
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
獣の奏Ⅳ。ファンタジーではあるものの、壮大な歴史小説のように感じ、現実世界にも何か通じるものがあったと思う。エリンと王獣リランが心を通わせているように見えても、やっぱりどこか壁があるという人と獣の限界を感じた。加えて、どうせ最後はハッピーエンドだろ?という斜に構えた見方をしていたので、良い意味で裏切られました。エリンやリランたちも含めた登場人物たちが亡くなったことは、悲しいと思うと同時に物語の深みに還元されているように感じた。
3投稿日: 2025.10.31
powered by ブクログは〜面白かった。最後の最後まで、もうどうしようもないんじゃないかという状況の中、ハラハラドキドキしながら読みすすすめて、ラストは涙がじわり。 歴史や事実をひた隠したご先祖様も、それらを明るみにしようとしたエリンやセイミヤ達も、国や子孫を想ってのことで、そこはファンタジーというか、物語たる美しさだけれど、だからこそその美しい世界観に浸れたし、清々しい気持ちで読み終えられて大満足だった。
0投稿日: 2025.10.22
powered by ブクログ外伝含めても全五巻という短さにも関わらず、エリンという一人の人生そのものを全うし、リョザ神王国の歴史を体感した心地だ。この結末に「辿り着いた」という万感の思いがあり、読了後も世界の広がりと未来に思いを馳せたくなる、素晴らしい傑作ファンタジーだった。
0投稿日: 2025.10.13
powered by ブクログ悲しい結末にはならないでほしい…と願いながら、でも、エリンの選択にはハッピーエンドを想像できなくて、読み進めるのが辛かった。 最近、この先に辛い展開が待っていると想像すると、読むのに気力が要るようになってきた(苦笑) だが、すごくストレートに作者の言いたいことが伝わってきたように思う。この展開でなければ、きっと伝わらない。 知識を得て考え続け、継承していくこと。 それが人生であり、歴史なんだと。
0投稿日: 2025.10.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
人と王獣。本来結ばれないはずだった絆をエリンが結んでしまったことでこんな哀しい展開を迎えるなんて… 獣のことを、リランのことを、知りたくて知りたくて走り続けて、いつか野に解き放ってあげたくて試行錯誤してきたはずなのに、その結果戦の武器にせざるを得なくなるなんて、本当に人間はなんて醜く愚かで哀れなんだろうかと心底思う… でもエリンが言っていたように「人は殺し合いをすることで均衡を保とうとする獣」であるなら、それが人を人たらしめる所以なんだろうなとも思う。 戦争は良くないと言いつつも、時が経てばまた争いの火種が生まれて同じことを繰り返す。 自分たち人間が醜く愚かな生き物だってわかってるから、そうじゃない動物たちを愛でたり慈しんだりする心が生まれるのかな… エリンの、そしてリランとその子供たちの最期はとても辛くて悲しくてショックだったけど、その後の王獣たちは野に解き放たれて人間の戦の道具にされることがなくなったのは良かった… 素晴らしい物語でした✨ 子供の頃にぜひとも読みたかった…!(T-T)
1投稿日: 2025.09.18
powered by ブクログ個人的には闘蛇と王獣の交わりに関するストーリー展開が急すぎる感が否めなかったが、それも意図的な仕組まれた効果を出しているのかもしれません。
0投稿日: 2025.08.06
powered by ブクログ読了してしまったと思ったら外伝があって嬉しかった。 子供の時と大人の時と読むたびに視点が新しく、発見があるのでずっと大切にしていきたい本。
0投稿日: 2025.06.10
powered by ブクログ嗚咽が止まらなかった。最後苦しくて苦しくて仕方ないけど、4冊を通してたくさんのことを学ばせてもらった気がする。人生のバイブル。 小学生の頃にアニメが大好きで小説を読んだけど、大人になって再読。感じ方がまた変わっていて、母になって読んだらまた違うと思う。 上橋菜穂子さんの綴る物語は質感がしっかりとしていて、本当にその人生を生きている感覚がする。ファコの香ばしい香りや闘蛇の甘い香り、人の表情や感情が体験しているかのように感じられる。本当にその国や人物が歴史として存在したんじゃないかと錯覚してしまうような物語です。 今も私の中には確実にエリン、イアル、ジェシ、エサル、ジョウン、その他の人々が生きていると感じる。それぞれの思いを持って生きていると信じられるような感覚がある。 全てをかけて獣を自由にしたいと願い、愛するものと平和に暮らしたいと願って懸命に生きたエリンの思いは、日々を大切に生きようと思わせてくれました。 こんな素敵な物語を残してくれて、上橋菜穂子さんには感謝の思いでいっぱいです。 ・人は松明の火のように、少しずつ確実に何かを繋いでいく。その時は相手に伝わらないと思っていても、後々その言葉が生きてくることがある。伝えることに意味がある。 ・掟や法則では測りきれない絆や愛が、獣の中にはあるということ(人間も獣の一部として) ・人は知って考えて考え抜くことが必要。分からないものを追い続けることが大切 ・戦争はなくならないし、その果てに勝者も敗者もない ・なぜ言ってはいけないのか分かるようになるまで、言ってはいけないことがある ※ 余韻がすごいのでこのあとダラダラ続きます 生き物の生態に無邪気に目を輝かせていた少女時代のエリンが懐かしい、、、色々なことを知ったからこそ考えられる、それが素敵なことであり残酷なことであるなあと。 エンディングに関して、聡いエリンなら何が起こるか予測できていたはずでは?リランには音無し笛の耳栓をするべきだったのでは?もっと早くソヨンたちが忠告に来るべきで、そもそも霧の民の人々がもっと早く動くべきだったのでは?と納得がいきません笑 なんとかイアル、エリン、ジェシで幸せに暮らして欲しかった、、、束の間でも愛する人と結ばれて生活できたことが唯一の救いですが。
2投稿日: 2025.05.19
powered by ブクログ壮大なストーリの終わり。 エリンが少女の頃から母親になるまでの成長と、世界との関わり 辛い責任を背負ってきたんだなぁと 王獣が解き放たれてよかった
10投稿日: 2025.04.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
学問と戦争の話だとも思った。基本的に好きなんだけど、ラストシーンが悲惨すぎて辛いし、そういう悲惨さに向かって展開する物語を読み進めていくのも辛かったので、元気な時に読んだ方がいい。明らかになったラストを見て、核戦争のこととかも意識してあるのかなあと思った。知識と教訓が受け継がれていても、後世の人間は毒性の薄い闘蛇を育成できないかと考えはじめそうなので、なんかそんなに明るいラストでもないような気はした。。
1投稿日: 2025.04.18
