦悩や葛藤が描かれる。 拗らせた陰キャのような思考(自分は特別だと思っている)に、とても感情移入できた。 春秋座で厳しい稽古に必死に食らいつき、どんどん活躍の場を広げていく中で、あれだけ尖っていた青年が、「己れ只一人智からんと欲するは大愚のみ」と悟る。社会の厳しさ、地に足をつけることの重要性を理解するラストの余韻が素晴らしい。 序盤に出てくる黒田先生の勉強論は、幅広く教育現場で引用されるべき。(p.17) 自分自身も死に物狂いで大学受験の勉強をして、その時に学んだことは何一つ覚えてないけど、一つのことに打ち込んだ経験は確実に財産だと言える。 ○パンドラの匣 敗戦国となり先が見えず暗い日本の世相と、結核療養所の人々を重ね合わせて、希望を持ち続けることの意義を訴える作品。 手紙形式で、「健康道場」なる異質な結核療養所の人間模様が描かれる。戦後まもない作品にも関わらずユーモラスな描写の連続で、戦争の影をほとんど感じさせない作品だった。 メインで語られるのは、主人公が恋をする「竹さん」と「マア坊」という二人の女性との交流。くどくど友人への手紙に二人について書きまくるものの、最後は大失恋に終わってしまう。 結核に苛まれ、恋愛に失敗したとしても、 『すべてを失い、すべてを捨てた者の平安こそ、その「かるみ」だ。』(p.316)と謳い上げる。 最後は戦後間もない日本国民全員に対しての、太宰治からの優しいエールで締めくくられる。 「僕の周囲は、もう、僕と同じくらいに明るくなっている。全くこれまで、僕たちの現われるところ、つねに、ひとりでに明るく華やかになって行ったじゃないか。 あとはもう何も言わず、早くもなく、おそくもなく、極めてあたりまえの歩調でまっすぐに歩いて行こう。この道は、どこへつづいているのか。それは、伸びて行く植物の蔓に聞いたほうがよい。蔓は答えるだろう。」(p.331)

    0
    投稿日: 2025.12.10
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    ふたつともだいすき。女生徒も斜陽も正義と微笑も、表題のパンドラの匣も、太宰治は人の日記を作品にするのがうますぎる。 正義と微笑のR大の同級生への描写、中学の先生についての考え、本当に好き。これをいいな、かっこいいーと思って影響受けちゃって学校で大浮きした。この状況も作品中の孤立派という言葉で正当化できちゃうんだから、なんという学生狂わせ!!「なんじら断食するとき、偽善者のごとく悲しい面容をすな。」これを大切に、大切に、生きていきたいと思う。何事も知識をひけらかさず、淡々と努力できる人になりたい。これも良くないか、まあ現実で会う誰もこのページ見てないし。でもこれを心に決めて生活すると本当に苦しい。この作品の聖書から影響されているところ、引用されているところは、元になった日記だとマルクスからの引用らしいけど、なんで太宰がマタイの6章16節に変えたのか考えると、ちょっとだけ、ほんの少し太宰の気持ちがわかった気がした。お道化。でもこれを作品にするのも三島が嫌った太宰治的と言うか、まあ作家はそういうものなのかなあ。もっと聖書の勉強をして、いろんな経験をして、また何度も読み直したい。一番影響を受けた作品です。きっとこれからも。 長文失礼しました。

    7
    投稿日: 2025.12.01
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    やっぱり私は太宰治の作品が好きだなぁと感じた作品でした。特にパンドラの匣。 一つの感情を何か難しい凝った言葉で表現するのではなくただただありのままに、読者が読み取りずらくなるくらいの素直さが含まれているのが本当に好きです。 こういう物語を人生の教科書と言うんだろうなと思いました。

    1
    投稿日: 2025.10.14
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    正義と微笑 自分にできることから、前向きに始めていこうと思えた。 パンドラの匣 何かを思って本当の気持ちを隠したり、言いたいことが言えなかったり。それはよくあることだと思う。 ひばりの言う通り、飾らずに在ることで、自分らしさというものが見えてくるような気がする。

    0
    投稿日: 2025.10.09
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    太宰治の辛辣な親戚のルックスいじりや自由思想とは反抗精神であるなど、読むのに時間はかかったが面白い箇所は随所に溢れている。

    0
    投稿日: 2025.09.21
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    2025.7.17読了 ・正義と微笑 志高く。一生懸命勉強する。 勉強することで人は愛するということを知る。 真にカルチベートされた人間になれ! 自分の理想に突き進み、誇り高く生きる。 自分の限界を自分で決めつけてはいなかったか。自分の道を切り拓けるのは自分しかいないのだ。 学校に行かずとも図書館に行って正岡子規集を読み散らしたり、修学旅行を欠席して6日間小説を読み耽ったり、そんな生き方に憧れを感じた。その日その日、目の前のことに一生懸命に取り組み、懸命に生きる。 読後感も清々しく私もこれからの人生を懸命に生きてみようと思わされた。 ・パンドラの匣 「むだな飾りのない姿って、いいものなんだねえ。」敗戦後、多くを失った日本で、この言葉に救われた人がどれほどいただろうか。「かるみ」の美しさに心を打たれ、前を向けた人がどれほどいただろうか。終戦直後に書かれた小説だからか、未来への希望を感じさせる終わり方でなんだか心が爽やかな気持ちになった。 人を堕落させない愛情。私も竹さんのようにそんな愛情を持てる人になりたい。 生身で、ありのままで生きていこう。 苦しさの先に見える美しさがきっとこの世にはあるのだ。 太宰に文字を教えたという女中のタケさんも結婚を機に太宰の前からいなくなってしまったという。本作品の竹さんと重なる部分があり、タケさんへの尊敬、深い愛情、感謝を感じ、これはタケさんに捧げる作品だったのかなと思わされた。

    0
    投稿日: 2025.07.22
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    太宰治作品に対する先入観を裏切る、明るく前向きな2編が収められていた。 特に『正義と微笑』には、心に残る言葉がたくさんあった。 「微笑をもて正義を為せ!」 青春小説でありながら、青春時代を過ぎた私のような読者も置いてけぼりにはされない。 むしろ、歳を重ねるほどに「顔は柔らかく、芯は真面目に」と心がけるべき場面は増えていくように思う。 とはいえ、決めたはずのスローガンを守り続けるのは難しい。 主人公の進自身も八つ当たりや迷走を繰り返す。 そんな中登場する『ファウスト』の朗読シーン。 「此の虹が、人間の努力の影だ。(略) 人生は、彩られた影の上にある!」 実体のない虹と、苦労を包む微笑。 この二つのイメージが重なり合い、理想を追い求める人間の努力そのものが、美しいものとして肯定されているように感じた。 この一節が、高い理想と現実のすれ違いに悩む進にぴったりとはまり、「迷っても、笑って、なお進め」という、作品全体を貫くあたたかなメッセージとして伝わってきた。

    39
    投稿日: 2025.06.20
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    初の太宰作品。 読みやすくて主人公の苦悩や想いに共感する部分あり。名言もあり。カルチベート大切にしていきたい。

    13
    投稿日: 2025.06.18
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    以前に読んだ、古賀史健さんの本のなかで『正義と微笑』が紹介されており、とても気になったので読みました。 思ったよりとても読みやすかったです。太宰治の文章って、こんなにスムーズに頭に入ってきやすかったっけ?と思うほど。書簡体小説だからでしょうか? 主人公の芹川進くん。無事に志望する劇団に入れて良かったです。試験後のやりきった感じは読んでいるこちらにも清々しさがひしひしと伝わってきました。 初任給で、お兄さんに万年筆をプレゼントしたのかな? 最初のほうに出てきた黒田先生のセリフは名言でした。 カルチべート。この言葉をしっかり胸に刻みました。 なんで勉強なんかしなくちゃいけないんだ?と悩んでいる、小中高校生に是非読んでいただきたい。

