【感想】異次元経済 金利0の世界 米国崩壊 世界デフレ 日本復活

若林栄四 / 集英社ビジネス書
(2件のレビュー)

総合評価:

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  • やなぎ

    やなぎ

    経済書を読むときに大切な視点は書かれた時を見ること。
    大枠での内容ももちろんあるが、全体的にアグリーとは行かなかった。

    投稿日:2019.09.05

  • yasz

    yasz

    確か小学生の頃に、ノストラダムスの大予言をいう本が流行りまして、著者は確か五島氏だったと思いますが、続編・似たようなシリーズを含めてかなり読んだ思い出があります。一番有名になった1999年7の月に、何かが起きるというものがポイントだったと思います、それが当たったかどうかは置いておいて、私が彼の本を読んだ中でいまだに明確に覚えているのは、「共産主義はなくなるだろう、資本主義もなくならなければならない」」というフレーズです。

    特に、資本主義のフレーズのところの助動詞(must)の解読が遅れたようで、この経緯だけを1冊にまとめているような本でした。当時、自分の国が属している資本主義がなくなるのは、想像がつきませんでしたが、多くの本を読み進めるうちに、資本主義がなくなるとは、成長がなくなる=金利がゼロに近づく=デフレが慢性化する、ということではないのかと思うようになりました。

    最近、資本主義を前提とした会社の存在意義がなくなりそうだという趣旨の本を、先日、神田氏の本で読んだばかりです。また、今は国の根本である、社会構造の変革(それも崩れていく方向)にあるという本(鈴木啓明氏)を本日読み終えたばかりですが、多くの人が近未来の変化を予測・予言しているような感じを受けます。

    さて、この本ですが、株価・為替・金利の動きを、長期間にわたるチャートの形から、時期を予測された、若林氏の本です。いきなりこの本のタイトルを見ると、読むのに戸惑うかもしれませんが、私は彼の著作を何冊と読み続けてきていて、彼の予測が概ね当たっていることを知っているので、この度の新作も楽しんで読むことができました。

    私の限定された量の資産ですが、それを運用・保全するにあたって参考にしているものです。彼のポイントは、デフレとして先進国である日本での資産運用は、株価は上がり、為替は多少の紆余曲折があるものの、円安の方向、ゴールド価格が上昇することを念頭にすべきというものでした。

    以下は気になったポイントです。

    ・アメリカの金利の歴史を振り返って、2022年まで金利が下がり続ける可能性が高いことを発見している(p3)

    ・アメリカで2013年の失業率が急速に低下したのは、働いている人の数が増えたのではなく、職を探すのをあきらめた人が大幅に増えたから(p21)

    ・ほぼ10年毎に、注目される経済指標が移り変わるのも、いかがわしさを感じる、今は雇用統計、その前は貿易統計、その前はマネーサプライ(p21)

    ・あらゆる相場の動きは、日柄と黄金分割で「こうなる」と決められている(p35)

    ・インフレ期の株価低迷は1973年から1982年までの9年間だが、今後は2022年ころまでは低迷状態が続く。日本で2012年あたりに起きたことが、約10年遅れでアメリカにくる(p37)

    ・金利ゼロの世界とは、拡大再生産できない、のが基本。にもかかわらず株が上がっているのは許されない。企業収益は伸びていない、そのように見えるのは、株を買い戻しているから、毎年40-50兆円を投入している(p57、77)

    ・金融緩和以前のアメリカの銀行は、州によって分けられて規模も小さかった。大恐慌の苦い経験から、業種(商業銀行、投資銀行)や地域で細かく分けられていた(p62)

    ・金利ゼロの世界で拡大再生産を図るには方法は2つ、レバレッジ(借金多くして投資額増やす)を高くするか、クレジットリスクを取る(潰れそうな会社の債権ビジネス)しかない(p73)

    ・2014年から、ヘッジファンドが儲からなくなってきた、運用成績が極端に悪化している、レバレッジをかけた短期投資で失敗している(p75)

    ・間接金融の日本も、直接金融の米英も、量的緩和で供給された資金は、中央銀行にある当座預金口座につみあがるだけで、市中には流れない(p95)

    ・原油価格の暴落は、世界の需要が減退したから需給バランスが傾いたに過ぎない、今回はそれにサウジの減産拒否が乗っかったので暴落に見えた(p132)