powered by ブクログ『獣の奏者 Ⅳ 完結編』上橋菜穂子著 - 深遠なテーマを内包する完結編 上橋菜穂子著『獣の奏者 Ⅳ 完結編』は、長らく多くの読者に愛され続けたファンタジーシリーズの最終巻であり、物語の集大成として極めて重厚な内容を誇ります。本書は、主人公エリンを通じて、「命」「自然」「戦争」、そして「人間としての選択の重要性」を深く掘り下げた作品です。シリーズ全体を貫くテーマが完結編で見事に結実し、深い余韻を残します。 世界観と設定の深化 『獣の奏者』シリーズの魅力の一つは、その美しくも壮大な世界観です。上橋菜穂子氏は、独自のファンタジー世界を精緻に描写し、物語が展開される国々や文化、獣との関わりを緻密に構築しています。『完結編』においても、これまで描かれた世界がさらに深まり、舞台の細部に至るまで作り込まれた世界が広がります。 物語の舞台となる「リョザ神王国」と「隣国ラーザ」の対立は、単なる架空の設定にとどまらず、歴史的・文化的背景を色濃く反映させたものです。戦争、権力闘争、環境問題といった現実の問題を投影させながら、物語は進行し、読者に深い考察を促します。 登場人物とその成長 本作における登場人物たちは、それぞれ自己の使命と向き合い、成長を遂げる様子が描かれています。主人公エリンは、最初から最後まで物語の中心であり、その成長が物語全体を牽引しています。エリンが直面する数々の選択は、彼女の成長とともに読者に強い印象を与え、物語の進行とともに深みを増していきます。 特に本作では、エリンとその周囲の人物たちが直面する「選択」の重さが強調されています。エリンの決断は、周囲の人々だけでなく、獣たちや自然環境にも大きな影響を与え、その責任の重大さが物語に緊張感をもたらします。また、エリン以外の登場人物たちもそれぞれの葛藤を抱えながら物語の中で成長し、最終的には共に平和を築くために歩みを進めます。 本作における「命」と「共生」 『獣の奏者』シリーズを通して描かれるテーマの一つが「命」と「共生」です。人間と獣、そして自然との関係性が物語の軸となり、特に本作ではそのテーマが最高潮に達します。エリンが獣との関わりを深めていく中で見えてくるのは、単なる人間中心の視点ではなく、すべての命が絡み合い、共存しなければならないというメッセージです。 「命を奪うこと」と「命を守ること」には深い矛盾と葛藤があり、物語の中でそれらをどう扱うかがエリンの成長において重要な位置を占めます。このテーマは現代社会における環境問題や戦争、さらには人間社会の持つ倫理観にも通じる部分があり、読者に多くの問いを投げかけます。 終章としての完結 『獣の奏者 Ⅳ 完結編』は、その名の通りシリーズの終結を迎える作品であり、全ての伏線が解消され、物語は壮大な結末を迎えます。最終的な結末では、エリンの成長とともに、彼女が下した選択の結果が描かれ、シリーズを通して表現されてきた「命」と「共生」のテーマに一つの答えが示されます。結末の美しさは、単に物語の結末としての満足感だけでなく、これまでの登場人物たちの努力や葛藤が報われる瞬間として感動的に描かれています。 また、物語が展開する中で繰り返し描かれる「暴力と平和」の問題や、社会的な理不尽さへの問題提起は、単なるフィクションに留まらず、現代社会に対する鋭い批評として受け取ることができます。この作品は、ただのファンタジー小説にとどまらず、深い社会的・倫理的問いを投げかける重要な作品です。 総括 『獣の奏者 Ⅳ 完結編』は、物語全体を通して表現されてきたテーマを見事に結実させ、読者に深い感動と考察を促す一冊です。ファンタジーとしての魅力だけでなく、現実世界への鋭いメッセージも盛り込まれた本作は、シリーズ全体を通して一貫したテーマとメッセージ性を持ち続けています。作品が描く「命」と「共生」のテーマは、私たちが生きる現代においても非常に重要な課題を提示しており、ファンタジー文学としてだけでなく、現代文学の中でも特別な位置を占めるべき作品と言えるでしょう。
0投稿日: 2025.04.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
もしかして、エリンとイアルとリランは── いやいや、そんなことにはならないはず……と祈りながら、家事を放棄し読みふけりました。 やがて迎えた結末は読まなきゃよかったとすら思うショッキングなラスト。 悲しくてしばらく言葉がでませんでした。 エリンがもっと家族の時間を過ごせて、王獣たちはみな寿命を全うするという別ルートの結末をください… しかし、この物語は、ひとつの国の歴史であり現実であると考えると、この結末でなければ未来への希望は見えなかったかもしれません。 臭い物に蓋をするようなことはせず、受け止め、考え行動し、松明の火をつないでいかなければ。 読み終えて2日が経ちますが、この結末が徐々に受け入れられつつあります。
15投稿日: 2025.04.05
powered by ブクログ最後まで飽きることなく、読めました。期待を裏切りません! 獣の姿や動きなど、頭の中でドンドンリアルになってきて、エリン、イアル、ジェシの表情までも鮮明に出来上がりました
1投稿日: 2025.03.06
powered by ブクログ最上級に素敵な物語だった。エリンには生きていて幸せな家族を作って欲しかったが、やはり難しかったのかな… 闘蛇編から完結編まで他の時間を割いて一気見してしまいました。とても素敵な作品で友人達にもおすすめしたいものです。
8投稿日: 2025.03.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
こんなにも壮大な物語に出会えたこと、この作品を書いてくれた作者、この物語の登場人物、すべてに感謝したい あまりにも辛いが納得の最終巻だった。人と獣はどうあるべきかを問うストーリーに圧倒され続けた。自分の信念を最後まで貫いたエリン、彼女を育てた周りの人々の人生が幸せなものであったことを願う もうほんまに思い出すだけで泣ける、人生最初で最後の1番大好きな作品
1投稿日: 2025.02.25
powered by ブクログ終わってしまった。完結編は何度涙したことか。 親子愛、夫婦愛、王獣に対しての愛、もしかすると逆も。止める事も出来ずシリーズ一気読みでしたが、1作500ページ前後の大作なのでもちろんその間仕事や家事や雑事もしつつ、他の時間はほぼこの作品を読んでました。目の奥が痛むのにやめられず、このまま続いたら廃人になるところでした。読み終わって放心状態。外伝は少し時間を置いて読みます。 物語の世界に没入できて、幸せな時間でした。
38投稿日: 2025.02.24
powered by ブクログ人間と獣、そして戦。兵器の部分が獣に変化した心境はたちまち心の傷を抉るだけ。 戦争は誰も得をしない。本当に今を生きる人は思っているのか。 ファンタジーだか、戦について大人も子どもも考えさせる内容になっている。きっと読んだ人に何かしら与えてくれる作品ではないだろうか。
6投稿日: 2025.02.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
情報を公開することの大切さよ。雁字搦めに全てを縛り、隠し通す初代真王、そしてアォー・ロゥやカレンタ・ロゥの考えには正直反対である。保守的すぎて、考えがまとまらず返答を遅らせて、結局災禍が起きてしまったのは、現代に生きるトガミリョの失策に他ならない。追い詰められた者はなんでもするというエリンの言葉にある人間の性質を、トガミリョ達は甘く見過ぎだと思った。もっと早く言ってくれ…
0投稿日: 2025.01.12
powered by ブクログ一生の中で、自分にできることは限られている。 でも、多くの人の手に松明を手渡し、ひろげていくことでひか、変えられないことがある。 上橋さんや、この本の制作に携わった方達が手渡してくれたこの松明が、自分の中の何かを変えてくれてると思う。
0投稿日: 2025.01.09
powered by ブクログエリンの人生を見事に描ききった大作。 あまりにも読み応えがあり、最高でした。 人間が生き物を操ろうとする愚かさ、争うことをやめることができない人間の習性を、その合間で揺れるエリンの人生と重ね合わせた。 エリンと、その思いを継いだジェシが王獣を解放したラストが綺麗すぎた。 エリンの人生を描いたファンタジーだけど、これは親子の話でもある。ソヨンとエリン、エリンとジェシ。 母になってから読んだので、泣けて泣けて仕方なかった。これは子供の時に読むか、親になってから読むかで視点や感じ方が違う物語だったとおもう。
1投稿日: 2025.01.01
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友人の勧めで読んだ アニメも見たことがあるが、話がだいぶ違い、少し新鮮な感覚で読めた あとがきに、本来は闘蛇編と王獣編で完結の予定だったことを知った 作者曰く、その二編で完成した玉のようなものらしいが、もっと先が読みたいとの声で続編を書いたらしい 続編を出してくれて本当に良かった あの世界観を長く楽しめるのは本当に嬉しい 外伝を読むのもとても楽しみ