    17
    投稿日: 2025.06.11
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    僕は10代なので「正義と微笑」の内容は特にドンピシャで、共感できる部分が多くあり、特に勉強の意味を語る部分は参考になりました。しかし、意外と「パンドラの匣」の方が心に響きました。この作品全体を通した、キャラクターの憎めない素直さや陽気さ、この世界は何とかなるという楽観的な雰囲気などが、僕の心を軽くしてくれました。今の世の中は先行きの見えない不安でいっぱいですが、そんな不安を消し飛ばすような、明るくて、心を強く保って笑ってる人を目指そうと思いました。

    1
    投稿日: 2025.05.20
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    どちらも明るく読みやすい作品だった。 この小説を読んで知ったのだが、太宰は聖書を読んでた。 解説にもそう載ってたし、この本の中にも時々出てくる。

    0
    投稿日: 2025.05.16
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    正義と微笑の先生の台詞はいつ読んでも名言。この1ページのためだけに買ったと言っても過言ではない。素晴らしい。 太宰先生は前期後期のアウトサイダー的な作品に焦点が当てられがちだが、中期の作品も素晴らしく面白い。自分はかなり好き。 正義と微笑は理想通りにならない現実との間に揺れ動く青春期を日記形式でかなりリアルに描いた傑作。 パンドラの匣は結核持ちの青年という重たい設定でありながら、途中ニヤニヤしてしまうほどリアルで笑いどころの多い中編。 太宰治久しぶりに読んだけどやはり抜群に面白い。右大臣実朝、惜別も読みたい。

    1
    投稿日: 2025.04.14
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    『正義と微笑』は日記形式、『パンドラの匣』は書簡形式で展開される。 2作品とも太宰の作品とは思えないほどの瑞々しさを感じる青春小説だった。 特に『正義と微笑』の青年の精神的な成長過程は、読んでいるこちらが励まされるような清々しさがあった。

    1
    投稿日: 2025.03.18
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    正義と微笑の勉強の話。 何故かずっと心のどこかに引っかかっている。 久松達央さんとお会いしたとき、耕す、カルチベイトということと、考える、ということが繋がった気がした。 本を読むことで、心のどこかに種が蒔かれ、永い時間の中で、急に芽吹くこともあるんだな、と改めて思った。 しかし40年近く経って、ということがこれからあるかといわれると、歳だし、それはもう期待しづらいのかな。 パンドラの筺。 少し、新しい古い、ということに拘りすぎていて、そこがイマイチ飲み込めなかった。 単に表層的な表現の問題に過ぎないのかもしれないけど。

    3
    投稿日: 2025.01.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    太宰治とは思えない読みやすさや痛快さ、話の分かりやすがあって面白かった。太宰治にしては珍しく舞台は大阪、健康道場での日常が手紙形式で知ることができる。愉快といえば愉快、くらいと言えば暗い、どう捉えるかは読み手次第といえる部分もありますが、僕は楽しく読むことができました

    1
    投稿日: 2024.10.08
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    『パンドラの匣』については、まあ、それなりですね 確かに、もう少し長く書かれるはずだったというのも頷けます 『正義と微笑』については、再読となりましたが、相変わらず尊い作品です。数ある太宰の作品の中でも、間違いなく一番好きな作品と言えますし、また、そうお考えの方も多いことでしょう これほど爽やかに、然し、人間としての熱量や懊悩に嘘をつかずに、そして最後に、明るく未来を待ち望みたくなる、そんな美しい作品です 今も昔も変わらずこの作品が大好きです

    3
    投稿日: 2024.07.08
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    こんな本に出会うために生きているのかも知れない ひばりとマア坊が2人でお茶を飲む描写は、目で見ることのできない美しさをたたえているような気がした

    1
    投稿日: 2024.06.20
  • 太宰治が伝えるキリストの言葉

    「パンドラの匣」に収録されている2作品は、共に聖書に関する記述が多い。太宰治が伝えるキリストの言葉には、共感できるものがたくさんある。必ずしも評価の高い小説達では無いのかもしれないが、いわゆる「太宰治」のイメージとは異なる爽やかな作品です。

    0
    投稿日: 2024.05.03
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    勉強は人格を形成するに共感した。僕もそう思う。勉強の姿勢によって人格が歪んでしまうのを理解しているから。勉強をしなさいで勉強をすると塞ぎ込み、檻の中で生活しているような感覚に苛まれる。檻の中にいると狂うのです。懲罰房の話を聞いたことがあるだろうか。あいつらは手足を縛られ、1ヶ月間会話と身体の自由をほとんど奪われるらしい。自由を奪われると人は狂うのだ。懲罰房の人間はげっそりして、歯茎から血を出し、目が虚ろになって出てくるらしい。そうだ、勉強は自分がやりたいようにやるのが1番なのだ。したくないものをやれと言われりゃ歪んでく、やりたいものをやれば良くなってく。いい形成のされ方をする。そんなことを考えさせられた。と言うより、明確化された。

    3
    投稿日: 2024.04.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ・あらすじ 「正義と微笑」 芹川進という少年の16歳から18歳までの日々を綴った日記形式の作品 「パンドラの匣」 健康道場(結核療養所)にいるひばりという渾名の男の子が友人に宛てた書簡形式の作品 ・感想 どちらもYouTubeの朗読で聴いたのが初読?で、とても面白かったので活字で世界観に浸りたいと本を購入。 私の好きな朗読者の方は読み方・声・演技(私が聴いてる方はただの朗読というより若干の演技(誇張された読み手の解釈が入っている)がとても太宰作品の雰囲気に合っていてもうそのイメージが固定されてしまっている所がある。 今回はその雰囲気を保ったまま活字で読むことになったんだけど、なんだかよりこの作品たちの魅力が伝わってきてすごく面白かった! 正義と微笑は太宰で一番好きな作品(次点は黄村先生言行録シリーズ)で初読?は朗読だったんだけどやはり活字で読むとまた違った魅力がある。 芹川少年のあの年代特有の青臭さと潔癖さと万能感が微笑ましくて可愛い

    1
    投稿日: 2024.02.25
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    「正義と微笑」は何度も読み返している。 漠然とした理想を掲げていた主人公が、生活人として地道に努力をするようになる。物事を継続できないときに読むと、自分も努力しなければならないと気が引き締まる。 「微笑もて正義を為せ!」「人を喜ばせるのが、何よりも好きであった!」という主人公の理念にもよく共感できた。「パンドラの匣」と合わせて、どちらも爽快な読後感だった。

    0
    投稿日: 2024.02.14
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    メモ→ https://x.com/nobushiromasaki/status/1753260057964482914?s=46&t=z75bb9jRqQkzTbvnO6hSdw

    1
    投稿日: 2024.02.02
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    人生のテーマとなる言葉を掲げたり、知らないうちに隠してしまってた感情に向き合わなければならなくなることで、「大人になる」移行期が描かれている。 微笑もて正義をなせ!というフレーズは、嫌味がなく素敵だなと思った。 リアリストになったいま、尊敬していた兄を見る目が変わってしまったこと。死に依って人間が完成すると思い至ること。二篇を通して自分が10〜20代で感じたことが書かれてたように思う。

    0
    投稿日: 2023.12.31
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    スマホを見ていたら、「正義と微笑」の勉強についての一節が出てきて、気になったので買った。 この文庫本に収録される2作品は、どちらも若者が主人公の青春小説。若い頃ならではの葛藤や希望などが表現されている⋯という言葉だけでは表せないほど絶妙なところまで書き上げていると思った。 例えば勉強についての先生のセリフを読んで、最初は感銘を受けても、実行に移すとなると難しいし、実際できない。まさに今、中学生の自分。笑 感じのいいだけの陳腐な文章じゃなくて、作者個人の、特有の思いが伝わる文章が魅力的である。 そして、この小説からは、太宰治だからこそ書ける日々の尊さ、そして生きる希望を感じられる。 (解説までちゃんと読む人間のぼんやり解釈) 太宰治、角川文庫の人間失格と、教科書の走れメロスしか読んでなかったけど、やっぱり良い。 理屈では言えないけれど、文学のセンスを持ってるってこういうことなのかなと思わせる。

