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瓶詰地獄
瓶詰地獄
夢野久作/青空文庫
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総合評価

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  • 筋はともかく美しい

    短編で読み進めるうちに筋は分かってしまうのですが、そんなことはどうでもいいほど描写が美しい。 心の描写が主なのですが地獄に耐えかねた二人の行く末は身につまされる想いでボロボロ泣きました。 純心な二人の純粋な苦悩、純粋な衝動を誰が責めることができましょうか。

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    投稿日: 2014.01.08
  • 哀しい物語

    **************************************************************************************************************** (あらすじ) 海洋研究所が潮流研究の為に流した小瓶と共に、近くで見つかったという他の3本の瓶も送られてくる。 それは昔、難破事故によって南の無人島に流れ着いた兄妹の書いた3通のメッセージボトルであった――。 **************************************************************************************************************** ――手紙は、開封順に1, 2, 3と記載される。 『1』は最後に書かれた手紙。 物語はいきなりクライマックスの展開から始まる。彼らはなぜ、このような選択に至ったのか。 『2』は2枚目に書かれた手紙。 漂流してからの生活の日々と、成長と共にあらがえぬ人間的欲求。 唯一の教育指標であり、彼らの倫理観である新約聖書に反する行為や思考に対する自らの葛藤。 残酷なまでの人間の成長。 外部から疎外され、平穏の楽園の中で長い年月を過ごせると思っていたものが、思春期を迎えた自らの精神の変化によって乱されていく。 ただ一つ信じていた絶対的価値観が脅かされ、しまいには自ら裏切ることになる。 そして、ここでの長い年月は、たちまち楽園から地獄へと変わる。 『3』は最初に書かれた手紙。 まだ何も知らない、幸せな二人の子供。 ―― この、時系列を逆に進む手紙の並び順が、物語構成それ自体をとても詩的にしています。 3つめの手紙で終わりを向かえた時、日常生活でふと童心に帰ったときに蘇る、ノスタルジックかつ憂鬱な気持ちになりました。 子供の頃信じていた物事は綺麗事と知り、いつか自分で裏切らなければいけない時が来る。 大人になることで忘れてしまった幸せと、知ってしまう事による悲しさ。 それは、たとえ社会と接点がなくとも、必ずどこかでその心に沸き起こってしまう人間の宿命。 悲しさと、やるせなさと、哀愁に満ち溢れた物語でした。 この物語、手紙が書かれた順を、異なる時系列として解釈されている方も見受けられます。 私はまだ上記のような時系列でしか租借できていない為、再読する際には全く別の楽しみ方ができるのではと期待しております。

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    投稿日: 2013.09.24