0投稿日: 2024.12.01
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中学生か高校生の時に読んで、約10年ぶりに再読。あの時はこんなに深い物語だと理解できていなかったのではないかと思う。読み終わった後、放心状態になるくらい考えさせられた。 全てを隠すことで民を守ろうとした初代真王をはじめとした過去の人々と、全てを明らかにすることで人々を守ろうとしたエリンたち。 その対比が緻密に描かれており、何が正解で何が不正解か、その答えはないのだと思った。 まさに、人々は争い続けるものであり、エリンの夫イアルも、エリンの死後も闘蛇乗りであった。 エリンが全てを明らかにしてもなお、戦はやまないのだ。 読んでよかったと思える長編。
0投稿日: 2024.12.01
powered by ブクログジェシの成長が早い。 エリンの木まで走り抜けた感がある。 分厚いけど面白かった。 ミステリーではないのに謎が謎を呼ぶところが面白い。最後は感動できた。
0投稿日: 2024.08.21
powered by ブクログ最後エリンがなくなってしまって悲しい、、、気になり過ぎてぶっとうしで読んでしまった。エリンは死んでしまったけどなぜかバッドエンドとは思えない結末⁉︎
3投稿日: 2024.08.17
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エリンの息子ジェシは、母が王獣の訓練をする姿を見たいがために立ち入りを禁止されていた森にこっそりと入って盗み見をしていた。エリンや護衛兵たちはそのことに気がついていたが、母と過ごす時間の少なかった幼いジェシを思うと、注意もしづらく、黙認していた。 ある日、その森の中からジェシの悲鳴が聞こえる。慌てて悲鳴の方へとエリンが走ると、大量の火蟻に身体中を噛まれ悶えるジェシの姿があった。一命を取り留めた息子を連れて、火蟻に襲われた森へとエリンは向かい、森の生き物たちの危険について、生態について、ジェシに話して聞かせる。 狂乱する闘蛇と王獣を止め、死ぬ、エリンの最期も心に残った。それでも、この物語の中で一番心に刺さったのは、エリンとジェシ、イアルとジェシの母と子、父と子が語り合う場面だった。ジェシは、ときに反発をしながらも、ときに意味が分からずとも、母と父の言葉を聞く。こんな風に親から子へ、知恵とも心とも言えない色々なものが語り継がれていくのが、それを聞く子どもの姿が、微笑ましく優しい。だからこそ、そんなさりげない親子の会話があるからこそ、政治に利用され、戦争に駆り出され、死を迎えることになったエリンの姿の悲哀が読み手の目に焼きつく。 この物語は、「語り継がれること」の物語だったように思う。かつて闘蛇と王獣が戦争に利用されたことによって一つの国が滅んだ大厄災の記憶は、語り継がれなかったことによって、エリンが死をもって証明した災厄を再びもたらすことになった。大厄災を知っていた祖先は、二度と災厄を起こさないために規則を作り、真実を秘した。しかし、その善意が、後世の人々の無知を生み、厄災を引き起こすという皮肉を生んだ。 「松明の火を想像してみて、ジェシ。松明の火は自分の周りしか照らせないけれど、その松明からたくさんの人たちが火を移して掲げていったら、ずっとずっと広い世界が、闇の中から浮かびあがって見えてくるでしょう?」 息子の頭に顎をのせ、さわさわと春風にゆれる木々をながめながら、エリンは言った。 「おかあさんね、そういう人になりたいの。松明の火を、手渡していける人に」(p64) かつて木漏れ日のあたる森の中で母が伝えた言葉は、27歳となった息子の心の中に残っていた。そして、すべての平民が学べる高等学舎を設立することになる。そして、母がついに叶わなかった、保護場で飼われた王獣を野に戻すという夢を、ジェシは果たすことになる。 何気なく伝えた一言が、次の世代に残っていく。そういう物語だった。
0投稿日: 2024.08.08
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探求編から続くストーリー。 登場人物みな背負っているものが重すぎて、重すぎて。 エリンの死亡フラグが早いうちからチラチラしてるのがツラすぎる。 「行き着くとこまで行ってみないと、先は見えない」 やっぱり行くんですか… 物語は破局に向かって突き進み、エリンの死が避けがたく迫ってくる。 救いはジュシの存在か。
0投稿日: 2024.07.27
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この本のここがお気に入り 「知らねば、道は探せない。自分たちが、なぜこんな災いを引き起こしたのか、人という生き物は、どういう風に愚かなのか、どんな事を考え、どうしてこう動いてしまうのか、そういう事を考えて、考えて、考えぬいた果てにしか、本当に意味のある道は見えてこない…」
0投稿日: 2024.06.08
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『獣の奏者』闘蛇編〜完結編 2023/07/23頃〜2024/05/10 1回目 最初はなつかしい気持ちだった エリンの子供なのに大人びた姿、動物のことになると現れる子供らしい姿 大人になってみるとどれも可愛らしい子どもの姿だった 母を失うという壮絶な経験をしてもなお、禁忌とも呼べるそれを解き明かそうとしたエリンの姿は勇敢だったけれど、勇敢な人がひとりいたとて世の中は災いをその目で知るまで変わろうとしない。苦しかった。バスの中で嗚咽しそうだった。 『獣の奏者』という話の中で一番鍵になるのは「母」だと思う。エリンは母を闘蛇に喰われ、イアルは母に売られ、ジェシも母をあの戦いで失う。 惨いと思ったのは、エリンもイアルも母を失ったことを辛く重く心を痛めているはずなのに、二人とも命を落とす覚悟がある。ジェシにそんな思いはさせたくないと言いながら、しっかり思いながら、そんな思いをさせてしまうことを自覚している。 しかし最後のジェシはあまりに強かった。 何度もその話をするのは苦しいだろう。獣ノ医者として働く度に母の背中を思い出すだろう。それなのにまだ母の背中を追っている。エリンとイアルの強かさを継いでいる。きっと孫も凄く強かだろう。 最後は本当にグロテスクだった。あそこまでの災いが起こるなんて想像していなかった。アニメ化しなくて良かった。 闘蛇の甘い匂いを嗅いでいるようだった。 兵士たちの死に顔が浮かぶようだった。 こうなると知ってもジェシは母を信じていた。強い子。私ならどうするだろう。きっと王獣で飛べない。 アルを飛ばすことを選べない。 最後に母と過ごした四日間はどんな気持ちだっただろう。 けれどエリンは叶えた。王獣を解き放つ願いを叶えた。 素晴らしい人だと思う。ただ、自己犠牲の強さだけはいただけない。 ソヨンはエリンをどんな顔で迎えるだろう。きっと二人とも地獄へ落ちる。戒律を破った者として、災いを起こした者として。それでも二人がしたことは間違っていない。エリンもソヨンも子を思ってしたことだ。 苦しい。暴れたい。これから外伝を読む。母としてのエリンがどうあったのか。きっと優しく、厳しい母であったのだろう。 イアルとの結婚までも気になる。二人がどうやって仲良くなっていったのか、それが気になって仕方ない。 幸せになって欲しかった。イアルと結婚したことを知ったときの安堵感はとてつもない。この二人が結ばれたことが何よりの幸せだったのかもしれない。 ジェシは二人の子に生まれて幸せだっただろうか。二人のことを誇って欲しいとおもう。 あーーーーーーあ また読み終わってしまってくるしい。 新しい本を探さなくては。 上橋菜穂子の本をもっと読もうかと思う。
2投稿日: 2024.05.12
powered by ブクログ堂々の完結作。最後まで止まらない面白さだった。中弛みすることもなく素晴らしかった。またいつか絶対に読みたい。もっと悠々と考える時間を私も持ちたいと、人生を通して考える習慣をつけて豊かに生きたいと思った。