    0
    投稿日: 2023.12.08
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    手紙調で書かれた作品 初めて読んだ太宰治作品だったけど、印象と違って爽やかな青春ものだったことに驚いた 恋心やルームメイト達を面白おかしく書いてあってサクサク読むことが出来た

    0
    投稿日: 2023.11.03
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    「正義と微笑」 10代が感じる自惚れの強さと 勝手な(自己解釈による)絶望感 両極端の振り切れ具合が 「あるある」で微笑ましい 最後は大人になったのかな ちょっと寂しい 「パンドラの匣」 ラストにちょっとした ひねりがある青春小説 おおむね明るい ブックオフヨシヅヤ新稲沢店にて購入

    0
    投稿日: 2023.10.09
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    希望に満ちた二つの物語。 太宰治もこんなに明るく爽やかな青春小説を書くんだ! 「パンドラの匣」は、結核療養所で病気に負けずに明るく精一杯生きる少年の話。友へ宛てた手紙という形で物語は展開していく。看護助手のマア坊や竹さんへの恋心。少年の想いが明らかになる瞬間、書簡形式ならではのトリックにやられた。とても好きだったんだね。 「正義と微笑」は、中学生の内面が日記形式で描かれる。なぜ人生に勉強は必要なのか。ここにその答えがあった。…あれ?太宰治ってこんなに情熱的な人だったかなと思うほど、きらきらと眩しかった。 いつか、子どもがなぜ勉強するのかと訊いてきたら、迷わずこの本を手渡そう。

    53
    投稿日: 2023.09.08
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    「正義と微笑」 自分のやりたいことを悩みながらも見つけていく姿を見て、自分本位でムカつくときもあったけど、良かった。 「パンドラの匣」 恋愛観というか、女性観は昔のもので共感はできないけど、昭和のツンデレ男子が見れた。コロコロ変わる気持ちがいかにもウブでかわいい。

    2
    投稿日: 2023.08.14
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    「パンドラの匣」「正義と微笑」、戦中戦後期に書かれた青春長編二作。 太宰の根底にある懐っこさに触れられた気がして何度も頬が緩んだ。

    12
    投稿日: 2023.07.28
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    表題作「パンドラの匣」よりも、もう一編の「正義と微笑」の方が面白い。進学のため必死で勉強してきた16歳の芹川進という少年が、自分の本当にやりたいことは何なのかと自問し、演劇の道に邁進する。全編に散りばめられた聖書からの引用が胸を打つ。 太宰治の小説「女生徒」のような瑞々しさを感じる青春小説で、帯に強調されているような「なぜ人生に勉強は必要なのか?」という問いに率直に答えてくれるような小説とは少し違うが、人生や自分の行く道を考えるヒントを与えてくれる作品と思う。それでいてテーマをやたらと重く考えず、爽快感のある読後感を得られる作品と思う。「学生時代に読みたかった…」というのはその通り。 反対に、表題作は主観描写が続くので少々読みづらい。最後の「蔓の伸びていくところにあるもの」は印象的だが。 しかし、どちらもおよそ100年前の小説とは思えない、現代と変わらない若者の姿を描いていて素晴らしかった。戦前の小説ですよ、と言われなければ分からないであろう普遍性のある両作品である。

    0
    投稿日: 2023.05.13
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    太宰治の文章は読みやすいな。 収録されている「正義と微笑」は日記、「パンドラの匣」は手紙、と主人公視点のごく限られた情報しかない中で話が楽しめる。 試験勉強をしながら「数学は今後の人生で役に立つの?」と思っているのや、「「助手(看護婦)の化粧が濃いから追放しよう」と大騒ぎするのは普段もてないからその仕返し」と分析されているところ。今でも通じるものがあるなと思った。私は、助手さんたちに健康道場の人たちは随分世話になっているんだから、厚化粧だろうが問題にするべきでないと思うけれど、時代的なものもあるのかな。孔雀さんが謝って丸く収まる描写は残念だった。 「或いはね」という主人公の口癖、女性に何もしていないのにモテてる様子は村上春樹の小説を思い出した。

    0
    投稿日: 2023.05.10
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    「パンドラの匣」は二十歳の主人公が親友へ宛てた手紙形式になっていて読みやすかった。手紙を読んでいくので不思議と主人公を近くに感じる。 こじれた恋愛と笑いもあって、ちょいちょい挟んでくる「新しい男」というワードが、昭和の厨二病感むき出しで面白かった。 主人公が結核患者なので、病み系かな……と思いきや。 匣を開けてみると、様々な絶望があるけれど希望もちゃんとあるという終わり方が非常に好みで印象に残る。 「人間失格」とは対照的な読後感が味わえた。

    0
    投稿日: 2023.03.08
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    「正義と微笑」でも「パンドラの匣」でも、主人公の感情は非常に忙しい。些細な出来事1つに喜び、苦悩し、怒る。人間性がブレていると言っていいかもしれない。しかし感情が変わった経緯は、決してブレることのない主人公の観察眼により解説される。 その異様なほど正確かつ正直な解説は、むしろ主人公のリアルな人間味を引き出しているように思われた。私達は、自分や他人のことを「こういう人だ」と一言で評価してしまうけれど、本来はこの主人公と同じくらい振れ幅のある存在なのかもしれない。 太宰治は、飾り気のない素直な人が好きだっただろう。私もそうだ。心から共感する。 「パンドラの匣」の最後のページを読んで、恐れ多いながら私は、太宰治と私が愛する素直な姿を貫きたいと思った。

    0
    投稿日: 2023.02.14
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    思春期のみずみずしくて苦い感じがまっすぐに表現されていてすごい 大人が読んでこのガキャと思ってしまうところとかわいいなと思ってしまうところのバランスがリアル 爽やかで読みやすい

    0
    投稿日: 2023.02.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「もう君たちとは逢あえねえかも知れないけど、お互いに、これから、うんと勉強しよう。勉強というものは、いいものだ。代数や幾何の勉強が、学校を卒業してしまえば、もう何の役にも立たないものだと思っている人もあるようだが、大間違いだ。植物でも、動物でも、物理でも化学でも、時間のゆるす限り勉強して置かなければならん。日常の生活に直接役に立たないような勉強こそ、将来、君たちの人格を完成させるのだ。何も自分の知識を誇る必要はない。勉強して、それから、けろりと忘れてもいいんだ。覚えるということが大事なのではなくて、大事なのは、カルチベートされるということなんだ。カルチュアというのは、公式や単語をたくさん暗記あんきしている事でなくて、心を広く持つという事なんだ。つまり、愛するという事を知る事だ。学生時代に不勉強だった人は、社会に出てからも、かならずむごいエゴイストだ。学問なんて、覚えると同時に忘れてしまってもいいものなんだ。けれども、全部忘れてしまっても、その勉強の訓練の底に一つかみの砂金が残っているものだ。これだ。これが貴いのだ。勉強しなければいかん。」

    1
    投稿日: 2022.10.06
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    「正義と微笑」 話が通じないという悩みの根底には 儒教だの体育会系だのいった紋切型への嫌悪がある 腹を割って互いの話を聞く姿勢を誰もが持ったならば そんな悩みはすぐに解消するだろう しかしそうはならない 理由は様々だけど、紋切型に全部はめ込まなければ 不安になってしまう人が大勢いるからだ どこに逃げてもそういう人々からは逃れられない そして、紋切型を嫌悪する自分もまた 実はそういう紋切型に人々をはめ込もうとしているわけだ それらに気づいて絶望できなければ インチキな大人になるしかないだろう じゃあ最初の悩みを解消するために何をどうすべきかといえば 結局、堕落を覚えて自らに幻滅するしかないのである そんな逆説を17歳で味わう人の日記 対米開戦の直前に発表された作品であるらしい 「パンドラの匣」 身体が弱くて兵役検査に落ちたのだと思う 肺病の悪化を周囲に隠したまま 死ぬことばかり考えている若者がいた しかし玉音放送を聞いて憑き物が落ちたのか 死ぬのをやめて療養所に入ることにした 彼は看護の女たちに囲まれながら 規則正しいモラトリアム生活を送ることになり 日ごと変わりゆく社会情勢のなか 恋と気づかぬような恋をするなどして 欧米の自由主義とは異なった日本ならではの モラトリアムな自由に目覚めていく 自堕落なのではない 個々の献身によって優しい社会を作り、守ってゆく決意だ ただしそれは死に瀕した人への優しさなのかもしれないけれど… 敗戦直後で何も決まってなかった頃の奇妙な呑気さを リアルタイムで書いた作品と言うべきだろう 「トカトントン」の主題を肯定的に書いたらこうなった、みたいな 戦争の悲惨さを思い出させるものはなにもなく そしてやっぱり結末は明るい

