義経(上)

司馬遼太郎 / 文春文庫
(80件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
17
27
29
3
0
  • あたらしい義経のはなし

    鞍馬天狗から兵法の極意を授かり、五条大橋で弁慶と渡り合う、そんな講談、おとぎ話じみたエピソードは一切ありません。その代わりに鞍馬山を脱走し奥州平泉へと向かう途中で少年時代の那須与一に出会い、平泉では藤原秀衡との交流があったりします。「流石は司馬遼太郎、そうくるか」と感心するとともに、後の再会への期待が高まります。
    にもかかわらず、下巻の那須与一再登場の場面(屋島の「扇の的」です)は1ページほどで終わり、義経との会話もまったくありません。藤原秀衡に至っては、再登場そのものが無し。平泉どころか、平家撃滅後、義経が京を追われた後はあれよあれよという間に生首になって頼朝の眼前に出されているという有様。これは何なのか。前振りだけが多くて、本来の見どころがまるっきりスルーとは。作者の意図がまったく分からない。……と、しばし考えた所で、何かに似ていることに気付く訳です。「ああ、これはジャンプ打ち切り作品のパターンだ」と。
    斬新すぎる義経が評判悪かったのか、それとも作者のやる気がなくなったのか、伏線を張って下ごしらえを終えた所で、風呂敷を広げたまま無理矢理終了。そう考えると、なんとなく下巻の体たらくも許せる気がしてきます。弘法にも筆の誤り、司馬の打ち切り。
    上巻は面白いだけに本当に残念です。
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    投稿日:2016.02.29

ブクログレビュー

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  • かぶ

    かぶ

    司馬遼太郎の描く義経の何と愛らしいことか。

    源義経、日本人ならば誰もが知っているその英雄の非凡人的な部分は、物事を極端にしか見ることしか出来ない政治的常識の欠落、牛若のころから変わらぬ思考であるとした。その欠落こそが、危なっかしくて放って置けない人としての魅力であると。

    上巻では義経の華々しい活躍が一切ないため、義経という名を聞いて期待をすると物足りなく感じる。

    だが、その人物像の無垢さを丁寧に書いているからこそ、皆が知っている晩年に更なる哀愁を感じさせる。
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    投稿日:2020.11.29

  • haru6

    haru6

    少し意外だったのは、義経像をビジュアル面では決して美丈夫としては書いていない、言わば今風の表現でいう雰囲気イケメンの類として描写し、かつ特異であっても才覚の人物として書いていない点だろうか。
    歪、あるいは異物と呼ばれるものは必ずしも自ずからそう産まれるものでなく、空気の滞留した環境とそれに根ざす人々とが升形になって形造られるのが本作に於ける牛若であり遮那王であり九郎義経と言える。
    あと鞍馬寺ちんちんフェスタ
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    投稿日:2020.01.16

  • emarute1208

    emarute1208

    京都生まれだからか牛若丸は馴染みと親しみがあり、なんとなくな感じで好きだった。改めて歴史を知ることで京都人の判官贔屓が理解できたことでその根拠が解った気がした。
    義経の“青さ”と“不器用な実直さ”は魅力でもあり、それに弁慶たちも京都人もそして私も引き込まれたんだろう。
    また昔は弁慶は強いとの印象があったが、ただの強さではなく父親のような温かな強さであったと改めて感じた。
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    投稿日:2018.11.11

  • yoshiki0669

    yoshiki0669

    この作品を読むまでは、源義経と聞けば、半ば神格化された英雄だと思っていました。

    しかし、本作品で描かれている義経は人間臭く読んでいて新鮮でした。弁慶との出会いもある意味、史実に忠実なのかなーと感じました。
    上巻はまだ義経が雌伏の時にあるので、下巻が楽しみです。
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    投稿日:2018.10.08

  • kazutsugu

    kazutsugu

    軍神と称された幼稚な義経の物語。多くの点において、自らを重ねるところあり、政治感覚の無さ、他者への気持ちのわからなさ、自分を正しいと思う、思い込みの強さ、自らを重ねるようである。

    しかし、痛快な30年弱の人生であっただろう。
    初陣から壇ノ浦まで、古今類を見ない奇跡的な勝利、それはこの時代になかった、
    戦術、策、を用いた初めての戦いであり、またそれにより価値、勝てない戦を勝って、英雄となった。

    鎌倉が恐れること、仲間だと思っていた身内が恐れることを「まったく」分からなかった。
    その純粋さ、つまり「親のかたき討ち」以外には思いを寄せることが出来なかったことが、
    結果、さわやかで痛快な、そして悲壮な人生を創造し、永久に忘れられない青春となった。
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    投稿日:2017.09.28

  • yoshi2013

    yoshi2013

    今から約1000年前の時代ではあるが大方史実に則ったものなのでしょう。もやもやした歴史知識が明確になり、相変わらず司馬作品は読後の充実感があります。平安から鎌倉時代は激乱の時代だったのですね。皇室も含めとても節操なく、道徳心や法律が育っていない時代ならではの展開に驚きます。司馬の作品は人物のセリフはすごく簡素に、心情はすごく深く描くもので、とても気に入っています。思慮ある弁慶の下巻での活躍が楽しみです。続きを読む

    投稿日:2017.09.09

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