【感想】いとしい

川上弘美 / 幻冬舎文庫
(75件のレビュー)

総合評価:

平均 3.4
5
28
27
6
1
  • 川上弘美らしい作品

    初期の作品なんだね。
    川上弘美らしさ溢れる、変わった登場人物の不思議な物語。
    元々作者の新聞連載のエッセイが好きで、小説も読むようになったんだけど、文体も好き。
    ただ、最初から最後まで、ずっと惹き込まれるというところまではいかなかったなぁ。続きを読む

    投稿日:2020.12.20

ブクログレビュー

"powered by"

  • Glenn

    Glenn

    川上弘美さんの小説はまともなのと、そうでないのがあるが、本作は後者だった。

    飲み過ぎてしまった日に朦朧としながら見る夢のような、輪郭がぼやけていて、よくわからない部分もたくさんあるのだけど、柔らかな語り口で丁寧に書かれた文章のなかに、確かに共感できる部分や切なく涙を誘う場所などもあってすき。

    意味があるんだかないんだか、話を進める気があるんだかないんだか、みたいな箇所も多くあるが、読み終えて本を閉じた時に、「いとしいだな」としっかり思った.
    続きを読む

    投稿日:2022.06.19

  • Chisa

    Chisa

     阿部工房やカフカを彷彿とさせる、異世界に迷い込んだような幻想的な物語。
     
    「語り手である主人公マリエとその姉のユリエ、母カナ子、母の恋人だったイラストレーターのチダさん、マリエが教える大鳩女子高等学校の生徒ミドリ子、ミドリ子の兄でマリエの恋人になる紅郎、ミドリ子を追いかける鈴木鈴郎、姉ユリエの恋人オトヒコ。全員が揺らめくごとく、あやふやで、液体みたいな人物たちだ(解説p.252)」

     ミドリ子はチダと性行為をすると耳が上下逆に「捻れる」(チダが一回につき二万円を支払うと元に戻る)。ある日突然「休眠」に入ったオトヒコの全身を膜のようなものが覆い、そのうち身体の一部が分裂して新しい小さなオトヒコが出現する。そういうことがあたかも当たり前であるかのようにとめどなく物語は進んでいく。前半は、なんだか妙に女性性の強い家族だなぁくらいの違和感だったのだけれど、中盤以降なんかもういろいろ奇想天外すぎて、川上弘美さんはいったいどこからそういう発想が生まれるんだろうという驚きしかなかった。ゆらゆら揺れる船の上でSF映画を観たこととかないけど、でもたぶんそういうときのような感覚。激しい揺れじゃないけど、いつの間にかじゃっかん酔うみたいな。
    続きを読む

    投稿日:2021.10.13

  • Yurico

    Yurico

    「好きになるということは、好きになると決めること」母性より女性を匂わせる母と、売れない春画を描く義父に育てられた姉妹ユリエとマリエ。温かく濃密な毎日の果てに、二人はそれぞれの愛を見つける。高校教師になった妹マリエは教え子のミドリ子の兄と恋に落ちるが、ミドリ子の愛人は母の恋人だった…。芥川賞作家が描く、傑作恋愛小説。続きを読む

    投稿日:2021.06.05

  • kazekaoru21

    kazekaoru21

    とりとめもなく奇妙で不思議な人や事柄がたくさん出てきて、頭が混乱しそうになった。といっても最後は「いとしい」に辿り着くだろうと読みすすめる。
    最初はお伽話のようなおかしな笑いの場面もあるが、だんだんこわい話になってゆく。毎晩現れ、目の前でいとなみをするアキラとマキさんのユーレイ。一回につき2万円で関係を持つチダさんとミドリ子。玄関に猫を置いてゆくストーカー。兄妹の愛。愛する男性が膜におおわれ休眠してしまう話とか。なぜこうもいくつもでてくるのだろう。ストーリーの筋は、と考えたところ読み込めない。これは雰囲気を堪能しようと思った。やはり文章にひきつけられる。
    泣けたのは、ユリエがオトヒコさんを、「長い旅に出るひとを見送る気分」で抱きしめて泣いたところ。これが見送るってことなんだ。軽かった、軽く温度がなく。ここで私は、これは生き詰まった登場人物の心の声、幻想の物語だと思った。変容しないではいられない生き物の悲しみ。ふわふわして人間の温度が感じ取れない液体みたいな人たち。だからよけい、淡々としている表現なのに、濃く伝わってきた。日々、生活していれば、世の中には理解できないことも多く、人の奥底にも何かがかくれている、よくわからないことばかり。
    続きを読む

    投稿日:2021.06.04

  • 庭園

    庭園

     わたしには、1〜6までと7〜13では違うお話のように思えました。前半登場人物が増えていき取り止めもない日々が穏やかに過ぎていってとても心地よく感じました。後半になりオトヒコさんとユリエちゃんがいよいよ親密になって鈴本が現れてから、不思議なことがよくおこるようになるからかもしれません。やっぱりミドリ子は紅郎をそういう意味で好きだったということなのでしょうか、ふわふわしてわからないことがあるままのところが良かったです。
     「ほんとはしっかりしてるんだけどね。しっかりしない自分が嬉しいみたいね」というユリエちゃんの言葉はまさに恋に恋する初期の頃を言い当てているように感じました。
     

     余談ですが、ちょうどお昼に読み終えたので、昼食を湯豆腐にしました。手作りでなくパックだけど、おろす生姜でなくチューブだけど、ネギを刻むのが面倒で鰹節をたくさん振りかけたけど、しみじみ美味しかったです。小説に出てくるのと同じ食べ物を食べるのって特別な感じがしてうれしくなりますね。
    続きを読む

    投稿日:2020.11.14

  • kaorukaeru

    kaorukaeru

    恋愛小説ですがいろいろ奇妙です
    まぁそこが川上弘美ワールドなんでしょうけど

    オトヒコは何者なのか?
    ミドリ子は何者なのか?

    たんたんと読んだって感じです

    投稿日:2020.03.20

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。