
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
おもしろかったーー!!ほんっとにおもしろかった!まさか自分が山崎豊子をワクワク読み進められるようになるだなんて思ってなかった。重厚で硬い小説なのかと……もちろんそうなんだけどきちんとエンタメ。さいっこうだった。ラスト5mmになっても満足しきれなくて、袁力本はどうなったの?何より黄書海は!?!?って気になって気になって。『大地の子と私』も読むぞ。
0投稿日: 2025.12.27
powered by ブクログ「理不尽の教科書」だこれは。 フィクションではあるものの、リアルで、理不尽とはこういうものかと勉強になった。 とにかく壮大すぎて圧倒された。 読み進めていくにつれて、想定以上に壮大になっていくので、途中からは諦めて傍観するしかなくなる感じ。 まさに運命とはこういうものか。 歴史の根深さが突き刺さってくる。 と同時に、自分も強くならなければ(強くなれる)と言う気持ちにさせてくれた。
0投稿日: 2025.12.14
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85/100 当時の中国の現状とフィクションがあまりに綺麗に描写されている。なかなかここまでリアルに切り込んでるものはないと思う。 親子との絆が、陸一心として松本として、自身のアイデンティティに悩まされながらも、結局大地に根を張り巡らせ生きてきた中国としての誇りを忘れずに過ごしていくことへの並々ならぬ覚悟を示して終わっていた。 労会に送られどんなに辛い目に遭わされていたとしても自分の家族を痛めつけた国であっても、それ以上に感じ取るものがあったのだろう。 何より陸徳志があまりにできた人間すぎると言うのもありそう。 自分の知見を広げると言う意味でもタメになる本でもあった。
0投稿日: 2025.12.14
powered by ブクログ読み終えてまず感じたのは、「ここまでのすべてが無駄ではなかった」という深い充実感でした。一心のような過酷な人生を自分が歩むことはありませんが、それでも彼の姿勢は、自分も前向きに生きようと思わせてくれます。 最終巻でも一心には次々と苦難が襲いかかり、罠にはめられ、ついには左遷まで経験します。それでも折れず、絶望に沈まず、生き続ける。その強さには本当に胸を打たれました。そして、今まで生きてきた事がようやく報われていく場面には、読んでいる自分まで救われたような気持ちになります。 タイトルの「大地の子」が回収されるのは本当に最後の最後。一心が中国に残ることを決断した瞬間、彼の歩んできた道と、その先に広がる大地とのつながりが腑に落ちました。「ああ、この物語はここに向かっていたのか」と静かに納得できる結末です。 読み進めてきた時間すべてが報われるような、深い感動の余韻が残る一冊でした
0投稿日: 2025.12.12
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とても素晴らしく、一気に読んでしまった作品だった。 何度も作中の言葉を調べ読み進んだが、自分が日中戦争やその後取り残された人々、また中国での文化大革命について全く知識がないことについて恥ずかしく思った。 現代を生きる自分には全く想像もできない理不尽さと苛酷さが焼きついて離れない作品だった。 個人的には一巻の陸徳志が、餓死覚悟で一心を守る姿、一心の疑いを晴らすために全てを投げうって北京へ直訴する姿が心に残った。
0投稿日: 2025.11.24
powered by ブクログ今まさに中国様の虐めにあっている日本君ですが、とりえあずはこれでオーバーツーリズムが多少なりとも改善されるようなら心置きなく京都に遊びにいけるのでいい事ばかりじゃないですか。それとは別に先日底だと思って買った資生堂株が、ど真ん中の中国銘柄の為に更に底を掘り続け、地球の裏側まで突き抜けそうな勢いで、おい、今度は俺を虐める気かと今泣きながらキーボードを連打しております。涙で画面が良く見えねえなー、ああ、そうです、老眼ですよ。はい、皆様いかがお過ごしでしょうか。 文化大革命から始まり、鄧小平の時代が舞台ですが、かの国の根本的な考え方は今でも何も変わってないと実感しますね。中国は戦後賠償を小日本鬼子から受け取らなかったから小日本鬼子には何をしてもいいだと、小日本鬼子偉そうにするんじゃねーと、今回のアレもそんな感じでしょう。申し訳ございません。 いやー、泣きましたよ、これ。戦争孤児として生き抜いた兄妹の再会、その妹の過酷な人生、娘2人のパパとしては現実にこれに近い事があったとだと思うと読んでいて辛いってもんじゃないですわ。兄は兄で小日本鬼子の血を引くものとして文化大革命で冤罪を着せれられ、それが終わるとまた別件で貶められ・・・・涙腺が緩すぎる私にとってはバスタオル必須案件でした。くそ、あいつらめ。 筆者曰く『日本の現在の繁栄は戦争孤児の上に成り立っているものである事を知ってほしい。』と。まさにこれを読んで痛感しました。 今でこそ読むべき名作。
11投稿日: 2025.11.18
powered by ブクログ4巻通してaudible で聞いた。 終わって安堵感。 良い終幕だった。これ以上一心に辛いことが起きないことを願うのと、小説が終わったことでその出来事から解放されるような気持ちに似た安堵感だと思う。 それほどまでに辛い内容だった。 一心や妹のあつ子のような境遇の残留孤児はたくさんいたのだろう。子供の頃にテレビで見ていた残留孤児のニュースを思い出す。 残留孤児の話と製鉄所建設の話が絡み合いながら、当時の日本と中国の世情もよくわかる。 あとがきには、当時中国側に取材した時の様子もあり、好意的だった指導者から、政治が変わると、一変して取材不可になったりと苦労の様子が伺える。 二つの祖国と大地の子は、時々読み返さなければならない作品だと改めて思う。 今回audible で聞いたけど、とても聞きやすく良かった。
0投稿日: 2025.10.31
powered by ブクログ久しぶりにこの本を再読した。主人公陸一心の過酷な運命、それに負けず、努力して生き残っていった。またそれを支え続けた奥さんと中国人父母の人間愛に感動した。
1投稿日: 2025.08.12
powered by ブクログ最後は結局、中国人であると自分のことを思うんだと言う感想。日本人であっても、その地で様々な試練を乗り越え、様々な人に出会い形成した人生は、そう簡単には覆らないんだと強く感じた。昼顔すと、そのような状況に陥る一心のような人を生み出した。戦争の残酷さも身に染みて感じた。血の繋がった本当の父親、自分の命にも変えて育ててくれた。中国の父親のどちらを選ぶかと言う選択を迫られる一心の辛さが、身に染みて感じた。 コールを立てる工程の描写については、自分の今の仕事上も、のような思いで建てられた頃なのかと思うと、鉄鋼業に対する見方がかなり変わったように思える。一方で、このようにして、日本が技術供与した中国の製鉄技術が、世界中を不況に陥らせている事はなかなか興味深いと思った。また、中国の社会の汚いところや、素敵なところ、中国人と言う国民の人柄についても、話の中に入り込むことで、より理解を深めることができた。
3投稿日: 2025.05.23
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今の時代、ほとんど聞かなくなったが、自分が子供の頃によく耳にした「中国残留孤児」の一面をこの小説を通して知ることができたのは自分にとって大きなものでした。 どんな苦難や逆行にも負けずに貫き通した生き様は、中国人として生きることを選択しながら、古き良き日本人的な考え方だと感じた。 妹あつ子の生涯を思うと本当に胸が張り裂けそう。 そしてラスト近くかつての恋人、趙丹青が活躍してくれた!なんとスカッとした顛末か!
