【感想】あの日、松の廊下で

白蔵盈太 / 文芸社文庫
(22件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
9
8
2
0
0

ブクログレビュー

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  • のんさん

    のんさん

    このレビューはネタバレを含みます

    とても面白かったです。松の廊下刃傷事件の3ヶ月前からのできごとを、物語にしています。いままで、それなりに忠臣蔵を読んだり、ドラマで見たことがありますが、事件の手前からやってくれたのはありませんでした、このため、ほぼ知識は0でしたが、事件がおきた背景が理解できました。この著者の書籍タイトルは、いつも面白く、ちょっとふざけた感じですが、内容は至って真面目で、読みやすくわかりやすいです。以下に内容を記載します。
    主役は、浅野内匠頭でも吉良上野介でもなく梶川与惣兵衛という下級旗本。松の廊下で、浅野内匠頭を羽交い締めにして取り押さえた人(諸説あり)。彼は、勅使饗応役の浅野内匠頭と高家吉良上野介の取次ぎをする役目でした。彼は、身分差の激しい当時、下々に優しく、上役にしっかり意見を言える浅野内匠頭も、仕事に実直な吉良上野介も二人共尊敬していた。問題になったのは、吉良上野介が朝廷に年頭挨拶のために京都にいってしまったこと、勅使饗応役の予算が曖昧だったこと、吉良上野介以外の高家が無能だった事、梶川与惣兵衛の地位が低かった事が事件へとつながったと思われる。また、浅野家家臣も人が良かったり朴訥だったり、もう1つ内匠頭を助けられる能力が高かったらとも感じられる。江戸と京を手紙のやり取りをしながら、勅使饗応役の進捗情報を伝えていた浅野内匠頭だか、これがすれ違いを生んでしまっている。本当に些細なすれ違いが事件に繋がってしまったんだと思わされた。
    1番大変だったのは、主役の梶川与惣兵衛だっったと思います。本当にお疲れ様でしたといいたいです。
    高家が何人かいた事、吉良上野介が年頭挨拶のために京にいっていたことなど知らないことも多く、勉強になりました。

    浅野内匠頭辞世の句
    風誘う 花よりもなお我はまた 春の名残りを
    いかにとかせん

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    投稿日:2024.04.05

  • akizomickey

    akizomickey

    サイトの記事が気になりブックオフの入荷待ちして購入。崇高ではない忠臣蔵は新鮮、これも真実かもと思えるほど人が人臭くてまずまず面白かった。
    2024-001

    投稿日:2024.02.23

  • Ryohei

    Ryohei

     昨年から続く私の中での忠臣蔵ブームから手に取った作品。
     吉良でも浅野でもなく梶川頼照目線の作品というのが面白い。そして梶川自身が実直で本音を心でこぼしつつも真っ直ぐな目で両人を評価する。本作での事件の動機は「すれ違い」と「友情」。前者に関しては、現代ビジネスに通ずる部分があり、手紙(メール)がいかに真意を伝えづらいかを如実に表している。両者相手を思い書いた言葉が曲解して伝わる。自分が正しいという思いがあるからこそ、余計にすれ違いが生じる。
     そして梶川と浅野の身分を超えた友情が最後のスイッチになったというのは物語として最高の帰結。本作での2人の結びつき、浅野の人たらしな性質からすると、恨みの対象が友人をいびる風景には我慢ならないだろう。
     最後に梶川が語るように赤穂藩の無能さが際立っていた。いくらでも防げるスイッチがあったにもかかわらず、誰も押そうとする姿勢を見せずに事件後逆恨み。個人的には忠臣蔵への批判は興味深い。
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    投稿日:2024.02.03

  • 栞

    面白かった。
    『殿!殿中でござる』と浅野内匠頭を取り押さえた人、旗本・梶川与惣兵衛の目線から描かれたお話。

    最後にフィクションですと断り書きがあるけどこんな感じだったのだろうなーと思いながら読んでた

    浅野内匠頭と吉良上野介。
    本当は2人なら仲良くなれたはず。こんがらがってしまって上手く噛み合わず起きてしまった悲劇。最後を知ってるだけに読みながらため息がでた。
    梶川与惣兵衛の努力が報われなかったことがただただ残念。


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    投稿日:2023.12.09

  • 春時々秋

    春時々秋

    こまでが確たる資料に基づいて書かれていて、どこからが作者の想像なのか不勉強な私には分かりませんが、とてもあり得そう。
    そもそも、忠臣蔵でなぜ、浅野内匠頭が吉良上野介に切りかかったのかが謎で、それほど説得力のある説明がされておらず、作者はこの「なぜ」から出発したのでしょう。非常に共感できるお話になっていました。

    ただ、浅野内匠頭の言葉が「大阪弁」であって、「播州弁」でないことが最初から最後まで気になった。
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    投稿日:2023.10.31

  • SOHO

    SOHO

    このレビューはネタバレを含みます

    吉良側でもなく、浅野内匠頭側でもなく、止めに入った世話役??の下っ端である梶川与惣兵衛視点というのがかなり面白い。どっちが悪いというのでなく、生真面目同士のボタンの掛け違いで起きたこと。どこまでノンフィクションなんだろうか。続編も読みたい

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    投稿日:2023.05.26

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