【感想】人は、誰もが「多重人格」~誰も語らなかった「才能開花の技法」~

田坂広志 / 光文社新書
(33件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • ムンペイ

    ムンペイ

    才能が複数あるというのは、才能ごとの人格が複数あるということであり、才能を増やすというのは隠れているそれらの人格に切り替えられるようにすることである、という「才能開花の技法」を述べた2015年刊行の一冊。

    著者の田坂広志氏は、日本総研の設立に参画、原子力工学が専門であることから福島原発事故後に内閣官房参与に就任などを経て、現在は田坂塾で経営者やリーダーに「変革の知性」を教えているとのこと。

    「千に一つの奇跡をつかめ!」を読み終えた頃におススメに出てきて、多才とは多重人格のことであるとは面白いことを言うなぁと感じ、さっそく図書館に予約をかけた。

    この本での「人格」とはある1つのことについてうまくやる「モード」のことであり、「多重人格」という言葉はもちろん病的な(例えば解離性同一性障害のような)意味ではない。

    経営者は「ロマンと情熱を持った人格」「数字の鬼の人格」「優しい親父の人格」「強いリーダーの人格」を瞬時に切り替えているし、ベテランの銀行員は接客では「暖かく親切な人格」「几帳面で細やかな人格」を、後輩の指導では「厳しくも包容力のある人格」を使い分けている、とのこと。そして一流の人にはそれらの人格切替をマネジメントする「静かな観察者」がいる。これらの人格(~才能)は誰しもに眠っていて、体験によって引き出すことができるのだそうだ。

    なるほど、こういう考え方で才能を整理するのはわかりやすい。
    そして、2つの点で勇気をもらえると感じた。

    1つ目は、自分にも才能はあると信じられること。ないものを作るのは大変だが、存在はしていて眠っているだけなら成長させることはできそう。

    2つ目は、自分の人格を「変える」のではなく、自分が持つ別の人格に「切り替える」という考え方。変えるというと何かを我慢したり捨てたりしなければならないと思いがちだが、切り替えるのであれば今の自分はそのままでよく、別のモードで新しい体験をしていけばよいので、自己否定がなく気楽である。

    才能開花、スキルアップへの向き合い方に新しい気付きをもらえたことで、読んでよかった本だった。

    一方、教え子の対談形式であるのは良いとしても、著者の考えが述べられているだけで、客観性を補強する証拠・事例のようなものはほとんど述べられていないので、事実として信じる類のものではないと感じた。そういう考え方もあると受け止めて、自分の考え方の整理とするのがよさそう。または、著書多数なので、ほかの書籍も当たるのがよいかもしれない。
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    投稿日:2024.03.10

  • hitomi

    hitomi

    興味深かった。さまざまな人格(面)があって当然。分人思考、という書籍を思い出した。
    自分の持つ人格を自身でコントロールできるようになることが、さらなる人間的成長を与えてくれそうだと感じた。

    投稿日:2023.09.14

  • colo

    colo

    このレビューはネタバレを含みます

    精神のスタミナ 精神的基礎体力が必要

    潤滑油でもあり、智恵でもある

    自分の中には全ての人格が備わっている

    始め民主主義、終わり独裁

    仕事において、表に出して活用する「人格」を、切り替える

    優れたプロフェッショナルを「師匠」として、その「師匠」から「人格」を学ぶ

    立場が人格を引き出す


    師匠とは、同じ部屋の空気を吸え
    技術や心得だけでなく、その背後にある人格を学ぶ

    苦手と思う仕事も不遇と思う時代も捉え方によっては、それまで自分の中に眠っていた人格と才能を開花させる絶好き
    前向きで取り組んでいると、どのような仕事も面白くなってくる


    適性検査は自己限定の深層意識を生み出す隠れた落とし穴 
    営業に向く、経理に向いてない 否定的な意識や自己限定の意識

    適材適所や長所を伸ばすのことばの怖さ

    「日常とは違う場」で表れる「日常とは違う人格」を体験する

    静かな観察者
    小さなエゴから大きなエゴへ育てる

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    投稿日:2023.04.14

  • ちぇん

    ちぇん

    才能の本質は人格である。
    自分の中にある複数の人格を自覚し、置かれた状況や立場によって異なった人格で対処する、これを意識的に行えば自然に様々な才能が開花する。

    上記抜粋したがこの本の一番のところではないかと思った。

    おもしろい例えで、心の世界も電気の世界と同じで、プラスの想念だけが発生するのではなく同時にマイナスの想念も発生するということ。
    例。できる、やればできると思っていても深層心理ではできなかったらどうしようとプレッシャーになっていたりする。
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    投稿日:2022.10.08

  • ponsuke9

    ponsuke9

    人間のなかにはさまざまな人格がある、というので参考までに借りてみたのだが、個人的にも啓蒙される一冊だった。

    いろいろと人生経験を積むことにより、自身の「ペルソナ」を増やす。人生経験を積む機会がなければ文学や名作映画を見て、他人の人生を疑似体験する。ペルソナを増やすことは、様々な「顔」を使い分ける能力を高めることに繋がる。つまりTPOに応じて臨機応変に対応することができるようになる。

    たとえば「私は内向的。営業系のしごとななんて無理。性格診断や適職判断でもそういう結果が出ている」というのは思い込みで、実は外交的な一面があることを自覚していないだけかもしれない。性格診断や適職判断を鵜呑みにするのも考えもの――といった内容で、なるほど!と膝を打つ。

    地方の人たちと話していると、「なんてこの人たちは馴れ馴れしいんだろう。なんて無礼なんだろう。この人たちは他者との接し方を知らないのか?」と感じることがあるのだが、この本を読んでなんとなく理由が見えた気がした。
    狭いコミュニティの中だけで生きているから、「外の世界」で通用するための「ペルソナ」を作る訓練ができていないわけなんだろう。そもそも「外の世界」に出ていく必要性などないのだから。狭い価値観=ペルソナの少なさも、これに繋がっているのだろう。
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    投稿日:2022.05.02

  • Ryotaro.H

    Ryotaro.H

    多重人格は悪いことではなく、場面場面でスタンスが発揮できる人格の選択肢を増やし、それぞれの人格を磨いて行くべきとの主張。そのためには苦手な場面にも挑戦することで、人格のオプションが広がる。
    またエゴの向き合い方に関して、深く刺さった。
    自分自身嫉妬やエゴといった感情が芽生えることがただあるが、嫉妬という感情に対して静観して、その気持ちを感じてることに気づいて、抑えようとせずに見守るというのが、無理をしない向き合い方だと理解した。またエゴに関しては若いうちにはとことこん追求し、立場が変わることで、対象が個人のエゴから関わるコミュニティーの利へと広がっていき、個人のエコが最終的には社会の幸福へと繋がるというのは納得できた。
    また心に残ったフレーズとして、自分を愛せない人は他人を愛せないという言葉があった。月並みの言葉ではあるが、その言葉の本質の深さの表層に触れた気がし、今後思考を深めたいと思った。
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    投稿日:2020.10.10

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