
総合評価
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powered by ブクログ崇の饒舌っぷりに何度も気を失いかけたけど、読破。文学的な描写がなんともすばらしく感じる反面、行間を読む隙間が1ミリもないような、みっちりしてた。 平野さんが書く程度の低い人間は、みんな小学生みたいだった。
2投稿日: 2026.01.18
powered by ブクログ非常に陰惨。殺人描写だけではなくて、犯罪被害者や加害者家族を取り巻く状況が全てグロテスクに感じた。 著者は本当に現代の日本社会のありようを、ものすごくシビアにみていて、その通りに写し込んである。 読むのが辛くなるような展開なうえに救いがない。 崇を誰も救えない、その状況がまた居た堪れない。 特にリアルに感じたのは、義理の妹の態度だ。 自分の言葉によって崇を冤罪一歩手前に追い込んだのにも関わらず、自責の念はあまり感じられない。 他に犯人が見つかっても、心の中ではまだどこかで疑っているようで、子どもが抱き抱えられたとき、明らかに触ってほしくない、と思っているように描写されていた。 一度疑われてしまうと、その汚点は、消しても消しても薄い染みが残り、みんなその目で見る。 本人に咎がなくても、一度汚物として扱われたら、元のようにはけして扱ってくれない。現実社会もきっとそうだし、似たようなことはあらゆることで起こっている。本当にゾッとした。
0投稿日: 2025.11.03
powered by ブクログ下巻も変わらず哲学的な文章が続き凡人の私には難しい部分もあったが、平野氏の「分人主義」にふれて理解が深まった気がする。 「分人」は、対人関係ごと、環境ごとに分化した、異なる人格のこと。 中心に一つだけ「本当の自分」を認めるのではなく、それら複数の人格すべてを「本当の自分」だと捉える。 (https://dividualism.k-hirano.com) 崇も良介も、周りに「本当の自分は1つだけ」と思われていることに悩み、苦痛に感じているのではと思った。 かくいう私も、家族は本当の自分を見せてくれている…と思ってしまい(そう思いたいだけなのかも)、疑ったり不安になったり。 佳枝の義兄に対する最初と途中からのイメージが全く違うことにも表れている気がする。 崇に至っては、読み手としても「いや、やっぱりラスボスでは?」と思わせてしまう。 特に、最後の黒いバック。 「護は見覚えがあるような気がした」と記述があるだけで崇が何か仕込んでいるのでは?とハラハラしてしまう。 あの結末は、(読者自身も含め)何をしてもそう思われることに耐えかねられなかったのだろうなぁ。分人を理解してもらえない苦しみからの行動だと思った。 あらすじ 戦慄のバラバラ殺人──悲劇はネットとマスコミ経由で人々に拡散し、一転兄の崇を被疑者にする。追い詰められる崇。そして、同時多発テロの爆音が東京を覆うなか、「悪魔」がその姿を現した! 2000年代日本の罪と赦しを問う、平野文学の集大成。芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。
1投稿日: 2025.08.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最後まで読者をぞくぞくさせる感じ。登場人物の些細な仕草や言葉遣い。 最後に崇が持ってきた黒いバッグ、後で改めて中身見たのかな。怖すぎる。
0投稿日: 2025.08.01
powered by ブクログ「分人主義」誕生前夜の人間の心の揺れと、その結果=決壊を見事に描いた作品。刊行後に秋葉原事件が起こり、作中で描かれる情景が現実社会を先取りしていたことに、改めて驚かされる。個人の孤立や世界との断絶を救う「分人」。その確立後の作品群と比較しても、この物語の結末が描く世界はとても重要であり、ぜひこの作品しか知らない人にはこの後の作品から、分人によって人は新たな関係を築き、再生していける可能性を体験してほしい。 フィクションの中で「それ」を体験できる日常が、どれほど幸せなことか。数年前に「たまたま」この本に出会い、読書が好きになった。その後の本との出会いが、新たな人間関係や分人形成に繋がり、まさに人生を変えてくれた一冊となった。 再読するたびに新たな発見があるレイヤー構造が、この頃からすでに仕込まれており、『本心』に至るまでに深化する分人主義と最新作『富士山』で描くセレンディピティ、それらはこの作品で描かれたpermanent fatal errors=修復不可能な崩壊と実は深く響き合っており、一貫したテーマで進化し続ける平野作品に改めて衝撃を受けた。今後刊行される長編小説ではどんな「これから」の世界が描かれるのか、今から楽しみでならない。そして、いつかノーベル文学賞作家となるのでは?と本気で思う。
0投稿日: 2025.04.27
powered by ブクログ長編だけどドンドン引き込まれてしまった。 平野ワールド、報われない思い、バッドエンド、分人、破壊、決壊 崇がいたたまれない
0投稿日: 2025.03.23
powered by ブクログ前編あわせて久しぶりの長編小説。 ラストに行くにつれ不気味な展開になっていき、鳥肌がたつような寒気がした。 それでもやっぱり、どっぷり小説にハマるのは楽しい。 平野啓一郎の小説は、「マチネの終わり」のように文章の綺麗さ、読みごたえが好きだが、この小説はどちらかというと小難しい言い回しが多く、理解が難しいところもあった。 でもやはり、色々考えさせられる。 信じるというのは難しい。
0投稿日: 2024.11.03
powered by ブクログ多分誰しもが何かしらこの世界へのフェイタルエラーを抱えているのだと思う。それを日々の雑事に紛らわせ焦点が合わない世界で生きていくしかないような……そんな苦痛を感じたこともあったな…。 ただいまは自分の限界というものを自ずと線引きすることができるようになり、そのおかげて生ぬるい日々を送っている。でもそれでいいのではないかと最近は思うよ。結局先鋭化した思考の先にあるものは決壊しかないのだと思う。
0投稿日: 2024.06.21
powered by ブクログ平野氏の作品は本当によく考えられ練られている。 上巻では止まらなくなる。一体何が起こっているのか?犯人は誰なのか想像せざるを得ない。 下巻では謎解きが少しずつ。様々なこれまでの言葉の仕掛けが明かされていく。 自分的にはあまり殺人というテーマは好きではないのだが、読んでしまった。うーん。
0投稿日: 2024.05.25
powered by ブクログ一犯罪を取り巻く人々の悲哀がよく書かれている作品。崇を待ち受ける運命はただひたすら暗鬱であるが,それだけに共感をする人も多いのだろう。 ただ各出来事がダイジェスト的にまとめられており,もっとやってくれれば面白いところなのに……という場面が多かった。オチは無難にまとめられているが,そこで問題提起が終わってしまうのはもったいなく思う。 著者の哲学講義は確かに魅力的ではあるが,華麗な修辞による重厚感の演出かもしれず,神学などの学問から注意深く批判する必要がある。
0投稿日: 2024.04.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