    2
    投稿日: 2022.08.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【正義と微笑】 多感な時期を過ごす青年の日記をモチーフにした小説。 人を見下したり、背伸びをしたかったり、でもあんまり努力はしなかったり。 そんな青年が、逃れられない現実と向き合っていく話だと思っている。 青年の兄のような、心から寄り添ってくれる味方がいたならば、人間は強く成長できるのだろう。 大切にしたい言葉はいくつかあるが、 「微笑もて正義を為せ」 「日常の生活に直接役に立たないような勉強こそ、将来、君たちの人格を完成させるのだ」 が特に良い。 【パンドラの匣】 「健康道場」という一風変わった精神論的な病院に入院している、結核患者の書簡体小説。 病室の仲間の様子や、看護師との恋模様が描かれている。 看護師である、絶世の美人の 「竹さん」 をおばさんめいて書いたり、純粋で可愛らしい看護師の 「マア坊」を不良少女のように書いたり....。 主人公の主観的な見方が、手紙を交わしている人物がお見舞いに来た時のみ、客観視して見られるのがなんか本当に面白くて面白くて..。 あとは病室のメンバーが絶妙にすき。 越後獅子が1番好きだったから、あの終わり方は満足。 「好くも好かれるも、5月の風に騒ぐ木の葉みたいなものだ。 なんの我執もない。」 が1番好き。 太宰文学に珍しい、明るく希望に満ちた青春小説だった。 太宰治は森見登美彦さんが好きだから、私も好きになりたいと思う。

    0
    投稿日: 2022.08.01
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    明治大正昭和、日本人の生活や考え方が劇的に変わった太宰治たちが生きた時代。 そんな太宰治の作品が、今生きている私にも共感できるのは、喜ばしいことなのかもしれません。 素直になりたい自分がいる。 素直になれない自分がここにいる。 でも勇気をもらえました。 明るい感じの太宰治がいい。

    0
    投稿日: 2022.05.24
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    『パンドラの匣』 著:太宰治 新潮文庫 太宰治の『正義と微笑』『パンドラの匣』の二篇を収めた文庫。 太宰作品にしては長い部類の物二つな感じ。 そして、二作とも思春期の男子が主人公で、男性版『女生徒』といった雰囲気がある。 そして太宰作品としてはこれまた珍しく(?)少しもじめじめしたところのない、爽やかさ漂う作品。 『正義と微笑』は役者を志す少年の、 『パンドラの匣』は療養所生活をする少年の成長物語。 太宰作品=暗い、すぐ死にたがる なイメージの方に是非是非読んでみてほしい、爽やか太宰治。 『正義と微笑』には、 「なぜ役に立たない勉強が必要なのか」という誰もが抱く問に対する完璧なアンサーが書かれています、割と序盤に。

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    投稿日: 2022.04.06
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    太宰治作品の中では明るめの青春(?)小説。 とても読みやすく、ページをめくる度めくる度、 楽しく読めた。 かるめの小説なのでオススメ。 正義と微笑は、少年ながらの様々な感情が感じられるようで良かった。

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    投稿日: 2022.03.01
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    パンドラの匣は太宰治がこんな話を書けるのかと初めて知った一冊。まず第一に言葉が良い。美しくて味わい深い。そして、結核治療の道場というのに内容は底抜けに明るくて脳天気で、そして生きることと性愛に必死で一生懸命な人物たちが良い。見え隠れする死よりも、今ここでの生に必死になり、一喜一憂しときに自己防衛的に自分を誤魔化したり騙したりする主人公には、可愛らしさも感じる。太宰治の暗いイメージが一気に覆される。

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    投稿日: 2022.02.19
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    『正義と微笑』がお気に入り。高校生の時に「なんで勉強なんかしなきゃいけないんだ」と、うじうじ考えていた時間に、本書に出会いたかった。でも、大人になってからの方が勉強の楽しさとか大事さが分かっているから、余計に言葉が染みる。

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    投稿日: 2021.12.12
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    「正義と微笑」は日記形式、「パンドラの匣」は書簡形式で書かれていて、著者と対話をしているような感覚で読み進められた。とても読みやすくて面白い。 なかなかに辛辣な表現もあり、くすっと笑ってしまう表現もあり、なるほどと感心する表現もある。 戦後の新しい世の中に踏み出す人々はこんな気持ちだったのかなあ、と、想像を膨らませて読むことができた。約80年前の人々の暮らしや思想、言葉遣いは今と違っていることもあれば、同じ部分もあって、なんだか面白い。 「正義と微笑」の、勉強する意義を語る場面は本当に素晴らしいと思った。また、学生時代特有の、受験や将来に対する焦燥感や、自分は何者なのかといった悩みも書き表されていて、共感した。

    2
    投稿日: 2021.08.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    太宰治作品は読まず嫌いで、今回初めて読んだのが このパンドラの匣。 友人から太宰治作品にしてはポジティブな作品だよと言われチョイスしたのだが、うーん。自○という単語が割と多かったりなぜそこそうネガティブに捉えた!?と不思議に思うところがややあったので、他の作品がよほど暗めの作風なんだと気になる笑 ただ人の感情を描写するところはやっぱりすごいし、 正義と微笑では、勉強の必要性を感じさせてくれてこれこそ人を動かす純文学なんだと感じた。 エンターテイメントの小説だけではなく、こういった学びのある純文学もこれから読んで、人生を豊かにできたらと思う。

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    投稿日: 2021.08.08
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    太宰作品では珍しく、明るいタッチの作品である「正義と微笑」「パンドラの匣」が収録されている文庫本。現代との時代の違いを感じた。 太宰作品は現代も多くの信奉者がいるが、私は若い時に太宰作品を読んだ時も気持ちが動かされるといういうことがなかった。今回読んだ2作品も昭和の初めに書かれたということだが、日記形式、書簡体形式という異色の形態をとっていることもあるだろうが、古典に近い印象である。 また、ここに登場する青年は現代からすると年齢の割に純情で無垢な感じを受ける。時代の変遷とは人の心模様をここまで変えていくのかとそのことに驚かされた。

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    投稿日: 2021.05.12
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    「囀る雲雀。流れる清水。  透明に、ただ軽快に生きて在れ!」 不幸と絶望が跋扈する匣に残る 一条の光、或いは希望の糸。 死病と闘う彼らの糸を編めば 柔らかな毛布となり心を包む。 「作者なんか、忘れられていいものだよ。」 蔓は伸びる。陽の差す方へ。 ///// 中後期の太宰作品で数少ない「希望」に満ちた小説。やっと読めた!『正義と微笑』『パンドラの匣』2作収録。 『正義と微笑』序盤の勉強論が刺さり投稿したツイート、とっても多くの人に見て、色々教えても頂きました。感謝 これを機に勉強に一歩踏み出せたり、本好きな人がもっと増えたら嬉しい!!