2投稿日: 2025.05.23
powered by ブクログ後書きと解説がまた面白かった。大地の子を書くにあたって大変な取材を重ねたことも、タイミングが違えば書けなかったことも確かに言われてみればそうだなと。こういう現代中国史を書いた本は珍しいなと思う理由に今更思い至って、背景を知れてより凄い作品だったなと思う。
2投稿日: 2025.03.08
powered by ブクログ国家間の争いに巻き込まれ、大地の子となり人生を変えられた主人公陸一心の生涯に胸を引き裂かれる思いになった。なぜ戦争はなくならず、誰が誰のために戦争をするのか考えさせられた。見えずらいかもしれないが、戦争での被害者は本来何も知らずに生涯を送れるはずだった陸一心のような普通の人物なのだと思う。 このような歴史を小説から学べることに著者に感謝したい。
3投稿日: 2025.02.17
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まさかの父松本として分かり合えるのがあつ子の死を見届けた直後だとは心が痛んだ。そしてようやく父と再会を果たしたその後も、僻地に飛ばされたりそれでもなおルーイーシンは結果を残し真面目に働く姿に胸が打たれた。 何より最後に、父が日本へ帰ろう、このままここにいても安全は一生確保されないとお互いで分かっていながらも、大地の子である、と中国残留を決めた結末により心が痛み、この本を次の世代の人にも進めて知って欲しいなと思った。
1投稿日: 2024.11.12
powered by ブクログ本来巻き込まれるべきではない国民が戦争により「大地の子」になってしまった。 全四巻を通して、戦争というのは本当に誰を幸せにするのかということを感じさせられるし、真の犠牲者は兵隊だけでなく国のためを考えて行動した一般市民ではないかと思う。 中国に残された孤児たちの凄惨な歴史、人生。日本がしてきたこと、中国がしてきたこと、それぞれについて考えるきっかけを与えてくれた小説であった。
16投稿日: 2024.08.14
powered by ブクログ胸が張り裂けそうになりながらも、読破。 主人公、陸一心の人生は苦難の連続で、その度に自身の努力や周囲からの助けで這い上がってきた。これから自分の人生にどんなに辛いことがあっても、陸一心ほどのことではないだろう。 戦争が市井の人にもたらした影響の大きさや、家族の絆について考えさせられた。
0投稿日: 2024.05.19
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ようやく再会した妹だったが、重い病に臥せっており間もなく亡くなってしまう。 そして、妹臨終の場で実の父と再会する主人公。 お互いに、仕事の立場の違いからすぐに打ち解けることはできない。 出張で日本に行った際、主人公は父の自宅を訪れ、母や妹達の仏壇に手を合わせることで父と打ち解けることができた。 しかし、このことが原因でライバルに足を引っ張られ、主人公は左遷されてしまう。 1年あまりを経て主人公の冤罪は晴れるが、その窮地を救ったのが元カノというのが意外だった。 悲願であった日中共同の製鉄所もようやく稼働することができ、終始仲の悪かった日中間も和解する。 そして、物語の終盤、主人公と日本の父は2人で中国大陸の旅に出る。 日本に戻ってきてほしいと訴える父に主人公は「私は大地の子だから」と応える。 広大な中国大陸、大地の子。この物語の題名の意味を知り、とても感動した。
0投稿日: 2024.03.08
powered by ブクログひたすら心に重く、戦争への怒りでいっぱいで、読むのがつらかったです これが今からそう遠くない昔のこととは。 運命の過酷さを受け入れられない、納得できないと思いながら読み続け、最後の最後でもう全身に衝撃なほどの納得と涙が この世から戦争がなくならない限り、今もどこかの紛争地で同じような人たちがいるかと思うと、本当につらいです。
0投稿日: 2024.02.25
powered by ブクログ前半の戦争及び日本人への待遇、また日本軍の行為、えん罪のための囚人描写など大変につらい内容だったが、近代から現代への中国の発展へ続く鉄鋼の製造の様子は、新しい中国へ、人々の暮らしが豊になりそうな復興を予期する内容。 主人公が肉親との逢瀬を果たすも、それがまたもやスパイ扱いされるなど、過酷な運命は続くが、戦後を生き抜いた強い魂が広大な土地ではぐくまれ、またさらに生きていくという決心は壮大でよい終わりだった。
0投稿日: 2023.11.12
powered by ブクログ以前に一度読んでいて、再読だったが今回の方が読んでいて辛く感じた。 解説にあった著者の「戦争は個人を虐殺するのです」という言葉が印象に残った。
0投稿日: 2023.09.30
powered by ブクログ山崎豊子『大地の子』文春文庫 読了。中国残留孤児の半生を描く大河小説。国共内戦や文革の嵐を背景にその出自に翻弄される。養父はじめ思い溢れた周囲に恵まれ、中日共同の製鉄所建設プロジェクトに携わり、実父との運命的な再会を果たす。戦争孤児として生き別れた妹の境遇が衝撃的。まさに戦禍だ。
0投稿日: 2023.09.30
powered by ブクログ昔、ドイツ人の学生が、ナチスのホロコーストについて「私たち世代には責任はない。ただ同じ事を繰り返さない責任がある」とインタビューで話していた。 “日本人というのはそれほどまでに怨みを受ける存在なのか”“残留孤児は戦争責任を一身に背負わされる存在だ” 文中このような言葉がでてくるが、一方で「大地の子」を読むと、後の時代の担う責任、贖罪というものをいやがうえにも考えさせられる。 大河映画のエンドロールのように表題が語られる最終頁を読み終えたのは終戦記念日の翌日でした。
0投稿日: 2023.08.17
powered by ブクログいつも通り通勤の往復の電車の中で眠くなっても眼を擦り我慢して読み続けたが、日本に居てのほほんと今を生活している自分にはには想像も出来ない内容の大作で、よくこんな小説が書けたものだと感心する。 戦争、文化大革命は出自が日本人であるがために壮絶な経験を経てきたが、だからこそなのだろう、不利を克服し持ち前の熱心な取り組みで優秀な社会人に成長する。 幼少からの体験や生活は中国そのもので、痰の様に吐き捨てたい経験も中国なんだろう。 だから主人公はあんな事があっても中国から逃げない。 あんな事も自分も中国の一部だからなんだな。 月並みだけど本当に今のこの時代である事に感謝する。
0投稿日: 2023.07.11
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陸一心と松本耕次を引き合わせ親子と認識させたのはあつ子の死だった。戦争とそのあとの日中間の軋轢に苦しめられる戦争犠牲孤児とその家族。過去の歴史について深く考えさせられる作品。
0投稿日: 2023.06.15
powered by ブクログ中国残留孤児の主人公が日中共同製鉄所建設プロジェクトに奔走する話。中国という国の融通がきかないお国柄に呆れるシーンは多々あるものの、そのような困難に何度も立ち向かっていくシーンは非常に勇気づけられる。養父母との関係や実父、妹との再開が主人公への感情移入を促進させられる。最終的にどちらを選ぶのか気になるところだったが、タイトル回収にて締めくくる様は納得の一言である。 中国特有の難解な表現は多いものの、ストーリーは圧巻で目を見張る作品です。このような作品は個人的に避けていた節がありますが、また読んでみたい作品の1つです。
1投稿日: 2023.03.12
powered by ブクログ全4巻の最終巻。 宝華製鉄の火入れと陸一心の置かれた厳しい運命を描く。火入れの瞬間はまさにクライマックス。そこに至るまでの流れも様々なトラブルがあり、なかなか一筋縄ではいかない事態ばかり。それでもやはり大事業を成し遂げるというのは感無量の一言に尽きる。 そして、陸一心にも決断の時が訪れる。このまま中国で中国人として生きるか、日本へ戻って日本人として生きるか。 中国残留孤児として生きてきた運命に翻弄されながらも、屈することなく生きてきた陸一心の生き様に胸打たれる。
1投稿日: 2023.01.15