0投稿日: 2024.05.07
powered by ブクログいよいよ最終巻。 王獣と闘蛇の秘密をほとんど解き明かしたエリン。 過去の大きな災は王獣と闘蛇の接触により起きた可能性が高いことがわかりつつも、いよいよ戦争が始まってしまう。 その接触がやはりとんでもない現象を起こしてしまい、それを止めるためにエリンは決死の行動を起こす。 最後は感動でウルウルしました。 上橋菜穂子さんの作品はリアルな設定の上に人間感情の機微が描かれ、夢中になって読める本当に面白い作品ですね。
13投稿日: 2024.04.06
powered by ブクログ一貫して、獣はそして人はどう在るべきか、一つの考え方を示してくれる。そのメッセージを、これ程魅力的なストーリーに乗せられる作者にただ脱帽です。
0投稿日: 2024.02.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
戦争はなくならない、というくだりがすごく重く響きました。 エリンの一生って、、、ジェットコースターみたいだなぁ。。。
0投稿日: 2024.01.31
powered by ブクログ最後約50ページ程の描写は、『風の谷のナウシカ』で王蟲の暴走を食い止めるナウシカのようでした❗読み終わった後は、何だか高揚感がいっぱいの作品でした❗ 決してハッピーエンドとは言えないけれども、希望のある終り方でとても気に入っています♫ 読む前は『守り人』シリーズよりも面白いはずがないと、勝手に決めつけていましたが、4冊読んでみると、甲乙つけがたい作品でした❗(ストーリーは守り人シリーズよりも深いと思います。)至福の時を過ごせたこの作品に感謝です。また、樋口さんのカバーデザインがとても綺麗で、とても気に入っています❗
11投稿日: 2024.01.16
powered by ブクログ途中で苦しくなってきて、読むのが止まっていたものの、時をおき、読み始めると最後まで一気に読んでしまった。 生きとし生けるものすべての命を等しく愛したエリンの物語、ここに完結。
0投稿日: 2023.11.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
一体何が正解だったんだろう。 エリンと王獣が心を通わせた事によって起きた地獄があまりにも悲劇で、耐え難くて、何度も読む手を止めてしまった。エリンが今まで生きてきた果がこれなの!?って、どうして?って。 だけど違った。あの地獄の先に、野に放たれた王獣の姿があって、きっとその更に先にも何かがある。果なんてどこまでもなくて、いつかはエリンのしてきた事の全てが無に等しいぐらい消え去ってしまい、同じような悲劇が繰り返されていくのかもしれない。 この長い長い、永遠の歴史の中で命は本当に儚くて、そこに意味なんてないのかもしれない。でも、エリンが火をつけた松明の炎は、少なくとも私の中では、私というちっぽけな一生の中では、永遠に燃えている。 野で生きる獣の美しさも、牧場で日を浴びながら過ごす一生も、人と心を通わせる事で芽生えた愛も、何が正解なんてきっとなくて、全部がそれぞれの命の形。 ただ私は、エリンが選び取ったこの命の形を途方もなく愛している。
0投稿日: 2023.10.08
powered by ブクログいよいよ完結編。禁忌とされていても、新たな時代のためにそれを犯すことになっても。その結果を受け止める覚悟で、主人公のエリンは闘いに向けて決意します。様々な不安の中で日々は流れ、闘いの時は確実に近づいてきます。その日々を主人公は、周囲の人々は、どのように過ごしていくのか。そしてそれぞれの決断が、最後にどのような結果となって現れるのか。結末に対しては色々と意見したい気持ちも出てきますが、それよりもそれぞれがどのように考えて行動したのか、そのことのほうが深く印象に残る読後感でした。それだけ登場人物の感情が豊かであり、そこに移入しやすい物語だったのだと思います。たったと言うと語弊かもしれませんが、たった4巻の中で、一人の女性の生きざまをこれだけ深く読者に印象を残す物語であることが不思議なくらいです。
1投稿日: 2023.10.05
powered by ブクログエリンの決意。 その結果がここへ集約したとき、涙が出ました。 と同時に過ちを過去の物にせず、忘れない…それもまた大切な事なんだと気付きました。
0投稿日: 2023.09.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ハッピーエンド好きなので、悲しい終わり方で少し残念でしたが、それでもとにかく素晴らしい作品。 どうやったらこんな異世界や架空の動物を思いつき、それをリアルに生々しく書くことができるのだろう。こんなに面白い本を読まないのはもったいない。子供達にもいつか読んで欲しい作品です。
0投稿日: 2023.07.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
物語が、エリンの一生が遂に幕を閉じてしまいました。ソヨンに逃がしてもらい、ジョウンに助けてもらい、カザルムで学び、遂には政治に大きく関わったり…本当に色々なことがありました。私には歴史や政治の話は難しかったけれどその場その場での役目を果たす登場人物達の想いが胸に刺さりました。 たとえカレンタ・ロゥの方々の来訪が間に合い、エリンに真相を伝えられたとしても攻め込まれたラーザの軍隊を抑えるためには王獣を使わざるを得なかったんじゃないかなぁ……。 最後の最後で再び平穏な時を僅かな間でも家族揃って迎えることが出来たのは本当に良かった。
0投稿日: 2023.06.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
探求編の感想もまだ書いていないけど、止められず一気に完結編まで読み終えた。 ファンタジーだけど、ファンタジーだけではなくて、人生観や歴史、生きていく上でのしがらみや辛さ……そういった考えるべきこと、が散りばめられている。 エリンとイアル、ジェシにとって、王獣と闘蛇は切り離せないものだけれど、普通に暮らせるようにして欲しい、と作品を読んでいる間ずっと苦しかった。 最後は予想に反して(私は甘いのだろう)悲しい結末を迎えたが、エリンと王獣に絡みついていた鎖が解き放たれたことは喜ぶべきことなのだろう。 そう思いつつも、王獣と闘蛇との壮絶な闘いには胸が潰れる思いだった。 音無し笛を吹かなければならないなんて。 リランが落ちていくと分かっているのに……。 泣けて、泣けて。 なんだかとても悔しい思いが渦巻いているのだけれど、最期の4日間。イアル、エリン、ジェシ家族が家族として過ごし、話が出来たことは救いだと思う。
0投稿日: 2023.05.30
powered by ブクログひょっとしてエリンなら過去の惨劇を繰り返すことなく、戦闘を回避して王獣たちを野に放ち、獣と人が共存できる道を探り出すのではないか・・・と、期待しなが読み進んだけれど、上橋さんは争いは繰り返されるという選択をされた。 全編を通じて生きとし生きるものの命の大切さと、過ちは繰り返されるという現実的な悲哀を上橋さんは伝えたかったんじゃないだろうか。そして、人は過ちを犯すけれど、その度にそれを教訓として災いを避ける新たな努力をする。 人間とは、獣とはそういうものだと・・・。
0投稿日: 2023.04.29
powered by ブクログ遂に感動の完結! やはり、2冊までで完結するよりも、ここまで書かなきゃ完結しないよな。 国を守るために獣を使ってはならない。 それを破ったエリン。 しかし、その戒めは子に引き継いでいく。。。 上手く解説するだけの語力がないので、書きません、ってか書けません。 ファンタジー小説ですが、大人でも十分楽しめる内容です。 お勧め。 なお、この後 「外伝」へと引き継いでいきます。 ストーリー展開が早すぎて、例えば突然結婚してたとか、子供が生まれてたとか・・・ それを埋めるが如くの「外伝」です。
0投稿日: 2023.03.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
