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アーシュラ・K.ル=グウィン, 清水真砂子 / 岩波少年文庫 (42件のレビュー)
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総合評価:
サザナミ
長い闇とその末の光
影との戦いの後の幾年か経った後のゲドの話です。 正確には、ゲドの手をとり、新しい道を歩むこととなった少女の話です。 丹念に少女のことが序盤から中盤にかけて語られ、ともすれば「ゲドはどこ?」と思うよ…うなストーリー展開でしたが、最後には立派な青年のゲドがきちんと話をまとめてくれ、前回の半分に割れた腕輪についても、それをくれた老女についても、合点が行き、大変スッキリしました。 今回は身の回りの世界と自由についてが語られていて、なかなか考えさせられます。 今までの狭い闇の中で決められたことをこなす世界と、これから広がる明るく自由な世界。 目の前の世界の広がりに恐れる少女の心の機微が丹念に描かれ、作者の入れ込みっぷりがすごい。続きを読む
投稿日:2018.03.15
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トト
このレビューはネタバレを含みます
自分の可能性に目を閉じ、ひたすら与えられた役割を全うすることを求められた少女の生きる道。息が詰まりそうな慣習とそれに付随する彼女に課せられた大巫女としての責務。それが当たり前だと生きてきた少女が目の当たりにしたのは、先人たちが作り上げた信仰という名の悪意と、自分の中に潜む己とは何者なのかに対する純粋な探究心と好奇心。その二つが垣間見えた時、少女は大海を知る魔法使いハイタカに出会う。戸惑いつつも、ハイタカとの信頼を築き己たちを解き放った彼女の目の前に広がったのは、自由というなの新しい世界。1人の少女が成長し、自分の生きる道を切り拓いていく姿を神秘性を帯びさせながら描き切った物語。
投稿日:2024.07.08
りゅうちゃん
1巻の影との戦いから数年。舞台はアチュラン、アルハ(テナー)が登場。 『自由とは何か』を問われたような作品だった。 5歳から大巫女として働き続け、外界とは遮断された村。付き合う人は巫女か付き人ぐらい…。彼女の仕事も暗闇の冒険。 そこにケドが侵入者として現れる。 アルハはゲドを殺さず話をする。そして出るか残るかの選択を迫られる。 出たときはテナーとして、不安と挑戦を。 残るときはアルハとして、安定と苦悩を。 選択できることが自由だと思うが、ゲドが現れなかったとしてもその村の中ではアルハも自由ではあった。(大巫女という立場も利用できた) しかし、それ以上の惹かれる世界を知ったのならば、飛び出さずにはいられない。続きを読む
投稿日:2024.05.22
K
1巻でゲド中心の物語を読んでいると、中盤まで「ゲドは?」と思いながら読んでしまう。それはこの本がどういう話なのかを最初に書いていないからこそ起こるのだが、主人公や舞台は毎度変わるのだと思った方がいいの…かもしれない。 中盤、ゲドが姿を現れてから物語は一気に加速。1巻で<影>に打ち勝ったゲドが、闇を切り裂く光となって、暗黒の地下迷宮を守る大巫女アルハの奢りと傲慢、そこからくる孤独と不安を打ち払っていく。 それでもいつまでも迷う彼女に読者はやきもきともするが、丁寧に言葉にされているので、自分の身にもあるその<影>にアルハを重ねているだろうという解説にも頷ける。 考えないで奴隷のように暮らすこと、自由を求めて戦うこと、どちらを選ぶか。軽くもなく、重すぎもせず爽やかに描き切るので舌を巻く。続きを読む
投稿日:2024.04.19
MOMENT
1人の少女の成長の物語として、エッセンスが凝縮されているような感じ。初期の傲慢な子供っぽさから、視野が広がって自分の立場を考え始め、好奇心のまま冒険して、大人の悪意を知って、自分の力を超えた本能的に敬…うべき存在に出会う。そして迷いながらこれまでの行いを省み、新たな世界へ踏み出す。 精神的に、こんなふうに大人になりたかったなぁ、と思う。続きを読む
投稿日:2024.03.31
Chanrisa
墓所の大巫女アルハが、ゲドをきっかけにテナーとしての人生を取り戻す物語。闇の中で安逸に暮らす事よりも、未知である外の世界で生きることを選んだ。 ファンタジー世界の物語なんだけれど、闇からの心の解放など、現実の世界にも通じることがテーマになっていて、奪われた時間を思って泣くテナーのシーンでは、私も足を踏み出すことをおそれて、無駄な時間を過ごしていないだろうか、いつかこんな風に泣く日が来るのではないか・・と思えて、人生をの一歩を踏み出す勇気をもらえた気がする。 そして一作目と比べて、立派な魔法使いとして心の落ち着いたゲドを見れるのもうれしい。
投稿日:2024.02.18
下山はじむ
68歳の老人が読んだ所感 昨日の1巻に続けて、この2巻目も1日で読んでしまった!想像して映像化していくのが楽しい。 地下の迷宮を脱出するシーンはインディージョーンズの最後の聖戦の聖杯のシーン(ペトラ遺跡)がダブってしまったし、エレス・アクべの腕輪の話は天空の城ラピュタのシータのペンダントの話とダブってしまった。テナーがシータに見えてきた。 ゲドは107ページから登場にびっくり、それもある男とかいってなかなかゲドとはわからない。 生まれ変わるという表現が数カ所あったが、欧米人は輪廻の思想がなかったはず?再度調査したら、やはり、キリスト教にはないらしいことがわかった。私達は「生まれ変わったらとか」、「前世はウグイスだったかもとか言うけど」、欧米人には野蛮な未開人の会話に聞こえるのかもしれない。
投稿日:2023.09.30
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