感想 非常に内面的に切り込んだ作品。言い回しや文学的な表現が多いため、分からない部分もあるが、この作品を通して色々考えさせられることは間違いない。最後に何かどんでん返しがあるかと思ったが、救いようのないまま終わった。 残された家族の苦しみなど色々考えてしまう。被害者家族も加害者家族も生きていくのが辛い。 サイコパスはどうしても発生してしまうので一概に社会や家族のせいのするのは違うような気がする。 マスコミの過剰な煽りや一部の騒ぎ立てる人に社会が合わせていくと社会が成り立たなくなるし、みんなウンザリする。昨今の社会はそのような気配を多分に感じる。 あらすじ バラバラ事件以降、模倣犯による犯行が相次ぎ、世の中は混乱を極める。そんな中、警察は兄の崇が怪しいとして逮捕勾留するが、自供を引き出せない。 そうこうする間に北崎が、同級生の女の子を殺害したとして、警察に自首し、京都での良介の殺害への関与も仄めかす。崇は勾留期間が過ぎたことで釈放となる。 事件は、お台場での中継中に再び起こる。北崎と共犯と思われる男が生放送中に自爆テロを起こして多大な被害をもたらす。 主犯は篠崎と北崎だったが、兄の崇への疑いは晴れない。父親が鬱で自殺し、母親も精神を壊していた。最後は兄の崇までも精神を病み、電車に飛び込んで自殺する。
9投稿日: 2024.03.04
powered by ブクログ感想を書くのが難しい、多面的な視点と展開。途中の緊張感は圧巻で、そのあとには緩和があり、そこそこの精神的負担があるが、読み進めないわけにはいかなかった、といった読了直後の感想。
10投稿日: 2024.01.27
powered by ブクログ重いわ。 すごい筆力だけど、なにしろ重い読後感。 「決壊」というワードは、ダムを連想させる。 思えば、崇のダムははじめから満水だった。 それでも、なんとか騙し騙し、運用上の工夫で決壊せずに踏ん張ってきた。 そこへ、既に決壊してしまった者の濁流が、周囲のダムの決壊を誘発し、流量を増した急流となって流れ込んできた。 崇のダムはそれでも持ち堪えた。そして、流域の住民を避難させ、安全を確認した後、決壊した。ダムはもう、カラだ。 僕らはダムを決壊させてはならないルールの中で社会性を保っている。そのルールに縛られているからこそ、決壊への、破壊への欲望が頭をかすめることがある。それにどう立ち向かうか。 「国民の知る権利」「説明責任」というマジックワードを無思慮に振りかざして知性の代わりに暴力を手にしたマスメディアの挙動。 何かといえば「抜本的な改革」と言って歴史を無視した思考の浅い政策を繰り返す政府。 およそ大人の振る舞いとは思えない挙動を通じて、子供たちはどのような知的成熟を得られるというのか。 悪魔の語る言葉と、崇たちエリート同士の会話は、どちらも読者にとって意味不明で支離滅裂に映る。京大出身の作者は、頭脳の優劣や精神疾患の有無によって、語られる言葉の是非に差はないと言っているように思う。 では、何を信じれば良いのか。 その迷いを決壊させてはいけない。 安易な答えに飛び付かず、迷い続ける覚悟を持て。 それをかつて、先達は「節度」と呼んだのではないか。
3投稿日: 2023.12.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
⚫︎受け取ったメッセージ 信じることの難しさ ⚫︎あらすじ(本概要より転載) 戦慄のバラバラ殺人──汚れた言葉とともに全国で発見される沢野良介の四肢に、生きる者たちはあらゆる感情を奪われ立ちすくむ。悲劇はネットとマスコミ経由で人々に拡散し、一転兄の崇を被疑者にする。追い詰められる崇。そして、同時多発テロの爆音が東京を覆うなか、「悪魔」がその姿を現した! 2000年代日本の罪と赦しを問う、平野文学の集大成。芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。 ⚫︎感想(ネタバレ) 一度疑い始めると、とめどなく押し寄せる不信感。 宗の完璧さは高知能は、平均的な平凡を生きるには、解像度が高すぎて難しいのだろう。それゆえに宗は誰も信じられないのだろうか、、、人を信じることの難しさと折り合いの付け方について考える一冊。
4投稿日: 2023.11.19
powered by ブクログ言葉を重ねると悪魔はどんどん人間臭くなっていったなという印象。結局、最後までどのキャラクターも好きにはなれなかったし、物語の終わり方もモヤッとするものだった。それでも、「あー、こういう正義を振りかざす奴いるよな」とか「こういう境遇なら、こうなっちゃうかもな」とか、感じることは多かった。特に、「なぜ人を殺してはダメなのか」という討論会の内容は興味深かった。ある程度、共通の価値観(認識)を持たなければ、『なぜ?』に回答を示すことは難しい。悪魔の紡ぐ言葉がどうしても自己満足にしか聞こえないのは、私と悪魔の間の価値観(認識)が乖離しすぎているからだと思う。だから、悪魔が発する言葉は自己を満たすだけの、人間臭いものに聞こえてしまう。
0投稿日: 2023.04.30
powered by ブクログ面白くて…というわけではなく、先を読まざるを得ない様な感じで、結局一気読み(^◇^;) 難しいし、よくわからなくて読み飛ばした部分もあるんだけど、妙に共感しちゃう部分もあったり。 あー、芥川賞作家らしいわー、文学だわー、ところでいつ殺されるん?と思いながら読んでたんだけど、いやー、重くて、重くて…。 結末もね、衝撃的でしたわ、確かに。救いが無くて、ドーンと気分が沈んだわのさ…。 まぁ、いろいろ考えさせられる、ってのはあって、普段ボーッと生きてる私でも、たまにはね、という感じで良かったといえば良かったけど、あんまり読みたい作家さんではないな、うん。
1投稿日: 2023.03.27
powered by ブクログ平野啓一郎二作目。 どのカテゴリーにもカテゴライズされない作品を描く人だなと思った。 作品については感想が思いつかない。
1投稿日: 2023.01.17
powered by ブクログミステリー的要素があり内容も凄惨。個人的にはあまり好きではないジャンル。ただし平野啓一郎だけあってただのミステリーにはない深さがある。重く残る小説だが評価が難しい。ただ子供には読ませたくない。
2投稿日: 2022.09.17
powered by ブクログ平野先生の小説は初めて。 上巻もですが、下巻も難しかった。眉間にシワが寄ってたそうです。 登場人物の言葉も考え方も深い。 私自身のバカさ加減に嫌になる。 わかんない言葉が多くて、何回もググる。 没頭して読めたけど、二度と読みたくない。
1投稿日: 2021.07.12
powered by ブクログネット社会、少年犯罪、犯罪被害者、マスコミ報道、罪、病と責任、取り調べ、子との関わり、格差…… 衝撃的な事件をもとに現代が直面する様々な問題を炙り出す。 赦しは赦す側のためにある 共感でつながる現代人 読み進めていくにつれ、自分の心の闇に触れ、それを決して否定できないことに、また恐ろしさを感じる。
1投稿日: 2020.09.27
powered by ブクログ他人のことを本当に知るというのは難しい。そもそも本当に知ることなど出来るのか。本当に知るとは何なのか? そういうことを考えさせられる。 平野さんの分人という考え方が随所に出てきて、深掘りさせる。 すべては分からないけど、信じるということ。これを何度か伝えたかったのかな。 信じることで相手を救うこともできる。 p.202ページ辺り 信じることは、事実がどうとか関係ない。結果ではない。間違っていたとしてもいい。それが問題ではない。 よって、信じること=事実を信頼するではなく、その人を受容するということ。 読んでいく中で崇を信じきれない自分がいることにも気付かされる。 自分も群衆と一緒なのか。物語の中に自然と引き込まれる。 ただ、読みながらなかなかこたえる内容でもあり、重たかった。 本当に疲れる一歩前に読む方がいい一冊。