母の死という苦しみから始まった物語は、数えきれぬ人と闘蛇、そして王獣の無惨な死という1人の人間に耐えきれぬ程の苦しみの下で終結した。 徹頭徹尾暗く、重く、そして鮮やかに命のあり方とその輝きを描いた壮大な物語の中に息づく意志というものの強さに胸を貫かれたような気持ちになった。 エリンの一生は、しがらみの多いものだった。しかしその一生の中で素晴らしい出会いをし、その志を全うして大切な人の側で最後を迎えられた。 イアルの一生は、苦悩の多いものだった。希望を抱かないように生きるしかなかったその生涯は、結果として最愛のものを見つけ穏やかに幕を閉じた。 ジェシの子供時代は、他の子供とは少し違っていた。王獣を家族のように身近に感じ、そして両親は常に様々な思惑と争いの中に身を置いていた。その渦中で純粋な瞳でそれらを捉えたジェシは、両親の願いのとおり自由に生きていく。 穏やかな日々のなかでも、常に災いが渦巻いていた物語。その結末は哀しくも晴れ渡った気持ちにさせてくれるものだった。 胸が昂るこの余韻にいつまでも浸っていたくなる、素晴らしい物語だった。
1投稿日: 2023.03.26
powered by ブクログ最後まで圧巻。今の状況で読む中で、とても響く。 「戦さというものが、一人の英明な人の英雄的な行為で止められるものではないことを思い知った。人は群れで生きる獣だ。群れを作っている一人一人が自分が何をしているか知り、考えない限り、大きな変化は生まれない。」
0投稿日: 2023.03.05
powered by ブクログ終わりの予感 最後 悲しい終わり方をする通奏低音に包まれて進行する あるいは もしや という期待もあったが... ラストの何十年後のシーン およその顛末が語られる この作者の描く人々の成長は素晴らしい
0投稿日: 2023.02.20
powered by ブクログシリーズ4作目で完結編(外伝を除く)。 本当に素晴らしすぎる物語だった。今まで何で出会っていなかったんだろうと思うほど素敵で、たくさんの方におすすめしたい。 でも、このタイミングで出会ったことにも何か意味があるように感じてならない。それは「戦」と人々の在り方、というこの本全体で投げかけられている視点。ハッとするような文章が沢山あった。エリンに「戦は無くならない」と言わせた上で、 ・顔も知らない多くの人たちが生きた果てにわたしたちがいて、わたしたちが生きた果てに、また多くの人が生きていく ・人は、知れば、考える。(中略)知らねば、道は探せない。自分たちが、なぜこんな災いを引き起こしたのか、人という生き物は、どういうふうに愚かなのか、どんなことを考え、どうしてこう動いてしまうのか、そういうことを考えて、考えて、考え抜いた果てにしか、ほんとうに意味のある道は、見えてこない… ・人は群れで生きる獣だ。群れを作っている一人ひとりが、自分が何をしているのかを知り、考えない限り、大きな変化は生まれない。(中略)多くの人の手に松明を手渡し、ひろげていくことでしか、変えられないことがあるのだ といった文章の数々。自分には、知ることも、考えることも、足りていなかったなと反省させられるし、全世界の人々にこの物語を読んで考えてみて欲しいと思った。 ジェシやエリンやイアルに感情移入してしまって、かなり切ない終わり方だけど、身を挺して全てを明らかにし人々に考えるきっかけを与えたエリンに感謝したい。
4投稿日: 2023.02.07
powered by ブクログ全てが完結した。最後はやはりかという気持ちとともに、エリンと一緒になって安らかな気持ちになった。 自分が探究したいことがあるというのは幸せだなあと読んでいて、羨ましく感じた。 これだけの大作を書き上げる作家さんに本当に感嘆する。
0投稿日: 2022.12.08
powered by ブクログ凄かった。あまりに色々な要素があって、もう一度読まないと分からないことが多すぎる。 エリンが求め続けてきたことは、知識であり、考え続けること。 どんな知識でも隠されるべきではない。王獣も闘蛇も何人にも生を歪められてはならない。 エリンとイアルが理想の夫婦すぎる。 色んな人に読んでほしいのだが、主人公が亡くなってしまうのが苦手な人多いからな…。エリンが幸せに暮らす未来を一生懸命探ったという上橋菜穂子さんが導き出した結末がこれだと私は納得しているけれど。 大人も子供も読むべき文学。
0投稿日: 2022.11.29
powered by ブクログ「知りたい」という思いの先に、たとえ残酷な結果が待っているとしても、私はこの生き方しか出来なかった。そう言えるだけの意思を持ち、行動できることはなかなか無いことだ。 私も、エリンのように自分の信念をしっかりと持って日々を過ごしていきたいと思う。
0投稿日: 2022.11.13
powered by ブクログ闘蛇と王獣。 秘められた多くの謎をみずからの手で解き明かす決心をしたエリンは、拒み続けてきた真王の命に従って王獣を増やし、一大部隊を築き上げる。 過去の封印をひとつひとつ壊し、やがて闘蛇が地を覆い王獣が天を舞う時、伝説の大災厄は再びもたらされるのか。 傑作大河物語巨編、大いなる結末へ。 懸命に生きた人。 小さな、けれどいとおしい一瞬の輝き。 傑作大河ファンタジー巨編、慟哭と感動のクライマックス! 闘蛇と王獣。 秘められた多くの謎をみずからの手で解き明かす決心をしたエリンは、拒み続けてきた真王(ヨジエ)の命に従って王獣を増やし、一大部隊を築き上げる。 過去の封印をひとつひとつ壊し、やがて闘蛇が地を覆い王獣が天に舞う時、伝説の大災厄は再びもたらされるのか。
0投稿日: 2022.08.11
powered by ブクログシリーズ完結編。 王獣軍を訓練したエリンに戦への出陣が近づく。 言い伝えにあったように、おそらく闘蛇軍、王獣軍がぶつかると悲劇が起こることは確実。エリンの考えは何が起こるか分からないならそれを明らかにして後世に残すまで。 できることなら、エリン、イアル、ジェシは家族3人で平和な生活をつかんで欲しいし、リランを筆頭に王獣たちは野生の暮らしへ戻してあげたいと思わずにはいられない。 同じ過ちを繰り返さないために、歴史を紐解き言い伝えではなくきちんと文書で後世に遺そうとするエリンは立派です。エリンの選択で多くの人、獣が失われることにはなったけど、長い目で見れば間違いじゃなかったと思いたい。
1投稿日: 2022.08.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
面白かったけど、少し物足りない気がするのは、精霊の守り人シリーズのスケール感を期待しすぎたからだと思う 理由不明の「戒め 縛」からの解放を志向する物語の構図に「保守vs革新」「権威・伝統vs自由」的な視点を感じ、ナウシカのような未来思考の結末を期待してしまった。しかし、「やっぱり戒律は守るべきだった」という保守的な結末に期待を裏切られた気がして、エリンの選択が結果的に間違っていたと思える展開がバッドエンドに思えた 真王と大公が結ばれたり、王獣が解放されたりと革新的な前進もあるが、印象が薄い 電子書籍版には解説が載ってないのも残念
1投稿日: 2022.07.28
powered by ブクログこの国と獣達の歴史を紐解き、謎を解き明かし、全てを見届けるため、エリンは戦場に赴く。終盤の戦闘シーンは、息をつかせぬスピード感で一気に結末へと向かっていく。全ての物は移り行き、変化しないものはない。自分は心の松明にどのようや光をともしていこうかと、余韻に浸りながら想いをはせた。
2投稿日: 2022.07.18
powered by ブクログ元々2巻で完結してた物語の続編だという。そんな事を全く感じさせない緻密な舞台設定。壮大な物語を破綻させる事なく受け止める世界観に圧倒されました。 2巻からほとんど登場しない人もいるけど、キチンと完結してくれました。大満足です。
1投稿日: 2022.05.29
powered by ブクログついに完結。 意外性や強く感動する場面は無かったが、エリンの物語を最後までかき切ってくれた作者の心意気に感謝!
