【感想】ハーバードの美意識を磨く授業

ポーリーン・ブラウン, 山口周 / 三笠書房
(10件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
4
3
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ブクログレビュー

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  • 高岡  亮

    高岡 亮

    『ハーバードの美意識を磨く授業』
    【こんな人におすすめ】
    ①ラグジュアリーブランドが、ブランドたる所以はなんだ?に関心がある。
    ②美意識。そもそもなんだ?僕は、わたくしは苦手、抵抗感がある。
    ③消費者向け事業を行っている。なにかヒントがほしい。
    ーーーーーーーー
    【著者】
    コンサル会社からグローバルのラグジュアリーブランド企業に転身をし、実績を上げた人物である。要職を退任したあと、世界に、消費に「美意識必要」と考え、ハーバードで教鞭をとる人物である。
    また、訳が山口周さんであることも魅力的だ。前説だけでも、なぜ本書なのか?が理解できる。
    ーーーーーーーー
    【本書の醍醐味】
    本を読めばわかるが、知、学の広がりが深すぎて、私のような一般人には理解しづらい範囲も多い。
    しかし、以下の部分を知るだけでも大変に有難い書であると考える。
    ・美意識とはなんだ?
    ・なぜ、この時代に美意識なのか?
    ・美意識を鍛える。できるのか?できる。日常生活で。
    ーーーーーーーー
    【2度読みして再認識できたこと】
    ①過去の消費。
    トレンド消費、すなわち人が所属、承認欲求を満たすための消費であったこと。
    ②現在の消費。
    製品が溢れ、必要、不要以上に、好き・嫌い、合う・合わないが消費の軸となっていること。
    ③美意識とは?
    ひとと製品・サービスをつなげる一つの考え方であること。
    消費者側の美意識、すなわち、購買が安心や満足という感情に訴求することが必要になっていること。
    同じく、提供する事業会社側にも、消費者の美意識を理解するための美意識が必要となっていること。
    ④美意識は後天的に磨ける。
    1)日常生活
    自身が消費するときは自身の五感がどう感じているか?記録する。
    2)記録方法
    同一カテゴリー製品ごとの違い、時間軸(年齢含む)での変化。プラス評価、マイナス評価、感じたことを言語化する。
    3)提供側の場合は、消費者側の五感を想像してみる。
    サンプル、購買前、購買中、購買の瞬間、購買後(帰宅しての開封)。
    ーーーーーーーー
    【本書より抜粋】
    3ページ
    「普遍的な問題」があらかた解消してしまうと 「正解」を提供する能力が今度は過剰供給されることになります。 経済学の基本原則に則れば「過剰なもの=正解」 の価値はデフレし、「希少なもの=問題」の価値がインフレすることになります。これはつまり 「優秀さの定義」が、かつての「与えられる問題について速く、正確に正解を出せること」 から、今後は「誰も気づいていない新しい問題を発見・提起できること」にシフトするということです。
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    投稿日:2023.10.08

  • Tomota

    Tomota

    これからの時代、製品・サービスに必要なのは、性能ではなく「美意識」だ。ビジネスで成功するために知っておきたい美意識の持つ力、活用法を説く書籍。

    「美意識」とは、人が自らの感覚を通じて対象や経験を理解し、知覚することで得られる喜びや満足感のこと。美意識に支えられたビジネスは、消費者に見た目、味、音など「感覚上の満足」を提供し、喜んで買いたいと思わせることができる。

    物があふれている今日、消費者は物欲に駆られることはなく、意味や意義のあるものを求めている。そうした中で、豊かな美意識を持つ企業となるためには「レゾン・デートル(存在理由、存在価値)」に拠って立つことが求められる。それこそが、真に顧客の心に訴え、顧客を喜ばせるものである。

    消費者が製品やサービスを購入する際、動機の約85%を占めるのは、その製品やサービスに対する感覚や感情だ。人は、特定の製品やサービスを通して、自分の五感(味覚、嗅覚、触覚、視覚、聴覚)のうち少なくとも3つが刺激された時、感動や満足感を覚える。