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    投稿日: 2021.05.01
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    読んでいて気持ちが明るくなる作品。 太宰治は人の心を書くのが上手いと感じていたが、このような青春真っ只中の若者の気持ちを描写するのにも長けていたのには驚きだった。

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    投稿日: 2021.03.16
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     「正義と微笑」(昭和17年6月)と「パンドラの匣」(昭和20 年10月〜11月)の二編が収められている。  「正義と微笑」は太宰の年少の友人の十六歳から十七歳の時の日記を下敷きにし、「パンドラの匣」は結核で亡くなった太宰のファンの闘病日記を下敷にしている。両方とも下敷はあるがフィクションも含み、太宰自身の心情を濃く反映している。そしてどちらも、十代後半から二十歳くらいの青年の心のうちの懊悩、挫折、喜び、生命力……などに満ちた青春小説である。  「正義と微笑」の主人公は、父親替わりの兄の愛情を受けながら、自分の進路について悩んだり、友人との確執に悩んだり、教師のことを批判したり、家族の愛情に感謝したりする日々を日記に書く。今日清々しく、未来が明るく見えたかと思うと、次の日には何もかも訳もなく、虚しく感じ、自殺したくなるというような、青春の心の浮き沈みを書いている。  理解あるお兄さんに背中を押され、俳優を目指す主人公。希望する劇団に入り、毎日修行の日々。初舞台がおわり、楽屋風呂に入ったとき、 「あすから毎日、と思ったら発狂しそうな、たまらぬ嫌悪を覚えた。役者は、いやだ!ほんの一瞬間の出来事であったが、のたうち回るほど苦しかった。いっそ発狂したい、と思っているうちに、その苦しみが、ふうと消えて、淋しさだけが残った。なんじら断食するとき、……あの、十六歳の春に日記の巻頭に大きく書き付けておいたキリストの言葉が、その時、鮮やかに蘇って来た。汝ら断食するとき、頭に油をぬり、顔を洗え。苦しみは誰にだってあるのだ。ああ、断食は微笑と共に行え。……」と、自分を奮い立たせる。  そうだね。社会に出始めの時、自活し始めたとき、誰もがそんな淋しい気持ちになるよね。新社会人でなくても、私だってこの主人公の倍以上の年齢だけど、新しい道に進む時には、そんな淋しい、自分がとてつもなく愚か者のような気持ちになる瞬間が一日に何度もある。そんな、一瞬の気持ちを三十代で表現した太宰さんは本当に心底真面目な人だったのだと思う。  大阪、名古屋公演を終え、二ヶ月ぶりに東京に帰り、駅に迎えに来てくれた兄さんの顔を見て、 「僕は、兄さんと、もうはっきり違った世界に住んでいることを自覚した。僕は日焼けした生活人だ。ロマンチシズムはもうないのだ。筋張った、意地悪のリアリストだ。」  こんなに清々しく、自分の成長を認められたことが私にあっただろうか。いつまでも、誤魔化して、甘えている子供であり続けたと思う。  最後の主人公の決意の言葉が好きだ。  「真面目に努力していくだけだ。これからは、単純に、正直に行動しよう。知らないことは知らないと言おう。出来ないことは出来ないと言おう。……磐の上に、小さい家を築こう。」 「パンドラの匣」は「健康道場」という風変わりな結核療養所で、迫りくる死におびえながらも、病気と闘い、明るく精一杯生きる二十歳の青年と患者(塾生と呼ばれている)同士の交流、看護婦さん(助手と呼ばれている)との恋愛感情などを描いた青春ドラマだ。学園物でもない、病院ものでもない、閉ざされた特有の空間での青春ドラマ。新聞連載だったそうで、書き進むにつれて太宰自身が虚しい気持ちになり、連載を早々に切り上げたそうなので、ストーリーはなんだか盛り上がりにかける気がしたが、ドラマ化されたら面白いかもしれないと思った。  

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    投稿日: 2021.02.21
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    「正義と微笑」との二作。R大に合格するも俳優という職業に挑戦する芹川進。「パンドラの匣」では健康道場という結核療養所で看護婦への恋愛感情に迷う小柴利助(ひばり)。二作とも人間観察力の鋭い青年が悩みながらも日々真面目に考え抜いて人として成長していく青春物語。大人経験が長くなるにつれ、適当にやり過ごし鈍感になって、いつしか失ってしまった若者の純粋な気持ちの揺れ動きが、vividに表現されていて懐かしく微笑ましい。結局、凡人の私には、何十年たっても働くことの本当の意味、愛することの本質はわからずじまいですが、それでも希望をもち続け陽が当たる方向に進むしかない、と思っております。

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    投稿日: 2021.01.04
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    太宰作品に抵抗があり(暗いでしょう・・・?) なかなか挑戦できなかった私に 「これはわりと明るいよ」と 友人がプレゼントしてくれました。 『正義と微笑』 17歳の男の子の感情の機微、 特に自分が他者よりも秀でて、 特別であると信じ、特別でありたいと願っているーー そのもがく姿に共感が持てるなあ、と。 少しのことで感情も思想も大きく変化していく一貫性の無さが 少年期から青年期へ移行する期間のゆらゆらした感じがあって 日記形式なのも相まってとてもリアルで面白かったです。 「ゆったりと、真にカルチベートされた人間になれ!」 教員を辞める黒田先生の言葉が印象的。 『パンドラの匣』 主人公目線での2人の女性の描写、 友人への書簡形式ですすんでいく物語で 最後の最後に書簡ならではの種明かしがあります。 とても純粋な、青春小説であり、恋の物語。 敗戦直後の若者は希望とは別に喪失感もあったのでしょうね。

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    投稿日: 2021.01.02
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    正義と微笑は、冒頭近くの教師の言葉はすごく好きだけど、その先の展開にはあまり惹かれなかった。パンドラの匣は、甘酸っぱい気分になったし、文章が美しいと思った。どちらも日記とか手紙とかの変わった形式で書かれていて、実験的だな。

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    投稿日: 2020.10.23
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    笑える!爽やか!戦時中の作品とは思えません。 ラストの 「私はなんにも知りません。しかし、伸びて行く方向に陽が当たるようです」 この文章が堪らなく大好きです。

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    投稿日: 2020.10.18
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    学問なんて、覚えると同時に忘れてしまってもいいものなんだ。 けれども、全部忘れてしまっても、その勉強の訓練の底に一つかみの砂金が残っているものだ。 これだ。これが貴いのだ。 勉強しなければいかん。 そうして、その学問を、生活に無理に直接に役立てようとあせってはいかん。 ゆったりと、真にカルチベートされた人間になれ! p19 人間は不幸のどん底につき落とされ、ころげ廻りながらも、いつかしら一縷の希望の糸を手さぐりで捜し当てているものだ。  〜 それはまるで植物の蔓が延びるみたいに、意識を超越した天然の向日性に似ている。 p232 この道は、どこへつづいているのか。 それは、伸びて行く植物の蔓に聞いたほうがよい。 蔓は答えるだろう。 「私はなんにも知りません。しかし、伸びて行く方向に陽が当たるようです。」 p402 またいつか読み直したい。

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    投稿日: 2020.10.06
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    演劇を目指す少年の日記と、結核と戦う若者の手紙をモチーフにした作品。 どちらも若者特有の複雑で純粋な思考がすべて言葉になって表現されているようだった。 日記、または手紙形式なので、読みやすかった。 もう一度読んだら次は違うように感じるかもしれないので、また読みたい。

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    投稿日: 2020.05.07
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    (Mixiより, 2010年) 非常に読みやすいんだけど、あまり印象に残らなかった。 大きな物語の枠組みの中で共感ポイントがあると、「おっ」と足を止めてみるけど、この作品はお話にあまり広がりがないため、割とすらすらと流してしまったかな、って感じです。「斜陽」「人間失格」のような読み応えを期待すると、楽しめないかもしれません。

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    投稿日: 2020.04.20
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    パンドラの匣: 思春期ならではの、ちょっとした出来事で感情が180度回るみたいな、くるくると変わる機微が愉しい。こんなだったなぁって感じ。そして、手紙の方式での語り方なので、完全手紙の書き手の主観で物語は進む。事実かどうかはわからない。そこもおもしろいし、わりと肝なのでは。主人公は結核を患ってるはずですけど、普通の少年と変わらないような、むしろ明るくて、読後はなんとなく前向きな気持ちになれます 正義と微笑: 主人公の芹川進の行動にたまにびっくりします。面接の挑み方とか、あぁ、入試前に読んでたら、全然、違う面接してたかも‥とか思った。芹川進は面白い人間です。進路というか、本当にやりたいこと、について考えさせられますから、ああ高校の時に読んどけばよかったなぁって後悔しました。そうしたら今私はここにいないかもなぁって思いました。