5投稿日: 2020.09.11
powered by ブクログ怒涛の展開で、下巻は息もつかせぬ感じだったような気もします。ドミノ倒しのように、悪意とそれに関わった警察・マスコミ・人がさらに人を壊していくということに圧倒されました。
1投稿日: 2020.09.04
powered by ブクログ全く救いがなくて、結末はまさに決壊。 心理描写やセリフの中身が深く、 1度読んだだけでは掴みきれなかった。
1投稿日: 2020.07.29
powered by ブクログ細かい描写にリアリティがありすぎるがゆえに逆に小説的だったり、おもしろくてどんどん読み進んでしまったのにもう二度と読みたいと思えなかったり、背反する二つの印象を同時に抱く妙な小説。
0投稿日: 2020.05.31
powered by ブクログ初、平野作品。長編の上下巻で圧倒的な読み応え。 ストーリー展開よりも人間の思想、行動に重点が置かれ、純文学的な描写が難しいが今まで読んだことのないようなもので新鮮だった。夢に出てくるだろうな…と思ったら本当にでてきて恐ろしかった。 登場人物が次々と壊れていく。 読んでよかったけど、読まなければ良かったとも思えた。 読むのに体力がいります。晴れた日の、日中に読むことをオススメします。
1投稿日: 2020.05.29
powered by ブクログ決壊。 社会全体のことなのか、沢野家のことなのか、崇なことなのか、、、全て含むのか。 すごく考えることと、感じることを絶え間なくさせられる本で、そして終わりも、途中から予想はつくものの救いがなく、一言「疲れた」。 私は、どうも哲学的なことを、論理的に(?)的確に(?)言語化することが苦手なので、読後に改めて皆さんのレビューを拝見して、自分が感じたことが、整理出来たような状況で。なので、分人と言う平野さんの考え方とか、赦すと言うことについてとか、その辺りはここには書かない(書けない(笑))が。 ネット社会の孕む怖さ・危険性とか、警察の捜査のあり方とか、死刑制度の是非とか、現代の多くの問題を描きつつも、それらを表面的になぞり提議していると言うよりも、結局、人の内なる部分の描写にこそ引き込まれていく、平野さんらしい作品だと感じた。
2投稿日: 2020.03.20
powered by ブクログ止まらない殺人の連鎖に、東京を襲うテロの嵐。〝決して赦されない罪〟を通じて現代人の孤独な生を見つめる大作の衝撃的結末。 悪魔の煽動する『離脱』の解釈が作品のテーマなのか。思想や宗教、哲学などで古今東西説かれるが、私たち一人ひとりも人生観として持っている。文学者として困難なテーマに取り組んだ作者に感服するが、私にはほとんど理解できなかった。
0投稿日: 2020.01.05
powered by ブクログひたすらハード。ほとんどの登場人物が砂像のようにジワジワ壊れてゆくその先に希望はない。 主人公の崇の言ってることが難しくて理解できず字面だけ追った頁もあった。なんだか頭が冷静になってしまい「作者が考えてることを言わせてるだけ」じゃないかと思ったり… 読みごたえはある。随所に見られる純文学的表現はさすが。共感できるリアリティ。不気味なまでのリアリティ。 凄い作品だけど読後感は重い。
0投稿日: 2019.11.23
powered by ブクログ主な感想は上巻に書きました。 いろいろな終わらせ方の可能性があったと思うが、著者があれを選んだ理由についてはじっくり考えてみたい。
0投稿日: 2018.12.24
powered by ブクログ京都で崇と会ったあと、良介は猟奇的な殺人事件に巻き込まれてしまいます。さらに警察は、良介とのあいだに心理的な確執のあった崇が犯人ではないかと疑いをいだくことになります。警察の取り調べとマスコミの報道に加えて、家族や親しい人びととの関係が激しく揺さぶられた崇は、理知的な振る舞いによって接点を結んでいた現実との関係にヒビが生まれ、追いつめられます。 その後、友哉が安由実を殺害する事件によって、崇への疑いは晴れますが、事件は「悪魔」による無差別テロへにつながっていくことになります。 上巻とは打って変わってスピーディな物語の展開になり、一気に読んでしまいました。ただ、現代の社会のあり方のほうに焦点が絞られて、上巻で準備されたさまざまな展開の可能性が多少狭められてしまったような印象もあります。とはいえ、これも現実と物語が距離をうしなって接合してしまう問題に、小説のほうからアプローチを仕掛ける試みとして受け取るべきなのかもしれません。
0投稿日: 2018.11.12
powered by ブクログ非常に重い内容.赦すとは何か?強く考えさせれれる.この小説で提示している問題は,答えがでる事柄ではないと認識しつつ,自分なりに逃げずに考えると言うことが大事.著者はほぼ同い年.
0投稿日: 2018.10.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
豊富な表現と筆力に引き込まれ、上下巻一気に読んでしまいました。読後は徒労感と悲しみが心を蝕ばみます。重くのしかかる小説です。 名も無い他人の底知れない悪意に恐怖しました。カフェで読み終えましたが、読後周りにいる他人を無性に怖く感じました。冷淡な社会に対して、信頼感をもてずにいる自分と、自分も他人から見ればその冷淡な社会そのものであるという事実に震えます。良介の最後の叫びには涙が止まりませんでした。 「空白を満たしなさい」「マチネの終わりに」に続いて読んだ平野啓一郎さんの作品でしたが、分人主義の鱗片がこの作品からも読み取れました。自分が知っていると思っている人が本当はどんな人間なのか、それは誰にもその人自身にも分からない。その決して埋められない距離に悲しさと救いの両方がないまぜになった感情をおぼえます。
2投稿日: 2018.03.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
深い心の闇。暗く渦巻く謎。 未成年者の犯罪。ネットを介した脅威。警察の横暴。 現実にありそうな恐怖。 それらを奥深く描いている作品。 犯人は主人公??と思わせるストーリー。ラストは辛いものでした。 難しい会話が続き、主人公・崇の言葉を理解していないところもあると思う。登場人物の心の声が痛い。 犯罪物の声は理解を絶する。殺人に快楽を覚える闇は、常人では理解できないが、そこをえぐるように描いているのが、ますます恐怖というか気味悪い人物像を想像していきました。 ラストは本当に痛い。悲しいとか、簡単な言葉では表現できません。 胸の奥に真っ黒なインクをこぼしたみたい。それが浸透してしまわないように……。そんな作品です。
2投稿日: 2018.03.19
powered by ブクログそういう結末か… 崇はこうするしかなかったのかな。 ひとつの犯罪は、関係者をこうも変えてしまうんだな。 そして、家族を殺された挙句に容疑者扱いまでされた崇の、罪と罰とか、赦しとかについて語る部分、とても重かった。 すんなり納得はできないけど、でも、永遠に恨み続けるのも確かに辛い人生だよな… 未だに仕事場であったことに関して、誰かになにかを償わせたい、というような不毛な感情を抱えてしまっている私には痛かった。
0投稿日: 2017.03.29
powered by ブクログやっと読み終わりました! 文章が難解な部分もあり、ちょっととばし読み! 現代に生きる人間の心の闇。 ネット社会の恐ろしさ。 なんだか不気味で、暗くて… だけど、そういう不気味な事が身近でも起こり得る世の中に生きてるんだな〜って思ったら、すごく恐くなった…
