【感想】自分の頭で考える読書 変化の時代に、道が拓かれる「本の読み方」

荒木博行 / 日本実業出版社
(53件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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ブクログレビュー

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  • 杉浦 亮

    杉浦 亮

    読書法の本はなるべく読もうと思っているのですが、今回もその流れで手に取った一冊。著者は前著で知り、興味を持ちました。
    この読書本は一風変わった印象があります。「読書法はケースバイケース」「必殺読書法はない」など、本音で語るところは共感します。章の展開としては、読書の必要性、本の選び方、読書の誤解の解消、読書の効果といった感じで、読書法を知りたい読者にとっては、新たな考え方を得られます。
    「本は読むべし、読まれるべからず」という文が紹介されていますが、これが本書の本質なのかなと思います。非常に面白い一冊でした。

    ▼コンポーネント(部品、成分、構成要素等)を示しつつも全体像をあえて余白として残すことで、読者の属人的事情を乗り越えられるのではないか
     読者の「考える力」を借りることにより、それぞれの事情にフィットしたケースバイケースの読書法が生み出せるのではないか

    ▼この変化の時代を生きるために、「抽象化する力」こそが便りになる
    ▼本の最大の魅力というのは、やや逆説的ですが、「魅力的ではない」という点
     本には五感的にも時間的にも、思考できるだけの「余白」が十分にある

    ▼本を読む「文脈」(コンテスト)を意識する
     「コンテクスト」の要素は、本を読む「場所」と「タイミング」

    ▼「問い」に対する3つの本の選び方
    ①問いの発見
    ②答えの発見
    ③既知のリマインド
    ▼「既知のリマインド」に偏る人が多い傾向
     そのため、3つのカテゴリーのバランスをとったポートフォリオを組む

    ▼読書の病
    ・完読の病
    ・コミットメントの病
    ・積読の病
    ・実践の病
    ・読書時間不足の病
    ▼「熱狂7割・懐疑3割」が理想的なバランス

    <目次>
    序章 変化の時代、「終身エンタメチャレンジ」の扉を開けよう
    第1章 なぜ今、本なのか?
    第2章 どんな本を選ぶのか?
    第3章 本を通して「問い」を育てる
    第4章 「読書の病」を治療しよう
    第5章 「読書が役に立つ」とは、どういうことか?
    第6章 「本を読む」とは、自らを生きるということ
    付録 自分をつくる読書ーこの本で取り上げた、私をつくる64冊
    続きを読む

    投稿日:2024.01.23

  • emicoemi

    emicoemi

    本の種類は3種類ある。
    1️⃣問いの発見
    2️⃣答えの発見
    3️⃣既知のリマインド
    大切なことは抽象化する力。
    自分がたてた具体的な問いは、具体から抽象を経て、新たな具体へ進むことで、問いを育てていく続きを読む

    投稿日:2023.12.10

  • ひだゆー

    ひだゆー

    「本とどう向き合うか」という問いに対する荒木マスターの考えがまとめられた本。
    いままで短期的に役立つ情報を得るため、HOW TO本を読むことが多かったが、本の問いと答えを読み取り、自分で問いを立てながら解釈していく必要性を学びました。

    また「本は読む人が価値を決める事ができ、同じ本を読んでも得られる教訓は異なる」と述べられており、こういった感想を書くことに対する自信を貰いました。

    本を読んでも時間が経つと忘れてしまう人、表面的なところだけさらっており学びが身についている気がしない人には、「読書」という行為を見つめ直すことが出来るため、おすすめの本です。
    続きを読む

    投稿日:2023.12.03

  • kanetaya

    kanetaya

    すっと分かる本。
    新たな発見があったわけではないが、そうだなと思いつつ読めた。
    問いを自らに醸成させるために、答えに少しでも近づいたと感じるために、いろんな切り口で考えるために読んでいるんだと思う。

    投稿日:2023.09.25

  • 123456qaz

    123456qaz

    教育のパラドックス→わかりやすく、教えれば教えるほど、受け手は考えなくなる。
    コンポーネント(部品)をランダムに見せて、全体像を見せない
    ジョージ・ソロス グローバリゼーションと自由化 障壁のない巨大タンカー→船内の石油が転覆する恐れあり
    ホチキス担当者の悲劇→この仕事は何を実現するための手段なのか?と問うのをやめてしまった。
    抽象化する力はAIに真似できない。
    組織を殺す怠惰な抽象化(俺の経験では…、バブル時代は…)
    終身エンタメチャレンジの道を選ぼう!

    どんな本を選ぶか?→問いの発見、答えの発見、既知のリマインド
    問いの発見の本はそれなりに負荷がかかる。

    読んだ冊数を意識しないこと→効率的に使いたいと言う気持ちは弊害が多くなる。あなたの答えを避けるようになる。冊数を気にするのは良くない。

    質問者が置かれたシチュレーションと本のメッセージの本質的な共通点を見つける
    アパレルと半導体のビジネス→タイミングこそが重要
    共通項を探しゲーム→自分の問いの抽象度を高めることで、過去の叡智との航路を作れ P123
    本を読む前に自分の問いの抽象度を高めておく(上司に報告しても否定される→本屋で×「話し方・コミュニケーション」系の本→他者との理解は?そもそも理解とは? 波多野一郎「イカの哲学」)
    問いの抽象度→具体化→抽象度 細谷功

    完読の病→本には相性がある・タイミング・自分にとって旬ではないと思ったら静かに本を閉じて、またいつか開く日を待てばよい。

    共有図書館を構築する→もし世の中のすべての本を網羅した図書館があるとしたら、今読もうとしている本はその図書館のどの辺に位置づけられるかを知っていることが重要。実際にその本の細部を知っているかどうかは重要ではない。
    その本の問いと答えの位置付けを理解して、図書館のしかるべき場所に置いておく。

    コミットメントの病(1冊の本に没頭しなくても良い) 積ん読の病→ビオトープ(小さな生態系)積ん読を悪いことだと思い込んでしまうことが、病の正体・積ん読は、囲まれた人に力を与えてくれる存在

    実践の病(ダンテ神曲、カラマーゾフの兄弟→読んでもすぐに実践できない)
    ×読んだら即実践→短絡的な読書サイクルから逃れる意識
    読書時間不足の病

    読書は役に立つか?という問いに意味はない
    スノードーム理論(沈殿しているものが浮かび上がる) アイディアの回路を形成

    懐疑を忘れた陳腐な悪の恐ろしさ 他人の頭で考える読書になってはいけない
    アイヒマン 政治においては服従と支持は同じものなのだ。これが君が絞首されねばならぬ理由、しかもその唯一の理由である。

    ダンテ神曲・完全版 河出書房新書・平川祐弘
    カラマーゾフの兄弟 光文社古典新訳文庫・亀山郁夫
    続きを読む

    投稿日:2023.09.17

  • かに

    かに

    具体的なところと抽象的なところ、「既知のリマインド」と新たな発見が、全体を通してバランスよく散りばめられていて全く飽きずに読むことができた。

    「共有図書館」や役に立つかの観点の罠といった、普段読書するなかでなんとなく感じてたことをうまく言語化してくれたし、以前読んだショーペンハウワーの『読書について』をこの本を通して理解を進めることができた。今まで読んだ読書に関しての本で1番良書だったと思う。

    最後の実存主義についてはおそらく6割ほどしか理解できていないので、4割の謎を抱えたまま自分にとっての「答え」が降ってくる日を待つとしよう。
    続きを読む

    投稿日:2023.07.17

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