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すごい考えさせられる内容だった。 文化大革命とか、初めて知る歴史が多くあった。 最後、一心が日本の父を取るか中国の義父母を取るのか、どっちを取っても、どちらかが悲しむから、どんな結果でも私は納得できない気がすると思っていた。けど、「私は、この大地の子です」と日本の父に一心が言った時に、すっと納得がいった。 すごく納得のいく結論だったし、タイトル回収してて、すごく良いラストだった。 中国で何度も辛い目に遭い、それでもなお中国に住もうと思うルーイーシンの強さ、郷土愛とも違う"大地の子"という言葉でしか表せないものを感じた。 ずっと悲しく辛い場面が続いて、それが取材で聞いた事実を基にした話だと知り、多くの人が苦しんだ過去が日本と中国にあったことを知った。 戦争孤児という言葉は聞いたことはあったけど、どういう意味かもほとんど知らなかった。その戦争孤児について深く書かれていて、日本が犯した罪について知った。
0投稿日: 2022.12.06
powered by ブクログ戦争孤児となった日本人・松本勝男こと陸一心。 ようやく生き別れた妹・あつ子にめぐり会うことができたが… 松本耕次も中国で孤児となったあつ子の元に辿り着くが… 松本耕次は、陸一心が我が子・松本勝男であることを、陸一心は松本耕次が父であることを知ることに。 『仏壇に線香を1本、手向けてやってほしい』と松本耕次に言われたことが、陸一心を惑わす… そして、松本耕次の家を訪れ、亡き祖父、母、妹たちに線香を手向けたことで、再び、陸一心は窮地に… やはり、日本人という出自は、一生、陸一心を苦しめるのか… 日本人だからと差別され続けるのか… この許し難い理不尽さはなんなのか… これだけ中国のために尽くしているのに… 中国人以上に中国のために働いているのに… 陸徳志は… 松本耕次は… 2人の父の陸一心への思いに違いはない。 陸一心の中国への思いは… やはり40年間育まれた思いは強い。 陸一心は『大地の子』だ。
1投稿日: 2022.10.21
powered by ブクログずっと気になりつつも読めていなかったが、期待を裏切らない壮大ななストーリー。首相のバックアップも得て取材をし、いいところも悪いところも包み隠しなく、この時代に書かれているのがすごい。
0投稿日: 2022.09.17
powered by ブクログ大地の子 同僚から読んでみたらと、勧められて重い足取りで読み始める。 スルスルと読み、いつのまにか終わっていた。 文化大革命をここまで克明に書けるものなのか。 日本人が。 知らずに今までいた自分が、情けなくなる。 作者の作品への熱さがこの傑作を作ったのだろう。
0投稿日: 2022.08.30
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とうとう最終巻。 読み終わってしまうのが寂しいなぁ。 『大地の子(四)』 山崎豊子 (文春文庫) 思い返せば最初のころは、人名や地名の中国読みに辟易していたんだった。 北京(ペイチン)←普通に「ぺきん」て読みたい! 内蒙古(ネイモンクー)←普通に「うちもうこ」て読みたい! 陸一心(ルーイーシン)←もう「りくいっしん」でいいやん! てな感じでいちいち引っかかりながら読んでいた。 でも四冊目ともなるとさずがに慣れるね。 今では、河北省(ホペイセン)も古城県(クーチョンシェン)も長春(ツァンツン)も范家屯(ファンチアトン)も、趙丹青(ツァオタンチン)だって馮長幸(フォンツァンシン)だってへっちゃら~♪ でも、近所の小林さんの表札を見ると「シャオリン」と読みたくてうずうずする、という弊害も(笑) あつ子との再会、GIS問題、馮長幸の暗躍など、一心の周りに様々なことが起こった前回。 今回も大変だった。 本当にこの人はどれだけ苦労をすればいいんだろう。 あつ子の死に始まり、実父との再会、冤罪による左遷、復帰、宝華製鉄の完工、長江の船旅。 あつ子の死を看取った一心は、娘の消息を尋ねて来た実父・松本耕次と偶然再会する。 本来なら喜ばしいはずの親子の再会。 しかし、侵略戦争の贖罪の意味合いが多分にある“中日友好の精神”のもとで進められている宝華プロジェクトにおいて、中方の上層部にいる一心と、日方代表の松本との関係は非常に微妙であり、二人が実の親子であると知った時の中国側の警戒心は異常だった。 それは一心も分かっていたはずなのに…… 日本への出張中、無断単独行動禁止という外事規律を犯して、一心は松本耕次の家へ行ってしまうのだ。 祖父、母、あつ子、みつ子の位牌に線香をあげに。 いつもは毅然として隙を見せない、この頑なな人の心が、ほろりとほどけてしまう瞬間に胸を打たれる。 中国にいる時のように誰の耳目も気にせず、一心は仏壇の前で声を放って泣いた。 もうね。もらい泣きですよ。 ここから先はしばらく読み進むことができなかった。 子供の頃の「カッチャン」に戻った一心を、そっとしておいてあげたかった。 で、ここで出てくるのがあの男、馮長幸。 度々出てきて悪さをしてくれるおかげで“フォンツァンシン”てすらすら読めるようになってしまったんだからね馮長幸! 馮長幸は、国家機密の裏工程表を盗み出し、一心に機密文書漏洩の罪をかぶせ、一心は内蒙古の大包鋼鉄公司へ飛ばされてしまうのだ。 しかしその後、趙丹青のおかげで冤罪は雪がれ、宝華製鉄完工までに復帰することができたのだった。 ところで、今回私が一番感動したのは、GIS問題で、三十億円もの損害をかぶる決断をした関東電機の工場長の言葉だった。 一台一億円のGISは、中国にとっては“国宝級”の買い物であるという意識があり、いささかの瑕瑾も許されない。いくら機能面での支障はないと争っても、今回のことは勝ち目のない闘いであり、この日中の考え方の相違、中国の技術感覚を認識していなかった自分たちの甘さが原因であったと。 「日本で点検修復して貰いたいという中方からの要求には、或る意味で救われました」 なんと。 中国にここまでされて受け止められる、中国は悪くないと思える強さ。 名前もない地味な登場人物だけれど、この工場長、かっこよかったな。 着工から七年、さまざまなトラブルや苦労を乗り越えて、日中双方の心が一つになった高炉の火入れ、初出銑、国を越えて人々が抱き合い肩をたたき合い、喜ぶ場面が心に残った。 そしてラストシーン。 実父・松本耕次との船旅は、一心にとって、日本の父と暮らすか中国に残るかを決断する旅でもあった。 「私はこの大地の子です」 自分を育んでくれた中国の大地を、一心は選んだんだね。 義父母のことを考えたのはもちろんだろうけど、それだけじゃない。 中国という国に今まで自分がされてきたこと、日本人の出自を持つ中国人陸一心としてこれまで中国と向き合ってきたこと、そのすべてが自分の歴史なのだ。 その場所でこれからも生きていくことを、一心は選んだ。 この小説は、故・胡耀邦総書記の理解と英断がなければ完成しなかったという。 作品中の、周恩来と稲村会長との親交もそうだが、個人レベルでは理解し合えるのに、どうして国どうしになるとギクシャクしてしまうのだろう。 戦争の火種のほんの一点がそこから生まれる。 恐ろしいことだと思う。 私が一番気になっていた黄書海の消息は、結局最後まで分からないままだったな。 この人は、日本人でも中国人でもなかった一心の背中を、正しく進むべき方向へ、力強く押してくれた人だ。 茫洋とひろがる内蒙古の草原をしみじみと思い出した。 解説に、作者のインタビュー記事が引用されている。 「陸一心は戦争と文化大革命の二重の犠牲になったけれど、戦争さえなければこんなめにはあわなかった。戦争は個人を虐殺するのです」 いろいろなことを考えさせられた小説だった。 フィクションなんだけどそうは思えなくて、陸一心の真っすぐな生き様に出会えたことに感謝したくなった。
0投稿日: 2022.07.23