0投稿日: 2016.12.13
powered by ブクログ再読。 私が平野啓一郎先生の本に嵌る切っ掛けとなった本。 2011年12月、これまで痛快娯楽小説しか読んでこなかった私が、単なる推理小説だと思い購入。 読み終わると共に放心状態に陥った。 感想は特に記録していなかったのだが、今でも覚えているのが、「この作者、天才!?」ということだけ。 それから、「ドーン」「透明な迷宮」「本の読み方」「葬送」「顔のない裸体たち」「かたちだけの愛」「マチネの終わりに」「あなたが、いなかった、あなた」と読んでここに来て再読。 初めて読んだ時は、難しい小説だなというのが正直な感想だったのだが、再読だと随分変わる。 「葬送」に比べるとはるかに読み易い。 当時も思ったことだが、これはとても深い本だと思う。このたった2冊の中に、ありとあらゆる世界が詰め込まれている。 エリート公務員とその家族、ネット、少年犯罪、被害者家族、加害者家族、あらゆる側面から緻密に物語が紡がれている。 感想は書ききれない程頭に溢れてくるのだが、文章にするのはとても難しい。 一度手に取って読んでみてほしい。 平野啓一郎先生の本は、読む順番を間違ってしまうと、これは無理だとその後諦めてしまう可能性があるが、是非この本を先に手に取ってほしいと私は思う。 私のような、娯楽小説しか読まない人間にも十分に染みたから。
9投稿日: 2016.08.28
powered by ブクログサラリーマン沢野良介は、妻と息子との三人暮らしをする平凡な男。 良介の兄崇は優秀で、そんな兄への羨望や嫉妬といった日常の思いをネットブログに記していた。 中学生北崎友哉は、クラスメイト女子への叶わぬ恋心と、その女子の恋人からの暴力に耐えるといった鬱屈した思いから、殺人への夢想を膨らませていた。 ある日、バラバラ殺人事件が起きる。 見つかった遺体は、良介だった。 崇は被害者家族から一転、良介殺害事件の犯人として疑われはじめる。 良介の遺体が見つかる頃までが上巻、下巻は崇が被疑者となるところから、犯人がわかるところ、その後と描かれる。 上巻で、人物描写として三島論をぶったりするシーンが挟まれる。 そこがグダグダしていたことは既に書いたが、下巻に入り作者が描きたかったことが伝わってくる。 良介の妻佳枝の気持ちが後半描かれている。 失った家族への思い、あのときこうしていたらという後悔、犯人への思い、犯人は社会によって守られるが被害者は放り出される、それでいて好奇の目には晒される、犯人を憎んでいつまでも生きるのか、それでいいのか、憎み続けることは人間として酷いことだと言われることなのか、子供にも父親を殺した犯人への憎悪を教えていくのか、様々な思いに悩む。 良介の両親のその後も描かれる。 父も母も壊れていく。 そして、悲しむ暇もなく疑われる兄崇。 崇には被害者家族としての労りさえかけられない。 犯人さえ知らないところで、様々なひとの人生が狂っていく。 また、現代社会の側面としてのマスコミやネット。 直接には被害者のことも加害者のことも知らない誰かが無責任に垂れ流す言葉。 そういった言葉に煽られ、ネットによって明かされてしまう個人情報を用いて、加害者家族へ正義の代表者のような顔でぶつけられる暴言。 特別新しい着眼ではない。 こういった問題は今までに色々な形で提起されてきている。 それでも、引き込まれ読ませる文章だった。 良介を殺した犯人は誰なのか。 本当に崇は弟を殺したのか。 こういったことを推理して楽しむ読み物だと思っていたので、後半の佳枝や崇の心情描写が予想になく響いた。 上巻の知識を並べ立てる部分に始まり、最後の終わり方を含め、読み手を選ぶ作品だと思う。 文体も少し癖があるようにも感じられる。 わたしのように推理ものとして読んでいて、何だか違うと戸惑う読者もいるのではないかと思う。そのため、せっかくの後半部分がきちんと伝わらず終わってしまうこともあるのではと思う。 終わり方が余りにもというものだったので、もっと救いはないのかと思うところが、きっと被害者家族の気持ちをわかったようなつもりでいて全くわかろうともしていない残酷な傍観者でしかない自分を思い知った気がする。
1投稿日: 2015.10.13
powered by ブクログ『だから、こんな世の中イヤだと思ったらさ、やっぱり、とうてい社会が受け止めきれないような過剰な方法を選ばないと。そうなると、もう無差別殺人しかないわけ。別に大袈裟なことやる必要はないんですよ。でっかい建物壊すとかさ、大義名分を掲げてエライ人暗殺するとか、そんなの要らないって。フツーの人が、意味なく隣にいるヤツをブスッとやるのが、システムエラーとしては一番深刻なわけ。オレらがやってるのは、要するにそういうことなんですよ。っていうか、オレの解釈ではね。これだけ言って分かんないっていったら、多分ね、馬鹿(爆)…』 ー 『《少年犯罪なら、警察は誤認逮捕が一番恐いはずだから、自首するように追いつめてくいくだろうな。マスコミに情報小出しにして、身内に気づかせるんだよ。》』 ー 「何もかもが、心底、イヤになってた。ー 何もかも、ね。…自分か、世界か、ーーどちらかを愛する気持ちがあれば、人間は生きていける。だけど俺は、そのどちらに対しても、あの頃、愛情を失いかけてた。そんなふうに感じる自分が恐かったよ。…死にたくなかったからね。」 ー 「人間は、本当に真剣に、誰がどう見ても絶対に信用するような顔で、平気で嘘を吐く。」 ー 『〈死者の名前など、失われたファイルのための「無効なショートカット」みたいなものだ〉』 ー 『《死んだらオシマイ/神サマいない/地獄もない/ヤリたいことヤッタ奴の勝ち》』 ー 「殺されてもいいと思ってるなら、殺してもいいということですか? ー いや、違う。…僕が殺されてイヤだっていうのと、人が殺されてイヤだって感じるのと、何か関係があるの…かな?…ないよねえ?…ねえ?」 ー 「いいか! 〈幸福〉とは、絶対に断つことの出来ない麻薬だ! それに比べれば、快楽などは、せいぜい、その門番程度の意味しかない! 違うか? 人間は、快楽を否定することはできる! しかし、〈幸福〉を否定すること絶対に許されない! このたった一つの残酷極まりない、凶悪な価値が、この社会のすべてを支配しているのだ!」 ー 「完全に脳ミソ、トケてた。」 ー 『僕は、正しいと信じることのために、人に侮辱されるのを誇りに思う』 ー 「人間の生の長さは、生物としての寿命か、それより短いかのどっちかだよ。その二つしかない。死刑は要するに、犯罪者の寿命を許さないっていうことだろうね。殺された人間が、寿命よりも短い生しか生きられなかったことの報いとして。」 ー 『ーーかつては誰もが子供だったという、その一事を以て、すべては赦されなければならない。』
0投稿日: 2015.02.22
powered by ブクログ真犯人は誰なのか?悪魔は?離脱者とは?…登場人物たちの疑念や憎しみの連鎖、中傷、哀しみ、怒り、様々な感情がなだれ込んできて、読みながら絶望的な思いに包まれた。赦しって何なのか?本当の自分って?平野文学の真骨頂、分人の要素をとりいれつつ…人から見た自分など、関わりや内面、人間の濃い色の部分がとても深く描かれていた。 捕らわれすぎてしまわぬよう、後半は一気にに読み進めた。泣きながら…。
0投稿日: 2015.02.07