5投稿日: 2022.05.28
powered by ブクログ全体を通して最も印象的だったのは、エリンと王獣の関係について。 生物単体としての力には圧倒的に差があるにもかかわらず、その力のバランスとは反対に人が王獣を管理している世界。 自ら望んでいることでもあるのだが、大きな社会の流れの中で、王獣と接する機会の多いエリンの危険を伴う立場がよく描かれている。 その中で、自分の意思を曲げずに尊重し、王獣への理解を進めようとするエリンの姿がとても純粋に綺麗に見える。 人生をかけて王獣と向き合ったエリンだが、最後の最後まで人と王獣、エリンとリランの関係が型に収まらなかったところが歯痒くて、でもそれが小説の終わりとしてはとても良かった。 費やした時間や想いが物事の結果を必ずしも成功に導くわけではないけれど、やれるだけのことはやったと自分で思えることってとても凄いことだと思うし、そう思えたならきっとその人は報われているんではないかなと思う。 エリンの生き様がとてもかっこいい素敵な小説でした。 合本版で読んだのは失敗でした。 1つの本として読むにはあまりにも長かった。。 読み終えて他の人の感想を見ていると、どうやら2までで1度完結している模様。 さらっと読み返してみると確かに2までが抜群に面白かった。 3.4.外伝も面白かったけれど、それまでとは一気に時間軸が変わるので別の物語として見たほうが自然かもしれません。
6投稿日: 2022.05.04
powered by ブクログ人と獣との間にある大きな隔たりを少しでも埋めたくて。 言葉が通じても思いは伝わらず争いが絶えない人という生きものの愚かさを知ってもなお、その先の道を探したくて。 知って、知って、考えて…。 エリンが探求し続けて得た知識が、 後世に長く継がれていくことを願います。
1投稿日: 2022.03.13
powered by ブクログエリンシリーズ最終巻。 闘蛇、王獣に続いて、夫のイアルと息子のジェシ。 生き物の謎を解き明かすために過ごしてきたエリンが、人間という生き物と向かい合う。 家族の絆も、人生のほとんどを共に過ごしてきた王獣との絆も、とても大切に描かれていて感動。 ヨジェとアルハンの関係も、その名も、1つずつ謎が埋まっていく。 完結編は、国や人が沢山出てきて、追いつかなくなったりしたけど、やっぱりこのシリーズは面白い。
0投稿日: 2022.03.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
悲しい悲しい悲しい…悲しくて、2巻で読み終わっておけばよかったと思った。5巻目も買っているけれど、結末を知ってしまった以上読める気がしない。 最初から最後まで、苦しくて暗くて辛いお話だった。でも、読み止められなくて、引き込まれてしまった。
1投稿日: 2022.02.27
powered by ブクログシリーズの完結編ですね。 その世界観を最後まで見事にまとめてあげてると思いました。夢中で読みました。 人間は、争うことをやめない生き物だなお思います。
0投稿日: 2022.02.06
powered by ブクログ最後まで、崩れることない、圧倒的世界観。 胸がいっぱいになります。 言葉が見つかりません。 とにかく、ぜひ読んでください!
0投稿日: 2022.02.02
powered by ブクログ読んでいて重く苦しい展開に、何度か手が止まってしまった… 良い話だけれども、気持ちが引きずられてしまうので注意。 王獣を操る方法を見つけてしまったエリンの葛藤は、アインシュタインなどの科学者の葛藤と同じものなんだろうな。 国と人命と王獣と家族。 全部を抱えるエリンの覚悟が悲しい。
11投稿日: 2021.10.08
powered by ブクログ読み終えれて良かった。 でも、ホントにホントに読んでて苦しかった。 読むの止めたくならなかったのは、エリン(とリラン)がどう生きるのかを見届けたかったら。 .......しんどかったよおおおおお!!! 私の理想とするハッピーエンドの姿ではない結末だけど、あとがきを読んだら納得する。 あの結末だからこそ、この物語なんだろうと思う。 .......番外編も買うかー。。。。(しんどいの続くと辛いけどなああああ!! ・3巻の時に引っかかってたジェシとエリンの親子関係が書かれてること、エリン側の気持ちの描写が書かれてることは嬉しかった。 ・エリンの物語だから、セィミヤの思考はあまりハッキリ分からないまま。とはいえ、3巻よりも真王としての自覚をハッキリと見せられた気がする。 かっこよかった。
1投稿日: 2021.09.20
powered by ブクログついに完結!王獣が自然の中で自由に生きていけるように…その考えとは裏腹にエリンは大きな運命の渦に巻き込まれていく。 その渦に呑み込まれながらも、国の未来と何よりも夫と息子のジェシのため、エリンはひとりで立ち向かう。 人間の欲に振り回される王獣と闘蛇。色んなことを考えさせられる本でした。 読みながら、リランと我が家の愛犬が何故か重なって、読み終えた後、ギュッと抱きしめてしまった。
4投稿日: 2021.09.19
powered by ブクログ全巻一気読みでした。止まらなかった。超長編でしたがダレることなく最初から最後まで物語に入り込める小説でした。ハラハラするし、ほっこりするし感動するし、本当に楽しめました。 完結編にいたっては、終わるのが寂しすぎてゆっくりとじっくりと読んでしまいました。 今まで読んだ小説のなかでもここまで入り込めたものはないんじゃないかなぁ。読了感もよかった。いい作品に出会えました。
1投稿日: 2021.09.17
powered by ブクログものすごく考えられて緻密な計算がされた、物語の世界の完成度がものすごく高い作品です。 気持ちを込めてこのシリーズを読んでいたので、最後は泣いてしまいました。 読書がこんなにも面白いと思ったのは、本当に久しぶりです。
0投稿日: 2021.09.16
powered by ブクログ4.3 色々深く考えさせられるような話でした。 巻が進むにつれどんどん重い話になっていって、読んでで辛かった。
8投稿日: 2021.08.31
powered by ブクログ子を持つ親になってから読んだから、多分昔と全然印象が違う エリンはああなるのが正と思うけど、やっぱりジェシのことを思ってしまうね こう終わらなくちゃいけなかったしみんなそれを思い描いていたけど、やっぱ辛いものは辛い 隠すってのはやっぱいいことないね
0投稿日: 2021.08.30
powered by ブクログマンガの最終話が作者の中の終わりだったことをあとがきで知った。 そして、その後に本作へと続く物語が拓けたことも知った。 2巻で終わらず、4巻まで読み終えることで、物語が綴じられたと感じいる。 マンガを読み終えた人は、本完結編まで読み終えて欲しい。 切に願います。
0投稿日: 2021.08.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
再読。1〜4巻まで、あっという間に読みました。 一度目は、ただただその世界観にドキドキしてのめり込んだけれど、二度目は展開を知っているのでざーっと流しながら。 そうすると、エリンが、ただただ自分の探究心と、『可哀想』といったような感情で動いた結果、こんな大きな災いを起こしてしまったんだよなぁと。 自由に生きれない王獣が可哀想だから、ルールを無視して自分のやりたいように育てる。 王獣と心が通い合うのが嬉しくてそうした結果政治に利用されることになる。 偉い人が襲撃されて可哀想だから王獣使って戦って戦争に使われることになる。 子供が可哀想だからルール違反も放っておいて好き勝手させて危険な目に合わせる。 うーん、結構勝手だな!て面を強く感じてしまった。その行動がこの先何を引き起こすのか、わかってたからだろうなあ。 でもせっかくのルールも何故そういうルールを作ったか、という理由がわからないと、結局もう一度悲劇を繰り返して学ぶしかないってことなんだな。 エリンは扉を開けたけどきちんと次の扉を開いたという意味で世界はひとつ前に進んだのでよかった。 3回目はまた違う視点で読んでみたいです。
1投稿日: 2021.08.20
powered by ブクログこちらもアツいリクエストのもと、書き下ろす予定のない中で書き下ろされた完結編 ほんとに容赦なく子ども向け一辺倒には書かれない方だよな、上橋先生…色々な意味で…
0投稿日: 2021.08.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