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    投稿日: 2020.04.05
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    太宰治にしては設定に関わらず不思議に明るい2作。いずれも主人公が20歳前の青年だからであろう。 ’’正義と微笑’’は芹沢進という主人公が一高に落ちてR校(立教?)に合格したものの幻滅して、姉は嫁ぎ先と実家との不仲に落ち込み(もっとも杞憂だったが)、結局は主人公はR校を辞めて当時でも明らかにアウトローな存在の役者に邁進するという、モラトリアム人間を描いた話。でも話が完結しているのと、これを戦時中に執筆したという点に満足。 ’’パンドラの匣’’はひばりという主人公が健康道場に入院している間、竹さんという看護師とマア坊という看護師をめぐっての三角関係のようなものを展開した話。終戦直後に書かれている。恋の駆け引きの際のやりとりが太宰治の女性観を表しており、時代は違えど夏目漱石の’’明暗’’に通じる。

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    投稿日: 2020.02.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    二度目の黙読。 太宰治は人間失格とか斜陽とか有名だけど、自分がおすすめしたいのはやっぱり『パンドラの匣』だなあと改めて思った。 この時代の本って、あからさまな恋愛描写とかないんですよね。 自分はそういう世界観が好きだから、よりハマってしまう。 竹さんをやたらdisるひばりくん、でも本当は…という。 この時代の、この年頃の、こういう世界の、だからこそこういう感情なんだろうなあ。 ところでこの年代、25とか26とかで年とってるとかいう表現。 うわーと思ってしまう。じわるーじわるーじわるよー 自分まだ若い気でいるんですけども! 以上。ほんのちょっぴりだけネタバレしたので、念のため。 次もまた、読んだことある本を読み返すぞー

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    投稿日: 2019.12.15
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    教科書や指定図書以外で太宰治を読むのは初めてでした。 画面の構成のおかげもあってかイメージより読みやすく、人間臭くて、楽しんで読めました。ただ文庫本の後ろに「太宰文学に珍しい明るく希望にみちた青春小説」とあって『…なるほど』と思ったり。有名タイトル、読んでみようかなぁ…。 文学に浸るとはこういう気持ちなのでしょうか。太宰、芥川はじめ、研究され、強いファンのいる作家さんの感想は己の読み込めなさが恥ずかしくて書きにくいなと思ってしまいますが、個人的なメモとしておとしておきます。 【 正義と微笑 】と【 パンドラの匣 】。個人的には前者がすきでした。 若さ故の思考の狭さ、悶々とした閉塞感、潔癖さなどの手触りをすごく感じました。あぁ、わかる。言語化したらこう。主人公は大正生まれの設定で、刊行も昭和ですが本質の感覚には時代差は感じず、どきりと核心をつくところもあって、マーカーを引きたくなりました。笑 「僕」の社会での旅は始まったばかり。おじさんになったら、どうなるのかな。しゃんと背筋の伸びた大人かな。中年版も読んでみたいきもちです。 2本目は、結核が不治の病で、隔離があって、という時代にあって、つらい状況だから毎日不幸とは限らないということに触れる作品。気分が悪い日、絶望する日がある一方で笑い転げたりしあわせなときもある。人をすきになることもある。打算的に関係を築くことだってある。それは人としては当然で、決めつけたり放棄したりしないで、当事者になっても隣人になっても、いろんなことに気づけたらなと思いました。シンプルに楽しんで読めたので、よしとします。

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    投稿日: 2019.10.24
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    2019/10/14 久々の太宰治。唐突に気になったので読んでみた。 まずは正義と微笑について。 結構いい家系生まれの男が役者を目指してその目標を叶える話。日記形式で話が進んでいくが、主人公の心の移り変わりがありありと描かれている。本当に主人公は16歳ですか?と疑いたくなるくらい聡明な文章を書く。ちょっと高校生くらいという設定はキツいんじゃないかと思うくらいしっかりしている。勉強だけじゃなくて、自分の考えを持って行動するってことがこの年からできたらすごいよなーと思う。 あと、パンドラの匣について。 この本のタイトルにもなっている話だけど、こっちは書簡(書き手にあてられた手紙)の形式で話が進んでいく。結核で療養している主人公のひばりと療養施設「健康道場」の女中さん二人、マア坊と竹さんの織りなす恋の物語。 書き方は時代が時代なので古い部分もあるけど普通に面白い。最後は世の中思い通りにはならないんだよなーやっぱり、という感じ。女中さんの存在を励みにして主人公のひばりが元気になっていく様子だったり、施設の同じ部屋のメンバーとのやりとりはユニークなものです。 このに作品共に太宰治の作品にしては珍しく明るい内容となっています。どちらのもともとあった実話に太宰治のイマジネーションや願望、人生観的なのが加わって出来た作品のようです。 人間失格や斜陽、ヴィヨンの妻のような少しダークな雰囲気とは違って明るく展望のある話ですが、それは太宰治自身がそういうのを望んでいたとも取れる、彼のまた違った内面が読み取れる小説…ってあとがきに書いてありました。 普通に読み応えありだと思います。

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    投稿日: 2019.10.14
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    正義と微笑 少年が社会へと踏み出すか否かの時期に自分の正しいと考える信念とそれが打ち返されるところ、自分の勇気の振るわないところ、その狭間で揺れ動く心が醜く、惨たらしく、美しく描画されているように感じた。 パンドラの匣 少年の異性に対する感情の想像と現実と理想との間で思い通りに動けない様や、自己否定へと入る態度などが美しく描かれていて楽しかった。

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    投稿日: 2019.09.08
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    2019.7.6 正義と微笑、パンドラの匣の2作。 どちらも青春って感じで微笑ましかった。 パンドラの匣は結核療養所での暮らしについての話だけど、病気の事はほぼ出てこず、日々の暮らしや人々との交流、恋心についての話がほとんどで、何だか毎日楽しそうに思えた。

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    投稿日: 2019.07.06
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    Sony Readerにて。 不思議な気分になる小説だなぁ。。。手紙体で進んでいく小説なんだけど、まさにこういう手紙を書いてよこしそうな友人がいるんです。どうしても彼を思い出してしまうw ラスト付近の展開は嫌いじゃない。

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    投稿日: 2019.01.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    色鮮やかな青春の苦悩と成長を美しく描いている2作品でした。 「正義と微笑」は家族、主に兄との交流についてが主で 苦悩や挫折を経験しながら俳優を目指していく姿が日記形式で描かれており、その時々のリアルな心情が其の儘に現れていて 時に卑屈に頑なになりながらも必死で歩み、希望へと進む終わり方で非常に清々しい気持ちになりました。 表題作「パンドラの匣」は書簡形式で、 療養施設に居る主人公から親友への手紙といった内容でした。 施設の様々な人との交流についてが主で、日常の報告でありドラマ感のある派手な内容ではないですが 戦争終期〜戦後にかけて生きる人々の難しい心情が色鮮やかに美しく描かれていました。 高望みせずありのままの自分を受け入れ未来を生きる道を得た時に、肩の荷が下りて酷く安心してしまうような表現は 道化精神を貫いた太宰治自身、本当はこのような生き方がしたかったのではないか、と感じました。 読み進めるうちにひばりが愛おしくて堪らなく、太宰が託した希望の世界をひばりが歩んでいることを切に願いました。

    1
    投稿日: 2018.08.14
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    「太宰らしさ」といえば、退廃的で自堕落などのイメージが浮かぶと思いますが、それらを払拭するかのような中篇を2作所収しています。 特に表題作は、パンドラの匣に最後に残されていたといわれる希望を、結核患者に残された生への希望と重ね合わせているという点で、作風を転換しようとする作者の意気込みが伝わってきます。 しかし、読み手の自分が狭量なのか、どちらの作品にも感じ入ることができず・・・どうしても作者の従来の作風を求めながら読んでいました。 皮肉的ですが、読んでよかったと思えるのが、解説です。その最後に書いてあるように、太宰は表題作を意気込んで書き始めたようですが、次第に頓挫して、ついには構想していた長さよりも早く切り上げてしまったそうです。 そして、この顛末こそが、「太宰らしさ」として、自分には最もしっくりくるのでした。