powered by ブクログ上下巻一気に読みました。 特に何か細工があるわけではないんだけど、いったい誰が犯人なの?そう思いながら読み進めました。 それは、本に出てくる登場人物たちも抱えていた疑問なのではないのかと思います。 犯人は誰なのか、悪いのは誰なのか、もしかして自分自身が一番ひどいことをしたのか? 信じていたあの人は、自分の思っていたような人ではなかったのか? そのような思いが、少しの出来事でどんどん変化していきます。 なのに、疑う心だけは、とめどなくあふれていく。 そしてその先にあるのは憎悪です。 お話の設定が特別リアルであるは言いません。 ミステリーですが、そこを突き詰めて作られた作品ではないと思います。 突き詰められたのは、人の人格(平野氏の言葉でいうと分人)。それはそれは、気持ち悪くなるくらい、人格に焦点を当てて書かれています。 人から見える自分、自分の思う自分がずれてしまっていること。 自分から見たあの人と、周りから見たあの人がずれてしまっていること。 本当の自分て?本当の相手って? 考えても考えても答えが出なくて、ずれに対する絶望が疲労感を生んでいきます。 合う人の分だけ人格はある、分人という考えを理解する第一歩の作品です。
4投稿日: 2015.01.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
頑丈と思われていたものや、長い間なんとか持ちこたえていたものが、ある日突然崩れ去り、それまで内側に押しとどめられていたものが止め処なく外側に溢れ出す――決壊。 我々が当たり前のように感じている道徳や、世界の秩序がよって立つ「社会契約」も、ひょっとするとものすごく脆弱なシステムであって、いつ決壊するともしれない代物のかもしれない。 本作に登場する「悪魔」はまるで、西洋の伝統的な価値観をことごとく顛倒してみせたニーチェのように、我々の通念に挑戦する。一見すると、悪魔の言葉は少なからぬ説得力があるように思える。が、悪魔が語るように、我々は「<幸福>のファシズム」に平伏するしかない、か弱い存在なのか?「悪魔」や「離脱者」は単なる「システムエラー」として片付けてよいものなのか? また、下巻後半で崇が語るように、善人も悪人も幸福も罪もシステムエラーもすべて、一個の人間の意志では抗うことのできない「遺伝と環境」に回収されるべきものなのか?したがっていかなる罪も「赦される」べきと言えるのか? ハンナ・アーレントは『人間の条件』の中で、「赦しは極端な犯罪と意図的な悪には適用されない」と書いた。本作に登場する悪魔の所業は、まぎれもなく「極端な犯罪」であり「意図的な悪」である。それさえも「赦すべき」というのは、(被害者であれ加害者であれ)一個の人間の尊厳を否定することにならないか? 根源悪に対峙するとき、被害者遺族はなすすべをもたない。赦すことも赦さないことも、どちらも同じくらい辛いし、苦しい。赦すことのできる「過ち」は、確かに単なるエラーだ。これに対し、根源悪はいわば決して恢復することのできない致命的なエラー(permanent fatal errors)、だからこそ「悪」だと言い切れるのであり、我々はそれを単なるエラーとして許容するわけにはいかないのである。 かと言って、しかし、赦すことのできない被害者・遺族の感情はどのように処理されるのか?本作の結末は、その不可能性を陰鬱に暗示している。
0投稿日: 2014.12.24
powered by ブクログ読後には大きな徒労感、嫌悪感、絶望感が残りました。でも、もう一回読みたい。 エリート公務員(ちなみに国会図書館の司書)の兄と、平凡だけれど幸せな家庭を築いている弟。 ある日弟がバラバラ殺人の被害者になったことをキッカケに、彼らの周辺が崩れていく様子を描いた作品です。殺人犯の一人である、地方に暮らす男子中学生の姿も並行して描かれます。 物語の舞台は2002年の日本なのですが、中身が全然古くなっていないのがすごい。悪く言えば日本社会にそれだけ進歩がないということですが・・・。 物語の本筋ではないのかもしれないけど、「変わらない(変われない?)」ということが印象に残りました。殺人犯の一人が男子中学生だと分かった後のマスコミの様子とか。 別に教育の専門家でもなんでもない人がさも視聴者の代表であるかのようにテレビで喋りまくり、おきまりのように「今の教育に問題がある」、「夢を持たないと」と結論づける。 弟と最後に会っていた兄が途中まで犯人と疑われるのですが、「コイツが犯人に違いない」と警察もマスコミも考え、そのような報道が行われる。捜査もその前提に立って実施。(都合の悪い証拠は見ないふり) 事件後、苗字を変えて働く加害者の母親のところに全く関係の無い第三者が現れて、「息子があんなことをしたのに、なんで平然と生きてるんだ。どこまでも追い詰めてやる」とやって来る。 特に最後の「身内から犯罪者が出たらその家族も全員同罪であり、何やってもいい」という風潮は現実世界でもさらに強くなっている気がします。ネットで何から何まで暴かれたり。こういうことしてる人はそういう「私刑」が「正義」だと思ってるのでしょうか。長年の謎です。 とりあえず「この世は生きにくい」と改めて感じさせる作品でした。毎日を明るく楽しく、未来に希望を持って生きていきたい人にはおすすめできない苦笑
3投稿日: 2014.11.24
powered by ブクログ「決壊(下)」 悪魔とは誰か。離脱者とは。 上巻は、良介殺害容疑で、兄である崇が警察に疑われる所で終わった。バラバラの遺体で発見された時点で、何かが壊れてしまった様に思うが、事件が事件を呼ぶ下巻を読むと、上巻は決壊などして無い様に感じる。 止まらない殺人の連鎖。名乗り出る悪魔と離脱者。彼らが何を考えているのか全くわからない。 殺す対象として良介を選び出し、俺は悪魔だと講釈を垂れる男が何を考えているのか全くわからない。殺してもないのに殺したのは俺だと名乗り出る人間は何を考えているのか全く分からない。 元々人を無差別に殺す人間などサイコパスだから理解出来なくても当たり前だと割り切るのは簡単だ。殺して無いのに殺したと叫ぶ奴などほっとけばいい。 しかし、本当にそれでいいんだろうか。考えても答えは出ないのだが、だからと言ってほったらかしにしておくのも腹立たしい。何故なら、ほったらかしにしている事で、悪魔だの離脱者だのを増やしている気がするからだ。 この小説では答えは出ない。というか結末が無い。悪魔の1人は自爆し、もう1人の少年は法に守られる。事件は形では幕を閉じるが、許されない罪を罪の値分きっちりと背負う人間は残っていない。 崇は、最後まで心の内を見せずに命を閉じる。何を考えていたのか結局最後までわからなかったのが、崇だ。この小説には、様々な人物が出て来るのだが、彼らは一様に感情がわかりやすい。しかし、崇は、哲学的な事を語ったり、人情味溢れる姿を見せたり、コンプレックスを吐露し、悩むこともある。多面性があるように見えて無いようにも見える。実にわかりにくい人間だった。 小説で描かれる状況は、今の社会を写している。だからこそ、悪魔だの離脱者だのを軽視出来ない。 例えば、何故人を殺してはいけないのかと尋ねた青年がいた。法で決まっているからと言うのは理由にならない。裁かれても殺したいと言う人間は、殺人を犯すだろう。 自分がされて嫌なことは相手にしない。相手をきずこれで十分だと思う。しかし、これも理由になっていない。自分がされて嫌なことを他人にする人間もいるからだ。 誰もが、人を殺してはいけない理由を見つけるのは難しい。しかし、見つけられる気がする。
1投稿日: 2014.08.28
powered by ブクログ下巻はどうなるのかと一気に読んだ 身内が執拗に疑われることで家族は何倍も苦しめられる 警察の完全な不手際で犯人は死亡 家族は壊れた そして火種がまかれた
0投稿日: 2014.08.04