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中国の現代史を知りたくなり、見つけた大地の子。戦争残留孤児である松本勝男こと陸一心の人生を軸に、悲惨たる戦争の代償や凄惨な文革の歴史などの社会描写、産みの親と育ての親との絆、それゆえの葛藤などの心理描写が読む人のこころをうつ。不毛地帯、沈まぬ太陽と山崎豊子作品を2冊読んだことがあるが、この作品は圧巻。もちろん小説、フィクションではあるが、現実に起こった歴史を題材としており、著者自身の戦争孤児に対する責任を蔑ろにする日本国に対する怒りが垣間見える。 勝男の妹あつこの悲惨な生涯と、勝男があつこの死を看取るシーンには大号泣。序盤のソ連軍からの逃亡中で起こる凄惨極まりない過酷な状況(ソ連軍に見つからないよう子供を殺さなければならない母親など)にも悲痛の涙。陸徳志が真空地帯で命がけで一心を守り、初めて一心に爸々(パーパ)と言われた時、一心の冤罪を晴らすために命懸けで北京に嘆願し、北京駅で親子が5年ぶりの再会を果たす時、もう涙涙。。同じアジアだけど全く違う中国。秘密主義で恐ろしい反面、日本がこれまでにしてきた負の歴史を考慮しても一概に中国を非難はできないな。だからといって今のロシアを支援していいという話にはならないが。
0投稿日: 2022.07.05
powered by ブクログ中国残留孤児を主人公に中国の戦後、共産党社会の有様を描いた長編小説。日中友好の証として計画された製鉄所建設プロジェクトとともに、主人公の人生は一つの転機を迎え、そして"大地の子"として決断を下す。 筆者の綿密な取材に基づき描き出された物語は、重厚かつディテールもしっかりしている。 主人公の養父の気高さには感動するが、それ以外の筆者が描く中国の姿は正直好きになれなかった。大元は日本の戦争のためとはいえ、作中主人公は散々苦杯をなめ、また生き別れた妹の末路はあまりに哀れ。技術協力も結局は同床異夢だったのだろう。
0投稿日: 2022.05.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
中国側のミスが発端となり、一台1億円もする精密機械を日本に送り返して検査し直しすることになってしまい、中国相手のビジネスの難しさをこれでもかというくらい思い知らされた。 日本滞在中に長幸の策略にまんまとひっかかってしまい、僻地の工場に左遷させられた時はまた振り出しに戻ったとがっかりしたが、丹青の活躍により返り咲いてからは多少のトラブルはありつつも、ついに呪縛から解けた感じがあり、トントン拍子で進んでいった。 全巻通して製鉄技術、政治の動き、地理状況など驚くほど細かな描写が多く圧倒される場面もあったが、その取材があってこそこれだけずっしりと重厚感のある作品を書けたのだと思うと本当に恐れ入る。
0投稿日: 2022.05.06
powered by ブクログ最後の一冊は止まらなくなって1日で読破 今までの積み重ねあってからの爽快感や、最後の立ち上げの瞬間は感動的 中国のことを嫌いになりそうになるシーンも多いが、それよりも戦争と言うものの悲惨さを痛感させられる。 作品名である『大地の子』という言葉の意味を知る最後の1ページまで決して飽きさせない紛れもない名作
0投稿日: 2022.03.13
powered by ブクログあらすじ 太平洋戦争の敗戦によって、満州で残留孤児となった主人公・陸一心(中国名)が、中国人養父母への愛情と日本の実父との愛憎に揺れながらも、文化大革命の荒波を越え、日中共同の製鉄プラント事業を完成させるまでの物語。 感想 これが山崎豊子かって感じがした。
1投稿日: 2021.12.09
powered by ブクログ頭の中が壮大なスケールの物語でいっぱいなった。にあたりまえと思っている家族のつながり。こういった戦争に端を発した悲惨な出来事は、反省すべき日本の歴史として後世に語り継いでいかなくてはならない。
0投稿日: 2021.10.24
powered by ブクログ8月は、なんとなくこういう本を読みたくなる。初読。よくこんな彼の国の固有名詞出まくりな本を、彼の国の協力のもとに書けたな、と。日本の固有名詞は出さなくて良かったのか?
1投稿日: 2021.09.01
powered by ブクログ読み始めから主人公の苦難の連続にぐいぐい引き込まれる 妹、実父との再会に涙がとまらんよ この本を読んだあと、40年ぐらい前に中国残留孤児の方達が来日し、実の肉親と抱き合って涙を流しているニュースやドラマを見たことを思い出した。 私の父親は、「満州にソ連が攻めてきた時、軍人はさっさと逃げて多くの日本人が殺されたんだよ」と話してくれた事も思い出した。
0投稿日: 2021.06.08
powered by ブクログ戦争孤児、文革…日本人故に中国で理不尽な目に合いつつも、腐らず誠実にひたむきに生きる主人公の姿に感動しました。 また、近代中国や日本についても知ることが出来る良書です。
0投稿日: 2021.01.09
powered by ブクログ目を伏せたくなるような展開もあるが、日本人として読むべき小説。 全てが真実だと鵜呑みにはしない方が良いけれども。
1投稿日: 2020.10.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
山崎豊子さんがいい!と友人からの声があり、読もうと思いつつも今日まで読めていなかった。 自身も鉄と関わりがあるため、日中での錆などへの激しいやり取りをあり得る、あり得るとその部分に共感を覚えながら読了。 残留孤児ではなく、「戦争孤児」と呼ぶべきだ。という山崎豊子さんの言葉はまさにその通りで、戦争の生々しい痕跡を描きあげているところにこだわりを感じた。 主人公の陸一心の日本に行くべきか、の逡巡の際の「大地の子」。そういう風に捉えるか、と妙に納得した。 山崎豊子さんの別の作品もぜひ読みたいと思う。
1投稿日: 2020.08.15
powered by ブクログ全4巻ついに読了! いわゆる超大作系は、「坂の上の雲」「1Q84」などことごとく途中で挫折してきた。初めての完走が何より嬉しい笑 巻末の解説にも書かれていたが、戦争、家庭、政治、恋愛etc…あらゆる面から日中の関わりを見ることができる。それ故、4巻という長編にも関わらず非常に読みやすい。そして、取材力には圧巻としか言えない。 中国のスケールの大きさがこの物語を通して感じられた。中国史をもっと知りたい、そして中国にも行ってみたいなと感じた。 ラストシーンは重みがあって良い
7投稿日: 2020.08.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
久々に長編を読んだが、次々とページを進めたくなる展開だった。しかしながら、手を止め難いハラハラとしたこの内容が、事実に基づいたものだという事は、複雑な気持ちになる。 日本の戦後も知らない私には、日本の開拓団の政策、それを国が棄てた、という事も相当衝撃だが、中国という国の恐ろしさもまざまざと感じた。 完全な私見だが、コロナ禍の現在、コロナ発生初期の報道などから、現代においても、中国の体質はどこか、この作品の中の時代を引きずっているように感じてしまった。 陸一心の乗り越えてきた数々の苦難、一心と別々になってしまった妹の生涯については、現実に中国残留孤児(※)と言われる人々に降りかかった事ばかりなのだろうと思うと、読むのも辛い。よく一心のは乗り越えてくれたと思う。そしてそんな恐ろしく辛い一心の半生でありながら、最後に中国を選んだという結果は、日本が開拓団を棄てた、戦争の罪の深さを感じさせる。 読んでいて楽しいものでは無いが、読んでよかった本だと思う。作者 山崎豊子氏の訴えの強さも感じられた。 (※)作者は「残留孤児」という「残留」という言葉には意思がある。残留したいという意思はないのだから、この言葉を付けた日本政府のずるさがある、本来「戦争犠牲孤児」が正しい、という見解を出している。
2投稿日: 2020.06.02
powered by ブクログ最後は一気に読み終わる 決して楽しい話ではないが、一度は読んでおくべき作品だな しかし、気持ちは重くなる
0投稿日: 2020.01.12