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    投稿日: 2018.07.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    今日6月19日が桜桃忌だと気付き、急遽太宰の作品を読む。 戦後間もない時代、結核療養所「健康道場」を舞台に書簡形式で生き生きと綴られた物語。 主人公の二十歳の男性「ひばり」と、互いに渾名で呼び合う仲間達や看護婦達との日々のやり取りは実に微笑ましい。 特にひばりの恋にはキュンとなった。 時代の違いを全く感じさせない。 愛しい女性からの「かんにんね」の囁きに対し「ひどいやつや」とそっと呟くひばり。 互いのままならない、想いの込められた短いやり取りが切ない。 彼の歩む道はきっと陽の当たる方へ伸びて行くはず! 希望に満ちた物語。

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    投稿日: 2018.02.12
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    特に「正義と微笑」が良い。 これは私のことだと錯覚させるような、代弁してくれているような、主人公の内面の描写。 「僕は説教は、いやだ」からのくだりなんかもう、最高。

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    投稿日: 2017.12.23
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    両方とも面白かった。 太宰治には珍しく青春もの。 こうゆう文体(?)も切り開いた方なんだとまた尊敬。明るい作品と言われているけど、その中でも表現されてる苦しみはリアルで響くものがある。

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    投稿日: 2017.01.15
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    ”正義と微笑”のみ読了。 やはり太宰治は文章で読者に共感させる能力に長けている。この人の物語は幾ら年月が経過しても読みやすく残っていくことだろうと思った。

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    投稿日: 2017.01.03
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    「正義と微笑」 青春期の清潔で純粋で高飛車な、フワフワとした理想家が、地に足をつけ現実の目標へと向かい始める、鮮やかな成長が嬉しかった。 30代、青春を思い出しながら読んだが、10代に読んでいたらきっと違った感想を抱いていたと思うと、出会う時期の遅かったことに少し後悔。 「パンドラの匣」 パンドラの匣の隅に残っていた希望の種が、主人公ひばりにとって何なのかを探しながら読んだ。 この時代、結核という病気は人を絶望させるに十分だったと思うが、戦後直後特有の命への執着の軽さや、だからこそどう生きるかという命題に向かっていく青年の純粋な葛藤は、今を生きる私たちにも投げかけてくるものがある。 希望の種は、高潔な理想などではなく、心に秘めた清潔な恋心を指していたのか。 恋こそ、明日を生きようとする 、生きてるからこその心の動きとも読めた。

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    投稿日: 2016.12.23
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    まだ世間を知らない青春時代の微妙な心の動き、感動を細部までまる裸にされる、そんな爽快感を得られるからなのだろう。中高生に勧めたい。2016.10.1

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    投稿日: 2016.10.01
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    昨年の読書会の課題本。「正義と微笑」と表題作の中篇二本収録。どちらも、いかにも太宰治らしいブラックユーモアの多い青春モノという感じだ。太宰治というと、鬱々としたイメージ強い人も多いだろうが、これらについてはそういう色彩はあまりない。文体も現代的な話し言葉で読みやすい。

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    投稿日: 2016.06.28
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    太宰にはめずらしく、前向きな明るさに満ちた「正義と微笑」「パンドラの匣」の長編二本収録。さわやか青春度では太宰作品中ピカイチではなかろうか。「正義と微笑」では役者志望の青年がどんどん大人になってゆく姿が活写されている。一種の教養小説とも言える。「チョッピリ叔母さん」という表現がツボった。表題作より私はこちらが好きだ。「パンドラの匣」は健康道場という風変わりな結核療養施設で暮らす少年が主人公。恋の鞘当てとどんでん返しなんかもあったりして甘酸っぱいが主人公の明日をも知れぬ命を考えるとき一抹の切なさを感じる。

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    投稿日: 2016.05.21
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    他の作品群とは全く違う印象。というか、太宰っぽさがなくて、「誰の本だっけ」と確認してしまった。 それだけ前向きだったってことかもしれない。

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    投稿日: 2016.03.12
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    前半は花瓶のなかで頭をもたげる花のごとく、暗い話かとおもった。敬語をうまく織り交ぜた言葉回しが美しい。詩的な文章。 人間に絶望はありえない、絶望には必ず一端の希望がつきまとうから。 太宰作品の中で初めて希望を見た。 学園ドラマのような、ポップな作品。 太宰作品がすきなのは、女に対する評価が的確に共感できるところ。 ほんとうはたけさんがすきなくせに忘れたいが為に嫌いになるために嫌な言葉をはいた部分にも共感。

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    投稿日: 2016.03.08
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    「正義と微笑」が面白かった。セリフの後に心情を書くのが、面白い。参考にしたい。パンドラの匣が、なんだか壮大なものに見えてくる最後の解説であった。

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    投稿日: 2016.01.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    私が男だったなら、身悶えするほどに赤裸々な中二的、と思ったのかも。 若干引いて、生温い目線で読んでしまいましたが。 かといって、登場する女性陣の目線に共感するわけでもないんですけどね。 こんな希望に満ちた本を書いていても、自殺を繰り返して最終的に成功しちゃったっていうのがなんともなー。 太宰作品は今までメロスを教科書で読んだくらいだったんだけど、今頃ちょっと手を出してみようかと思ったのですよ。 同じく教科書に出てた夏目漱石は概ね揃えて読破するぐらいにはまったので、こちらはほんと遅蒔きながらです。 まぁぼちぼち読んでみましょう。 ちなみに女の私が読んで身悶えしたのは「ひなのころ (中公文庫)/粕谷知世」。 うひーってなったねあれは。まさにこっぱずかしい反抗期を赤裸々に!的な(笑。

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    投稿日: 2015.08.20
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    本来暗くなりがちの病棟話のような気もするのにそこにいる患者さんと看護師さんの青春が生き生きと主人公の友人への手紙と言う形で物語が進んでいく。読後感がスックリとする作品でした。

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    投稿日: 2015.08.02
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    今度甲府に行くので、ひっさしぶりに太宰読み返した~。 ああ、やっぱり私は永遠の中二病なのかすら・・・太宰はやっぱりイイ。 しみじみ優しい。その優しさが染み渡る。読んでて、そりゃモテるわ!!とひしひしと感じる。女性に対する目線も優しいんだもんなー。 とりあえず、私の中で、「ひとが描けている!」みたいに思う二台巨頭はやっぱ太宰とトルストイだなー。

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    投稿日: 2015.04.11
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    かっぽれさんの天然っぷりが素敵でした。ひばりのツッコミもなかなか。孔雀のあだ名を「孔雀が地味になったんだから一字取って雀にしよう」という案は機知に富んでていい。「亀は意外と速く泳ぐ」の主人公の少女二人の名前が孔雀と雀なのは、ここから来てるのかな?

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    投稿日: 2014.12.07
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    「正義と微笑」との2編である。どちらも青春小説で、暗いところがなく好きだ。特に、「パンドラの匣」は、友人との書簡形式文章であるが、好きなのになんとも思わない振りをし続ける青年をいやらしくもなく書かれている。最後に素敵な文章が書かれている。

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    投稿日: 2014.10.23
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    【本の内容】 ホントは明るい太宰治。 二十歳の青年の恋心と純情をユーモラスに描いた傑作青春小説。 「健康道場」という風変りな結核療養所で、迫り来る死におびえながらも、病気と闘い明るくせいいっぱい生きる少年と、彼を囲む善意の人々との交歓を、書簡形式を用いて描いた表題作。 社会への門出に当って揺れ動く中学生の内面を、日記形式で巧みに表現した「正義と微笑」。 いずれも、著者の年少の友の、実際の日記を素材とした作品で、太宰文学に珍しい明るく希望にみちた青春小説。 [ 目次 ] [ POP ] 暗いイメージを持つ方も多い太宰治ですが、この「パンドラの匣」はそんなイメージを覆す、明るい作品です。 結核を患いながらも明るく生きようとする青年が健康道場という療養所で過ごす日々を書簡形式で描いています。 思春期真っ只中の主人公のモヤモヤとした表現にはなんとなく昔を思い出し、こそばゆくなります。 [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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    投稿日: 2014.09.02
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    太宰治の作品にしては凄いポップな感じの作品です。自分は単純に太宰治は女性が本当に好きなんだなと感じた。いいも悪いもあれだけ深く観ているのは特定の人が好きなのではなく女性が好きなんだなと。 この作品に関しては共感することも多く太宰治作品の中で1番楽に読めました。 映画版も鑑賞したがこちらもいい出来でした。