powered by ブクログダ・ヴィンチの伊坂幸太郎さんと平野啓一郎さんの対談をきっかけにこの小説を読んだ。 どうなっていくのか、どういうことなのかと一気に読み進められる。いくつかのことを改めて考えさせられる。ただ、ものすごく重たく苦痛で読後感は疲弊する。 分人という考え方は頷ける部分があるけれど、あまりにも個人や団体に対してあまりにも剥離した人格になっても自分の中でやっぱり違和感が出てくると思う。私も会話内容や態度を集団(家族、会社、ママ友、ネットなど)によって変えている。それがダメかもとは若いうちは思っていたけれど、いろんな経験をすればそれでは面倒な場合も多いし、むしろ普通だと思う。ただ、それぞれは大きく異なる人格ではないと思う。やっぱり善すぎる、悪すぎると使い分けしているとしたら周囲が逆の態度を見た時にこんな人だったのか?という大きな違和感を持つと共に付き合いきれなくなる。 下巻最後の方の崇が室田に話している内容も大きくひっくるめて極端に言えばそうなってしまうなとは思ったけど、やっぱり納得はしない。今すぐに解決できない以上、人の感情は絶対にそんなことで収まりきれないと思う。 被害者側の立場については他の小説で同テーマを扱ったものを読んでいるが、さらなる被害を被ることになる。蚊帳の外であるはずの人たちも含めた感情がいろんな形で現れる。
0投稿日: 2014.05.26
powered by ブクログ崇が頭良くてスマートすぎるおかげで、現実味が薄れて、最後まで読める。頭のきれる平野氏にとっては、そんな崇こそがリアリティを表現できると思って書いてるんだろうな。 次々に重い課題が押し寄せるのに、不思議とドライで、そこに不可解な違和感を感じる。
0投稿日: 2013.11.16
powered by ブクログ上巻に比べて物語が進んでいくので読みやすい。 生き辛い世の中だ。 現実に起こっても不思議じゃない内容の小説だった。
0投稿日: 2013.11.12
powered by ブクログモラルの崩壊によっても決壊は起こるし、悲劇の連鎖によってもそれは起こる。 前者は連続殺人につながり、後者は精神に異常をきたし、どちらも「死」に向かう・・・ とにかく救いがなく、重いテーマで受け止めきれませんでした。 現代社会の闇、と一言ではかたづけられない問題が投げかけられ、回答は得られないままに物語が終わっていくのです。 また、もう一つの主題である天才の苦悩とも言うべき兄の孤独についても、救いがないままに最悪な状況を迎えます。 兄の、というか著者の「分人主義」という主張は以前から共感していたけど、この本で更に。 でもそのことで自己嫌悪に陥ったりして・・・ 哲学的な雰囲気の本は難しくて苦手ですが、この本は例外。難しいけど感じるものがあります。 だけど言葉ではうまく説明が出来なくて・・・ 実はこの作品のレビューを書くのに、もう何日もかけています。 感じたことがぜんぜん書けない、のでここで断念(涙) 尻切れトンボですいません。
0投稿日: 2013.10.08負のパワー
物語の「決壊」後は一気に読まされた。自分の軸がしっかりしたときに読まないと、ふらつかせられてしまうパワーを持ってる。
1投稿日: 2013.09.26決壊したものは、二度と元の姿には戻らない?
事件の容疑者として報道された主人公の悪名は、瞬く間にインターネットを駆け巡る。顔を持たない者からの誹謗中傷はもとより、信頼していた友人や家族さえをも信じられなくなった彼に安息な日々は訪れるのか? 終わりが近づくにつれて肥大する胸騒ぎと、読後に精神力のすべてを持って行かれるようなラスト。読み応えがあり過ぎて、しばらく放心状態でした。
1投稿日: 2013.09.24
powered by ブクログ「人間は、決して完結しない、輪郭のほどけた情報の束だよ。生きている以上、常に俺の情報は増え続けるし、色んな場所、色んな時間に偏在する俺という人間の情報を、すべて把握するなんて、土台、出来るはずがない!しかも、入手される情報は常に偶然的で、断片的で、二次的で、おまけにその評価は十人十色だ!情報源としての俺自身と、そうした情報の寄せ集めとが完全に一致することなんて、あり得ないんだよ!・・俺はね、そのことに抵抗しなかったよ。むしろ、出来るだけ巧みに振る舞ってた。」(p.171) 彼女は、自分が生まれ、育ってきた世界のことが、よく分からなくなっていた。 今、彼女の身が置かれているのは、これまで知っていて、当たり前のように慣れ親しんでいた世界とは、なにかまったく違うもののように感じられた。それとも、単にこれまでが幸せすぎたのだろうか?自分はただ、この世界のいいところだけを見て生きてきたということなのだろうか? 彼女にとって、今世界とは、最愛の人が突然惨殺されて、しかもその悲しみに必死で耐え、どうにかそれを乗り越えようとしている時に、鞭打つような非情な言葉で、更に苦しみを加えてやろうとする人たちが住むような場所だった。(p.206) 「生物としてのヒトは、絶滅を回避するために、交配を通じて多様性を維持する進化のシステムを採用しているんだろう?その圧倒的に多様な個体が、それぞれに、ありとあらゆる環境の中に投げ込まれる。そうした中で、一個の犯罪が起こったとして、当人の責任なんて、どこにあるんだい?殺された人間は、せいぜいのところ、環境汚染か、システム・クラッシュの被害の産物程度にしか見なされないよ。犯罪者なんて存在しない。ただ、犯罪が存在するだけだ。」(p.457)
0投稿日: 2013.08.22
powered by ブクログ『人間は、決して完結しない、輪郭のほどけた情報の束だよ。生きている以上、常に俺の情報は増え続けるし、色んな場所、色んな時間に偏在する俺という人間の情報を、すべて把握するなんて、土台、出来るはずがない!しかも、入手される情報は常に偶然的で、断片的で、二次的で、おまけにその評価は十人十色だ!情報源としての俺自身と、そうした情報の寄せ集めとが完全に一致することなんて、あり得ないんだよ!俺はね、そのことに抵抗しなかったよ。』 兄のこの言葉、「言葉がお前自身と完全に一致するように責任を持て」と絶対的な命令の下で拷問死した弟の最後と対比になっているのかな。だから兄は、弟の最後を観て引き裂かれたのではないかと。「悪魔」の幸福論と試みは、我々の欺瞞を糾弾する。面白い作品だった。
0投稿日: 2013.08.10
powered by ブクログ起こる事件や展開は派手ではあるが、その中で登場する 人物の心の動きは非常にリアルで身に迫るものがあった。 深い余韻が残る小説。 いろんな場面や人間と接する時のその時々のいろいろな違う自分、 そのどれが自分が本当の自分であるか、もしくはどれも本当の自分では無いのか?いろんな場面でいろんな自分を使い分けてしまっている事に違和感を持った時、足元が崩れていくような不安感に襲われる。。
1投稿日: 2013.03.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最初の方こそ次々と代わる視点に戸惑ったものの、全編を貫く凄まじい緊張感と圧倒的筆力で結末まで一気に読ませる(最後のテロはやや強引かと思ったが)。方言や若者たちの会話にしろ週刊誌記事、ニュースでの識者たちによるコメントにしろリアリティがすごい。多くの小説でちょっと引っかかるようなこうした箇所もごく自然に読める。そして内容の濃さ!崇のドストエフスキー的な哲学的議論だけでなく、揺れ動く登場人物たちの感情も細やかに描き出される。比喩もうまい。
2投稿日: 2013.03.02
