【感想】人質の経済学

ロレッタ・ナポリオーニ, 村井章子, 池上彰 / 文藝春秋
(17件のレビュー)

総合評価:

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  • 出口はどこに?

    9.11をきっかけにアメリカで成立した愛国者法によって、ドル決済ができなくなったコロンビアのコカイン・カルテルが、ユ-ロ決済を始めたことが、巡り巡ってイギリスのEU離脱に結び付く。このパズルの回答が詳しく説明されています。日本も、駒の一つに組み込まれています。改めて、アラブの春、中東問題などについて考えさせられます。続きを読む

    投稿日:2017.01.26

  • 人質、難民問題がよくわかる

    人質、難民問題がよくわかります。やはり安易な使命感や同情で紛争地域に素人は行ってはいけない。

    投稿日:2017.02.27

ブクログレビュー

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  • 小松福門

    小松福門

    衝撃的な内容。読んでいてなぜ誘拐がなくならないのかがよく分かる。私の周りではシリア近辺へ行きたがる人はおらず、自身も望んだことは一度もない。そのため欧米人のシリアに対する思いというか憧れが理解に苦しい。無邪気に訪れ、バンバン誘拐されていく様子が読んでいて怖い。しかもただのインタビュー本ではなく、誘拐がいかにしてビジネスとして成り立っているか解説しているため余計に恐怖感が増す。誘拐組織にとって、人質は拉致した瞬間から毎日毎日コストのかかる投資対象となるそうだ。外国人は国籍と職業に応じて値付けされ取引される。日本は全くの無関係とは言えないが、主にヨーロッパと中東の闇を覗いた気持ちになった。続きを読む

    投稿日:2022.01.03

  • shimu2

    shimu2

    【誘拐ビジネスを繁栄させる要素として、無政府状態、経済発展、そしてもちろん、強欲を挙げることができる】(文中より引用)

    外国人の誘拐や難民の密入国といったテロ組織や犯罪集団が生業とする「ビジネス」に光を当てた作品。数々の犯罪の裏で資金がどのように動いているかを明らかにしていきます。著者は、マネーロンダリングに関する研究の第一人者として知られるロレッタ・ナポリオーニ。訳者は、上智大学を卒業し翻訳家として活躍する村井章子。原題は、『Merchants of Men: How Jihadists and ISIS Turned Kidnapping and Refugee Trafficking into a Multibillion-Dollar Business』。

    単発のニュースとして終わりがちな誘拐などの背後に広がる経済面を活写したという点で高く評価できる一冊。人間が売買の対象にされるという恐ろしさだけでなく、その周りにいかにしてビジネスが形成されていってしまうかという過程をよく理解することができます。

    訳もこなれており☆5つ
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    投稿日:2020.02.05

  • a0019447

    a0019447

    このレビューはネタバレを含みます

    タイトルの通り、人質に関する経済学。池上さんお墨付きだけありなかなかおもしろい。誘拐、交渉にもいろんな法則、データがあることを知れる一冊。
    歴史的地理的背景も語られており、興味深い。
    人質ビジネス、身代金ビジネスを分析する本

    メモ
    ・9.11後のアメリカのマネロン対策により流れが大きく変わった。アメリカを経由できなくなったことにより、ヨーロッパで資金洗浄が行われるように。その流れでサヘル地域がとても危険な状況に。
    ・誘拐組織のみならず政府も人質一人あたりを値踏みし、値段づけを行なっている。

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    投稿日:2019.12.28

  • maple

    maple

    私たちの考える人質事件は犯罪としての認識だが、テロ組織にとってはビジネスとっては政治取引の手段でしかない。タイトル通り、犯罪もベースにした経済圏が成り立ってしまっている。そんな経済圏を成り立たせているのは実は先進国だということに気づいていない国が多い。そんな先進国のウィークポイントをうまく突かれているのが人質だという状況。不安安定な国では人権ではなく商品としての扱いが克明に記されている。
    人質、移民問題。。悪を売り物にした経済圏はどこにでも成り立ってしまっている現代の怖さを知る一冊。
    続きを読む

    投稿日:2019.06.12

  • janiksenpoika

    janiksenpoika

    インパクトの強いタイトルだが、原題は「人身の商人」。難民たちの移動が「テロ組織」等の収入源になっていることなどにも頁を割いており、震撼させられる。一過性の議論ではなく、鳥の目で状況を見たい際にオススメ。厚いが読み易い。続きを読む

    投稿日:2018.11.05

  • sasha89

    sasha89

    「イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの
    支援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるため
    です。地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺
    各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します」

    2015年1月15日に安倍晋三が行った日エジプト経済合同委員会合
    でのスピーチは、やはりISに拘束されていた日本人ふたりの殺害の
    引き金になってたんだ。

    前年の11月にはふたりが拘束されていることを、日本政府は把握し
    ていた。それなのにこのスピーチである。

    「人道支援」の部分を協調したかったのであろうが、「ISILと闘う
    周辺各国」という文言が相手を刺激したのだろう。安倍晋三のこの
    スピーチをきっかけとして、日本人2人は身代金要求対象の人質から
    殺害対象に変更された。

    本書ではジハーディストによる外国人誘拐・身代金要求の様々な
    ケースを取り上げ、実際に人質解放交渉の最前線にいる人たちに
    取材して、崩壊国家にはびこる人質ビジネスを詳らかにしている。

    2016年の発行なので、シリアをはじめ中東の情勢には変化があるが、
    大筋では今も変わらないのだろうな。外国人を誘拐し、身代金を
    要求し、まんまと入手した身代金がテロリストの新たな資金と
    なる。

    ここまでは誰にでも考えられることだろうが、人質ビジネスで
    の儲けを元手に今度は自分たちが生み出した難民の渡航斡旋
    ビジネスに乗り出していたとは。

    しかもシリア国内で難民が一番安全に通行できるのがIS支配地域
    だと著者は言う。

    しかし、人の命に値段をつけて儲けているのは中東のジハーディスト
    だけではない。多くの難民が流入しているヨーロッパでも政府の補助
    金目当てに難民ビジネスを行っている人たちがいる。

    そして、人質ビジネスを行っているのは過激なジハーディストだけ
    ではく、独裁政権及びそれに抵抗する反政府組織なのだ。

    中東に崩壊国家・無法国家が生まれたのは、元をただせば欧米(勿論、
    アメリカの言いなりの日本も含む)の誤った中東政策が原因なのだ
    ろう。

    その結果が、難民受け入れ国で軋轢が生まれることとなった。途轍もない
    ブーメランが返ってきたようなものなのじゃないだろうか。

    先進国の驕りがいろんなところで綻びを作っていやしないだろうか。

    尚、欧米各国では人質にランクがあるそうだ。日本政府にも似たような
    ランク付けがあるのかしらね。フリージャーナリストは見殺しらしいが。
    続きを読む

    投稿日:2018.11.01

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