完璧な物語から、それ自体を損なってまで出るものは「その物語であるからの必要」がある。『ゲド戦記』にその先例を知っていたはずなのに、私はなぜかこの『獣の奏者』にそれは当て嵌まらないと、半ば意地のように思っていた。2巻の、リランとエリンの間に束の間こころがかよった(ように感じられた)奇跡こそがすべてだと。けれど、それはエリンーーヒトにとっての救いであって、ヒトに使われる身に落ちてしまった獣への救いではない。そのことが、この4巻を読み進めるにつれて沁みたのだ。まったく私も浅はかだったものだ。「完璧な」、上橋菜穂子さんがあとがきにて語っている「球体のような」物語から出づるものは、「芽」ではないだろうかと、いまはぼんやりながら感じている。
0投稿日: 2021.08.02
powered by ブクログラーザもまた、闘蛇を育て、部隊を編成した。 いよいよリョザとの戦争が近づいて来る。 王獣を戦争で使わせない、王獣を野に放ちたいと願ってきたエリンも、巻き込まれていく。 前の巻の末で、エリンは自ら王獣を訓練し、増やし、行きつくところまで行って、何が起こるかを見届ける決意をする。 イアルは自ら闘蛇乗りになることを志願し、戦場でエリンを支える覚悟を固める。 ということなのだが、十代に入ったジェシにとって、これはたまったものではない。 これでも物分かりがよすぎるくらいだ。 戦いは、一人の英明な人物によっても止められるものではない。 終盤に出てくるこの言葉は真実だろうと思う。 王獣と闘蛇を使った戦いで起きたことをすべて記録し、多くの人に伝えることで、兵器としての王獣を持たない国となったリョザ。 ここに希望を見るべきか。 あるいは曾孫の代には、再び不完全な記録となり、継承されなくなっていくのか。 重い問いを突き付けられた気分がする。
0投稿日: 2021.05.16
powered by ブクログ「家族の日々」 傍に居たからこそ選んだ道。 産まれた時から彼女の後ろ姿を見続けていたからこそ、どれだけ考えたとしても一つの答えにしか辿り着かなかったのかもしれないな。 幼かった自分と同じく深く意味を考えず発した言葉は、大きく胸を抉っただろうな。 「春の飛翔」 遂に訪れた訓練の中で知る。 彼女が知る術を書き記した教本を元に訓練をし、心を通わせる事が出来たとしたら誰でも奏者になれる可能性はあるのかもしれないな。 過去を知る者と接触する事が出来たら、迷う事無く進むべき道が分かっただろうな。 「別れ」 傲慢が招いた襲撃の後には。 絶対に有り得ないと決めつけ必ずしなければならない事を怠ったからこそ、相手の侵略を許し簡単に乗っ取られてしまったのだろうな。 特別な事など一つも無く、平等に接していれば民の心変わりくらいは防げたかもな。 「狂乱」 避ける事の出来なかった戦。 何一つ隠す事無く当時起こった事を忠実に書き記し言葉でも伝え続けていたら、この様な誤ちは二度と起きることもなかっただろうな。 目の前で実際に見た者が居る限り、この出来事は鮮明に語り継がれていくだろうな。
0投稿日: 2021.05.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
するするよめて面白い小説だったー。ファンタジーでありながら、奥底にはずっしり重いテーマが潜んでいるのもよかった。ラストは悲壮的だったけど、無理矢理なハッピーエンドでないところも、この物語の主張をくっきりとさせるという点で素晴らしかったと思う。
0投稿日: 2021.05.04
powered by ブクログ完全無欠のファンタジーである 鹿の王を先に読んでいたけど これを上回る設定とストーリー性 ファンタジーの天才
0投稿日: 2021.04.05
powered by ブクログ人と獣の在り方、自分の意思を貫く強さ、人というものの醜さと愛しさ......たくさんのことを教えてくれた本だなと思いました。 どんな時でも、自分にとって最善の道を生きようとするエリンはかっこいいと思いました。
0投稿日: 2021.03.30
powered by ブクログエリンとイアルの強い意志とそれを見守るエサル師の凛とした態度。エリンの息子の思春期ならではの揺れ動きや両親へ想いと自分の夢とか内容が濃かった。 当巻で全ての謎が解けるけれど、カレンタロウが実在していたこととその正体に、物語りがより深まって、この世界の歴史が明らかになる流れも作者の実力に圧感されました。 自分で体当たりで謎を解明し人々に見せることを決意したエリンの不器用さとつよさには、最後までハラハラしたけれど、その結果が統治に活かされるあたりに、人間の目の当たりにしないと分からない習性というか、悲しさも感じた。きっと、また繰り返されてしまうのかなという印象も受け、うまい終わり方だなぁ。
3投稿日: 2021.01.26
powered by ブクログ先々の人々が、自分の志を少しでも継いで行ってくれるのなら、死んでもあまり悲しくないなと思いました。残された方は悲しいけどね。 志が絶たれてしまったとしても、いつか虫食いの芽のように、同じ想いを持つ人が現れるんだろうなと思いました。 人って生き物なんだなぁ。
1投稿日: 2021.01.24
powered by ブクログ蛇足。 そう感じざるを得なかった始まり。 読み終えてみたら。 素晴らしい物語。 エリンが亡くなる前の4日間。 長くはないが幸せな時間だったと思いたい。 いつまでもいつまでも幸せに過ごしましたとさ。は、夢でしかなくとも、幸せな終わり方ってどんなものかな、と思えば、こういうことなのかなぁ、とぼんやり思った。
0投稿日: 2020.12.01
powered by ブクログ人生をかけて自然と人の営みに向き合い、真実を追い求める女性エリン。これまでともに歩んできた彼女がどのような結末を迎えるのでしょうか。
0投稿日: 2020.11.24
powered by ブクログ言葉にできない。言葉にならない。最後の場面では、本当に音がなくなったような錯覚に陥る。自然と涙が零れ落ちる。
0投稿日: 2020.09.01
powered by ブクログ『獣の奏者 Ⅳ 完結編』読了。 息する間も無く読み終わってしまった。何かで結末を知ってしまったからお願い死なないでってすごく願いながら読んだな。 人は愚かだ。欲深い生き物で欲を満たすために残酷なことを平気でする。 その一方で人は考える生き物で必死に希望の光を見つよけうとしていた。 登場人物たちが愛おしく感じたな…みんな一生懸命でいいほうへいいほうへ考え知ろうとしていた。 そして知ったことを後世へ伝えるためにいろんな手段を用いようしていた。 諦めない、その姿勢。なんか、カッコいいな… どんな結末でも、生き抜いた主人公がカッコよかった。 やっと、獣の奏者を全部読むことができて非常に満足…あとは外伝を読むだけ… すごく3巻4巻読むまでに時間がかかってしまったけど…シリーズものを読むにあんまり間をあけない方がいいなって思ったわ。忘れるから。 2020.8.23 (1回目)
6投稿日: 2020.08.23
powered by ブクログ完結編。 一気読みした4冊。 あー、終わった。。。というのが感想。 強烈な運命を背負ったエリンと真王の生涯を全編通して見守ったと共に、今の世の中にとっても大事なことを口伝している書。という印象。 口伝というと、この物語がさも、本物のように思える言葉だが、形を変えた口伝なんだと思った。 『人は、知れば、考える。多くの人がいて、それぞれが、それぞれの思いで考えつづけてる。一人が死んでも、別の人が、新たな道を探していく。人という生き物の群れは、そうやって長い年月を、なんとか生きつづけてきた。(略)知らねば、道は探せない。自分たちが、なぜこんな災いを引き起こしたのか、人という生き物は、どういうふうに愚かなのか、どんなことを考え、どうしてこう動いてしまうのか、そういうことを考えて、考えて、考え抜いた果てにしか、ほんとうに意味のある道は、見えてこない…。』(496頁) 人間は学ぶ生き物であるべきで、その学びを糧に災いを起こさないように考えなくてはいけない生き物。 人間は、この地球上で、自分たちが一番の偉いと勘違いし、どんな生物も意のままに操ることができると自惚れている生き物。 過去に学び、自分たちが地球上で生かされているだけだということを学ぶべきなんだろう。 と、読み終わって強く感じる。 ファンタジーなのに、ファンタジーじゃない。 不思議な本だった。
0投稿日: 2020.07.27
powered by ブクログあとがきにも書いてあったように、闘蛇編・王獣編が第一部、探求編・完結編が第二部、みたいな位置づけなのでしょう。 確かに、第一部と第二部では物語の軸となる大きなテーマが少し異なっているようでした。 第一部は、不条理な社会的乖離と人々がどう向き合っていくのか?というある意味、社会学的な側面がありましたが、 第二部、人類の性(さが)や歴史の底流の一端を必然的に担っていく人々は、どう生きていけばいいのか?といった文化人類学的な側面が感じられました。 また、探求編・完結編を読んでいくと、わたしが大学生の時に読んだ、 「影の学問・窓の学問」や「職業としての学問」を思い出しました。 両著とも「学問の本当の目的はなにか?」みたいなことを書いているものでした。 間違いなく、上橋さんは「影の学問・窓の学問」を読んでいます!(と思います・笑) 学ぶことは、疑うことであり、問い続けることであると思います。学びにより行きついた真理は必ずしも(その時)を幸せにするとは限りません。 しかし、数十年、数百年と長い時間かけてあるべき姿にブラッシュアップしていけるか?が大切なのだと思います。 「エリン」という語は物語では「リンゴの実」を意味していました。 リンゴはよく「禁断の果実」というメタファーに使われます。 エリンの行きついた真理が人類に正しくいきわたることを願います。 児童書でここまで書きますか!面白かったです。