    人々の感覚や知覚に訴えかけ、ブランドの価値を高めるには、まず自社の「ブランドコード」とは何かを理解する。そして、五感をどう使えばブランドコードを洗練させ、消費者の関心を惹けるのかを理解することが必要だ。

    ブランドコードとは、ブランドの哲学や美学を表わす、そのブランド特有の目印のことである。ロゴやキャッチフレーズ、特定の色など、ブランドコードは多種多様であるが、いずれも個々の製品を超えて意義や価値を喚起し、人々と製品の間に永続する感情的なつながりを築くことができる。
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    投稿日:2023.08.19

  • manrelaxman

    manrelaxman

    一応ビジネス書ということで、ビジネスの観点からの美意識を期待したが、ファッション、美容業界で注目されている外資企業が事例として多く取り上げられている。途中、金融業界にも触れているが、選択肢が多いのが良くないという、本丸の美意識とはややずれている気がする。

    そりゃそうだよねという内容ばかりで、
    総じて目新しいものはなかった。
    そして、安易に邦題にハーバードという言葉を使っているが、ハーバードが持つ美意識を損なわしてはいないだろうか?
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    投稿日:2023.03.12

  • torepan07

    torepan07

    ハーバードの美意識を磨く授業: AIにはつくりえない「価値」を生み出すには
    著:ポーリーン・ブラウン 監訳: 山口 周

    なぜ、「美意識」がこれからの世界において重要なのか?という問いについては以下の5項目がその解となっている。
    ①正解の無価値化
    ②論理的・理性的な情報処理スキルの限界
    ③全産業のファッションビジネス化
    ④利便性から情緒への価値源泉のシフト
    ⑤人口知能との仕事の奪い合い
    本書は、上記が「WHYの問い」には答えているものの、「美意識をどのようにして高めるのか?」あるいは、「美意識をどのようにビジネスに適用するのか?」という「HOWの問い」に対しての解を追求している。

    構成は以下の9章から成る。
    ①なぜ「美意識」が必要とされているか
    ②人の感情をゆさぶる不思議な力
    ③ブランドコードを確立せよ
    ④深い「共感」と「洞察」から導かれる世界
    ⑤その人にしかない感覚をどう伸ばすか
    ⑥知的センスのいいひとが実践していること
    ⑦新たな空間価値をどう生み出すか
    ⑧「言語化」された時、すべてが浮かび上がってくる

    本書の冒頭にある、日本での「美意識」における第一人者であり本書の監訳を担われている山口周氏の言葉が秀逸すぎる。つかみどころのない「美意識」と本書における前提がとても丁寧に書かれており、その言葉を読むだけでも本書を手に取る価値は十二分にある。

    「美意識」をビジネスに落とし込むのはまだまだ先と思うことなかれ、世界・日本における直近でのわくわくするビジネスには、随所に本書のモデルがちりばめられている。美意識が主流となり、旧態依然の考えに固執していれば、どのような業種であっても現状維持どころが衰退するということは容易に想像ができる。

    事例などでつかみどころのない概念を出来る限り見える化したり、想像できるように可視化することを本書では挑戦している。

    読むのに頭をフル回転しなければいけないものの、新しく、そして必要な概念に対しては脳みそが汗をかくことを避けてはいけない。本書は十二分にその価値がある。
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    投稿日:2022.11.27

