【感想】地のはてから(上)

乃南アサ / 講談社文庫
(21件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
6
7
5
0
0
  • 想像を絶する…

    上下巻あわせてのレビュー。
    知床はアイヌ語で地の果ての意。大正から昭和にかけての政府に騙されたような形で知床に入植し、明日があるかもわからないような生活をおくりながら強く強く生きていく一家の末娘のお話です。
    読み始めは方言に馴染めず少々苦労しましたが、慣れてきたら一気に読了。さらっと読めるような軽い内容ではありませんが、ただただ夢中で読みました。
    いまを生きる人間には想像し難い壮絶さです。水がないとか、雨風をしのげないとか・・・それでも子供を育て、必死に生きていく。
    この時代に生まれたことをあらためて感謝です。生きること、死ぬことについて考えさせられた作品でした。
    それにしても女って強い!
    最後は幸せを・・・というようなこともなく、最初から最後まで想像しがたい苦労の連続のお話なのですが、それでも読み終えた後に苦々しさなど残らないし、どんよりと重く沈んでしまうこともありませんでした。このあたりは乃南さんのテクニックなのかな!?
    とにかく読み応えのある作品です。
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    投稿日:2013.10.14

  • 知床ー地の果て

     福島県からやってきたか開拓移民の少女とわの目をとうし厳しい現実が描かれている。
    国家のいうことは信用できない。開拓移民の時もそう、戦争中もそう国家のいうことは信用できるのか。
    考え深いテーマである。また物語を通じ現代に生きる自分たちの甘さ甘えがひしひしと感じられる。
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    投稿日:2014.08.22

  • 内地で行き場のなくなった家族が求めた新天地(北海道)は?

    今でもウトロと言えば、知床半島で人の住んでいる北東限という感じがするのに、大正時代にその先のイワウベツを開拓するのは不可能だったのでは・・・というのはリアルにわかる気がする。自然環境の厳しさに加えて、収穫期にイナゴの襲来があるとさぞかし気落ちするだろう。上巻は、一攫千金を夢見たむらっけの多い父親に従って北海道開拓団に加わった一家、特に娘の『とわ』の14歳までの歴史が淡々と綴られる。平行して、甘言を弄して国民を開拓に駆り立てた国家の歴史も理解が進む。総評は下巻を読んでから。続きを読む

    投稿日:2017.08.27

  • 大河ドラマの様な一人の人生の感動的な記録

    激動の時代に巻き込まれた人々の群像に取り巻かれた主人公の半生。平凡かもしれないが、ひたむきに生きた人生が心を打つ作品です。

    投稿日:2013.10.07

ブクログレビュー

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  • じょじょぴ

    じょじょぴ

    凄まじい読了感が1週間ぐらい続いてこの世界から抜け出せない。心が持ってかれる。ところどころのシーンで心臓がギュッと掴まれて、込み上げるものがある。でも泣くに泣けない。なんだかそれがリアル。人生を2回したように感じた。本を読んでいて、こんな経験は初めて。続きを読む

    投稿日:2023.05.12

  • いずみん

    いずみん

    網走も知床も行ったことがあるけど、100年ほど前にこんな壮絶な生活をされていた方たちがいたとは!何も知らなくて恥ずかしい。
    とわはこの先どうやって生きていくのか、どうか未来が明るいものでありますようにと願い下巻へ。続きを読む

    投稿日:2022.03.04

  • なな

    なな

    明治の終わり~大正にかけて、北海道開拓に赴いたある家族、という設定の物語。当時の暮らしや北海道の生活、アイヌの人々の知恵などが物語の中にほどよく散りばめられており、読みやすい。
    最初は開拓に巻き込まれた母親目線で、そのあとは北海道で育った記憶しかない娘の目線で描かれる。北海道の山の生活しか知らない彼女の都会へのあこがれや自然への思い入れが豊かに描かれており、面白い。
    北海道開拓の歴史やアイヌの人々の温度感を小説のなかで学べ、人の一生についても考えることができる一冊。下巻も楽しみです。
    続きを読む

    投稿日:2019.05.13

  • seasideparadise

    seasideparadise

    タイトルからして苦難の物語だろうと思ったらやはり。大正時代に開拓民として北海道に入った家族が苦労して生活していく話。家族のお母さん目線の話が、ちょっとしたら娘目線になった。その先はその娘が主人公。しかし北海道はいいけれど、知床半島とか、タイトル通り随分果てまで行ったものだと。いや、いまだってそこで暮らしている人は多いのだから(そうやって開拓民だった人たちの子孫だわね)、果てと言う言い方は失礼だけど、当時は本当にまだほとんど誰も住んでいなかった地。寒さも厳しいのによくぞそこまで。続きを読む

    投稿日:2018.05.25

  • minerva-48

    minerva-48

    今までのサスペンス中心の小説とは異にする乃南アサさんの小説。舞台は、大正期から昭和期の北海道。なかでも非常に厳しい自然環境にある知床の開拓移住した家族のお話。
    冒頭から、読み進めるのが苦しくなるような過酷な環境に置かれた家族、放蕩父親の様子。しかし、次第にのめり込んでしまう。主人公の少女とは、そしてアイヌの少年との出会いの意味とは。続きを読む

    投稿日:2017.11.17

  • kosamebitaki

    kosamebitaki

    このレビューはネタバレを含みます

    アイヌ語でシリエトク。「地の果て」知床にやってきた作四郎、つね、直人、とわの一家。大正時代、北海道開拓が政府によって奨励された。農家の次男坊、三男坊が自分の土地を求め、親戚に見送られて希望と金を持ってやって来るものも居たが、作四郎一家のように、借金から逃れるため夜逃げしてきたり、犯罪に手を染めたものも少なくなかったという。
    福島から数日かけて、ようやくイワウベツの入植地にたどりつく。森林の大木を伐採してひらき、一家は屋根と四本の柱を板で囲い、むしろを下げただけの家で、互いの体温であたため合って氷点下三〇度にもなる冬を越えなければならなかった。しかし、ほんとうの試練はこれからだった。

    つくづく自分は甘いと思わされました。ふわふわした幸せな物語ばかり読んできて、この現実に突き当たったとき、受け止める度量がない自分に気がつきました。それほど過酷な人生をいきたひとたちが、ここにいる。小説は、想像を超えた人生を教えてくれます。この物語は、わかりやすい、そして人の血がかよったことばで綴られていくのでひきこまれ、考えさせられます。

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    投稿日:2017.02.05

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