powered by ブクログ【言葉の海】という文句が何度となく頭によぎるような小説だった。テーマやモチーフはもちろんだが、その表現の緻密と語彙の豊かさに脳みそをわしづかみにされ、登場人物の細かい心情の揺れを強制的に体感させられるような暴力めいた文章力だと思った。 【悪魔】のくだりや、崇が何度も自問する場面などは『カラマーゾフの兄弟』のイワンを思い起こさせる。終盤の、崇が砂浜で入水するシーンは、イワンが悪魔と口論するシーンと重なって見えた。冒頭からずっとギリギリのところでせき止めていた彼の「何か」は、ここで「決壊」してしまったのだろう。他者に対してはいくらでも「優しく」なることができた彼は、自己に対してはそうできなかったのだろうか。 読後すぐに消化できるタイプの小説ではないようで、まだ自分の中に残滓のようなものが漂っている。ゆっくりと浸透していくことができればいいなと思う。
2投稿日: 2012.11.02
powered by ブクログ暗く長く救いがない本が得意なので、とても面白く一気に読めた。デビューの日蝕から、気になっていた人なので読めて良かった。他もチャレンジしてみよう。
0投稿日: 2012.09.05
powered by ブクログやっと読み終わった…。いや、面白くなくはなかったし、読み始めてしまえば夢中になって読める本なのだけど。やっぱりどうしても救いがない。それがタイトルとかストーリーから予想されて、読むのが億劫になってしまった本。 主題は現代の哲人の苦悩と言ったところ。ドストエフスキーとか好きな人は楽しく読めるのかな。 権力と大衆と個人をこれでもかエグく描写してくる。ただやっぱり救いがない。
0投稿日: 2012.07.07
powered by ブクログ一気に読みたかったが、空き時間に少しずつ読むことになってしまいそれが少し残念だった。が、読み始めるとすっと入れて楽しく読めるのが不思議。 扱っている内容は重いが小説としてはサスペンス要素はほどほどで、なんてことない話なのにいつまでも読んでいたくなる作品だった。
0投稿日: 2012.06.30
powered by ブクログ事件がいよいよ起き始める下巻は、物語の行方もさることながら、話のリアリティを突き詰め切っていて、生々しく壮絶な展開が待ち受けている。 下巻から物語の主人公は崇である事が朧げに分かるが、彼が心に抱える虚無感は他人事とは思えず、壮大なテロが起こる突拍子もない話にも関わらず説得力が尋常ではない。 壮絶としか言いようのないラストも爽やかな読後感を求める人には薦められないが、忘れ難い一冊として読んだ人の心に刻まれる事は間違いない。 ただ模倣犯に比べると宗教的、哲学的な思想を盛り込んで繰り広げられる「殺人」「悪魔」に関わる話はいささか装飾過剰/スノビッシュにも感じる。
1投稿日: 2012.06.15
powered by ブクログこうならざるを得なかったということは予想されたが・・・犯罪被害者やマスコミの扱いなど実際にあるであろう話で考えさせられた。
0投稿日: 2012.05.05
powered by ブクログ「ドーン」に先立つ分人主義シリーズの最初の1冊ということで読みました。「ドーン」は文化心理学とのつながりを強く感じさせる本だったけど、こちらは進化心理学や行動遺伝学へのつながりを感じさせられました。想像だけど、著者はここらへんのことを随分と勉強した上で書いているのではないかな。まちがいなくドーキンスは読んでいる。ということで、「進化」「遺伝」から人間を考えている人にオススメかと。自分たちの研究成果が、どのような社会的影響を持ちうるか、悩ましく考えさせられました。
1投稿日: 2012.05.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ところどころ心に残る描写があった。「人は絶対的自己などなく、対峙した相手との関係性の中で自己が決まる」とか、「赦しは、赦される人間のためではなく赦しを与える人間のためのもの」とか。でも物語全体としては、猟奇殺人というネタから期待するようなサスペンスがなかった分、ちょっと肩透かしな感じがした。
0投稿日: 2012.04.18
powered by ブクログストーリが大きく展開していく下巻。これを読んだときにふと東野圭吾の『悪意』を思い出した。明確な存在理由を求めてはならないような悪意が伝染していくかのような感覚を覚えた…が。あくまで兄を主体に読んでいくと、どうしても絶対的な他者による救いがなければ解決しないような気がしてならない。
0投稿日: 2012.03.08
powered by ブクログ現代という時代。もう語り草のように語られる「失われた20年」という現代。貧しき人も富める人も、何か些細なことで『決壊』を起こしてしまう、そんな世の中。 平野啓一郎の小説は芥川賞を受賞した『日蝕』以来、二冊目。本作が彼のキャリア10年の集大成と言われるのにも頷ける作品。
0投稿日: 2012.02.26
powered by ブクログもっと文学的かなと思っていたら、そうでもなかった。 「言葉」について慎重に考えて、「言葉」を丁寧に操った作品、というのが第一印象。リアルな世界で語られる、複数の方言を介した言葉、テレビ・雑誌などメディアを介した言葉、教師・刑事・評論家など職業を介した言葉、老若男女の幅広い年齢層の言葉、そしてネット掲示板やメールというバーチャルな世界で語られる言葉、いろんな言葉を使っていろんな目線から物語が紡がれることによって、作品世界がどんどん膨れあがっていくように感じた。そうして創られた作品世界が完全には閉じられないので、さらなる広がりを余韻として感じさせる。 また、事件を中心にした話の流れに、「一人の人間は一人の人間じゃない」という作者の分人主義、功利主義・幸福主義にもとづく世界観、善の暴力性・共感の暴力性などの思想的な問いかけ、ところどころに組み込まれた比喩表現が加わって、ページ数以上の厚みがあるように思う。
0投稿日: 2012.02.06
powered by ブクログ比較的面白く読めたが、物語が大きく展開するまで、少々辛抱が必要かもしれない。主人公の人物描写は当然必要なのであろうが、上巻での親友の室田との会話のくだりは食傷気味だ。 とは言え、「重たい」小説が好きな自分としては、かなりの長編にもかかわらず、すんなりと読めた。 重犯罪の果てに生起しうる様々な悲劇を改めて認識させられ、どっぷりと「哲学的」な思考ができた。 作者の平野氏は頭のいい人なんだろうなと思う。文章の一つ一つ、表現の細部にわたるまで計算されている。ただ、自身の才能に酔っているのではと感じる個所も多少あった。 「文学」なんだと思った。
0投稿日: 2012.02.06
powered by ブクログ上巻で溜め込んだいろんな要素が、堰を切ったように動き出したー下巻はそんな印象でした。なので、上巻に比べるとストーリー的に動きが大きかったので、読みやすくはありました。 ただ、お話自体はすごく重たくて、読み終わった後どんよりとした気分になります。 登場人物の、特にインテリの崇と彼の友人たちが語っている話題や、離脱者とそれ以外の人のお話、“permanent fatal errors"の下りについては、正直難解でサッパリ。 ですが、犯罪被害者の家族、加害者の家族がどのような状況に置かれ、社会からどう扱われるのかを描いている部分にはすごく共感しました。(私自身、そのような経験があるわけではありませんが、そのような境遇に陥ったらこう思うだろう、という内容がそのまま具現化されているような内容だったので「共感」という言葉を使いました。) その辺りの内容がとっても重苦しくて、気持ちが滅入るほどのインパクトがありました。心が健康なときに読むのがいいかも。
0投稿日: 2011.12.22
