水曜日の凱歌(新潮文庫)

乃南アサ / 新潮文庫
(27件のレビュー)

総合評価:

平均 4.5
10
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ブクログレビュー

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  • mokamoca

    mokamoca

    戦後の女性たちを描いた小説。
    実際にあったとされる、進駐軍に向けた特殊慰安施設で働かざるをえなかった女性たち。
    他に働く当てもなく、食べていく、生きていくためには仕方なかった。
    そんな慰安施設での通訳の仕事を紹介してもらった鈴子の母は、英語が話せたことが幸いした。
    ただ、そんな母を鈴子は受け入れられなくなる。
    14才の鈴子にとって、戦争に負けたからといってアメリカ人と仲良くしたり、愛想を振り撒く母を信じられなくなる。
    鈴子にとっては、自分たちの家族や友達を殺した憎き敵でしかない。
    そんな鈴子の気持ちも、生きていくために娘を守るために強くならざるをえなかった母の気持ちもわかるだけに、辛くなる。

    2020.8.26
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    投稿日:2020.08.27

  • あらいぶ

    あらいぶ

    14歳の夏に終戦を迎えた。
    父親を事故で亡くし、長兄は戦死。
    姉は嫁ぎ先の空襲で亡くなり、出征した次兄は帰らない。
    空襲から逃げる中で妹は行方知れずになった。
    母親と二人だけになった二宮鈴子。

    戦時中に教えられてきた価値観が180度変わる渦の中で、
    日本の防波堤となった数千人の女性たち。
    「新日本女性に告ぐ。戦後処理の国家的緊急施設の一端として、
    進駐軍慰安の大事業に参加する新日本女性の率先協力を求む」
    RAA(特殊慰安施設協会)を設立して、敗戦国の日本は、
    進駐軍兵士からの性の防波堤として女たちを差し出すことを決めた。
    勝手に無理な戦争を始めて、そして負けた男たち。
    今度は、女たちの戦いが始まった。

    終戦混乱期の1年余りを14歳の少女目線から捉えた物語。
    勝手に戦争を始めて、無理な戦争に負けて、
    その尻拭いを女性に押しつけた男ども。
    その史実に唖然としました。
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    投稿日:2020.06.26

  • heresince

    heresince

    戦争は戦争中はもとより戦後も国民に多大な苦しみを与え続けた。戦後、残された女、子供は様々な生き方を選ばなければならなかった。鈴子の母つたゑは自分と娘が生き抜いていくために今までとはがらりと違うしたたかに生きていく道を選ぶ。つたゑにはそんな才能も強さもあった。14歳という多感な時期であった鈴子はそんな母に反感を覚えながら次第に母を理解し、一人で強く生きていくことを教える母に感謝するようになる。
    鈴子の友人勝子の母は焼け野原となった東京にとどまり、爆発で腕を失った勝子を看ながら貧乏な苦しい生活を送るが鈴子との出会いをきっかけに熱海に行きまもなく事故で亡くなる。
    まだ自立していない子供の人生は親の考え方、生き方によって左右されてしまう。成長とともに二人が新たな自分の人生を生きていけることを願った。
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    投稿日:2020.05.21

  • ゆかたこ

    ゆかたこ

    戦後を生き抜く女性のお話。
    恥ずかしながら、この本を読むまでRAA(特殊慰安施設協会)という存在を知らなかった。
    終戦を迎えたことは1つの区切りではあるけど、それまでの思想や環境が変わっていく中でどう生き抜いていけばよかったのか、深く考えさせられた。
    女性は強いとか、女性はあざといとか、そんな言葉じゃ言い表せないけど、最後はちょっとスカッとした。
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    投稿日:2020.04.24

  • oyumy

    oyumy

    どうしてこう、いつの時代も男はバカなのか……。

    ごめんなさい、そう思わずにはいられない話でした。

    戦争に負けた日本に、戦勝国のアメリカ人がいっぱいやってくる。
    だから、頼まれもしないのに、慰安所を作った……。
    そういうこと、我慢できねーのかよバカが、と女の私は思う。
    きっと日本男子は、自分たちが我慢できないから、アメリカ人もそうだと思ったんだろう。
    まあ、実際そうだったんだけど。
    ホントバカ。悪いけど。

    色んなことを「ずるい」と思う鈴子の気持ちもわかるし、おそらく日本の男に腹を立てている、という鈴子の母の気持ちも、わかるなあ。
    続きを読む

    投稿日:2020.04.19

  • うどん

    うどん

    戦時下、父やきょうだいを亡くし、母親と2人で東京で暮らす二宮鈴子。彼女の14歳の誕生日、昭和20年8月15日水曜日、戦争は終わり、日本は敗戦国となった。混乱する社会の中で、母子2人のサバイバルがはじまる。

    戦争以前、女は家庭に入り、男たちを陰で支えるだけだった。しかし、敗戦国となり、多くの男手を失った日本では女たちも自立しなければならない。在日米軍の手足となる者、性を商売にする者、小料理屋、女中、キャバレー。男は女を守れなくなった日本で、奮闘する女たち。その一方で女が働くことを嫌悪する古い価値観を持つ男女もいる。

    鈴子の母は英語を知っていたおかげでアメリカ軍の慰安婦施設の通訳として働くことができた。十分な報酬もらい、めぐまれた衣食住の提供を受ける鈴子と母。しかし、鈴子にとって、キャリアウーマンとして高みを目指し、米軍将校と付き合う母は昔の母ではなかった。そして、周りを見れば、その日をどうにか暮らしている貧しい女たちがいる。

    豊かな暮らしをさせてもらっているのは、母のおかげ。しかし、そんな母にやりきれない気持ちを抱えつつ、自分ひとりで生きていくことにも臆病な鈴子。当時の日本は家にこもっておとなしくしている戦前の女性像と1人で生きて社会に向き合う女性像をめぐって、女たちが戸惑う時代だった。

    敗戦から約1年後の水曜日、女性にとって新たな歴史的出来事によって、本作品は終結する。
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    投稿日:2020.04.12

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