powered by ブクログ190829.4巻合わせると結構時間かかった。 中国の上層部の名前はあまり入ってこなかったけど、主要人物はしっかり把握できたと思う。 フリガナも繰り返し適切なタイミングで出てくれるのが有難い。 描写が細かく正確。なんでこんなに詳しいの?というのはあとがきにあったように取材と勉強の賜物なのだろう。 恐れ入る。 この作品に出会えて良かったと思う。バランス的には日本人にも悪人がいても良かったと思うけど。 中国の徹底っぷりはホントに胃が重くなる。嫌な緊張感の連続である。 前半の徹底した落としっぷりから、後半にかけての逆転感はやっぱり読んでて楽しい。元カノが転じてくるのも良かった。 松本さんは日本人特有のゆるさが一心の状況とうまく噛み合わずトラブルメーカーとなる。 ラストの落とし所が題名だとは、、 読みごたえありすぎですわ。
1投稿日: 2019.08.29
powered by ブクログ日本人の妹や父との再会を果たすも、一心の苦労は消えない。 様々な苦難が待ち受ける。 そしてまた、プロジェクトから外され、僻地へ飛ばされる場面も。 最後には日本へ行くか、中国へ残るかという選択も迫られる。 この作品を書くにあたり、山崎豊子さんの苦労がどれ程のものだったかと思うと、その気持ちの強さが心に響く。 戦争に対する怒りが伝わってくる。 その辺りのことは、あとがきや解説でも紹介されていた。 これからも、多くの人に読んでもらいたい。 2019.4.21
1投稿日: 2019.04.21
powered by ブクログ陸、そしてその2人の父親。辛い人生だと思う。戦争三部作全ての主人公が強く、信念を持っている。彼ら自身自らの人生を最終的に幸せだと思っていないと私は感じた。当然各局面にはドラマがある。その小さな幸せの積み重ねと、最後の幸せ。私自身どっちを選ぶべきかまだ分かっていない。 山崎豊子さんの本は本当に考えさせられる。全く時代背景は逆だけど、命だけは保証されているが生き方を見失っている今の社会に対し、人としての人生を考える為のとても良い教示書だと思う。
1投稿日: 2018.08.30
powered by ブクログ「宝華、万歳!」「初出銑、万歳!」万雷の拍手と大歓声が湧き起った。七年がかりで完成した日中共同の大プロジェクト「宝華製鉄」の高炉に火が入ったのだ。この瞬間、日中双方にわだかまっていた不信感と憎悪が消え去った。陸一心の胸には、養父・陸徳志の、「お前、いっそのこと日本へー」という言葉が去来する。
1投稿日: 2018.06.10
powered by ブクログ先輩に勧められて購入したものの、長編のため長い間本棚にあったが、読み始めたら物語に引き込まれ一週間で読み終わった。 中国残留日本人孤児のニュースは子供の頃に定期的に見ていたが、この本で初めて実態を知ることができ、驚いた。 時代や国家間の考え方の違いに挟まれた孤児達の苦しみが本からにじみ出ていて、読み進めるのは大変だった。 主人公と周りの人間の苦悩とひたむきさに感動し、教育の重要性を改めて感じるとともに、山崎豊子の細部まで描写した取材力に驚いた。
1投稿日: 2018.05.21
powered by ブクログ山崎豊子さんの作品は「白い巨塔」「沈まぬ太陽」「不毛地帯」などどれも素晴らしいが、本作品はその中でも最高傑作。日中戦争の歴史に巻き込まれた過酷すぎる運命に愕然とする。日本人も中国人も必読の一冊。
1投稿日: 2018.03.13
powered by ブクログ壮大な物語だった。 ドラマ化された?らしいが全くの知識無しに会社の方からお借りし読み始めた。 騙され、裏切られ、 もうこの苦しみから何としてでも逃れたい。 その一心で読み終えた。 物語のスケールが大きく、それとともに心への響きも大きい。 読み切り、しばし放心状態。。。
8投稿日: 2017.10.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
中国残留孤児の話。フィクションですが、史実に基づいているため重いです。 「残留孤児」と言う言葉とその事実は知っているつもりでしたが、それはあくまで教科書レベルのことだったなと無知を恥じました。戦後の中国で日本人が生き残り、そして生き抜くことがここまで大変なことだったのか・・・。 日本に見捨てられ、満州から帰国を目指した開拓移民はその過程で大量虐殺にあい、生き残っても労働力とみなされ、教育も受けることができず、中国人として育てられます。日本人だということで偏見や差別はもちろん、過剰労働、暴行、冤罪などなど不当な扱いを受け続けます。 奴隷のような生活から逃げだし、すばらしい育ての親に出会うことができた主人公でさえ、死と隣り合わせのような苦難の連続です。 戦争で生き残っていた日本の父親と運命的に出会い、育ての親から受けた愛情、中国でのツラかった日々、自分を見捨てた祖国への思い、日本の父親が戦後重荷を抱え生きてきたこと・・・複雑にこれらの心情が絡み合い、胸を打ちます。何度も涙が出ました。
0投稿日: 2017.09.11
powered by ブクログ人を育てるのは親ではなく、人。 (以下抜粋) ○「われわれも、日方の先生ぐらい高給を支給されれば、 夜昼なくはたらきますがねぇ」 臆面もなく、堂々と言い返し、さっさと交替してしまう。 これでは彼らを束ねる幹部たちの心労が並大抵ではないのも見当がつく。(P.303)
1投稿日: 2017.05.04
powered by ブクログついに最終巻、続きが気になって1日で読んでしまった。最後の製鉄所完成のところで今まで中国のやり方はずるいし汚いと思っていたが、中国も真面目は真面目で自分たちの真面目の範囲内でやっているから憎むことは出来ないのだな、と唐突に理解できた。運命に翻弄され続けた一心だが、最後の「私は大地の子です」という台詞はかなり納得できた、それが中国の広大さということか。
0投稿日: 2017.02.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ネタバレ 「日本にとっては汎製品だが、中国側にとっては国宝級の価値を持つ物。それが互いの製品への思い入れの違いに繋がり齟齬が生じる」。これだけではないが、このような簡明にして要を得た文章が紡げるのは、著者の透徹した目と事実を裏付けるための綿密な調査にあるのだろう。まさに著者にしか書けない件である。◆悠久・人治という悪魔を物語全体に伏流せしめ、出自と環境とに引き裂かれた人物に、「大地の子」という名言を言わしめた点にも同じ印象を感じる。◆第二次(六四)天安門事件前、胡耀邦時代だからこそ取材可能だったとも言える作品。 また、残留孤児の親が存命だった時代だからこそ叙述出来た作品とも。そういう意味で、本作そのものが時代の子であった感は強く残った。◆とはいえ、本作における当時の中国の最高実力者○○○の描き方には苦笑を禁じえない。天安門事件を踏まえたからかもしれないが、もしそうでないなら後の事件を予見していたとも。
0投稿日: 2017.01.24
powered by ブクログ中国残留孤児の話です。最近は聞かなくなりましたが昔はニュースなどでよく残留孤児と親の対面が取り上げられていました。彼ら残留孤児は、戦時中に満州へ開拓に出た移民の子であり終戦後、日本へ逃げ遅れて現地で生き延びたという経緯があります。終戦から20年以上経ち、中国と日本の国交正常化後に肉親探しが始まりました。このような歴史があるので、戦争孤児に対する中国あるいは日本での差別を描いた作品かと思ったのですが、全体を覆うテーマにはそれもありますが、それよりも日本と中国という二つの国と、親子の愛をテーマにした物語と言えます。どこで生まれたかによって人間性が否定されてはいけない、って当たり前の事を再認識させられます。山崎豊子さんの圧倒的な取材量には毎回驚くばかりですが、この作品も中国での取材は途方もない努力の積み重ねだったようです。このような作家が亡くなったのは非常に残念です。 満州からの引き揚げがどれだけ死と隣り合わせだったかは、藤原ていさん著の「流れる星は生きている」が詳しいです。
1投稿日: 2016.12.29
powered by ブクログどうしても山崎豊子作品の主人公は、正義感にあふれ公明正大な人物に描かれ、家族も愛情あふれ理解があり・・・というパターンで書かれるので、話自体は中国現代史を下敷きにした壮大な物語なのに感情移入が難しい。
1投稿日: 2016.09.08
powered by ブクログ丹青が良い色を出してる。 彼女の存在が無いと盛り上がりに欠けるな。 きっと。TVでも同じだけど。 また、三峡ダムの建設により三峡も水没してしまったと思っていたが、高さは半減し景観が変わってしまったが今でも三峡下りは行われてるんだって。wikipedia参照