powered by ブクログ圧倒的。それ故に心の状態が下向きのときに読むのはオススメ出来ない。それ位引っ張られてしまう。読み手のなかに侵食して来ます。
0投稿日: 2011.09.27
powered by ブクログ決壊=離脱の始まりによる悲劇の連鎖。離脱とは終わりのない世界への脱出のこと。つきつめれば「死=死に続ける」ことによる終わりのない世界への逃避。 モラルと自我、他我の崩壊。自身だけでなく、他者を大きく巻き込むその様はまさに、一度溢れるともう止めることの出来ない洪水となり世界に広がる。 生と死の境、衝動を止める理性、精神を保つための形、報道のエスカレート、警察のプライド、被害者・加害者の生活の均衡、全てが音を立てて崩れ去り、後には何も残さない。 加害者は離脱し、被害者の家族もその決壊に巻き込まれ離脱の道を選ぶ。 救いようの無い結末までも、決壊の一つの結果でしかなく、悲劇の連鎖はまだ続くことを暗に示す。
0投稿日: 2011.08.28
powered by ブクログ非常にガッカリ。オチがなかった。 結局は、哲学論理とか政治分析をダラダラ書きたかっただけなのか。 哲学かなんかの小難しい専門用語を出しまくるのに意味はあるのか。 我慢して読んだ時間がもったいなかった。
0投稿日: 2011.08.23
powered by ブクログ本文は面白かったけど、巻末の解説がちょいと合いませんでした。 何を言っているのかよく分からなくて… ちょっと残念な気分になってしまいました。
0投稿日: 2011.08.21
powered by ブクログ「悪魔」の一打が下され、取り返しのつかない決壊へ。 責めるか?共感するか?赦せるか?進めるか? 徹夜で一気に読んでしまったので、頭の中が忙しく興奮してろくな感想は書けそうにありませんが・・ 読み終わった瞬間に、タイトルの「決壊」という字が、ドンドン!っと一文字ずつ脳天に降ってくる。挙句、物語がじくじくと心を蝕んで眠れなくなる。 何の救いもないまま。何も取り返せず。状況は悪化するだけ悪化して。その救いのなさに、著者の強固な意志を感じました。 凄惨な描写は読んでいて気分が悪くなることもあったけれど、読み終わった今、今夜見る夢に影を落としそうなのは事件そのものや犯人の凶悪性ではなくて、 被害者の兄・崇が、弟の不在と過ごす日々。 許されない罪を、赦すしかないことの持つ意味。空虚です。 その空虚を書ききったという意味で、他の同様な作品からは距離があるように感じます。 次の作品の「ドーン」にも引き継がれている「自身と言葉の不一致」という考えについては、本作の方が実感しやすい。 ちょっと話がそれますが、「私って幸せ者です」とネットでわざわざ書いている人を見ると、そう書かなければ確かめられない幸せの不在と闘ってるんかなぁ・・・と思ってしまうことがある私。そこには少し嘲笑的な色合いもあったなぁと自覚して、自分の内なる醜さに居心地が悪くなりますが 例えその人がそうであったとしても、本作中の被害者・良介のように、自身と言葉の一致を後から確認することもできるし、そもそもその不一致があったから何なのだ、と今感じます。 私自身が、自身と言葉の不一致だらけの人間だからこそ、自分自身の多面的なあり方を思うと同時に、そういう人と出会ったならば・・・と思うと、より一層、著者の言葉の一つ一つを考えてしまう。 ちなみに、私はちょっと間違えて「ドーン」の方を先に読んでしまったけれど、平野さん未読の方は、本作→「ドーン」という順番で読むことをお勧めします。 ジャンルはまったく異なる2作品だけれど、そこには確かに連続性と、希望のふくらみがある。 くどい自分哲学が苦手な方にはお勧めできないけれど、色んな意味で重くて厚い作品を読む気になったら、是非本作のご検討を。 上巻レビューにも書きましたが、主張だらけなのに押し付けがましくない、むしろ読了後沢山のまとまらない思考の中に放り出される、強い作品だと思います。えぐいからって話じゃなくてね。
5投稿日: 2011.08.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最後まで読めば、きっと希望があるに違いない、なければならない、とそれだけを信じて必死に読んだ。けれど、結局「救い」がないまま閉じてしまうラストに衝撃を受けた。 作品の本質とは関係ないけれど、作中、捜査機関=警察で、検察の存在が全然出てこないのが、この作品の描いている「時代」なんだと思う。今、同じような状況を書いたら、間違いなく、検察官も一定の存在感をもって描写されるだろう。
0投稿日: 2011.08.03
powered by ブクログ読み応えのある一冊だった。 自分の中の自分、誰かの中の自分、いくつもの自分があって、でもどれも本当の自分ではないような気がする。では本当の自分とはなんだろう。そもそも、そんなものがあるのか。 感情も存在も、ただ言葉によって作られるもので、言葉より前には何もなかったのかもしれない。自分自身もそれと同じく。
0投稿日: 2011.07.05
powered by ブクログ前半ではドストエフスキーの悪霊を思い浮かべながら読んでいた。妙に不愉快で、今にも爆発しそうな不穏な空気と、悪魔的人物の登場や長い語りなど。 主人公の沢野崇は現代のイワンのように思えた。 ただ、平野啓一郎さんは必ず、もしかするとこの決壊以降かもしれないが、時代性と強くリンクした物語を書く。ツールとして、携帯メールでの会話、掲示板、テロルなど…今の時代だからこそ、より描かれて意味のある人の心とは何か、を正面から向き合っている。 会う人ごとに人格が変わるなら、本当の自分とは何者か?といった問いに、現代はインターネット上の人格、メールの人格、もっと言ってしまえばインターネットの場ごとの人格が生まれてきている。 そのような自分が何者か?という問いに、この決壊以降の三部作は正面から向き合っているのではないか。SFのドーン、恋愛小説のかたちだけの愛、そしてこの決壊は、悪霊を思い浮かべるくらいハードコアな内容で、犯罪小説の形でそれが語られた。
0投稿日: 2011.07.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
平野氏の読みやすい側の傑作。ひさしぶりに、今の時代(といってもリリースから数年を経ているが)に書かれた小説を読んだし、たしかに10年後に読んだところで(ひょっとしたら)「ああ、あのときはこんなこともあったかもね」という感想しか持ちえない可能性のある内容。 これまた久しぶりに、(普段は1日に数ページずつ読むというスタイルである自分ながら)1日で読破した。読みごたえあり。誰に共感し得るかは別として、引き込まれるストーリー。 感想としては、「悪魔」があまりにも「解説可能な悪魔」として提示される点が、あまりにも平易すぎて物足りない感じはあった。そういう点では、何年先も語り継がれる一冊ではないのかもしれない。いろいろなことが解説されすぎで、自分なりに座れる場所がないのだ。
0投稿日: 2011.06.27
powered by ブクログ「決壊」(平野啓一郎)読み終わりました。これまでに読んだ平野さんの小説の中でこの作品が一番震えた。深く病んだ今の世界に生きる人々の『心の闇』と『離脱者』が解き放つ『狂気の発露と伝播』を克明に描ききり、日常生活の中に潜む『何か』への恐怖をあぶり出す傑作だと思います。
1投稿日: 2011.06.23
powered by ブクログ秘匿されるべきものが匿名によって暴かれる。 佳枝、お前のせいじゃて。 木下とか友哉(母)など、気違いじみた女うまいよね。
0投稿日: 2011.06.17