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    投稿日: 2014.05.01
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    再読。太宰治と言えば暗いイメージですが、この作品は珍しく明るいです。 「正義と微笑」が日記形式で「パンドラの匣」が書簡形式という珍しい形。軽いタッチなので読みやすいです。 若いときならではの葛藤とか、期待していたのに外れたりとかがよくわかります。 「パンドラの匣」で主人公がマア坊に好き好き言ってたのに、次ではあっさり翻したりとかして面白いです。照れくさくなって否定する今の私たちみたいに見えました。 どちらも最後は爽やかに終わっていて、こっちも爽やかな気分になりました

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    投稿日: 2014.03.10
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    正義と微笑 16歳の少年が迷える将来を手記の形式にして独白。 躁鬱とも言えるような気分の高まりと次の日に迎える憂鬱の極み、どことなく自分の今に似ている。 パンドラの匣 結核患者と看護士のその療養所「健康道場」でのやりとり。 太宰治の中でも比較的明るい青春讃歌。

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    投稿日: 2014.03.06
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    パンドラの匣は映画が先だったので、 想像がみんな映画の人たちだった。 けど、映画と同じようにおもしろかった。 もうヒトツ入ってる正義と微笑おもしろかった。 希望に満ちたり、落ちたり、ふてくされたり 笑ったり。 真面目に努力していくだけさ。

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    投稿日: 2014.01.26
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    「パンドラの匣/太宰治」人間失格より全然好きなのは、青春好きだからでしょうか。いちいち吹きそうになる文章の面白さ。全然古くないってか新しく感じるってすげー。主人公のダメさ可愛いすぎる。表題作が好き

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    投稿日: 2014.01.24
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    笑いながら泣くような、そんな短編。2話とも読後にすがすがしい思いでいっぱいになる。この、太宰の短編集はもう何度も読み返したが、読むたびに少しだけ前向きになれそうな気分にしてくれる。大好き。大切な一冊。

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    投稿日: 2014.01.19
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    根拠もなく自分は特別なんだと思い込んでいて、 そのくせちょっとした事で傷つきやすくて、 自分にもこんな気持ちがあったなと、読んでいてうわぁーってなる。 「パンドラの匣」と「正義と微笑」のどちらの主人公も 青春のぐるぐるした感情に振り回されていてかわいらしい。 手紙や日記形式の小説は盗み読んでるような感覚になるからか 妙に惹き付けられるものがある。

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    投稿日: 2013.12.08
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    表題の「パンドラの匣」の他に「正義と微笑」が収録されている。 「パンドラ」は大学生の頃に読んだのだと思うが、「正義と…」のほうは読んだ記憶がない。おそらく、途中で断念したのだろう。 断念した(と思しき)あの頃から10年ほど経った今、再チャレンジしてみたわけだが、率直な感想は「青春とはこんなにも独善で恥ずかしいものなのか」。 「パンドラ」も含めて、両作品は太宰の中でも青春文学に位置付けられるらしい。ふーん(・_・; で、「正義と微笑」。主人公の斜に構えた感じ。もうこれがたまらない。たまらない、というのは、たまらなく良くない。 何がたまらなく良くないかって、あたかも昔の自分を見ているかのようだからだ。 途中で何度読み進める手を止めようと思ったことか。 しかし、過去から逃げてはいけない、その義務感というか強迫観念と闘いながらなんとか読了…。 あー、青春って恥ずかしい……。

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    投稿日: 2013.12.08
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    他人の日記からこれだけ面白い(読ませる)ものが書けるのを羨ましいと思った十四歳の秋。青い思い出。書かれている考えよりも文章のリズムがとにかく好きで読んでいた。誇張とさりげなく書いている箇所とのバランスの良さが好き。

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    投稿日: 2013.10.25
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    この作品を執筆していた太宰には、まだ理想、未来を見ていたというのがわかる。「正義と微笑」の主人公の心境は現代の若者にも通じるし、エールだ。「パンドラの匣」は恋愛小説とも青春小説ともとれる。病気になって明日をもしれぬ体でも、蔓は太陽に向かって伸び続ける。

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    投稿日: 2013.09.02
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    表題作の他に「正義と微笑」を収録。 どちらも他人の日記を参考に書かれた若者のお話です。 男の子の青春って、なんだか微笑ましいなぁ…と太郎姉ちゃんが言っていました。 女の子より素直な感じだよね(笑)

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    投稿日: 2013.08.03
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    何孤高ぶっとんねん。何気取っとんねん。お前何様のつもりやねん。弱者の単なる独善やんけ!!恰好つけんな。 そんな感じで、拝読中ずっと苛々しとった。あれ?俺には太宰合わんのか?『ヴィヨンの妻』も苛々させられたし。『人間失格』と『斜陽』は面白く読めたんやけど。(^^)? 太宰から言わせれば俺も「ケチくさい人間」なんやろうな。 以上の怒りは太宰にむけたものというより、現在の自分にむけたものでもあるらしい。 2013.6.2

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    投稿日: 2013.06.02
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    1話目「正義と微笑」は 太宰治節なのに太宰治じゃないみたい なにこのとんとん拍子のサクセスストーリー 許せーん 読みながら「そろそろ奈落の底に落ちていくんでしょ?」と 期待に胸をふくらませていたのにっ 2話目「パンドラの函」も 死の病に冒されているのに 延々と女性批評を繰り返す主人公に 血は?!血は吐かんのですか?!と 肩をつかんで前後にゆさぶってやりたい気分 なんにしても太宰治だし 太宰治のユーモアな部分全開なので 割と太宰治好きな自分は楽しめました ちょっと時間かかったけど 変な期待に振り回されて楽しかったので 星は3つ

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    投稿日: 2013.04.17
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    あかるくなる。強くなれる。 太宰治はわたしたちにいろいろな感情をくれるけれど、睫毛についたほこりの光みたいな、電車の窓から入ってくる正午の太陽の光みたいな、きらきらした中期の作品からもらえるものはとても多すぎる。 世間的には後ろ向きの代表のような存在だけれど、この一冊は春の嵐のようにやさしく生暖かく、けれども確実に背中を押してくれる一冊だ。

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    投稿日: 2013.03.22
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    内容とは違う部分で衝撃を受けました なんていうか、暗い雰囲気になります そして、読み続けるのが大変だった!

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    投稿日: 2013.03.06
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    人間失格は少し暗かったけど、こっちは割りと明るくて楽しかった! どんでん返しも良かったし、戦後の人々の思い?も知ることができた。

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    投稿日: 2013.01.18
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    日常のささいなことに対する感受性、 行ったり来たり揺れる心がうまく描かれていて、 ああこういうことあったなぁ、いや、今もあるな、 つまりひょっとして、俺はまだ青春なのではなかろうかと 明るい気持ちにしてくれた一冊。 奢ることなく、毎日の小さい事に幸せを見いだす。 正義と微笑では、兄弟の関係が、なんかいいなぁと思った。 何も言わなくてもわかってくれる兄貴。 パンドラの匣では、男女の友情みたいなものが、いいなぁと思った。 「人間には、はじめから理想なんて、ないんだ。あってもそれは、日常生活に即した理想だ。」 「これからは、単純に、正直に行動しよう。知らない事は、知らないと言おう。出来ない事は、出来ないと言おう。」 「がんばれよ。」と呼びかけられたら、その好意に感奮して、大声で、「ようしきた!」と答えなければならぬ。 科学も哲学も、キリスト信仰が基盤。(仮説を信じる気持ち)

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    投稿日: 2012.12.25