0投稿日: 2016.02.09
powered by ブクログ4冊という長編ではあるが読み入ってしまう小説であった。あとがきから作者がどれほど取材をしたかを読み取ることが出来が、最後の結末も政治的な要素があったのではないかと勘ぐってしまうものである。
0投稿日: 2016.01.25
powered by ブクログ完読まで2ヶ月もかかりました。 こんなことは初めてです。 あまりに辛くて、辛くて、 時間が必要でした。 少しずつ読みました。 色々考え、自分の中で反芻しながら。 辛すぎて、ネットのネタバレも並行して読みました。 多くの辛い人生の上に私たちは今生きている。 あまり知らなさすぎた自分が情けないが、 今の平和に感謝し、 今の自分の日々のありがたみに感謝し、 毎日を丁寧に大事に生きて行かなければ と、改めて思いました。
0投稿日: 2016.01.25
powered by ブクログ著者が、取材から完結まで足掛け八年をかけた大作を、数日で読み終えてしまうのは何とも面映い。が、著者が全身全霊を込めて取材し、全存在をかけて書き上げた熱い思いが伝わってくる。 満蒙開拓団の終戦時の逃避行、中国の貧困農民の生活、労改(労働改造所)の内部の実態、製鉄所建設に纏わる専門家もかくやと思われる知識、等々、それらの迫力迫る描写に圧倒され、しばらく他の小説に手が出せない。 解説に書いてあるように、本作は「社会派小説、告発小説、国際ビジネス小説、恋愛小説・・・」といろいろな読み方ができるが、何よりも歴史の流動の波に翻弄される人々を描いた大河小説である。 現在の日中関係に懸念を感じ、あるいは中国の実態を、そして日本はどうあるべきか、を真摯に考えようとする志があるならば、必ず読んでおく一冊と言っていいだろう。
1投稿日: 2015.09.01
powered by ブクログ中国人として生きるか、日本人として生きるか主人公の葛藤に、今までの様々な問題や苦難、生い立ちなど物語の全てがおさまっているように感じました。
1投稿日: 2015.08.21
powered by ブクログ三峡下りでの親子の会話。 一心がどう返事をすることを期待すべきか、判断がつかなかった。 中国残留孤児の問題は一言でとても片付けることができない。
0投稿日: 2015.08.14
powered by ブクログ親子であることが判明するシーンはどう描くのだろう?と楽しみにしていたら、偶然が重なりすぎてあまり感動的でなく、ちょっとがっかりしていたら、それがちゃんとその後の展開に活かされていて脱帽。私が浅はかでした。はっとするような言い回しや表現はあまりないけれど、綿密な取材と物語の大きなうねりに読者を巻き込む、偉大な作家だと思います。あとがきもすばらしい。「残留孤児」という言葉を使わない理由について「残留という言葉には、意思があるでしょう。彼らには残留しようという意思はないのです」こういう感覚は大事にしたい。
0投稿日: 2015.06.14
powered by ブクログわたしが高校生だったころ、新聞記事として頻繁に中国残留孤児の方々の顔写真付きプロフィールが数ページにわたり紹介されていた。日本の家族を探すための取り組みは、数十年前になるがテレビなどでも紹介されていたのをおもいだす。 旧正月休みに日本旅行で爆買いをする中国人の姿と、当時の中国人(残留孤児)の姿があまりにも違いすぎていて驚くばかりである。日本が戦後復興を成功させて国民が物欲を満たし浮かれていた頃、大陸では日本人の血を引く孤児たちの哀しみはが癒えることはなかった。
0投稿日: 2015.03.24
powered by ブクログ一~四巻まとめての感想。 第一巻、’労改’の描写に圧倒される。 二、三巻は、鉄鋼の専門的な話が続くのでちょっと飛ばし読みしてしまった。 四巻、これだけのスケールを持った物語でありながら、最終的な山場は、残留孤児云々よりも、男女の感情から話が収束するというのがちょっと残念だった。
0投稿日: 2014.10.01
powered by ブクログ悲惨だった中国残留孤児、まだ生きている人はいるのだろうか。 中国という国は、いまだにわからない。経済的にも大国になったのだから、世界で通用する国策をとってほしい。
0投稿日: 2014.06.08
powered by ブクログ最後までぶっとばしまくりの中国にやられっぱなしなのに、何故か最後には意気投合したみたいになってて、やっぱ日本人だなぁ、と思ったり。主人公は相変わらずうっかりミスやらで酷い目にあったりして、もう何やってるの!って言いたくなるくらいだけど。しかし勢いあった。
0投稿日: 2014.05.31
powered by ブクログ山崎豊子さんの作品を読んでみたいと思い、読むならこれだと決めて手に取りました。1巻から圧倒的な文筆力で自分をぐいっと引きつけましたが、内容は辛く眼を背けたくなるものでした。読んでいて辛いな・・と思いながらも、読まないといけない、という何かが自分を突き動かし1巻が終わり、2~4巻と一気に読み終えました。 本作は戦時中の日本と中国の悲惨な歴史を公平に扱っている印象を受けます。どちらも傷つけ傷つけられ、その中で苦しむのは弱者です。久しぶりに戦争孤児(中国残留孤児)が生まれた経緯に触れました。過去に1~2度聞いたことがありましたが、その後あまり伝えられなくなったと思います。そして本作を通し、日本人が自然と持ってしまっている大きな闇を見たような気がしました。 日本は過去の過ちに蓋をして多くの人を切り捨ててここまでの発展を遂げました。中国の激しさが目立ってしまいますが、日本も異なる形で残酷な性質を持っています。そのようなことを小説という形で的確に伝えられる山崎豊子さんは本当に世界遺産級の作家だと思います。
0投稿日: 2014.05.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
3/22読了。 4冊読むのに1年以上。でもこの最後の一冊は早かった。陸一心の周辺はさらに慌ただしく、でもその速さが心地よくて。 漸く製鉄所が完成。日本の父・松本耕次と和解、家の仏壇に線香を上げる。自分を陥れようとしていた馮長幸の策略に気付き不正を正してくれた馮の妻、元カノ趙丹青との…いやこれはダメだろ、ほんのちょっとでも。妻子思いの一心がこう来るとは。彼女も変な夫と離婚できて再再婚が決まって良かったんだけど。 それはそうと、妻のことは中国語で愛人ですか。 私は日本人で製鉄の恩恵も少しは受けてて、読んでいてどうしても日本の製鉄所、日本の父に思い入れすぎてしまう傾向があったと思う。 ただ中国の父・陸徳志と母・淑琴がいなければこの話はなかった。一心はいなかった。そして妻子はやはり一番可愛い。彼らがいてこその「大地」なのだと。 長かったけど本当に読み応えのある話だった。
0投稿日: 2014.03.23
powered by ブクログなんて比類ない作家さんだろう。 この人の作品を知らずしていろいろ語ってはいけなかったなと思った。 取材を含め8年に渡る執筆、1000人を超えるインタビュー、労働改造所で囚人と鍬を振るったことも…。 そうして得た膨大な知識が透けて見えるから、登場人物についての説明がさほど多いわけではなくても、その実在感が凄まじい。 戦争犠牲孤児としてあまりに過酷な運命を生き抜いた陸一心。 中国の父への果てしない恩義と日本の父への思慕との間で渦巻く葛藤。 そして突如 眼前に開けた、全てを飲み下す、中国の圧倒的な大地。 最後の最後、たった10行あまりの描写で全てを昇華させる説得力。 好きとか嫌いとかいう問題ではなく、とにかくこの作品に☆5つ以外はつけられないという畏敬の念が湧き上がった。
0投稿日: 2013.12.18
powered by ブクログ「大地の子」とはどういう意味なのか思うことがある。私は陸の子でも松本さんの子でもないということなのだろうか 作中で党が第一であり党の子であるかのように言ったことと丹青が中国を離れたことと関係があるのかなぁと思う 大陸に憧れ移った過去の血と育ちの地それらの間の子ってことかな 全てを包んで赦す大陸ってやっぱりすげーわ
0投稿日: 2013.11.14