    ・中国のシャドーバンキング問題は、金融市場が閉鎖的で、購入者がほとんど国内なので、あくまでも国内問題として強引に処理できるだろう(p137)

    ・アメリカで明るい材料としては、1)財政赤字が急激に改善、1兆数千億ドルあったのが、4500億ドルまで減ってきている。2)ガソリン価格の下落、毎日使っているガソリンが、4→2.7ドル/ガロンになることは減税と同じ効果(p139)

    ・1934年1月にルーズベルト政権が、金本位制を停止するとともに、金価格を1オンス=20.67から35ドルへと、1.7倍に引き上げた(p146)

    ・金価格が1オンス=35ドルに固定されている中で、物価が上昇することは、金が他のサービスに対して割安になることを意味するので、金の需要が増えるのは当然(p149)

    ・国際収支の悪化と金流出の増加によって脅かされたドルを安定させるため、1968.3.17にワシントン声明により、金の二重価格制が導入された(p150)

    ・1972-1980年までに上昇した金価格は、金の商品・実物資産としての側面を反映したもの(p152)

    ・資産インフレが破裂するときには、金が上がる。2015年に株バブルが破裂した時には、金が上がるだろう(p156)

    ・現金さえ信用できない資産デフレ、ディスインベストメントの時代には、金が投資の王様となって暴騰するのは当然(p159)

    ・金価格は、定性的には、過去40年間に増殖したマネーの総量と釣り合う水準まで上がる、それを定量的に予測するために黄金分割が有効(p163)

    ・短期的には2015年11月に、1580ドル、だろう。長期的には円安波動、世界デフレでは金はドル建てで上昇する。これまではドル建てで上がるときは円高が多かったので相殺されてきたが、これからは2倍美味しい投資対象となる。(p170)

    ・長期的には、2022年に3000ドルの天井に達したのちには、25年サイクルの暴落が待っている(p170)

    ・1990年の株価暴落から始まった日本経済の下落波動はすでに転換していて、2012年からは長期の上昇波動に入っている(p173)

    ・75円から121円まで走った相場が、すでに走り終えたとすると、その上昇幅46円の4-6割の調が一般的、94-103円あたりの円高だろう(p190)

    ・2016.3は、1975.9の長期金利9.86%ピークから、40.5年目であり、黄金分割の重要な日柄である、このころから長期金利は上がり始めるだろう(p195)

    ・日本の経済の大転換は、2011.3の東日本大震災だった、政府が財政支出を増やせる状況が生まれた(p199)

    ・日本企業の海外資産は3兆ドル、40円円安になれば120兆円の評価益、国自体も外貨準備で1兆ドル持っている(p203)

    ・裏があれば必ずオモテがある、陰陽がある、経済が波動というのはそこである。今まですべてが波動でネガティブになって変わっていたのが、ポジティブになる(p204)

    ・企業はデフレ局面では借金しないので政府がして経済を支えてきた、なので景気が良くなったら税金をとるべき(p205)

    ・アメリカがデフレから抜け出す2022年には、日本株価は2.8万から3.2万円程度に上がっているのではないか、2015年から19年後の2034年までは上昇波動となり、6.3万円が射程になる(p210)

    ・次の円安の目安は黄金分割によれば、2018年8月、120円程度、次はアメリカ経済が大底となる2021年ころ、それ以降は更なる円安になる(p211)

    ・膨張したマネーと高騰した資産価値があるべき水準に戻るデフレ局面が始まる、日本だけが世界デフレの下降波動の先をいって、リフレの上げ潮に乗り始める。50年ぶりに日経平均株価と、ニューヨークダウ工業株30種平均が、1.8万円と1.8万ドルで並んだのが象徴的(p214)

    ・ドイツは再統一に関連して、本来なら1:6が妥当な東西マルクを1:1で交換したり、金融引き締めのためにドイルの経済は2000年代初頭までは苦労した(p216)

    ・19年というのは重要な日柄で、日本株も1989年で天井を打ってから、19年後の2008年に最後の底を打っている(p217)

    ・日本がインフレ、世界がデフレになるので、大きな流れは基本的に円安、外貨や金に投資するのは良い。株はインディックスファンドが良い(p221、222)

    2015年4月19日作成
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    投稿日:2015.04.19

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