【感想】少女への手紙

ルイスキャロル, 高橋康也, 高橋迪 / 平凡社ライブラリー
(9件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
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  • 産業革命が生んだ文芸黎明期の厳格な数学者の冒険

    個人的にはルイス・キャロルの作品は面白いなあと思います。
    手紙には、キャロルの細やかな心遣いと、茶目っ気があふれでていて非常に感銘を受けます。
    ファンタジー史的にはフランク王国のカール大帝のごとくそびえたつ巨人ですが、その巨人の隠れた個人的趣味としてペドフィリアの気があった…。というのは非常にセンセーショナルで興味を引かれるものではありますが、実際みると、ルイスの論理と情動のはざまにあった、感性が子供という階級制度から超越した自由に心を引かれたというところが実情のように思います。
    それにしても、世界一の童話作家から手紙が来たり、ティータイムをともにしたリ、演劇に招待されたりするのってどんな気持ちなんでしょうか? 素晴らしい体験でしょうか? それとも、特殊な性癖を疑ってしまうものでしょうか?
    天才ルイスが成し遂げたかもしれない数学的な飛躍を棒に振ってまで描いた『アリス』と彼が愛した永遠の子供たちに!
    星5つ。
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    投稿日:2016.11.12

ブクログレビュー

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  • 踊る猫

    踊る猫

    何とも不思議な、そしてチャーミングな本だ。ルイス・キャロルという人は今のぼくたちの目からすれば異常なほどの筆まめさや几帳面さを持ち合わせ、そして言語感覚や論理的思考能力がおそらくは鋭かったり高すぎたりしたせいで巷間でささやかれる「発達障害」の気質を備えた異常者/マニアとして見えてしまう。おそらくはそこにペドフィリアの性格を見つけることもできるだろう。だが、そうした見方はぼくたち大人の勝手な見方であり、ルイス・キャロルの稚気やユーモアを圧し殺すものでしかない。この本の手紙を読み込む楽しさを奪うことはできない続きを読む

    投稿日:2023.08.23

  • 愛

    なんて慈愛とユーモアに溢れた人物だろう!私も少女の頃にキャロル氏に出会いたかった。どの手紙にもキャロルの創意工夫が窺え、微笑ましかった。

    投稿日:2023.02.20

  • zasetu

    zasetu

    几帳面すぎるキャロルがナンバリングした十万近い手紙の中から、少女に宛てた手紙をさらに厳選した一冊です。とにかくユーモアに富んだその手紙の内容に、思わずくすりと笑みがこぼれます。小難しいことは考えずに、「少女を楽しませるためにだけに」書かれた数多の手紙を、私たちもまた楽しむのが吉でしょう。
    一番いいなぁと思ったのはビアトリス・アールへの手紙。やさしかったビアトリスにこわくなってしまったキャロルの筆跡が、ふるふるとふるえている…! なんてかわいらしいのでしょう。あと、晩年の「ひどく老いさらばえた老人」のキャロルが書いた手紙の謙虚さ、温かさにも胸を衝くものがありました。

    『ためになるのは「愛」です。世界中がそれでいっぱいだったら、どんなにいいでしょう。』
    続きを読む

    投稿日:2022.10.26

  • 匙

    誰かの親密な手紙を盗み見る後ろめたさと愉しみ。
    ルイス・キャロルの少女への執着を一概にロリータ・コンプレックスでしかないとは言い切れないし、無関係とは言えない。
    彼が、少女が相手の時だけ堰を切ったように語り出す、奔放な想像力が産んだ言葉の遊戯をばかばかしいような切ないような気持ちで読んだ。続きを読む

    投稿日:2015.07.08

  • kei1122

    kei1122

    このレビューはネタバレを含みます

    生涯に書いた手紙の総数は十万弱…
    すごい!すごすぎる!!と思ったけど今の時代のラインや
    メール好きな人ならこれぐらい書くかな?
    キャロルのすごいところはこれらの手紙の詳細をすべて記録していたところ

    手紙の内容は作品同様ユーモアにあふれている上に
    最後の本名の前に書かれた一言がとてもしゃれている
    「きみゆえに苦しむ」とか「遠くから君を愛する友」とか
    「まちがいなく君を愛する」とか、こんなことばが書かれた手紙
    人生に一度くらい欲しかったかも…と思ったけど少女時代に
    年齢が離れた男性からもらうのは無理。きっと封を切らずにお返しするでしょう。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2015.02.26

  • 深川夏眠

    深川夏眠

    19世紀イギリス、
    数学者にして聖職者、童話作家でもあった
    手紙魔ドジソンおじさんが
    いたいけな乙女たちに書き送った、
    愛と優しさとユーモアと、
    ちょっぴりビターな毒を含んだラヴレター集。
    但し、あのアリス・リデル宛ての手紙は無し。
    至近距離で暮らし、頻繁に顔を合わせていたのだから
    当然と言えば当然――と、あとがきにあり。
    なるほど。

    少女は必ず、いつか少女でなくなるが、
    少しずつスライドさせるように相手を変えて
    幾人もと交遊を持てば、長いスパンで眺めたとき、
    理想的な少女の結晶と言うべきものを
    叙述の空間に留め置くことが出来るに違いない、と
    内気な作家は考えたのではあるまいか……
    そんな訳者の考察に深く頷いた。
    物語を書くというのは、そのための作業に他ならない。
    続きを読む

    投稿日:2015.01.01

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