powered by ブクログ振り返ると歴史と呼ばれるものが、どれだけ残酷だったか。たったひとつの単語で語られる史実の裏に、どんな感情が刻み込まれていたか。日本人の作家がこのラストを描くことに意味がある、と思わされた。
0投稿日: 2013.11.07
powered by ブクログ中国という国はでかくて身動き取れないんだなあ。 山崎豊子さんの作品は意外と読みやすくて良いと思った。失礼ながら堅い文章を書く人だと思ってました。
0投稿日: 2013.10.13
powered by ブクログ全巻を通してみて、残留孤児とは何か、戦争の悲惨さ、中国の慣習や文化などいろんな事が学べた作品であった。『戦争』という同じ過ちを繰り返さないためにも、多くの日本人が知っていなければいけないことなのではないか? 何事においても『歴史』を知った上でなければ、正しい選択は生まれない。 本作品に触れられて良かったと思う。
0投稿日: 2013.09.11
powered by ブクログ大作。この小説を書くためにどれだけ大変な目に合ってきたのだろう。と同時にこの時代に中国に生きてきた人たち、中国残留孤児の形と、そして生き別れた日本の家族、私の想像を遥かに超える大変な時代を生きてきたのでしょうね。本より少しでも追体験できてよかった。
0投稿日: 2013.08.25
powered by ブクログ『大地の子』の最終巻。これまではあまり動きもなくというのが個人的感想だったが、4巻は違った。陸一心が左遷されたり、陰謀事件が起きたりと動きがあって面白かった。この部分をもっと広げてくれてもよかったのにと思った。 最後まで読んで陸一心が自分を大地の子だと決意するあたりはよかった。二人の父の想いも心に染みた。でもやはりどちらの祖国も裏切れない気持ちをもう少し出してくれたらうれしかった。 中身的には『運命の人』に似た感じを受けた。エンタメというよりお勉強のための小説かな。
0投稿日: 2013.08.06
powered by ブクログ妹あつ子の死、日本の父との出会いと葛藤、再度の内蒙古送りと、次々と苦難が襲う最終巻。 それでも負けない一心に本当に頭が下がります。 そして、ようやく苦節七年の宝華製鉄の完工。高炉初出銑が二国間のわだかまりを押し流す歓喜の情景が胸を打ちます。 あっという間に残り頁が少なくなりどう終わるのかと思ったところで一心の口から流れる「大地の子…」。 あれだけ苦しめられた黄土の大地。 ふと感じる日本人の血と、祖国への思慕。 それら全てを昇華させた終幕は素晴らしい!! 続編があればと心から思いました。
0投稿日: 2013.06.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
【大地の子 4】 山崎豊子さん 折角探し当てた妹との再開も虚しく、あつ子は死んでしまう。 一心があつ子の死を看取った時、県の外事科の職員に連れられた 松本がたずねて来た。松本は中国に残した我が子を探しており 手がかりを元にこの地にたずねて来たのだった。 図らずも宝華製鉄の建設で舌戦を交わせている松本と一心が 実は親子であったことが判明した。実の親に会えた喜びと 中国共産党党員としての立場に一心は戸惑う。 親子である事を隠し、お互いの立場で職場に戻る二人であったが 一心はまたしても、密告者の罠にかかり宝華製鉄の建設プロジェクト から外され、僻地へと飛ばされてしまう。 罠に落ちた一心を助けたのは、かつて大学時代に恋心を育み 一心が日本人と分かった途端に彼を捨てた青丹だった。 一心は再び宝華製鉄のプロジェクトへの復帰を認められ、そして ついに七年の年月を経て宝華製鉄の高炉に火が入る日が来る。 ☆ 最終巻は親子の再開とお互いの立場による葛藤や苦悩。 そして、最後にはわだかまりも溶けいい終り方でした。 作者が書きたかったのは「戦争の悲惨さ」と「人間愛」と書かれて ましたが、本当に心打たれる本でした。
0投稿日: 2013.05.07
powered by ブクログついに読み終わってしまった! 父親の深い愛、母親の狂気を孕んだ愛、自分勝手な恋愛。様々な愛の形が国家の向こうに見える。 四巻では惨過ぎるあつ子の葬式、マー(漢字が出てこない)の非道が辛い。 でもみんな幸せになりたいだけなんだよね。そこが怖い。
0投稿日: 2013.03.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
残留孤児、文化大革命、日中鉄鋼プロジェクト、権力争い。 中国を舞台にいろんな要素が詰め込められている作品であった。 今中国人と一緒に仕事しているので、そういった方面からも、すごい見ごたえあり。 これといった一言で感想は述べられない。 沢山のことを感じさせてくれた作品であった。 個人的には妹の箇所が切ない、切なすぎる。 最後の最後長江にたどり着いた場面は秀逸。 次は不毛地帯か。
1投稿日: 2013.03.18
powered by ブクログ日本人であるが故に過酷な運命を背負い生きて行く。大陸は彼に何を与えてくれるのだろう。喜びか?絶望か?僅かながらでも希望の光を与えて欲しい。読物としてばかりではなく、現実として中国で生きて行かざるをえない日本人に希望あれ。
0投稿日: 2013.03.13
powered by ブクログこれだけの内容を構築するにあたっての取材には感銘を受ける。 “中国残留孤児”。山崎豊子はこの名称を使ってはいない。戦争孤児の実態を隠してしまう名称を、私も使っていた事に反省をしてみたい。
0投稿日: 2013.02.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初の山崎豊子さん挑戦。ドラマの白い巨塔にハマり、原作を読んでみたいと思い、映像化されていなくて新しいもの、ということで本作に。NHKドラマで映像化されていたのを知りませんでした。 最近は行われていないのか、ニュースでもとんと耳にしなくなった中国残留孤児の問題の原点を思い知らされました。 時代と国家に翻弄され、苦難の人生を歩んだ日本人の存在を知っておかねばならないと思いました。 ラストは…日本に還らなくてよかったのだろうか…。
0投稿日: 2013.02.18
powered by ブクログ中国残留孤児の陸一心。 戦争によって引き起こされることは残酷なことだらけだ 久々に読んだ長編。筆者の凄まじい調査量にもおどろいた。
0投稿日: 2013.01.29
powered by ブクログまず最初に1〜4巻まで読んだ感想として山崎豊子は他の小説家とは色々な意味で別格だということ。山崎豊子の小説の大きな特徴といえるが、綿密な取材から得た情報を惜しげもなく小説に使っている。時代背景、背景の描写、人物設定など。今回で言うならば著者本人も取材中に幾度となく経験したであろう、中国という国の不気味さ、したたかさ、狡猾さが読者にもよく伝わってくる。事ある度におこる宝華製鉄建設場面における日本と中国とのやり取り(性能上問題ない錆1つに対しても不満を述べる、自分たちの非を認めないなど)に顕著に表現されている。その際の「いや、例え理不尽な不満だと言っても彼らの言っていることは間違ってはいない。我々は中国という国家を甘くみていたようだね」という発言にも何かあれば「日中友好」を切り札に厚顔無恥の振る舞いを繰り返す中国に対する何とも言えない感情が表現されていると感じた。ここまで読者に違和感なく小説のメイン背景のイメージを文章から与えることが出来るのは限られた作家だけであると思う。またこれも山崎小説の特徴の1つであると思うが、必ず潜む裏の裏の首謀者、主役の行く手をこれでもかと阻むライバル、献身的な妻、愛人という人物の数々が今回もまた健在であった。彼らによって物語はより色濃いものになるし、支えられている。毎回良い働きをするのがライバルという存在であり、今回ならば長幸である。陸徳が日本と中国の間に生まれた葛藤に苦しみながらも「自分は中国人だ、ここの大地で生まれたのだ」とひた向きにひた向きに努力を重ねる姿が気に入らない長幸は陸徳の出生が日本であることをネタにし、あることないことでっち上げ、ことあれば「あいつは日本人のスパイだ」「売国奴だ」と陸徳を落とし入れようとする。それだけならまだしも、必ずというほどそれを信じて肩を持つ人間、またそれを信じなくとも何とかこれを機会にのし上がってやろうと企てる人間がいることに何よりやり切れない感情にさせられるのだ。そう思うと著者は人間や社会の「暗い部分」を描くのが非常に上手い。読んでいてため息が出るほどに「読者を幻滅」させる。これは同時に著者の読者に対する警鐘のように受け取れることもある。作家としての格もスケール違うということを改めて気づかされた、今回の作品。東野圭吾や湊かなえのような推理小説やミステリー小説が悪いと言っているのではない。彼らも素晴らしい。だが、その小説1冊、文字1つ1つに込められた想い、読者へのメッセージというものを秤にかけるとどうしても、山崎豊子に敵う作家は現代では少ないのではないかと疑問に思わずにいられない。ドキドキ、ワクワクするだけが読書ではないのだと、気づかされる一冊だ。