  • 丸の内OLの読書録

    丸の内OLの読書録

    「優れた審美眼やセンスは、人の内面から出てくるもの」

    知識や経験の蓄えを増やして、どんな場面においても見極めやセンスある選択ができる人でいたい。学びに貪欲でありたい。

    タイトルでずっと気になっていて、ようやく読み終えた本。最近、企業や自治体の生き残りを考えたときに「ブランド価値」を強く意識するようになった。モノがコモディティ化する世の中で、差別化・唯一無二の競争優位性が重要視されていると感じる。
    「アーティスト的な思考がビジネスの世界にも求められる」「その鍵となるのが第2のAI(Aesthetic Intelligence)すなわち美意識だ」と説く著者。なぜ重要か?美意識がもたらす効果とは?どう活かしていくか?興味を掻き立てられ、どんどん読み進められる、山口周さん監訳の1冊です。
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    投稿日:2022.11.19

  • kurodama

    kurodama

    このレビューはネタバレを含みます

    ハーバードでは、美意識に基づくポーリーンブラウン教授の美意識の授業がある。モエヘネシーの北米代表など、マーケ絡みの責任者を歴任してきた著者の経験からくる論理でもある。ビジネスの世界にある意味対極的と過去から思われてきたアートの重要性、美意識というものが介在しているのか、そしてそれを活用することがいかに大事なのか、を説く。
    筆者は、美意識をビジネスに活かすスキルをAesthetic Intelligenceと呼び、頭文字をとって第二のAIと名付けた。テクノロージーと美意識、人間にできることで、経済と社会のサステナビリティに貢献できると。シャンパーニュ、ロゼを生み出したマダム・クリコは。製品や経験に特別な価値を与えているかどうか、ということがわかったのだろう。模倣からは永続的な価値は生み出されることはない。よって、ファストファッションはハイエンドの模倣である限り、価値は下がっていくが、ブランドの商品は落ちることはない。エルメスのバーキンのように。
    ニューヨークのステーキハウス、デルフリの店員のユニフォームのリデザインに取り組んだのも彼女だったのか。自分だけの特別な体験、これを五感全てで表現する。これをマーケティングで忘れてはいけない。
    スタバのサンドイッチの匂いが、客をゲンナリさせてしまい、調理方法を一新したというのも、なるほどと思った。日本のスタバにはあまり行かなかったが、本当に匂いも悪いし、味も薄い。当初のコンセプトが当たりすぎただけに、オペレーションに集中し、そこに安住し大事な美意識を失った例だろう。一方で、トレーダージョーンズ(所謂トレジョ)、ABCカーペットなどニューヨークで独自色を出している小売店舗を教授は忘れずに取り上げる。
    では、どうやって美意識を磨くのか。例えば味覚は50%は遺伝子で決まってしまう。ベンアンドジェリーズが実はロングアイランドで起業された会社とは知らなかった。ユニリーバに買収され、そこから市場シェアを奪いにいく。高級アイス、ハーゲンダッツがいる市場に。
    もう一つ面白いのは、日本人留学生の制服姿が、アメリカキャンパス内で最も挑発的だとした。JKスタイルは、アメリカでは完全に売春婦の格好と一緒ということだそうで、これもなかなか驚きであり、隠れた日本人ファンが多く、また女性が国際結婚が多い日本の姿を表しているのだろうか。。。一方で、アンチファッション、つまりTシャツにヨガパンツ姿、5分しか着替えに要する時間がない、または注意を払わないという選択もあると。ニューヨーク、こういう人も本当に多い。
    家にある、愛着のあるもの、好きなもの、そして逆に目障りなものをあげて、理由を考えてみるというエクササイズが書かれている。コンマリ的な感じかもしれないが、アメリカ人にとってものはものに過ぎない。ここが日本人と大きく違うところだろう。逆に日本人の凄さは、ここにある。心地よいものだけで、周りを構築する能力は凄まじく、そして清潔で、シンプルになっていく。
    無難なビジネスパーソンになるな、写真立てを置いて、家族愛があることをアピールする、典型的なアメリカン。あなたがやりたいように、やりやすいように、そして自分らしく最高のパフォーマンスを発揮するのはどういう環境だろうか。素晴らしい、ビジネスパーソンへの美意識に対する決定的な問いの一つだろうと思った。

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    投稿日:2022.06.01

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