0投稿日: 2020.05.21
powered by ブクログ出た目は悪くなかったが、4までやったら足が出たか。 (以下抜粋) ○「親が圧倒的であれば」 セィミヤが、ぽつっと言った。 「多くの子供達は、穏やかに生きられる。ーーそういうかたちが、、安定を生むのね」(P.180)
3投稿日: 2020.03.28
powered by ブクログ『獣の奏者』を以前読んだのはいつ頃だっただろうか。<完結編>はおろか、文庫版もまだ書店に並んでいなかったと思う。硬い材質の厳かな表紙に包まれた<闘蛇編><王獣編>が、まるで二つで一つのような佇まいで、近所の本屋さんに平積みで置いてあった光景は、なぜだかすっと思い出せる。 思えば初めて<闘蛇編>を読んだのは、冒頭のエリンと同じくらいの少女だった気がする。世間をまだ何も知らず(今でも知らないことばかりだけど)ただ本ばかりを読んでいた。 親元を離れ、社会で働き、籍を入れるタイミングで、再び巡り合ったこの本は、<探求編><完結編><外伝>が追加されただけでなく、文庫どころかKindle版として、わたしの前に現れた。こう書くと、否応無しに時の流れを感じさせられますね。 『獣の奏者』を読んでまず驚いたのは、冒頭からぐんぐん引き込まれること。序章1話、闘蛇の牙全てが死んでしまう事件が起きる。この話だけで、主人公エリンの生まれ育った環境や、闘蛇の重要さが伝わってくるし、何より大きく何かが動く予感を感じさせる。 養蜂業で生計を立てるジョウンとの生活など、自然と共に生きる人間の描写が、本当に生き生きとして、リアルであった。この自然の描写、そして自然と人間の営み、国家政治が複雑に絡み合っていくのが、上橋さんの書く物語の、堪らなく好きなところだと思う。地理、経済、政治、自然現象が絡み合って物語となる。まさに新たな世界の歴史を生み出している。
1投稿日: 2020.02.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最後の章は涙が止まらなかった 小さい頃にアニメを見て、わたしの中では生き続けてきたエリンが死んでしまった… そして、エリンの切望したことが最後に叶ったことがうれしいのだけど切なかった エリン、イアル、ジェシが思いをつないで生きていくことが最後にわかってよかった
0投稿日: 2020.02.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
闘蛇同士を戦わせると、ああなるのか……。 意外な結末だった。だけど、やっぱり大切な命は失われてしまった。 特殊な存在として生きることになったエリンだけど、ちゃんと幸せはつかめたよね。
0投稿日: 2019.12.08
powered by ブクログ都合の悪い事実を秘するのではなく、知ることができるようにし、各自が事実を受け止め、知恵を出し合うことによってのみ、明日へ続く道を見つけることができるのではないか。 そのためには、知るということ、考えることについて、真摯であること。扇動に軽々しく乗らないよう自らを戒めること。 分野は違えども、研究者としての顔を持つ、この物語の主人公と作者の思いなのかも知れません。 エリンの生涯は、重いものでしたが、異種でありながら王獣との絆を築いたことも、彼らを解き放ちたいと願ったことも、子どもを授かったことも、すべて心に深く根差したことだったのでしょう。
0投稿日: 2019.09.20
powered by ブクログ面白かった。残念だったのは読んだ時期が悪かったですね。最後は圧倒的な勢いで一気に読み終わりましたが、前半乗り切れませんでした。その分で☆4となってしまいました。きっと、気持ちが乗っている時に読んでいたら☆5だったと思います。 でも、古くからの言い伝えに挑む緊迫感はよかったです。
0投稿日: 2019.09.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この物語はまるで神話だ。と誰かが言っていたように、 かつて地球で起きた史実を読んでいるような感覚だった。そして壮大な物語の裏にある作者のメッセージを考えずにはいられなかった。 どれほど愛していても反射的に牙を剥く王獣や 繁殖能力を失った闘蛇に 自分の愛犬が重なってしまって、 生き物は人間が思いのまま扱っていいわけないのに、 自分はどこかでペットのことを都合よく捉えてはいないだろうかと反省させられた。 制御不能な武器を行使してでも 戦争を続ける人間の愚かさや 生き物の在り方を変えてしまう人間のエゴに対する問題提起を物語を通して語りかけてくる作品です。 多くの人に読んでほしいと強く思います。
0投稿日: 2019.08.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この物語は深く、辛いけど 考えさせられる作品。 エリンの強さに憧れます… 2019.06.01 読み終わりました。 2度目の読み終わりです。 1人の女性の人生を垣間見た気がしました… 王獣と、戦蛇の引き起こす 予想し得ない惨劇… どちらも、野にある姿ではないからこそ起こるその災いに、胸が苦しくなりました。 エリンの思い、ジェシの思い、イアルの思い… お互いを想いあっているのに 苦しい結末へと向かってしまうのが、読んでいて辛かったです。 でもきっと、エリンは報われたのだろうと、 最後の章を読んで感じました。
0投稿日: 2018.11.05
powered by ブクログとても良かった。獣使いがどのようにして現れたのか歴史も知りたくなった。 探求編と完結編をアニメで観たい気もするけど、戦の生々しさや情景は自分で想像するほうが楽しいのかななんて
0投稿日: 2018.09.30
powered by ブクログ小説を読んでいるといつも主人公と同化してしまい終わった後に現実との接点があいまいになってしまうけど、この小説も読んでいるうちに闘蛇と王獣のぶつかりあいで何が起こるのかを知りたいエリンとすっかり同化していまった。何が起こるかが恐ろしく、またそれ以上に知りたいという気持ちでページを進めるのがいやだけど、でも読みたいといった感じになった。 ラストのジェシが語るシーンが印象的。
0投稿日: 2018.08.22
powered by ブクログ架空の生物(意思を持って動く何か)を描くのって難しいんだなといつも思う。 その生物は災いをもたらすのだけど、そのやり方に対してそんなの現実味がないなあとついつい思ってしまう。誰かの想像の産物なのだから、それで当たり前なのだろうけど。
0投稿日: 2018.08.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
エリンが結果的に起こした事で、やっとみんなが目を覚ましたけれど、またその時代のひとたちがいなくなった頃に争うだろうなと。そう思うと何とも人間って学習するようなしないような。 もう少し主人公家族が幸せになってほしかったので、外伝を読みたいと思います。
0投稿日: 2018.07.20
powered by ブクログ2013.9/15 エリン家族にも王獣リランたちにも最後には幸せがあるんだよね?と自問しながら読み進むが...物事の真理を探究すること、社会のあり方、教育とは...「物語」としてくくれない学びを提起してくれる本であった。
2投稿日: 2018.01.08
powered by ブクログ2017/12読了。2度読み。戦争、人の愚かさ。 人生のはかなさと愛。切ないラスト。 人の一生は短くても、リレーのように渡していく、その考えが心にひびく。中島みゆきさんの歌にもそういう歌詞がありました。 しかし、狂乱のラストは何度読んでも胸が痛い。ファンタジー世界でも実世界でも、戦争とは酷く愚かなものだと思う… 結局、自分の手に負えない負の遺産を残してしまうのだから。
1投稿日: 2017.12.16
powered by ブクログファンタジーながらも現代を生きる人類に関しても考えるきっかけをくれる、とても良い本だった。いつか子供にも読ませたい。知り、学ぶという事がどんなに自分の人生を輝かせてくれるかを教えてくれる。
0投稿日: 2017.10.27
