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千早茜 / 新潮社 (349件のレビュー)
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総合評価:
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うえお
このレビューはネタバレを含みます
石見銀山での、ウメの一生を描いた作品。 今となっては石見銀山は世界遺産として観光地となっているが、この地で銀が採掘されていた江戸時代、今とは比べ物にならない労働環境がそこにはあった。 石見で生まれた男たちは、必然的に幼少の頃から山に入り、間歩と言われる山に穿たれた穴に潜って銀を採掘する。 石見に限ったことではないだろうが、採掘場では山の崩落や急に浸水してきて間歩の中で命を落とす者も多かった。 それでなくても、マスク等せず山を削るわけだから、ほとんどの者が呼吸器系の病気にかかり、早々と命を落とす。 石見の女達は夫を早く亡くす者が多く、ウメも例外ではなかった。 信頼していた男に捨てられ、愛された男に先立たれ、愛し愛された男と共に逝く。
投稿日:2024.04.23
りー
最初は時代背景ゆえの言葉遣いに読みにくさを感じたけど、それさえ慣れてしまえばストーリーは王道中の王道なのでむしろ読み進めやすかった。 王道の展開を銀堀という一風変わった設定で覆うことで味付けしていて、…色んな小説の在り方があるんだなぁと思わされた。 隼人が亡くなったときの間夫と女性の肚を重ね合わせるような台詞回しはぞっと来たし、最後まで読んだ後に最初の詩のような文章を読み返したら意味が伝わってきたのも良かった。 総じて、石見の銀堀というテーマを選んだ意味がちゃんと活きている作品だったと思う。続きを読む
投稿日:2024.04.20
まるこす
最初は徳川前の銀堀達の話から始まり、かなり読み進みるのが難しかったが、後半からは千早茜作品だなやはり、と思わせる綺麗な描写の表現等が目立って面白く感じることができた。 ヨキが好きやった。 隼人をこの躰…に呑み込んで、自らが間歩になってしまえたらいい。 輝きがなくては人は生きていけない。 足掻きましょう、無為に思えても。どこにも逃げられはしないんです。 いい文章です。続きを読む
投稿日:2024.04.17
muushikamiishika
初めての作家さん。 全体的に暗めではあったが、力強い作品だった。 守り育まれる中で敬い憧れ慕い続けながらも、結ばれることのない愛。共に競い合いながら成長し、やがて夫となり家族となっていく、幼馴染との愛…。自分の後を追いかけていた幼子が、いつしか全てを受け入れ包みこんでくれる存在となり、やがて身を委ねていくことになる愛。女であることを厭い、女としての幸せを受け入れることに葛藤し、愛し愛される幸せを知り、女として生き抜いていく。時代や環境を超え、今に通ずる物語だと感じた。続きを読む
投稿日:2024.04.16
ともこ
理不尽はどこにでもある。 諦めるほど素直ではないけれど、 ウメの様に抗って闘って受け入れるほど強くもない私は、おとよが一番近いかなと思いながら読んだ。 山陰に住んでた頃は地元過ぎて予約がいっぱいだっ…た本書が、越してきた山陽では書庫に挿してあってびっくり。偶然かもしれないけどね。 近くにいたのに結局行かなかった石見銀山。 世界遺産なのにね。 いつでも行けるって思うと油断してしまう。続きを読む
KENTON
戦国の世、ある村にウメという少女がいた。 家族と共に貧しい暮らしを続けているが、近くには銀(しろがね)が採れる集落があり、そこでは皆豊かな生活を営んでいるとの噂が。 子供が増えるにつれて生活が圧迫され…ていくウメの父親は、ある夜、家族を連れて村から逃げることを決心する。 人よりも夜目が効くおかげで無事逃げ果せるものの、山中で家族とはぐれ一人になってしまうウメ。 怪我をした少女がある山師と出会い、持ち前の気の強さを武器に、石見銀山で己の命を燃やし尽くす物語。 「透明な夜の香り」で触れた千早茜の作風とは大分異なり、文章からは儚さよりも熱さのようなものを感じる。中盤までは物語の展開が少しスローペースだが、ペースが遅いというよりも丁寧に表現しているといった印象。物語が一度展開しだすと、なんとも切なく情感豊かな心理描写に胸を打たれること必死。 今や世界遺産にとなっている石見銀山。 訪れたことはないが、そこには銀に夢を見、命を賭け、翻弄された人々の歴史があり、人の手で掘られた坑道には山師の魂が刻まれている。 読了した今は、猛烈に石見銀山に行ってみたい。 想像しかできないが、山師とそれを支えた人々の壮絶な人生の残り香を実際に感じ取ってみたい。 なんならちょっと銀を掘ってみたい。続きを読む
投稿日:2024.04.15
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