0投稿日: 2013.01.19
powered by ブクログ運命の悪戯か、生き別れの妹の死が実父との再会のきっかけとなる。そして、再び陸一心に過酷な運命が… 養父を選ぶのか、実父を選ぶのか… 安穏とした時代を生きる我々には計り知れない過酷な陸一心の運命に涙…
2投稿日: 2012.11.19
powered by ブクログ日中それぞれの国や人間がさまざまと描かれ、まさに大河ドラマ。戦争に巻き込まれた人々の辛苦、ビジネスに対する考え方や政治に翻弄される人々の葛藤まで見え隠れしている。しかし基本は家族や友人への愛。何度も読みたい本です。
0投稿日: 2012.09.03
powered by ブクログ不思議なもんだな、山崎豊子の小説ってのは、文章としては別に大したことないんだけども、題材というか、フレームが大きいから、どんどん、惹きこまれていく。面白かったなぁ、これも。それにしても、あそこで終わるか、まったく。もうちょっと、ねぇ、あったんじゃ、と。。。(12/2/9)
0投稿日: 2012.08.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
陸一心の冤罪が晴れて陸徳志と駅で出会う場面が一番よかった。 2巻だったかな? 陸徳志が凄過ぎてどうも松本さんは印象が弱かったので、最後の一心の決断には納得。 しかし、今後も中国で辛い目に遭うだろうことを思うと本当に大変な決断だ。 松本さんは気の毒だし。 中国とビジネスをする人は大変ですね… 私は絶対にお断りしたいです。 文化大革命は気違い沙汰としか思えないが、考えさせられることが多かった。 もっと詳しく勉強したい。
0投稿日: 2012.08.06
powered by ブクログ全4巻読了。久しぶりに山崎作品を読みましたが、やはりイイですね。戦後の日中関係、急速に近代化を進める中国の様子、戦争の悲惨さ、舞台となる北京、上海、主人公の苦悩…皆さんも是非。
0投稿日: 2012.06.27
powered by ブクログ最後まで気が抜けない!! 中国の社会主義体制、日本、中国に対するそれぞれの確執、中国人と言う国民性、戦争によって犠牲になった日本人。色々勉強になります。こういった題材の本に出会うと、もっと歴史を知りたい、それを自分の教養として身に着けていたいといつも思わせてくれます。
1投稿日: 2012.06.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
残留孤児の話しや、戦後の文革から近代化への流れなど、陸一心の人生を通じて新たに学んだ気がします。もちろんこれはフィクションですが、この小説を書きあげるのに、作者がいったいどれだけの取材や文献をこなしたかと想像するとただただ敬服します。 正直1巻は読み進めるのが本当に辛く、何度も諦めかけましたが、良心の人、育ての父陸徳志との出会いに救われました。 壮大なドラマの終わりはすがすがしいです。陸一心の言葉に強く心打たれました。 途中で止めようか迷っている人は是非最後まで読んでほしいです。
1投稿日: 2012.05.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
中国残留孤児の主人公が、小日本人鬼子といじめられ、苦しみながらも強く生きていく様子が描かれている。 文化大革命さなかの中国で、中国人として生きながらも、日本人であるがために、冤罪など不当な扱いを受ける様子は壮絶極まります。 本巻で、家族の再会が描かれている場面は、涙なくしては読むことができない。電車で読みながら泣きました。。
0投稿日: 2012.04.25
powered by ブクログドラマにもなり、大変話題になったお話です。 戦争孤児と呼ばれる人が、中国で生活していくところからはじまります
0投稿日: 2012.04.20
powered by ブクログ「大地の子」最終巻。 山崎作品出会いの書。会社の上司に勧められた「大地の咆哮」(杉本信行)で山崎氏への言及があり興味を持ち読み始めた。 満州残留孤児から、文化大革命を経て、改革開放後の日中共同プロジェクトである製鉄所建設に至るまでの、主人公とその周囲の模様が描かれる。 隣国中国の歴史の中で、あまり語られることのない史実を含め、作者の取材フィルターを通して描かれ、文革で何が起こっていたのか、また、中国政治の特徴を断片的にでも窺える内容。 後半の製鉄所建設の壮大なプロジェクトも興味深いが、本書は、文化大革命期の中国国内の描写が秀逸。主人公のまっすぐに物事を貫く姿は、読了した山崎作品に共通した特徴だが、歴史に翻弄されながらも自身にこだわり進んでいく姿には、心の底から押し寄せる、何かがある。 2012年3月の全人代閉幕時、温家宝首相が発していたメッセージの背景もかいま見れる作品。
0投稿日: 2012.03.19
powered by ブクログ私にとって、山崎豊子との出会いの小説です。 大地というとパールバックの印象が強く、感銘を受けつつ、中国の近代史(と、カテゴリー分けしていいのか?)に興味を持ち、ワイルドスワンで辛い現実に直視できなくなりつつありました。 そんな中、大地の子は事実を上手に小説化しており、「事実を勉強するだけ」「娯楽だけ」ではなく、いずれも兼ね備える骨太の内容に、私は以後山崎ファンになりました。
0投稿日: 2012.01.23
powered by ブクログ大作完結。残留孤児、家族の絆、中国の国民性、重工業の発展、いろいろな角度から多くのテーマをこれでもかと盛り込みつつ、一気にラストスパートをかけるリアリティあふれる筆致はすさまじかった。陸一心にこれ以上辛い思いをさせないで!と心底祈るような気持ちで完読。これを読んで、戦争の、残留孤児の、日中の溝の、何がわかったと言えるものではないけれど、読みながら感じた心の引き裂かれるような痛みは、この本を読んでよかった、読むべきだったという証なのだと思う。
0投稿日: 2012.01.14
powered by ブクログ【読書その111】大地の子の4冊目。これで完結。この巻でついに実の父と巡り会うが、過ぎ去った時間と境遇に悩む親子を描いている。中国残留邦人の家族との離別の悲惨な状況を描くだけではなく、それに日中共同の一大プロジェクトである製鉄所建設を入れ込み、主人公とその生き別れた父との家族関係を一層複雑なものとしている。現実の世界においても、この小説の範囲に止まることなく、残留邦人をめぐる様々な現実が繰り広げられたのだと思う。筆者である山崎氏は、この本の執筆に当たり、100冊以上の参考文献をこなし、3年間の現地取材を含め、中国人と日本人をあわせて千人以上もの人々に取材をし、8年がかりで世に出したという。この小説は、非常に読み応えのある素晴らしい小説だった。是非ともドラマ版も見てみたいと思った。
1投稿日: 2011.12.28
powered by ブクログ陸一心を、松本所長を、日本人技術者をもういじめないであげてと思って しまうほど、容赦ない仕打ちが続く。けれど、すべて事実に基づいて書かれた話、 いや実際にはもっと凄惨で、もっとたくさんの苦労があったはず。 あとがき・解説から窺える作者の、本作を描き切ることへの執念、みんなに 知ってほしいという執念、その迫力を感じた。 結末はさておき、最後の峡谷を抜ける描写が、陸一心のこれまでの境遇と 重なって、印象的だった。本作の各所で描かれてきた過酷な天候に象徴される 中国の社会情勢、中国国民が心穏やかに暮らせる日は近いのか否か。
0投稿日: 2011.11.11
