【感想】のぼる小寺さん(3)

珈琲 / good!アフタヌーン
(2件のレビュー)

総合評価:

平均 5.0
2
0
0
0
0
  • それを正義と名付けよう

    ずっと本作に感じていた何かが、この巻でひとつ氷解しました。
    ああ……「そういうこと」は自分にもあったなあ、とか。

    読み返すと、この巻の17.5話までもそうだし、というか第1話から一貫して散りばめられていたものが、第18話のある会話に収束しています。(と、勝手に思っている)
    この第18話では、繊細で、一歩間違うと陳腐になってしまうような、ものすごく表現しづらい「現象」について言及しています。
    自分には打算も予想も無かったのに、ある日、自分に冷たい(気がしていた)人達の態度が明らかに和らぐ……というような。

    ちょっと違うかもしれませんが、以前読んだある本では、これに近い現象を「正義」と呼んでいました。
    これ自体は珍しいものではなく、いわゆる「お天道様がきっと見ている」みたいなことです。
    これが本作の場合はもう少し抽象的で、なんかこう……真面目にやってるやつは応援したくなるよね、見ている方もやる気が出てくるよね、みたいな「正の連鎖」のように表現されてきたように思います。
    これ、「分かる」と思う方はむず痒いような逆に見たくないような感覚に襲われるかもしれません。

    ただ、そういう行動に「あいつ、なんか良いな!」と感じる人ばかりではなく、むしろ「うぜえ」と思う人も多いわけです。
    また、何らかの目的(あの子を振り向かせたい、とか)を狙って努力している場合はどこかで察知されて空回りする……というのも過去巻で描かれてきました。
    じゃあ金のために仕事をがんばるのは正義じゃねぇのかっていうとそういうことでもなく、それはまったく別の話。

    純粋に、ただ目の前のことに集中している、高い壁に挑んでいる姿っていうのは、他人にも影響を与える正しい波動みたいな力があって……うん、うまく言えないや。
    (少しでもうまく書こうと挑んで散った俺氏であった)
    続きを読む

    投稿日:2017.02.04

ブクログレビュー

"powered by"

  • 『黒犬』の優樹

    『黒犬』の優樹

    たまらねぇ、それだけで、きっと、この『のぼる小寺さん』を読んでいる人は共感してくれるだろう。しかし、漫画読みで感想書きなら、未読の人にも作品の魅力が伝わるように書かなきゃならない
    そういう意味では、この『のぼる小寺さん』の難易度は高く、やる気を触発される
    私だけじゃないはずだ、珈琲先生の実力が巻を重ねるごとについてきている、と感じているのは。珈琲先生が漫画家としても、人間としても成長しているから、ヒロインの小寺さんも頂点に近づいているのか、もしくは逆なのか、そこを考えながら書くのも結構、楽しい
    頑張るってコトの大切さや必要性を、偉そうに語っている訳じゃないのが、この『のぼる小寺さん』だ
    あくまで、私個人の印象だが、何かに対して本気になれる人間ってのは、練習や鍛錬そのものが楽しくてしょうがないタイプだ。マゾって意味じゃなく、自分の能力全てを絞り出す努力を楽しめる才能があるってコト。そんな人間は大抵、イイ結果を出せる。でも、きっと、彼ら彼女らにとっちゃ、結果は二の次で、全力を出し切れたのが大事なんだろうな
    注意っつーと、微妙にニュアンスが変わってきちゃう気がするけど、汗だくになって頑張る人間を「カッコ悪い」と嗤う人は読まない方が良い。小寺さんの魅力が判らないってのもあるだろうが、なまじ、彼女の真っ直ぐさに心が震えると、これまでの自分の言動が如何にダサかったか、を思い知って、深い傷を負う事になるだろう
    多くの人に読んで欲しいってのが本音だけど、読んで嫌な思いをさせてしまうのは心苦しい
    ストーリーの基軸は、ボルダリングと部活なのだが、青春っぷりをより一層に眩しくしているのは、恋愛と呼ぶには淡すぎ、薄すぎ、脆すぎな、男二人と女一人のトライアングルだろう。小寺さん、近藤くん、四条くんの関係がどう変わろうとも、絆が壊れない事を切に願う
    どの回も、小寺さんのミステリアスかつ天然な可愛さにKO必至だが、個人的に推したいのは、小寺さんが静かに激しい感情を剥きだす、第21話「怒る小寺さん」だ。この回がなかったら、(3)の総合的な良さは半減だった、と確信できるほどだ。次点は、小寺さんの人間的なカッコ良さと、ある意味、納得な弱点の両方が描かれている、第17.5話「走る小寺さん」である
    この台詞を引用に選んだのは、元より高かった好感度がグンッと上がったので。この作品のキャラクターのほとんどは高校生。だからこそ、成人しているキャラは、他作品より大人ってトコを見せつける必要がある。大人の定義は色々とあるだろうけど、高校生にカッコつけつつも、説得力のある、人生の先輩としてのアドバイスが出来るようになるコトだな、その一つは
    続きを読む

    投稿日:2016.11.21

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。